JP2936460B2 - 電子管用陰極 - Google Patents

電子管用陰極

Info

Publication number
JP2936460B2
JP2936460B2 JP34196395A JP34196395A JP2936460B2 JP 2936460 B2 JP2936460 B2 JP 2936460B2 JP 34196395 A JP34196395 A JP 34196395A JP 34196395 A JP34196395 A JP 34196395A JP 2936460 B2 JP2936460 B2 JP 2936460B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
cathode
layer
base metal
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34196395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09180623A (ja
Inventor
金治郎 佐野
孝 新庄
利一 近藤
正人 斉藤
卓也 大平
浩行 寺本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP34196395A priority Critical patent/JP2936460B2/ja
Priority to TW085112605A priority patent/TW375753B/zh
Priority to KR1019960058638A priority patent/KR100257779B1/ko
Priority to CN96118574A priority patent/CN1090802C/zh
Priority to NL1004830A priority patent/NL1004830C2/nl
Priority to US08/771,916 priority patent/US6091189A/en
Publication of JPH09180623A publication Critical patent/JPH09180623A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2936460B2 publication Critical patent/JP2936460B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid Thermionic Cathode (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ブラウン管等に
使用される電子管用陰極、特に動作中のカットオフ電圧
の変動を抑制する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は、特開平3−257735号公報
に開示されたテレビジョン受像機用ブラウン管に用いら
れている従来の陰極を示す図である。図において、1は
シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)等の還元性元
素を微量含有し、ニッケル(Ni)を主成分とする一端
が閉塞された帽状の基体金属で、その側壁部が略円筒状
を呈したスリーブ4の一端に溶接固定されている。2は
電子放射物質層であり、この電子放射物質層2は少なく
ともバリウム(Ba)を含み、他にストロンチュウム
(Sr)およびカルシウム(Ca)を含む三元のアルカ
リ土類金属酸化物21の中に酸化スカンジュウム等の希
土類金属酸化物22を分散した構成である。3は、上記
スリーブ4内に配設されたヒータで、このヒータ3を加
熱することによって基体金属1が加熱され、電子放射物
質層2から熱電子を放出させるものである。5は基体金
属1上に形成された、基体金属中に含有されている還元
性元素より還元性が小さく、且つ基体金属1の主成分で
あるニッケルより還元性が大きい金属からなる金属層で
あり、この金属層5上面に電子放射物質層2が被覆形成
されている。
【0003】次に、このよう構成された電子管用陰極の
製造方法について説明する。まず、基体金属1の表面に
金属層5となるタングステンを0. 2〜2umの厚さで
形成する。次に電子放射物質層2を被着形成する。この
被着形成の手順は、まず、バリウム、ストロンチウム、
カルシウムの三元炭酸塩と所定量の酸化スカンジュウム
をニトロセルロースからなるバインダーおよび酢酸ブチ
ルからなる有機溶剤と共に混合して懸濁液を作製し、こ
の懸濁液を基体金属1の頂部に形成された金属層5の上
にスプレイ法等で塗布することにより形成される。電子
放射物質層2が塗布された後、この陰極は電子銃に組み
込まれ、次に、ブラウン管の排気工程中にヒータ3によ
って加熱される。この際、三元炭酸塩は熱分解によりア
