JP2942094B2 - 液晶組成物、液晶素子および液晶装置 - Google Patents

液晶組成物、液晶素子および液晶装置

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JP2942094B2 JP12419693A JP12419693A JP2942094B2 JP 2942094 B2 JP2942094 B2 JP 2942094B2 JP 12419693 A JP12419693 A JP 12419693A JP 12419693 A JP12419693 A JP 12419693A JP 2942094 B2 JP2942094 B2 JP 2942094B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶組成物およびそれ
を使用した液晶素子並びに液晶装置に関し、さらに詳し
くは電界に対する応答特性及び低温保存性が改善された
新規な液晶組成物を使用した液晶表示素子や液晶−光シ
ャッター等に利用される液晶素子並びに該液晶素子を表
示に使用した液晶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、双安定性を有する液晶素子の使用
がクラーク(Clark)およびラガウェル(Lage
rwall)により提案されている(特開昭56−10
7216号公報、米国特許第4367924号明細書
等)。
【0003】双安定性液晶としては、一般にカイラルス
メクティックC相(SmC*相)又はH相(SmH*相)
を有する強誘電性液晶が用いられる。
【0004】この強誘電性液晶は電界に対して第1の光
学的安定状態と第2の光学的安定状態からなる双安定状
態を有し、例えば一方の電界ベクトルに対して第1の光
学的安定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトルに対
しては第2の光学的安定状態に液晶が配向されている。
また、この型の液晶は、加えられる電界に応答して、上
記2つの安定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加の
ないときはその状態を維持する性質(双安定性)を有す
る。
【0005】以上の様な双安定性を有する特徴に加え
て、強誘電性液晶は高速応答性であるという優れた特徴
を持つ。それは強誘電性液晶の持つ自発分極と印加電場
が直接作用して配向状態の転移を誘起するためであり、
誘電率異方性と電場の作用による応答速度より3〜4オ
ーダー速い。
【0006】また、一般に、液晶の複屈折を利用した液
晶素子の場合、直交ニコル下での透過率は、 I/IO=sin24θasin2(Δnd/λ)π (ただし、IOは入射光強度、Iは透過光強度、θaは以
下で定義される見かけのチルト角、Δnは屈折率異方
性、dは液晶層の膜厚、λは入射光の波長である。)で
表わされる。前述の非らせん構造における見かけのチル
ド角θaは、第1と第2の配向状態でのねじれ配列した
液晶分子の平均分子軸方向の角度として現われることに
なる。上式によれば、かかる見かけのチルト角θaが2
2.5°の角度の時最大の透過率となり、双安定性を実
現する非らせん構造でのチルト角θaが22.5°にで
きる限り近いことが望ましい。
【0007】しかしながら、これまで用いられてきた配
向方法、特にラビング処理したポリイミド膜による配向
方法を、前述のクラークとラガウォールによって発表さ
れた双安定性を示す非らせん構造の強誘電性液晶に対し
て適用した場合には、下述の如き問題点を有していた。
【0008】即ち、従来のラビング処理したポリイミド
膜によって配向させて得られた非らせん構造の強誘電性
液晶での見かけのチルト角θa(2つの安定状態の分子
軸をなす角度1/2)が強誘電性液晶でのコーン角(図
3に示す三角錐の頂角の1/2の角度Θ)と較べて著し
く小さくなっていることが判明した。特に、従来のラビ
ング処理したポリイミド膜によって配向させて得た非ら
せん構造の強誘電性液晶での見かけのチルト角θaは、
一般に3°〜8°程度で、その時の透過率はせいぜい3
〜5%程度であった。
【0009】スメクティック液晶は一般に層構造をもつ
が、SmA相からSmC相又はSmC* 相に転移すると
層間隔が縮むので図2のように21で表される液晶層
が、上下基板の中央で折れ曲がった構造(シェブロン構
造)をとる。折れ曲がる方向は図に示すように高温相か
らSmC* 相に転移した直後に現われる配向状態(CI
配向状態)の部分22における場合とさらに温度を下げ
た時にCI配向状態に混在して現われる配向状態(C2
配向状態)の部分23における場合の2つが有り得る。
その後、特定のプレチルトの高い配向膜と液晶の組み合
わせを用いると、 上記のC1→C2転移が起こりにくく、液晶材料によ
っては全くC2配向状態が生じないこと、及び、 C1配向内に従来見出されていた液晶のディレクタが
上下の基板間でねじれている低コントラストの2つの安
定状態(以下、スプレイ状態と呼ぶ)の他に、コントラ
ストの高い別の2つの安定状態(以下、ユニフォーム状
態と呼ぶ)が現れることが発見された。
【0010】また、これらの状態は電界をかけると互い
に遷移する。弱い正負のパルス電界を印加するとスプレ
イ2状態間の遷移が起こり、強い正負のパルス電界を印
加するとユニフォーム2状態間の遷移が起こる。
【0011】ユニフォーム2状態を用いると従来より明
るく、コントラストの高い表示素子が実現できる。
【0012】そこで、表示素子として画面全体をC1配
向状態に統一し、且つC1配向内の高コントラストの2
状態を白黒表示の2状態として用いれば、従来より品位
の高いディスプレイが実現できると期待される。
【0013】上記のようにC2配向状態を生ぜずにC1
配向状態を実現するためには、以下のような条件を満た
すことが必要である。
【0014】即ち、図3に示すようにC1配向及びC2
配向での基板近くのディレクタはそれぞれ図3(a)及
び(b)のコーン31上にある。よく知られているよう
にラビングによって基板界面の液晶分子は、基板に対し
てプレチルトと呼ばれる角度α(図3の基板20と液晶
分子33のなす角度)をなし、その方向はラビング方向
(図2及び図3でいえばA方向)に向かって液晶分子が
頭をもたげる(先端が浮いた格好になる)向きである。
以上のことにより液晶のコーン角Θ、プレチルト角α及
び層傾斜角δ(図3の基板法線32と液晶分子層21と
のなす角度)の間には、 C1配向のとき Θ+δ>α C2配向のとき Θ−δ>α の関係が成り立っていなければならない。
【0015】従って、C2配向を生ぜずC1配向を生じ
させるための条件は、 Θ−δ<αつまりΘ<α+δ(I) である。
【0016】さらに界面の分子が一方の位置から他方の
位置へ電界によって移るスイッチングの際に受けるトル
クの簡単な考察より、界面分子のスイッチングが起こり
やすい条件として、 α>δ(II) が得られる。
【0017】よって、C1配向状態をより安定に形成さ
せるためには、(I)式の関係に加えて(II)式の関
係を満たすことが効果的である。
【0018】(I)及び(II)式の条件の下でさらに
実験を進めた結果、液晶の見かけのチルト角θa
(I)及び(II)式の条件を満たさない従来の液晶素
子の場合の3°〜8°程度から、(I)及び(II)式
の条件を満たす本発明の場合の8°〜16°程度にまで
増大し、液晶のコーン角Θとの間に、 Θ>θa >Θ/2(III) という関係式が成り立つことが経験的に得られた。
【0019】以上のように、(I)、(II)及び(I
II)式の条件を満足すれば高コントラストな画像が表
示されるディスプレイが実現できることが明らかとなっ
た(特開平3−252624号公報)。
【0020】C1配向状態を安定に形成し、良好な配向
性を得るために、上下基板のラビング方向を2°〜25
°(交差角)の範囲でずらしたクロスラビングも極めて
効果がある。
【0021】ところで、カイラルスメクティック液晶素
子を用いた表示装置は、従来のCRTやTN型液晶ディ
スプレイをはるかに上回る大画面化及び高精細化を可能
