JP2893887B2 - 複合硬質合金材 - Google Patents

複合硬質合金材

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JP2893887B2 JP19655490A JP19655490A JP2893887B2 JP 2893887 B2 JP2893887 B2 JP 2893887B2 JP 19655490 A JP19655490 A JP 19655490A JP 19655490 A JP19655490 A JP 19655490A JP 2893887 B2 JP2893887 B2 JP 2893887B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、切削工具等の材料として用いられる複合
硬質合金材に関するものである。
[従来の技術] 切削工具等の材料として最も一般的には高速度工具鋼
または超硬合金が用いられている。
高速度工具鋼は、主としてCr、Mo、W、V、Coおよび
Cを合金成分として含有し、Feをマトリックスとする合
金鋼である。高速度工具鋼においては、各合金成分を調
整することにより、工具材料に適した特性を調整すると
同時に、熱処理によってもその特性を変化させることが
できる。一般的に高速度工具鋼は優れた靭性を有するた
め、高い信頼性が要求される切削工具の材料として用い
られている。高速度工具鋼の製造方法としては、溶解鋳
造法や、アトマイズ粉を熱間静水圧プレス処理(HIP,Ho
t isostatic pressing)等によって固める粉末冶金法が
広く用いられている。
また、上記のように靭性に優れた高速度工具鋼に耐摩
耗性を付加するために、炭化物や窒化物の量を増加させ
る方法が提案されている。たとえば、特開昭55-58350号
公報、特開昭58-181848号公報には、高速度工具鋼粉末
と炭化物、窒化物等の粉末とを混合して焼結する方法
が、マトリックス中に炭化物や窒化物の量を増加させる
方法として提案されている。さらに、特公昭60-18742号
公報には、高速度工具鋼のマトリックス中に極めて微細
なTiN粒子を分散させた材料が提案されている。特開昭6
0-2648号公報、特開昭61-179845号公報には、マトリッ
クス中に極めて微細なTiN粒子が分散させられた高速度
工具鋼と、高速度工具鋼等の合金鋼とが複合された工具
材料が提案されている。
一方、超硬合金は、WC、TiC、TaC、NbC等の炭化物をC
oやNiをベースとして焼結した合金である。この超硬合
金は、靭性という面では高速度工具鋼に劣るが、高摩耗
性に優れているため、高速切削においてその特徴を発揮
する工具材料となる。超硬合金も、その組成によって工
具材料として適した特性を調整することができるが、さ
らにその硬質相の粒径を適宜変えることによってもその
特性を調整することができる。なお、超硬合金は、原材
料としての粉末を混合、プレス、焼結する一連の工程か
らなる粉末冶金的な手法によって製造され得る。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように、高速度工具鋼は靭性に優れるものの、
耐摩耗性が不十分であるため、高速切削に適した工具用
材料として用いることは困難である。高速度工具鋼の耐
摩耗性を向上させるためには、合金成分を増し、マトリ
ックス中の炭化物の量を増加させることが通常の手法と
して用いられる。しかしながら、高速度工具鋼の特徴で
ある優れた靭性を維持したままで、耐摩耗性の向上を達
成することは容易ではない。
すなわち、合金成分を増加させることにより高速度工
具鋼中の炭化物の量は増加し、耐摩耗性は上昇する反
面、靭性の急速な低下が起こる。特に、溶解鋳造法によ
って製造される場合には、高速度工具鋼中における炭化
物の体積はたかだか15体積%程度であり、これを越える
量の炭化物をマトリックス中に含有させると、工具とし
て実用可能な靭性を得ることができない。また、粉末冶
