JP2914233B2 - ゴルフボール及びゴルフボール成形用金型 - Google Patents

ゴルフボール及びゴルフボール成形用金型

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディンプルが均一
に配置され、このためショット箇所による飛び性能にば
らつきのないゴルフボール及びかかるゴルフボールを製
造するためのゴルフボール成形用金型に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴルフ
ボールは、ディンプルが球面上に均等配列され、ショッ
ト箇所による飛び性能にばらつきのないことが望まれ
る。
【０００３】しかしながら、ゴルフボールにディンプル
を配列する場合、従来より２０面体配列，１２面体配列
など、種々の配列手法が提案されているが、いずれの配
列にあってもゴルフボールを成形する金型を少なくとも
２個の割金型とする関係上、ゴルフボールには、その金
型の分割線（パーティングライン）に対応した、ディン
プルに全く交差しない大円を少なくとも１個有するもの
が通例であった。
【０００４】図５は、２０面体配列のゴルフボールの一
例を示すもので、この例にあっては大円Ａを６本形成す
るようにディンプル配置がされており、２０面体配列の
場合、このように大円を６本形成するか、又はパーティ
ングライン付近のディンプル配置を修正し、大円を１本
だけ形成したものが知られている。
【０００５】このように、大円を形成したゴルフボール
は、大円を６本としてディンプル配置を可及的に均等化
しても、なおショット箇所による飛び性能にばらつきが
生じることは避けられないものであった。
【０００６】これに対し、金型分割線をパーティングラ
インと交差するディンプルをぬうように波形に加工した
金型を用い、ゴルフボールにディンプルと交差しない大
円を形成しないようにすることも提案されている（特開
昭６１−１７３９０７号公報、特開昭６２−４７３７９
号公報）が、これらの方法は金型の設計、作製がディン
プル配置を含めて困難であり、殆ど実用化されていな
い。
【０００７】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
ディンプルに交差しない大円を１本も描かず、ディンプ
ルを球面上均等配列し得、ショット箇所による飛び性能
にばらつきのないゴルフボール及びかかるゴルフボール
を得るためのゴルフボール成形用金型を提供することを
目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、（１）球面上に互いに同一の２０個の仮想
正三角形を投影した正２０面体配列のゴルフボールにお
いて、全ディンプルを上記各正三角形の各辺と交差させ
ず、かつディンプルと全く交差しない大円を描くことが
ないように上記各正三角形内に配置してなることを特徴
とするゴルフボール、（２）球面上に互いに同一の２０
個の仮想正三角形を投影した正２０面体配列のゴルフボ
ールにおいて、上記各正三角形の頂点にディンプルを配
列すると共に、残りの全ディンプルを上記各正三角形の
各辺と交差させず、かつディンプルと全く交差しない大
円を描くことがないように上記各正三角形内に配置して
なることを特徴とするゴルフボール、（３）割型を互い
に分離可能に接合することにより内部に球状キャビティ
を形成するゴルフボール成形用金型において、上記キャ
ビティ球面上に互いに同一の２０個の仮想正三角形を正
２０面体配列として投影した金型を上記正三角形の辺に
沿ってほぼ等分に２分割し、これらの割型のキャビティ
面にディンプル形成用凸部を上記各正三角形の各辺と交
差させずに、かつ両割型を接合した際該凸部と全く交差
しない大円を描くことがないように上記各正三角形内に
形成してなることを特徴とするゴルフボール成形用金
型、（４）割型を互いに分離可能に接合することにより
内部に球状キャビティを形成するゴルフボール成形用金
型において、上記キャビティ球面上に互いに同一の２０
個の仮想正三角形を正２０面体配列として投影した金型
を上記正三角形の辺に沿ってほぼ等分に２分割すると共
に、この分割線の上記正三角形の頂点に対応する箇所を
ディンプル平面形状に切り欠き、かつ先端部がディンプ
ル形成可能な凸状に形成され、上記切り欠き部に嵌合す
るピンを配設し、更に上記割型のキャビティ面にディン
プル形成用凸部を上記正三角形の頂点に対応する上記分
割線上以外の箇所並びに各正三角形内に上記各正三角形
の各辺と交差させずに、かつ両割型を接合した際、該凸
部と全く交差しない大円を描くことがないように形成し
てなることを特徴とするゴルフボール成形用金型を提供
する。
【０００９】本発明の上記（１），（２）のゴルフボー
ルは、いずれもディンプルと全く交差しない大円線を有
さず、ディンプルを均等配置し得るものであり、従来の
ゴルフボールよりも空気力学的性能が著しく向上し、飛
