JP2921735B2 - 股部を有する下半身用衣類 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、股部を有しウエストラ
イン近傍に上端を有する下半身用衣類に関するものであ
る。特に本発明は、立位姿勢時はお腹押さえ機能を効果
的に発揮し、座位時などのお腹、ウエスト部位などを圧
迫する姿勢時においては、腹部近傍の圧迫が緩められる
機能を有する股部を有しウエストライン近傍に上端を有
する下半身用衣類に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ショートタイプのガードル、
ロングタイプのガードルなどのファンデーション類や、
スパッツ、タイツなどフィットタイプの股部を有しウエ
ストライン近傍に上端を有する下半身用衣類は広く用い
られている。

【０００３】従来のこの種の衣類においては、通常、腹
部の贅肉などの膨出を抑えて、腹部の形状ができるだけ
美しく見える様にするために、例えば、腹部のほぼ中央
部を伸びのない、または、ほぼ衣類の縦方向にのみ伸び
る布地からなる腹部充当部片で構成し、その周囲に接ぎ
合わされて充当される身頃を伸縮性の布地で構成する
か、あるいは、下半身用衣類本体を伸縮性の布地で構成
し、腹部のほぼ中央部を伸びのないまたはほぼ衣類の縦
方向にのみ伸びる布地からなるお腹押えを衣類本体布の
表側または裏側から当てがっているものが一般的であ
る。

【０００４】そして従来のこの種の衣類は、通常、ほぼ
人体の立位姿勢の状態を想定した形に設計されているも
のが大部分である。以下、説明を簡便にし、理解を容易
にするために、その一例として、例えば女性用のロング
タイプのガードル（ロングガードル）を用いて説明す
る。

【０００５】従来のロングガードルの最も一般的な一態
様の前側から見た平面図を図８に、その後側から見た平
面図を図９に示した。図８、図９に於いて、１１１は前
部中央部片、１１２は前部中央部片の接ぎライン、１１
３は股下部を構成するクロッチ部充当部片、１１４は腹
部充当部片ならびに前部中央部片の周囲に充当され左右
の脇−太もも部を構成する身頃、１１５はクロッチ部充
当部片１１３と前部中央部片１１１ならびに左右の脇−
太もも部を構成する身頃１１４との接ぎラインを表わし
ている。また、１１６はお腹押さえ（腹部充当部片）を
示す。１１７は後中央部片で左右の２枚の布で構成され
ており、１１８はその接ぎライン、１１９はクロッチ部
充当部片１１３と後中央部片１１７ならびに左右の脇−
太もも部を構成する身頃１１４との接ぎラインを表わし
ている。

【０００６】お腹押さえ（腹部充当部片）１１６は前述
した様に伸びのないまたはほぼ衣類の縦方向にのみ伸び
る布地から構成されている。そして、図８、図９に示し
た如く前中心と後中心が重なる様に揃えてなるべく平坦
になるように置いたいわゆる平置きの状態にした場合に
前中心丈ａと後中心丈ａ´の長さは、ほぼ同じか、前中
心丈の方が後中心丈よりも若干長く設計されているもの
が大部分である。前中心丈の方が後中心丈よりも若干短
く設計されているものも存在するが、せいぜい前中心丈
がその後中心丈よりも５％以下短い程度であり、機能を
考慮したものではなくデザイン上、前中心丈を短くして
いるものである。これは、前述した様に通常かかる下半
身用の衣類は立位姿勢時の状態での設計が主として考慮
されているからである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
のお腹押さえを備えた股部を有する下半身用衣類は、人
体にタイトにフィットさせて着用されており、立位姿勢
時はお腹押さえ機能を効果的に発揮するが、座位時など
のお腹、ウエスト部位などを圧迫する姿勢時において
は、人体腹部表面は縦方向には縮み、横方向には拡張さ
れるため、お腹押さえ等のウエストから腹部にかけての
前側の布地が折り畳まれて皺が発生し、皺が発生すると
その分、布地が厚手になったと同様の作用により、お腹
押さえ等のパワーが大きくなり皺による押さえつけで不
快感が大きくなるのと、更に人体腹部表面を横方向に拡
張しようとする作用によりこの皺が横方向に引っ張られ
て一層腹部を圧迫するパワーが相乗的に作用することに
なり、座位時やしゃがんだ時などの姿勢時においては、
不必要に腹部を圧迫することになるため、不快感が増大
し、着用感が良くないと言う問題があった。

【０００８】また、着用感を良くするため、従来のかか
る下半身用衣類の設計に於いて、ただ単にお腹押さえの
部分を伸縮性の良い生地で置き換えることも考えられる
が、それでは腹部形状補整機能が十分発揮できなくなる
という問題がある。

【０００９】（１）本発明は、従来の股部を有しウエス
トライン近傍に上端を有する下半身用衣類のかかる問題
点を改良し、立位姿勢時は腹部形状補整機能を効果的に
発揮し、座位時などの姿勢時においては、腹部近傍の圧
迫が緩められて、不快感が生じにくく、座位時などに於
いても着用感が優れ、正常位置に容易に装着しやすい股
部を有しウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣
類を提供することを目的とする。

【００１０】また、そのほか後述する本発明の好ましい
態様においては、前記目的のほかにそれぞれの態様に応
じて、それぞれ次の様な目的を有する。 （２）すなわち、更に本発明は正常位置に一層容易に装
着しやすく、立位姿勢時の腹部形状補整機能がより効果
的に発揮され、運動時においても着崩れが生じる恐れが
より少ない股部を有しウエストライン近傍に上端を有す
る下半身用衣類を提供することを目的とする。

【００１１】（３）更に本発明の別の目的は、座位時な
どの姿勢時において、更に圧迫感が少なく、より着用感
の優れた、股部を有しウエストライン近傍に上端を有す
る下半身用衣類を提供することにある。

【００１２】（４）更に本発明の別の目的は、立位姿勢
時の腹部形状補整機能と座位姿勢時の不快感の減少、着
用感の向上とを容易に達成し得る股部を有しウエストラ
イン近傍に上端を有する下半身用衣類を提供することに
ある。

【００１３】（５）更に本発明の別の目的は、入手が容
易で、目的の物性が容易に得られる弾性繊維を用いて立
位姿勢時の腹部形状補整機能と座位姿勢時の不快感の減
少、着用感の向上とを容易に達成し得、また、着用時の
衣類外観の優れた股部を有しウエストライン近傍に上端
を有する下半身用衣類を提供することにある。

