JP2932605B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は耐衝撃性、耐熱性および耐溶剤性に優れたポ
リフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであ
る。
〈従来の技術〉 ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPSと略す)は
ガラス繊維などで補強した強化系において、優れた耐熱
性、耐衝撃性、剛性など結晶性エンジニアリングプラス
チックとして好適な性質を有しており、射出成形用を中
心として各種用途に使用されている。しかし、ガラス繊
維などで補強していない非強化系のPPSは靭性がなく、
非常に脆い。さらにガラス転移温度が90℃と低いことか
ら耐熱性も十分でなく、各種成形用途に利用することが
困難であるのが現状である。
結晶性熱可塑性樹脂の耐熱性不足を改良する方法とし
てガラス転移点の高い非晶性熱可塑性樹脂と組み合わせ
てポリマアロイとすることが有効な手段であることが近
年種々のポリマの組み合わせで判明している。このよう
な目的に適した非晶性熱可塑性樹脂の一つに、スチレン
/N−フェニルマレイミド共重合耐が挙げられ、特にポリ
アミド樹脂との配合により有用な樹脂組成物が得られる
ことが知られている(たとえばプラスチックスエージ19
90年1月号)。マレイミド系樹脂によるPPSの改質につ
いては特開昭61−9452号公報にて提案されているが、こ
こでは主としてPPSとして架橋型のものを用い、しかも
マレイミド樹脂はPPSの流動性改良剤として添加してい
るのみであり、生成する樹脂組成物の強度、耐衝撃性な
どの実用特性については未だ不十分なものしか得られて
いない。
〈発明が解決しようとする課題〉 そこで本発明者らはPPSとマレイミド系樹脂の組み合
わせにおいて耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性などの実用特
性の優れた樹脂材料を得るべく鋭意検討した結果、PPS
樹脂、N−アリールマレイミド構成単位とビニル系構成
単位からなるマレイミド系共重合体および熱可塑性エラ
ストマーからなるPPS樹脂組成物が、耐衝撃性、耐熱
性、耐溶剤性のいずれにも優れ、成形用途として使用可
能であることを見出し本発明に到達した。
〈課題を解決するための手段〉 すなわち本発明は、 (1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂90〜10重量
%と (B)N−アリールマレイミド構成単位90〜10重量%と
ビニル系構成単位10〜90重量%からなるマレイミド系共
重合体10〜90重量% から構成される樹脂組成物100重量部に対して (C)熱可塑性エラストマー1〜50重量部が配合されて
なるPPS樹脂組成物である。本発明で使用するPPS(A)
とは構造式 で示される繰返し単位を70モル%以上、より好ましくは
90モル%以上を含む重合体であり、上記繰返し単位が70
モル%未満では耐熱性が損なわれるため好ましくない。
PPSは一般に、特公昭45−3368号公報で代表される製
造法により得られる比較的分子量の小さい重合体と、特
公昭52−12240号公報で代表される製造法により得られ
る本質的に線状で比較的高分子量の重合体等があり、前
記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた重合体に
おいては、重合後、酸素雰囲気下において加熱すること
により、あるいは過酸化物等の架橋剤を添加して加熱す
ることにより高重合度化して用いることも可能であり、
本発明においてはいかなる方法により得られたPPSを用
いることも可能であるが、本発明の効果が顕著であるこ
と、および、PPS自体の靭性が優れるという理由で、前
記特公昭52−12240号公報で代表される製造法により得
られる本質的に線状で比較的高分子量の重合体が、より
好ましく用いられ得る。
また、PPSはその繰返し単位の30モル%未満を下記の
構造式を有する繰返し単位等で構成することが可能であ
る。
本発明で使用するPPSは、前述のようにいかなるPPSも
使用可能であるが、脱イオン処理を施されたものが好ま
しい。また脱イオン処理されたPPSのイオン含有量は、
ナトリウムの含有量として通常900ppm以下、好ましくは
700ppm以下で、本発明の効果である耐衝撃性の向上を十
分に発現させることができる。ナトリウム含有量を低減
させる脱イオン処理の具体的な手段として、(a)酸処
理、(b)熱水処理、(c)有機溶媒洗浄等の方法が挙
げられる。
以下、これらの好ましいPPSの処理について述べる。
酸処理を行う場合は次の通りである。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPSを浸漬せ
しめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加
熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、
pH4の水溶液を80〜90℃に加熱した中にPPS粉末を浸漬
し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。
酸処理を施されたPPSは残留している酸または塩などを
物理的に除去するため、水または温水で数回洗浄するこ
とが必要である。
