JP2895565B2 - 熱可塑性樹脂の製造方法およびその装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂の製造方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱可塑性樹脂、特にABS・MBS系樹脂(以
下、ABS樹脂等と略す)の製造方法およびその装置に関
するものである。さらに詳しくは、乳化重合によって得
られたグラフト重合体ラテックス、このラテックのスラ
リーまたは含水重合体と、溶液重合または/及び塊状重
合によって得られた溶融状態のビニル系重合体により連
続的にABS系樹脂等を製造する方法およびその装置に関
するものである。
[従来の技術] 従来より、ABS樹脂等の製造方法としては、 1)乳化重合法によって得たグラフト重合体と懸濁重合
または塊状重合法によって得たビニル重合体から製造す
る方法 2)乳化重合法によって得たグラフト重合体と乳化重合
法によって得たビニル系重合体から製造する方法 3)乳化重合法によって得たグラフト重合体をビニル系
単量体混合物等に混合し、塊状重合法により製造する方
法 4)溶液重合法によって得られたゴム状重合体をビニル
系単量体に溶解し、塊状−懸濁重合法により製造する方
法 5)溶液重合法によって得られたゴム状重合体をビニル
系重合体等に溶解し、塊状重合法により製造する方法 等が知られている。
しかし、4)及び5)の溶液重合法で得られたゴム状
重合体を使用する製造方法では、製品に含有されるゴム
状重合体の粒子径が大きく、1)〜3)の方法の製品と
比較して光沢が充分でない。従って、工業的には1)〜
3)の方法が採用されている。
すなわち、一般的にABS樹脂等は共役ジエン系ゴム状
重合体にビニル系単量体を乳化グラフト重合して得られ
るグラフト重合ラテックスを、乳化破壊、凝固、乾燥さ
せて単離せしめたグラフトパウダーを製造することが必
要となる。従って、グラフト重合ラテックスを乾燥した
グラフトパウダーとして回収するためには複雑で多様な
工程が必要であり、乾燥工程を中心としたランニングコ
スト、エネルギーロスの問題、製品の収率の低下、製品
コストに占める人件費の比率の高さ等の好ましくない点
が多い。また、ここで得られたグラフトパウダーは、同
様にして得られたビニル系重合体パウダー、懸濁重合に
より得られるビニル系重合体スラリーを脱水、乾燥させ
た重合体ビーズ或いは塊状重合により得られるビニル系
重合体ペレットと混合、押出、脱揮する方法またはビニ
ル系単量体等に混合して塊状重合する方法によりABS樹
脂等のペレットとされる。しかし、前者の方法は、一度
固化したビニル系重合体のビーズまたはペレットを溶融
状態になるまで加熱することが必要であり、コスト的に
好ましくない。また後者の塊状重合する方法では塊状重
合法の欠点ともいえる製造されるABS樹脂等に品種の制
限が加わる問題がある。
[発明が解決しようとする課題] これらの点を改良すべく従来から種々の提案がなされ
ている。例えば、重合体ラテックスを凝固処理した後、
ビニル系重合体のペレットまたは/及びビーズとともに
スクリュータイプの絞り脱水機に供給して脱水乾燥を行
い、シリンダ先端のダイス部から重合体を溶融状態で連
続的に取り出す方法(特開昭56−18604号公報)が提案
されている。しかしながら、この方法では、グラフト重
合体を回収,乾燥する工程は、簡略化されるが、従来の
方法と同様に一度固化したビニル系重合体のビーズまた
は/及びペレットを溶融状態にもどさなければならず、
エネルギーの損失が大きい欠点がある。
さらに、これらの欠点を改良する方法として、重合体
ラテックスの連続溶融物を析出、凝固したもの、又はこ
れから脱水したものを単一装置に供給し、脱水スリット
バレルで液状物を排出し、加熱・溶融したものに、連続
塊状重合法または溶融重合法で得られた溶融したビニル
系重合体を、前記脱水スリットバレルと第一のベントバ
レルとの中間に設けられている圧入バレルから液状で圧
入し、混合・混練し、ベントバレルから残存水分,残モ
ノマー等を気化して系外に除去してABS系樹脂を製造す
る方法(特開昭62−158750号公報)が提案されている。
しかしながら、この方法では、第一のベントバレルでの
ベントアップが大きく、これを抑制するためのベントス
タッファーが大がかりになる。また、脱揮されたモノマ
ーは大量の水と混在しており、これをリサイクルして使
用するためには、モノマー・溶剤のみを選択的に回収す
る油水分離装置または凝集剤を排除するための耐油性の
逆浸透膜モジュールが必要となり製品のコストアップと
なる。さらに、重合体ラテックスの溶融したものと溶融
したビニル系重合体を混練した後に、第一のベントバレ
ルから残存水分,残モノマー等を気化して除去している
ために、両者の混練前における重合体ラテックスを脱
水、加熱して溶融した状態で発生する気化した水分,残
モノマーの除去が不十分である欠点があった。
本発明は、このような状況を鑑み、種々検討して見出
されたものであり、その目的とするところは、グラフト
重合体ラテックスからポリマーを効率よく回収するこ
と、及び乳化重合により得られたグラフト重合体ラテッ
クスと溶液重合または/及び塊状重合より得られた溶融
状態のビニル系重合体を特定の構造を有する単一装置に
供給し、ABS樹脂等のペレットを回収する工程の簡略化
と省力化にある。
また、本発明の第二の目的は、製品樹脂の耐衝撃性が
すぐれ、樹脂中の残存揮発成分が低いとともに黄変、ヤ
ケ、コンタミ等を含有しない商品価値の高いABS樹脂等
の熱可塑性樹脂の製造方法およびその装置を提供するこ