【００１４】（６）更に本発明の別の目的は、着用時に
着用しやすく、着用感のよりすぐれた股部を有しウエス
トライン近傍に上端を有する下半身用衣類を提供するこ
とにある。

【００１５】（７）更に本発明の別の目的は、前述の目
的が効果的に有効に達成し得る具体的な下半身用衣類を
提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の下半身用衣類は、次の構成を有するもので
ある。

【００１７】（１）股部を有しウエストライン近傍に上
端を有する伸縮性布地からなる下半身用衣類であって、
前記下半身用衣類の腹部部分が伸縮性布地からなる腹部
充当部片で構成されており、前記腹部充当部片は衣類縦
方向において１５％伸長時の応力が１０〜２５０ｇｆ
で、５０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、且つ、５０
％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の２．５倍以上で
ある伸縮性布地からなり、前記下半身用衣類の前中心丈
がその後中心丈よりも１０〜２０％短いことを特徴とす
る下半身用衣類。

【００１８】（２）腹部充当部片が、衣類縦方向におい
て１５％伸長時の応力が１０〜８０ｇｆで、５０％伸長
時の応力が１５０ｇｆ以上で、且つ、５０％伸長時の応
力が１５％伸長時の応力の２．５倍以上である伸縮性布
地からなる腹部充当部片である前記（１）項に記載の下
半身用衣類。

【００１９】（３）腹部充当部片が、衣類縦方向ならび
に横方向に伸縮性の布地からなる腹部充当部片である前
記（１）項または（２）項のいずれかに記載の下半身用
衣類。

【００２０】（４）腹部充当部片が弾性繊維含有編物か
らなる腹部充当部片である前記（１）〜（３）項のいず
れかに記載の下半身用衣類。 （５）腹部充当部片が、ポリウレタン繊維含有パワーネ
ット、ポリウレタン繊維含有ツーウェイトリコットから
選ばれた伸縮性編物からなる腹部充当部片である前記
（１）〜（３）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００２１】（６）腹部充当部片の周囲に充当されてい
る身頃が、ポリウレタン繊維含有パワーネット、ポリウ
レタン繊維含有ツーウェイトリコットから選ばれた伸縮
性編物からなる布地で構成されている前記（１）〜
（５）項のいずれかに記載の下半身用衣類。

【００２２】（７）股部を有しウエストライン近傍に上
端を有する伸縮性布地からなる下半身用衣類が、ガード
ルである前記（１）〜（６）項のいずれかに記載の下半
身用衣類。

【００２３】

【作用】

（１）本発明の下半身用衣類は、股部を有しウエストラ
イン近傍に上端を有する伸縮性布地からなる下半身用衣
類であって、前記下半身用衣類の腹部部分が伸縮性布地
からなる腹部充当部片で構成されており、前記腹部充当
部片は衣類縦方向において１５％伸長時の応力が１０〜
２５０ｇｆで、５０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、
且つ、５０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の２．
５倍以上の伸縮性布地からなり、前記下半身用衣類の前
中心丈がその後中心丈よりも１０〜２０％短い。従っ
て、前中心丈がその後中心丈よりも１０〜２０％短いこ
とと腹部充当部片が特定の伸縮性布地からなっているの
で、非伸長時においては本発明の衣類の腹部は座位姿勢
時の人体腹部縦方向の寸法に近い短目の縦方向の寸法と
なっており、立位姿勢をとった場合には、腹部充当部片
がほぼ縦方向に伸ばされ、伸ばされたことにより応力が
増大するので腹部を押さえるパワーが発揮され、有効な
腹部形状補整機能を発揮することになる。しかも前記腹
部充当部片は衣類縦方向において１５％伸長時の応力が
１０〜２５０ｇｆであるので座位の姿勢から立位の姿勢
に移った時に、人体の腹部表面が縦に伸びるのに追従し
て本発明の衣類の前側腹部近傍部分が容易に縦方向に伸
びることができる。一方座位の姿勢をとった場合には、
前述した様に人体腹部表面は縦方向に縮むが、それに伴
って腹部充当部片が縦方向に縮み、前中心丈が短くな
り、従って、人体腹部表面が縦方向に縮んでもほぼそれ
に追従して腹部充当部片が縮むので、余り皺が発生せ
ず、従って座位時などの姿勢時において、立位時にかか
っていた腹部近傍の押圧力が緩められ、不快感が生じに
くく、座位時などに於いても着用感の優れた股部を有し
ウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣類を提供
できる。

【００２４】しかも、前記腹部充当部片は衣類縦方向に
おいて５０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、且つ、５
０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の２．５倍以上
である伸縮性布地からなっているので、これはより多く
伸ばそうとすると応力が大きくなり伸びにくくなること
を意味しており、腹部部分が必要以上に伸びることがな
く、従って、着用時にウエスト部分を引っ張り上げなが
ら着用するが、不必要に伸び過ぎないのでウエスト位置
を容易に適性位置に決めて着用でき、また、捩じれて着
用してしまう恐れも少なく、適性位置に装着しやすいと
共に、立位時に於ける腹部充当部片の応力がある程度以
上伸びた時点で大きくなり、したがって、立位姿勢時の
腹部形状補整機能が効果的に発揮され、運動時において
もずるずると伸び過ぎて運動などの際に着崩れが生じる
恐れがない下半身用衣類を提供できる。

【００２５】（２）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、衣類縦方向において１５％伸長時
の応力が１０〜８０ｇｆで、５０％伸長時の応力が１５
０ｇｆ以上で、且つ、５０％伸長時の応力が１５％伸長
時の応力の２．５倍以上である伸縮性布地からなる腹部
充当部片である本発明の好ましい態様とすることによ
り、前記機能のうち、特に座位の姿勢から立位の姿勢に
移った時に、人体の腹部表面が縦に伸びるのに追従して
本発明の衣類の前側腹部近傍部分がより容易に縦方向に
伸びることができる。更に不必要に伸び過ぎないように
する機能も大きくなり、適性位置により装着しやすくな
ると共に、立位時に於ける腹部充当部片の応力がある程
度以上伸びた時点で更に大きくなり、立位姿勢時の腹部
形状補整機能がより効果的に発揮され、したがって運動
時においても着崩れが生じる恐れがより少なくされた下
半身用衣類を提供できる。

