JP2903974B2 - ベルト式芝生送り出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マット状に育成された
芝生を、巻き取った後に再び巻き出して地面に敷き詰め
るための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】芝生を育成した後回収し、他の場所へ移
植する作業などが容易なように、網状の敷物の上に土を
入れ、芝生種を蒔き、芝生をマット状に育成させた後、
この敷物を巻いて芝生を回収して別の場所に移植する技
術を、本出願人は既に出願している。また、細かな樹皮
薄片を敷き詰めたものをベースとし、その上に芝生を育
成してマット状にする技術も公開されている（特開昭５
３−７５０３５号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巻き取
った芝生の取扱い、特に敷き詰め作業を効率良く行なう
ためには、何らかの工夫が必要であり、巻き取った芝生
を単に手作業で巻き出すというだけでは、面倒で手間が
かかる。また、巻き取りドラムの両端に歯車を設け、モ
ータにより巻き取りドラムを回転させることも考えられ
るが、巻き取られて相当な重量となっている芝生を巻き
出すためには、モータには大きな出力が要求され、その
分だけ装置が大型になってしまう。

【０００４】本発明は、以上の問題点を解決するために
なされたもので、巻き取った芝生を巻き出して敷き詰め
る際に、小さな出力の駆動装置で巻き出しが行えるベル
ト式芝生送り出し装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するためになされたもので、複数の車輪によって移
動する台車と、マット状の芝生をロール状に巻き取る巻
き取りドラムと、巻き取りドラムのドラム軸の両端を上
下動自在に支えるために前記台車に上下方向に設けられ
たＵ型軸受と、前記台車に設けられた第一の長尺プーリ
ーと、この第一の長尺プーリーとほぼ同一の上下位置で
平行に台車に設けられた第二の長尺プーリーと、前記ロ
ール状に巻き取られたマット状芝生が載置され、第一と
第二の長尺プーリーにより巻き回されるエンドレスベル
トと、第一または第二の長尺プーリーを回転駆動する駆
動装置と、を備えたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】駆動装置により２本の長尺プーリーに巻き回さ
れたエンドレスベルトが回動し、ロール状の芝生を回転
させる。ロール状の芝生は、この回転により巻き出され
て地面へ送り出され敷き詰められる。また、ベルトから
ロール状の芝生に伝えられる力は、ロール状の芝生の円
周部分に働き、小さな力で大きな回転トルクを発生す
る。このため駆動装置は小さな出力のものでよい。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図４にお
いて説明する。マット状の芝生１は、あらかじめ、芝生
面を外側にして、巻き取りドラム３に巻き取られてい
る。本実施例の装置の台車５は、ソリッドタイヤからな
る二対の車輪７、９を有し、移動できる。一対の車輪７
は、舵取り車輪となっており、舵取りハンドル１１によ
って方向が変えられ、舵取りができる。舵取りハンドル
１１は、直進状態つまりセンター位置において、ストッ
プノッチ付きのクリックにより、その位置を維持できる
ようになっている。台車５には図中右側にハンドル１３
が設けられ、このハンドル１３を作業員が牽引して移動
を行う。

【０００８】他の一対の車輪９は、車軸１５の端部に固
定されている。この固定は、図４に示すように、車輪９
のハブ９Ａに車軸１５の端部がキーとキー溝１６とで嵌
合され、ロックナット１８により軸方向の抜けが防止さ
れて、行われる。車軸１５の回りには、ベアリング１７
を介して、第１の長尺プーリー１９が回転自在に設けら
れている。

【０００９】この第１の長尺プーリー１９とほぼ同一上
下位置で平行な状態で、台車５に第２の長尺プーリー２
１が設けられる。これら２つの長尺プーリー１９、２１
には、エンドレスベルト２３が巻き回されている。ベル
ト２３は、２つの長尺プーリー１９、２１に対しスリッ
プを起こしにくいノンスリップ式のもので、しかも十分
な強度を有するものとする。十分な強度を有すること
で、ベルト２３の上に、重量の大きなロール状の芝生１
を載せることができる。このようなベルト２３の例とし
ては、ゴム系で、表面に摩擦を大きくするための多数の
凸部を有するものが挙げられる。

【００１０】前記第２の長尺プーリー２１は台車５に対
し図中右方向、即ち第１の長尺プーリー１９から離れる
方向にバネ２５により付勢されている。このバネ２５
は、付勢力を調整できるベルト張力調整機２７を構成す
る。この調整は、ねじ２９を回すことによって行われ
る。また、各長尺プーリー１９、２１は長手方向中央に
なるほど外径が少し大きくなっており、膨らんだ形とな
っている。この膨らんだ形により、前記エンドレスベル
ト２３が位置ずれを起こさずに回動できるようになって
いる。

【００１１】台車５の前後方向中央には、Ｕ型軸受３１
が設けられる。このＵ型軸受３１は、巻き取りドラム３
のドラム軸３３の両端を支えるためのものである。即
ち、ロール状の芝生１が巻き出され径が小さくなるに従
い、ドラム軸３３は上方から下方へ移動するが、このＵ
型軸受３１は、この移動を許容しつつ、ドラム軸３３の
両端を前後方向に動かないように支える。ドラム軸３３
の端部にはフランジが設けられ、Ｕ型軸受３１に受けら
れた状態で、左右方向に脱落しないようになっている。

