JP2880794B2 - 壁パネル取付け方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、内装材または外装材としての壁パネルを壁
下地に取付ける場合の壁パネル取付け方法に関する発明
である。

［従来の技術］ 従来、壁面に高級な感じに仕上げるために、天然大理
石や人造大理石、セラミック材等の無機質系の板を壁パ
ネルとして用いるようにし、この壁パネルで壁面を形成
することが行われている。そして、これらの複数枚の壁
パネルを壁下地に並べて取付けることで壁面の施工を行
うようにしている。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、上記のような無機質系の壁パネルは端部の加
工や釘打ち等が難しいため、取付けの際の施工が難しい
という問題がある。そこで、本発明の発明者は壁下地に
引掛け金具を取付け、引掛け金具に壁パネルの背面部に
設けた引掛け片を引掛けることで引掛け式で取付けるこ
とを考えた。しかしながら、この引掛け方式では、現場
で引掛け金具を取付けるに当たり、引掛け金具間の寸法
を精度良く施工するのは難しくて面倒である。特に、下
段の壁パネルの上部の引掛け片を引掛けるための下引掛
け部と上段の壁パネルの下部の引掛け片を引掛けるため
の上引掛け部とが別部材であると、両者位置関係を正確
に施工するのがいっそう面倒となる。そこで、下引掛け
部と上引掛け部とを一体化すると位置関係が正確にでき
るが、開口部の下縁においては下のみにしか壁パネルを
施工しないので、上引掛け部が邪魔になり、上記した上
下引掛け部を一体化した金具を使用できず、結局この部
分においては下引掛け部のみの金具を使用しなければな
らない。ところが、開口部の下縁のすぐ側方において
は、上下に壁パネルを施工していくため、この部分にお
いては下引掛け部のみの金具のすぐ上に上引掛け部のみ
の金具を取付ける必要がある。

本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したもの
であって、その目的とするところは、引掛け方式により
簡単に壁パネルを取付けることができ、しかも、同一の
引掛け金具を用いて開口部の下縁の下方においては下段
の壁パネルを引掛け、開口部の側方においては上段の壁
パネルを引掛けて施工できて、施工が正確迅速にできる
壁パネル取付け方法を提供するにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明の壁パネル取付け方法は、下引掛け部３と上引
掛け部４とを有する引掛け金具２を下地パネル１の前面
の上部と下部にそれぞれ横方向にほぼ全長にわたり取付
け、この引掛け金具２付きの下地パネル１の側部を下段
の引掛け金具２の側部の下引掛け部３を残してすぐ上か
ら上方を切断除去して切除部34を形成し、出入り口や窓
等の開口部35を有する壁下地構造体30の開口部35の下部
の一方の角に側部に切除部34を形成した下地パネル１の
切除部34の角部が位置し且つ壁下地構造体30の開口部35
の下方及び開口部35の一側方の前面側に位置するように
下地パネル１を壁下地構造体30に取付け、開口部35より
下方レベルに配置する下段の壁パネル５の背面上部に設
けた引掛け片６を切除部34を有する下地パネル１の下段
の引掛け金具２の下引掛け部３に引掛け、開口部35の側
方において上記下段の壁パネル５のすぐ上に配置する上
段の壁パネル５の背面下部に設けた引掛け片６を切除部
34を有する下地パネル１の下段の引掛け金具２の上引掛
け部４に引掛けると共に上段の壁パネル５の背面上部に
設けた引掛け片６を切除部34を有する下地パネル１の上
段の引掛け金具２の下引掛け部３に引掛けることを特徴
とするものであって、このような構成を採用すること
で、上記した従来例の問題点を解決して本発明の目的を
達成できたものである。

