JP2883891B2

JP2883891B2 - 感光性ハロゲン化銀写真材料

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Publication number: JP2883891B2
Application number: JP1069140A
Authority: JP
Inventors: デルプラトイバノ; バルダスサスリアゴスチノ
Original assignee: Minnesota Mining and Manufacturing Co
Current assignee: 3M Co
Priority date: 1988-03-21
Filing date: 1989-03-20
Publication date: 1999-04-19
Anticipated expiration: 2014-04-19
Also published as: GB8906385D0; DE3909251A1; IT8819862A0; JPH01304449A; GB2217470B; GB2217470A; IT1216162B

Description

【発明の詳細な説明】発明の分野本発明は、水不混和性の高沸点有機溶媒の助けをかり
て、親水性コロイド成分層中に分散させた疎水性写真添
加剤を含有する感光性ハロゲン化銀写真材料に関する。

発明の背景感光性ハロゲン化銀写真材料は、種々の写真添加剤を
含有する親水性コロイド成分から成つている。一般的、
前記写真添加剤は、これらを水または水混和性有機溶媒
に溶解させ、得られた溶液を親水性コロイド組成物に添
加することによつて、これら組成物層形成用の前記親水
性コロイド組成物中に混入されている。

しかし、一般的には、多くの写真添加剤は水に溶解さ
せることが困難であり、かつ水混和性の有機溶媒に可溶
であつても、写真添加剤を有機溶媒を通して親水性コロ
イド組成物中に入れたときは、写真添加剤は親水性コロ
イド組成物と不混和性になる。これは、写真添加剤の構
造式中に、長い疎水性炭素鎖（いわゆる、「パラスト性
鎖（ballasting chain）」）を含ませることによつて写
真層の中で非拡散性にされた多くの写真添加剤の場合で
ある。疎水性（バラスト性にされた）写真添加剤には、
例えば、色素形成性カプラー、DIR化合物、UV吸収剤、
酸化防止剤、安定剤等が包含される。

典型的には、このような疎水性写真添加剤を、写真材
料の親水性コロイド成分層、例えばハロゲン化銀乳剤
層、保護層、中間層等、の中に混入する方法は、前記写
真添加剤を、前記の各種の層用の親水性コロイド被覆用
組成物中に混入することから成つている。前記写真添加
剤は、前記疎水性写真添加剤を溶解した水不混和性の高
沸点有機溶媒から成る微小滴の分散液の形態で混入させ
る。

米国特許第2,322,027号に記載されているような前述
の分散液による技術によつて、疎水性写真添加剤は、一
般的に、水不混和性の高沸点有機溶媒〔これらはまた、
当業界においては、永久溶媒（permanent solvents）、
晶質溶媒（crystalloidal solvents）、油型溶媒（oil-
type solvents）、オイルフオーマー（oil-formers）等
と称せられている〕に溶解させ、得られた有機溶液を、
親水性コロイド（ゼラチン）および分散剤（界面活性
剤）を含有する水性組成物に添加する。次いで、この混
合物を、ホモジナイザー装置〔コロイドミル（colloida
l mill）〕に通して、疎水性の写真添加剤を含有する前
記有機溶媒の微小滴の分散液を生成させる。ある場合に
は、補助的に水不混和性の低沸点有機溶媒を使用するこ
とにより写真添加剤の溶解を容易にすることが有利な場
合もある。しかし、この低沸点有機溶媒は、あとで蒸溜
によつて除去する（例えば、米国特許第2,801,170号、
同第2,801,171号、および同第2,949,360号参照）。次い
で、得られた分散液を、写真層を（塗布により）形成す
るのに使用される親水性コロイド組成物（ゼラチン−ハ
ロゲン化銀乳剤、またはその他のゼラチン含有組成物）
を混合する。

写真添加剤を分散させるための有機溶媒は、当業界に
おいてよく知られており、例えば、米国特許第2,322,02
7号、同第2,801,171号、同第2,835,579号、同第2,533,5
14号、同第3,554,755号、同第3,748,141号、同第3,799,
765号、同第4,353,979号、同第4,430,421号、および同
第4,430,422号に記載されている。