とする表示装置であるが、その大画面化・高精細化に伴
い、フレーム周波数(1画面形成周波数)が低周波とな
ってしまい、このため、画面書き換え速度や文字編集や
グラフィックス画面等でのスムーズスクロール、及びカ
ーソル移動等の動画表示の速度が遅くなるという問題点
があった。この問題に対する解決法は、特開昭60ー3
1120号公報、特開平1−140198号公報等で開
示されている。
【0022】即ち、走査電極と情報電極とをマトリック
ス配置した表示パネルと、走査電極を全数又は所定数選
択する手段(この手段により選択する場合を全面書込み
という)と、走査電極を全数又は所定数のうちの一部選
択する手段(この手段により選択する場合を部分書込み
という)とを有する表示装置を用いるということであ
る。これによって部分的動画表示を部分書込みで行うこ
とによって高速表示が可能となり、部分書込みと全面書
込みの両立が実現できる。
【0023】以上のように、上述した(I)、(II)
及び(III)式の条件を満たす液晶素子を上述の部分
書込みを行える表示装置で駆動すれば大画面、高精細デ
ィスプレイにおいて高コントラストな画像が高速表示で
実現できることが明らかになった。
【0024】このように強誘電性液晶は極めて優れた特
性を潜在的に有しており、このような性質を利用するこ
とによって、従来のTN型素子の問題点の多くに対し
て、かなり本質的な改善が得られている。特に高速光学
光シャッターや、高密度大画面ディスプレイへの応用が
期待される。このために強誘電性を持つ液晶材料に関し
ては広く研究がなされているが、現在までに開発された
強誘電性液晶材料は、低温保存性、高速応答性などを含
めて液晶素子に用いるに十分な特性を持ち合わせている
とは言い難い。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】事実上、ディスプレイ
としての使用温度範囲を5〜35℃程度とした場合、素
子周辺からの熱蓄積により、液晶素子自身の環境温度
は、5〜50℃程度になる。通常の強誘電性液晶の応答
速度の温度に対する変化は、粘性に大きく依存して変化
しているためにかなり大きく、5〜50℃において十数
倍もあり、駆動電圧などによる調節の範囲を超えている
のが現状である。また大画面ディスプレイを実用化使用
とする場合、数度〜十数度の面内温度分布に対して同一
駆動条件で出画可能でなくてはならないが、従来の液晶
材料では、応答速度をはじめとする駆動条件の温度依存
性が大きすぎた。
【0026】本発明者らの研究によれば、構成成分液晶
化合物の一部の側鎖長がわずかに異なるだけの、ほとん
ど類似の液晶組成物で粘性係数や自発分極の大きさが余
り変わらなくとも応答速度の温度特性(特に低温側)が
かなり異なる場合があった。この現象は温度特性に差が
現れる温度近傍での層の傾斜角δの温度特性に大きく由
来していることが見いだされた。
【0027】これは液晶層の傾斜が大きくなってくると
自発分極ダイレクターの基板法線方向への正味の大きさ
が減少して、外部電界との実行的な作用分が減ってくる
ためと考えられる。
【0028】もし応答速度の温度依存性が大きくなって
くる低温側で層の傾斜角δが温度降下に対し減少傾向を
示せば、従来の単調に増加するものに比較して、応答速
度の温度依存性は格段に改善される。
【0029】本発明者らの研究によれば、特願平2−3
07802号公報明細書内で開示しているように、層の
傾斜角δの大きさ及び温度特性の調整手段として液晶組
成物構成成分化合物の骨格構造、側鎖長、成分組み合せ
の相性などが挙げられるが、一般にSmAの温度幅を広
げるようなタイプの液晶化合物が、δの温度特性を大き
く変える場合が多い。
【0030】即ち、強誘電液晶のスメクチック相におけ
るシェブロン構造の層と、基板法線とのなす角度を、
「層の傾斜角δ」とすれば、そのδの値が、温度の降下
にともない増加し、その後減少していくような(極大値
を有する)温度特性を有することを特徴とする強誘電性
を示す液晶組成物を用いる事によって、駆動条件の温度
依存性の小さな液晶素子、表示装置を提供することがで
きるのである。
【0031】しかし本発明者らの更なる研究によると、
次に示す様な新たな問題点が見いだされた。前述したδ
の温度特性が極大値を有する液晶組成物を用いた液晶素
子を、ディスプレイとしての使用温度範囲を越して、更
に冷却していくと、SmC*相の低温側で、δの値が0
になる、すなわちスメクチック相における層構造が、シ
ェブロン構造から、ブックシェルフ構造を示すようにな
る場合がある(この時の温度をTδSとする)。
【0032】このような液晶組成物においては、そのT
δS以下で液晶素子が保存されると、再び昇温して、デ
ィスプレイとしての使用温度に達しても、層の傾斜角
δ、見かけのチルト角(二つの消光位の間の角度の1/
2で定義する)、コントラスト、液晶分子の配向状態な
どの多くの特性が変化してしまい、初期には戻らなくな
ってしまう。
【0033】これはディスプレイの表示特性を著しく劣
化させる事になり、液晶組成物、あるいは液晶素子を低
温で保存、使用するにあたって大きな問題となる。
【0034】また、スメクチック相状態にあって、セル
内に封入されている液晶組成物は、バルク状態における
スメクチック相→結晶化相転移温度以下の温度状態にお
いても、スメクチック相に安定して存在し、結晶化や偏
析が起こらない(過冷却状態)。
【0035】このようなことから、実際に保存温度の低
温限界温度というものは、メルティングポイントよりも
前述のTδSで決まる場合が多いということがわかっ
た。
【0036】また、前記、層の傾斜角δ、液晶素子のプ
レチルト角α、液晶のコーン角Θが Θ<α+δおよびα>δ で表される関係を満たす配向状態を有し、かつ該配向状
態における液晶が少なくとも2つの光学的な安定状態を
示し、見かけのチルト角θaと、液晶のコーン角Θと
が、 Θ>θa>Θ/2 の関係を満たしている配向状態即ちC1ユニフォーム状
態においては、上記、コントラスト及び、配向状態の変
化がより著しいこともわかった。
【0037】なお、ここで言う配向状態の変化とは、Θ
>θa>Θ/2の条件を満たさないコントラストの著し
く低い配向状態を示す部分が現れたり、ラビング方向と
ほぼ垂直な方向にスジ状に走る「スジ欠陥」、および低
温保存前には、異なる二つの安定状態にあった部分が、
低温保存後には等価ではなくなる、すなわち両部分を同
時に一方の安定状態にしても各々の消光位の軸が微妙に
違ってくる「最暗軸のズレ」などが現れることである。
またこの最暗軸のズレは、昇温し、SmA相となっても
消光位の軸が違うということで残る。
【0038】そこで本発明では、室温域を含む広い温度
範囲で、駆動条件の温度依存性が小さく、かつ、低温保
存によるδ、θa、C/R及び配向状態の変化が少ない
液晶組成物、液晶素子、およびこれらを使用した表示装
置を提供することを目的としている。
【0039】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、液晶素子に用いられる強誘電性液晶のスメクチック
相における層と基板法線とのなす角度を「層の傾斜角
δ」とすれば、そのδの値がある特定の温度特性を有す
ることによって、上記の問題が解決され、液晶素子の表
示特性、及び低温保存性を著しく向上させることができ
得ることを見いだした。
【0040】すなわち、カイラルスメクチック相を有す
る液晶組成物であって、該液晶組成物を具備する液晶素
子が使用される際に経験すると仮定された所定の環境温
度範囲(−30℃〜70℃)において、前記液晶組成物
のスメクチック相における層の傾斜角δの値が、前記環
境温度範囲の上限からの温度降下に伴ってまず増加し、
極大値を与える変曲点を有し、該変曲点通過後減少し、
さらなる温度降下に伴ってδの値が0になることがない
ことを特徴とする液晶組成物を用いることにより、上記
環境温度範囲における前記配向状態の変化を防ぐことが
できる。
【0041】また、前記層の傾斜角δの値の温度特性と
して、δの値が、温度の降下にともない増加し、その後
減少していく変移点を示した後、更なる温度の降下にも