とにある。
さらに、本発明の第三の目的としては、単一装置の少
なくとも第一のベントバレルから乳化重合により得られ
たスラリー,含水重合体のスリットバレルから排出され
なかった残存水分を主として蒸発させ、少なくとも第二
のベントバレルから排出される揮発成分を回収し、これ
をリサイクル使用することにより、製品のコストダウ
ン、排水処理負担の低減化を図るABS樹脂等の熱可塑性
樹脂の製造方法およびその装置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は、グラフト重合体とビニル重合体
から熱可塑性樹脂を製造するに当たり、 イ)共役ジエン系ゴム重合体に、芳香族ビニル系重合体
と芳香族ビニル以外のビニル系単量体の単量体混合物を
乳化グラフト重合して得られるラテックスであって、こ
のラテックスの全固形分中にジエン系ゴム状重合体が30
〜80重量%含有されているグラフト重合体ラテックス、
このラテックスから得られるスラリーまたは含水重合体 ロ)ビニル系重合体ラテックス、このラテックスから得
られるスラリーまたは含水重合体 のうちイ)及びロ)またはイ)単独からなるグラフト重
合体ラテックス、このラテックスから得られるスラリー
または含水重合体を、少なくともこれらの物質の供給を
受けるフィードバレル、これらの物質を脱水して液状物
を排出するためのスリットバレル、加熱手段を有する標
準バレル、気化物を排出するためのベントバレル、溶融
状態の重合体を圧入するための圧入バレルの各分割バレ
ルを備えたシリンダーと、少なくとも順方向スクリュ
ー、逆方向スクリュー及びニーディングディスクの各分
割二軸スクリューを組み合わせてなり、かつベントバレ
ルを少なくとも2個以上備え、その少なくとも1個のベ
ントバレルがフィードバレルに接続しているスリットバ
レルと圧入バレルの間に位置して設けられている単一装
置内に供給し、脱水・溶融し、ベントバレルで脱揮した
後、溶液重合または/及び塊状重合によって得られた溶
融状態のビニル系重合体を前記圧入バレルへフィードす
ることにより連続的に装置内に導入することを特徴とす
る熱可塑性樹脂の製造方法である。
また、本発明は、グラフト重合体とビニル重合体から
熱可塑性樹脂を製造する装置であって、 イ)共役ジエン系ゴム重合体に、芳香族ビニル系単量体
と芳香族ビニル以外のビニル系単量体の単量体混合物を
乳化グラフト重合して得られるラテックスであって、こ
のラテックスの全固形分中にジエン系ゴム状重合体が30
〜80重量%含有されているグラフト重合体ラテックス、
このラテックスから得られるスラリーまたは含水重合体 ロ)ビニル系重合体ラテックス、このラテックスから得
られるスラリーまたは含水重合体 のうちイ)及びロ)またはイ)単独からなるグラフト重
合体ラテックス、このラテックスから得られるスラリー
または含水重合体の供給を受けるフィードバレル、液状
物を排出するためのスリットバレル、加熱手段を有する
標準バレル、気化物を排出するためのベントバレル、溶
融状態の重合体を圧入するための圧入バレルの各分割バ
レルを少なくとも備えたシリンダーと、少なくとも順方
向スクリュー、逆方向スクリュー及びニーディングディ
スクの各分割二軸スクリューを組み合わせてなる単一装
置からなり、かつベントバレルを少なくとも2個以上備
え、その少なくとも1個のベントバレルがフィードバレ
ルに接続しているスリットバレルと溶液重合または/及
び塊状重合によって得られた溶融状態のビニル系重合体
を圧入するための圧入バレルの間に位置して設けられて
いることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造装置である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法に適用されるグラフ
ト重合体ラテックスとしては、 イ)ポリブタジエン,ブタジエン−スチレン共重合体,
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,エチレン−プ
ロピレン−ブタジエン共重合体,ブタジエン−アルキル
アクリレート共重合体,イソプレンゴム,クロロプレン
ゴム等の共役ジエン系重合体に、芳香族ビニル系単量体
として、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチルスチ
レンのうちの少なくとも1種類以上の単量体と、芳香族
ビニル以外のビニル系単量体として、アクリロニトリ
ル,メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、エ
チルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,オ
クチルアクリレート,メチルメタクリレート,エチルメ
タクリレート等のアルキル(メタ)クリレートのうちの
少なくとも1種類以上の単量体からなる単量体混合物を
乳化グラフト重合して得られる重合体ラテックスであっ
て、このラテックスの全固形分中のジエン系ゴム状重合
体の占める割合が30〜80重量%であるグラフト重合体ラ
テックス、 ロ)イ)に示したビニル系単量体群から選ばれた単量体
または単量体混合物を乳化重合して得られるビニル系重
合体ラテックス、 のうち、イ)に示したグラフト重合体ラテックスとロ)
に示したビニル系重合体ラテックスを混合して得られる
混合重合体ラテックス、またはイ)に示したグラフト重
合体ラテックス単独からなるものが挙げられる。また、
本発明においては、上記のグラフト重合体ラテックス,