【００２６】（３）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、衣類縦方向ならびに横方向に伸縮
性の布地からなる腹部充当部片である本発明の好ましい
態様とすることにより、座位姿勢をとった場合、人体腹
部表面が縦方向には縮小され横方向に拡張されるが、座
位姿勢時に腹部充当部片がより一段と横方向に伸びる余
裕があるので、座位などの姿勢をとった際においても、
更に圧迫感が少なく、より着用感の優れた、股部を有し
ウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣類を提供
できる。また、従来品においてただ単に腹部充当部片
を、衣類縦方向ならびに横方向に伸縮性の布地からなる
腹部充当部片に置き換えただけでは、腹部充当部片が
縦、横方向に伸縮性を有するので、腹部形状補整機能が
十分発揮できなくなるという問題があるが、本発明にお
いては、前述した様に前中心丈がその後中心丈よりも１
０〜２０％短いことにより、非伸長時においては本発明
の衣類の腹部は座位姿勢時の人体腹部縦方向の寸法に近
い短目の縦方向の寸法となっており、立位姿勢をとった
場合には、腹部充当部片がほぼ縦方向に伸ばされ、伸ば
されたことにより応力が増大するので腹部を押さえるパ
ワーが発揮され、有効な腹部形状補整機能は保持される
のである。

【００２７】（４）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が弾性繊維含有編物からなる腹部充当
部片である本発明の好ましい態様とすることにより、腹
部充当部片として、目的の伸縮性を有するものが容易に
作成でき、従って立位姿勢時の腹部形状補整機能と座位
姿勢時の不快感の減少、着用感の向上とを容易に達成し
得る股部を有しウエストライン近傍に上端を有する下半
身用衣類を容易に提供できる。

【００２８】（５）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、ポリウレタン繊維含有パワーネッ
ト、ポリウレタン繊維含有ツーウェイトリコットから選
ばれた伸縮性編物からなる腹部充当部片である本発明の
好ましい態様とすることにより、ポリウレタン繊維は弾
性繊維の中でも入手が容易で、弾性繊維の中でも各種グ
レードが豊富であり、耐洗濯性、その他の物性も優れて
おり、パワーネット、ツーウェイトリコットなどの編物
とすることにより、余り厚くならず、従って通気性も比
較的良好でまた腹部充当部片が厚い場合にその部分が外
側に突出して着用時の衣類の外観などが損なわれると言
った欠点がなく、しかも立位時において必要な腹部形状
補正機能を発揮し得る股部を有しウエストライン近傍に
上端を有する下半身用衣類を容易に提供できる。

【００２９】（６）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片の周囲に充当されている身頃が、ポリ
ウレタン繊維含有パワーネット、ポリウレタン繊維含有
ツーウェイトリコットから選ばれた伸縮性編物からなる
布地で構成されている本発明の好ましい態様とすること
により、腹部充当部片の周囲に充当されている身頃が比
較的容易に伸びやすいので、着用時に容易に広げて着用
でき、着用時に着用しやすく、しかも裾や臀部も比較的
身体の形状に沿って伸びてフィットしやすいので着用感
のよりすぐれた股部を有しウエストライン近傍に上端を
有する下半身用衣類を提供できる。しかも余り分厚くな
らず、従って通気性も比較的良好な下半身用衣類を提供
できる。

【００３０】（７）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、股部を有しウエストライン近傍に上端を有する伸縮
性布地からなる下半身用衣類が、ガードルである本発明
の好ましい態様とすることにより、ガードルは、腹部の
膨出を抑え、下半身部のシルエットを整える機能を有し
ているので、肌側に比較的タイトに密着するため、下半
身用の衣類としては極めて腹部形状補整機能が重視さ
れ、また、着用感の影響が大きい衣類であり、前述の機
能が非常に有効に効果的に発揮される下半身用衣類を衣
類を提供できる。

【００３１】

【実施例】本発明の下半身用衣類としては、伸縮性布地
が用いられて作成されており、その上端がウエストライ
ン近傍までカバーしている下半身用衣類であって、股部
を有しており、身体に比較的フィットさせて着用される
下半身用衣類であればよく、具体的にはショートタイプ
のガードル、ロングタイプのガードルなどのファンデー
ション類や、スパッツ、タイツなどフィットタイプの股
部を有しウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣
類などに適用できる。

【００３２】以下、本発明の理解を容易にするために、
図面を参照しながら、本発明の一実施例のガードルにつ
いて説明するが、本発明は、この実施例のもののみに限
定されるものではなく、本発明の技術思想を他のタイプ
の上端がウエストライン近傍までカバーしている伸縮性
布地を用いた下半身用衣類であって、股部を有してお
り、身体に比較的フィットさせて着用される下半身用衣
類に適用し得る事は上述した通りである。

【００３３】図１は本発明の下半身用衣類の一実施例の
ガードルの前中心と後中心が重なる様に揃えてなるべく
平坦になるように置いたいわゆる平置きの状態にした場
合の前側から見た平面図、図２は図１のガードルの後側
から見た平面図、図３は図１、図２のガードルの立位に
おける着用状態での斜め前側から見た斜視図、図４は図
１〜３のガードルを構成する生地の展開図のうちの腹部
充当部片ならびにクロッチ部充当部片とその表カバーを
構成する生地の展開図、図５は図１〜３のガードルを構
成する生地の展開図のうちの腹部充当部片の周囲に充当
されている身頃と後中央部片を構成する生地のそれぞれ
の左身用の生地の展開図、図６は図１〜３のガードルの
座位における着用状態での側面図（但し、腹部充当部片
ならびにクロッチ部充当部片の表カバーの図示を省略し
た状態）、図７は図１〜３のガードルの立位における着
用状態での側面図（但し、腹部充当部片ならびにクロッ
チ部充当部片の表カバーの図示を省略した状態）を示し
ている。

【００３４】図１〜７において、１、２、２´、３は腹
部充当部片を構成する各小部片を示し、１が上部腹部充
当小部片、２、２´が中間部腹部充当小部片、３が下部
腹部充当小部片であり、４はクロッチ充当部片を示して
いる。以下、１、２、２´、３をまとめて腹部充当部片
と称し、１、２、２´、３、４をまとめて腹部−クロッ
チ部充当部片と称する。５、６、７は腹部−クロッチ部
充当部片の表カバーであり、５が上部腹部充当小部片表
カバー、６が中間部腹部充当小部片表カバー、７が下部
腹部充当小部片及びクロッチ部充当部片表カバーであ
り、以下、５、６、７をまとめて腹部−クロッチ部充当
部片表カバーと称する。