δの値が0にならず、再び増加していくことを特徴とす
るカイラルスメクチック液晶組成物を用いた場合通常想
定された保存温度範囲を通り越して、更に低温で保存さ
れても、コントラスト、及び配向状態の変化がないこと
を見いだした。
【0042】即ち、本発明は、カイラルスメクチック液
晶のスメクチック相における層の傾斜角をδとすれば、
そのδの値が、使用温度範囲あるいは保存温度範囲(−
30〜70℃)において、温度の降下にともない増加
し、その後減少していく変移点(以下極大値という)を
有する温度特性を示し、かつ、該使用温度範囲及び保存
温度範囲において、δの値が0にはならないことを特徴
とする液晶組成物を提供するものである。
【0043】また、本発明は、カイラルスメクチック液
晶のスメクチック相における層の傾斜角をδとすれば、
そのδの値が温度の降下にともない増加し、その後更に
温度が低下すると減少していく変移点(以下極大値とい
う)を有する温度特性を示し、かつδの値が0になる前
に、再び増加していくことを特徴とする液晶組成物を提
供するものである。
【0044】また、本発明は、カイラルスメクチック液
晶と該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
ぞれ液晶に電界を印加するための電極が形成された一対
の基板を備えた液晶素子において、該液晶が、カイラル
スメクチック液晶のスメクチック相における層の傾斜角
をδとすれば、そのδの値が、温度の降下に伴ない増加
し、その後更に温度が低下すると減少していく変移点
(以下極大値という)を有する温度特性を示し、かつ、
該使用温度範囲及び保存温度範囲において、δの値が0
にはならないことを特徴とする液晶素子を提供するもの
である。
【0045】また、本発明は、カイラルスメクチック液
晶と該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
ぞれ液晶に電界を印加するための電極が形成された一対
の基板を備えた液晶素子において、該液晶が、カイラル
スメクチック液晶のスメクチック相における層の傾斜角
をδとすれば、そのδの値が、温度の降下に伴ない増加
し、その後更に温度が低下すると減少していく変移点
(以下極大値という)を有する温度特性を示し、かつ、
δの値が0になる前に、再び増加していくことを特徴と
する液晶素子を提供するものである。
【0046】また、本発明は、カイラルスメクチック液
晶と該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
ぞれ上記液晶に電圧を印加するための電極が形成され、
かつ液晶を配向させるための一軸性配向軸が互いに所定
の角度で交差した配向処理を施した一対の基板とを備え
た液晶素子において、該液晶素子のプレチルト角α、液
晶のコーン角Θ、カイラルスメクチック相における層の
傾斜角をδとした時、上記液晶が Θ<α+δ および α>δ で表される関係を満たす配向状態を有し、かつ該配向状
態における液晶が少なくとも2つの光学的な安定状態を
示し、それらの光学軸のなす角度の1/2で定義される
見かけのチルト角θa と液晶のコーン角Θとが、 Θ>θa >Θ/2 の関係を満たしている配向状態を有し、さらに、該液晶
のδの値が、該液晶組成物を具備する液晶素子が使用さ
れる際に経験すると仮定された所定の環境温度範囲(−
30〜70℃)において、温度の降下に伴ない増加し、
その後減少していく変移点(以下極大値という)を有す
る温度特性を示し、かつ、該環境温度範囲において、δ
の値が0にはならないことを特徴とする液晶素子を提供
するものである。
【0047】また、本発明は、カイラルスメクチック液
晶と該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
ぞれ上記液晶に電圧を印加するための電極が形成され、
かつ液晶を配向させるための一軸性配向軸が互いに所定
の角度で交差した配向処理を施した一対の基板とを備え
た液晶素子において、該液晶素子のプレチルト角α、液
晶のコーン角Θ、カイラルスメクチック相における層の
傾斜角をδとした時、上記液晶が Θ<α+δ および α>δ で表される関係を満たす配向状態を有し、かつ該配向状
態における液晶が少なくとも2つの光学的な安定状態を
示し、それらの光学軸のなす角度の1/2で定義される
見かけのチルト角θa と液晶のコーン角Θとが、 Θ>θa >Θ/2 の関係を満たしている配向状態を有し、さらに、該液晶
のδの値が、温度の降下に伴ない増加し、その後更に温
度が低下すると減少していく変移点(以下極大値とい
う)を有する温度特性を示し、かつ、δの値が0になる
前に、再び増加していくことを特徴とする液晶素子を提
供するものである。
【0048】また、液晶素子の画面書き換えスピード
(フレーム周波数)を上げるために有用な条件として、
前記δの値の極大値δMAXが20°以下、より好ましく
は15°以下であることが望ましい。
【0049】また、液晶組成物に上記のごときδの温度
特性を与えるための有効な実現手段の一つとして、該液
晶組成物中に、一般式(I)に示すインダン系化合物を
少なくとも1種含有させることが挙げられる。
【0050】
【外10】
【0051】前記一般式(I)で示される化合物のうち
より好ましい化合物の構造を以下に示す。
【0052】
【外11】
【0053】
【外12】 (上記式中R1、R2は炭素数1〜18である直鎖状ある
いは分岐状のアルキル基であり、該アルキル基中の一つ
もしくは隣接しない二つ以上のメチレン基は以下に示し
たもので置き換わってもよく、また、水素原子はFに交
換されてもよい。−O−、−S−、
【0054】
【外13】 −CH=CH−、−C≡C−、この場合、一般式(I)
の化合物は、その割合が、組成物全体に対して10〜8
0%であることが望ましく、より好ましくは20〜40
%であることが望ましい。)さらに、室温を含む広い温
度範囲でSmC*相をとり、応答速度などの調節もしや
すく、かつ、前記層の傾斜角δの値に対して、前記環境
温度範囲内で、温度降下に伴い値が増加し、極大値を与
える変極点を通過後は減少、かつ0になることがないよ
うな特徴を有する温度特性を与えるための手段として、
液晶組成物中に一般式(I)及び一般式(II)に示す
ピリミジン系化合物を含有させることが挙げられる。
【0055】
【外14】 (R1、R2;C1〜C20の直鎖または分岐のアルキルで
あって1つまたは隣接しない2つの−CH2−基が−O
−、
【0056】
【外15】 に置き換わっていても良く、−CH2−の水素がCl、
F、CF3に置換されていても良い。
【0057】m、nは0、1、2であり、m+nは1又
は2である。)また、前記一般式(II)で示される液
晶化合物の、より好ましい具体的な構造式の例を以下に
示す。
【0058】
【外16】 (上記式中R1、R2はFなどの置換基を有してもよい炭
素数1〜18である直鎖状あるいは分岐状のアルキル基
である。)
【0059】この場合、式(I)及び式(II)の化合
物はその割合が液晶組成物全体に対して、重量パーセン
トとして10〜80%が望ましい。より好ましくは20
〜40%であることが望ましい。
【0060】また、その他に含有させることができる好
適な化合物として、一般式(III)〜(V)で示した
液晶性化合物が挙げられる。
【0061】
【外17】 3、R4;C1〜C20の直鎖または分岐のアルキルであ
って1つまたは隣接しない2つの−CH2−基が−O
−、
【0062】
【外18】 に置き換わっていても良い。)また、一般式(III)
で示される液晶化合物のより好ましい具体的な構造式を
以下に示す。
【0063】
【外19】 (上記式中R3、R4はFなどの置換基を有してもよい炭
素数1〜18である直鎖状あるいは分岐状のアルキル基
である。)
【0064】
【外20】 Z;−O−、−S−
【0065】
【外21】 5、R6;C1〜C20の分岐または直鎖のアルキルであ
って1つまたは隣接しない2つの−CH2−が−O−、
【0066】
【外22】 に置き換わっていても良い。)また、一般式(IV)で