金法によって炭化物の量を多少増加させることができる
が、それでも増加させ得る炭化物の量はたかだか30体積
%程度までである。
高速度工具鋼粉末に炭化物、窒化物等の粉末を混合
し、焼結する方法によれば、理論上は任意の量の炭化
物、窒化物を含有させることは可能となる。ところが、
この場合においても硬質相を増加させるにつれて靭性の
低下が起きることは不可避である。一般的に、粒径が数
μの粉末を用いて混合し、圧縮成形後、焼結すると、こ
れらの炭化物、窒化物等の硬質セラミックスの量が増え
るにつれて高速度工具鋼の粉末の粒界に炭化物、窒化物
が網目状に集合してしまう。このように、炭化物、窒化
物が集合してしまうと、靭性の低下は許容できない程度
になる。この対策として、炭化物、窒化物をサブミクロ
ンオーダの超微粒にすることも考えられる。しかしなが
ら、このような超微粒子は凝集しやすく、均一に分散さ
せることは容易ではない。そのため、所望の特性を有す
るように、炭化物、窒化物が分散させられた高速度工具
鋼の組織を得ることはできないのが現状である。
さらに高速度工具鋼においては、弾性係数が後述の超
硬合金より小さいため、切削加工時の変形が大きくな
り、高い精度が要求される工具等の用途には使用するこ
とができないという問題点があった。
一方、超硬合金は、高速度工具鋼とは異なり、耐摩耗
性に優れているが、十分な靭性を有しない。そのため、
超硬合金は信頼性が要求される工具の材料には適用され
ていない。超硬合金の靭性を向上させる方法として、硬
質相の炭化物を微細にする方法が採用されている。しか
しながら、この方法にも限界があり、得られる靭性は高
速度工具鋼の靭性にははるかに及ばない。通常、超硬合
金中に含まれる炭化物の量は80〜90体積%程度である。
用途によって靭性を高めるために、この炭化物の量を60
体積%程度まで低下させた組成の超硬合金が製造される
が、耐摩耗性が急激に低下し、切削工具の材料として実
用に耐えない。
以上のように、従来の切削工具用材料として用いられ
る高速度工具鋼および超硬合金は、それぞれ欠点を有
し、実用上、それらの欠点を生じさせない条件下でしか
使用することができない。そのため、高速度工具鋼また
は超硬合金の特性を十分発揮することができないという
問題点があった。
そこで、この発明の目的は、高速度工具鋼の特徴であ
る優れた靭性を維持すると同時に、耐摩耗性を大幅に向
上させた複合硬質合金材を提供することである。
[課題を解決するための手段] この発明に従った複合硬質合金材は、窒素含有チタン
基焼結合金からなる中心部分と、その中心部分を包囲
し、焼結合金鋼からなる外周部分とを備える。窒素含有
チタン基焼結合金は、原子比でTiを0.45以上0.95以下、
MoおよびWの少なくともいずれかを0.045以上0.3以下な
らびにZr、Hf、V、Nb、TaおよびCrからなる群より選ば
れた少なくとも1種を0.005以上0.3以下含む金属元素
と、原子比でCを0.1以上0.9以下およびNを0.1以上0.9
以下含む非金属元素との化合物からなる硬質分散相を含
む。また、窒素含有チタン基焼結合金は、その硬質分散
相を結合するためにFe、CoおよびNiの少なくとも1種以
上を含む結合金属を3.0重量%以上40.0重量%以下含有
する。外周部分を構成する焼結合金鋼は第1の硬質相
と、第2の硬質相と、結合相とからなる。第1の硬質相
は、外周部分において15体積%以上60体積%以下含有さ
れ、粒径が0.3μm以下のTiN粒子からなる。第2の硬質
相は、外周部分において1体積%以上10体積%以下含有
され、粒径が1μm以上3μm以下のTiN粒子からな
る。結合相は、外周部分において30体積%以上84体積%
以下含有され、第1の硬質相および第2の硬質相をその
中に分散し、結合するための合金鋼からなる。その合金
鋼は、Crを2.5重量%以上4.5重量%以下、Moを1.5重量
%以上5.0重量%以下、Wを2.0重量%以上6.0重量%以
下、Cを0.3重量%以上1.2重量%以下、Coを1.5重量%
