JP2908503B2 - 薬液注入ポート - Google Patents

薬液注入ポート

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JP2908503B2
JP2908503B2 JP2076348A JP7634890A JP2908503B2 JP 2908503 B2 JP2908503 B2 JP 2908503B2 JP 2076348 A JP2076348 A JP 2076348A JP 7634890 A JP7634890 A JP 7634890A JP 2908503 B2 JP2908503 B2 JP 2908503B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、薬液を注入する器具である薬液注入ポー
ト、特に皮下埋込型カテーテル組立体を構成する薬液注
入ポートに関する。
〈従来の技術〉 切除不能な悪性腫瘍に対しては、抗癌剤の投与による
化学療法が行われているが、全身投与法では副作用を生
じるため、その投与量、投与期間等に著しい制約を受
け、よって、有効な薬剤の腫瘍組織内濃度を得ることは
困難である。
そこで、このような抗癌剤化学療法の欠点を補い、可
能な限り腫瘍局所に高濃度の薬剤を作用させる方法とし
て、抗癌剤の動脈内注入療法(動注療法)が行われてい
る。
このような動注療法としては、例えば、大腿動脈より
イントロデューサーを用いて薬液注入用のカテーテルを
挿管し、X線透視下でカテーテルの位置を確認しながら
カテーテルの先端を目的部位(腫瘍局所へ通じる動脈上
流)まで挿入し、次いで、カテーテル内のルーメンを通
じて抗癌剤を目的部位へ注入するものである。
この方法によれば、担癌臓器の腫瘍局所へ通じる動脈
の末梢に薬液を直接投与するので、治療効果が大きいと
いう利点がある。
しかるに、この方法には、第1に、カテーテルを経皮
的に挿入しているため、長く留置していると感染の危険
が高くなること、第2に、腫瘍への薬液の投与は、長期
間に渡り繰り返し行なう必要があるが、上記感染を防ぐ
ために、治療を行なう度にカテーテルを挿入、抜去しな
ければならず、患者の負担が大きいという欠点がある。
そこで、体内に長期間留置した状態で使用可能な皮下
埋込型のカテーテル組立体が開発されている。 このカ
テーテル組立体は、横断面がほぼ円形の内部空間と、こ
の空間に連通する薬液注入口および薬液流出用の流路
と、この薬液注入口に装着されたゴム製の栓体(セプタ
ム)とを有する薬液注入ポートと、薬液注入用のルーメ
ンが形成されたカテーテルとを有し、前記流路にルーメ
ンが連通するように前記カテーテルを接続したものであ
る。
この皮下埋込型カテーテル組立体は、カテーテルを担
癌臓器の栄養動脈血管内に目的部位まで挿入し、薬液注
入ポートを皮下組織に固定した状態で留置される。 そ
して、薬液を注入する際には、皮膚の上から触診により
薬液注入ポートの薬液注入口を認識し、次いで、薬液の
入ったシリンジにチューブを介してその基端が接続され
た針管(例えばL型針)の先端を薬液注入口のセプタム
に穿刺、貫通し、その後、シリンジを操作して、針管、
薬液注入ポートおよびこれに連通するカテーテルのルー
メンを通じて目的部位へ薬液を注入する。
ところで、このような動注療法に用いられる薬液、特
に抗癌剤は、粘度が高く、また結晶化し易いため、薬液
注入ポートの内部空間に付着、残存し易い。 このよう
な抗癌剤の残存が生じると、流路等を閉塞するおそれが
あるため、抗癌剤を注入後、例えばヘパリン入り生理食
塩水等の洗浄液を流通して、薬液注入ポートの内部空間
を洗浄することが行われている。
しかしながら、第4図および第5図に示すように、従
来の薬液注入ポート20においては、薬液流出用の流路で
ある管体23の内腔24は、その軸心延長線25が本体21に形
成された内部空間22の円の中心を通るように配置され、
かつ内腔24の内面24aは、内部空間22を規制する内周面2
2aおよび底面22bのいずれとも連続せず、これらの面22a
および22bとほぼ直角をなすため、特に、管体23と内部
空間22とが連通する部分の両側部(エッヂ部)26、26に
よどみが生じ、この部分に抗癌剤が付着し、結晶化する
傾向があった。
