JP2926397B2 - 耐衝撃性鉄系合金球状粒子 - Google Patents

耐衝撃性鉄系合金球状粒子

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JP2926397B2 JP15371497A JP15371497A JP2926397B2 JP 2926397 B2 JP2926397 B2 JP 2926397B2 JP 15371497 A JP15371497 A JP 15371497A JP 15371497 A JP15371497 A JP 15371497A JP 2926397 B2 JP2926397 B2 JP 2926397B2
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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブラスト加工等におけ
る投射材や、ボールミル、アトライター等における粉砕
用ボールとしての使用に耐え得る耐衝撃性を有する鉄系
合金球状粒子及びその製造方法さらにはその使用方法に
関する。
【0002】ここで鉄系合金とは、Feが半分以上含ま
れているものばかりでなく、FeとあわせてNi等の鉄
族元素が主体成分であるものも含む。
【0003】
【従来の技術】上記投射材や粉砕用ボールとして使用さ
れる直径10μm〜2mm程度の大きさである鉄系合金
球状粒子は、従来、鋳鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等をアト
マイズ法等の慣用法により略球形に造粒製造したものを
使用していた。
【0004】しかし、上記造粒製造した粉砕処理鉄系合
金球状粒子は、ブラスト加工における被加工物や粉砕処
理における処理槽壁面との衝突、更には、粉砕処理にお
けるボール相互の衝突により強い衝撃を受けて破砕する
ことが避けられなかった。
【0005】このため、破砕の結果生じる粉塵の処理、
所定の加工を継続させるために破砕損耗分を補充する手
間、補充のたもの鉄系合金球状粒子の費用等は、上記ブ
ラスト加工や粉砕処理のコスト低減のための障害であっ
た。
【0006】一方、金属材料の機械的性質、磁気的性
質、耐食性、超電導等の改善には急冷凝固により非晶質
とする方法が知られている。具体的には、非晶質を呈し
易い組成に調整した合金溶湯をローラアトマイズ法、水
アトマイズ法、ガスアトマイズ法、RSR法、回転水噴
霧法、ガス−水アトマイズ法、超音波アトマイズ法等の
方法により、105 K/秒以上の冷却速度により急冷凝
固させて非晶質の金属材料を得る方法が種々提案されて
いる(特表平6−505533・7−500875号、
特開昭60−24335・61−41733号公報等参
照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの非晶
質金属材料の研究は主に磁性材料や耐食性材料、更に
は、超電導材料としての利用を念頭においたものであっ
て、磁気特性、耐摩耗性、耐食性、更には、超電導特性
等が主に評価されて金属材料の化学組成や製法が決めら
れていた。
【0008】また、磁性材料、耐食性材料(反応容器
等)、超電導材料としての利用形態から、リボン状或い
は線状に形成するために適する溶湯の粘性、表面張力等
を示すように金属材料の化学組成や製法が決められてい
た。
【0009】即ち、本発明者らが知る限りにおいては、
耐衝撃性を求められる用途に適した鉄系合金球状粒子に
関しての具体的な公知刊行物は存在しない。
【0010】そして、鉄系合金球状粒子の製造方法とし
て、図1に示すような水アトマイズ法がある。
【0011】すなわち、溶湯12が充填されたるつぼ1
4の底部の流出孔16から流出させながら、周囲に配設
された複数個の水噴射ノズル18から円錐状になるよう
に噴射して、球状金属粒子を製造する方法である。
【0012】しかし、上記水アトマイズ法では、耐衝撃
性に優れた球状粒子を製造することは、困難視されてい
た。従来組成ではB、Si、P等の半金属元素を含む合
金は、酸化され易い(酸化膜は耐衝撃性に悪影響を与え
る。)上に、溶湯の表面張力も球状化困難なレベルにあ
ると推定される。