特に、写真添加剤を分散させるための脂肪族カルボン
酸のエステルは、米国特許第2,322,027号（例えば、テ
トラヒドロフルフリルスクシネート、エチルベンジルマ
ロネート、α−ナフチルアセテート）、米国特許第3,74
8,141号（例えば、キニトールジ−２−エチルヘキサノ
エートおよび1,4−シクロヘキシルジメチレン−ビス−
２−エチルヘキサノエート）、および米国特許第3,779,
765号〔例えば、式（式中、R^VIは、15個までの炭素原子、特に２〜13個
の炭素原子、を有するアルコキシカルボニル基として定
義され、例えばメトキシカルボニルまたはドデシルオキ
シカルボニルである）を有する脂肪族カルボン酸のエス
テル〕に記載されている。テトラヒドロフルフリルアジ
ペートは、補助的な溶媒（高沸点の有機晶質溶媒に加え
て）として使用し、かつ水洗することにより乳剤から除
去する水溶性有機溶媒として、米国特許第2,801,171号
および同第2,949,360号に報告されている。

疎水性写真添加剤を分散させるための有機溶媒は、い
くつかの要求に応じることが必要である。すなわち、こ
れら有機溶媒は、（ａ）前記写真添加剤に対して秀れた
溶解力を有していなければならない、（ｂ）該添加剤を
結晶化させる原因となつてはならない、（ｃ）安定に分
散された微小滴を保持しなければならない、（ｄ）有機
溶媒が分散している親水性コロイドの屈折率にできるだ
け近接している屈折率を有していなければならない、そ
して（ｅ）有機溶媒が混入されている層の物理的性質を
悪化させてはならない。更に、前記有機溶媒は、該溶媒
が写真材料中に写真添加剤を分散させるのに使用される
その写真材料の写真の性質に対して悪影響を与えるべき
ではない。例えば、有機溶媒は、感光性ハロゲン化銀乳
剤のカブリを起こしてはならないし、かつ色素形成性カ
プラー（前記有機溶媒で分散させている）および現像処
理中に前記カプラーから形成された色素の貯蔵中の安定
性（熱、湿度および光に対する安定性）に悪い影響を与
えてはならない。

従つて、疎水性添加剤を分散させるために、写真に使
用するための改良された水不混和性の高沸点有機溶媒が
提供されることに対する要求、および前記添加剤を写真
層に混入させるための改良された技術が提供されること
に対する要求が経続して求められていた。

発明の概要本発明は、疎水性写真添加剤を、感光性ハロゲン化銀
写材料の成分層に混入される親水性コロイド組成物中へ
分散させるため水不混和性の高沸点有機溶媒として、ア
ルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエステル化合物を使用
することに関する。

特に、前記のアルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエス
テル化合物は、一般式（II）（式中、R₃、R₄、R₅、R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀は、
同じでもまたは異っていてもよく、それぞれ、水素原子
または低級アルキル基を表わし、ただしR₃、R₄、R₅、
R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀の少なくとも１つはアルキル
基であり、R₃、R₄、R₅およびR₆における炭素原子の総数
およびR₇、R₈、R₉およびR₁₀における炭素原子の総数
は、それぞれ、12以下であり、ｍは、０〜10である）を
有する、アルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエステル化
合物に相応する。