距離が増大するものであると共に、２０面体配列を全く
くずさないものであるため、打球時の方向安定性もよ
く、しかもショット箇所による飛び性能のばらつきがな
いものである。
【００１０】また、本発明の上記（３），（４）の金型
は、かかるゴルフボールを確実に成形し得る上、その割
型分割縁部は凹凸状であるが、従来のシームレスボール
の金型のようにディンプル間をぬうようにして波形に加
工するものと異なり、三角形の辺に沿って分割するもの
であるから、設計、製作上も容易であり、ディンプル配
置のための凸部形成も容易である。
【００１１】この場合、（４）の金型は、そのピンを進
退可能に形成した場合には、金型キャビティ内中心部に
コアを配置し、カバーを成形する場合に、コアのサポー
トピンとしても作用すると共に、その先端面がキャビテ
ィ面まで後退した際にキャビティ面の一部をなすことに
より、三角形の頂点にディンプルを形成し得るものであ
る。
【００１２】
【発明の実施の形態及び実施例】以下、本発明の実施例
について図１〜図４を参照して説明する。
【００１３】図１は、本発明の一実施例にかかるゴルフ
ボールを示すもので、このゴルフボールは、球面上に互
いに同一の２０個の仮想正三角形１を投影した正２０面
体配列のゴルフボールであり、全ディンプル１１を上記
各正三角形１内に配置したものであり、この場合、各デ
ィンプル１１は上記正三角形１の辺２とは交差せず、か
つディンプル１１と全く交差しない大円を描くことがな
いように配置されている。なお、このように全ディンプ
ル１１が正三角形１内に配置されているため、正三角形
１の頂点３にはディンプル１１が配置されていない。
【００１４】また、図２は本発明の他の実施例にかかる
ゴルフボールであり、このゴルフボールは、図１のゴル
フボールにおいて、上記正三角形１の各頂点３にもディ
ンプル１１ａが配置されているものである。
【００１５】ここで、本発明のゴルフボールにおいて、
各正三角形内に配置されるディンプルの数は１０〜３
６、特に１５〜２８とすることが好ましく、従って総デ
ィンプル数は２００〜７２０、特に３００〜５６０、又
はこれに頂点に形成したディンプル数１２を加えたもの
である。
【００１６】なお、ディンプルの平面形状は円形とする
ことが好ましく、その直径は２〜５ｍｍ、深さは０．１
〜０．３ｍｍとすることが好ましい。また、ディンプル
は互いに直径、深さが同一であってもよく、これらが異
なるものを２種以上用いてもよい。
【００１７】上記ゴルフボールは、いずれもディンプル
に交差する大円が描けず、球面上にディンプルが均等配
置されたものであるため、空気力学的性能に優れ、飛距
離が増大するものであり、しかも飛び性能がボールをシ
ョットする箇所によらず均一なものである。
【００１８】図３は、上記図１に示すゴルフボールを製
造する金型を示すものである。この金型は、下割型２１
ａと上割型（なお、上割型は下割型と同様の構成である
ため、図示を省略してある）とを分離可能に接合してな
るもので、この接合により内部に球状キャビティ２２が
形成されるものである。このキャビティ面にはディンプ
ル形成用凸部２３が、図１で説明したゴルフボールに対
する正２０面体配列に対応した正２０面体配列を仮想す
ることによって形成される仮想正三角形の各辺に交差せ
ず、しかもこれら凸部２３に全く交差しない大円が描け
ないように、正三角形内に配置、形成すると共に、上記
両割型の分割部を上記正三角形の辺に沿って分割、形成
したものであり、従って両割型の分割部は互いに係合可
能な凹凸状をなし、この金型を用いて得られるゴルフボ
ールのパーティングライン部１２は図１に示したように
凹凸状をなすものである。
【００１９】また、図２に示すゴルフボールを製造する
金型としては、仮想正三角形の頂点に対応する箇所にも
ディンプル形成用凸部を形成する以外は上記図３に示す
金型と同様である。但しこの場合、図４に示すように上
下割型２１ａ，２１ｂの分割部２４における仮想正三角
形の頂点に対応する箇所においては、該頂点に形成すべ
きディンプルの平面形状に対応した形状の切欠溝２５を
形成すると共に、この溝２５に、先端面がディンプル形
成可能な凸状に形成されたピン２６を配設したものであ
る。このピン２６はディンプル深さ相当の長さに固定す
ることもできるが、また、キャビティ２２内の中心部に
ゴルフボールコア２７を配設し、このコア２７とキャビ
ティ面との間の間隙２８にカバー成形材料を供給してゴ
ルフボールを成形する際、カバ−成形材料供給前にピン
２６をキャビティ２２内に進入させてコア２７を支持す
るサポ−トピンとして作用すると共に、上記間隙２８に
カバー成形材料が供給し終る直前においてピン２６を後
退させて、ピン２６先端面をキャビティ面に一致させる
ことにより、このピン２６先端面に対応したディンプル
を金型分割部における上記正三角形の頂点に対応する位
置に形成することもできる。
【００２０】上記金型は、その分割部が上記正三角形の
辺に沿ったものであり、この辺にはディンプルが交差し
ないため、金型の設計、製作が容易である。また、分割
部の正三角形の頂点に対応する位置にディンプルを形成
する場合は、上記のようにピンを配設するが、金型の設
計、製作時におけるサポートピンの配設と同様の手間を
要する程度であって、上記ピンの配設も金型の設計、製
作を複雑化させず、コスト的なアップを伴わず金型を作
製し得るものである。
【００２１】なお、上記金型を用いたゴルフボールの製
造は、従来と同様の方法によって行うことができ、射出
成形、圧縮成形等に適用できるものである。
【００２２】また、本発明のゴルフボール及びその金型
は図示の実施例に制限されるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲で種々変更して差し支えない。
【００２３】
【発明の効果】本発明のゴルフボールは、飛距離が増大
し、ショット箇所による飛び性能にばらつきのないもの
であり、また、本発明のゴルフボール成形用金型は、か
かるゴルフボールを成形するのに適したものであり、か
つ該金型は容易かつ簡単に作製することができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のゴルフボールの一実施例を示す斜視図
である。
【図２】本発明のゴルフボールの他の実施例を示す斜視
図である。
【図３】本発明のゴルフボール成形用金型の一実施例を
示す概略斜視図である。
【図４】本発明のゴルフボール成形用金型の一実施例を
示す概略断面図である。
【図５】従来の正２０面体配列のゴルフボールを示す斜
視図である。
【符号の説明】 １ 仮想正三角形 ２ 仮想正三角形の辺 ３ 仮想正三角形の頂点 １１ ディンプル １１ａ ディンプル １２ パーティングライン部 ２１ａ 下割型 ２１ｂ 上割型 ２２ キャビティ ２３ ディンプル形成用凸部 ２４ 分割部 ２５ 切欠溝 ２６ ピン ２７ コア ２８ 間隙
フロントページの続き (72)発明者 井上 道夫 埼玉県秩父市大野原20番地 ブリヂスト ンスポーツ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) A63B 37/00 A63B 45/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 球面上に互いに同一の２０個の仮想正三
    角形を投影した正２０面体配列のゴルフボールにおい
    て、全ディンプルを上記各正三角形の各辺と交差させ
    ず、かつディンプルと全く交差しない大円を描くことが
    ないように上記各正三角形内に配置してなることを特徴
    とするゴルフボール。
  2. 【請求項２】 球面上に互いに同一の２０個の仮想正三
    角形を投影した正２０面体配列のゴルフボールにおい
    て、上記各正三角形の頂点にディンプルを配列すると共
    に、残りの全ディンプルを上記各正三角形の各辺と交差
    させず、かつディンプルと全く交差しない大円を描くこ
    とがないように上記各正三角形内に配置してなることを
    特徴とするゴルフボール。
  3. 【請求項３】 割型を互いに分離可能に接合することに
    より内部に球状キャビティを形成するゴルフボール成形
    用金型において、上記キャビティ球面上に互いに同一の
    ２０個の仮想正三角形を正２０面体配列として投影した
    金型を上記正三角形の辺に沿ってほぼ等分に２分割し、
    これらの割型のキャビティ面にディンプル形成用凸部を
    上記各正三角形の各辺と交差させずに、かつ両割型を接
    合した際、該凸部と全く交差しない大円を描くことがな
    いように上記各正三角形内に形成してなることを特徴と
    するゴルフボール成形用金型。
  4. 【請求項４】 割型を互いに分離可能に接合することに
    より内部に球状キャビティを形成するゴルフボール成形
    用金型において、上記キャビティ球面上に互いに同一の
    ２０個の仮想正三角形を正２０面体配列として投影した
    金型を上記正三角形の辺に沿ってほぼ等分に２分割する
    と共に、この分割線の上記正三角形の頂点に対応する箇
    所をディンプル平面形状に切り欠き、かつ先端部がディ
    ンプル形成可能な凸状に形成され、上記切り欠き部に嵌
    合するピンを配設し、更に上記割型のキャビティ面にデ
    ィンプル形成用凸部を上記正三角形の頂点に対応する上
    記分割線上以外の箇所並びに各正三角形内に上記各正三
    角形の各辺と交差させずに、かつ両割型を接合した際、
    該凸部と全く交差しない大円を描くことがないように形
    成してなることを特徴とするゴルフボール成形用金型。
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