【００３５】８は左身の腹部充当部片の周囲に充当され
ている身頃を示しており、この身頃は、ウエスト近傍か
ら腹部ならびに脚部１２、更にはこれらの脇側から後部
の中央部を除いた部分を構成する身頃であり、この部片
の名称は「腹部充当部片の周囲に充当されている身頃」
となっているが、この実施例においては、腹部−クロッ
チ部充当部片の周囲に充当されている身頃の態様を示し
ている。８´はこれと左右線対称の右身の腹部充当部片
の周囲に充当されている身頃であり、図５の（ｃ）にお
いては左身の腹部充当部片の周囲に充当されている身頃
８のみを図示し、右身の腹部充当部片の周囲に充当され
ている身頃８´は身頃８と左右線対称であるので図示を
省略している。９は左身の後中央部片であり、臀部のう
ちの後中心側に寄った部分からその上方のウエスト近傍
までに充当されている身頃であり、９´はこれと左右線
対称の右身の後中央部片であり、図５の（ｄ）において
は左身の後中央部片９のみを図示し、右身の後中央部片
９´は左身の後中央部片９と左右線対称であるので図示
を省略している。

【００３６】本発明においては、前述した各構成部片や
身頃は伸縮性を有する布地が用いられている。そして特
に特徴的な部分は、腹部充当部片であり、この部分の布
地としては、衣類縦方向において１５％伸長時の応力が
１０〜２５０ｇｆ好ましくは１０〜８０ｇｆで、５０％
伸長時の応力が８０ｇｆ以上好ましくは１５０ｇｆ以上
で、且つ、５０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の
２．５倍以上の伸縮性布地が用いられる。この様な伸縮
性布地を用いることにより、応力が掛かっていない状態
で衣類の前中心丈がその後中心丈よりも１０〜２０％短
くなる様に設計されている。クロッチ部充当部片は通気
性を有する材料が好ましく、例えば木綿繊維が混入され
た天竺編物などが用いられる。

【００３７】また、腹部充当部片または腹部−クロッチ
部充当部片を衣類縦横両方向に伸縮性の布地から構成す
ることも着用感が良好になり好ましい。縦横両方向に伸
縮性の布地を用いる場合には、より好ましくは衣類縦方
向の伸縮性の方が横方向の伸縮性よりも大きい布地を用
いることが好ましい。

【００３８】これらの腹部充当部片または腹部−クロッ
チ部充当部片を構成部分の布地としては特に限定される
ものではないが、少なくとも衣類縦方向に伸縮性を有す
るポリウレタン繊維含有ラッセル編物であるポリウレタ
ン繊維含有パワーネットや、ポリウレタン繊維含有トリ
コット編物であるポリウレタン繊維含有ツーウェイトリ
コット編物が好ましく用いられる。パワーネットの種類
としては例えばプレーンパワーネット、サテンパワーネ
ット、ツーウェイラッセルなどが挙げられる。尚、本実
施例では腹部−クロッチ部充当部片の素材として主とし
てガードル縦方向に伸縮性を有するナイロン繊維７８．
１％、ポリウレタン繊維２１．９％からなるサテンパワ
ーネット（衣類縦方向において１５％伸長時の応力が２
０ｇｆで、５０％伸長時の応力が１５０ｇｆで、且つ、
５０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の７．５倍）
を用いた。

【００３９】腹部充当部片または腹部−クロッチ部充当
部片以外のその他の構成部分の布地は伸縮性の布地であ
れば特に制限はなく、伸縮性を有するポリウレタン繊維
含有ラッセル編物であるポリウレタン繊維含有パワーネ
ットや、ポリウレタン繊維含有トリコット編物であるポ
リウレタン繊維含有ツーウェイトリコット編物などが好
ましく用いられる。衣類の少なくとも横方向に伸縮方向
が向くようにこれらの布地を使用することが好ましく、
より好ましくは衣類の縦横両方向に伸縮性のある布地を
使用することが好ましい。こうすることによって着用時
に容易に広げて着用できるので着用しやすく、しかも裾
や臀部も比較的身体の形状に沿って伸びてフィットしや
すいので着用感のよりすぐれた衣類を提供できる点では
好ましい。ただ、腹部充当部片または腹部−クロッチ部
充当部片に腹部−クロッチ部充当部片表カバーなどのカ
バー布を設ける場合には、前述した腹部充当部片の伸縮
性などの機能を余り阻害しない様な素材をもちいるか、
あるいはその取り付け手法にゆとりをもたせた取り付け
方にして、腹部充当部片の機能を余り阻害しない様にす
る点を配慮すれば任意である。この様な布を腹部充当部
片または腹部−クロッチ部充当部片の裏側に設けて裏カ
バーとしても良いが、その場合も同様である。より具体
的なこれらのカバー布の素材と取り付け方の指針として
は、腹部充当部片が着用時に立位状態で伸ばされた時
に、この衣類縦方向の伸びが１０〜２０％程度伸びるの
を阻害しないものが好ましい。したがってより好ましく
はカバー布としては腹部充当部片と同等程度以上の伸度
を有し、かつ腹部充当部片よりもやや大きめのゆとりを
持った大きさにしておくなどの手法が好ましく採用され
る。この様なゆとりを持った大きさにした場合には、応
力が掛からない非着用状態ではカバー布は多少の弛みを
有することになる。

【００４０】なお、本実施例においては腹部−クロッチ
部充当部片表カバーの素材としてナイロン繊維７３．７
％、ポリウレタン繊維２６．３％からなりガードル縦横
両方向に伸縮性を有するが横方向の伸びの方が縦方向の
伸びよりも大きいツーウェイラッセル、また、腹部充当
部片の周囲に充当されている身頃８、８´ならびに後中
央部片９、９´としてナイロン繊維７０％、ポリウレタ
ン繊維３０％からなりガードル縦横両方向に伸縮性を有
するが横方向の伸びの方が縦方向の伸びよりも大きいツ
ーウェイラッセルを用いた。

【００４１】図中１３は前側のこのガードルの上端ライ
ンであり、１４は後側の上端ラインである。この実施例
では上端ラインがほぼウエストの位置にくる態様の実施
例を示しているが、所謂ハイウエストガードルなど、や
や上方のウエストの位置に上端を有するタイプの下半身
用衣類にも本発明が適用できる。

【００４２】そして、本発明において、図１や図２に示
した如く前中心と後中心が重なる様に揃えてなるべく平
坦になるように置いたいわゆる平置きの状態にした場合
にガードルの前中心丈がその後中心丈よりも１０〜２０
％短く設計されているが、図１及び図２においてはＱ−
Ｐの直線距離が前中心丈を表し、Ｒ−Ｐの直線距離が後
中心丈となる。

