JP2881905B2 - 回転電機付ターボチャージャの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はターボチャージャの回転軸に電動−発電機と
なる回転電機を取付け、車両発進に先立って該回転電機
により過給作動を付勢する、いわゆるフライングブース
トアップを行なう回転電機付ターボチャージャの制御装
置に関する。

（従来の技術） 従来のターボチャージャを備えた車両を発進させる場
合、アクセルペダル踏込み直後においては未だエンジン
回転数が増加していないため、排気圧が低く過給圧が上
昇しない。

アクセルペダルの踏込みを継続すればエンジン回転数
は徐々に増加し、該増加に伴ない過給圧も上昇する。こ
のアクセルペダル踏込み時から過給圧上昇までの時間差
をターボラグと呼び、機敏な加速性を阻害する。

そこで、ターボチャージャの回転軸を共通回転軸とす
る回転電機をターボチャージャ内部に設置し、車両発進
時において、車両が発進準備完了状態にあることを検知
すると、車両発進に先立って所定時間、該回転電機に一
定電力を供給し電動機として作動させ、エンジンの低回
転時における過給圧を上昇させるターボチャージャの制
御装置が本願出願人により多数提案されており、例えば
特開平２−123242号公報（昭和63年特許願第275301号）
にて開示されているものがある。

（発明が解決しようとする課題） ところが、上記公報等により開示されているターボチ
ャージャの制御装置では、車両が発進準備完了状態にあ
ることを検知し、いわゆるフライングブーストアップが
実行されると、過給圧が上昇するのに伴ない、エンジン
への流入空気量が増加するため、運転者のアクセル操作
とは関係無くエンジンの回転速度が上昇する。

よって、実際に発進させる際には、運転者の予想より
急発進し先行車等に追突するという危険性がある。

本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、いわゆるフライングブーストアッ
プを行なう際に、過給圧は上昇させるがエンジンの回転
速度は通常のアイドリング回転速度に維持することので
きる回転電機付ターボチャージャの制御装置を提供する
ことにある。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、回転軸に回転電機が配設された回転
電機付ターボチャージャの制御装置において、車両発進
準備完了状態時に上記回転電機に電力を供給し電動機駆
動せしめ過給圧を上昇させる過給付勢手段と、エンジン
の吸気口近傍位置に設けられ過給気流量を可変制御する
スロットルバルブと、該スロットルバルブを作動せしめ
過給付勢手段作動時のエンジン回転速度を所定値に保持
するアイドリング安定手段とを有することを特徴とする
回転電機付ターボチャージャの制御装置が提供される。

（作用） 本発明による回転電機付ターボチャージャの制御装置
では、フライングブーストアップ実行と共にエンジンの
回転速度を検知し、該エンジン回転速度が所定のアイド
リング回転速度より高速度であればエンジンへ流入する
吸気量を制限し、低速度であれば吸気管路の開度を増加
させることにより、エンジン回転速度を上記所定のアイ
ドリング回転速度に維持する。

（実施例） 次に、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説
明する。

第１図は、本発明の一実施例を示す構成ブロック図で
ある。

同図において、１はエンジンで、その排気管11と吸気
管12とには、ターボチャージャ２が連結されている。

該ターボチャージャ２は、エンジン１の排気ガスエネ
ルギーにより駆動されるタービン21と、該タービン21の
回転トルクにより駆動されるコンプレッサ22とを備え、
コンプレッサ22の作動による圧気は吸気管12を介して、
過給気としてエンジン１に供給されるように構成されて
いる。

また、吸気管12の途中部には、コンプレッサ22側から
順次、圧縮空気を冷却するインタークーラ23、過給圧を
検出するブーストセンサ18、外部からの信号により吸気
管12の通路面積を増減制御するスロットルバルブ13が配
設されている。

３は電動−発電機となる回転電機であり、該回転電機
３の回転子は、タービン21の回転軸に直結されている。

そして、エンジン１からの排気ガスエネルギーが大で
ある場合には、タービン21の回転トルクによりコンプレ
ッサ22を駆動し過給圧を高めるとともに、回転電機３の
回転子も駆動し回転電機３を発電機として作動させ、排
気エネルギーを電気エネルギーに変換し回収するもので
ある。

また、エンジン１の急加速時や、エンジン１が低速高
負荷時には、回転電機３に電力を供給し電動機として作
動させ、コンプレッサ22を駆動して、圧気をエンジン１
に供給する。