混合重合体ラテックス及びこれらのラテックスから得ら
れるスラリーまたは含水重合体(以下、「乳化グラフト
重合体」と略記する)を用いることができる。
イ)においては、重合体ラテックスの全固形分中のジ
エン系ゴム状重合体の占める割合は通常30〜80重量%、
好ましくは40〜65重量%の範囲が望ましく、30重量%未
満では、ABS樹脂等の耐衝撃性を充分発現させるために
は、製造コストの割高な乳化重合体の使用比率を上げな
ければならない。また、80重量%を越えるとグラフト物
のグラフト率が低下するため、成形品に供した場合、耐
衝撃性が低下するとともに表面光沢が低下する。
本発明に使用する上記のグラフト重合体ラテックス
は、乳化重合するに際して、使用する乳化剤、開始剤、
連鎖移動剤等その他の薬品について何等制限されるもの
ではなく、通常の乳化重合に使用されるものであればど
のようなものであっても差し支えない。
次に、本発明の乳化グラフト重合体とビニル系重合体
から熱可塑性樹脂を製造する装置は単一装置からなり、
分割バレルを備えたシリンダー、スクリュー及びスクリ
ュー駆動部を主たる構成要素とする一種の二軸スクリュ
ー押出機型式のものが用いられる。本発明の装置は、バ
レル及びスクリューがブロック毎に分解できるメインス
トリームと溶液重合または/及び塊状重合により得られ
た溶融状態のビニル系重合体が供給されるサイドストリ
ームを有する構成からなる。
バレルには、乳化グラフト重合体、塩析剤等の供給を
受けるフィードバレル、液状物を通過させるが固形状物
を通過させないスリットを持つスリットバレル、加熱手
段を有する標準バレル、揮発分を除去するためのベント
口を有するベントバレル、溶液重合または/及び塊状重
合によって得られた溶融状態のビニル系重合体及び滑
剤、顔料、安定剤等を圧入し添加するための圧入バレル
の各分割バレル、及び重合体組成物を溶融状態で取り出
すダイス等がある。これらのバレルは、目的に応じて自
由に組み合わせてその位置や長さを変えることができる
が、特に、本発明においては、ベントバレルを少なくと
も2個以上備え、その少なくとも1個のベントバレルが
フィードバレルに接続しているスリットバレルと圧入バ
レルの間に位置して設けられ、その他の少なくとも1個
のベントバレルが圧入バレルとダイスの間に位置して設
けられていることを特徴とする。
またスクリューには、重合体を順方向に送る順方向ス
クリュー、逆方向に送る逆方向スクリュー及び重合体を
混練するニーディングディスクが用いられ、これらのス
クリューは二軸の分割スクリューであり、前記バレルと
同様に、目的に応じてその位置及び長さを変えることが
できる。従って、本発明の装置においては、本装置に投
入される重合体組成物の種類及びスラリーまたは含水重
合体の状態により、本発明の単一装置の各バレルの構成
比及びスクリューの構成比を変えることにより、適正な
溶融状態で重合体組成物を取り出すことができるもので
ある。尚、加熱手段は標準バレルのみではなく、他のバ
レルにも設けることができる。
本発明の装置の必須要因は、少なくともフィードバレ
ル、スリットバレル、標準バレル、ベントバレル、圧入
バレルから構成される各分割バレルを備えたシリンダー
と、少なくとも順方向スクリュー、逆方向スクリュー、
ニーディングディスクからなる分割二軸スクリュー及び
ダイスからなるが、場合によっては、ベントバレルのベ
ント口より時々ポップコーン状になる重合体を系内にも
どすベントスタッファー、スクリュー先端の重合体の滞
留を防止するためのギヤポンプ等の付帯設備を連結介在
させてもよい。
次に、本発明の製造方法において、乳化グラフト重合
体が上記装置内に供給され、脱水,溶融,脱揮された
後、圧入バレルを用いてフィードされる、溶液重合また
は/及び塊状重合により得られる溶融状態のビニル系重
合体として、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチル
スチレン等の芳香族ビニル系単量体は、アクリロニトリ
ル,メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、
エチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,
オクチルアクリレート,メチルメタクリレート,エチル
メタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、無
水マレイン酸等の酸無水物及びそのイミド化化合物の単
独重合体または/及び共重合体及びその変性体等が挙げ
られる。
以下に具体的な例を参照しながら、本発明をさらに詳
細に説明する。しかし、以下に示す例は本発明の一例に
過ぎず、本発明に関し何ら限定を与えるものではない。
第1図は本発明の熱可塑性樹脂の製造装置の一例を示
す説明図である。同第1図において、グラフト重合体ラ
テックスの貯蔵タンク1からポンプ2により送られるグ
ラフト重合体ラテックスは、凝集剤貯蔵タンク3よりポ
ンプ4により送られる凝集剤と混合槽5にて撹拌・混合
され、その結果乳化破壊され、ポリマーが凝集したスラ
リーとなる。このスラリーは、ポンプ6によりフィルタ
ー7に送られ、回収重合体の機械的強度及び成型後の外
観上好ましくない影響を与える乳化剤、乳化安定剤、重
合体凝集剤の水流および一部脱水された後、本発明の単
一装置に供給される。
第1図において、(A),(B)及び(C)は、各々
本単一装置の基本的構成要素であるバレルの構成、スク
リューの構成及びスクリューの構造の断面を示してい
る。F,H,S,V1,V2,P,Dは、各々フィードバレル,標準バ