【００４３】更に図４と図５を中心に取り上げてこの実
施例のガードルについて説明する。図４の（ａ）が前述
した腹部−クロッチ部充当部片表カバーの各構成部片の
展開図を示しており、図４の（ｂ）に前述した腹部−ク
ロッチ部充当部片の各構成部片の展開図を示している。
図５の（ｃ）は左身用の腹部充当部片の周囲に充当され
ている身頃８の展開図であり、右身用の腹部充当部片の
周囲に充当されている身頃８´の展開図については左右
線対称であるので図示を省略した。図５の（ｄ）は左身
用の後中央部片９の展開図であり、右身用の後中央部片
９´の展開図については左右線対称であるので図示を省
略した。

【００４４】本来、図４と図５はまとめて１つの図面に
すべてを記載すると照合がしやすいのであるが、図面ス
ペースの関係から２つの図面に分割して記載したもので
ある。

【００４５】これらの各部片の相互の寸法については次
の様に設計されている。中間部腹部充当小部片２のＣ−
Ｆのラインと中間部腹部充当小部片２´のＣ´−Ｆ´の
ラインの長さは、中間部腹部充当小部片表カバー６のＣ
とＦ点の間の長さよりも短く設計されている。また、中
間部腹部充当小部片２及び２´のＥ−ＦならびにＥ´−
Ｆ´のラインの長さは下部腹部充当小部片３のＥ−Ｆの
ラインとＥ´−Ｆのラインの長さと同じ寸法に設計され
ている。中間部腹部充当小部片表カバー６のＥ−Ｆなら
びにＥ´−Ｆのラインの長さは下部腹部充当小部片及び
クロッチ部充当部片表カバー７のＥ−ＦならびにＥ´−
Ｆのラインの長さと同じ寸法に設計されている。ただ
し、中間部腹部充当小部片２及び２´のＥ−Ｆならびに
Ｅ´−Ｆ´のラインの長さと下部腹部充当小部片３のＥ
−ＦのラインとＥ´−Ｆのラインの長さは中間部腹部充
当小部片表カバー６のＥ−ＦならびにＥ´−Ｆのライン
の長さならびに下部腹部充当小部片及びクロッチ部充当
部片表カバー７のＥ−ＦならびにＥ´−Ｆのラインの長
さよりも若干短く設計されている。また、下部腹部充当
小部片３のＧ−ＨならびにＧ´−Ｈ´のラインはクロッ
チ部充当部片表カバー７のＧ−ＨならびにＧ´−Ｈ´の
ラインに対し若干短い寸法に設計されているが、クロッ
チ部充当部片表カバー７のＧ−Ｈラインは図５の（ｃ）
で示す左身用の腹部充当部片の周囲に充当されている身
頃８のＧ−Ｈ（右身用８´は図示していないが仮に対応
部分をＧ´−Ｈ´とすると）のラインの長さと同じ寸法
に設計されている。その他説明を省略した部分は、各部
片の同一のアルファベット記号で表されるライン同士は
同一の寸法に設計されている。以下に縫製の手順などを
説明するが、原則として同一のアルファベット記号で表
されるライン同士が縫い合わされるが、前述した様にあ
る部片のあるラインの寸法がそれと縫い合わされるべき
他の部片の対応部分の寸法よりも短い場合には、前者の
部片のそのラインの寸法がそれと縫い合わされるべき他
の部片の対応部分の寸法と等しくなるように前者の部片
を伸ばして縫い合わせるのである。従って伸ばして縫い
合わせた部片は、縫製時に伸ばすためにかけた力を縫製
後取り去ると伸ばした部分が縮み、その部分の寸法が短
くなる。この手法を適用して、本発明の本実施例では衣
類の前中心丈がその後中心丈よりも短くなるようにして
いる。

【００４６】以上に説明した図４、図５に示した各部片
を組み合わせて縫製し、図１〜３に示したガードルが作
成されるが、その手順を説明すると例えば次の様にな
る。中間部腹部充当小部片２のＣ−Ｆのラインと中間部
腹部充当小部片２´のＣ´−Ｆ´のラインとがまず接ぎ
合わされる。

【００４７】こうして得られた中間部腹部充当小部片
２、２´の接ぎ合わせ部片を中間部腹部充当小部片表カ
バー６の裏側に重ね、中間部腹部充当小部片２、２´の
周囲Ｃ−Ｂ−Ｄ−Ｅ−Ｆ（Ｆ´）−Ｅ´−Ｄ´−Ｂ´−
Ｃ´を中間部腹部充当小部片表カバー６の周囲Ｃ−Ｂ−
Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ｅ´−Ｄ´−Ｂ´−Ｃと一致する様に、若
干中間部腹部充当小部片２、２´をＣ−Ｆ（Ｃ´−Ｆ
´）方向に伸ばし、またＥ−ＦとＥ´−Ｆ´もそのライ
ンに沿った方向に伸ばして周囲を縫製する（これを重合
部片ａと名付ける）。次に下部腹部充当小部片３を下部
腹部充当小部片及びクロッチ部充当部片表カバー７の裏
側に重ね、それぞれのＨ−Ｇ−Ｅ−Ｆ−Ｅ´−Ｇ´−Ｈ
´のラインが重ね合わされるように下部腹部充当小部片
３のＥ−ＦとＥ´−Ｆ´ならびにＧ−ＨとＧ´−Ｈ´の
ラインを対応する表カバー７のＥ−ＦとＥ´−Ｆ´なら
びにＧ−ＨとＧ´−Ｈ´のラインの長さと一致する様に
伸ばして両者を縫い合わせる（これを重合部片ｂと名付
ける）。ただし、下部腹部充当小部片３のＨ−Ｈ´のラ
インは下部腹部充当小部片及びクロッチ部充当部片表カ
バー７のＨ−Ｈ´とは縫い合わせていない。

【００４８】次に前記重合部片ａと重合部片ｂとをＥ−
Ｆ（Ｆ´）−Ｅ´のラインで縫合する（これを重合部片
ｃと名付ける）。重合部片ｃのクロッチ部充当部片表カ
バー７の裏側にクロッチ充当部片４を重ねて、その両者
のＨ−Ｉ−Ｍ−Ｉ´−Ｈ´のラインに沿って縫い合わせ
る（これを重合部片ｄと名付ける）。ただし、クロッチ
部充当部片４のＨ−Ｈ´のラインは下部腹部充当小部片
及びクロッチ部充当部片表カバー７のＨ−Ｈ´とは縫い
合わせていない。

【００４９】次にこうして得られた重合部片ｄのＢ−Ｄ
−Ｅ−Ｇ−Ｈ−Ｉのラインを腹部充当部片の周囲に充当
されている身頃８のＢ−Ｄ−Ｅ−Ｇ−Ｈ−Ｉのラインに
縫い合わせる。左身部分について説明したが、左右線対
称の右身部分についても全く同様である（こうして得ら
れたものを半完成品ｅと名付ける）。図２では左身部分
が接ぎライン２３となって示され、右身部分が接ぎライ
ン２３´となって示されている。

【００５０】次に上部腹部充当小部片１の表側に上部腹
部充当小部片表カバー５を重ねて両者のＡ−Ａ´ライン
を縫い合わせておく（これを重合部片ｆと名付ける）。
重合部片ｆはＡ−Ｂのラインで半完成品ｅの身頃８のＡ
−Ｂのラインに縫合され、重合部片ｆ（部片５と１参
照）のＢ−Ｃのラインは重合部片ａ（部片６と２、２´
参照）のＢ−Ｃのラインに縫合される。左身部分につい
て説明したが、左右線対称の右身部分についても全く同
様である（こうして得られたものを半完成品ｇと名付け
る）。

【００５１】後中央部片９と９´（９´については図５
に図示されていないが例えば図２参照）とが後中央部片
９のＮ−Ｍラインと後中央部片９´の対応するラインと
が相互に縫合される。この縫合ラインは図２で接ぎライ
ン２１として示されているラインになる。この接ぎ合わ
された後中央部片９と９´はそのＫ−Ｌラインで半完成
品ｇの身頃８のＫ−Ｌラインと縫合される。この縫合さ
れたラインは図２で接ぎライン２２として示されている
ラインになる。左身部分について説明したが、左右線対
称の右身部分についても全く同様である（こうして得ら
れたものを半完成品ｈと名付ける）。そしてこの右身部
分については、図２の後中央部片９´と身頃８´の間の
接ぎラインは接ぎライン２２´として示されているライ
ンになる。

【００５２】次に半完成品ｈの身頃８と後中央部片９と
のＭ−（Ｌ）−Ｉ−Ｊのライン（但しこのＩ−Ｊは図５
の（ｃ）の身頃８の右側のＩ−Ｊを指す。）と重合部片
ｄのクロッチ部充当部片表カバー７とクロッチ充当部片
４と身頃８のＭ−Ｉ−Ｊのライン（但しこのＩ−Ｊは図
５の（ｃ）の身頃８の左側のＩ−Ｊを指す。）とが縫合
される。左身部分について説明したが、左右線対称の右
身部分についても全く同様である。図２では左身部分が
Ｍ−Ｌ−Ｉ−Ｊのラインとなって示され、右身部分がＭ
−Ｌ´−Ｉ´−Ｊ´のラインとなって示され脚部１２、
１２´を形成している。

【００５３】そして必要に応じて上端ライン１３、１４
に沿ってガードルの内側にエラスチックテープなどを取
り付けて、本発明のガードルが作成される。尚、縫製の
手順は前記のものに限られるわけではなく、また、説明
を簡略化するために縫い端の始末などの縫製については
省略している。

【００５４】図１や図２に示されているように得られた
ガードルは前中心と後中心が重なる様に揃えてなるべく
平坦になるように置いたいわゆる平置きの状態にした場
合にガードルの前中心丈（Ｑ−Ｐの直線距離）がその後
中心丈（Ｒ−Ｐの直線距離）よりも１０〜２０％短くさ
れている。これは主として前述したように中間部腹部充
当小部片２、２´や下部腹部充当小部片３などがその特
定部分の長さが通常の長さよりも短めに設計しているこ
とによる。

【００５５】図６はこうして得られた図１〜３のガード
ルの座位における着用状態での側面図（但し、腹部−ク
ロッチ部充当部片表カバーの図示を省略した状態）、図
７は図１〜３のガードルの立位における着用状態での側
面図（但し、腹部−クロッチ部充当部片表カバーの図示
を省略した状態）を示している。なお、図６、図７にお
いて鎖線で示したラインの内Ｓ−Ｐ−Ｔのラインは外側
からは見えない内側の股下のラインを示している。

【００５６】図６においてガードルの前中心丈（Ｑ−
Ｐ）は短目の縦方向の寸法となっており、図７に示した
如く立位姿勢をとった場合には、腹部充当部片がほぼ縦
方向に伸ばされ、伸ばされたことにより応力が増大する
ので腹部を押さえるパワーが発揮され、有効な腹部形状
補整機能を発揮することになる。しかも前記腹部充当部
片は衣類縦方向において１５％伸長時の応力が２０ｇｆ
であるので座位の姿勢から立位の姿勢に移った時に、人
体の腹部表面が縦に伸びるのに追従して本発明の衣類の
前側腹部近傍部分が容易に縦方向に伸びることができ
る。一方座位の姿勢をとった場合には、前述した様に人
体腹部表面は縦方向に縮むが、それに伴って腹部充当部
片が縦方向に縮み、前中心丈が短くなり、従って、人体
腹部表面が縦方向に縮んでもほぼそれに追従して腹部充
当部片が縮むので、余り皺が発生せず、従って座位時な
どの姿勢時において、立位時にかかっていた腹部近傍の
押圧力が緩められるので、不快感が生じにくく、座位時
などに於いても着用感の優れたガードルを提供できる。

【００５７】しかも、前記腹部充当部片は衣類縦方向に
おいて５０％伸長時の応力が１５０ｇｆ以上で、且つ、
５０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の７．５倍で
ある伸縮性布地からなっているので、必要以上に伸びる
ことがなく、従って、着用時にウエスト部分を引っ張り
上げながら着用するが、不必要に伸び過ぎないのでウエ
スト位置を容易に適性位置に決めて着用でき、また、捩
じれて着用してしまう恐れも少なく、適性位置に装着し
やすいと共に、立位時に於ける腹部充当部片の応力があ
る程度以上伸びた時点で大きくなり、立位姿勢時の腹部
形状補整機能がより効果的に発揮され、したがって運動
時においてもずるずると伸び過ぎて運動などの際に着崩
れが生じる恐れがないガードルを提供できる。

【００５８】なお、本実施例においては腹部充当部片が
複数の部片から構成されている態様を示したが、必ずし
も複数の部片から構成されている必要はなく１つの連続
した部片で構成してもよい。腹部充当部片の大きさや形
も、この実施例に示されたものに限定されるものではな
く、デザイン上の都合により更に大きく広がっていても
差し支えない。また、お腹押さえの機能が余り発揮出来
なくなるほど小さくしなければ、より小さくしてもよ
い。

【００５９】また、本実施例では腹部−クロッチ部充当
部片の表カバーの存在するガードルについての実施例を
示したが、かかる表カバーは存在しないタイプであって
も良いことは前述した通りである。

【００６０】腹部充当部片の１５％と５０％伸長時の応
力の測定方法としては、インストロン型万能引張試験機
（島津製作所製“オートグラフ”ＡＧ−５００Ｄ）を用
い、引張り速度３００±２０ｍｍ／ｍｉｎにて試料長
（つかみ間隔）の８０％までの伸長回復を３回繰り返
し、３回目の伸長回復の際のそれぞれ１５％と５０％伸
長時の値を読み取りそれぞれ１５％と５０％伸長時の応
力とする。試料の大きさは幅２．５ｃｍ、長さ１６ｃｍ
とし、上部つかみ２．５ｃｍ、下部つかみ３．５ｃｍ、
引張間隔１０ｃｍとすることが好ましいが、かかる大き
さの試料が測定対象の衣類から切り出せない場合にはそ
れより小さくても差し支えない。ただ、試料の大きさが
小さくなるほど、測定誤差が大きくなるので、切り出せ
る範囲でできるだけ大きな試料を採取して測定すること
が好ましい。なお、測定方向は衣類の縦方向に相当する
方向である。

【００６１】

【発明の効果】

（１）本発明の下半身用衣類は、股部を有しウエストラ
イン近傍に上端を有する伸縮性布地からなる下半身用衣
類であって、前記下半身用衣類の腹部部分が伸縮性布地
からなる腹部充当部片で構成されており、前記腹部充当
部片は衣類縦方向において１５％伸長時の応力が１０〜
２５０ｇｆで、５０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、
且つ、５０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の２．
５倍以上の伸縮性布地からなり、前記下半身用衣類の前
中心丈がその後中心丈よりも１０〜２０％短い。従っ
て、非伸長時においては本発明の衣類の腹部は座位姿勢
時の人体腹部縦方向の寸法に近い短目の縦方向の寸法と
なっており、立位姿勢をとった場合には、腹部充当部片
がほぼ縦方向に伸ばされ、伸ばされたことにより応力が
増大するので腹部を押さえるパワーが発揮され、有効な
腹部形状補整機能を発揮することになる。しかも前記腹
部充当部片は衣類縦方向において１５％伸長時の応力が
１０〜２５０ｇｆであるので座位の姿勢から立位の姿勢
に移った時に、人体の腹部表面が縦に伸びるのに追従し
て本発明の衣類の前側腹部近傍部分が容易に縦方向に伸
びることができる。一方座位の姿勢をとった場合には、
前述した様に人体腹部表面は縦方向に縮むが、それに伴
って腹部充当部片が縦方向に縮み、前中心丈が短くな
り、従って、人体腹部表面が縦方向に縮んでもほぼそれ
に追従して腹部充当部片が縮むので、余り皺が発生せ
ず、従って座位時などの姿勢時において、立位時にかか
っていた腹部近傍の押圧力が緩められる、不快感が生じ
にくく、座位時などに於いても着用感の優れた、股部を
有しウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣類を
提供できる。

【００６２】しかも、前記腹部充当部片は衣類縦方向に
おいて５０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、且つ、５
０％伸長時の応力が１５％伸長時の応力の２．５倍以上
である伸縮性布地からなっているので、腹部部分が必要
以上に伸びることがなく、従って、着用時にウエスト部
分を引っ張り上げながら着用するが、不必要に伸び過ぎ
ないのでウエスト位置を容易に適性位置に決めて着用で
き、また、捩じれて着用してしまう恐れも少なく、適性
位置に装着しやすいと共に、立位時に於ける腹部充当部
片の応力がある程度以上伸びた時点で大きくなり、した
がって、立位姿勢時の腹部形状補整機能が効果的に発揮
され、運動時においても着崩れが生じる恐れがない下半
身用衣類を提供できる。

【００６３】（２）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、衣類縦方向において１５％伸長時
の応力が１０〜８０ｇｆで、５０％伸長時の応力が１５
０ｇｆ以上で、且つ、５０％伸長時の応力が１５％伸長
時の応力の２．５倍以上である伸縮性布地からなる腹部
充当部片である本発明の好ましい態様とすることによ
り、前記機能のうち、特に座位の姿勢から立位の姿勢に
移った時に、人体の腹部表面が縦に伸びるのに追従して
本発明の衣類の前側腹部近傍部分がより容易に縦方向に
伸びることができる。更に不必要に伸び過ぎない機能も
大きくなり、適性位置により装着しやすくなると共に、
立位時に於ける腹部充当部片の応力がある程度以上伸び
た時点で更に大きくなり、したがって、立位姿勢時の腹
部形状補整機能がより効果的に発揮され、運動時におい
ても着崩れが生じる恐れがより少なくされた下半身用衣
類を提供できる。

【００６４】（３）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、衣類縦方向及び横方向の両方向に
伸縮性の布地からなる腹部充当部片である本発明の好ま
しい態様とすることにより、座位姿勢をとった場合、人
体腹部表面が縦方向には縮小され横方向に拡張される
が、座位姿勢時に腹部充当部片がより一段と横方向に伸
びる余裕があるので、座位などの姿勢をとった際におい
ても、更に圧迫感が少なく、より着用感の優れた、股部
を有しウエストライン近傍に上端を有する下半身用衣類
を提供できる。また、本発明においては前中心丈がその
後中心丈よりも１０〜２０％短いことにより、非伸長時
においては本発明の衣類の腹部は座位姿勢時の人体腹部
縦方向の寸法に近い短目の縦方向の寸法となっており、
立位姿勢をとった場合には、腹部充当部片がほぼ縦方向
に伸ばされ、伸ばされたことにより応力が増大するので
衣類縦横両方向に伸縮性の布地を用いていても腹部を押
さえるパワーが発揮され、有効な腹部形状補整機能は保
持されるのである。

【００６５】（４）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が弾性繊維含有編物からなる腹部充当
部片である本発明の好ましい態様とすることにより、腹
部充当部片として、目的の伸縮性を有するものが容易に
作成でき、従って立位姿勢時の腹部形状補整機能と座位
姿勢時の不快感の減少、着用感の向上とを容易に達成し
得る、股部を有しウエストライン近傍に上端を有する下
半身用衣類を容易に提供できる。