発明の詳細本発明は、支持体およびその上に塗布された少なくと
も１種の親水性コロイド層から成り、前記親水性コロイ
ド層は、１種またはそれ以上の水不混和性の高沸点有機
溶媒の微小滴中に分散された疎水性写真添加剤を含有し
ており、前記溶媒の少なくとも１種はアルキレンジカル
ボン酸の脂肪酸ジエステル化合物である、感光性ハロゲ
ン化銀写真材料に関する。すなわち、前記溶媒は、脂肪
族アルコール化合物とα，Ω−アルキレンジカルボン酸
化合物とのジエステルである。前記溶媒の製造のために
適当なα，Ω−アルキレンジカルボン酸化合物は、２〜
12個の炭素原子を有するアルキレン基を有しており、例
えば、1,2−エタンジカルボン酸（コハク酸）、1,3−プ
ロパンジカルボン酸（グルタル酸）、1,4−ブタンジカ
ルボン酸（アジピン酸）、1,5−ペンタンジカルボン酸
（ピメリン酸）、1,6−ヘキサンジカルボン酸（スベリ
ン酸）、1,7−ヘプタンジカルボン酸（アゼライン
酸）、および1,8−オクタンジカルボン酸（セバシン
酸）等である。前記溶媒の製造のために適当な脂肪族ア
ルコール化合物は、式C_mH₂m₊₁OHを有しかつ１〜15個の
炭素原子を有する飽和アルコール化合物である。脂肪族
アルコール化合物の例には次のアルコール化合物があ
る：メチルアルコール、エチルアルコール、ｎ−プロピ
ルアルコール、イソ−プロピルアルコール、ｎ−ブチル
アルコール、イソ−ブチルアルコール、sec−ブチルア
ルコール、tert.−ブチルアルコール、ｎ−アミルアル
コール、イソ−アミルアルコール、tert.−アミルアル
コール、ｎ−ヘキシルアルコール、ｎ−ヘプチルアルコ
ール、ｎ−オクチルアルコール、ｎ−デシルアルコー
ル、ｎ−ウンデシルアルコール、ｎ−テトラデシルアル
コール、２−エチル−ｎ−ブチルアルコール、ネオ−ペ
ンチルアルコール、メチルｎ−プロピルカルビノール、
ジエチルカルビノール、sec.−ブチルカルビノール、お
よびtert.−ブチルカルビノール。また、不飽和アルコ
ール化合物、例えばアリルアルコール、プロパルギルア
ルコール、およびクロトニルアルコール等を使用しても
よい。

本発明の感光性ハロゲン化銀写真材料における前記の
アルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエステル化合物の上
位概念は、式（Ｉ）（式中、R^I、R^II、R^III、R^IVおよびR^Vは、同じでもま
たは異つていてもよく、それぞれ、水素原子または１〜
４個の炭素原子を有するアルキル基を現わし、R₁および
R₂は、同じてもまたは異つていてもよく、それぞれ、１
〜15個の炭素原子を有するアルキル基を現わし、かつ前
記アルキル基は、直鎖または分岐鎖のアルキル基を包含
しており、R₁＋R₂における炭素原子の総数は少なくとも
４であり、ｎ＋ｏ＋ｐは０〜10の数である）によつて表
わされる化合物である。

本発明は、前記のアルキレンジカルボン酸のジエステ
ル化合物が、式（II）〔式中、R₃、R₄、R₅、R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀は、
同じでもまたは異つていてもよく、それぞれ、水素原子
または低級アルキル基、特に１〜４個の炭素原子を有す
るアルキル基（例えば、メチル、エチル、イソプロピ
ル、ブチル）を表わし、ただしR₃、R₄、R₅、R₆、R₇、
R₈、R₉およびR₁₀の少なくとも１つはアルキル基であ
り、R₃、R₄、R₅およびR₆における炭素原子の総数および
R₇、R₈、R₉およびR₁₀における炭素原子の総数は、それ
ぞれ、12以下であり、ｍは、０〜10好ましくは２〜６の
正の整数である〕によつて表わされる、上述したような感光性ハロゲン
化銀写真材料に関する。

本発明の疎水性写真添加剤を分散させるための有機溶
媒は、室温において液体またはペースト状固体化合物で
あり、通常は20℃において水に対する溶解度が多くとも
１重量％であり、かつ170℃より高い沸点を有してい
る。