レル,スリットバレル,ベントバレル(V1,V2),圧入
バレル及びダイスを示し、X,Y,Zは、各々順方向スクリ
ュー、ニーディングディスク及び逆方向スクリューを示
す。特に、本単一装置においては、ベントバレルは2個
用いられ、第一のベントバレルV1はスリットバレルSと
圧入バレルPの間に標準バレルHと接続して設けられ、
また第二のベントバレルV2は圧入バレルPと標準バレル
Hの間に1個の標準バレルHと接続して設けられてい
る。
上記の単一装置において、フィルター7から出た一部
脱水されたグラフト重合体スラリーは、フィードバレル
Fに供給され、フィードバレルFと順方向スクリューX
により前方に送られる。スリットバレルSに送られたグ
ラフト重合体スラリーは、更に前方のスクリューに設け
られたニーディングディスクYと逆方向スクリューZに
より背圧がかけられ、水分、乳化剤、乳化安定剤、重合
体凝集剤等がスリット部より系外に排出される。脱水さ
れたグラフト重合体は、標準バレルHで加熱・溶融さ
れ、第一のベントバレルV1にてグラフト重合体に含有さ
れている残存水分及び残存モノマー等が気体として系内
から除去される。このとき、第一のベントバレルV1にも
加熱手段を設けておくとさらに有効である。
一方、圧入バレルPより供給される溶融状態のビニル
系重合体は、以下のようにして製造される。すなわち、
単量体混合物を原料タンク8よりポンプ9によりリアク
ター10に連続的に供給し、ここで重合した後、抜き出し
用ポンプ11により連続的にリアクター10外に排出する。
排出されたビニル系重合体は、プレヒーター12で加熱
後、フラッシュタンク13で、未反応モノマー及び溶剤等
が除去され、フラッシュタンク13の下部の抜き出し用ポ
ンプにより、溶融状態でメインストリームの加熱手段を
設けた圧入バレルPに供給される。圧入バレルPに供給
された溶融状態のビニル系重合体と、メインストリーム
に存在する加熱・溶融されたグラフト重合体の混合物
は、この圧入バレルP内の順方向スクリューにより加熱
混合され、前方に送られる。更に、ニーディングディス
クYと逆方向スクリューZにより混合された重合体混合
物は、最終的に第二のベントバレルV2にて重合体混合物
に含有されている残存水分及び残存モノマー等が気体と
して系内から除去され、この様にして脱揮された後、ダ
イスDから回収される。このとき、ABS樹脂等のように
熱安定性の劣る樹脂の場合、第1図のようにダイスのま
えにギヤポンプ17を設置し、樹脂の滞留を防止すること
も可能である。
ダイスDから排出される溶融した樹脂は、ホットカッ
ト、アンダーウォーターカット、ストランドカット等の
公知の方法で回収される。
なお、ベントバレルV1,V2から気体として系外に除去
された残存水分及び残存モノマー等は、適宜分離,回収
してこれをリサイクル使用することができる。例えば、
残存モノマーを回収するには、一般に用いられている揮
発成分の回収装置を使用して回収し、グラフト共重合体
ラテックスまたはビニル系重合体の合成原料としてリサ
イクル使用することにより、製品のコストダウン、排水
処理負担の低減化を図ることができる。
上記に示した本発明の2軸スクリュー式単一装置によ
れば、乳化重合法により得られた乳化グラフト重合体を
脱水・加熱・脱揮後、この単一装置のメインストリーム
に、溶液重合または/及び塊状重合によって得られた溶
融状態のビニル系重合体を圧入バレルより連続的にフィ
ードすることにより、ABS樹脂等を製造できるので、従
来の方法と比較して工程の簡略化と省力化が達成され
る。
特に、本発明の単一装置においては、ベントバレルを
少なくとも2個以上備え、その少なくとも1個の第一の
ベントバレルがフィードバレルに接続しているスリット
バレルと圧入バレルの間に位置して設けられているの
で、乳化グラフト重合体に含有されている残存水分及び
残存モノマー等を気体として系内から除去することがで
き、その後第二のベントバレルにて溶融状態のビニル系
重合体を圧入バレルを用いてフィードした混合重合体に
含有されている残存水分及び残存モノマー等を気体とし
て最終的に系内から除去するので、製品樹脂中の残存揮
発成分を極めて低減化することができる。
更に、本発明の方法により、溶融温度の異なる樹脂成
分からなる、通常のABS樹脂等よりも耐熱性の優れたABS
樹脂を製造する工程の例を、第2図に示す装置に基づい
て説明する。
第2図は本発明の熱可塑性樹脂の製造装置の他の例を
示す説明図である。同第2図において、1〜13は、第1
図の装置と同様の装置である。第1図の例と同様の手順
で乳化重合法により得られた乳化グラフト重合体と連続
溶液重合法により得られたビニル系重合体を混合・加熱
する。
一方、ホールドタンク14に貯蔵された、通常のABS樹
脂等より耐熱性の優れた樹脂、例えばスチレン−無水マ
レイン酸共重合体,スチレン−N置換マレイミド共重合
体等の重合体溶液を、抜き出し用ポンプ15により、リア
ベント口1段を含む4段ベント2軸スクリュー式押出機
16に供給する。ここで、加熱・脱揮された耐熱性の優れ
た重合体は、2軸スクリュー式押出機16の先端に設けら
れたギヤポンプによって、本発明の単一装置に、加熱手
段の設けられた圧入バレルP2より供給される。
乳化グラフト重合体,ビニル共重合体および耐熱性の
優れた重合体からなる重合体混合物は、この圧入バレル
P2内の順方向スクリューにより加熱混合され、前方に送
られる。更に、ニーディングディスクYと逆方向スクリ
ューZにより混合された重合体混合物は、最終的に第二
のベントバレルV2にて重合体混合物に含有されている残