ルカリ土類金属酸化物21に変化する。排気工程の後、
さらに高温加熱され活性化が行われる。この際、アルカ
リ土類金属酸化物21の一部が還元されて電子放射物質
層2が半導体的性質を有するように活性化を行うことに
より、基体金属1上にアルカリ土類金属酸化物21と希
土類金属酸化物22との混合物からなる電子放射物質層
2が形成される。
【0004】この活性化工程において、アルカリ土類金
属酸化物21の一部は次のように反応する。すなわち、
基体金属1中に含有されたシリコン、マグネシウム等の
還元性元素は拡散によって金属層5と電子放射物質層2
との界面に移動し、アルカリ土類金属酸化物21と反応
する。例えば、アルカリ土類金属酸化物21として酸化
バリウム(BaO)を例にすると、次式1、2のように
反応するものである。 4BaO+Si=2Ba+Ba2 SiO4 ・・・(1) BaO+Mg=Ba+MgO ・・・(2) この反応の結果、金属層5上に被着形成されたアルカリ
土類金属酸化物21である酸化バリウム(BaO)の一
部が還元されて、酸素欠乏型の半導体となり、電子放射
が容易となる。また、アルカリ土類金属酸化物21は、
金属層5の成分であるタングステンとは次式3のように
反応し、同様に酸素欠乏型の半導体となる。 2BaO+1/3W=Ba+1/3Ba3 WO6 ・・・(3)
【0005】一般に、酸化物陰極の場合、上述した反応
時に生成される副生成物で中間層と呼ばれるバリウムシ
リケイト(Ba2 SiO4 )、酸化マグネシウム(Mg
O)やバリウムタングステート(Ba3 WO6 )が金属
層5と電子放射物質層2との界面に集中的に形成される
ため、この中間層の影響によりマグネシウム、シリコン
およびタングステンの拡散速度が抑制され、その結果過
剰Baの供給不足が生じ、高電流密度動作を制限する。
一方、電子放射物質層2に希土類金属酸化物22が含有
される場合は、酸化スカンジュウムの場合を例にとる
と、陰極動作時の金属層5と電子放射物質層2との界面
では基体金属1中および金属層5を拡散移動してきた還
元剤の一部と酸化スカンジュウムとが次式4のように反
応して少量の金属状のスカンジュウムが生成され、この
金属状のスカンジュウムは上記界面に存在する。 1/2Sc2 3 +3/2Mg=Sc+3/2MgO ・・・(4)
【0006】この金属状のスカンジュウムは金属層5上
に形成された中間層、例えばBa2SiO4 を次式5の
ように分解する作用を有するので、過剰Baの供給が改
善され、希土類金属酸化物22が含まれない場合よりも
高電流密度動作が可能となると考えられる。このよう
に、基体金属1上に金属層5を形成した電子管用陰極
は、遊離バリウムの生成が豊富で高電流密度動作が可能
であるという長所がある。 1/2Ba2 SiO4 +4/3Sc=Ba+1/2Si+2/3Sc2 3 ・・・(5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来の電子管用陰極では、ニッケルからなる基体金属
1上に形成されたタングステンからなる金属層5が、動
作中に徐々に基体金属1の表面から内部に拡散し、ニッ
ケルとタングステンとの金属間化合物が形成される。従
って、表面から順に、純タングステン層、ニッケルとタ
ングステンとの金属間化合物層、ニッケル金属層の三層
構造となる。特に、基体金属1の表面近傍に形成される
ニッケルとタングステンとの金属間化合物層は、他の層
に比較して密度が小さいため、片面に集中した熱応力に
より基体金属1が変形すると推定される。このため、長
時間の動作中に第1グリッドと陰極表面の間隔が変動し
てしまい、カットオフ電圧が変動し、画面の明るさが徐
々に変動したり、あるいはカラーブラウン管の場合、色
調が変動する等の問題を有していた。
【0008】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、長時間の動作時における基体
金属1の熱応力による変形を防止し、カットオフ電圧の
変動を抑制することにより、高輝度、高精細ブラウン管
への適用が可能な電子管用陰極を得ることを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる電子管
用陰極は、ニッケルを主成分とし、少なくとも一種の還
元剤を含有する基体金属と、この基体金属の表面および
裏面に形成され、基体金属に含有される還元剤の少なく
とも一種より還元性が小さいかあるいは同等であり、且
つニッケルよりも還元性が大きい金属よりなる金属部材
と、この金属部材上に被着形成され、少なくともバリウ
ムを含むアルカリ土類金属酸化物と希土類金属酸化物を
含有する電子放射物質層を備えたものである。
【0010】また、基体金属の表面および裏面に形成さ
れた金属部材を、共に金属層としたものである。また、
基体金属の表面および裏面に形成された金属部材を、共
に金属粉末層としたものである。また、基体金属の表面