【0013】本発明は、上記にかんがみて、従来の製造
設備を使用して容易に製造することの可能な耐衝撃性に
優れた新規な鉄系合金球状粒子及びその製造方法を提供
すると共に、当該鉄系合金球状粒子を投射材として使用
したブラスト加工法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記各構成に
より上記課題を解決するものである。
【0015】(1) 本発明の耐衝撃性鉄系合金球状粒子
は、アトマイズ法で形成されてなるものにおいて、該鉄
系合金球状粒子の組成が、Ni:7〜53原子%、B、
C、Si、P及びGeの群から選択される1種または2
種以上からなる半金属元素:9〜33原子%、Fe:残
部であることを特徴とする。
【0016】(2) 本発明の鉄系合金球状粒子の製造方法
は、組成が、Ni:7〜53原子%、B、C、Si、P
及びGeの群から選択される1種または2種以上からな
る半金属元素:9〜33原子%、必要により、Fe:残
部である耐衝撃性の鉄系合金球状粒子を水アトマイズ法
で製造するに際して、大気雰囲気中で行うことを特徴と
するものである。
【0017】(3) 本発明のブラスト加工処理方法は、上
記(1) の耐衝撃性鉄系合金球状粒子または上記(2) の方
法で製造した耐衝撃性鉄系合金球状粒子を使用してブラ
スト加工をすることを特徴とする。
【0018】
【手段の詳細な説明】上記、各手段について、詳細に説
明をする。以下の説明で、組成の「%」は、とくに断ら
ない限り、「原子%」を意味する。
【0019】(1) 本発明の鉄系合金球状粒子の鉄Fe以
外の添加金属・半金属の添加理由及び上記組成とする理
由は、下記のとおりである。
【0020】Niの含有量の範囲は、7〜53%、望
ましくは、12〜40%、更に望ましくは、15〜30
%とする。
【0021】Niは、耐衝撃性の改善(耐酸化性の向上
に基づくと推定される。)と共に球状化性の改善のため
に添加する。
【0022】Niの含有量が、過少では耐酸化性の向上
効果が得難いとともに、溶湯に球状化可能なレベルの表
面張力を得難い。一方、過多でも、やはり、耐衝撃性が
低下する。その理由は、球状粒子にガス欠陥ができ易い
(本発明者らが観察した。)ためと推定される。
【0023】B、C、Si、P及びGeの群から選択
される1種または2種以上からなる半金属元素の含有量
の範囲は、9〜33%、望ましくは、14〜28%、更
に望ましくは、16〜24%とする。当該半金属元素
は、高硬度化と組織の微細化のために添加する。
【0024】当該半金属元素の含有量が過少では、組織
の微細化及び高硬度化の効果(いずれも耐衝撃性増大に
寄与する。)を得難い。逆に過多では、酸化膜が形成さ
れ易くて脆くなって耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0025】Cr、Mo及びNbの群から選択される
1種または2種以上からなる耐食性付与元素の含有量の
範囲は、1〜15%、望ましくは、2〜12%、更に望
ましくは、3〜10%とする。当該耐食性付与元素は、
耐衝撃性のさらなる増大(耐酸化性の向上及び組織の微
細化に基づくと推定される。)と耐食性の向上のために
添加する。
【0026】当該耐食性付与元素の含有量が過少である
と、合金粒子に耐食性を付与しがたく、さらなる耐衝撃
性の改善が望めず、耐食性付与元素の含有量が過多であ
ると、球状化性に阻害するおそれがあるとともに、不定
形となり耐衝撃性にも悪影響を与えるおそれがある。
【0027】なお、残部を実質的に構成するFeは、通
常、Al、Mn、V、W、Co、Cu、Sn、Ti、Z
r、Ta等の不純物を含むものであっても、それらの含
有量の合計が3%以下であれば鉄系合金球状粒子の耐衝
撃性の低下がほとんど観測されないことが実験的に確か
められており、その程度の不純物を積極的に含ませたと
しても本発明の範囲内である。
【0028】(2) 上記化学組成の鉄系合金球状粒子は、
本発明の第一目的である耐衝撃性を発揮させるために、
下記のような方法で製造することが望ましい。
【0029】溶融させて相溶した液体単層の溶湯を得る
ことが必要であって、このような状態を経ることにより
均一な合金を得ることが可能となる。次いで合金を粒子
化すると共に非晶質、微細結晶質或いはそれらの混在し