以上15重量%以下、Mnを0.5重量%以下、Siを0.5重量%
以下含有し、その残部がFeおよび不可避不純物からな
る。中心部分と外周部分との間の中間部分は、中心部分
の組成から外周部分の組成へと連続的または段階的に変
化する組成を有する。この中間部分は、100μm以上5mm
以下の厚みを有するのが好ましい。
好ましくは、焼結合金鋼中のTiN中におけるTiの50原
子%以下は、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Alおよ
びSiよりなる群から選ばれた1種以上の元素で置換され
ていればよい。
また、好ましくは、焼結合金鋼中のTiN中におけるN
の50原子%以下は、B、CおよびOよりなる群から選ば
れた1種以上の元素で置換されていればよい。さらに、
焼結合金鋼からなる外周部分の厚みは、複合硬質合金材
の全体の厚みの0.05以上0.3以下であればよい。
窒素含有チタン基焼結合金の結合金属におけるFe、Co
およびNiの40原子%以下は、Cr、MoおよびWからなる群
より選ばれた少なくとも1種以上の金属で置換されてい
てもよい。
窒素含有チタン基焼結合金の硬質分散相は、Tiの炭化
物、窒化物および炭窒化物の1種以上、MoおよびWの少
なくともいずれかの炭化物、Zr、Hf、V、Nb、Ta、およ
びCrからなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化物、
窒化物および炭窒化物の1種以上を含んでいてもよい。
この硬質分散相は、上記金属元素と上記非金属元素とか
ら構成される固溶体を含んでいてもよい。
[作用] この発明に従った複合硬質合金材によれば、外周部分
を構成する焼結合金鋼中に分散させられる硬質相として
のTiN粒子は、高速度工具鋼のみでは不足する耐摩耗性
を高める。TiNは、ビッカース硬さでHv2000kg/mm2程度
であり、一般的な高速度工具鋼のHv800〜1000kg/mm2
2倍以上の硬さを有する。この硬質のTiNを分散させる
ことにより、高速度工具鋼の硬さはHvl000kg/mm2以上に
なり、耐摩耗性の著しい向上が達成される。また、TiN
は、鋼との反応性が少なく、切削時の凝着摩耗を抑制
し、切削面の面粗度を向上させる。
この硬質相としてのTiNを高速度工具鋼中に分散させ
るのに、従来の技術によれば、TiN粒子が大きいため、T
iNの量が増えると強度の急激な低下が生じていた。これ
に対し、本発明によれば、TiN粒子の粒径を0.3μm以下
に抑えることにより、TiN粒子は均一かつ微細に分散
し、強度低下の軽減が可能となる。
基本となる硬質層としてのTiN粒子は、上記のように
微細に分散することが必要である。しかしながら、一部
の硬質相としてのTiN粒子を、1μm以上の一定の粒径
を有するように分散させることにより、マトリックス中
に発生した亀裂が進展するのを抑えることが可能にな
り、その結果、破壊靭性値が向上する。また、このよう
な1μm以上の粒径を有するTiN粒子の存在により、す
き取り磨耗が抑えられる。このような粗粒のTiN粒子の
粒径は、1μm未満では上記の効果が十分でなく、3μ
mを越えると強度の低下が生ずる。また、粗粒のTiN粒
子の量が1体積%未満では上記の効果が発揮できず、10
体積%を越えると上述のように強度が急激に低下する。
なお、粒径が0.3μm以下のTiN粒子の量は15体積%以上
60体積%以下であることが適切である。15体積%未満で
は、TiNを硬質相として分散させることによる耐摩耗性
の向上という効果が小さく、60体積%を越えると靭性が
やや低下する。
一方、上記の硬質相をその中に分散し、結合するため
の結合相は、高速度工具鋼の焼入時におけるマトリック
ス組成に近いものである。基本的には、焼入処理によっ
て一次炭化物を析出させない組成にすることが最も重要
である。高速度工具鋼によってもたらされる靭性は、こ
のマトリックス組成によって得られるものである。本発