に形成された金属部材を金属層とし、裏面に形成された
金属部材を金属粉末層としたものである。また、基体金
属の表面に形成された金属部材を金属粉末層とし、裏面
に形成された金属部材を金属層としたものである。さら
に、金属層または金属粉末層は、タングステン(W)、
モリブデン(Mo)、クロム(Cr)またはタンタル
(Ta)等の金属よりなるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は、本発明の実施の形態1である電
子管用陰極を示す拡大断面図である。図において、1は
シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)等の還元性元
素を微量含有し、ニッケル(Ni)を主成分とする一端
が閉塞された帽状の金属基体で、略円筒状のスリーブ4
の一端に固定されている。2は、電子放射物質層であ
り、この電子放射物質層2は、少なくともバリウム(B
a)を含み、他にストロンチュウム(Sr)およびカル
シュウム(Ca)の両方あるいは片方を含むアルカリ土
類金属酸化物21の中に酸化スカンジュウム等の希土類
金属酸化物22を分散した構成である。5aは、基体金
属1と電子放射物質層2との間に被着形成されたタング
ステンからなる金属層、5bは基体金属1のもう一方の
片面に被着形成されたタングステンからなる金属層であ
る。
【0012】次に、このように構成された電子管用陰極
の製造法の一例について説明する。まず、基体金属1を
洗浄後、真空中で基体金属1の表面にタングステンから
なる厚さ1umの金属層5aを蒸着またはスパッタリン
グなどの方法で形成する。次いで、基体金属1の裏側か
ら同様にタングステンからなる1umの金属層5bを、
蒸着またはスパッタリング等の方法で形成する。次に、
ニクロム製のスリーブ4に溶接を行った後、水素雰囲気
中で約1000℃の熱処理を行う。次に、希土類金属酸
化物である酸化スカンジュウムをアルカリ土類金属酸化
物に重量比で約3%分散した電子放射物質層2をスプレ
イ法によって約80umの厚さで基体金属1の外側に形
成された金属層5a上に塗布する。
【0013】電子放射物質層2が塗布された後、この陰
極は電子銃に組み込まれ、次にブラウン管の排気工程中
にヒータ3によって加熱される。この際、電子放射物質
層2中の三元炭酸塩が熱分解によりアルカリ土類金属酸
化物21に変化する。排気工程の後、さらに高温加熱さ
れ活性化が行われる。この際、アルカリ土類金属酸化物
21の一部が還元されて電子放射物質層2が半導体的性
質を有するようになり、金属層5a上にアルカリ土類金
属酸化物21と希土類金属酸化物22との混合物からな
る電子放射物質層2が形成させる。
【0014】この活性化工程において、アルカリ土類金
属酸化物21の一部は次のように反応する。すなわち、
基体金属1中に含有されたシリコン、マグネシウム等の
還元性元素は拡散によって金属層5aと電子放射物質層
2との界面に移動し、アルカリ土類金属酸化物21と反
応する。例えば、アルカリ土類金属酸化物21として酸
化バリウム(BaO)を例にとると、次式1、2のよう
に反応するものである。 4BaO+Si=2Ba+Ba2 SiO4 ・・・(1) BaO+Mg=Ba+MgO ・・・(2)
【0015】この反応の結果、金属層5a上に被着形成
されたアルカリ土類金属酸化物21である酸化バリウム
(BaO)の一部が還元されて、酸素欠乏型の半導体と
なり、電子放射が容易となる。また、アルカリ土類金属
酸化物21は、金属層5aの成分であるタングステンと
は次式3のように反応し、同様に酸素欠乏型の半導体と
なる。 2BaO+1/3W=Ba+1/3Ba3 WO6 ・・・(3)
【0016】一般に、酸化物陰極の場合、上述した反応
時に生成される副生成物で中間層と呼ばれるバリウムシ
リケイト(Ba2 SiO4 )、酸化マグネシウム(Mg
O)やバリウムタングステート(Ba3 WO6 )が金属
層5aと電子放射物質層2との界面に集中的に形成され
るため、この中間層の影響によりマグネシウム、シリコ
ンおよびタングステンの拡散速度が抑制され、その結果
過剰Baの供給不足が生じ、高電流密度動作を制限す
る。一方、電子放射物質層2に希土類金属酸化物22が
含有される場合は、酸化スカンジュウムの場合を例にと
ると、陰極動作時の金属層5aと電子放射物質層2との
界面では基体金属1中および金属層5aを拡散移動して
きた還元剤の一部と酸化スカンジュウムとが次式4のよ
うに反応して少量の金属状のスカンジュウムが生成さ
れ、金属状のスカンジュウムは上記界面に存在する。 1/2Sc2 3 +3/2Mg=Sc+3/2MgO ・・・(4)
【0017】この金属状のスカンジュウムは金属層5a
上に形成された中間層、例えばBa2 SiO4 を次式5
のように分解する作用を有するので、過剰Baの供給が
改善され、希土類金属酸化物22が含まれない場合より
