JP2871585B2 - きのこ類の酵素による完全分解方法 - Google Patents
きのこ類の酵素による完全分解方法Info
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Description
菌類、異担子菌類及び原生担子菌類を含む)や一部の子
嚢菌類(西洋ショウロ、チャワンタケ類)の所謂きのこ
類の子実体を、酵素剤の併用によってほぼ完全に分解す
る方法に関する。
糸から形成されており、その構成成分にはα−セルロー
スは殆ど存在せず、主にキチン質と不溶性のβ−1,3
グルカンからなり、現在では広義の食物繊維に属してお
り、これを分解する一般に認知された酵素は開発されて
いない。したがって、酵素剤により分解して全体を利用
しようとする研究や工業的方法は開発されてなく、乾燥
したきのこ、または生きのこを加熱して調味し食用化し
ている程度の利用方法しか現在までにおこなわれていな
い。
ついては、従来、加熱調味して食用化する方法のような
単一の利用方法しかおこなわれておらず、したがって夫
々特有の風味を有するきのこ全体を有効に利用すること
において十分ではなかった。さらに、近年にいたり、き
のこの繊維質多糖体について、抗がん作用、がんの転移
抑制作用、がんの発生率低下作用等が報告されており、
また、低分子成分としてのエルゴステロール、クマリ
ン、糖アルコール、糖、アミノ酸、その他旨味成分とし
てのイボテン酸、トリコロミン酸、核酸(グアニル酸)
等多くの有用成分が含有されていることが判明している
ので、きのこを容易に各種食品に有効利用するための方
法が必要となる。
し、きのこ類の子実体をほぼ完全に分解して、これを容
易に各種食品等に有効利用するための方法を提供するこ
とを課題としている。
による完全分解方法は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、きのこに、リゾプス(Rhizo
pus)属糸状菌の生産する、プロトペクチン分解酵素
を主体として含有する細胞間物質分解酵素剤(細胞分離
酵素剤)と、トリコデルマ(Trichoderma)
属糸状菌の生産する、セルロース分解酵素を主体として
含有する繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とを併用して
作用させ、きのこ類の子実体をほぼ完全に分解して粥状
化することを特徴とする。
リコデルマ(Trichoderma)属糸状菌の生産
する、セルロース分解酵素を主体として含有する繊維分
解酵素剤の代わりに、アスペルギルス・ニガー(Asp
ergillus niger)糸状菌の生産する、セ
ルロース分解酵素およびヘミセルロース分解酵素を主体
として含有する繊維分解酵素剤を使用することができ
る。
3グルカンから構成され、公知の分解酵素は未だ一般に
は認知されていないので、本発明者は、きのこ類の子実
体が糸状菌の菌糸の集合体である事実から、糸状菌のな
かに菌糸体の特定部分を分解して崩壊させる酵素を分泌
する菌株のあることを想定し、種々の糸状菌、特に植物
組織を崩壊させる酵素を生産するリゾプス(Rhizo
pus)属、アスペルギルス(Aspergillu
s)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、
ボトリチス(Botrytis)属等の糸状菌の固体培
養抽出酵素によりきのこ類の子実体の完全分解を試験し
た。その結果、何れの酵素も単一菌株では分解作用が不
十分で分解液の収率が低く、工業的に採算がとれないこ
とが判明した。しかしながら、さらに考究した結果、2
菌種の酵素、すなわち、リゾプス(Rhizopus)
属糸状菌の生産する細胞間物質分解酵素剤と、トリコデ
ルマ(Trichoderma)属糸状菌またはアスペ
ルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)糸状菌の生産する繊維分解酵素剤とを併用すると子
実体の分解作用が著しく向上することを見出だしたの
で、異なる菌株の生産酵素を併用してきのこに作用させ
る方法で本発明における課題を解決した。
る酵素剤は、細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)
と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とである。前者の細
胞間物質分解酵素剤は、土壌中より分離したリゾプス
(Rhizopus)属糸状菌の麸を主とする固体培養
で生産される、プロトペクチン分解酵素(プロトペクチ
ナーゼ)を主体とし、他に少量のヘミセルロ−ス分解酵
素(ヘミセルラーゼ)および蛋白質分解酵素[プロテア
ーゼ(酸性)]、ならびに微量のキチン分解酵素(キチ
ナーゼ)、グルカン分解酵素(β−1,3グルカナー
ゼ)および核酸分解酵素(ニュークレアーゼおよびデア
ミナーゼ)を含有する酵素剤である。上記のプロトペク
