JP2949479B2 - グラビア印刷用版シリンダーの端部洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、グラビア印刷用の
版シリンダーの端部を洗浄液によって自動的に、きわめ
て簡単に洗浄するようにしたグラビア印刷用版シリンダ
ーの端部洗浄装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、例えば包装用袋の表面を
印刷するグラビア印刷においては、印刷部分が凹になっ
た版シリンダーを使用し、グラビア印刷機に前記版シリ
ンダーをセットして高速回転させながら印刷する。前記
版シリンダーは、印刷面の寸法によって径や長さが相違
するし、多数の枚葉を印刷するとインキが端部にまで流
れて汚損する。そこで、従来では版シリンダーの端部が
汚損すると印刷機から外し、洗浄液を用いてインキを溶
解させながら、作業員がブラシによって手作業で洗浄作
業をしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、きわめて
非能率的であって、迅速にしかも確実に洗浄できるよう
に作業することができない。また、シリンダーを手作業
によって長時間洗浄液でインキで溶解させながらブラシ
で洗浄すると、手等の皮膚が荒れたり侵されるので、人
体にとって危険である。したがって、きわめて簡単に、
しかも確実に自動的に高能率でシリンダーを洗浄したい
という要望がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は前記従来の欠点
を解消し、また従来からの要望に鑑み提案されたもの
で、内部に回転ブラシ体を設けた中空枠体の正面にグラ
ビア印刷用版シリンダーの端部を挿入する窓部を開設
し、前記回転ブラシ体と窓部との間に、前記シリンダー
の端部を保持する開口部を形成した遮断板材を着脱可能
に設けて、前記シリンダーの径に対応させて遮断板材を
交換可能にしてなることを特徴とする。

【０００５】また本発明によれば、台枠体と上下移動可
能な洗浄枠体とを有し、前記洗浄枠体は洗浄液タンクと
中空枠体とを有し、前記中空枠体は内部に回転ブラシ体
を設けるとともに正面部にグラビア印刷用版シリンダー
の端部を挿入する窓部を開設し、前記回転ブラシ体と窓
部との間に、前記シリンダーの端部を保持する開口部を
形成した遮断板材を着脱可能に設けて、前記シリンダー
の径に対応させて遮断板材を交換可能にしてなることを
特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて説明すると、本発明の洗浄装置１は、台
枠体２と、前記台枠体２に対して上下動可能に洗浄枠体
３を組み合わせたものである。

【０００７】前記台枠体２は、例えばチャンネル材を方
形枠状に組んだ横方向の台フレーム４と、チャンネル材
を門型状に組んで前記台フレーム４の一端部から直立す
る縦フレーム５とからなるＬ字状で、前記縦フレーム５
には上端のハンドル６によって回転する縦ロッド７を縦
方向に設け、前記縦ロッド７の下部に設けた雄ねじ部８
に、縦フレーム５に沿って上下動可能な昇降枠板９を螺
合させる。

【０００８】したがって、ハンドル６によって縦ロッド
７を一方向に回転すると、前記昇降枠板９は雄ネジ部８
により縦フレーム５に沿って上昇し、ハンドル６によっ
て縦ロッド７を逆の方向に回転すると、前記昇降枠板９
は縦フレーム５に沿って下降することになる。

【０００９】前記洗浄枠体３は、内部に洗浄液を収納し
た洗浄液タンク１０の上面の前方に縦方向の中空枠体１
１を設置した構成で、前記中空枠体１１の底面にフィル
ター１２を設けて、前記洗浄液タンク１０と中空枠体１
１との内部を連通させる。また、洗浄液タンク１０の底
面にはキャスター１０’を設けて、洗浄枠体３を手動で
走行可能にする。

【００１０】前記洗浄液タンク１０の上面にはエアーモ
ータ１３を設置し、前記エアーモータ１３の駆動によっ
て回転する回転軸１４の先端部にディスク１５を設け、
前記ディスク１５の表面に４本の固定ピン１６を横向き
に植設してコイルスプリング１７を嵌め付け、前記固定
ピン１６に回転ブラシ体１８を装着してコイルスプリン
グ１７により弾性的に支持して、前記中空枠体１１の内
部中央に縦方向に位置させる。

【００１１】前記回転ブラシ体１８は、回転盤１９の表
面に複数本のブラシ材２０を径方向に設けた構成で、回
転盤１９に前記固定ピン１６の先端部をルーズに通して
表面をナット等のストッパーで保持することにより、各
固定ピン１６に嵌め付けたコイルスプリング１７によっ
て裏側から弾性的に支持するのである。