た組織とすることにより耐衝撃性に優れた鉄系合金球状
粒子が得られる。
【0030】そのための方法としては、従来、球状粒子
製造には採用が躊躇されていた水アトマイズ法で、可能
であることを本発明者らは発見した。
【0031】即ち、慣用的な造粒法である水アトマイズ
法によりこの鉄系合金球状粒子を製造する場合には、粒
子径が2mm以下となるような製造条件を選定すれば、
略球形の鉄系合金球状粒子が得られ、該鉄系合金球状粒
子は、非晶質、微細結晶質或いはそれらの混在した組織
となり高い耐衝撃性を示すことが分かった。
【0032】また、このようにして得た鉄系合金球状粒
子をショットピーニング処理やバリ取り等のブラスト加
工の投射材として使用した場合下記のような効果を奏す
る。
【0033】本発明の鉄系合金球状粒子は硬度が高くか
つ耐衝撃性に優れているから、能率よく所定の加工を施
すことができる。
【0034】また、該鉄系合金球状粒子は、上記の同様
の理由で、破砕による損耗が少ない。従って、破砕の結
果生じる粉塵の処理、所定の加工を継続させるために破
砕損耗分を補充する手間、そのための鉄系合金球状粒子
の費用等である加工のコストを大幅に低減させることが
可能となる。
【0035】
【試験例】以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳し
く本発明を説明する。
【0036】なお、各実施例・比較例の耐衝撃性を確認
するために行った衝撃破砕試験は、SAE(Society of
Automotive Engineers, Inc.)J445に準じて行っ
た。即ち、約200μm各粒子を60m/sの速度で鋳
鉄製ターゲット(ビッカース硬度:Hv760)に衝突
させ、破砕粉末を篩別除去し、秤量して残留粒子の重量
割合を求め、これを数回繰り返す方法によリ評価をし
た。
【0037】衝撃破砕寿命比の値は、表1に示す通り、
比較例1(従来の鋳鋼)の破砕寿命値を100とした場
合の指数であって、衝撃寿命値は、この試験により得た
衝突回数と残留粒子重量割り合いの関係を示す曲線を積
分して得られる数値とした。
【0038】<試験例1>本試験例においては、Niを
含有させた場合の効果を調べるために、それぞれNiの
含有量を変えて、前述の図1に示す円錐式水アトマイズ
法を下記条件で製造した平均粒径200μmの粒子を製
造した。
【0039】<条件>流出穴径:6mmφ、噴射角度θ:
35°、噴射圧力:100kgf/cm2(9.8 MPa)、雰
囲気:大気中 比較例1の球状金属粒子は、新東ブレーター製の商品記
号「SBM210」として慣用的に市販されている、粒
径約200μmの鋳鋼製投射材である。
【0040】それらの衝撃破砕寿命比を示す表1によれ
ば、従来の鋳鋼(比較例1)の破砕寿命を100とした
場合の指数である衝撃破砕寿命比は、Niを含有させな
い場合(比較例2)には28、Niを含有させたとして
もその含有量が過少である(比較例3)では170と耐
衝撃性が低いのに対して、Niの含有量が本発明の範囲
内である(実施例1〜3)とすれば大幅な耐衝撃性の改
善がみられることが分かる。
【0041】また、このようにNiを含有させない場合
(比較例2)やNiを含有させたとしてもその含有量が
過少な場合(比較例3)には球形の粒子を得ることが難
しいことが分かる。
【0042】さらに、Niの含有量を増加させた場合に
ついて、耐衝撃性を見ると、10%の場合は2200で
あるのに対し(実施例1)、30%の場合では5500
とさらに改善が見られるが(実施例2)、50%では3
800と耐衝撃性は低下傾向を示し(実施例3)、55
%では、ガス欠陥の増加により、600と大幅に低下す
る(比較例4)。
【0043】ここで、比較例1の粒子「SBM−21
0」は、C:0.96wt%、Si:0.67wt%、M
n:0.74wt%、P:0.02wt%、S:0.02wt
%、残部:Feの組成である。実施例1ないし3及び比
較例2、3、4の粒子は表1に記載のNi分のほか、B
12%、Si10%含有させ、残部は実質的にFeであ
る組成とした。
【0044】
【表1】
【0045】<試験例2>本試験例においては、B、
C、Si、Pを含有させた場合の効果を調べるために、
それぞれそれらの含有量を変えて、試験例1と同様の条