チン分解酵素(プロトペクチナーゼ)は、高等植物の細
胞間接着物質である複雑な構造のプロトペクチンを無作
為に分解する酵素である。上記のヘミセルロース分解酵
素(ヘミセルラーゼ)は、細胞間接着物質中に含有され
るヘミセルロースのうちキシランその他の各種植物多糖
類を分解するとともに、細胞壁を構成する一成分である
ヘミセルロースを分解する酵素である。上記の蛋白質分
解酵素[プロテアーゼ(酸性)]は、細胞内および細胞
間に存在する蛋白質に作用して呈味栄養成分であるアミ
ノ酸等に分解する酵素である。上記のキチン分解酵素
(キチナーゼ)およびグルカン分解酵素(β−1,3グ
ルカナーゼ)は、夫々きのこ菌体を構成する主成分であ
り、かつ細胞壁を構成する一成分であるキチンおよびβ
−1,3グルカン(いずれも複雑な高分子多糖類)を分
解する酵素である。さらに、上記の核酸分解酵素(ニュ
ークレアーゼおよびデアミナーゼ)は、細胞内および細
胞間に存在する核酸(ポリヌクレオチド)に作用して呈
味栄養成分であるイノシン酸やグアニル酸等に分解する
酵素である。
は、トリコデルマ(Trichoderma)属糸状菌
の麸を主とする固体培養で生産される、セルロース分解
酵素(セルラーゼ)を主体とし、他に少量のヘミセルロ
ース分解酵素(ヘミセルラーゼ)およびキチン分解酵素
(キチナーゼ)、ならびに微量のグルカン分解酵素(β
−1,3グルカナーゼ)および核酸分解酵素(ニューク
レアーゼおよびデアミナーゼ)を含有する酵素剤(以
下、Tセルラーゼ剤と記す)である。かかるTセルラー
ゼ剤の代りに、アスペルギルス・ニガー(Asperg
illus niger)糸状菌の麸を主とする固体培
養で生産される、セルロース分解酵素(セルラーゼ)お
よびヘミセルロース分解酵素(ヘミセルラーゼ)を主体
とし、他に少量のプロトペクチン分解酵素(プロトペク
チナーゼ)、キチン分解酵素(キチナーゼ)、グルカン
分解酵素(β−1,3グルカナーゼ)および核酸分解酵
素(ニュークレアーゼおよびデアミナーゼ)を含有する
酵素剤(以下、Aセルラーゼ剤と記す)を繊維分解酵素
剤(セルラーゼ剤)として用いることもできる。なお、
上記のセルロース分解酵素(セルラーゼ)は、細胞壁等
を構成する成分の一つであるセルロースを分解する酵素
である。
分解して細胞内の呈味栄養成分(核酸、アミノ酸、ビタ
ミン類、蛋白質等)をも利用するためには、きのこの細
胞間接着物質である複雑な構造のプロトペクチンや表層
にある粘着物質であるペクチン様物質とヘミセルロース
の複合体を分解するとともに、セルロース、ヘミセルロ
ース、キチン、グルカンからなる細胞壁を分解して細胞
内容物である核酸、アミノ酸、ビタミン類、蛋白質等の
呈味栄養成分を溶出させ、さらに、この溶出した核酸、
蛋白質等を細胞間に存在する核酸、蛋白質等とともに分
解して旨味成分であるイノシン酸、グアニール酸、アミ
ノ酸等に変換する必要がある。このために本発明におい
ては、上記の細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)
と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とを併用することに
より、両酵素剤の中に含有される上記の各種酵素、すな
わちプロトペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラー
ゼ、キチナーゼ、グルカナーゼ等を作用させてきのこの
組織を崩壊させるとともに、細胞壁を分解して細胞内の
呈味栄養成分である核酸、蛋白質、アミノ酸、ビタミン
類等を溶出させ、さらにニュークレアーゼ、デアミナー
ゼ、プロテアーゼ等を作用させて、呈味栄養成分である
イノシン酸、グアニール酸、アミノ酸等に変換させると
ともに、細胞内外に含有されるビタミン類を細胞間物質
や細胞壁を分解することにより完全に分解液に溶出させ
るのである。
分離酵素剤)と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とを種
々の配合割合できのこに添加し常温で撹拌下に作用させ
て分解(マセレーション)し、27メッシュ篩(孔直径
ほぼ0.6mm)で未分解の残渣を篩別して得られた分
解液(マセレーション液)について、その収率と溶出成
分との関係等について検討し、その結果を分解条件とと
もに下記の表1〜表6に示す。なお、きのことして、表
1および表2の場合は、きのこの中で最も生産量、消費
量の大きい椎茸を用い、表3、表4、表5および表6の
場合は、夫々、新舞茸、えのきたけ、なめこ、およびし
めじを用いた。
pus)属糸状菌の生産する細胞分離酵素剤、またはア
スペルギルス・ニガー(Aspergillus ni
ger)糸状菌の生産するセルラーゼ剤(Aセルラーゼ
剤)を単独で使用した場合は、生椎茸について酵素濃度
3%で4時間の分解作用で74〜75%しか分解液の収
率(歩留)がなく、また分解液の成分も、ブリックス
度、滴定酸度等低く、その他ビタミンB群や核酸関連物
質の含量も共に低く、これらのことから、夫々単独の酵