14はエンジン１の出力軸の変速機15の入力軸とを継／
断するクラッチである。

また、エンジン１には、該エンジン１の回転数Ｎを検
出する回転センサ16が配設され、変速機15には、該変速
機15内部のギヤ噛合状態を検知するギヤセンサ17が配設
されている。

５はアクセルペダルであり、該アクセルペダル５の踏
込み量はポテンショメータであるアクセルセンサ51によ
り検知される。

６はバッテリであり、発電作動時の回転電機３からの
発電電力を電力変換器61を介して蓄電し、また、エンジ
ン１の急加速時や低速高負荷には回転電機３に対し電力
を供給し電動駆動させるものである。

該バッテリ６には、蓄電量を検出する蓄電量センサ62
が取付けられている。

尚、電力変換器62はインバータとコンバータとを有す
る交直両方向変換器からなり、発電作動時の回転電機３
の交流出力を入力してバッテリ６を充電する直流電力に
変換し、また、バッテリ６の電力を回転電機３に供給す
るときは、その直流電力をコントローラ４からの周波数
信号による交流電力に変換するように構成されている。

コントローラ４は、マイクロコンピュータからなり、
演算処理を行う中央制御装置、演算処理手順や制御手順
などを格納する各種メモリ、入／出力回路などを備えて
おり、入力回路には上記回転センサ16、ギヤセンサ17、
ブーストセンサ18、アクセルセンサ51、蓄電量センサ62
からの信号ラインが接続され、出力回路にはスロットル
バルブ13、電力変換器61への指令ラインが結線されてい
る。

第２図は、本実施例の作動例を示す処理フロー図であ
り、第２図を用いて本実施例の作動を説明する。

ステップ１〜ステップ４において、従来の制御同様に
車両Ａに関する発進準備が完了したか否かを判断する。
すなわちエンジン１の回転数Ｎが800rpm以下であり、ク
ラッチ14がOFF状態にあり、変速機15のギヤ噛合状態が
１速状態であり、更に、車速Ｖが０すなわち停車状態で
ある場合にステップ５へと進み、いずれかの条件が成立
にない場合にはステップ13にて時間待ちをした後、再度
ステップ１からの判断を行なう。

ステップ５では、タイマＮを１にリセットし、ステッ
プ６にてフライングブーストアップを開始し、ステップ
７にてタイマＮに１を加算する。

次にステップ８でエンジン１の回転数Ｎを入力し、該
回転数Ｎが予め設定されたアイドル回転数である700rpm
であるか否かの判断をする。

そして、回転数Ｎが700rpmであればステップ１へと戻
り、700rpmを超えているとステップ11でスロットルバル
ブ13の開度を減少させ、700rpm未満であれば、ステップ
12でスロットルバルブ13の開度を増加させた後、ステッ
プ１へ戻る。

以上、本発明を上述の実施例によって詳細に説明した
が、本発明の精神から逸れないかぎりで、種々の異なる
実施例は容易に構成できるから、本発明は前記特許請求
の範囲において記載した限定以外、特定の実施例に制約
されるものではない。

（発明の効果） 本発明によれば、フライングブーストアップ実行と共
にエンジンの回転速度を検知し、該エンジン回転速度が
所定のアイドリング回転速度より高速度であればエンジ
ンへ流入する吸気量を制限し、低速度であれば吸気管路
の開度を増加させることにより、エンジン回転速度を上
記所定のアイドリング回転速度に維持するので、いわゆ
るフライングブーストアップを行なう際に、過給圧は上
昇させるがエンジンの回転速度は通常のアイドリング回
転速度に維持することができ、車両の急発進を防止する
回転電機付ターボチャージャの制御装置を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す構成ブロック図、第
２図は、本実施例の作動例を示す処理フロー図である。 １……エンジン、２……ターボチャージャ、３……回転
電機、４……コントローラ、５……アクセルペダル、６
……バッテリ、13……スロットルバルブ、23……インタ
ークーラ、61……電力変換器。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸に回転電機が配設された回転電機付
   ターボチャージャの制御装置において、車両発進準備完
   了状態時に上記回転電機に電力を供給し電動機駆動せし
   め過給圧を上昇させる過給付勢手段と、エンジンの吸気
   口近傍位置に設けられ過給気流量を可変制御するスロッ
   トルバルブと、該スロットルバルブを作動せしめ過給付
   勢手段作動時のエンジン回転速度を所定値に保持するア
   イドリング安定手段とを有することを特徴とする回転電
   機付ターボチャージャの制御装置。