この場合、薬液注入ポートの内部空間に前記洗浄液を
流通させても、連通口の両側部26、26に付着、結晶化し
た抗癌剤は除去され難かった。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明の目的は、内部空間に薬液やその結晶が付着、
残存しない薬液注入ポートを提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明によ
り達成される。
(1)薬液を貯溜する内部空間と、この内部空間に連通
する薬液注入口と、この薬液注入口を封止する弾性体
と、前記内部空間に連通する薬液流出用の流路とを有す
る薬液注入ポートであって、 前記内部空間と前記流路との接続部付近において、前
記内部空間を規制する壁面と前記流路の内面とが、実質
的に段差のない連続面を形成していることを特徴とする
薬液注入ポート。
(2)前記内部空間は、その横断面が実質的に円形であ
り、この内部空間の上端部に前記薬液注入口および前記
弾性体が設けられ、この内部空間の内周面に前記流路が
開口している上記(1)に記載の薬液注入ポート。
(3)前記内部空間と流路との接続部付近の空間が、漏
斗形状をなしている上記(1)または(2)に記載の薬
液注入ポート。
(4)前記内部空間を規制する内壁面および前記流路の
内面の少なくともいずれかに、薬液が付着し難いコーテ
ィング若しくは表面平滑化処理が施されている上記
(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬液注入ポー
ト。
(5)前記内部空間を規制する内壁面および前記流路の
内面の少なくともいずれかに、フッ素樹脂若しくはシリ
コーンのコーティングが施されている上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の薬液注入ポート。
〈作用〉 このような構成の薬液注入ポートによれば、薬液注入
ポートの内部空間と薬液流出用の流路とが、例えば漏斗
形状のような実質的に段差のない連続面を形成している
ことにより、高粘度の薬剤を注入した際に、内部空間か
ら前記流路へ至る間になめらかな流れが形成され、これ
により薬剤のよどみがなくなり、付着、残存し難くな
る。
また、薬剤が付着、残存した場合でも、洗浄液を注入
すると、同様のなめらかな流れが形成されるため、洗浄
効果が高まり、薬剤の付着、残存を防止することができ
る。
〈実施例〉 以下、本発明の薬液注入ポートを添付図面に示す好適
実施例に基づいて詳細に説明する。
第1図は、本発明の薬液注入ポートの構成例を示す斜
視図、第2図は、第1図に示す薬液注入ポートの横断面
図、第3図は、第2図中のIII-III線での断面図であ
る。
これらの図に示すように、薬液注入ポート1は、剛性
材料よりなる本体2を有し、この本体2の内部には、薬
液を貯溜する空間としての内部空間3が形成されてい
る。 この内部空間3は、横断面が実質的に円形または
楕円形(図示の例では円形)であるのが好ましい。
なお、ここで「実質的に円形」とは、完全な円形の
他、例えば8角以上の正多角形のようなもの、らせんの
軌跡を有するもの、円形または前記多角形等の一部が欠
損または変形したようなもの、なめらかな連続線よりな
るもの等、その形状が円形に近似し、円形と同様の機能
を有するものを意味する。
また、「実質的に楕円形」についても同様である。
なお、円形の内部空間3の直径は、5〜40mm程度、特
に6〜20mm程度とするのが好ましい。
この内部空間3の第3図中上部には、薬液を注入する
ための薬液注入口4が形成され、この薬液注入口4に
は、薬液注入口4を気密的に封止する弾性体(セプタ
ム)5が嵌入されている。
この弾性体5は、穿刺後自己閉塞可能なもの、即ち、
針管を刺通し抜去した後、自ら閉塞して気密性(液密
性)を保つようなものである。
弾性体5の構成材料としては、シリコーン、イソプレ
ン、天然ゴム等の各種ゴム類、ポリウレタン、ポリアミ
ドエラストマー、ポリブタジエン、軟質塩化ビニル等の
各種樹脂、またはこれらのうち2以上を組み合わせたも
の等が挙げられるが、そのなかでも特に、生体に対し不
活性で、比較的物性変化の少ないシリコーンゴムが好ま
しい。
本体2の第3図中上部には、薬液注入口4の外周に沿