明においても、このマトリックス組成を採用することに
より、最大の効果を得ることができる。Fe以外の合金成
分が、規定される下限値未満では十分な強度を得ること
ができず、上限値を越えると靭性が低下する。
マトリックス中に分散させられる硬質相は、TiNを主
成分としこれに結合相マトリックスの成分がある程度固
溶したものでもよい。また、TiN中のTiの50原子%まで
をZr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、AlおよびSiの群か
ら選ばれた1種以上の元素で置換することが可能であ
る。同様に、TiN中のNの50原子%までをB、Cおよび
Oよりなる群から選ばれた1種以上の元素で置換するこ
とも可能である。これらの置換は、合金の耐熱性、耐摩
耗性、靭性等の向上に効果がある。しかしながら、50原
子%を越える置換はTiNの特性を損なうことになるので
好ましくない。
上述のように構成される焼結合金鋼は、それ自体でも
切削工具等の工具材料として満足する特性を発揮し得
る。しかし、上記の焼結合金鋼を外周部分として用いる
複合化の手法を導入することにより、一層の性能向上を
図ることができる。このことは、本願発明者によって明
らかにされており、特願平1-339982号に開示されてい
る。その開示内容によれば、芯材として超硬合金を採用
することにより、工具材料全体としての剛性を大幅に改
善することが可能となる。その結果、工具の加工精度が
向上するとともに、その工具によって加工された面の面
粗度が良好になる。
しかしながら、超硬合金は、外周部分を構成する焼結
合金鋼との間の熱膨張係数の差がかなり大きい。そのた
め、接合や熱処理時の加熱、冷却の際に発生する熱応力
が無視できないはど大きくなることが本願発明者によっ
て明らかにされた。そこで、本願発明は、中心部分に窒
素含有チタン基焼結合金、いわゆるTiベースのサーメッ
ト合金を採用することにより、接合や熱処理時に発生す
る熱応力が緩和されるという本願発明者の知見に基づく
ものである。サーメット合金は超硬合金と高速度工具鋼
との中間の熱膨張係数を有しているので、熱応力の緩和
に有効に働く。
一方、サーメット合金は、超硬合金と比較するとヤン
グ率がやや低く、工具の剛性を向上させるという観点か
らは不利となる。それでも、外周部分を構成する焼結合
金鋼と比べると十分に高い剛性を有しているので、本発
明の上記効果を損なうことはない。
このように中心部分にTiベースのサーメット合金を採
用することにより、中心部分と外周部分との熱膨張係数
差はある程度解決され得る。しかしながら、中心部分を
構成するサーメット合金、外周部分を構成する焼結合金
鋼それぞれの組成を両者の最良の性能が発揮され得るよ
うに選択すると、両者の特性値がいくぶんか異なってい
るため、両者を接合した場合にその界面に歪みが生じ、
亀裂や割れなどの欠陥が発生するという問題を回避する
ことは困難である。そこで、この発明によれば、両者の
組成と特性とを連続的または段階的に変化させた中間層
を介在させることにより、上記の問題が解決されてい
る。好ましくは、この中間層の厚みが、100μm以上5mm
以下の範囲で適宜選択され得る。中間層の厚みが100μ
m未満では上記のような中間層を介在させる効果が認め
られず、5mmを越えると中間層の存在の意義が薄れる。
外周部分は、上述の焼結合金鋼によって構成されるの
で、高速度工具鋼の有する靭性を維持したまま、耐摩耗
性が向上した切削工具用の刃先が得られる。なお、焼結
合金鋼の表面に硬質セラミックスの皮膜をコーティング
すると、さらに性能を向上させる上でよい結果をもたら
す。この皮膜の材料としてはTiNが好ましいが、TiCある
いはTi(CN)を用いてもよく、さらにその上にAl2O3
被覆してもよい。
ここでいう焼結合金鋼は、固相焼結、液相焼結のいず
れの方法によるものでもよいが、粒成長抑制の観点から
は固相焼結の方が好ましい。
[実施例] 第1図は、この発明に従った複合硬質合金材を概念的