本発明における式（II）の水不混和性の高沸点有機溶
媒の代表的な例を次に例示する。

前述の水不混和性の高沸点有機溶媒は、脂肪族エステ
ルを合成するための有機化学業界でよく知られている方
法、例えば、アジピン酸ジエチル（化合物10）の製造の
ためのOrganic Synthesis,Vol.2,page 264,J.Wiley ＆
Sons（1943）に記載された方法によつて合成すること
ができる。

また、本発明は、疎水性写真添加剤を、ハロゲン化銀
写真材料のコロイド層を形成するための親水性コロイド
組成物中に混入する方法であつて、この方法は、前述写
真添加剤を１種またはそれ以上の水不混和性の高沸点有
機溶媒中に溶かした溶液、およびこの得られた溶液を前
記コロイド組成物中に分散させた分散液を包含してお
り、前記有機溶媒の少なくとも１種は、上述したような
アルキレンジカルボン酸の脂肪族エステル化合物であ
る、前記方法に関している。

本発明による有機溶媒を使用することによつて写真添
加剤を分散させる方法において、異った操作を満足に行
うことができる。１つの操作によれば、分散させるべき
疎水性写真添加剤を本発明の水不混和性の高沸点有機溶
媒に溶解させる。次いで、得られた溶液を親水性コロイ
ド結合剤（例えば、ゼラチン）の水溶液に添加し、この
混合物を、分散剤（一般的に界面活性剤、例えば、アニ
オン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤、およびそれらの混合物）の存在下で、分散
用装置（例えば、コロイドミル、ホモジナイザー等）を
用いて乳化する。なお、好ましくは、前記分散剤は親水
性コロイド結合剤溶液中に含まれる。次いで、得られた
分散液を、ゼラチンによるハロゲン化銀乳剤、または感
光性画像形成性層の形成用に使用される親水性コロイド
の水溶液、またはハロゲン化銀写真材料の光不感性補助
層に添加する。変法的には、写真添加剤を有機溶媒に溶
かした溶液を、成分写真層を塗布し、混合物を分散させ
ることにより形成させるために使用される塗布用組成物
中に混入することが有利である。また、たとえ本発明に
ついて述べられた利益が、本発明の有機溶媒の単独を使
用することにより達成できるとしても、本発明の有機溶
媒を他の既知の水不混和性の高沸点有機溶媒と併用して
用いることも可能である。本発明の有機溶媒と併用して
用いることができる高沸点有機溶媒は、フタル酸のアル
キルエステル、燐酸エステル、クエン酸エステル、安息
香酸エステル、脂肪酸エステル等がある（例えば、米国
特許第4,430,421号参照）。所望によりまたは必要なら
は、本発明の高沸点の有機溶媒は、補助的な低沸点の有
機溶媒と併用して用いることができる。他の既知の高沸
点の有機溶媒を、低沸点の有機溶媒の存在下またはより
少ない量の存在下で、本発明の有機溶媒と併用して用い
ることができる。低沸点の有機溶媒には、水に溶解しな
いかまたは水に殆ど溶解しない（すなわち、１重量％以
下）溶媒であつて、かつ高くても150℃の沸点を有する
溶媒、例えば酢酸の低アルキルエステル、四塩化炭素、
メチルエチルケトン、ベンゼン、リグロイン等、また
は、水溶性有機溶媒例えばメタノール、エタノール、ジ
メチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、アセトン等、が包含される。補助的な低沸点有機溶
媒は、例えば、米国特許第2,801,170号、同第2,801,171
号、および同第2,949,360号に記載されている。

疎水性写真添加剤を分散させるための本発明によつて
使用される高沸点有機溶媒の量は、使用する添加剤によ
つて変えることができる。しかし、そのような高沸点有
機溶媒の多量を使用することは望ましいことではない。
何故なら、これら溶媒の大過剰は、写真層の物理的性質
を悪化させるからである。従つて、それぞれの添加剤に
対する重量比で高沸点有機溶媒を0.1〜8.0の範囲で、好
ましくは0.3〜3.0の重量比範囲で使用することが通常行
われている。