も高電流密度動作が可能であると考えられる。 1/2Ba2 SiO4 +4/3Sc=Ba+1/2Si+2/3Sc2 3 ・・・(5)
【0018】本実施の形態における電子管用陰極では、
ニッケルからなる基体金属1の両面に形成されたタング
ステンからなる金属層5a、5bが、動作中に徐々に金
属基体1の表面および裏面から内部に拡散し、ニッケル
とタングステンとの金属間化合物が形成される。従っ
て、表面および裏面から順に、純タングステン層、ニッ
ケルとタングステンとの金属間化合物層、ニッケル金属
層の三層構造となる。特に、基体金属1の表面(裏面)
近傍に形成されるニッケルとタングステンとの金属間化
合物層は、他の層に比較して密度が小さく、従来の片面
にのみ金属層5を形成した構造では、片面に集中した熱
応力により基体金属1が変形するという問題があった
が、本実施の形態によれば、基体金属1の両面に金属層
5a、5bを設けたため、金属間化合物が基体金属1の
両面に形成され、基体金属1の両面に均等に熱応力が加
わり、基体金属1の変形が防止される。
【0019】図2は、このように構成された電子管用陰
極をブラウン管用の電子銃に組み込み、第一グリッドの
孔径が0. 4mmの14吋のディスプレイ用ブラウン管で
寿命試験を実施した結果を示す図である。寿命試験条件
としてはヒータ電圧を定格6. 3Vとし、2. 5時間O
N、0. 5時間OFFの間欠条件とし、また陰極からの
取り出し電流密度は2A/cm2 とした。図2において、
横軸は寿命試験時間、縦軸はカットオフ電圧を示し初期
値を100とした相対値で示している。図2より、本実
施の形態の電子管用電極は、従来の構成のものと比較し
てカットオフ電圧の変化が少なく、カットオフ電圧の変
動が著しく改善されていることがわかる。
【0020】このように、本実施の形態によれば、希土
類金属酸化物を含む電子放射物質層2と基体金属1の間
に金属層5aを形成したので、過剰Baの生成が促進さ
れ、高電流密度動作が可能になるとともに、基体金属1
の裏面にも金属層5bを形成したので、長時間の動作中
において基体金属1の両面に均等な熱応力が加えられ、
熱応力による基体金属1の変形が防止され、カットオフ
電圧の変動を抑制することができる。このため、長時間
の動作時の画面の明るさの変動や、あるいはカラーブラ
ウン管の場合色調の変動が防止でき、高輝度、高精細ブ
ラウン管への適用が可能な電子管用陰極を得ることがで
きる。
【0021】実施の形態2.図3は、本発明の実施の形
態2である電子管用陰極を示す拡大断面図である。図に
おいて、6aは、基体金属1上に被着形成された金属粉
末層、6bは基体金属1のもう一方の片面に被着形成さ
れた金属粉末層である。なお、図中同一、相当部分には
同一符号を付し、説明を省略する。
【0022】次に、このように構成された電子管用陰極
の製造法の一例について説明する。まず、基体金属1を
スリーブ4に溶接後、洗浄を行い、次いで基体金属1の
表面に粒径が0. 5umないし1. 0umのタングステ
ン粉末をスプレイによって被着し、厚さ1umないし3
umの金属粉末層6aを形成する。この被着形成の手順
は、まず、タングステン粉末をバインダである硝化綿と
有機溶剤である酢酸ブチル溶液と混合し、24時間ボー
ルミルを行う。次に通常のスプレイ方法によって約2u
mの厚さになるように基体金属1上に塗布する。次い
で、基体金属1の裏側から同様にタングステン粉末によ
り約2umの厚さの金属粉末層6bを形成する。この場
合はスプレイ法でもよく、または一定量のタングステン
粉末と溶媒とからなるペーストをスリーブ4の内部に注
入して被着形成させることもできる。次に、水素雰囲気
中で約1000°Cの熱処理を行う。
【0023】次に、希土類金属酸化物である酸化スカン
ジュウムをアルカリ土類金属酸化物に重量比で約3%分
散した電子放射物質層2をスプレイ法によって約80u
mの厚さで基体金属1の外側に形成された金属粉末層6
a上に塗布する。電子放射物質層2が塗布された後、こ
の陰極は電子銃に組み込まれ、次にブラウン管の排気工
程中にヒータ3によって加熱される。この際、電子放射
物質層2中の三元炭酸塩は熱分解によりアルカリ土類金
属酸化物21に変化する。排気工程の後、さらに高温加
熱され活性化が行われる。この際、アルカリ土類金属酸
化物21の一部が還元されて電子放射物質層2が半導体
的性質を有するようになり、金属粉末層6a上にアルカ
リ土類金属酸化物21と希土類金属酸化物22との混合
物からなる電子放射物質層2が形成される。この活性化
工程において、本実施の形態に示す電子管用陰極におい
ても、前述の実施の形態1で示した式1ないし式5のよ
うな反応が行われる。
【0024】本実施の形態による電子管用陰極において
は、タングステンからなる金属粉末層6a、6bが動作
中に徐々にニッケルからなる金属基体1の表面および裏
面から内部に拡散することにより形成されるニッケルと
タングステンとの金属間化合物が、基体金属1の両面に