洗浄に用いる水は、酸処理によるPPSの好ましい化学
的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水
であることが好ましい。
熱水で処理する場合は次の通りである。すなわちPPS
を熱水処理するにあたり、化学的変性効果を得るため
に、熱水の温度を通常100℃以上、より好ましくは120℃
以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170
℃以上にすることが好ましい。
本発明の熱水洗浄によるPPSの好ましい化学的変性の
効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イ
オン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通
常、所定量の水に所定量のPPSを投入し、圧力容器内で
加熱、撹拌することにより行われる。PPSと水との割合
は、水の多い方が好ましいが、通常、水1に対し、PP
S200g以下の浴比が選択される。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくない
ので、これを回避するため不活性雰囲気下とするのが好
ましい。さらに、この熱水処理操作を終えたPPSは、残
留している成分を物理的に除去するため温水で数回洗浄
するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次の通りである。
PPSの洗浄に用いる有機溶媒は、PPSを分解する作用な
どを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−
メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサ
メチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素
極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、
スルホランなどのスルホキシド、スルホン系溶媒、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフ
ェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロ
ピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの
エーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリク
ロロエチレン、二塩化エチレン、パークロルエチレン、
モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタ
ン、ハパークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコ
ール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これ
らの有機溶媒のうちでも、N−メチルピロリドン、アセ
トン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用
が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、一種類ま
たは二種以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPP
Sを浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹
拌または加熱することも可能である。
有機溶媒でPPSを洗浄する際の洗浄温度については特
に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択で
きる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向
があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が
得られる。
圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に
洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても
特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の
場合、通常5分間以上洗浄することにより、十分な効果
が得られる。また、連続式で洗浄することも可能であ
る。
重合により生成したPPSを有機溶媒で洗浄するのみで
十分であるが、本発明の効果をさらに発揮させるため
に、水洗浄、または温水洗浄と組み合わせるのが好まし
い。また、N−メチルピロリドンなどの高沸点水溶性有
機溶媒を用いた場合は、有機溶媒洗浄後、水または温水
で洗浄することにより、残存有機溶媒の除去が容易に行
えて好ましい。これらの洗浄に用いる水は蒸留水、脱イ
オン水であることが好ましい。
また、これらの処理を2種以上組み合わせすることも
可能であり、その順序には特に制限はない。
次に本発明において用いられるマレイミド系共重合体
(B)は、下記(1)式に示されるN−アリールマレイ
ミド構成単位と、下記(2)式に示されるビニル系構成
単位からなる共重合体である。これらはランダム共重合
体であっても、ブロック共重合体であってもかまわな
い。
(XおよびXは、上記5員環イミド構造を有する
ならばいかなる化学構造を有する置換基であっても本発
明に適用することができるが、通常は、水素、臭素、塩
素、メチル基、エチル基、フェニル基、置換フェニル基
であるものが一般的に用いられる。) (Yはアリール基、カルボキシル基およびそのエステ
ル、シアノ基などを表わす。Rは水素、メチル基を表わ
す。) マレイミド系共重合体(B)の合成法としては、例え
ばN−アリールマレイミド単量体とビニル系単量体とか
ら共重合する方法や、無水マレイン酸を含有するビニル
系共重合体をアニリン類と反応させた後、脱水閉環せし
めることにより合成する方法等が考えられるが、これら
の方法に限定されるものではない。
N−アリールマレイミド単量体とビニル系単量体とか
ら共重合する方法において用いられるN−アリールマレ
イミド単量体とは下記(3)式で示されるものである。
ここで、XおよびXは、上記5員環イミド構造を
有するならばいかなる化学構造を有する置換基であって
も本発明に適用することができるが、通常は水素、臭
素、塩素、メチル基、エチル基、フェニル基、置換フェ
ニル基であるものが一般的に用いられる。
ビニル系単量体とは、スチレン、p−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、α−メチル
スチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、ト
リブロモスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチ
レン、トリクロロスチレン、ジメチルスチレン等で代表
される芳香族ビニル系単量体、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸メチル等で代表される(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体およびアクリロニトリル、メタアクリロニ
トリル等に代表されるシアン化ビニル系単量体などが挙
げられ、これらは2種以上混合して用いることもでき
る。これらのビニル系単量体の中で好ましい単量体は、
スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチルお
よびアクリロニトリルであり、特に好ましい単量体は、
耐熱性の点からスチレンである。
N−アリールマレイミド単量体とビニル系単量体から
マレイミド系共重合体(B)を製造する方法は、特に制
限なく、通常の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重
合、塊状−懸濁重合によって製造することができる。
無水マレイン酸を含有するビニル系共重合体をアニリ
ン類と反応させた後、脱水閉環せしめることにより合成
する方法において用いられる無水マレイン酸含有ビニル
系共重合体とは、無水マレイン酸およびこれと共重合可
能な他のビニル系単量体を共重合せしめて得られる共重
合体であり、下記(4)式の無水マレイン酸単位を含有
するものである。
ここで無水マレイン酸に対し、共重合可能な他のビニ
ル系単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、
ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチ
レン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブ
ロモスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレ
ン、トリクロロスチレン、ジメチルスチレン等で代表さ
れる芳香族ビニル系単量体、メタクリル酸メチル、アク
リル酸メチル等で代表される(メタ)アクリル酸エステ
ル系単量体およびアクリロニトリル、メタアクリロニト
リル等に代表されるシアン化ビニル系単量体などが挙げ
られ、これらは2種以上混合して用いることもできる。
これらビニル系単量体の中で好ましい単量体は、スチレ
ン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチルおよびア
クリロニトリルであり、特に好ましい単量体は耐熱姓の
点からスチレンである。
これらの無水マレイン酸含有ビニル系共重合体は通常
の溶液重合や塊状重合によって製造される。
無水マレイン酸含有ビニル系共重合体をイミド化する
ために用いるアニリン類とは下記(5)式で示される化
合物である。
(Xは、水素、塩素、メチル基、メトキシ基を表わ
す。) これらの化合物として、アニリン、p−クロルアニリ
ン、p−トルイジン、p−メトキシアニリン等が挙げら
れ、これらは2種以上混合して用いることもできる。こ
れらの中で特に好ましいものはアニリンである。
この方法によるマレイミド系共重合体の形成反応は、
次の第1反応および第2反応の二段階からなる。
すなわち第1反応は無水マレイン酸含有ビニル系共重
合体の無水マレイン酸単位にアニリンを付加させる開環
反応であり、カルボキシル基とアミド基が隣接した共重
合体が形成される。第2反応はカルボキシル基とアミド
基が隣接した共重合体のカルボキシル基とアミド基を脱
水によりイミド化せしめる閉環反応であり、これにより
マレイミド系共重合体(B)が形成される。第2反応に
おける脱水手段としては、加熱による物理的脱水法およ
び脱水剤を用いる化学的脱水法が挙げられる。
なお、第1反応、第2反応の反応条件および添加する
アニリン量を調節することにより、マレイミド系共重合
体(B)中に無水マレイン酸単位を残すことも可能であ
る。
マレイミド系共重合体(B)におけるN−アリールマ
レイミド構成単位は10〜90重量%、特に30〜70重量%が
好ましい。10重量%未満では得られるマレイミド系重合
体(B)ひいては該PPS樹脂組成物の耐熱性が低下し、
逆に90重量%を越えると、該PPS樹脂組成物の耐衝撃
性、耐薬品性が低下するために好ましくない。
また、本発明のPPS(A)とマレイミド系共重合体
(B)の組成比はPPS(A)が90〜10重量%、好ましく
は90〜20重量%、マレイミド系共重合体(B)が10〜90
重量%、好ましくは10〜80重量%である。PPS(A)が1
0重量%未満では耐溶剤性の極めて悪いPPS樹脂組成物し
か得られず、逆に90重量%以上では、耐熱数性が低下す
るために好ましくない。
本発明の(C)成分として用いられる熱可塑性エラス
トマーとは、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、
ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラ
ストマー、フッ素系エラストマー等公知のものが挙げら
れるが、なかでも、ポリオレフィン系エラストマー、ポ
リスチレン系エラストマーが好適に選択できる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合耐、エチレン−グリ
シジルメタクリレート共重合耐、エチレン−プロピレン
−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体およびエチレン−ブテン共重合体の無水マレイン酸ま
たはグリシジルメタクリレート変性物等が挙げられる。
つぎにポリスチレン系エラストマーとしては、例え
ば、ビニル芳香族化合物と供役ジエン化合物のブロック
共重合体またはこのブロック共重合体の水素添加物(以
下、水添ブロック共重合体と略す)が挙げられ、さら
に、これらブロック共重合体、水添ブロック共重合体と
α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体の反応によ
る変性物(変性ポリスチレン系エラストマー)が挙げら
れる。これらポリスチレン系エラストマーの例として
は、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重
合体およびこれらブロック共重合体の水素添加物(水添
ブロック共重合体)が挙げられ、さらのこれらブロック
共重合体、、水添ブロック共重合体の無水マレイン酸変
性物、グリシジルメタクリレート変性物等が挙げられ
る。
これらポリスチレン系エラストマーの具体的な例とし
て例えば、シェル化学株式会社から製造販売されている
“カリフレックスTR"、“クレイトンG"シリーズが挙げ
られる。
さらに、これらブロック共重合体、水添ブロック共重
合体と、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体と
をラジカル発生剤の存在下、非存在下で、溶融状態、溶
解状態で80〜350℃の温度下で反応させることにより変
性させることも可能である。
この変性の際に用いるα、β−不飽和カルボン酸また
はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、無水マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、アクリル
酸エステル、クロトン酸、マレインイミド化合物、グリ
シジルメタクリレートなどが挙げられ、中でも無水マレ
イン酸、グリシジルメタクリレートが好ましく用いられ
る。α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体は、ブ
ロック共重合体、水添ブロック共重合体100重量部に対
して、0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.1〜10重量
部の範囲で用いられる。
また、必要に応じて用いられるラジカル開始剤として
は公知のものであれば限定されるものではなく、例え
ば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオ
キサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブ
チルパーオキシ)バレレート、tert−ブチルパーオキシ
トリフェニルシラン、tert−ブチルパーオキシトリメチ
ルシラン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられ、こ
れらの中から1種以上を選ぶことができる。ラジカル開
始剤の使用量はブロック共重合体、水添ブロック共重合
体100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1
〜5重量部である。
なお、変性ポリスチレン系エラストマーの製造方法は
公知の溶融混練状態、溶液混合状態いずれでも実施する
ことができ、これらに限定されるものではない。
さらに、これら例示した熱可塑性エラストマーは1種
のみならず、2種以上を併用しても構わない。
さらに本発明において用いられる熱可塑性エラストマ
ー(C)は、PPS(A)とマレイミド系共重合体(B)
から構成される樹脂組成物100重量部に対して1〜50重
量部、好ましくは3〜40重量部配合される。熱可塑性エ
ラストマー(C)が1重量部未満では、耐衝撃性の向上
は認められず、逆に50重量部を越えると、得られるPPS
樹脂組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。
このように本発明のPPS樹脂組成物は(A)、
(B)、(C)の各成分から構成されるものであるが、
必要に応じて、本発明とPPS樹脂組成物の性質を損わな
い程度にガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、
セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊
維、炭素繊維等の繊維状強化剤や、ワラステナイト、セ
リサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、
アスベスト、タルク、アルミナシリケート等の珪酸塩、
アルミナ、塩化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化チタン等の金属化合物、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カル
シウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒
化ホウ素、炭化ケイ素、シリカ等の非繊維状強化剤、各
種難燃剤、結晶化促進剤(造核剤)、メルカプトシラ
ン、ビニルシラン、アミノシラン、エポキシシラン等の
シラン系カップリング剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫
外線吸収剤、着色剤等を加えることもできる。
本発明のPPS樹脂組成物の調製手段は特に制限なく、
例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ブラベン
ダー等による加熱溶融混練方法が用いられる。中でも単
軸または二軸押出機を用いた溶融混練方法が好ましい。
なお、溶融混練温度は、PPSの溶融を十分にする点から2
80℃以上、熱分解を防止する点から340℃以下の範囲で
用いるのが好ましい。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂組成物は、
従来より公知の種々の方法、例えば射出成形、押出成
形、発泡成形等の加工方法が可能である。また、用途分
野としては、自動車、電気、電子、機械等の工業材料分
野で、耐熱性、耐衝撃性、難燃性、成形加工性に優れた
成形素材として広範囲に使用することができる。
〈実施例〉 以下、実施例を用いて本発明をさらに詳述する。本実
施例中で用いた%、部および比は特にことわりのない限
り、各々重量%、重量部および重量比を表わす。
また、本実施例中のアイゾット衝撃強さ、熱変形温度
および耐溶剤性は各々下記の測定法により測定した。
アイゾット衝撃強さ:ASTM D256 熱変形温度 :ASTM D648 耐溶剤性試験 :ASTM1号ダンベル 試験片を25℃でヘプタン中に60分間浸漬後、クラック
発生の有無を観察した。
参考例1(PPSの重合) オートクレーブに硫化ナトリウム3,26kg(25モル、結
晶水40%を含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウ
ム三水和物1.36kg(約10モル)およびN−メチル−2−
ピロリドン(以下NMPと略称する)7.9kgを仕込み、撹拌
しながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36kgを含む留出
水約1.5lを除去した。残留混合物に1,4−ジクロルベン
ゼン3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加え、265℃で
4時間加熱した、反応生成物を70℃の温水で5回洗浄
し、80℃で24時間減圧乾燥して、溶融粘度約2,500ポア
ズ(320℃、剪断速度1,000秒−)の粉末状PPS約2kgを
得た(未処理PPS)。
このPPS粉末中の全ナトリウム含有量は1180ppmであっ
た。
同様の操作を繰り返し、以下に記載の実施例に供し
た。
参考例2 本実施例および比較例で使用したN−アリールマレイ
ミド単量体とビニル系単量体から合成するマレイミド系
供重合体(B−1〜B−9)の調製方法を以下に示す。
表1に示した原料単量体のうち、ビニル系単量体混合
物100部を開始剤過酸化ベンゾイル0.3部とともに、メチ
ルエチルケトン100部に溶解して反応槽の中に仕込み、
槽内温度を75℃に保持しながら十分撹拌を行った。この
中にメチルエチルケトン100部に溶解した所定量のN−
アリールマレイミドを所定の速度で滴下しながら重合を
行い、種々の組成をもつマレイミド系供重合体(B−1
〜B−9)を得た。
参考例3 無水マレイン酸含有ビニル系供重合体をアニリンと反
応させた後、脱水閉環せしめる方法により合成するマレ
イミド系供重合体(B−10)の調製方法を以下に示す。
還流コンデンサー、撹拌機および滴下ロートを備えた
重合槽にスチレン60部、メチルエチルケトン50部を仕込
み、系内を窒素ガスで置換した後、温度を85℃に昇温し
た。
一方、別に無水マレイン酸40部と過酸化ベンゾイル0.
15部をメチルエチルケトン180部に溶解した溶液を調製
し、滴下ロートに仕込んだ。槽内温度を85℃に保ち、撹
拌を行いながら、滴下ロートから無水マレイン酸−過酸
化ベンンゾイル−メチルエチルケトン溶液を8時間で連
続的に添加した。添加後さらに1時間85℃保った。無色
透明の粘調な液体が得られた。一部をサンプリングして
ガスクロマトグラフィーにより重合率の測定を行ったと
ころ、スチレン98%、無水マレイン酸99%であった。こ
こで得られた供重合体溶液に無水マレイン酸に対して1.
02部当量のアニリン40.4部、トリエチルアミン0.3部を
加えて160℃で5時間反応させ、マレイミド系供重合体
(B−10)を得た。13C−NMR分析により酸無水物基のイ
ミド基への転化率は99.5%であった。
参考例4 本実施例および比較例で使用した熱可塑性エラストマ
ーを以下に示す。
C−1:エチレン−グリシジルメタクリレート(88/12重
量比)共重合体 C−2:スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(シェ
ル化学(株)製“カリフレックスTRKX65S") C−3:スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合
体(シェル化学(株)製“クレイトンG1650") C−4:酸変性スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン
共重合体(シェル化学(株)製“クレイトンFG1901X") C−5:エポキシ変性スチレン−エチレン/ブチレン−ス
チレン共重合体 C−3 100重量部に対し、グリシジ
ルメタクリレート1重量部、ジ−tert−ブチルパーオキ
サイド0.1重量部をヘンシェルミキサーでドライブレン
ドし、210〜230℃に設定したベント付き2軸押出機を用
いて溶融混練を行い、押し出したストランドをペレタイ
ザーでカットして、エポキシ変性スチレン−エチレン/
ブチレン−スチレン共重合対を得た。
C−6:エチレン−ブテン共重合体(三井石油化学(株)
製“タフマーA−4085") 実施例1 参考例1で得られたPPS粉末と、参考例2で調整した
マレイミド系共重合体B−1および熱可塑性エラストマ
ーC−1とを70/20/10の重量比でドライブレンドし、29
0〜310℃で設定した同方向回転二軸押出機を用いて、ス
クリュー回転数100rpmの条件で溶融混練し、ペレット化
した。このペレットを用いてインラインスクリュー型成
形機にて射出成形を行い、試験片を成形した。(温度条
件設定:290〜310℃、金型温度:140〜150℃)。得られ試
験片について測定したアイゾット衝撃強さ、熱変形温
度、耐溶剤性試験結果を第2表に示す。
実施例2〜4 参考例1で得られたPPS粉末約2kgを90℃に加熱された
pH4の酢酸水溶液20l中に投入し、約30分間撹拌し続けた
後、過し、液のpHが7になるまで約90℃の脱イオン
水で洗浄し、120℃で24時間減圧乾燥して粉末状とした
(酸処理PPS)。
このPPS中の全ナトリウム含有量は274ppmであった。
このPPS粉末と参考例2で調製したマレイミド系共重
合体B−1および熱可塑性エラストマーC−1とを第2
表に示す組成でドライブレンドした以外は実施例1と全
く同様にして混練、成形および測定を行った。結果を第
2表に示す。
実施例5〜9 参考例1で得られたPPS粉末約2kgを100℃に加熱したN
MP20l中に投入し、約30分間撹拌した後、過し、続い
て約90℃のイオン交換水で洗浄し、120℃で24時間真空
乾燥して粉末状生成物を得た(NMP処理PPS)。
このPPS中の全ナトリウム含有量は295ppmであった。
このPPS粉末と参考例2で調製したマレイミド系共重
合体B−2、B−3、B−4および熱可塑性エラストマ
ーC−2、C−3、C−4、C−5とを第2表に示す組
成でドライブレンドした以外は実施例1と全く同様にし
て混練、成形および測定を行った。結果を第2表に示
す。
実施例10〜13 参考例1で得られたPPS粉末約2kgと脱イオン水10lと
をオートクレーブに仕込み、常圧で密閉した後、175℃
まで昇温し、撹拌しながら約30分間保温した後冷却し
た。内容物を取りだし、過し、更に70℃の脱イオン水
約10lの中にPPSを浸漬、撹拌し、過する操作を5回繰
り返した(熱水処理PPS)。
このPPS中の全ナトリウム含有量は288ppmであった。
このPPS粉末と参考例2で調製したマレイミド系共重
合体B−5、B−6、B−4および熱可塑性エラストマ
ーC−1、C−6とを第2表に示す組成でドライブレン
ドした以外は実施例1と全く同様にして混練、成形およ
び測定を行った。結果を第2表に示す。
実施例14、15 未処理PPS、熱水処理PPSと参考例3で調製したマレイ
ミド系共重合体B−10および熱可塑性エラストマーC−
1、C−4とを第2表に示す組成でドライブレンドした
以外は実施例1と全く同様にして、混練、成形および測
定を行った。結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明の組成物(実施例
1〜15)はアイゾット衝撃強さ、熱変形温度、耐溶剤性
の三者が均衡して優れている。
比較例1、2、3 未処理PPSおよび酸処理PPSと参考例2で調製したマレ
イミド系供重合体B−8、B−9、熱可塑性エラストマ
ーC−1とを第3表に示す組成でドライブレンドした以
外は、実施例1と全く同様にして、混練、成形および測
定を行った。結果を第3表に示す。
比較例1、2はマレイミド系供重合体中のN−アリー
ルマレイミド構成単位が10重量%未満であるために、熱
変形温度が実施例1、2に比べて低い。また、比較例3
はマレイミド系供重合体中のN−アリールマレイミド構
成単位が90重量%を越えるためにアイゾット衝撃値が低
く、さらに耐溶剤性試験において、クラックの発生が認
められる。
比較例4、5、6、7 NMP処理PPSと参考例2で調製したマレイミド系供重合
体B−1、B−2および熱可塑性エラストマーC−1、
C−4とを第3表に示す組成でドライブレンドした以外
は実施例1と全く同様に混練、成形および測定を行っ
た。結果を第3表に示す。
比較例4では、PPSとマレイミド系供重合体との組成
比において、PPSが90重量%を越えるため、熱変形温度
が低い。比較例5ではPPSが10重量%未満のため、耐溶
剤性試験においてクラックの発生が認められる。比較例
6では、熱可塑性エラストマーが、PPSとマレイミド系
共重合体100重量部に比して1重量部未満であるために
耐衝撃性が低い。比較例7では、熱可塑性エラストマー
がPPSとマレイミド系共重合体100重量部に対して50重量
部以上であるために、耐熱性が低い。
〈発明の効果〉 本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、耐
衝撃性、耐熱性、耐溶剤性の三者が均衡して優れるもの
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−280250(JP,A) 特開 平2−175743(JP,A) 特開 平1−306467(JP,A) 特開 平4−20556(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 81/00 - 81/02 C08L 35/00,35/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂90〜
    10重量%と (B)N−アリールマレイミド構成単位90〜10重量%と
    ビニル系構成単位10〜90重量%からなるマレイミド系共
    重合体10〜90重量% から構成される樹脂組成物100重量部に対して (C)熱可塑性エラストマー1〜50重量部が配合されて
    なるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】脱イオン処理を施されたポリフェニレンス
    ルフィド樹脂を用いてなる請求項(1)記載のポリフェ
    ニレンスルフィド樹脂組成物。
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