本発明によつて、疎水性写真添加剤の分散液の安定性
を改良することが可能である。色素形成性カプラー、UV
吸収剤、およそその他の疎水性写真添加剤を、塗布にお
ける明らかな非平たん性および画質の悪化なしに、感光
性ハロゲン化銀写真材料中に分散させることができる。
特に、本発明は、感光性ハロゲン化銀カラー写真材料に
おいて有利である。前記材料の露光および現像によつて
得られた色素画像に、光、熱および／または湿気に対す
る秀れた安定性を与えることができるからである。

ゼラチンは、本発明に使用するための好ましい親水性
コロイドである。しかし、また、その他の水溶性コロイ
ド物質またはそれらの混合物を使用することもできる。
例示する親水性コロイド物質には、ゼラチン誘導体、例
えばフタル化ゼラチンおよびアセチル化ゼラチン、セル
ロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、で
んぷん、カゼイン、ゼイン、合成親水性コロイド、例え
ばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アニ
オン性ポリウレタン、アクリル酸エステルの共重合体、
アクリロニトリル、およびアクリルアミド等が包含され
る。

本発明により水不混和性の有機溶媒の助けをかりて分
散させる疎水性写真添加剤は、ハロゲン化銀写真材料の
構成層に混入したときに、層自体（複数）の中で実質的
に拡散しないことが必要である。

バラスト性置換基を有する基、例えば８〜30個の炭素
原子を有する疎水性残基を、前記の拡散プロセスを避け
るために、写真添加剤の分子中に導入する。前記置換基
は、「バラスト性鎖（ballasting chain）」と称されて
おり、直接またはイミノ、エーテル、カルボンアミド、
スルホンアミド、ウレイド、エステル、イミド、カルバ
モイル、スルフアモイル、フエニレン等の基の１種また
はそれ以上を介して、写真添加剤の分子に連結してい
る。バラスト性基の適当な例は、米国特許第4,009,083
号、英国特許第73,146号、同第84,100号、同第87,930
号、同第87,931号、西ドイツ国特許第3,300,412号、同
第3,315,012号、特開昭58-033248号、特開昭58-033250
号、特開昭58-031334号、および特開昭58-106539号に記
載されている。好ましくは、そのようなバラスト性鎖
は、炭素原子総数が20以下であるアルキル基を含んでい
る。通常は、そのような写真添加剤は、水に対する溶解
度が20℃で多くても３重量％である。特に好ましい疎水
性写真添加剤には、色素形成性カプラー、ハロゲン化銀
現像剤、酸化した現像剤の脱除剤、分光増感剤および減
感剤、拡散転写色素画像形成剤（dye image-former
s）、可視光線吸収剤、および紫外線吸収剤が包含され
る。これらは、従来、水不混和性の高沸点溶媒中に分散
された写真部材の親水性コロイド層中に混入されてい
る。その他の疎水性写真添加剤には、ハロゲン化銀写真
部材中に使用されている添加剤、例えば光学的増色剤、
酸化防止剤、ハロゲン化銀溶媒、漂白可能な色素等が包
含される。本発明に使用するための疎水性写真添加剤
は、Research Llisclosure 15930、Iuly 1977により詳
細に記載されている。

本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、当業界にお
いて知られているハロゲン化銀乳剤の任意のもの、例え
ば塩化銀、臭化銀、臭塩化銀、塩沃化銀、臭沃化銀、塩
臭沃化銀の乳剤およびそれらの混合物を使用することが
できる。これらの乳剤は、粗い粒子、中程度の微細な粒
子、および微細な粒子から成り、かつ単分散または多分
散させることができる。ハロゲン化銀粒子は、規則的な
結晶形を有する粒子、例えば立方体形または正八面体形
のものでもよいし、また不規則な結晶形を有する粒子、
例えば球形またはダブレツト形（tablet）等でもよい。
これらの粒子は、異つた結晶形を有する粒子の混合物か
ら成つていてもよい。これらの粒子の粒度は広い範囲に
亘つて変えることができるが、一般的には平均粒度0.1
〜４μｍが適当である。