存水分及び残存モノマー等が気体として系内から除去さ
れ、脱揮された後、ギヤポンプ17によりダイスDに圧送
され、ダイスDより回収される。
従来の方法によれば、このように耐熱性の著しく悪く
なる重合体混合物からなるABS樹脂等の製造に際して
も、原料の各重合体の導入口が共通であるため、導入口
直後のバレルより、耐熱性の高い重合体が溶融する温度
設定が要求される。そのために、この場合、耐熱性の低
いゴム状重合体も高温に曝され、架橋反応が生じ、ABS
樹脂等の特徴ともいえる耐衝撃性が低下するばかりか、
樹脂のヤケが生じ、樹脂の黄変、コンタミとなり、樹脂
の商品価値を著しく低下させることとなる。
上記に示した本発明で使用する2軸スクリュー式単一
装置によれば、バレルとスクリューの長さを一部延長
し、供給物の物性に応じて適性なバレル、スクリューの
構成及び重合体の導入順序を図ることにより、耐衝撃性
の低下を避け、通常のABS樹脂等よりも耐熱性の優れたA
BS樹脂等の重合体も得ることが可能となる。
これら物性上の利点は、本発明の合理性とともに以下
に示す実施例にてより明確化される。
[実施例] 以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、実施例中の部数は、重量部数を示すもので、
物理的強度の測定はJIS規格に基づき測定した。
○測定方法 アイゾッド(Izod)衝撃強度:JIS K−7110 引張降伏強さ :JIS K−7113 伸 び :JIS K−7113 ビカット軟化点 :JIS K−7206 残存モノマー:ポリマー中の残存モノマーは、o−キ
シレンを標準液とした内部標準法によりガスクロマトグ
ラフィーで測定した。
実施例1 第1図の方法によりABS樹脂を作製した。
a)下記の重合処方によりグラフト重合体ラテックスを
製造した。
仕込み物質 仕込み部数 ポリブタジエンラテックス(固形分) 100部 スチレン 75部 アクリロニトリル 25部 t−ドデシルメルカプタン 1部 FeSO4・7H2O 0.02部 EDTA・4Na塩 0.05部 ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキ シレート 0.2部 t−ブチルパーアセテート 0.2部 クメンヒドロキシパーオキサイド 0.1部 ラウリル酸ソーダ 2.0部 H2O(ポリブタジエンラテックス中の水 を含む) 263部 重合時間 6時間 重合温度 50℃→70℃ 単量体、t−ブチルパーアセテートと乳化剤は4時間
で等速連続添加し、重合温度を70℃に昇温するとともに
クメンヒドロキシパーオキサイドを1時間等速連続添加
した。更に、1時間、70℃で重合反応を継続し、グラフ
ト重合体ラテックスを得た。重合反応終了後、ヒンダー
ドフェノール系酸化防止剤とリン系安定剤を乳化・混合
した。
b)下記の重合処方により溶融状態のビニル系重合体を
得た。
仕込み物質 仕込み部数 スチレン 60部 アクリロニトリル 20部 エチルベンゼン 20部 上記単量体混合物が調整された原料タンク8よりポン
プ9により、内温が155℃に保たれたリアクター10に単
量体混合物をフィードした。リアクター内での平均滞留
時間が約4時間になるように抜き出し用ポンプ11の排出
速度を設定した。ポンプ11の出口で重合体溶液中の樹脂
成分濃度を測定した結果、約60重量%であり、樹脂成分
中のアクリロニトリル単位は、25.5重量%であった。
この重合体溶液をプレヒーター12で200℃まで加熱
し、50Torrに減圧されたフラッシュタンク13にて未反応
の単量体を除去し、溶融状態の重合体を得た。
a)で作製したグラフト重合体ラテックスを、タンク
1より、また3重量%硫酸マグネシウム水溶液をタンク
3より、各々ポンプ2,4を用いてほぼ10:9の比率で混合
槽5に送り、撹拌混合し、ポリマー濃度20%のスラリー
とした。これをポンプ6によりフィルター7に送り、脱
水後水洗し、ポリマー濃度70%まで脱水した。
二軸のスクリュー式単一装置のバレル(口径50mm)と
スクリュー構成は、各々第1図の(A),(B)に示
す。各バレルの温度は、スリットバレルの次の標準バレ
ルHより先端に向かって、それぞれ170℃(H),200℃
(V1),200℃(P),180℃(H),180℃(V2),180℃
(H),180℃(H)とし、ダイスD部分の温度を250℃
とした。またスクリューの回転数は、300rpmにした。
次に、フィルター7よりポリマー濃度70重量%のウエ
ットケーキを52kg/hrの速度にてフィードバレルFに移
送した。移送開始とともにスクリューの回転を開始し、
ベント口に直結した真空ポンプを作動させた。その後、
フラッシュタンク13下部に設置されたギアポンプにより
溶融状態のビニル系重合体を64kg/hrの速度で圧入バレ
ルPに供給した。溶融状態のビニル系重合体の供給を開
始してから数分後に定常状態となり、ダイス部Dより溶
融状態のABS樹脂が吐出したので、この重合体を冷却槽
で冷却後、ペレタイザーでカットし、ペレット及びベン
トバレルV1,V2からの排気物を連続的に回収した。
得られたABS樹脂のペレット、スリットバレルSのス
リットから排出された水、ベントバレルV1,V2からの排
気物の組成は次の通りであった。