に示す断面図である。この図によれば、焼結合金鋼から
なる外周部分1は、窒素含有チタン基焼結合金からなる
中心部分2を包囲している。外周部分1と中心部分2と
の間には、組成が連続的または段階的に変化させられた
中間部分3が介在している。
実施例1 Tiベースのサーメット合金からなる棒の外周に、後述
のサーメット合金の組成から焼結合金鋼の組成まで連続
的に組成を変化させた合金相が溶射被覆された。サーメ
ット合金の組成は、TiCN(原子比C/N=5/5)が68重量
%、WCが12.5重量%、TaCが6.0重量%、Coが13.5重量%
であった。また、サーメット合金の棒の直径は4mm、長
さは200mmであった。溶射被覆処理は、供給される粉末
の組成を順次代えていくことにより、所望の組成になる
ように調整して行なわれた。このようにして溶射被覆さ
れたサーメット合金からなる棒の外周に、所定の組成を
有する合金鋼粉末が被覆させられた後、冷間静水圧成形
(CIP,cold isostatic pressing)により成形された。
合金鋼粉末の組成は、硬質相として平均粒径0.2μmのT
iN粒子が35体積%、平均粒径0.18μmのVC粒子が10体積
%、平均粒径2.5μmのTiN粒子が5体積%、結合相とし
ての高速度工具鋼の粉末が50体積%であった。高速度工
具鋼の粉末の組成は。Crが4.0重量%、Moが3.5重量%、
Wが2.0重量%、Coが8.5重量%、Cが0.5重量%、その
残部がFeと不可避不純物であった。
このようにして、厚み2mmの合金鋼粉末からなる外周
部分が形成された。この成形体を軟鋼製の筒状容器に入
れ、脱気処理を施しながら、温度500℃まで加熱し、真
空封止された。その後、この成形体に熱間静水圧成形
(HIP)処理が施された。熱間静水圧成形処理の条件
は、温度1130℃において、圧力媒体として用いられるAr
ガスの気圧を1000kg/cm2とした。このようにして得られ
た焼結体から直径6mmのドリルが試作された。このドリ
ルの断面組織においては、中心部分に直径4mmのサーメ
ット合金からなる部分が位置し、その外周を、厚み0.5m
mの中間層を介在させて、焼結合金鋼からなる部分が0.5
mmの厚みで取り囲んでいた。ドリルには、所定の溝と刃
先が成形された。
比較のため、中心部分にサーメット合金を含まない焼
結合金鋼製のドリルが試作された。本発明品および比較
品の試作ドリルと市販の超硬合金製および高速度工具鋼
製のドリルを用いて切削試験が行なわれた。切削条件は
以下のとおりであった。
試作材:S45C 切削速度:60m/min 送り速度:0.25mm/rev 加工深さ:20mm 切削試験の結果は第1表に示される。
試験結果によれば、超硬合金からなるドリルでは、加
工穴数が少ない初期においては摩耗が小さいが、加工穴
数が多くなると、刃先に微妙なチッピングが発生し、こ
れが原因となって摩耗が大きくなることが認められた。
また、比較品では、本発明品と比べてやや劣っていた。
加工された穴の拡大代で比較すると、本発明品が20μm
程度であったのに対し、比較品は60μm程度であった。
実施例2 所定の組織形態を有する硬質相粒子が40体積%、平均
粒径2.3μmのTiN粒子が10体積%、高速度工具鋼のマト
リックスが50体積%になるように各粒子が均一に分散し
た合金鋼粉末と、サーメット合金粉末とが準備された。
硬質相粒子は、TiN粒子の周囲を(TiWMo)(CN)の固溶
体が取り囲むように形成された組織形態を有していた。
この硬質相粒子の平均粒径は0.12μmであり、TiN粒子
の周囲を取り囲む固溶体の厚みは0.02μmであった。マ
トリックスを構成する高速度工具鋼の組成は、Crが3.8
重量%、Moが5.5重量%、Wが2.5重量%、Coが10・0重
量%、Cが0.45重量%、その残部がFeと不可避不純物で
あった。また、サーメット合金の粉末の組成は、TiCN
(原子比C/N=3/7)が60重量%、Mo2Cが8.5重量%、WC
が10重量%、TaNが5.5重量%、Coが8重量%、Niが8重
量%であった。
合金鋼粉末とサーメット合金粉末とは、第2表で示さ
れる割合で混合された。
焼結されたサーメット合金の上に、混合粉末1、混合
粉末2、合金鋼粉末の順に粉末を置いた後、加圧成形さ
れた。得られた成形体は、窒素分圧20Torrの雰囲気中で
焼結された。このようにして得られた複合硬質合金材か
ら丸棒が切出された。、丸棒からは、エンドミル用の所
定の形状を有する切削工具を作製した。この切削工具を
用いて、以下の条件で切削試験を行なった。
試作材:SUJ2(HRC 30) 切削速度:80m/min 送り速度:0.20mm/1刃 加工幅:10mm 加工深さ:30mm 切削試験結果によれば、本発明に従った複合硬質合金
材からなるエンドミルを用いれば、特に問題なく加工が
可能であり、加工された溝の側面の鉛直線からのずれ
は、最大でも0.06mと極めて高精度であった。なお、比
較のため、超硬合金、高速度工具鋼からなるエンドミル
を用いると、切削することが全くできなかった。
実施例3 第3表に示される組成の窒素含有チタン基焼結合金を
作製し、これを中心にした複合硬質合金材を実施例1と
同様の外周材および製造方法を用いて試作した。なお、
同時に組成が本発明の範囲から外れた窒素含有チタン基
焼結合金を用いて複合硬質合金材を試作し、比較例とし
た。
第3表から明らかなように、本発明品はすべて良好に
接合が達成され、実際の切削テストにおいても十分耐え
得ることが確認できた。一方、比較品においては満足で
きる窒素含有チタン基焼結合金を得ることができなかっ
た。
第3表の比較品において、Tiの量が本発明で規定され
る範囲内の値より小さい試料No.9によれば接合に際して
冷却時に割れが発生した。また、Tiの量が本発明で規定
される範囲内の値よりも大きい試料No.10によれば、靭
性が不十分だった。
結合金属の量が本発明で規定される範囲内の値よりも
小さい試料No.11によれば、接合時に割れが発生した。
また、結合金属の量が本発明で規定される範囲内の値よ
りも大きい試料No.12によれば、十分な剛性が得られな
かった。結合金属中のCr、Mo、Wの量が多すぎる試料N
o.13では、焼結が良好に行なわれず、巣が発生した。
[発明の効果] 以上のように、この発明によれば、高速度工具鋼の靭
性を維持した状態で、その耐摩耗性を超硬合金に匹敵す
るレベルまで向上させた合金材を得ることができる。ま
た、切削工具として使用した場合、剛性が高く、高い精
度の切削加工が可能となる。そのため、この発明の複合
硬質合金材は、切削工具用材料に用いられることによ
り、切削加工の能率向上、信頼性の向上に貢献すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明に従った複合硬質合金材を概念的に
示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 29/16 C22C 29/16 H 38/00 304 38/00 304 38/30 38/30 (56)参考文献 特開 平3−202403(JP,A) 特開 平3−202404(JP,A) 特開 昭60−2648(JP,A) 特開 昭61−179845(JP,A) 特開 平3−54143(JP,A) 特開 平3−43112(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22F 3/00 - 7/08 C22C 1/05,29/04,29/16 B23B 27/14 B32B 15/01

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素含有チタン基焼結合金からなる中心部
    分と、 前記中心部分を包囲し、焼結合金鋼からなる外周部分と
    を備え、 前記窒素含有チタン基焼結合金は、原子比でTiを0.45以
    上0.95以下、MoおよびWの少なくともいずれかを0.045