本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、従来の沈殿
法、例えばシングルジエツト法またはツインジエツト法
（single or twin jetmethods）を使用する既知の酸性
で行う方法、中性で行う方法、アンモニア性で行う方法
の任意の方法によつて得ることができる。更に、ハロゲ
ン化銀乳剤は、硫黄増感剤、例えばアリルチオカルバミ
ド、チオ尿素、シスチン等、活性または不活性のセレン
増感剤、還元性増感剤、例えば第一錫塩、ポリアミン
等、貴金属増感剤、例えば全増感剤、より詳細には、カ
リウム・オーリチオサイアネート（potassium aurithio
cyanate）、カリウム・クロロオーレート（totassium c
hloroaurate）等、または水溶性塩の増感剤、例えばル
テニウム、ロジウム、イリジウム等の水溶性塩、より詳
細には、アンモニウム・クロロパラデート（ammonium c
hloropalladate）、カリウム・クロロプラチネート（po
tassium chloroplatinate）、およびナトリウム・クロ
ロパラダイト（sodium chloropalladite）等を、それぞ
れ単独で用いてまたは適当に併用して化学的に増感する
ことができる。

更に、前述のハロゲン化銀乳剤に、写真用の種種の既
知添加剤を含有させることができる。例えば、Research
Disclosure、Item 17643、December 1978に記載されて
いるような写真用添加剤を使用することができる。

更に、ハロゲン化銀は、可視スペクトルの所望の範囲
を光学的に増感することができる。本発明の分光増感の
ための方法は特に限定されない。例えば、光学的増感は
光学的増感剤を使用することにより可能である。光学的
増感剤には、シアニン色素、メロシアニン色素、シアニ
ン色素とメロシアニン色素の錯体、オキソノール色素、
ヘミオキソノール色素、スチリル色素、およびストレプ
トシアニン色素が包含され、それぞれ単独または併用し
て用いられる。特に有用な光学的増感剤は、ベンゾオキ
サゾール・カルボシアニン型、ベンゾイミダゾール−カ
ルボシアニン型、およびベンゾチアゾール−カルボシア
ニン型の色素である。

また、前述の乳剤には、それらの目的によつて、従来
用いられていた種々の添加剤を含有させることができ
る。例えば、これらの添加剤には、安定剤またはカブリ
防止剤、例えばアゼインデン、トリアゾール、テトラゾ
ール、イミダゾリウム塩、ポリヒドロキシ化合物等、フ
イルム硬膜剤、例えばアルデヒド、アジリジン、イソオ
キサゾール、ビニルスルホン、アクリロイル、トリアジ
ン型等、現像促進剤、例えばベンジルアルコール、ポリ
オキシエチレン型の化合物等、画像安定剤、例えばクロ
マン（chromane）、クマラン（cumaran）、ビスフエノ
ール型の化合物等、および潤滑剤、例えばワツクス、高
級脂肪酸のグリセライド、高級脂肪酸の高級アルコール
エステル等が包含される。また、塗布用助剤、現像処理
用液体中の透過性改質剤、脱泡剤、帯電防止剤、および
つや消し剤を使用することもできる。本発明により乳剤
中に使用されるべき親水性コロイドとしては、ゼラチン
だけではなく、またゼラチン以外のゼラチン誘導体、ゼ
ラチンの重合体グラフト化物、合成した親水性巨大分子
物質および天然の親水性巨大分子物質を単独でまたは併
用して用いることができる。また、合成ラテツクスをゼ
ラチンに添加して、フイルムの性質、例えばアクリル酸
エステル、ビニルエステル等とエチレン性基を有する他
の単量体との共重合体のフイルムの性質を改良すること
もできる。

感光性部材用の支持体としては、例えばバリタ紙、ポ
リエチレン被覆紙、ポリプロピレン合成紙、酢酸セルロ
ースフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリエステルフ
イルム、例えばポリエチレンテレフタレート等を使用す
ることができる。これらの支持体は、感光性ハロゲン化
銀写真材料の使用目的によつて選ぶことができる。必要
により、支持体に上塗り層を供することもできる。