示される液晶化合物のより好ましい具体的な構造式を以
下に示す。
【0067】
【外23】 (上記式中R5、R6はFなどの置換基を有してもよい炭
素数1〜18である直鎖状あるいは分岐状のアルキル基
である。)
【0068】
【外24】 (R7;水素、Cl、F、CF3、(CN)又はC1〜C
20の直鎖または分岐のアルキルであって1つまたは隣接
しない2つの−CH2−が−O−、
【0069】
【外25】 で置き換わっていても良い。
【0070】R8;C1〜C20の直鎖または分岐のアルキ
ルであって1つまたは隣接しない2つの−CH2−基が
−O−、
【0071】
【外26】 で置き換わっていても良い。
【0072】X1;水素又はフッ素
【0073】
【外27】 2;水素、フッ素(CF3、CN)l;0、1) また、一般式(V)で表される液晶化合物のより好まし
い具体的な構造式を以下に示す。
【0074】
【外28】 (上記式中R7、R8はFなどの置換基を有してもよい炭
素数1〜18である直鎖状あるいは分岐状のアルキル基
である。)
【0075】また、前述のC1ユニフォーム配向状態を
示す液晶素子においては、前述したように低温保存にお
けるコントラスト、並びに配向状態の変化が著しい。
【0076】そこで本発明は、前記C1ユニフォーム配
向状態を有し、かつ、前記層の傾斜角δの値が該表示装
置の使用温度範囲あるいは保存温度範囲において、温度
の降下にともない増加し、その後減少していく変移点を
有する温度特性を示し、かつ、該使用温度範囲及び保存
温度範囲において、δの値が0にはならない液晶組成物
を用いたことを特徴とする液晶素子及び前記C1ユニフ
ォーム配向状態を有し、δの値が温度の降下にともない
増加し、その後減少を示した後、更なる温度の降下にも
δの値が0にならず、再び増加していく温度特性を有す
る液晶組成物を用いたことを特徴とする液晶素子を提供
するものである。
【0077】図1は強誘電性を利用した結晶素子の構成
を説明するために、本発明のカイラルスメクチック液晶
層を有する液晶素子の一例を示す断面概略図である。
【0078】図1において符号1はカイラルスメクチッ
ク液晶層、2はガラス基板、3は透明電極、4は配向
層、5はスペーサー、6はリード線、7は電源、8は偏
光板、9は光源を示している。
【0079】2枚のガラス基板2には、それぞれIn2
3、SnO2あるいはITO(インジウム ティン オ
キサイド;Indium−Tin Oxide)等の薄
膜から成る透明電極3が被覆されている。その上にポリ
イミドの様な高分子の薄膜をガーゼやアセテート植毛布
等でラビングして、液晶をラビング方向に並べる配向層
が形成されている。また、該膜を形成する絶縁物質とし
て、例えばシリコン窒化物、水素を含有するシリコン炭
化物、シリコン酸化物、硼素窒化物、水素を含有する硼
素窒化物、セリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジル
コニウム酸化物、チタン酸化物やフッ化マグネシウムな
どの無機物質絶縁層を形成し、その上にポリビニルアル
コール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル
イミド、ポリパラキシレン、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、セルロース樹
脂、メラミン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂やフォト
レジスト樹脂などの有機絶縁物質を配向制御層として、
2層で配向制御層が形成されていてもよく、また無機物
質絶縁性配向制御層あるいは有機物質絶縁性配向制御層
単層であっても良い。この配向層が無機系ならば蒸着法
などで形成でき、有機系ならば有機物質を溶解させた溶
液、またはその前駆体溶液(溶剤に0.1〜20重量
%、好ましくは0.2〜10重量%)を用いて、スピン
ナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、スプレー
塗布法、ロール塗布法等で塗布し、所定の硬化条件下
(例えば加熱下)で硬化させ形成させることができる。
【0080】配向層の層厚は通常30Å〜1μm、好ま
しくは40Å〜3000Å、さらに好ましくは40Å〜
1000Åが適している。
【0081】この2枚のガラス基板2はスペーサー5に
よって任意の間隔に保たれている。例えば所定の直径を
持つシリカビーズ、アルミナビーズをスペーサーとして
ガラス基板2枚で挟持し、周囲をシール材、例えばエポ
キシ系接着材を用いて密封する方法がある。その他スぺ
ーサーとして高分子フィルムやガラスファイバーを使用
しても良い。この2枚のガラス基板の間に強誘電性を示
す液晶が封入されている。
【0082】カイラルスメクチック液晶が封入されたカ
イラルスメクチック液晶層1は、一般には0.5〜20
μm、好ましくは1〜5μmである。
【0083】また、この強誘電性液晶は、室温を含む広
い温度域(特に低温側)でSmC*相(カイラルスメク
チックC相)を有し、かつ素子とした場合には駆動電圧
マージン及び駆動温度マージンが広いことが望まれる。
【0084】また、特に素子とした場合に、良好な均一
配向性を示し、モノドメイン状態を得るには、その強誘
電性液晶は、等方相からCh相(コレステリック相)−
SmA(スメクチック相)−SmC*(カイラルスメク
チックC相)という相転移系例を有してしることが望ま
しい。
【0085】透明電極3からはリード線によって外部電
源7に接続されている。
【0086】また、ガラス基板2の外側には偏光板8が
貼り合わせてある。
【0087】図1は透過型である。
【0088】さらに本発明は、上記液晶素子に液晶素子
の駆動回路、光源を備えた液晶装置を提供するものであ
る。
【0089】本発明の液晶素子を表示パネル部に使用
し、図4及び図5に示した走査線アドレス情報をもつ画
像情報なるデータフォーマット及びSYNC信号による
通信同期手段をとることにより、液晶表示装置を実現す
る。
【0090】図中、符号はそれぞれ以下の通りである。 101 強誘電性液晶表示装置 102 グラフィックスコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0091】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックスコントローラ102にて行われ、図4及び図5に
示した信号転送手段にしたがって表示パネル103に転
送される。グラフィックスコントローラ102は、CP
U(中央演算処理装置、以下GCPU112と略す)及
びVRAM(画像情報格納用メモリ)114を核に、ホ
ストCPU113と液晶表示装置101間の画像情報の
管理や通信をつかさどっており、本発明の制御方法は主
にこのグラフィックスコントローラ102上で実現され
るものである。
【0092】なお、該表示パネルの裏面には、光源が配
置されている。
【0093】本発明に係るコーン角Θ、見かけのチルト
角θa 層の傾斜角δ、コントラストC/R及びプレチル
ト角αは以下のようにして測定した。
【0094】コーン角Θの測定 ±30V〜±50V、100HzのAC電圧をFLC素
子の上下基板間に印加しながら直交クロスニコル下、そ
の間に配置されたFLC素子を偏光板と水平に回転さ
せ、フォトマル(浜松フォトニクス(株)製)で光学応
答を検知しながら第1の消光位(透過率が最も低くなる
位置)と第2の消光位を捜す。この時の第1の消光位か
ら第2の消光位までの角度の1/2をコーン角Θとし
た。
【0095】見かけのチルト角θa の測定 液晶の閾値の単発パルスを印加した後、無電界下、且つ
直交クロスニコル下、その間に配置されたFLC素子を
偏光板と水平に回転させ第1の消光位を捜し、次に上記
の単発パルスと逆極性のパルスを印加した後、無電界
下、第2の消光位を捜す。この時の第1の消光位から第
2の消光位までの角度1/2をθa とした。
【0096】層の傾斜角δの測定 基本的にはクラークやラガーウォルによって発表された
方法(Japan Display ‘86,Sep.