形成されるため、長時間の動作中において基体金属1の
両面に均等に熱応力が加わり、基体金属1の変形が防止
される。
【0025】図4は、このように構成された電子管用陰
極をブラウン管用の電子銃に組み込み、第一グリッドの
孔径が0. 4mmの14吋のディスプレイ用ブラウン管で
寿命試験を実施した結果を示す図である。寿命試験条件
としてはヒータ電圧を定格6. 3Vとし、2. 5時間O
N、0. 5時間OFFの間欠条件とし、また陰極からの
取り出し電流密度は2A/cm2 とした。図4において、
横軸は寿命試験時間、縦軸はカットオフ電圧を示し初期
値を100とした相対値で示している。図4より、本実
施の形態の電子管用電極においても、実施の形態1と同
様に、従来の構成のものと比較してカットオフ電圧の変
化が少なく、カットオフ電圧の変動が著しく改善されて
いることがわかる。
【0026】このように、本実施の形態によれば、希土
類金属酸化物を含む電子放射物質層2と基体金属1の間
に金属粉末層6aを形成したので、過剰Baの生成が促
進され高電流密度動作が可能になるとともに、基体金属
1の裏面にも金属粉末層6bを形成したので、長時間の
動作中において基体金属1の両面に均等な熱応力が加え
られ、熱応力による基体金属1の変形が防止され、カッ
トオフ電圧の変動を抑制することができる。このため、
長時間の動作時の画面の明るさの変動や、あるいはカラ
ーブラウン管の場合色調の変動が防止でき、高輝度、高
精細ブラウン管への適用が可能な電子管用陰極を得るこ
とができる。
【0027】実施の形態3.図5は、本発明の実施の形
態3である電子管用陰極を示す拡大断面図である。図に
おいて、5は、基体金属1と電子放射物質層2との間に
被着形成された金属層である。6は基体金属1のもう一
方の片面に被着形成された金属粉末層である。なお、図
中同一または相当部分には同一符号を付し、説明を省略
する。
【0028】次に、このように構成された電子管用陰極
の製造法の一例について説明する。まず、基体金属1を
スリーブ4に溶接後、洗浄を行い、次いで真空中で基体
金属1の表面にタングステンよりなる厚さ1umの金属
層5を蒸着またはスパッタリング法により形成する。次
いで基体金属1の裏面に粒径が0. 5umないし1.0
umのタングステン粉末をスプレイによって被着し、厚
さ1umないし3umの金属粉末層6を形成する。この
被着形成の手順は、まず、タングステン粉末をバインダ
である硝化綿と有機溶剤である酢酸ブチル溶液と混合
し、24時間ボールミルを行う。次に通常のスプレイ方
法によって約2umの厚さになるように基体金属1の裏
側に塗布する。この塗布は、スプレイ法以外に例えば一
定量のタングステン粉末と溶媒とからなるペーストをス
リーブ4の内部に注入して被着形成させることもでき
る。次に、水素雰囲気中で約1000℃の熱処理を行
う。その後は、実施の形態1、2と同様に電子放射物質
層2をスプレイ法によって基体金属1の外側に形成され
た金属層5上に塗布後、電子銃に組み込み、次にブラウ
ン管の排気工程中にヒータ3によって加熱され、さらに
高温加熱により活性化が行われる。この活性化工程にお
いて、本実施の形態に示す電子管用陰極においても、前
述の実施の形態1で示した式1ないし式5のような反応
が行われる。
【0029】本実施の形態による電子管用陰極において
は、タングステンからなる金属層5および金属粉末層6
が動作中に徐々にニッケルからなる金属基体1の表面お
よび裏面から内部に拡散することにより形成されるニッ
ケルとタングステンとの金属間化合物が、基体金属1の
両面に形成されるため、長時間の動作中において基体金
属1の両面に均等に熱応力が加わり、基体金属1の変形
が防止される。
【0030】図6は、このように構成された電子管用陰
極をブラウン管用の電子銃に組み込み、第一グリッドの
孔径が0. 4mmの14吋のディスプレイ用ブラウン管で
寿命試験を実施した結果を示す図である。寿命試験条件
としてはヒータ電圧を定格6. 3Vとし、2. 5時間O
N、0. 5時間OFFの間欠条件とし、また陰極からの
取り出し電流密度は2A/cm2 とした。図6において、
横軸は寿命試験時間、縦軸はカットオフ電圧を示し初期
値を100とした相対値で示している。図6より、本実
施の形態の電子管用電極においても、実施の形態1およ
び2と同様に、従来の構成のものと比較してカットオフ
電圧の変化が少なく、カットオフ電圧の変動が著しく改
善されていることがわかる。
【0031】このように、本実施の形態によれば、希土
類金属酸化物を含む電子放射物質層2と基体金属1の間
に金属層5を形成したので、過剰Baの生成が促進さ
れ、高電流密度動作が可能になるとともに、基体金属1
の裏面にも金属粉末層6を形成したので、長時間の動作
中において基体金属1の両面に均等な熱応力が加えら
れ、熱応力による基体金属1の変形が防止され、カット
オフ電圧の変動を抑制することができる。このため、長