って突出するリブ部6が形成されている。このリブ部6
を設けたことにより、皮膚の上から触診により薬液注入
口4の位置を確認する際に、容易かつ確実に認識するこ
とができる。
また、本体2の第3図中下部外周には、薬液注入ポー
ト1を皮下組織に固定するための円盤状のフランジ部7
が形成されており、このフランジ部7には、複数の貫通
孔8が形成されている。薬液注入ポート1の固定は、例
えば、各貫通孔7に糸を通し、その糸を筋等の皮下組織
に結ぶことにより行われる。
本体2の構成材料としては、生体に対し不活性なもの
であればいかなるものでもよく、例えば、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン(特に高密度PE)、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ
アセタール、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフォ
ン、アクリル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、シリコー
ン、ポリウレタン等の各種樹脂、またはこれらの樹脂中
にガラス繊維、ナイロン繊維、テトロン繊維等の繊維や
無機微粉末等を配合したもの、アルミナ、シリカ、アパ
タイト等の各種セラミックス、ステンレス、チタン、シ
ンチューまたはクロムメッキのような生体適合性を得る
ためのメッキを施した金属のような各種金属類等が挙げ
られる。
第2図および第3図に示すように、本体2には、本体
2の側部を貫通し、その内腔10が内部空間3に連通する
ように管体9が設置されている。この管体9の内腔10が
薬液流出用の流路となる。
なお、図示の例では、管体9の内腔10が内部空間を規
制する内周面3aに開口するように管体9が設置されてい
る。これにより薬液注入ポート1の高さを低く設定する
ことができ、薬液注入ポートの薄型化に寄与する。
また、管体9の一端には、薬液注入用のルーメン12が
形成されたカテーテル11の基端が接続され、これによ
り、管体9の内腔10とカテーテル11のルーメン12とが連
通する。
本発明では、この管体9の内腔10と内部空間3との接
続部13付近の構造に特徴を有する。即ち、この接続部13
付近においては、内部空間3の内周面3aおよび/または
底面3bと内腔10の内面10aとが実質的に段差のないなめ
らかな連続面を形成しており、特に図示の構成例のよう
に、接続部13付近の空間(流路)がいわゆる漏斗形状を
なしているのが好ましい。
ここで、漏斗形状とは、その径が連続的に縮径する形
状をいい、円錐状のテーパ管の他、その縦断面における
輪郭の全部または一部が、例えば、内側に向かって凸状
または凹状に湾曲したものやS字状のもののような曲線
をなしているもの等も含まれる。
また、漏斗形状の横断面形状も特に円形に限定されな
いが、前述したような実質的に円形または楕円形である
のが好ましい。
このような構成とすることにより、弾性体5を穿刺、
貫通した針管先端から内部空間3内に注入された薬液
が、内部空間3から接続部13を経て管体9の内腔10へ至
る間に、なめらかな流れが形成されるため、内部空間3
内、特に前記エッヂ部26(第5図参照)においてよどみ
が生じない。従って、特に抗癌剤のような粘性の高い薬
液を注入した場合でも、その薬液が内部空間3を規制す
る内壁面や角部に付着、残存し、結晶化することが抑制
される。
また、高粘度の薬液が内部空間3内に付着した場合で
も、洗浄液を薬液と同様にして注入すれば、やはり同様
のなめらかな流れが形成され、これにより付着した薬液
が確実に除去される。
なお、管体9の構成材料としては、前記本体2と同様
のものを用いることができるが、そのなかでも、特にス
テンレス、チタンのような各種金属類が好ましい。
また、管体9の内径は、0.1〜5.0mm程度、特に0.2〜
2.0mm程度とするのが好ましい。
本発明では、高粘度の薬液が付着し難くなるように、
内部空間3を規制する内壁面(内周面3a、底面3b)や内
腔10の内面10a等に例えば、フッ素樹脂、シリコーン等
のコーティングや研磨等の表面平滑化処理のような表面
処理を施すこともできる。
このような表面処理と、前記管体9の配置とを組み合