30〜Oct.2,1986,pp.456〜458)
或いは大内らの方法(J.J.A.P.,27(5)
(1988)pp.L725〜728)と同様の方法を
用いた。
【0097】測定装置は回転対陰極方式のMACサイエ
ンス社製X線回折装置を用い、銅のKα線を分析線とし
た。液晶セルには基板ガラスとしてX線の吸収を極力低
減するために80μm厚ガラス(コーニング社製商品名
マイクロシート)を用い、その他は通常のセル化工程を
そのまま使用した。液晶の層間隔の測定は、バルク液晶
を試料ガラス上に塗り、通常の粉末X線回折と同様に2
θ/θscanを行って求めた。
【0098】傾斜角δの測定は、前記と同じ80μm厚
ガラスをスペーサーとして80μmギャップのセルを形
成し、電磁石中で基板と平行な方向に磁場をかけながら
等方相から徐冷し、水平配向処理を施したセルを用意し
た。
【0099】これに前記層間隔を得た回折角2θにX線
検出器を合わせ、セルをθスキャンし、前記文献に示さ
れた方法でδを算出した。
【0100】また、80μm磁場配向セルの代わりに、
LPー64(日立化成社製)を配向膜とし、ラビング処
理を施したセルギャップ1.2μmのセルを用いても、
約−20℃〜60℃の温度範囲においてほぼ同じδの値
を得ることができる。
【0101】また、配向膜として、後述するSPー71
0、あるいはSPー510を用いてもほぼ同様の値が得
られた(なお、これらのセルを用いた時のプレチルト角
は、1〜3°であった。)。
【0102】しかし、上記配向膜の代わりに、LQー1
802(日立化成社製)を用いた場合には、セルのプレ
チルト角が8〜25°となり、そのセルでのδの値は前
述の磁場配向あるいはLPー64を用いた時よりも0.
2から2°程度大きな値を示した。この場合、δの値は
各液晶素子における固有の値となる。
【0103】なお、以下の実施例の項の中では、特別に
断らない限り、δの値は80μmギャップセルを磁場配
向させて測定した。
【0104】更に、リーカーらによると、層の傾斜角δ
と、SmC* 、SmAの層間隔dc、dA の間には、以
下の関係がほぼ成り立つことを示している。(““Ch
evron”Local Layer Structu
re in Sureface−Stabilized
Ferroelectric Smectic−CC
ells”,Phys.Rev.Lett.,59,
p.2658(1987) cosδ=d /dA
【0105】コントラストC/Rの測定 Vpーp =30Vの駆動波形を液晶素子の上下基板間に印
加しながら、直交ニコル下その間に配置された液晶素子
を偏向版と水平に回転させ、前述したフォトマルで、第
1の消光位を捜し、液晶素子をその位置で固定する。
【0106】次に駆動波形を変えて、観察していた箇所
を“明状態”に書き換えて、その時のフォトマルの出力
電圧と、先の消光位での出力電圧の比をコントラストと
した。
【0107】プレチルト角αの測定 プレチルト角αの測定は、クリスタルローテーション法
(J.J.A.P. V.119(1980)No. S
hort Notes 2031)により求めた。また
プレチルト角の測定用液晶としては強誘電性液晶(チッ
ソ社製CS−1014)に下記の構造式で表される化合
物を重量比で20%混合したものを標準液晶とした。
【0108】
【外29】
【0109】なお、ここで標準液晶とした液晶組成物は
10〜55℃でSmA相を示した。測定手順は、標準液
晶が注入された液晶パネルを上下基板に垂直かつ配向処
理軸(ラビング軸)を含む面で回転させながら、回転軸
と45°の角度をなす偏光面をもつヘリウム・ネオンレ
ーザー光を回転軸に垂直な方向から照射して、その反対
側で入射偏光面と平行な透過軸をもつ偏向板を通してフ
ォトダイオードで透過光強度を測定した。そして、干渉
によってできた透過光強度のスペクトルに対して、下記
理論曲線、数式3、4とフィッチングを行うシミュレー
ションによりプレチルト角αを求めた。
【0110】
【外30】 o :常光屈折率 Ne :異常光屈折率 φ:液晶パネ
ルの回転角 T(φ):透過光強度 d:セル厚 λ:
入射光の波長
【0111】
【実施例】以下実施例により本発明について更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0112】下記の例において、「部」は、いずれも
「重量部」を示す。
【0113】また、以下の実施例において用いた液晶組
成物A〜Lは、前述のインダン系化合物、ピリミジン系
化合物及び一般式(III)〜(V)で表される化合物
を、適宜異なる割合で混合して得た混合液晶性化合物で
ある。
【0114】具体的な例をいくつか示すと、液晶組成物
Iは下記に示す化合物を各々下記に示す割合にて配合し
作成した。
【0115】
【外31】
【0116】
【外32】
【0117】また、液晶組成物Kは下記に示す化合物を
各々下記に示す割合にて配合し作成した。
【0118】
【外33】
【0119】
【外34】
【0120】更にXで表される液晶組成物は以下に示す
液晶性化合物をそれぞれの割合で混合した液晶性組成物
である。
【0121】
【外35】
【0122】
【外36】 (表1)に液晶組成物A〜LおよびXの相転移温度、イ
ンダン系化合物含有割合、及びピリミジン系化合物含有
割合を示した。
【0123】
【表1】
【0124】(参考例1)層の傾斜角δの温度特性が温
度の降下とともに単調に増加するような液晶材料チッソ
(株)社製CS−1017を用いて、X線回折法により
測定したδの値(°)の温度特性を(表1−1)に示
す。
【0125】なお、以下に記述の実施例、参考例および
比較例で行った温度特性実験の測定開始を行うべき温度
の上限値は「SmC相←→SmA相転移温度」−5℃の
値であり、下限は記載した測定データの下限である。
【0126】
【表2】
【0127】次に、2枚の0.7mm厚のガラス板を用
意し、それぞれのガラス板上にITO膜を形成し、電圧
印加電極を作成し、さらにこの上にSiO2を蒸着させ
絶縁層とした。ガラス板上にシランカップリング剤[信
越化学(株)製KBM−602]0.2%イソプロピル
アルコール溶液を回転数2000r.p.mのスピンナ
ーで15秒間塗布し、表面処理を施した。この後、12
0℃にて20分間加熱乾燥処理を施した。
【0128】さらに表面処理を行ったITO膜付きのガ
ラス板上にポリイミド樹脂前駆体[東レ(株)SP−5
10]1.5%ジメチルアセトアミド溶液を回転数20
00r.p.mのスピンナーで15秒間塗布した。成膜
後、60分間、300℃加熱縮合焼成処理を施した。こ
の時の塗膜の膜厚は約250Åであった。
【0129】この焼成後の被膜には、アセテート植毛布
によるラビング処理がなされ、その後イソプロピルアル
コール液で洗浄し、平均粒径2μmのシリカビーズを一
方のガラス板上に散布した後、それぞれのラビング処理
軸が互いに平行となる様にし、接着シール剤[リクソン
ボンド(チッソ(株)]を用いてガラス板をはり合わ
せ、60分間、100℃にて加熱乾燥しセルを作成し
た。このセルのセル厚をベレック位相板によって測定し
たところ約2μmであった。
【0130】このセルに液晶組成物CS−1017を等
方性液体状態で注入し、等方相から20℃/hで25℃
まで徐冷することにより、液晶素子を作成した。
【0131】この液晶素子を使ってピーク・トゥ・ピー
ク電圧Vpp=20Vの電圧印加により直交ニコル下で
の光学的な応答(透過光量変化0〜90%)を検知して
応答速度(以後光学応答速度という)を測定した。
【0132】その結果を(表1−2)に示す。
【0133】