(1)ABS樹脂のペレット(ゴム分18重量%) 吐出量 : 100kg/hr 色 相 : 良好 回収率 : 99.6%(重合体換算) 物 性 : アイゾッド(Izod)衝撃強度 25kg・cm/cm 引張降伏強さ 4.6kg/mm2 伸 び 20% ビカット軟化点 99℃ 残存モノマー : スチレン 700ppm エチルベンゼン 400ppm アクリロニトリル 40ppm (2)スリットから排出された水 総排出量 15.2kg/hr 水不溶分(主として重合体) 0.4kg/hr (3)ベントバレルからの排気物 (3−1)ベントバレルV1からの排気物 水 0.9kg/hr モノマー等 微 量 (3−2)ベントバレルV2からの排気物 水 0.1kg/hr モノマー等 0.3kg/hr (4)動 力 ABS樹脂ペレット1t当たりの必要電力量 280kw なお、ベントバレルV2からの回収物を乳化重合時に添
加しても重合系に何らの影響を及ぼさなかった。
上記実験結果より、本発明の製造方法は、工業的に利
用価値の高い、グラフト重合体スラリーと連続溶液重合
により得られた溶融状態のAS樹脂を、二軸スクリュー式
単一装置に効率よく供給することにより、不純物含有量
の少ないABS樹脂を製造できることは明らかである。
比較例1 c)下記の重合処方によりビニル系重合体スラリーを製
造した。
仕込み組成 仕込み部数 H2O 55部 第3リン酸カルシウム 0.5部 スチレン 52部 アクリロニトリル 26部 t−ブチルパーオキシアセテート 0.08部 t−ドデシルメルカプタン 0.35部 過硫酸カリウム 0.02部 上記組成物を103℃に昇温後、以下の組成物を6時間
かけて、等速添加し重合反応を進めた。更に120℃に昇
温し、2時間この温度を保ったのち冷却した。
添加組成 添加部数 H2O 50部 スチレン 22部 このASビーズスラリーを中和・脱水した後、実施例1
と同様のグラフト重合体ラテックスと前記ASビーススラ
リーを脱水したものを、グラフト重合体ラテックス中の
固形分とASビースの重量比率が36:64になるように計量
後、ラテックス混合層5に移送した。これをポンプ6に
よりフィルター7に送り、脱水後水洗し、ポリマー濃度
70%まで脱水した。
二軸のスクリュー式単一装置のバレル(口径50mm)と
スクリュー構成は、各々第1図の(A),(B)に示
す。各バレルの温度は、スリットバレルSの次の標準バ
レルHより先端に向かって、それぞれ170℃(H),200
℃(V1),200℃(P),180℃(H),180℃(V2),180℃
(H),180℃(H)とし、ダイスD部分の温度を250℃
とした。またスクリューの回転数は、300rpmにした。
次に、フィルター7よりポリマー濃度70%のウエット
ケーキを143kg/hrの速度にてフィードバレルFに移送し
た。移送開始とともにスクリューの回転を開始し、ベン
ト口に直結した真空ポンプを作動させた。重合体混合物
の供給を開始してから数分後定常状態となり、ダイス部
Dより溶融状態のABS樹脂が吐出していたので、この重
合体を冷却槽で冷却後、ペタイザーでカットし、ペレッ
トを連続的に回収した。
得られたABS樹脂のペレット、スリットバレルSのス
リットから排出された水、ベントバレルからの排気物の
組成は次の通りであった。
(1)ABS樹脂のペレット(ゴム分18重量%) 吐出量 : 100kg/hr 色 相 : 黄味を帯びている 回収率 : 99.%(重合体換算) 物 性 : アイゾッド(Izod)衝撃強度 24kg・cm/cm 引張降伏強さ 4.4kg/mm2 伸 び 20% ビカット軟化点 98℃ 残存モノマー : スチレン 1500ppm アクリロニトリル 60ppm (2)スリットから排出された水 総排出量 41.2kg/hr 水不溶分(主として重合体) 1.0kg/hr (3)ベントバレル(V1+V2)からの排気物 総回収量 2.0kg/hr モノマー等 0.2kg/hr (4)動 力 ABS樹脂ペレット1t当たりの必要電力量 350kw 実施例1及び比較例1で得られたABS樹脂を比較する
と、本発明の方法による場合の方が、色相、残存モノマ
ー含有量が少ない点ですぐれたものであり、本発明の方
が工程的にも簡略化されている。また所要動力も少な
い。
実施例2 第2図の方法により耐熱性ABS樹脂を作製した。
d)特公昭61−26936号公報に記載された実施例に基づ
き、下記の重合処方によりマレイミド系重合体を製造し
た。
仕込み物質 仕込み部数 スチレン 75部 このスチレンをホールドタンク14に仕込み、80℃に昇
温後、以下の組成物を10時間等速添加した。
添加物質 添加部数 メチルエチルケトン 50部 無水マレイン酸 25部 ベンゾイルパーオキサイド 0.3部 添加終了後、更に2時間、80℃に保った。
上記共重合体組成物に対し、下記の添加物を加え、13
0℃に昇温後、7時間反応を行った。
添加物質 添加部数 メチルエチルケトン 180部 トリエチルアミン 1部 アニリン 26.9部 ここで得られた重合体をギヤポンプ15によりリアベン
ト1段を含む4段ベント付き二軸スクリュー式押出機16
に供給し、ここで溶剤の脱揮と樹脂の昇温を行い、最終
的には300℃に加熱された溶融状態の重合体を得た。
a)で作製したグラフト重合体ラテックスを、タンク
1より、また3重量%硫酸マグネシウム水溶液をタンク
3より、各々ポンプ2,4を用いてほぼ10:9の比率で混合
槽5に送り、撹拌混合し、ポリマー濃度20%のスラリー
とした。これをポンプ6によりフィルター7に送り、脱
水後水洗し、ポリマー濃度70%まで脱水した。
二軸のスクリュー式単一装置のバレル(口径50mm)と
スクリュー構成は、各々第2図の(A),(B)に示
す。各バレルの温度は、スリットバレルの次の標準バレ
ルHより先端に向かって、それぞれ220℃(H),250℃
(V1),280℃(P1),280℃(H),260℃(P2),260℃
(H),260℃(V2),260℃(H),260℃(H)とし、ダ