わせることにより、より一層優れた薬液の付着防止効果
および除去効果が得られる。
なお、図示の例では、内腔10の軸心延長線が内部空間
3の円の中心を通るように管体9が配置されているが、
本発明ではこれに限らず、内腔10の軸心延長線が内部空
間3の円の中心を通らないように管体9が配置されてい
てもよい。
以上、本発明の薬液注入ポートを第1図〜第3図に示
す構成例に基づいて説明したが、本発明は、これらに限
定されないことは言うまでもない。
〈発明の効果〉 以上述べたように、本発明の薬液注入ポートによれ
ば、内部空間に薬液、特に抗癌剤のような高粘度の薬液
やその結晶が付着、残存し難く、また付着したとして
も、洗浄液の注入により容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の薬液注入ポートの構成例を示す斜視
図である。 第2図は、第1図に示す薬液注入ポートの横断面図であ
る。 第3図は、第2図中のIII-III線での断面図である。 第4図は、従来の薬液注入ポートの横断面図である。 第5図は、第4図中のV−V線での断面図である。 符号の説明 1……薬液注入ポート 2……本体 3……内部空間 3a……内周面 3b……底面 4……薬液注入口 5……弾性体 6……リブ部 7……フランジ部 8……貫通孔 9……管体 10……内腔 10a……内面 11……カテーテル 12……ルーメン 13……接続部 20……従来の薬液注入ポート 21……本体 22……内部空間 22a……内周面 23……管体 24……内腔 24a……内面 25……軸心延長線 26……側部(エッヂ部)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬液を貯留する内部空間と、この内部空間
    に連通する薬液注入口と、この薬液注入口を封止する弾
    性体と、前記内部空間に連通する薬液流出用の流路とを
    有する薬液注入ポートであって、 前記内部空間と前記流路との接続部付近において、前記
    内部空間を規制する壁面と前記流路の内面とが、実質的
    に段差のない連続面を形成していることを特徴とする薬
    液注入ポート。
  2. 【請求項2】前記内部空間は、その横断面が実質的に円
    形であり、この内部空間の上端部に前記薬液注入口およ
    び前記弾性体が設けられ、この内部空間の内周面に前記
    流路が開口している請求項1に記載の薬液注入ポート。
  3. 【請求項3】前記内部空間と流路との接続部付近の空間
    が、漏斗形状をなしている請求項1または2に記載の薬
    液注入ポート。
  4. 【請求項4】前記内部空間を規制する内壁面および前記
    流路の内面の少なくともいずれかに、薬液が付着し難い
    コーティング若しくは表面平滑化処理が施されている請
    求項1ないし3のいずれかに記載の薬液注入ポート。
  5. 【請求項5】前記内部空間を規制する内壁面および前記
    流路の内面の少なくともいずれかに、フッ素樹脂若しく
    はシリコーンのコーティングが施されている請求項1な
    いし3のいずれかに記載の薬液注入ポート。
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JPH03275074A JPH03275074A (ja) 1991-12-05
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3522886B2 (ja) 1994-04-01 2004-04-26 メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド 放出サイドポートを備えた埋め込み可能な薬物注入ポンプ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3522886B2 (ja) 1994-04-01 2004-04-26 メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド 放出サイドポートを備えた埋め込み可能な薬物注入ポンプ

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