【表3】 ※( )内は10℃ごとの温度特性(f10/20
20/30、f30/40)を示す。
【0134】前記同素子において、液晶組成物CS−1
017を液晶組成物B、D、J、Kにそれぞれかえて、
同様の応答速度を測定する実験を行った。
【0135】結果を表2−1に示す。
【0136】
【表4】
【0137】以上の結果より、層の傾斜角δの温度特性
が温度の降下に対して極大値をとり、その後減少傾向を
示す液晶組成物は、元のδが温度降下に伴って増加しつ
づける液晶組成物CS−1017よりも応答速度の温度
依存性が軽減されており、応答速度の温度特性の改善が
なされている。
【0138】(実施例1−4、比較例1−9) 次に、液晶素子の応答速度の温度依存性を改善するため
に、層の傾斜角δの温度特性を調整した液晶組成物、及
び低温保存により表示特性が劣化した例を述べる。
【0139】「層の傾斜角δの値が、温度の降下にとも
ない増加し、その後減少していく変移点を有する温度特
性を示す液晶組成物」として前述の液晶組成物A〜F、
並びにXを調整した。
【0140】A〜F、及びXの、組成、相転移温度、表
1に前述した。
【0141】また各々の傾斜角δの温度特性は図6及び
図7に示した。
【0142】ここでは(参考例1)で使用した0.7m
m厚ガラスの代わりにコーニング社製80μm厚ガラス
を、ポリイミド樹脂前駆体SP−510の代わりに東レ
(株)製LP−64を用いたセルを作成し用いた。
【0143】この時の配向制御膜の厚さは、約50Å、
セル厚は約1.2μmであった。
【0144】前記セルに、前述した方法でA〜F、及び
Xの液晶組成物を注入し、前述した方法で25℃の層の
傾斜角δ、θa、C/Rを測定した。
【0145】なお、このLP−64配向制御膜使用、セ
ル厚1.2μmのセルで測定した層の傾斜角δの値は、
約−20〜60℃の温度範囲において、セル厚80μm
の無配向膜セルを磁場配向させたセルで測定される液晶
組成物固有の値とほぼ同じ値を示した。
【0146】その後、各セルを0℃まで1℃/分の割合
で冷却し15分間保持した後、同じ割合で再び25℃ま
で昇温し、δ、θa、C/Rを測定し、初期値と比較し
た。
【0147】同様に低温保存温度を−30℃とした実験
も行った。結果を(表3−1)、(表3−2)に示し
た。
【0148】
【表5】
【0149】
【表6】
【0150】以上の実験結果から、保存温度が前述した
Tδsよりも低い場合には、δやθaが変化したり、コ
ントラストが低下するなどの現象が起こり、ディスプレ
イの表示特性が劣化することが確認された。
【0151】しかし、これらの実験において、セル中で
の液晶組成物の偏析、及び結晶化は起こらなかった。
【0152】また、この配向制御膜LP−64を用いた
セルでは、低温保存による「スジ欠陥」や、「最暗軸の
ズレ」の現象は起こらなかった。
【0153】なお、この時の液晶素子のプレチルト角α
は、約2°であり、配向はC2のスプレイ状態であっ
た。
【0154】(比較例10−16) 次にC1ユニフォーム配向状態における、低温保存によ
る表示特性の変化を検討した結果を示す。
【0155】ここでは、(参考例1)で作成したセルに
おいて、0.7mm厚ガラスの代わりに1.1mm厚ガ
ラスを、ポリイミド樹脂前駆体SP−510の代わりに
日立化成社製LQ−1802を用いてセルを作成した。
【0156】この時のセルの配向制御膜の厚さは250
Å、セルギッャプを1.2μmとした。
【0157】上記のセルに、前述の液晶組成物A〜E、
XをIso.状態で注入し、約100℃で5時間エージ
ング処理を行った後徐冷し、配向状態、見かけのチルト
角を観察したところ、B,C,D,及びXが10℃〜5
5℃においてC1ユニフォーム条件を満たし、コントラ
ストの高い配向状態を示すことを確認した。なお、Eは
30℃〜45℃の間でだけC1ユニフォーム配向を示し
た。
【0158】またこの時LQ1802配向膜を用いた液
晶素子のプレチルト角αは約18°であった。(表4−
1)に25℃でのコーン角Θ、見かけチルト角θa、層
の傾斜角δを示した。
【0159】
【表7】
【0160】次に該強誘電性液晶セルを、各々室温から
1℃/分の割合で0℃または−10℃まで冷却し、暗所
で200時間放置した後、再び1℃/分の割合で室温ま
で昇温するという低温保存試験を行い、その前後での見
かけのチルト角θa、コントラストC/R、配向状態の
変化を観察した。
【0161】各々の結果を(表4−2)、(表4−3)
に示した。
【0162】
【表8】
【0163】
【表9】 配向状態の変化において、I、IIは、以下のようなも
のを言う。
【0164】I:C1スプレイ配向状態の部分が現れて
しまい、配向状態の均一性が破られる。
【0165】II:Iとともに、配向層の傾斜角δの異
なるドメインの境界に生じるラピング方向とほぼ垂直な
方向にスジ状に走る「スジ欠陥」や、最暗軸の方向や、
見かけのチルト角θaの中心角が、低温保存中に一方の
最暗位置でいたエリアと他方の最暗位置でいたエリアで
異なる現象の「最暗軸のズレ」が現れる。
【0166】なお、θaは上記のC1スプレイ配向状態
が現れなかった部分において測定した。
【0167】以上の実験結果より、C1ユニフォーム配
向状態においても、保存温度がTδsよりも高い場合は
θa、コントラスト共に変化はないことがわかる。
【0168】しかしTδs以下の温度で低温保存を行う
とθaが変化したり、コントラストが低下するだけでな
く、配向状態の変化が起こり、C1スプレイ配向状態の
部分が出現したり、スジ欠陥、軸ズレが発生するなど、
C2スプレイ配向では起こらなかったディスプレイとし
ての表示特性に大きなダメージを与えるような現象が起
きる。
【0169】(実施例5−12、比較例17−18) 次に、層の傾斜角δの値が、「温度の降下にともない増
加し、その後さらに温度が低下すると減少していく変移
点を有する温度特性を示し、かつδの値が0になる前に
再び増加していくことを特徴とするいくつかの液晶組成
物の低温保存性に関して行った実験例を示す。
【0170】図7に示したように、液晶組成物中にイン
ダン系化合物、ピリミジン系化合物を配合することによ
ってδの温度特性が「温度の降下にともない増加し、そ
の後さらに温度が低下すると減少していく変移点を有す
る温度特性を示し、かつδの値が0になる前に再び増加
していく」タイプになったことを確認した。
【0171】次に実施例1で作成した、配向制御膜LQ
−1802を用いたセルに、液晶組成物F〜I、また比
較のためにXをIso.相で注入し、約100℃で5時
間エージング処理を行った後に徐冷し、約10〜50℃
での配向状態と、見かけのチルト角を観察した所、すべ
ての液晶材料においてC1ユニフォーム配向を示してい
た。
【0172】なお、この時の液晶素子のプレチルト角α
は19°であった。
【0173】次に上記強誘電性液晶セルを、各々室温か
ら1℃/分の割合で−10℃または−30℃まで冷却
し、暗所で200時間放置した後、再び1℃/分の割合
で室温まで昇温するという低温保存試験を行い、その前
後での見かけのチルト角、コントラスト、配向状態の変
化を25℃で観察した。
【0174】各々の結果を(表5−3)、(表5−4)
に示した。
【0175】
【表10】
【0176】
【表11】 配向状態の変化において、I、IIは、以下のようなも
のを言う。
【0177】I:C1スプレイ配向状態の部分が現れ
る。
【0178】II:Iとともに、ラビング方向とほぼ垂
直な方向にスジ状に走る「スジ欠陥」や、最暗軸の方向
や、見かけのチルト角θaの中心角が、低温保存中に一