本発明に使用される写真乳剤は、黒白感光性ネガ部
材、感光性黒白ポジ部材、Ｘ線部材、リス部材（lithog
raphic elements）、拡散転写法用の黒白感光性部材お
よびカラー増光性部材、および油溶性または水溶性のカ
ラーカプラーを含有する感光性部材に使用することがで
きる。

好ましくは、本発明によるハロゲン化銀乳剤は、３種
の異つた部分のスペクトルに感じる色素画像形成性単
位、例えば可視スペクトルの３種の主要な領域（青、緑
および赤）のそれぞれに感じる色素画像形成性単位を含
有する多色部材用に設計することができる。各単位は、
同じスペクトル領域に感じる単一の乳剤層または多層乳
剤層によつて形成させることができる。乳剤層は、米国
特許第4,619,892号に示されているような偽カラーアド
レシング（false color addressing）で増感することが
できる。

更に好ましくは、本発明によるハロゲン化銀乳剤は、
少なくとも１種の青感性ハロゲン化銀乳剤層そして好ま
しくは黄色色素形成性カプラーと会合した異つた感度の
少なくとも２種の青感性ハロゲン化銀乳剤層、少なくと
も１種の緑感性ハロゲン化銀乳剤層そして好ましくはマ
ゼンタ色素形成性カプラーと会合した異つた感度の少な
くとも２種の緑感性ハロゲン化銀乳剤層、少なくとも１
種の赤感性ハロゲン化銀乳剤層そして好ましくはシアン
色素形成性カプラーと会合した異つた感度の少なくとも
２種の赤感性ハロゲン化銀乳剤層、および付加的な非感
光性親水性コロイド層（例えば、保護層、中間層、フイ
ルター層、下塗り層、裏引き層等）を有する支持体であ
つて、かつ前記材料の少なくとも１種の成分層は、その
中に添入された本発明によつて水不混和性の高沸点有機
溶媒の助けをかりて分散された親水性写真添加剤を含有
しており、しかも前記成分層は、好ましくは、色素形成
性カプラーを含有する少なくとも１種のハロゲン化銀乳
剤層を含んでいる、前記支持体から、成る多色部材用に
設計することができる。

次の実施例は本発明を更に例示するものである。

実施例１式を有する黄色形成性カプラーの10gを、高沸点溶媒
（１）の5mlおよび補助用溶媒としての酢酸エチルの10m
lの混合液に、60℃において溶解し溶液を造つた。この
溶液を、５％ NeKal^TMBX（BASFAGのアルキルナフタレ
ンスルホン酸のナトリウム塩）溶液の6mlを含有する10
％ゼラチン溶液24mlに混入し、得られた組成物を回転式
ミキサーを用いて10,000r.p.m.にて攪拌し、攪拌中に水
44mlを添加した。得られた乳化分散液を、金およびチオ
硫酸塩で化学的に熟成し、かつ安定剤を添加した青感性
AgBrI乳剤（この乳剤は、８％ AgIおよび平均粒径1.02
μｍを有していた）に添加した。分散したカプラーを含
有する乳剤を、セルローストリアセテート支持体ベース
（本発明のフイルター１）上に、1.2g/m²の銀付着量お
よび1.40g/m²のカプラー付着量で塗布した。

高沸点溶媒（１）の代りに高沸点溶媒（６）の同量を
使用して前記と同じ操作を繰返し、他のフイルム（本発
明のフイルム２）を得た。

本発明の高沸点溶媒（１）の代りに、ジ−ｎ−ブチル
フタレート、ジ−ｎ−ブチルフタレートとジエチル金酸
アミドとの1:1重量の混合液、および1,4−シクロヘキシ
ルジメチレン−ビス−（２−エチルヘキサノエート）
（米国特許第3,748,141号の高沸点溶媒No.6）をそれぞ
れ使用した以外は、前記と同じ操作を繰返して比較フイ
ルム３、４および５を得た。