【００１２】前記中空枠体１１の正面部には、円形に切
り抜かれた窓部２１が開設されて外周縁がフード２２に
より被われている。

【００１３】前記洗浄液タンク１０と中空枠体１１と
は、途中にダイヤフラムポンプ２３を設けた循環パイプ
２４で接続し、循環パイプ２４の下部を洗浄液タンク１
０の内部に位置させるとともに、循環パイプ２４の上部
を中空枠体１１の内部に突入させて先端部に設けたノズ
ル２５を、前記回転ブラシ体１８の上部側面に位置させ
る。したがって、ダイヤフラムポンプ２３を駆動する
と、洗浄液タンク１０の内部の洗浄液は循環パイプ２４
を介してノズル２５から回転ブラシ体１８の上方に供給
されて、フィルター１２を通過して洗浄液タンク１０の
内部に戻る循環流となる。

【００１４】前記中空枠体１１の上面には、前記回転ブ
ラシ体１８の表面と窓部２１との間に位置するようにし
て横方向のスリット２６を形成し、前記スリット２６に
は遮断板材２７を交換可能に挿着する。前記遮断板材２
７には、上端に折曲された把手部２８が形成されて、ス
リット２６に挿着した状態では把手部２８が中空枠体１
１の上面に保持されて回転ブラシ体１８と窓部２１との
間に吊持されている。

【００１５】そして、前記遮断板材２７の中心部には円
形の開口部２９が開設され、遮断板材２７を中空枠体１
１の内部に吊持状に位置させると、開口部２９と回転ブ
ラシ体１８とが同心状になる。なお、遮断板材２７は複
数枚を用意し、夫々の遮断板材２７は開口部２９の径が
夫々異なるものである。

【００１６】本発明の洗浄装置１は上記した構成であっ
て、この洗浄装置１を使用してグラビア印刷用版シリン
ダーａを洗浄処理するには、洗浄液を収納した洗浄液タ
ンク１０を台枠体２の昇降枠板９に固定し、ハンドル６
で縦ロッド７を回転して昇降枠板９によって洗浄液タン
ク１０を床面から浮かせることにより、洗浄液タンク１
０の自重によって台枠体２及び洗浄枠体３を安定させ
る。

【００１７】上記した状態で、洗浄処理しようとするシ
リンダーａの径に対応する径の開口部２９を有する遮断
板材２７を中空枠体１１のスリット２６から挿着して中
空枠体１１の内部に位置させ、窓部２１の内側に遮断板
材２７を配置する。

【００１８】そして、エアーモータ１３を駆動して回転
ブラシ体１８を高速回転させるとともに、ダイヤフラム
ポンプ２３を駆動して洗浄液タンク１０の内部の洗浄液
をノズル２５によって回転ブラシ体１８の上部に側部に
供給し、シリンダーａの端部を窓部２１から遮断板材２
７の開口部２９を挿通させて回転ブラシ体１８のブラシ
材２０に臨ませる。この場合、シリンダーａは手動で保
持してもよいが、走行台等に安定するように支えて、一
端部を窓部２１から回転ブラシ体１８に臨ませてもよ
い。

【００１９】この状態においては、シリンダーａの端部
が回転ブラシ体１８のブラシ材２０で充分に擦られて、
しかも側部からノズル２５による洗浄液がシリンダーａ
の端部に付着するインキを溶解するので、インキは確実
に洗浄される。また、遮蔽板材２７はノズル２５から供
給される洗浄液が回転ブラシ体１８の遠心力によって窓
部２１から外部に飛散するのを防止するばかりでなく、
遮蔽板材２７の開口部２９がシリンダーａの端部を下か
ら保持するので、シリンダーａの洗浄時には開口部２９
の径がシリンダーａの外径よりわずかに大きい遮断板材
２７を選択して使用するとよい。

【００２０】上記のようにして版シリンダーａの端部を
洗浄液とブラシとによって充分に洗浄したら、シリンダ
ーａを窓部２１から引き抜いてエアーモータ１３とダイ
ヤフラムポンプ２３の駆動を止め、ハンドル６によって
縦ロッド７の雄ねじ部８を逆回転させて洗浄液タンク１
０を下降し、洗浄液タンク１０のキャスター１０’を床
面に設置させるとともに、台枠体２の台フレーム４を床
面から浮かせることにより、キャスター１０’によって
洗浄装置１を手動で所望の位置に走行させることができ
る。