時間の動作時の画面の明るさの変動や、あるいはカラー
ブラウン管の場合色調の変動が防止でき、高輝度、高精
細ブラウン管への適用が可能な電子管用陰極を得ること
ができる。
【0032】なお、本実施の形態では、電子放射物質層
2と基体金属1の間に金属層5を、基体金属1の裏面に
金属粉末層6を形成したが、電子放射物質層2と基体金
属1の間に金属粉末層、基体金属1の裏面に金属層の組
み合わせでも同様の効果が得られる。
【0033】また、実施の形態1ないし3においては、
主成分がニッケルからなる基体金属中にシリコン(S
i)およびマグネシウム(Mg)の還元性金属を微量含
むものを用いたが、シリコンあるいはマグネシウムの少
なくともどちらか一種のみの場合であっても同様の効果
が得られる。さらに、基体金属中の還元剤よりも還元性
が小さいかあるいは同等であり、且つ基体金属のニッケ
ルよりも還元性が大きい金属層あるいは金属粉末層とし
てタングステン(W)の場合を例として示したが、タン
グステンに限らず、モリブデン(Mo)、タンタル(T
a)、クロム(Cr)等の金属であっても同様の効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である電子管用陰極
を示す拡大断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1である電子管用陰極
の寿命試験中におけるカットオフ電圧の変動率を示す図
である。
【図3】 この発明の実施の形態2である電子管用陰極
を示す拡大断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2である電子管用陰極
の寿命試験中におけるカットオフ電圧の変動率を示す図
である。
【図5】 この発明の実施の形態3である電子管用陰極
を示す拡大断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態3である電子管用陰極
の寿命試験中におけるカットオフ電圧の変動率を示す図
である。
【図7】 従来の電子管用陰極を示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基体金属、2 電子放射物質層、3 ヒータ、4
スリーブ、5、5a、5b 金属層、6、6a、6b
金属粉末層、21 アルカリ土類金属酸化物、22 希
土類金属酸化物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 正人 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 大平 卓也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 寺本 浩行 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−91639(JP,A) 特開 平4−220925(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/26 H01J 1/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを主成分とし、少なくとも一種
    の還元剤を含有する基体金属、 この基体金属の表面および裏面に形成された、上記還元
    剤の少なくとも一種より還元性が小さいかあるいは同等
    であり、且つニッケルよりも還元性が大きい金属よりな
    る金属部材、 この金属部材上に被着形成され、少なくともバリウムを
    含むアルカリ土類金属酸化物と希土類金属酸化物を含有
    する電子放射物質層を備えたことを特徴とする電子管用
    陰極。
  2. 【請求項2】 基体金属の表面および裏面に形成された
    金属部材は、共に金属層であることを特徴とする請求項
    1記載の電子管用陰極。
  3. 【請求項3】 基体金属の表面および裏面に形成された
    金属部材は、共に金属粉末層であることを特徴とする請
    求項1記載の電子管用陰極。
  4. 【請求項4】 基体金属の表面に形成された金属部材は
    金属層であり、基体金属の裏面に形成された金属部材は
    金属粉末層であることを特徴とする請求項1記載の電子
    管用陰極。
  5. 【請求項5】 基体金属の表面に形成された金属部材は
    金属粉末層であり、基体金属の裏面に形成された金属部
    材は金属層であることを特徴とする請求項1記載の電子
    管用陰極。
  6. 【請求項6】 金属部材は、タングステン(W)、モリ
    ブデン(Mo)、クロム(Cr)またはタンタル(T
    a)等の金属よりなることを特徴とする請求項1〜請求
    項5のいずれか一項に記載の電子管用陰極。