それぞれのフイルム試料を、光学スイツプウエツジ
（optical step wedge）を通して5,500ケルビン（Kelvi
n）の色温度を有する光源に露光し、British Journal o
f Photography,July 12,1974,pp.597-598に記載されて
いるような標準タイプのC41現像処理（C-41 process）
により現像した。

次の第１表は、露光および現像処理の前に70℃におい
て22時間状態調節した試料のカブリの値（Fog）、露光
および現像処理の前に38℃において１週間状態調節した
フイルム試料と同じフイルムの状態調節していない試料
との間の最大濃度の損失（％）（δ D_max）、主観的な
形式的等級で評価した現像した試料の透明度（１は最も
悪く、10は最も良い）（Transp.）、および種々な光学
濃度におけるRMS粒状度（これは、H.C.Schmitt and J.
H.Altman,“Method of Measuring Diffuse RMS Granula
rity"、Applied Optics、Vol.9,pages 871-874、April
1970に記載されているような拡散粒状度の測定である）
（RMS）を示した。

この実施例は、本発明の高沸点溶媒を含有するフイル
ムの写真特性および光学特性は、既知の高沸点溶媒を含
有するフイルムの写真特性および光学特性より秀れてい
ることを示している。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭54−106228（ＪＰ，Ａ) 特開昭62−272247（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G03C 1/06 G03C 1/38 G03C 7/388

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体およびその上に塗布された親水性コ
ロイド層から成る感光性ハロゲン化銀写真材料であっ
て、前記親水性コロイド層は、１種またはそれ以上の水
不混和性の高沸点有機溶媒の微小滴中に分散された疎水
性写真添加剤を含有しており、前記溶媒の少なくとも１
種が、一般式（II）（式中、R₃、R₄、R₅、R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀は、同
じでもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子
または低級アルキル基を表わし、ただしR₃、R₄、R₅、
R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀の少なくとも１つはアルキル
基であり、R₃、R₄、R₅およびR₆における炭素原子の総数
およびR₇、R₈、R₉およびR₁₀における炭素原子の総数
は、それぞれ、12以下であり、ｍは、０〜10である）を
有する、アルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエステル化
合物である、前記感光性ハロゲン化銀写真材料。
【請求項２】疎水性写真添加剤が色素形成性カプラーで
ある、請求項（１）の感光性ハロゲン化銀写真材料。
【請求項３】親水性コロイド層がゼラチン装置である、
請求項（１）の感光生ハロゲン化銀写真材料。
【請求項４】親水性コロイド層がハロゲン化銀のゼラチ
ン乳剤層である、請求項（１）の感光生ハロゲン化銀写
真材料。
【請求項５】疎水性写真添加剤を、１種またはそれ以上
の水不混和性の高沸点有機溶媒に溶解し、得られた溶液
を親水性コロイド組成物中に分散させることから成り、
かつ前記有機溶媒の少なくとも１種が、一般式（II）（式中、R₃、R₄、R₅、R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀は、同
じでもまたは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子
または低級アルキル基を表わし、ただしR₃、R₄、R₅、
R₆、R₇、R₈、R₉およびR₁₀の少なくとも１つはアルキル
基であり、R₃、R₄、R₅およびR₆における炭素原子の総数
およびR₇、R₈、R₉およびR₁₀における炭素原子の総数
は、それぞれ、12以下であり、ｍは、０〜10である）を
有するアルキレンジカルボン酸の脂肪族ジエステル化合
物であることを特徴とする、前記添加剤を写真層形成用
の親水性コロイド組成物中へ混入する方法。
【請求項６】親水性コロイド組成物が水性ゼラチン組成
物である、請求項（５）の方法。
【請求項７】疎水性添加剤が色素形成性カプラーであ
る、請求項（５）の方法。
【請求項８】疎水性添加剤を、補助的な低沸点有機溶媒
の存在において、水不混和性の高沸点有機溶媒に溶解さ
せる、請求項（５）の方法。