JP2896545B2 - 回転電機付過給機によるエネルギー回収装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はターボチャージャのター
ビン軸に取付けた回転電機と、クランク軸に連結された
電動・発電機構とにより排気エネルギーを効率よく回収
する回転電機付過給機によるエネルギー回収装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、エンジンの排気エネルギーを利用
してエンジンのブースト圧力を増大させるターボチャー
ジャが広く使用されており、この種のターボチャージャ
のタービン軸に回転電機を取付け、エンジンの運転状態
に応じ、回転電機の電動駆動によりターボチャージャの
過給作動を付勢したり、またはこれの発電作動による出
力によってクランク軸に連結した電動機を駆動して排気
エネルギーを回収する試みが種々なされている。

【０００３】そして、エンジンが高負荷で過給気圧の増
大が望まれるときは、クランク軸に連結した電動・発電
機構の発電出力をターボチャージャの回転電機に給電
し、過給作動を助勢してエンジンへの過給気圧の増大を
図り、また、エンジン負荷が小さく高回転のときは、発
電作動の回転電機の出力をクランク軸の電動・発電機構
に供給し、排気エネルギーをエンジントルクに回収する
ことが行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のような排気エネ
ルギーの回収システムでは、クランク軸に連結している
電動・発電機構の運転を発電、または電動に切換えて制
御することになるが、発電運転時は高速回転の方が発電
効率がよく、電動運転時には、トルクの伝達の関係から
低速回転が効率よいため、クランク軸と一定比率で連結
していたのでは排気エネルギーの十分な回収が効率よく
行えないという不都合が生じている。またエネルギー回
収装置そのものの構成も複雑である。

【０００５】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、その目的はクランク軸に連結される電動・
発電機構を変速させ、さらにエネルギー回収装置の構成
を簡単にして常に効率よく排気エネルギーを回収しよう
とする回転電機付過給機によるエネルギー回収装置を提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の発明の目的を達成
するために、本発明は、エンジンの排気管に取り付けた
ターボチャージャのタービン軸に設けられ回転子が永久
磁石で構成されている発電電動可逆運転自在な交流機か
らなる回転電機と、回転子が永久磁石で構成され、発電
電動可逆運転自在な交流機からなり、エンジンのクラン
ク軸と動力の授受が行われる電動・発電機構と、前記回
転電機と電動・発電機構との間に介在し、周波数を制御
して回転電機の発電電力を電動・発電機構に供給してこ
れを電動機駆動し、電動・発電機構の発電電力を回転電
機に供給してこれを電動機駆動するインバータを含む１
個の電力変換器と、前記回転電機と前記電力変換器間と
前記電動・発電機構と前記電力変換器の間にそれぞれ設
けられた変圧器と、エンジンの過給圧増大が望まれる運
転状態時には前記電力変換器を制御して電動・発電機構
の発電電力を回転電機に供給してこれを電動機駆動する
とともに、排気管から排出される排気ガスのエネルギー
によりターボチャージャのタービン軸に設けられた回転
電機が発電機能するとき、前記電力変換器を制御して回
転電機の発電電力を電動・発電機構に供給してこれを電
動機駆動する電力変換器指令手段と、前記電動・発電機
構とエンジンのクランク軸の間に設けられ、エンジンの
負荷に応じて、クラッチ装置の操作により変速自在な遊
星歯車機構からなる動力伝達装置と、を具備してなるこ
とを特徴とする回転電機付過給機によるエネルギー回収
装置を提供する。

【０００７】

【作用】発電／電動作動する電動・発電機構の回転速度
を、作動に応じて適切となるように、クラッチにより変
速手段となる遊星歯車機構の変速比を選択する。また、
回転子を永久磁石とした回転電機の発電出力を同じく回
転子を永久磁石で構成した前記電動・発電機構に給電し
エンジントルクを付勢する前記回転電機と前記電動・発
電機構の間に、これらを互いに駆動し周波数を制御する
１つのインバータを設け、前記回転電機と前記インバー
タ間と前記電動・発電機構と前記インバータの間にそれ
ぞれ変圧器を設けたので、簡単な構造で回転電機との間
の電力授受による排気エネルギーの回収が効率よく実施
される。