JP34196395A 1995-12-27 1995-12-27 電子管用陰極 Expired - Fee Related JP2936460B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34196395A JP2936460B2 (ja) 1995-12-27 1995-12-27 電子管用陰極
TW085112605A TW375753B (en) 1995-12-27 1996-10-15 Electron tube cathode
KR1019960058638A KR100257779B1 (ko) 1995-12-27 1996-11-28 전자관용 음극
CN96118574A CN1090802C (zh) 1995-12-27 1996-12-06 电子管用阴极
NL1004830A NL1004830C2 (nl) 1995-12-27 1996-12-19 Kathode voor elektronenbuis.
US08/771,916 US6091189A (en) 1995-12-27 1996-12-23 Cathode for an electron tube

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34196395A JP2936460B2 (ja) 1995-12-27 1995-12-27 電子管用陰極

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09180623A JPH09180623A (ja) 1997-07-11
JP2936460B2 true JP2936460B2 (ja) 1999-08-23

Family

ID=18350126

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34196395A Expired - Fee Related JP2936460B2 (ja) 1995-12-27 1995-12-27 電子管用陰極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2936460B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6054802A (en) * 1996-06-20 2000-04-25 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Cathode for electronic tube
JP2876591B2 (ja) * 1996-11-29 1999-03-31 三菱電機株式会社 電子管用陰極

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09180623A (ja) 1997-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2758244B2 (ja) 電子管用陰極
JP2876591B2 (ja) 電子管用陰極
JP2936460B2 (ja) 電子管用陰極
KR100257779B1 (ko) 전자관용 음극
JP2897938B2 (ja) 電子管用陰極
JP2928155B2 (ja) 電子管用陰極
JP2937145B2 (ja) 電子管用陰極
JP2835023B2 (ja) 電子管用陰極の製造方法
JP2878634B2 (ja) 電子管用陰極
JPH04220924A (ja) 電子管用陰極
JP2891209B2 (ja) 電子管用陰極
JP2882386B2 (ja) 電子管用陰極の製造方法
JP2000173441A (ja) 電子銃用陰極
JPH09185939A (ja) 電子管用陰極およびその製造方法
JPH04220925A (ja) 電子管用陰極
JP2001345041A (ja) 電子管用陰極
JPH0233822A (ja) 電子管用陰極
JP3010155B2 (ja) 電子管用陰極の製造方法
JP2000195409A (ja) 電子管用陰極
JPH04220926A (ja) 電子管用陰極
JPH1064405A (ja) 電子管用陰極
JPH10199397A (ja) 電子管用陰極
JPH0887952A (ja) 酸化物陰極を備えた電子管
US6232708B1 (en) Cathode with an electron emitting layer for a cathode ray tube
JPH09320449A (ja) 電子管用陰極

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080611

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090611

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees