JP2928269B2 - 防カビ・抗菌化粧シート - Google Patents

防カビ・抗菌化粧シート

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は建築物の壁面仕上げ等に用いる防カビ・抗
菌化粧シートに関するものである。
〔従来の技術〕
従来、種々の防カビ・抗菌剤、例えば砒素系薬剤等を
塩化ビニル(以下塩ビと略称)・ゾル中に添加した防カ
ビ・抗菌化粧シートがある。しかしこのような従来の防
カビ・抗菌化粧シートは、その製造工程において塩ビの
発泡成形時の加熱、あるいはエンボス加工を施すための
加熱等により熱を加えると、塩ビの脱塩酸反応、発泡遅
延効果をもたらし、変色を起こしやすく、抗菌力が不十
分になるという欠点、又、防カビ・抗菌剤が塩ビ層表面
にブリードして防カビ・抗菌力の持続性がなくなる、と
いう欠点を有していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
この発明の目的は、建築物の壁面仕上げ等に用いる防
カビ・抗菌化粧シートにおいて、上記従来のものの欠点
を解消し、塩ビの脱塩酸反応を促進しにくくかつ発泡遅
延効果を持たない防カビ・抗菌剤を見出し、このような
防カビ・抗菌剤を用いてさらに確実に加熱時の変色を防
ぎ、又防カビ・抗菌剤の塩ビ層表面へのブリードを抑え
て、防カビ・抗菌力の持続性を持たせた防カビ・抗菌化
粧シートを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は、基材上面に、防カビ・抗菌剤としてN−
フルオロジクロロメチル−フタルイミドを配合した塩化
ビニル・ペーストゾルであって、可塑剤の一部として極
性の強い可塑剤を含む塩化ビニル・ペーストゾルに金属
キレーターを添加し発泡成形した発泡樹脂層を設けたこ
とを特徴とする防カビ・抗菌化粧シートである。
前記基材としては、紙・不織布・布等があるが壁紙用
裏打ち紙を用いるのが好適である。
防カビ・抗菌剤としてのN−フルオロジクロロメチル
−フタルイミド(プリベントールA−3(バイエル
社))は塩ビの脱塩酸反応を促進しにくく、かつ発泡遅
延効果を持たないので好適である。プリベントールA−
3を2部以上配合する。
金属キレーターは、望ましくはZnキレーター、例えば
EC−14(アデカアーガス)を最低1部、後の熱成形加工
条件が厳しい場合には、2〜3部添加する。発泡樹脂に
配合される可塑剤としてはジオクチルフタレート、ジメ
チルフタレート、塩素化パラフィン等があるが、主とし
てDOP(ジオクチル・フタレート)が用いられる。上記
した極性の強い可塑剤としては、DBP(ジブチルフタレ
ート)、BBP(ブチル・ベンジル・フタレート)等があ
り特にBBP(ブチル・ベンジル・フタレート)が好適で
ある。
塩ビ・ペースト・レジン、充填剤(CaCO3)、着色
剤、発泡剤、熱安定性剤については特に限定されるもの
ではなく、従来普通に用いられているものを適宜選択し
て用いれば良い。
壁紙用裏打ち紙に塩ビ・ペーストゾルを、所定濃度で
コーティングしゲル化させる。コーティング方法として
は、コンマ・ダイレクト法、グラビア・ダイレクト法、
グラビア・リバース法、リバース・ロールコート法等が
ある。ゲル化温度は、コーティングのスピードにもよる
が、160〜200℃くらいでよい。コーティング厚は通常15
0〜180μである。
以上のようにして製造した化粧シートベース原反を無
地のまま、あるいは適宜印刷等を施した後、発泡・エン
ボス加工して防カビ・抗菌化粧シートを完成する。
以下にこの発明の実施例として詳述するようにして製
造した防カビ・抗菌化粧シートと、抗菌剤を含まない化
粧シートサンプルとで、その防カビ・抗菌力について比
較してみると以下の通りである。測定条件は、この発明
の後記実施例の方法で製造した化粧シートと抗菌剤を含
まない点を除いては後記実施例の方法と同様にして製造
した化粧シートを、それぞれPVC面を上にしてハートイ
ンフュージョン寒天培地上に置き、大腸菌、黄色ブドウ
状球菌、緑膿菌、黒カビの各々の菌液を均一に噴霧し、
30℃の恒温器内で3日間培養すると、防カビ・抗菌力を
有するものの周囲にはカビ・菌の培養されない地域がリ
ング状に形成される。これを阻止帯という。この阻止帯
の幅を計測・比較することにより防カビ・抗菌力の比較
をすることができる。測定結果は次の通りである。
この結果から、この発明の化粧シートが大きな防カビ
・抗菌力を有していることが分かる。
次いで、この発明のもののように金属キレーター、EC
−14を添加したものとEC−14を添加しなかったものとに
おいて、その熱安定性を比較してみると、この発明のも
のは210℃,180秒の加熱条件においても変色は認められ
なかったが、EC−14を添加しなかったものは、210℃,30
秒の加熱で赤変が認められた。
さらに、この発明の実施例に記載した可塑剤DOPの一
部を極性の強い可塑剤であるBBPに置き換えたものと、D
OP単独系のものとにおいて、その防カビ・抗菌力の持続
性を比較する。測定条件は、カーボンアークフェードで
100時間照射した後のブドウ状球菌に対する阻止帯の幅
を測定することにより、両者の防カビ・抗菌力を比較す
る。その結果、この発明のもののようにDOPの一部をBBP
に置き換えたものは、阻止帯の幅が4mmであったが、DOP
単独系のものはわずか1mmにすぎなかった。この結果か
ら、この発明のもののように可塑剤の一部を極性の強い
ものに置き換えることにより、防カビ・抗菌力の持続性
が飛躍的に向上したことが分かる。
そして、この発明のもののように防カビ・抗菌剤とし
てN−フルオロジクロロメチル−フタルイミド(商品名
プリベントールA−3(バイエル社))を用いたもの
と、他の防カビ・抗菌剤10−10′オキシビスフェノキシ
アルミン(商品名バイナジン(ベントロン社))、2−
(4−チアゾイル)ベンズイミダゾールを用いたものと
において、その熱安定性について比較すると、上記各防
カビ・抗菌剤を実施例の塩ビペーストに3重量部配合
し、実施例と同じ裏打紙に同様の塗工、ゲル化を行った
原反を、210℃雰囲気中で180sec加熱したところ、N−
フルオロジクロロメチルフタルイミドを添加したものは
塩ビの変色は認められなかったが、他の2種を添加した
ものは、黄赤色の変色が認められる。
という結果が得られた。このことから、プリベントー
ルA−3が塩ビの脱塩酸反応を促進しにくく、かつ発泡
遅延効果を持たないので、塩ビ中に配合される防カビ・
抗菌剤としてより好適であることが分かる。
〔作 用〕
この発明の防カビ・抗菌化粧シートは、塩ビ・ペース
トゾル中に金属キレーターを配合し、さらに配合可塑剤
の一部を極性の強いものに置き換えることにより、発泡
成形時及びエンボス加工時に熱を加えても、赤変せず、
しかも抗菌剤の発泡層表面へのブリードがないので、防
カビ・抗菌効果を長く維持できるものである。
〔実施例〕
以下にこの発明の防カビ・抗菌化粧シートに関する実
施例について詳述する。
まず塩ビ・ペーストを準備する。ペーストの配合は以
下の通りである。
重量部 塩化ビニル樹脂 PSL−280(鐘淵化学) 100 充填剤 ホワイトンH(白石工業) 60 着色剤 R−900(デュポン) 20 可塑剤 DOP(協和発酵) 50 極性の強い可塑剤 D−160(三菱化成ビニル)(BB
P) 5 抗菌剤 プリベントールA−3(バイエルン) 4 安定剤 KF85A−5(共同薬造) 2 キレーター EC−14(アデカ・アーガス) 1 粘稠剤 ミネラルスピリッツA(モービル) 10 難燃壁紙用裏打ち紙1(WK−70NRD興人、70g/m2,110
μ厚)上に、上記ペーストをコンマ・ダイレクトコート
で厚さ150μにコーティングし、180℃に加熱してゲル化
させ発泡層2を形成し、ベース原反を得る。さらに該
ベース原反にエンボス加工4を施し化粧シートを完成
する。この際、壁紙用裏打ち紙として、難燃処理を施し
たものを用いている為、防災効果も上がる。
〔発明の効果〕
以上述べたように、この発明の防カビ・抗菌化粧シー
トは、基材上面に、防カビ・抗菌剤を配合した塩化ビ・
ペーストゾルに金属キレーターを添加し、発泡成形した
発泡樹脂層を設けたので、金属キレーターが塩ビの発泡
成形時の脱塩酸反応を抑え、赤変することがない。
又、防カビ・抗菌剤と配合した塩化ビ・ペーストゾル
中の可塑剤の一部を極性の強い可塑剤に置き換えたこと
により、防カビ・抗菌剤の発泡樹脂層表面へのブリード
を抑えることができ、防カビ・抗菌効果の持続性を飛躍
的に向上させることができた。
さらに、この発明の防カビ・抗菌化粧シートは、防カ
ビ・抗菌剤としてプリベントールA−3(バイエル
社)、一般名N−フルオロジクロロメチル−フタルイミ
ドを選択することにより、プリベントールA−3(バイ
エル社)は、塩ビの脱塩酸反応を促進しにくく、かつ発
泡遅延効果を持たないので、より確実に脱塩酸反応によ
る変色を抑えることができた。
このように、この発明は、簡単な手段により、熱安定
性がよく、変色のない、大きな防カビ・抗菌力を有し、
しかも防カビ・抗菌効果が長く持続する。そして、意匠
効果の高い、防カビ・抗菌シートを容易に得ることがで
きる、という大きな効果を有するものである。
又、エンボス加工を施せば、意匠感をさらに向上させ
ることができるし、基材として難撚処理を施したものを
用いれば、防災効果を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は防カビ・抗菌化粧シートの断面図、第2図は第
1図のものにエンボス加工を施した防カビ・抗菌化粧シ
ートの断面図。 1……壁紙用裏打ち紙、2……発泡樹脂層、……ベー
ス原反、4……エンボス加工部分

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上面に、防カビ・抗菌剤としてN−フ
    ルオロジクロロメチル−フタルイミドを配合した塩化ビ
    ニル・ペーストゾルであって、可塑剤の一部として極性
    の強い可塑剤を含む塩化ビニル・ペーストゾルに金属キ
    レーターを添加し発泡成形した発泡樹脂層を設けたこと
    を特徴とする防カビ・抗菌化粧シート。
JP14416389A 1989-06-08 1989-06-08 防カビ・抗菌化粧シート Expired - Lifetime JP2928269B2 (ja)

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