件で円錐式水アトマイズ法により粒径200μmになる
ように急冷凝固粒子を製造した。
【0046】それらの衝撃破砕寿命比を示す表2によれ
ば、B5%、Si3%含有(合計含有量8%)させた比
較例5の衝撃破砕寿命比の値は60に過ぎないのに対
し、B10%含有(合計含有量10%)させた実施例4
では4500と粒子の耐衝撃性が大幅に改善される。こ
のような耐衝撃性の改善はB、C、Si、Pのいずれか
を2種類以上含有させるとしても同様であって、例え
ば、Siを10%、Cを8%(合計含有量18%)では
4700、Bを15%、Siを10%(合計含有量25
%)7200と合計含有量に比例した耐衝撃性の改善が
みられる。さらに合計含有量を増加させれば、Bが15
%、C、Si、Pのそれぞれが5%(合計含有量30
%)である実施例7においては4000と耐衝撃性に低
下傾向が現れ、B、Siのそれぞれが20%(合計含有
量40%)である比較例6では35、あるいは、Bが1
5%、Siが10%、C、Pのそれぞれが5%(合計含
有量35%)である比較例7では45と合計含有量が3
0%を超えれば耐衝撃性は大幅に低下する。従って、
B、C、Si、Pの1種類または2種類以上を合計で1
0〜30%含有させるとすれば耐衝撃性に優れた粒子が
得られるのである。なお、球状化性に関しては、いずれ
の実施例及び比較例の粒子も球形となって、B、C、S
i、Pの含有が粒子の球状化性に影響しないことが確か
められた。
【0047】ここで、実施例4ないし7及び比較例5、
6、7の粒子は、表2に記載の各成分のほか、Ni30
%含有させ、残部は実質的にFeである組成とした。
【0048】
【表2】
【0049】<試験例3>本試験例においては、Cr、
Mo、Nbを含有させた場合の効果を調べるために、そ
れぞれそれらの含有量を表3に示す如く変えて試験例1
と同様の条件で円錐式水アトマイズ法により平均粒径2
00μmになるように急冷凝固粒子を製造した。
【0050】本試験例においては、上記衝撃破砕寿命比
の他に、それらの耐食性を腐食度により比較した。腐食
度は、HCl(5N)水溶液中に200時間浸漬させた
場合の腐食による重量減少量を測定し、当初の重量との
比の値を算出し、その値を、Cr、Mo、Nbを含有さ
せない場合の実施例6の結果を100として、比較して
求めた。
【0051】これらの結果を示す表3によれば、Cr、
Mo、Nbから選択される耐食性付与元素を含有させな
い比較例8(Niおよび半金属元素の含有量は本発明の
範囲内にある。)の腐食による重量減少割合を100と
して表した腐食度は、Cr5%含有(合計含有量5%)
させた実施例8では26と大幅に改善されていて、Cr
の含有が腐食を抑制するものであることが分かる。この
ような耐食性の改善は、Cr、Mo、Nbのいずれかを
2種類以上を含有させるとしても同様であって、例え
ば、Cr5%、Mo2%(合計含有量7%)の実施例9
では18、Cr8%、Nb5%(合計含有量13%)の
実施例10では16、Mo10%、Nb3%(合計含有
量13%)の実施例11では15と合計含有量に比例し
た耐食性の改善がみられる。
【0052】耐衝撃性においても、Cr、Mo、Nbの
いずれか1種または2種を含有させた実施例8〜11は
耐衝撃寿命比5600〜7000と、それらの含有させ
ない比較例8(Ni及び半金属の含有量は本発明の範囲
内にある。)の耐衝撃寿命比4700に比して、増大し
ていることが分かる。
【0053】さらに、耐食性付与元素の合計含有量を増
加させ、18%とした比較例9では、形状が不定形とな
ると共に腐食度も20と余り増大しないとともに、衝撃
破砕寿命比も2000と大幅に低下することが分かる。
【0054】従って、Cr、Mo、Nbの1種類または
2種類以上を合計で15%以下含有させるとすれば、耐
衝撃性、耐食性、球状化性に優れた粒子が得られる。
【0055】ここで、実施例8〜11及び比較例8、9
の各粒子は、表3に記載の各成分のほか、Ni20%、
B12%、Si8%、C4%、P2%含有させ、残部は
実質的にFeである組成とした。
【0056】
【表3】
【0057】<応用試験例>本実施例においては、本発
明の鉄系合金球状粒子を投射材として採用した場合の効
果を調べるために、ショットピーニング処理における投