【０００８】

【実施例】つぎに本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明する。

【０００９】図１は本発明にかかる回転電機付過給機に
よるエネルギー回収装置の一実施例を示す構成ブロック
図であり、図２は本発明の実施例におけるクランク軸に
連結した電動・発電機構の断面図である。

【００１０】これらの図面において、１はエンジン、２
はターボチャージャで、エンジン１の排気管１１にはタ
ーボチャージャ２のタービン２１が係合され、排気エネ
ルギーにより駆動されるタービン２１のトルクにより、
コンプレッサ２２と回転電機３が回転駆動されてコンプ
レッサ２２の圧気作動により吸気管１２を介してエンジ
ン１に過給気が圧送される。

【００１１】回転電機３は永久磁石を回転子に有し、タ
ービントルクにより駆動されると固定子に交流電力を生
じ、また、該固定子に所定の交流電力が供給されると回
転子が駆動され、そのトルクによりコンプレッサ２２の
圧気作動を助勢するように構成され、固定子の端子は変
圧器４１を介して電力変換器４に接続されている。この
変圧器４１は回転電機３と電力変換器４間に介在し、交
流的な変圧作用を営む。

【００１２】５は電動／発電機となる電動・発電機構
で、その回転軸５１には永久磁石からなる回転子５２が
備えられ、対応する固定子５３には巻線が施されて変圧
器４２に結線されている。この変圧器４２は電力変換器
４と電動・発電機構５間に介在し、交流的な変圧作用を
営む。そして、回転軸５１の他端にはクラッチ５４、プ
ーリ５５や変速手段となる遊星歯車機構５６が配置さ
れ、クランク軸のプーリ１３とＶベルト１４とにより掛
合されるプーリ５５からのトルクが遊星歯車機構５６を
介して回転子５２に伝達される。

【００１３】なお、クラッチ５４は電磁力により作動す
るもので、通電されてクラッチ５４がオンの場合は遊星
歯車機構５６がロックされ、回転軸５１の回転、すなわ
ち回転子５２の回転は大型のプーリ１３と小型のプーリ
５５との比率となり、クラッチ５４がオフの場合は遊星
歯車機構５６のギヤ比により、オンの場合の例えば２．
５倍に増速されるように構成されている。

【００１４】６はコントローラで電子制御装置からなる
もので、ターボチャージャ２の回転数を検出する回転セ
ンサ３１や、電動・発電機構５の回転数を検出する回転
センサ５７などからの信号を入力し、整流器やインバー
タを有する電力変換器４に対して、変圧器４１と変圧器
４２との間の電力の授受の制御指令や、バッテリ７を電
源として回転電機３を駆動する指令などを発するように
構成されていて、結局、エンジンの過給圧増大が望まれ
る運転状態時には前記電力変換器を制御して電動・発電
機構の発電電力を回転電機に供給してこれを電動機駆動
するとともに、排気管から排出される排気ガスのエネル
ギーによりターボチャージャのタービン軸に設けられた
回転電機が発電機能するとき、前記電力変換器を制御し
て回転電機の発電電力を電動・発電機構に供給してこれ
を電動機駆動する電力変換器指令手段の役目を司どる。

【００１５】つぎにこのように構成された本発明の実施
例の作動について説明すると、エンジン１が高負荷のた
め過給気の増圧が望まれる場合は、エンジントルクによ
り駆動される電動・発電機構５の発電出力を変圧器４
２、電力変換器４および変圧器４１を介して回転電機３
に供給して電動駆動し、そのトルクによりコンプレッサ
２２の圧気作動を助勢して過給気圧を増大させ、エンジ
ン１に圧送するが、この場合には電動・発電機構５のク
ラッチ５４をオフにして遊星歯車機構５６のギヤ比によ
って増速させて電動・発電機構５の発電効率を高めた出
力により回転電機３を電動駆動する。そして、ターボチ
ャージャ２の回転センサ３１からの回転信号が所定値に
達している場合には、クラッチ５４をオンにして電動・
発電機構５の回転を低下させて、その発電出力を制御す
ることになる。また回転センサ３１は回転電機の回転速
度をセンスして、コントローラ６に信号を送り、インバ
ータを含む電力変換器４で同期周波数の三相電流を作成
する。