【００１２】第２の長尺プーリー２１の端部には、スプ
ロケット３５が設けられ、チェーン３７を介して駆動装
置３９の駆動スプロケット４１により駆動力が伝達され
る。以下、本実施例の作用について説明する。芝生１の
敷き詰めを行う際には、駆動装置３９により、第２の長
尺プーリー２１、ベルト２３および第１の長尺プーリー
１９を図中時計回りに回転させる。同時に作業員はハン
ドル１３を引っ張って台車５を図中右方向に移動させ
る。そして、ベルト２３の回動により、ロール状の芝生
１が反時計回りに回転し巻き出され、図中左側へ送り出
される。

【００１３】経年変化によりベルト２３が伸びると、重
量物であるロール状の芝生１を十分に支えきれなくなる
ので、この伸びを吸収するためにベルト張力調整機２７
のねじ２９を回して、２つの長尺プーリー１９、２１の
間の寸法を広げる。これによりベルト２３は、再びぴん
と張った状態となり、ロール状の芝生１を支えられるよ
うになる。

【００１４】以上のように本実施例によれば、駆動装置
３９によりエンドレスベルト２３が回動し、自動的にロ
ール状の芝生１を回転させ、芝生１の送り出し敷き詰め
を行うことができるので、手作業で芝生１の送り出し敷
き詰めを行う必要がない。

【００１５】また、ロール状の芝生１は、ベルト２３に
より、広い面積によって柔軟に支えられるので、傷付き
にくい。また、ベルト２３からロール状の芝生１に伝え
られる力は、ロール状の芝生１の円周部分に働き、小さ
な力で大きな回転トルクを発生する。このため小さな力
でも容易に芝生１を回転させることができる。よって、
駆動装置３９の出力は、芝生１を巻き取ったドラム軸３
３を直接回転させる場合に比べ、小さくて済む。

【００１６】なお、以上の実施例においては、図中右の
車輪７は舵取り車輪となっていたが、他の装置において
は単に固定された車輪としても良い。その場合であって
もハンドル１３により装置全体を動かすことで、敷き詰
め方向を変えることができる。

【００１７】また、以上の実施例においては、駆動装置
３９は第二の長尺プーリー２１を回転駆動するものであ
ったが、他の実施例では第一の長尺プーリー１９を回転
駆動するものであってもよい。

【００１８】また、以上の実施例においては、芝生１は
芝面を外側にして巻き取られていたが、他の実施例では
芝面を内側にして巻き取ったものでもよい。この場合に
は芝生１の送り出しは第一の長尺プーリー１９の近くか
ら行われる。

【００１９】また、以上の実施例においては、装置の移
動方向は図中右方向で芝生１の送り出し方向は左方向で
あり逆方向であったが、他の実施例では同一方向でもよ
い。この場合に、送り出された芝生は車輪７に敷かれて
地面に敷き詰められる。

【００２０】また、以上の実施例においては、装置は人
力で移動するものであったが、他の実施例では移動用の
駆動装置で移動してもよい。

【００２１】また、以上の実施例においては、装置はハ
ンドル１３を引っ張って移動するものであったが、他の
実施例ではハンドル１３を押して移動するものであって
もよい。

【００２２】また、以上の実施例においては、車軸１５
に対し車輪９は固定され第一の長尺プーリー１９は回転
自在に設けられたが、他の実施例では車輪９は回転自在
に設けられ第一の長尺プーリー１９は固定されたものと
してよい。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のベルト式
芝生送り出し装置によれば、駆動装置により長尺プーリ
ーを介してエンドレスベルトが回動し、このベルトに載
せたロール状の芝生を回転させ送り出し敷き詰めるの
で、ベルトからの力はロール状の芝生の円周部分に働き
大きな回転トルクを発生し、前記駆動装置の出力は小さ
くて済み、装置の小形化を図れる。また、手作業に頼ら
ずに芝生の敷き詰めが行える。さらに、Ｕ型軸受がドラ
ム軸の両端を上下動自在に支えることにより、ロール状
芝生は常に適正にエンドレスベルト上に載置されること
になるので、ロール状芝生をその径にかかわらず円滑に
繰り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るベルト式芝生送り出し
装置の側面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の要部を示す拡大図である。

【図４】図３の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 芝生 ３ 巻き取りドラ
ム ５ 台車 ７、９ 車輪 １１舵取りハンドル １３ ハンドル １５ 車軸 １６キーとキー溝 １７ ベアリング １８ ロックナッ
ト １９ 第１の長尺プーリー ２１ 第２の長尺
プーリー ２３ エンドレスのベルト ２５ バネ ２７ ベルト張力調整機 ２９ ねじ ３１ Ｕ型軸受 ３３ ドラム軸 ３５ スプロケット ３７ チェーン ３９ 駆動装置 ４１ 駆動スプロ
ケット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01G 1/12 A01C 11/02 A01C 11/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の車輪によって移動する台車と、マ
   ット状の芝生をロール状に巻き取る巻き取りドラムと、
   巻き取りドラムのドラム軸の両端を上下動自在に支える
   ために前記台車に上下方向に設けられたＵ型軸受と、前
   記台車に設けられた第一の長尺プーリーと、この第一の
   長尺プーリーとほぼ同一の上下位置で平行に台車に設け
   られた第二の長尺プーリーと、前記ロール状に巻き取ら
   れたマット状芝生が載置され、第一と第二の長尺プーリ
   ーにより巻き回されるエンドレスベルトと、第一または
   第二の長尺プーリーを回転駆動する駆動装置と、を備え
   たことを特徴とするベルト式芝生送り出し装置。