射材の影響について、下記条件で、ブラスト加工(ショ
ットピーニング処理)を行って、下記基準で評価をし
た。
【0058】ブラスト装置:新東ブレーター社製「加圧
式エアブラスト装置AB」 被処理物:クランクシャフト(材質SCM420、ロッ
クウェル硬度HRC63) 処理条件:噴射圧力0.4 MPa、噴射ノズル口径6mm、
噴射距離120mm、噴射量8kg/min 評価基準:噴射延べ時間500時間に達するまでショッ
トピーニング加工を継続させるために補充した投射材の
重量を消耗量として比較した。
【0059】なお、応用実施例に使用した投射材は、F
e:50%、Ni:22%、B18%、Si:10%で
あり、試験例1と同様の条件で円錐式水アトマイズ法で
平均粒径300μmとなるように製造したものである。
応用比較例は、投射材として、新東ブレーター製の商品
記号「SB−3」として慣用的に市販されている、粒径
約300μmのものを使用した。なお「SB−3」の組
成は、前述の「SBM−210」と同様、C:0.96
wt%、Si:0.67wt%、Mn:0.74wt%、P:
0.02wt%、S:0.02wt%、残部:Feである。
【0060】その結果は、投射材消耗量において応用比
較例:160kgであったのに対し、応用実施例:10
kgと格段に少なかった。
【0061】なお、ショットピーニング処理の効果を示
す特性値である処理後の被処理物品の表面圧縮残留応力
を測定したが(測定方法:X線応力測定法)、応用比較
例:550MPaであったのに対して、応用実施例:6
80MPaと高い結果がでた。
【0062】ちなみに、このようなショットピーニング
処理効果に関する優位性は、高硬度であることによると
考えられるが、鋳鋼等においては熱処理等によりその硬
度を高めれば、脆くなって耐衝撃性が悪化する傾向があ
って、本発明の鉄系合金球状粒子のように硬度と耐衝撃
性を併せもつ投射材は、従来得難かったのである。
【0063】
【発明の作用・効果】本発明の鉄系合金球状粒子は、上
記の如く、強い衝撃を受ける用途に使用しても破砕し難
く、破砕の結果生じる粉塵の処理、所定の加工を継続さ
せるために破砕損耗分を補充する手間、そのための鉄系
合金球状粒子の費用等である加工のコストを大幅に低減
させることが可能である。
【0064】上記耐衝撃性及び球状化性の向上は、それ
ぞれ特定量のNi及び半金属元素の含有による、バラン
スの採れた耐酸化性の向上及び表面張力の増大、さらに
は、合金組織の緻密化、粒子の硬度の向上に起因するも
のと推定される。さらに、耐食性付与元素を含有させた
場合は、合金組織が緻密化するとともに耐酸化性も向上
して、耐衝撃性が増大するものと推定される。
【0065】また、高価な不活性ガスアトマイズ法でな
くても、水アトマイズ法等の大気雰囲気中で慣用的に使
用されている方法で、本発明の耐衝撃性に優れた鉄系合
金球状粒子を得ることができ、新しくその製造のための
高価な設備を備えるといった必要もなくて経済的であ
る。
【0066】さらに、比較的安価で入手の容易なFe、
Ni、B、C、Si、Cr、Moといった成分で構成し
たから、安価かつ大量に製造することができて、投射材
のような大量に使用される用途に、好適に採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円錐式水アトマイズ法の原理図である。
【符号の説明】
12 溶湯 14 るつぼ 16 流出孔 18 水噴射ノズル θ 噴射角度
フロントページの続き (72)発明者 奥村 潔 愛知県西春日井郡西春町大字宇福寺神明 51番地 新東ブレータ株式会社内 (72)発明者 梶田 浩二 愛知県西春日井郡西春町大字宇福寺神明 51番地 新東ブレータ株式会社内 (72)発明者 黒崎 順功 愛知県西春日井郡西春町大字宇福寺神明 51番地 新東ブレータ株式会社内 (72)発明者 高橋 徹 愛知県西春日井郡西春町大字宇福寺神明 51番地 新東ブレータ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−125980(JP,A) 特開 昭55−58978(JP,A) 特開 平8−193251(JP,A) 特開 平6−81009(JP,A) 特公 昭57−15644(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 9/08 B24C 11/00 C22C 19/03 C22C 38/00 302 C22C 38/08