    以上0.3以下ならびにZr、Hf、V、Nb、TaおよびCrから
    なる群より選ばれた少なくとも1種を0.005以上0.3以下
    含む金属元素と、原子比でCを0.1以上0.9以下およびN
    を0.1以上0.9以下含む非金属元素との化合物からなる硬
    質分散相を含み、その硬質分散相を結合するためにFe、
    CoおよびNiの少なくとも1種以上を含む結合金属を3.0
    重量%以上40.0重量%以下含有しており、 前記焼結合金鋼は、前記外周部分において、粒径が0.3
    μm以下のTiN粒子からなる第1の硬質相を15体積%以
    上60体積%以下、粒径が1μm以上3μm以下のTiN粒
    子からなる第2の硬質相を1体積%以上10体積%以下、
    ならびに前記第1の硬質相および前記第2の硬質相をそ
    の中に分散し、結合するための合金鋼からなる結合相を
    30体積%以上84体積%以下含有しており、 前記合金鋼は、Crを2.5重量%以上4.5重量%以下、Moを
    1.5重量%以上5.0重量%以下、Wを2.0重量%以上6.0重
    量%以下、Cを0.3重量%以上1.2重量%以下、Coを1.5
    重量%以上15重量%以下、Mnを0.5重量%以下、Siを0.5
    重量%以下含有し、その残部がFeおよび不可避不純物か
    らなり、 前記中心部分と前記外周部分との間の中間部分は、前記
    中心部分の組成から前記外周部分の組成へと連続的また
    は段階的に変化する組成を有する、複合硬質合金材。
  2. 【請求項2】前記焼結合金鋼中のTiN粒子中におけるTi
    の50原子%以下は、Zr、Hf、V、Nb,Ta、Cr、Mo、W、A
    lおよびSiよりなる群から選ばれた1種以上の元素で置
    換されている、請求項1に記載の複合硬質合金材。
  3. 【請求項3】前記焼結合金鋼中のTiN粒子中におけるN
    の50原子%以下は、B、CおよびOよりなる群から選ば
    れた1種以上の元素で置換されている、請求項1または
    2に記載の複合硬質合金材。
  4. 【請求項4】前記外周部分の厚みは、当該複合硬質合金
    材の全体の厚みの0.05以上0.3以下である、請求項1な
    いし3のいずれかに記載の複合硬質合金材。
  5. 【請求項5】前記中間部分の厚みは100μm以上5mm以下
    である、請求項1ないし4のいずれかに記載の複合硬質
    合金材。
  6. 【請求項6】前記窒素含有チタン基焼結合金の前記結合
    金属におけるFe、CoおよびNiの40原子%以下は、Cr、Mo
    およびWからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の
    金属で置換されている、請求項1ないし5のいずれかに
    記載の複合硬質合金材。
  7. 【請求項7】前記窒素含有チタン基焼結合金の前記硬質
    分散相は、Tiの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以
    上、MoおよびWの少なくともいずれかの炭化物、Zr、H
    f、V、Nb、TaおよびCrからなる群より選ばれた少なく
    とも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上を
    含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の複合硬質合
    金材。
  8. 【請求項8】前記窒素含有チタン基焼結合金の前記硬質
    分散相は、前記金属元素と前記非金属元素とから構成さ
    れる固溶体を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載
    の複合硬質合金材。
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