【００２１】なお、洗浄液タンク１０の底部にドレーン
抜きを設けて洗浄液を交換したり排出することができ、
また中空枠体１１に開閉蓋を設けて一部を開閉可能にす
ることにより、回転ブラシ体１８を交換可能にするとよ
い。

【００２２】そして本発明によれば、エアーモータ１３
とダイヤフラムポンプ２３とは電源を使用しないので、
揮発性の高い洗浄液を使用してシリンダーの洗浄処理中
に引火したり燃焼する危険がないし、また回転ブラシ体
１８をコイルスプリング１７によって裏側から弾性的に
支持することにより、シリンダーａの端部が押圧された
り、多少傾斜状態で接触しても確実に洗浄することがで
きるものである。

【００２３】以上本発明の実施の形態を図面に基づいて
説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限
りどのようにでも実施することができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明は前記の構成により、以下に記載
する効果を奏する。

【００２５】即ち、内部に回転ブラシ体を設けた中空枠
体の正面部にグラビア印刷用版シリンダーの端部を挿入
することができる窓部を開設し、前記回転ブラシ体と窓
部との間に、前記シリンダーの端部を保持する開口部を
形成した遮断板材を着脱可能に設けて、前記シリンダー
の径に対応させて遮断板材を交換可能にしてなることに
より、版シリンダーの端部を窓部から回転ブラシ体に臨
ませるだけで、きわめて簡単に、迅速にシリンダーの端
部を洗浄液によって確実に洗浄処理することができる。
また、洗浄液が回転ブラシ体からシリンダーの端部に供
給されて、回転ブラシ体の遠心力により周囲に飛散する
が、遮蔽板材によって中空枠体の外部にまで飛び散るこ
とがない。

【００２６】更に本発明によれば、台枠体と、前記台枠
体に対し上下移動可能な洗浄枠体とを有し、前記洗浄枠
体は下側に洗浄液タンクを、上側に中空枠体を有し、前
記中空枠体は内部に回転ブラシ体を設けるとともに正面
部にグラビア印刷用版シリンダーの端部を挿入すること
ができる窓部を開設し、前記回転ブラシ体と窓部との間
に、前記シリンダーの端部を保持する開口部を形成した
遮断板材を着脱可能に設けて、前記シリンダーの径に対
応させて遮断板材を交換可能にしてなる。したがって、
台枠体を走行可能にすることによって、洗浄枠体を上昇
状態にすると台枠体により走行させることができ、また
洗浄枠体を下降状態にすると、台枠体が走行できないの
で、シリンダーの端部を安定させて洗浄処理することが
でき、きわめて実用的価値の高いものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す分解斜視図である。

【図２】縦断側面図である。

【図３】一部を欠截した正面図である。

【符号の説明】

１ 洗浄装置 ２ 台枠体 ３ 洗浄枠体 ４ 台フレーム ５ 縦フレーム ６ ハンドル ７ 縦ロッド ８ 雄ねじ部 ９ 昇降枠板 １０ 洗浄液タンク １１ 中空枠体 １２ フィルター １３ エアーモータ １４ 回転軸 １５ ディスク １６ 固定ピン １７ コイルスプリング １８ 回転ブラシ体 １９ 回転盤 ２０ ブラシ材 ２１ 窓部 ２２ フード ２３ ダイヤフラムポンプ ２４ 循環パイプ ２５ ノズル ２６ スリット ２７ 遮断板材 ２８ 把手部 ２９ 開口部 ａ シリンダー

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に回転ブラシ体を設けた中空枠体の
   正面部にグラビア印刷用版シリンダーの端部を挿入する
   ことができる窓部を開設し、前記回転ブラシ体と窓部と
   の間に、前記シリンダーの端部を保持する開口部を形成
   した遮断板材を着脱可能に設けて、前記シリンダーの径
   に対応させて遮断板材を交換可能にしてなることを特徴
   とするグラビア印刷用版シリンダーの端部洗浄装置。
2. 【請求項２】 台枠体と上下移動可能な洗浄枠体とを有
   し、前記洗浄枠体は下側に洗浄液タンクを、上側に中空
   枠体を有し、前記中空枠体は内部に回転ブラシ体を設け
   るとともに正面部にグラビア印刷用版シリンダーの端部
   を挿入することができる窓部を開設し、前記回転ブラシ
   体と窓部との間に、前記シリンダーの端部を保持する開
   口部を形成した遮断板材を着脱可能に設けて、前記シリ
   ンダーの径に対応させて遮断板材を交換可能にしてなる
   ことを特徴とするグラビア印刷用版シリンダーの端部洗
   浄装置。