［作用］ 下引掛け部３と上引掛け部４とを有する引掛け金具２
を下地パネル１の前面の上部と下部とにそれぞれ横方向
にほぼ全長にわたり取付けてあるので、下地パネル１を
壁下地構造体３に取付けることで、上下引掛け部４、３
が一体化された引掛け金具２を同時に施工できるように
なった。そして、引掛け金具２付きの下地パネル１の側
部を下段の引掛け金具２の側部の下引掛け部３を残して
すぐ上から上方を切断除去して切除部34を形成し、出入
り口や窓等の開口部35を有する壁下地構造体30の開口部
35の下部の一方の角に側部に切除部34を形成した下地パ
ネル１の切除部34の角部が位置し且つ壁下地構造体30の
開口部35の下方及び開口部35の一側方の前面側に位置す
るように下地パネル１を壁下地構造体30に取付けること
で、開口部35より下方レベルに配置する下段の壁パネル
５の背面上部に設けた引掛け片６を切除部34を有する下
地パネル１の下段の引掛け金具２の下引掛け部３に引掛
け、開口部35の側方において下段の壁パネル５のすぐ上
に配置する上段の壁パネル５の背面下部に設けた引掛け
片６を切除部34を有する下地パネル１の下段の引掛け金
具２の上引掛け部４に引掛けると共に上段の壁パネル５
の背面上部に設けた引掛け片６を切除部34を有する下地
パネル１の上段の引掛け金具２の下引掛け部３に引掛け
るということが可能となり、正確な施工ができるように
なった。

［実施例］ 以下本発明を添付図面に示す実施例に基づいて詳述す
る。

壁パネル５は壁パネル本体８と壁パネル本体８の背面
部の端部に固着された枠体９とで構成してあり、壁パネ
ル本体８は天然大理石のような石材や人造大理石、セラ
ミック材等の無機質系の板であり、枠体９は金属製であ
る。枠体９は第７図に示すように取付け片10と、取付け
片10の一端から前方に突出した目地底片11と、取付け片
10の略中間部分から背方に突出した略Ｔ字状の引掛け片
６と、取付け片10の他端部付近から背方に突出した略Ｌ
字状のＬ字状片12とから構成してあり、枠体９の取付け
片10を接着剤等により壁パネル本体８の背面端部に固着
してある。このようにして壁パネル５の背面部の上部と
下部とにそれぞれ引掛け片６が突出して設けてある。上
下のＬ字状片12間には断熱材13が配設され、断熱材13の
端部がＬ字状片12にはめ込んである。

下地パネル１はあらかじめ工場において表面側には引
掛け金具２を上下に多段に一定のピッチで固着具14によ
り固着してある。ここで、引掛け金具２は下地パネル１
の横方向のほぼ全長にわたる長さをしているが、下地パ
ネル１の一端部又は両端部においては第５図、第６図の
ように引掛け金具２が少し内側に引き込んで位置してい
て引掛け金具２が存在しない部分が設けてある。引掛け
金具２は第５図（ｂ）に示すように板状の固定片15の前
面の下部と上部とにそれぞれ略Ｌ字状をした下引掛け部
３と上引掛け部４とが突設してある。上引掛け部４のや
や下方にはＶ字状その他の形状をした溝条16が長手方向
の全長にわたり設けてあり、この溝条16を目印にして引
掛け金具２を切断可能である。そして、出入り口や窓等
の開口部35の下縁の下方及び開口部35の側方に配置され
る引掛け金具２付きの下地パネル１は、第４図に示すよ
うに下地パネル１の前面の上部と下部とにそれぞれ引掛
け金具２を取付けた下地パネル１の側部を下段の引掛け
金具２の側部の下引掛け部３を残してすぐ上から上方を
切断除去して切除部34を形成したものを使用する。ここ
で、切除部34の切断に当たっては上記溝条16を利用して
切断する。

しかして、壁パネル５を施工するには次のようにして
行う。

まず、第１図のように間柱のような壁構造材33にあら
かじめ引掛け金具２を上下多段に取付けた下地パネル１
を上下に並べて釘打ち等により固着する。この場合、壁
のコーナに当たる部分においては一方の下地パネル１の
前面端部に隣の下地パネル１の側端面部をあてるように
して施工するのであるが、下地パネル１の側端部におい
ては引掛け金具２が内側に少し引き込んでいるので、引
掛け金具２に邪魔されることなく直角に突き付けて施工
できる。そして、上下に隣合う下地パネル１の突き合わ
せ部分の前面側にわたって防水テープ31を貼り付ける。
ここで、出入り口や窓等の開口部35を有する壁下地構造
体30の開口部35の下縁の下方及び開口部35の側方におい
ては第４図の想像線で示す部分を切除して切除部34を有
する下地パネル１を配置し、開口部35の下部の一方の角
に下地パネル１の切除部34の角部が位置し且つ壁下地構
造体30の開口部35の下方及び開口部35の一側方の前面側
に位置するように下地パネル１を壁下地構造体30に取付
けるものである。