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アトマイズ法で形成されてなる鉄系合金
    球状粒子において、該鉄系合金球状粒子の組成が、 Ni:7〜53原子%、B、C、Si、P及びGeの群
    から選択される1種または2種以上からなる半金属元
    素:9〜33原子%、Fe:残部であることを特徴とす
    る耐衝撃性鉄系合金球状粒子。
  2. 【請求項2】 前記鉄系合金球状粒子の組成が、Ni:
    12〜40原子%、前記半金属元素:14〜28原子
    %、Fe:残部であることを特徴とする請求項1記載の
    耐衝撃性鉄系合金球状粒子。
  3. 【請求項3】 前記半金属元素が、B及びSiの一方ま
    たは双方のみからなることを特徴とする請求項2記載の
    耐衝撃鉄系合金球状粒子。
  4. 【請求項4】 アトマイズ法で形成されてなる鉄系合金
    球状粒子において、該鉄系合金球状粒子の組成が、 Ni:7〜53原子%、B、Si、C及びPの群から選
    択される1種または2種以上からなる半金属元素:9〜
    33原子%、Cr、Mo及びNbの群から選択される1
    種または2種以上からなる耐食性付与元素:1〜15原
    子%、Fe:残部であることを特徴とする耐衝撃性鉄系
    合金球状粒子。
  5. 【請求項5】 前記鉄系合金球状粒子の組成が、Ni:
    12〜40原子%、前記半金属元素:14〜28原子
    %、Fe:残部であることを特徴とする請求項4記載の
    耐衝撃性鉄系合金球状粒子。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の耐衝撃性
    鉄系合金球状粒子を用いてブラスト加工を行うことを特
    徴とする耐衝撃性鉄系合金球状粒子の使用方法。
  7. 【請求項7】 組成が、Ni:7〜53原子%、B、
    C、Si、P及びGeの群から選択される1種または2
    種以上からなる半金属元素:9〜33原子%、Fe:残
    部である耐衝撃性の鉄系合金球状粒子をアトマイズ法で
    製造するに際して、大気雰囲気中で行うことを特徴とす
    る耐衝撃性鉄系合金球状粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記鉄系合金球状粒子の組成が、Ni:
    12〜40原子%、前記半金属元素:14〜28原子
    %、Fe:残部であることを特徴とする請求項7記載の
    耐衝撃性鉄系合金球状粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記半金元素が、B及びSiの一方また
    は双方のみからなりることを特徴とする請求項8記載の
    耐衝撃鉄系合金球状粒子。
  10. 【請求項10】 組成が、Ni:7〜53原子%、B、
    Si、C、P及びGeの群から選択される1種または2
    種以上からなる半金属元素:9〜33原子%、Cr、M
    o及びNbの群から選択される1種または2種以上から
    なる耐食性付与元素:1〜15原子%、Fe:残部であ
    る鉄系合金球状粒子を製造するに際して、大気雰囲気中
    水アトマイズ法で行うことを特徴とする耐衝撃性鉄系合
    金球状粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記鉄系合金球状粒子の組成が、N
    i:12〜40原子%、前記半金属元素:14〜28原
    子%、Fe:残部であることを特徴とする請求項10記
    載の耐衝撃性鉄系合金球状粒子。
  12. 【請求項12】 請求項7〜11のいずれかに記載の方
    法で製造した耐衝撃性鉄系合金球状粒子を投射材として
    ブラスト加工を行うことを特徴とするブラスト加工処理
    方法。
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