イスD部分の温度を280℃とした。またスクリューの回
転数は、300rpmにした。
次に、フィルター7よりポリマー濃度70%のウエット
ケーキを52kg/hrの速度にてフィードバレルFに移送し
た。移送開始とともにスクリューの回転を開始し、ベン
ト口に直結した真空ポンプを作動させた。その後フラッ
シュタンク13下部に設置されたギアポンプにより、AS重
合体成分中のアクリロニトリル単位が28.0重量%である
組成の溶融状態のビニル系重合体を25kg/hrの速度で抜
き出し用ポンプ11により圧入バレルP1に供給した。次い
で、ギヤポンプ付き二軸スクリュー式押出機16より溶融
状態のマレイミド系重合体を39kg/hrの速度で、次の圧
入バレルP2に供給した。数分後定常状態となり、ダイス
部Dより溶融状態のABS樹脂が吐出したので、この重合
体の冷却槽で冷却後、ペレタイザーでカットし、ペレッ
トを連続的に回収した。
得られた耐熱性ABS樹脂のペレット、スリットバレル
Sのスリットから排出された水、ベントバレルV1,V2
らの排気物の組成は次の通りであった。
(1)ABS樹脂のペレット(ゴム分18重量%) 吐出量 : 100kg/hr 色 相 : 良好 回収率 : 99.6%(重合体換算) 物 性 : アイゾッド(Izod)衝撃強度 17kg・cm/cm 引張降伏強さ 4.2kg/mm2 伸 び 30% ビカット軟化点 128℃ 残存モノマー : スチレン 700ppm エチルベンゼン 200ppm アクリロニトリル <30ppm メチルエチルケトン 50ppm アニリン 40ppm (2)スリットから排出された水 総排出量 15.2kg/hr 水不溶分(主として重合体) 0.4kg/hr (3)ベントバレルからの排気物 (3−1)ベントバレルV1からの排気物 水 0.9kg/hr モノマー等 微 量 (3−2)ベントバレルV2からの排気物 水 0.1kg/hr モノマー等 0.4kg/hr (4)動 力 ABS樹脂ペレット1t当たりの必要電力量 320kw 比較例2 実施例1で使用したグラフト重合体ラテックスから従
来の方法により、凝固・脱水・乾燥して得たグラフト重
合体パウダー、比較例1で使用した懸濁重合法で得られ
たASスラリーを従来の方法により中和・脱水・乾燥して
得たASドライビーズ、及び実施例2の二軸スクリュー式
押出機出口にダイスを配置し、ストランド状のマレイミ
ド系共重合体をカットして得られたペレットを用いて、
従来の方法によりブレンド・ペレット化し、実施例2で
得られた耐熱性ABS樹脂のペレットとその物性を比較し
た。
即ち、a)のグラフト重合体ラテックスの固形分100
部に対し、硫酸マグネシウム2部を加えてポリマーを凝
集させ、得られたスラリーを遠心分離機にて洗浄・断水
し、棚式熱風乾燥機で60℃、24時間乾燥してグラフト重
合体パウダーを得た。
また、b)のASスラリーに塩酸を加えて中和し、遠心
分離機にて洗浄・脱水し、棚式乾燥機にて、80℃、5時
間乾燥しASドライビーズを得た。
これらの重合体とd)のマレイミド系共重合体ペレッ
トを、重量比で、グラフト重合体パウダー:ASドライビ
ーズ:マレイミド系重合体ペレットが、36:25:39となる
ようにブレンドし、これを40mmφベント付き押出機にて
ペレット化した。このペレットの物性を下記に示す。
物 性 : アイゾッド(Izod)衝撃強度 15kg・cm/cm 引張降伏強さ 4.2kg/mm2 伸 び 26% ビカット軟化点 125℃ 残存モノマー : スチレン 1500ppm アクリロニトリル 70ppm メチルエチルケトン 500ppm アニリン 90ppm 実施例2と比較例2で得られたABS樹脂の物性を比較
すると、本発明の方法による場合の方が優れている。ま
た、本発明の方が工程で著しく簡略化されていることが
明らかである。
比較例3 実施例1で用いた第1図の装置において、溶融状態の
ビニル系重合体を圧入する圧入バレルPとベントバレル
V1を入れ換え、またスクリュー構成を変更した第3図に
示す装置を用いてABS樹脂を作製した。
すなわち、第3図に示すように、ベントバレルV3,V4
を設け、第一のベントバレルV3を圧入バレルPの直後に
設け、該ベントバレルV3にはベントスタッファーを設置
し、実施例1と同様の方法によりABS樹脂を作製した。
得られたABS樹脂のペレット、スリットバレルSのス
リットから排出された水、ベントバレルV3,V4からの排
出物の組成は次の通りであった。
(1)ABS樹脂のペレット(ゴム分18重量%) 吐出量 : 99.4kg/hr 色 相 : 良好 回収率 : 99.0%(重合体換算) 物 性 : アイゾッド(Izod)衝撃強度 25kg・cm/cm 引張降伏強さ 4.5kg/mm2 伸 び 18% ビカット軟化点 99℃ 残存モノマー : スチレン 1000ppm エチルベンゼン 580ppm アクリロニトリル 60ppm (2)スリットから排出された水 総排出量 15.1kg/hr 水不溶分(主として重合体) 0.4kg/hr (3)ベントバレルからの排気物 (3−1)ベントバレルV3からの排気物 水 0.7kg/hr モノマー等 微 量 ベントバレルV3から飛び出すポップコーン状ポリマ
ー 0.6kg/hr (3−2)ベントバレルV4からの排気物 水 0.3kg/hr モノマー等 0.3kg/hr ベントバレルV4からの排出物を乳化重合時に添加する
と、重合槽の壁面にポリマー付着が多量に生じた。
[発明の効果] 以上の結果から明らかなように、本発明によれば、グ
ラフト重合体ラテックスからポリマーを効率よく回収す
ることができると共に、乳化重合により得られたグラフ