方の最暗位置でいたエリアと他方の最暗位置でいたエリ
アで異なる現象の「最暗軸のズレ」が現れる。
【0179】なお、θaは上記のC1スプレイ配向状態
が現れなかった部分において測定した。
【0180】以上の結果より、δの温度特性が「温度の
降下にともない増加し、その後さらに温度が低下すると
減少していく変移点を有する温度特性を示し、かつδの
値が0になる前に再び増加していく」タイプの液晶材料
では、シェブロン構造がブックシェルフ構造に変化する
ような転移がないために、低温での保存性が格段に改善
されている。
【0181】また、液晶組成物Gを−30℃で保存した
場合には、見かけのチルト角が若干大きくなり、コント
ラストも高くなったが、ディスプレイとしての表示特性
には、特に悪影響を与えるものではない。
【0182】(実施例13−14、比較例19−21) 以上ここまでは、液晶組成物固有の物性値としてのδの
値に関し注目してきたが、次に液晶素子構成を規定し
て、その液晶素子におけるδの温度特性に注目して行っ
た実験に関して述べる。
【0183】ここでは(実施例1−4、比較例1−9)
で作成した、80μm厚ガラスを用いたセルギャップ
1.2μmのセルにおいて、LP−64配向膜の代わり
に前述のLQ1802配向制御膜を用いてX線測定用セ
ルを作成した。
【0184】このセルに前述した液晶組成物J、K及び
Lを注入し、約100℃で5時間エージングを行った後
25℃まで徐冷し、前述した方法で層の傾斜角δ、見か
けのチルト角θa、コントラストC/Rを測定した。
【0185】なお、この時の液晶素子のプレチルト角α
は19°であり、配向状態はC1ユニフォームであるこ
とを確認した。
【0186】また、ここで用いたX線測定用セルにおけ
る配向状態、見かけのチルト角、及びコントラストは、
1.1mm厚ガラスを用いたセルにおける配向状態、見
かけのチルト角、及びコントラストと何ら変わるもので
はない。
【0187】この時の素子構成における層の傾斜角δの
温度特性を図8に示す。
【0188】実験は、各セルを−10℃まで1℃/分の
割合で冷却し24時間保持した後、同じ割合で再び25
℃まで昇温しδ、θa、C/Rを測定し初期値と比較し
た。
【0189】同様に低温保存温度を−30℃として実験
も行った。
【0190】結果を(表6−1)、(表6−2)に示し
た。
【0191】
【表12】
【0192】
【表13】
【0193】なお、配向状態の変化の記号は、今までと
同様である。
【0194】以上の結果より、液晶素子構成を規定し
て、その液晶素子でのδの値が0になる温度Tδsより
も高い温度での低温保存では、θa、C/R、配向状態
ともに変化がない。
【0195】しかし、Tδs以下で低温保存を行うと、
θa、C/R、配向状態ともに変化してしまい、ディス
プレイとしての表示特性が劣化してしまう。
【0196】即ち、液晶表示装置において液晶素子の応
答速度の温度依存性を軽減させ、しかも低温保存による
表示特性の劣化を防止するには、「δの値が温度の降下
にともない増加し、その後減少していく変移点を有
し」、しかも保存される可能性のある温度よりも、δの
値が0になる温度(Tδs)が低い液晶組成物を用い
る。
【0197】あるいは、その液晶素子構成において、
「δの値が温度の降下にともない増加し、その後さらに
温度が低下すると減少していく変移点を有する温度特性
を示し、かつδの値が0になる前に再び増加していく」
ようなδの温度特性を持つように、液晶素子を設計すれ
ば良いことがわかった。
【0198】
【発明の効果】本発明の液晶組成物、液晶素子、及びこ
れらを使用した液晶装置は、応答速度の温度依存性が軽
減され、また低温保存による表示特性の劣化もない非常
に優れた表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の一例を示す模式図である。
【図2】C1及びC2配向を示す説明図である。
【図3】C1及びC2配向でのコーン角、プレチルト角
及び層傾斜角間の関係を示す説明図である。
【図4】本発明の液晶装置とグラフィックスコントロー
ラを示すブッロク構成図である。
【図5】本発明の液晶装置とグラフィックスコントロー
ラとの間の画像情報通信タイミングチャート図である。
【図6】実施例で使用する各液晶組成物の層の傾斜角δ
の温度特性を示す図である。
【図7】実施例で使用する各液晶組成物の層の傾斜角δ
の温度特性を示す図である。
【図8】実施例で使用する各液晶組成物の層の傾斜角δ
の温度特性を示す図である。
【符号の説明】
1 カイラルスメクチック液晶層 2 ガラス基板 3 透明電極 4 配向層 5 スペンサー 6 リード線 7 電源 8 偏光板 9 光源 20a、20b 基板面 21 液晶層 22 C1配向 23 C2配向 A ラビング方向 31 コーン角 32 基板法線 33 液晶分子 101 強誘電性液晶表示装置 102 グラフィックスコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
フロントページの続き (72)発明者 水野 祐 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 吉田 明雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 19/34 C09K 19/02 C09K 19/32 G02F 1/13 500 G02F 1/1337 510 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイラルスメクチック相を有する液晶組
    成物であって、該液晶組成物を具備する液晶素子が使用
    される際に経験すると仮定された所定の環境温度範囲
    (−30℃〜70℃)において、 前記液晶組成物のスメクチック相における層の傾斜角δ
    の値が、前記環境温度範囲の上限からの温度の降下に伴
    ってまず増加し、極大値を与える変曲点を有し、該変曲
    点通過後、減少し、さらなる温度降下に対してもδが0
    になることがないことを特徴とする液晶組成物。
  2. 【請求項2】 温度の降下にともない、δの値が0にな
    る前に、再び増加して行くことを特徴とする請求項1記
    載の液晶組成物。
  3. 【請求項3】 前記層傾斜角δの極大値が、20°以下
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記層傾斜角δの極大値が、15°以下
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記液晶組成物に、下記一般式(I)に
    示すインダン系化合物が少くとも一種類以上含有されて
    いることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組成
    物。 下記一般式(I) 【外1】
  6. 【請求項6】 一般式(I)で表される化合物を前記組
    成物中10〜80%含有することを特徴とする請求項5
    記載の液晶組成物。
  7. 【請求項7】 一般式(I)で表される化合物を前記組
    成物中10〜40%含有することを特徴とする請求項5
    記載の液晶組成物。
  8. 【請求項8】 一般式(I)及び下記一般式(II)に
    示すピリミジン系化合物を少なくとも一種類以上含有す
    ることを特徴とする請求項5記載の液晶組成物。 【外2】 (R1、R2;炭素数1から20の直鎖状、もしくは分岐
    状のアルキル基であって1つまたは隣接しない2つの−