【００６６】（５）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片が、ポリウレタン繊維含有パワーネッ
ト、ポリウレタン繊維含有ツーウェイトリコットから選
ばれた伸縮性編物からなる腹部充当部片である本発明の
好ましい態様とすることにより、ポリウレタン繊維は弾
性繊維の中でも入手が容易で、弾性繊維の中でも各種グ
レードが豊富であり、耐洗濯性、その他の物性も優れて
おり、パワーネット、ツーウェイトリコットなどの編物
とすることにより、余り厚くならず、従って通気性も比
較的良好でまた腹部充当部片が厚い場合にその部分が外
側に突出して着用時の衣類の外観などが損なわれると言
った欠点がなく、しかも立位時において必要な腹部形状
補正機能を発揮し得る、股部を有しウエストライン近傍
に上端を有する下半身用衣類を容易に提供できる。

【００６７】（６）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、腹部充当部片の周囲に充当されている身頃が、ポリ
ウレタン繊維含有パワーネット、ポリウレタン繊維含有
ツーウェイトリコットから選ばれた伸縮性編物からなる
布地で構成されている本発明の好ましい態様とすること
により、腹部充当部片の周囲に充当されている身頃が比
較的容易に伸びやすいので、着用時に容易に広げて着用
でき、着用時に着用しやすく、しかも裾や臀部も比較的
身体の形状に沿って伸びてフィットしやすいので着用感
のよりすぐれた股部を有しウエストライン近傍に上端を
有する下半身用衣類を提供できる。しかも余り分厚くな
らず、従って通気性も比較的良好な下半身用衣類を提供
できる。

【００６８】（７）また、本発明の下半身用衣類に於い
て、股部を有しウエストライン近傍に上端を有する伸縮
性布地からなる下半身用衣類が、ガードルである本発明
の好ましい態様とすることにより、ガードルは、腹部の
膨出を抑え、下半身部のシルエットを整える機能を有し
ているので、肌側に比較的タイトに密着するため、下半
身用の衣類としては極めて腹部形状補整機能が重視さ
れ、また、着用感の影響が大きい衣類であり、前述の機
能が非常に有効に効果的に発揮される下半身用衣類を衣
類を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の下半身用衣類の一実施例のガードルの
前中心と後中心が重なる様に揃えてなるべく平坦になる
ように置いたいわゆる平置きの状態にした場合の前側か
ら見た平面図。

【図２】図１のガードルの後側から見た平面図。

【図３】図１、図２のガードルの立位における着用状態
での斜め前側から見た斜視図。

【図４】図１〜３のガードルの腹部充当部片ならびにク
ロッチ部充当部片とその表カバーを構成する生地の展開
図。

【図５】図１〜３のガードルの腹部充当部片周囲に充当
されている身頃と後中央部片を構成する生地のそれぞれ
の左身用の生地の展開図。

【図６】図１〜３のガードルの座位における着用状態で
の側面図（但し、腹部充当部片ならびにクロッチ部充当
部片の表カバーの図示を省略した状態）。

【図７】図１〜３のガードルの立位における着用状態で
の側面図（但し、腹部充当部片ならびにクロッチ部充当
部片の表カバーの図示を省略した状態）。

【図８】従来のロングガードルの最も一般的な一態様の
前側から見た平面図。

【図９】図８に示したロングガードルの後側から見た平
面図。

【符号の説明】

１ 上部腹部充当小部片 ２、２´ 中間部腹部充当小部片 ３ 下部腹部充当小部片 ４ クロッチ部充当部片 ５ 上部腹部充当小部片表カバー ６ 中間部腹部充当小部片表カバー ７ 下部腹部充当小部片及びクロッチ部充当部片表カバ
ー ８、８´ 腹部充当部片の周囲に充当されている身頃 ９、９´ 後中央部片 １２、１２´ 脚部 １３ ガードルの前側の上端ライン １４ ガードルの後側の上端ライン ２１ 接ぎライン ２２、２２´ 接ぎライン ２３、２３´ 接ぎライン １１１ 前部中央部片 １１２ 前部中央部片の接ぎライン １１３ 股下部を構成するクロッチ部充当部片 １１４ 左右の脇−太もも部を構成する身頃 １１５ クロッチ部充当部片１１３と前部中央部片１１
１ならびに左右の脇−太もも部を構成する身頃１１４と
の接ぎライン １１６ お腹押さえ（腹部充当部片） １１７ 後中央部片 １１８ 接ぎライン １１９ クロッチ部充当部片１１３と後中央部片１１７
ならびに左右の脇−太もも部を構成する身頃１１４との
接ぎライン

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A41C 1/00 - 1/06

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 股部を有しウエストライン近傍に上端を
   有する伸縮性布地からなる下半身用衣類であって、前記
   下半身用衣類の腹部部分が伸縮性布地からなる腹部充当
   部片で構成されており、前記腹部充当部片は衣類縦方向
   において１５％伸長時の応力が１０〜２５０ｇｆで、５
   ０％伸長時の応力が８０ｇｆ以上で、且つ、５０％伸長
   時の応力が１５％伸長時の応力の２．５倍以上である伸
   縮性布地からなり、前記下半身用衣類の前中心丈がその
   後中心丈よりも１０〜２０％短いことを特徴とする下半
   身用衣類。
2. 【請求項２】 腹部充当部片が、衣類縦方向において１
   ５％伸長時の応力が１０〜８０ｇｆで、５０％伸長時の
   応力が１５０ｇｆ以上で、且つ、５０％伸長時の応力が
   １５％伸長時の応力の２．５倍以上である伸縮性布地か
   らなる腹部充当部片である請求項１に記載の下半身用衣
   類。
3. 【請求項３】 腹部充当部片が、衣類縦方向ならびに横
   方向に伸縮性の布地からなる腹部充当部片である請求項
   １または２のいずれかに記載の下半身用衣類。
4. 【請求項４】 腹部充当部片が、弾性繊維含有編物から
   なる腹部充当部片である請求項１〜３のいずれかに記載
   の下半身用衣類。
5. 【請求項５】 腹部充当部片が、ポリウレタン繊維含有
   パワーネット、ポリウレタン繊維含有ツーウェイトリコ
   ットから選ばれた伸縮性編物からなる腹部充当部片であ
   る請求項１〜３のいずれかに記載の下半身用衣類。
6. 【請求項６】 腹部充当部片の周囲に充当されている身
   頃が、ポリウレタン繊維含有パワーネット、ポリウレタ
   ン繊維含有ツーウェイトリコットから選ばれた伸縮性編
   物からなる布地で構成されている請求項１〜５のいずれ
   かに記載の下半身用衣類。
7. 【請求項７】 股部を有しウエストライン近傍に上端を
   有する伸縮性布地からなる下半身用衣類が、ガードルで
   ある請求項１〜６のいずれかに記載の下半身用衣類。