【００１６】また、エンジン１が低負荷で高回転の場合
は、ターボチャージャ２の回転電機３に発電作動させ、
その出力を変圧器４１、電力変換器４および変圧器４２
を通じて電動・発電機構５に供給して電動作動させ、Ｖ
ベルト結合されたエンジン１を付勢する。この場合には
電動・発電機構５の回転センサ５７の回転信号に応じて
クラッチ５４のオン／オフを制御し、効率よく排気エネ
ルギーをエンジントルクとして回生させることになる。
また、回転センサ５７の信号は電動・発電機構５の速度
をセンスしてその信号をコントローラに送り、インバー
タを含む電力変換器４で同期周波数を作り電動・発電機
構５の駆動を行なう。

【００１７】以上、本発明を上述の実施例によって説明
したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が可
能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除
するものではない。

【００１８】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明はエ
ンジンの排気管に取り付けたターボチャージャのタービ
ン軸に回転子が永久磁石で構成されている回転電機を配
置するとともに、クランク軸に連動しかつ回転子が永久
磁石で構成されている電動・発電機構を結合し、エンジ
ンの運転状態に応じて該電動・発電機構の発電出力を回
転電機に供給して過給気圧を増大させるとともに、前記
回転電機の発電出力を前記電動・発電機構に給電しエン
ジントルクを付勢する前記回転電機と前記電動・発電機
構の間に、これらを互いに駆動し周波数を制御する１つ
のインバータ含む電力変換器を設け、前記回転電機と前
記電力変換器間と前記電動・発電機構と前記電力変換器
の間にそれぞれ変圧器を設けた構成要件を具備している
ので、簡単な構造で回転電機との間の電力授受による排
気エネルギーの回収が従来のものと比較して効率よく実
施される。またエンジンと電動・発電機構との回転の変
速が行えて、発電や電動作動に際して、電動・発電機構
を効率のよい回転数に制御できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる回転電機付過給機によるエネル
ギー回収装置の一実施例を示す構成ブロック図である。

【図２】本実施例におけるクランク軸に連結した電動・
発電機構の断面図である。

【符号の説明】

１…エンジン ２…ターボチャージャ ３…回転電機 ５…電動・発電機構 ６…コントローラ ５４…クラッチ ５６…遊星歯車機構

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの排気管に取り付けたターボチャ
   ージャのタービン軸に設けられ回転子が永久磁石で構成
   されている発電電動可逆運転自在な交流機からなる回転
   電機と、 回転子が永久磁石で構成され、発電電動可逆運転自在な
   交流機からなり、エンジンのクランク軸と動力の授受が
   行われる電動・発電機構と、 前記回転電機と電動・発電機構との間に介在し、周波数
   を制御して回転電機の発電電力を電動・発電機構に供給
   してこれを電動機駆動し、電動・発電機構の発電電力を
   回転電機に供給してこれを電動機駆動するインバータを
   含む１個の電力変換器と、 前記回転電機と前記電力変換器間と前記電動・発電機構
   と前記電力変換器の間にそれぞれ設けられた変圧器と、 エンジンの過給圧増大が望まれる運転状態時には前記電
   力変換器を制御して電動・発電機構の発電電力を回転電
   機に供給してこれを電動機駆動するとともに、排気管か
   ら排出される排気ガスのエネルギーによりターボチャー
   ジャのタービン軸に設けられた回転電機が発電機能する
   とき、前記電力変換器を制御して回転電機の発電電力を
   電動・発電機構に供給してこれを電動機駆動する電力変
   換器指令手段と、 前記電動・発電機構とエンジンのクランク軸の間に設け
   られ、エンジンの負荷に応じて、クラッチ装置の操作に
   より変速自在な遊星歯車機構からなる動力伝達装置と、 を具備してなることを特徴とする回転電機付過給機によ
   るエネルギー回収装置。