    CH2−基が−O−、 【外3】 に置き換わっていても良く、−CH2−基の水素がC
    1、F、CF3に置換されていても良い。m、nは0、
    1、2であり、m+nは1または2である。)
  9. 【請求項9】 前記組成物中、一般式(I)、および
    (II)で表される化合物を共に10〜80%含有する
    ことを特徴とする請求項8記載の液晶組成物。
  10. 【請求項10】 カイラルスメクチック相を有する液晶
    組成物を具備する液晶素子であって、所定の環境温度範
    囲(−30℃〜70℃)において、前記液晶組成物のス
    メクチック相における層の傾斜角δの値が、前記環境温
    度範囲の上限からの温度の降下に伴ってまず増加し、極
    大値を与える変曲点を有し、該変曲点通過後、減少し、
    さらなる温度降下に対してもδが0になることはないこ
    とを特徴とする液晶素子。
  11. 【請求項11】 カイラルスメクチック相を有する液晶
    組成物を具備する液晶素子であって、所定の環境温度範
    囲(−30℃〜70℃)において、前記液晶組成物のス
    メクチック相における層の傾斜角δの値が、前記環境温
    度範囲の上限からの温度の降下に伴ってまず増加し、極
    大値を与える変曲点を有し、該変曲点通過後、減少し、
    さらなる温度降下に対して、δが0になる前に再び増加
    してゆくことを特徴とする液晶素子。
  12. 【請求項12】 前記、層の傾斜角δ極大値が20°以
    下であることを特徴とする請求項10又は11記載の液
    晶素子。
  13. 【請求項13】 前記、層の傾斜角δ極大値が15°以
    下であることを特徴とする請求項10又は11記載の液
    晶素子。
  14. 【請求項14】 前記液晶組成物に下記一般式(I)に
    示すインダン系化合物が少なくとも一種類以上含有され
    ていることを特徴とする請求項10又は11記載の液晶
    素子。 下記一般式(I) 【外4】
  15. 【請求項15】 一般式(I)で表される化合物を前記
    組成物中10〜80%含有することを特徴とする請求項
    14記載の液晶素子。
  16. 【請求項16】 一般式(I)及び下記一般式(II)
    に示すピリミジン系化合物を少なくとも一種類以上含有
    することを特徴とする請求項14記載の液晶素子。 【外5】 (式中R1、R2はC1〜C20の直鎖または分岐のアルキ
    ルであって1つまたは隣接しない2つの−CH2−基が
    −O−、 【外6】 に置き換わっていても良く、−CH2−の水素がCl、
    F、CF3に置換されていても良い。m、nは0、1、
    2であり、m+nは1又は2である。)
  17. 【請求項17】 前記組成物中、一般式(I)で表され
    る化合物を20〜80%、一般式(II)で表される化
    合物を5〜80%含有することを特徴とする請求項16
    記載の液晶素子。
  18. 【請求項18】 カイラルスメクチック液晶と、該液晶
    を挟持して対向すると共にその対向面にそれぞれ上記液
    晶に電圧を印加するための電極が形成され、かつ液晶を
    配向させるための一軸性配向軸が互いに所定の角度で交
    差した配向処理を施した一対の基板とを備えた液晶素子
    において、該液晶素子のプレチルト角α、液晶のコーン
    角Θ、カイラルスメクチック相における層の傾斜角をδ
    とした時、上記液晶が Θ<α+δ および α>δ で表される関係を満たす配向状態を有し、かつ該配向状
    態における液晶が少なくとも2つの光学的な安定状態を
    示し、それらの光学軸のなす角度の1/2で定義される
    見かけのチルト角θa と液晶のコーン角Θとが、 Θ>θa >Θ/2 の関係を満たしている配向状態を有し、さらに、該液晶
    組成物を具備する液晶素子が使用される際に経験すると
    仮定された所定の環境温度範囲(−30〜70℃)にお
    いて、 前記液晶組成物のカイラルスメクチック相における層の
    傾斜角δの値が、前記環境温度範囲の上限からの温度の
    降下に伴ってまず増加し、極大値を与える変曲点を有
    し、該変曲点通過後減少し、さらなる温度降下に対して
    もδが0になることはないことを特徴とする液晶素子。
  19. 【請求項19】 カイラルスメクチック液晶と、該液晶
    を挟持して対向すると共にその対向面にそれぞれ上記液
    晶に電圧を印加するための電極が形成され、かつ液晶を
    配向させるための一軸性配向軸が互いに所定の角度で交
    差した配向処理を施した一対の基板とを備えた液晶素子
    において、該液晶素子のプレチルト角α、液晶のコーン
    角Θ、カイラルスメクチック相における層の傾斜角をδ
    とした時、上記液晶が Θ<α+δ および α>δ で表される関係を満たす配向状態を有し、かつ該配向状
    態における液晶が少なくとも2つの光学的な安定状態を
    示し、それらの光学軸のなす角度の1/2で定義される
    見かけのチルト角θaと液晶のコーン角Θとが、 Θ>θa >Θ/2 の関係を満たしている配向状態を有し、さらに、該液晶
    のδの値が、温度の降下に伴ない増加し、その後更に温
    度が低下すると減少していく変移点(以下極大値とい
    う)を有する温度特性を示し、かつ、δの値が0になる
    前に、再び増加していくことを特徴とする液晶素子。
  20. 【請求項20】 前記層の傾斜角δの極大値が、20°
    以下であることを特徴とする請求項18又は19記載の
    液晶素子。
  21. 【請求項21】 前記層の傾斜角δの極大値が、15°
    以下であることを特徴とする請求項18又は19記載の
    液晶素子。
  22. 【請求項22】 前記液晶組成物に、下記一般式(I)
    に示すインダン系化合物が少なくとも一種類以上含有し
    ていることを特徴とする請求項18又は19記載の液晶
    素子。 下記一般式(I) 【外7】
  23. 【請求項23】 一般式(I)で表される化合物を前記
    組成物中5〜80%含有することを特徴とする請求項2
    2記載の液晶素子。
  24. 【請求項24】 一般式(I)及び下記一般式(II)
    に示すピリミジン系化合物を少なくとも一種類以上含有
    することを特徴とする請求項22記載の液晶素子。 【外8】 1、R2;炭素数1から20の直鎖状もしくは分岐状の
    アルキル基であって1つまたは隣接しない2つの−CH
    2−基が−O−、 【外9】 に置き換わっていても良く、−CH2−基の水素がC
    l、F、CF3に置換されていても良い。m、nは0、
    1、2であり、m+nは1又は2である。
  25. 【請求項25】 前記組成物中、一般式(I)および
    (II)で表される化合物を共に10〜80%含有する
    ことを特徴とする請求項24記載の液晶素子。
  26. 【請求項26】 前記組成物中、一般式(I)および
    (II)で表される化合物を共に20〜40%含有する
    ことを特徴とする請求項24記載の液晶素子。
  27. 【請求項27】 請求項11〜26のいずれかに記載の
    液晶素子、該液晶素子に駆動回路、および光源を少なく
    とも有することを特徴とする液晶装置。
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