ト重合体ラテックスと溶液重合または/及び塊状重合よ
り得られた溶融状態のビニル系重合体を単一装置に供給
し、ABS樹脂等のペレットを回収する工程の簡略化と省
力化を行なうことができる。
また、本発明は、耐衝撃性にすぐれ、樹脂中の残存揮
発成分が低いとともに黄変、ヤケ、コンタミ等を含有し
ない商品価値の高いABS樹脂等を得ることができる。
さらに、本発明によれば、少なくとも第一のベントバ
レルから乳化重合により得られたスラリー,含水重合体
のスリットバレルから排出されなかった残存水分を主と
して蒸発させ、少なくとも第二のベントバレルから排出
される揮発成分を回収し、これをリサイクル使用するこ
とにより、製品のコストダウン、排水処理負担の低減化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の熱可塑性樹脂の製造装置の
一態様を示す説明図および第3図は比較例3の熱可塑性
樹脂の製造装置を示す説明図である。 A……バレルの構成、B……スクリューの構成 C……スクリューの構成の断面 F……フィードバレル、S……スリットバレル V1,V2,V3,V4……ベントバレル H……標準バレル P,P1,P2……圧入バレル D……ダイス X……順方向スクリュー Y……ニーディングディスク Z……逆方向スクリュー 1……グラフト重合体ラテックス貯蔵タンク 2,4,6,9,11,15……ポンプ 3……凝集剤貯蔵タンク、5……混合槽 7……フィルター、8……原料タンク 10……リアクター、12……プレヒーター 13……フラッシュタンク、14……ホールドタンク 16……二軸スクリュー式押出機 17……ギヤポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 55/02,51/04 C08F 279/02 C08J 3/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グラフト重合体とビニル重合体から熱可塑
    性樹脂を製造するに当たり、 イ)共役ジエン系ゴム重合体に、芳香族ビニル系重合体
    と芳香族ビニル以外のビニル系単量体の単量体混合物を
    乳化グラフト重合して得られるラテックスであって、こ
    のラテックスの全固形分中にジエン系ゴム状重合体が30
    〜80重量%含有されているグラフト重合体ラテックス、
    このラテックスから得られるスラリーまたは含水重合体 ロ)ビニル系重合体ラテックス、このラテックスから得
    られるスラリーまたは含水重合体 のうちイ)及びロ)またはイ)単独からなるグラフト重
    合体ラテックス、このラテックスから得られるスラリー
    または含水重合体を、少なくともこれらの物質の供給を
    受けるフィードバレル、これらの物質を脱水して液状物
    を排出するためのスリットバレル、加熱手段を有する標
    準バレル、気化物を排出するためのベントバレル、溶融
    状態の重合体を圧入するための圧入バレルの各分割バレ
    ルを備えたシリンダーと、少なくとも順方向スクリュ
    ー、逆方向スクリュー及びニーディングディスクの各分
    割二軸スクリューを組み合わせてなり、かつベントバレ
    ルを少なくとも2個以上備え、その少なくとも1個のベ
    ントバレルがフィードバレルに接続しているスリットバ
    レルと圧入バレルの間に位置して設けられている単一装
    置内に供給し、脱水・溶融し、ベントバレルで脱揮した
    後、溶液重合または/及び塊状重合によって得られた溶
    融状態のビニル系重合体を前記圧入バレルへフィードす
    ることにより連続的に装置内に導入することを特徴とす
    る熱可塑性樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】グラフト重合体とビニル重合体から熱可塑
    性樹脂を製造する装置であって、 イ)共役ジエン系ゴム重合体に、芳香族ビニル系単量体
    と芳香族ビニル以外のビニル系単量体の単量体混合物を
    乳化グラフト重合して得られるラテックスであって、こ
    のラテックスの全固形分中にジエン系ゴム状重合体が30
    〜80重量%含有されているグラフト重合体ラテックス、
    このラテックスから得られるスラリーまたは含水重合体 ロ)ビニル系重合体ラテックス、このラテックスから得
    られるスラリーまたは含水重合体 のうちイ)及びロ)またはイ)単独からなるグラフト重
    合体ラテックス、このラテックスから得られるスラリー
    または含水重合体の供給を受けるフィードバレル、液状
    物を排出するためのスリットバレル、加熱手段を有する
    標準バレル、気化物を排出するためのベントバレル、溶
    融状態の重合体を圧入するための圧入バレルの各分割バ
    レルを少なくとも備えたシリンダーと、少なくとも順方
    向スクリュー、逆方向スクリュー及びニーディングディ
    スクの各分割二軸スクリューを組み合わせてなる単一装
    置からなり、かつベントバレルを少なくとも2個以上備
    え、その少なくとも1個のベントバレルがフィードバレ
    ルに接続しているスリットバレルと溶液重合または/及
    び塊状重合によって得られた溶融状態のビニル系重合体
    を圧入するための圧入バレルの間に位置して設けられて
    いることを特徴とする熱可塑性樹脂の製造装置。
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