次に、第３図のように裏面に引掛け片６を有する壁パ
ネル５を引掛け金具２に引掛けて壁パネル５を順次上下
に多段に引掛け施工するものである。このようにして壁
パネル５を引掛け金具２に引掛けるに当たり、コーナ部
分においては一方の壁パネル５の側端部が直角に隣合う
下地パネル１の引掛け金具２の無い部分にはめ込まれ、
他方の壁パネル５の側端面部は前記一方の壁パネル５の
前面端部に当接される。ここで添付図面に示す壁パネル
５の具体的な引掛け施工による取付け例を示すと、ま
ず、壁パネル５の背面上部に設けた引掛け片６のうち長
い方の下向きの内側引掛け片6bを上段の引掛け金具２の
下引掛け部３に少し引掛け、続いて壁パネル５の背面下
部に設けた引掛け片６のうち短い方の下向きの外側引掛
け片6aを下段の引掛け金具２の上引掛け部４に引掛ける
と共に上記壁パネル５の背面上部の下向きの内側引掛け
片6bを完全に下引掛け部３に引掛けるものである。上の
引掛け片６及び下の引掛け片６のいずれも略Ｔ字状とし
て内側引掛け片6bと外側引掛け片6aとを設けたのは壁パ
ネル５を上下逆にして使用した場合にも対応できるよう
にするためである。このようにして壁パネル５を壁下地
１の前面側に引掛け方式により引掛けて取付けるもので
あるが、下段の壁パネル５を取付けた後、第３図に示す
ように下段の壁パネル５の背面上部の引掛け片６（第３
図の実施例では外側引掛け片6a）と上引掛け部４との間
に浮き上がり防止部材７を介在させて両面粘着テープ17
により取付けるものである。このように浮き上がり防止
部材７を取付けると地震等の際に壁パネル５に浮き上が
り力が作用しても浮き上がり防止部材７が引掛け金具２
の上引掛け部４に当たることで壁パネル５の浮き上がり
を確実に防止することができるものである。浮き上がり
防止部材７の取付けが終わると、上段の壁パネル５を上
記と同様にして取付けるものであり、この場合、上段の
壁パネル５の下部の引掛け片６は引掛け金具２の上引掛
け部４に引掛けられるものである。そして、上下段の壁
パネル５の端面間には防水スポンジ18が介在され、ま
た、コーキング材19が充填されるものである。

ところで、本発明において、出入り口や窓等の開口部
35を有する壁下地構造体30の開口部35の下縁の下方及び
開口部35の側方においては、第２図に示すように、開口
部35より下方レベルに配置する下段の壁パネル５の背面
上部に設けた引掛け片６（内側引掛け片6b）を前述の切
除部34を有する下地パネル１の下段の引掛け金具２の引
掛け部４に引掛ける。また、開口部35の側方においては
上記下段の壁パネル５のすぐ上に配置する上段の壁パネ
ル５の背面下部に設けた引掛け片６（外側引掛け片6a）
を切除部34を有する下地パネル１の下段の引掛け金具２
の上引掛け部４に引掛けるものであり、また、上段の壁
パネル５の背面上部に設けた引掛け片６を切除部34を有
する下地パネル１の上段の引掛け金具２の下引掛け部３
に引掛けるものである。このようにすることで第２図に
示すように開口部35の下縁であるドア下枠37のすぐ下に
コーキング材19を充填するわずかな隙間を介して壁パネ
ル５の上端を位置させるように施工できるものである。
図中38は床材であり、壁パネル５の施工後に施工され
る。なお、上記切除部34を形成するために切り取られた
部分である引掛け金具付き２の下地パネル1a（第４図に
おいて想像線で示す）は開口部35の上縁の上方に配置す
ることができる。すなわち、この下地パネル1aの下端に
は上引掛け部４のみが存在するため、開口部35の上縁部
分においては壁パネル５の下の引掛け片６が引掛けられ
る上引掛け部４があればよいので、上記した下地パネル
1aが使用できるのである。なお、最上段の壁パネル５や
窓枠やドア枠の下枠の下側に位置する壁パネル５の上部
の取付け部分においては、引掛け金具２の上部の上引掛
け部４は必要がなく、むしろ収まり上邪魔になるので、
上引掛け部４のやや下方の溝条16部分で切断して第６図
のようにし、これを第３図のように施工するものであ
る。そして、この場合、下地パネル1aは上の引掛け金具
２の溝条16部分で切除して使用するとよい。

［発明の効果］ 本発明にあっては、叙述のように下引掛け部と上引掛
け部とを有する引掛け金具を下地パネルの前面の上部と
下部とにそれぞれ横方向にほぼ全長にわたり取付けてあ
るので、下地パネルを壁下地構造体に取付けることで、
上下引掛け部が一体化された引掛け金具を同時に施工で
きて、施工が簡単迅速にできるとともに正確に施工でき
るものであり、また、引掛け金具付きの下地パネルの側
部を下段の引掛け金具の側部の下引掛け部を残してすぐ
上から上方を切断除去して切除部を形成し、出入り口や
窓等の開口部を有する壁下地構造体の開口部の下部の一
方の角に側部に切除部を形成した下地パネルの切除部の
角部が位置し且つ壁下地構造体の開口部の下方及び開口
部の一側方の前面側に位置するように下地パネルを壁下
地構造体に取付け、開口部より下方レベルに配置する下
段の壁パネルの背面上部に設けた引掛け片を切除部を有
する下地パネルの下段の引掛け金具の下引掛け部に引掛
け、開口部の側方において上記下段の壁パネルのすぐ上
に配置する上段の壁パネルの背面下部に設けた引掛け片
を切除部を有する下地パネルの下段の引掛け金具の上引
掛け部に引掛けると共に上段の壁パネルの背面上部に設
けた引掛け片を切除部を有する下地パネルの上段の引掛
け金具の下引掛け部に引掛けるので、開口部より下方レ
ベルに配置する下段の壁パネルと、開口部の側方におい
て上記下段の壁パネルのすぐ上に配置する上段の壁パネ
ルとを簡単且つ正確に引掛け方式により施工できるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明において下地パネルを施工している状態
の斜視図、第２図は同上の開口部の下方部分の壁パネル
の施工状態の断面図、第３図は同上の開口部の下方以外
の部分の壁パネルの施工状態の断面図、第４図は同上の
下地パネルを切除した状態の斜視図、第５図（ａ）
（ｂ）は同上に用いる引掛け金具付きの下地パネルの正
面図及び部分拡大側面図、第６図は同上の引掛け金具付
き下地パネルの他の実施例の正面図、第７図は同上に用
いる枠体の側面図であって、１は下地パネル、２は引掛
け金具、３は下引掛け部、４は上引掛け部、５は壁パネ
ル、６は引掛け片、30は壁下地構造体、34は切除部、35
は開口部である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下引掛け部と上引掛け部とを有する引掛け
   金具を下地パネルの前面の上部と下部とにそれぞれ横方
   向にほぼ全長にわたり取付け、この引掛け金具付きの下
   地パネルの側部を下段の引掛け金具の側部の下引掛け部
   を残してすぐ上から上方を切断除去して切除部を形成
   し、出入り口や窓等の開口部を有する壁下地構造体の開
   口部の下部の一方の角に側部に切除部を形成した下地パ
   ネルの切除部の角部が位置し且つ壁下地構造体の開口部
   の下方及び開口部の一側方の前面側に位置するように下
   地パネルを壁下地構造体に取付け、開口部より下方レベ
   ルに配置する下段の壁パネルの背面上部に設けた引掛け
   片を切除部を有する下地パネルの下段の引掛け金具の下
   引掛け部に引掛け、開口部の側方において上記下段の壁
   パネルのすぐ上に配置する上段の壁パネルの背面下部に
   設けた引掛け片を切除部を有する下地パネルの下段の引
   掛け金具の上引掛け部に引掛けると共に上段の壁パネル
   の背面上部に設けた引掛け片を切除部を有する下地パネ
   ルの上段の引掛け金具の下引掛け部に引掛けることを特
   徴とする壁パネル取付け方法。