素剤を使用した場合には、椎茸細胞質や細胞間物質が完
全に溶出されていないものと推察される。これに対し
て、細胞分離酵素剤およびAセルラーゼ剤の両酵素剤を
併用した場合には、酵素濃度2.5%〜3.75%(A
セルラーゼ剤の使用量のほうが多い)で4時間の分解作
用にて分解液の収率(歩留)は78〜79%と単用の場
合にくらべて3〜4%程度高くなり、また分解液の成分
も単用の場合に比べて、pH以外は一般に高く、溶出成
分が濃厚となり、細胞のすみずみまで分解して成分の溶
出が行われたことを示す。さらに、両酵素剤を併用した
場合、酵素濃度を高くすると、分解液の溶出成分が多く
なる傾向がある。
よびトリコデルマ(Trichoderma)属糸状菌
の生産するセルラーゼ剤(Tセルラーゼ剤)を併用し、
または各酵素剤を単用し、かつ酵素濃度を4%として4
時間生椎茸を分解した場合につき示したが、細胞分離酵
素剤またはTセルラーゼ剤を単独で使用した場合には、
分解液の収率(歩留)が共に78%であるが、両酵素剤
を種々の配合割合で併用し、合計4%の酵素濃度で4時
間分解した場合には79〜80%の収率(歩留)とな
り、単用の場合にくらべて収率が1〜2%向上する。表
1に示すような細胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤との併
用の場合には、単用の場合にくらべて収率が3〜4%向
上したのに比較して、細胞分離酵素剤とTセルラーゼ剤
との併用の場合には併用効果が若干低い。また、分解液
の溶出成分については、両酵素剤の併用の場合が単用の
場合にくらべて多くなる。なお、表1および表2から明
らかのように、細胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤または
Tセルラーゼ剤との併用の何れの場合も、その配合割合
の違いによる収率の差はあまり生じない。
3に示すように、細胞分離酵素剤またはAセルラーゼ剤
を酵素濃度3%で単用した場合、分解液の収率(歩留)
は、78〜79%(細胞分離酵素剤の単用のほうがAセ
ルラーゼ剤単用よりも収率が高い)であるが、両酵素剤
を種々の配合割合で併用し、合計1.5〜3%の酵素濃
度で分解した場合には80〜84%の収率(歩留)とな
り、単用の場合にくらべて収率が2〜5%向上する。ま
た、酵素剤単用の場合、得られた分解液は、細胞分離酵
素剤を用いたほうがAセルラーゼ剤を用いたときよりも
成分的に若干濃厚であり、併用の場合は、収率が最も高
い併用酵素剤濃度3%の場合が最も濃厚で、単用の場合
にくらべて何れも成分が濃厚である。なお、両酵素剤併
用の場合、酵素濃度を1.5%としたときには、酵素濃
度を2〜3%としたときにくらべて分解液の収率が2〜
4%低く、細胞分離酵素剤を単独で酵素濃度3%で使用
した場合の収率と同程度となる。また、溶出される成分
も、両酵素剤を酵素濃度1.5%で併用した場合には酵
素濃度を2〜3%としたときにくらべて低く、両酵素剤
の夫々を酵素濃度3%で単用した場合とほぼ同等の値と
なる。
を併用し、酵素濃度を2〜3%とした場合には、残渣が
10%程度で80%以上は分解液として回収することが
できる。
は、表4に示すように、細胞分離酵素剤またはAセルラ
ーゼ剤の夫々を酵素濃度3%で単用した場合には、7時
間作用させたのちも、24%程度の残渣があり、分解液
が約66%の収率(歩留)でしか得られない。両酵素剤
を種々の配合割合で併用し、合計3〜4%の酵素濃度で
7時間分解した場合には約72%の収率(歩留)とな
り、単用の場合にくらべて約6%も収率が向上する。分
解液の成分は、両酵素剤を併用した場合は、夫々の酵素
剤を単用した場合に比して濃厚である。また、併用の場
合、細胞分離酵素剤3%とAセルラーゼ剤1%の配合割
合の場合に分解液が成分的に最も濃厚となる。なお、え
のきたけの場合は、上記の椎茸、新舞茸の場合に比べて
分解液の収率が低いが、えのきたけはその組織が硬いた
めと考えられ、きのこの組織により分解液の収率に差が
当然表れるものと思われる。
れも酵素濃度4%で、細胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤
またはTセルラーゼ剤とを併用した場合、Aセルラーゼ
剤とTセルラーゼ剤とを併用した場合、および夫々の酵
素剤を単用した場合について表5に示す。夫々の酵素剤
を単用した場合、4時間の作用で72〜75%の収率で
分解液が得られ、残渣は16〜19%である。酵素剤単
用のうち、細胞分離酵素剤単用の場合が、他の二種のセ
ルラーゼ剤単用の場合に比べて分解液の収率が1〜3%
高く、残渣も少ないが、成分的には大差がない。Aセル
ラーゼ剤とTセルラーゼ剤とを併用した場合には、酵素
剤を単用した場合と比べて収率においてさほど差がな
く、また成分的にも僅かしか差がない。
胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤と
を酵素濃度4%で併用した場合には、分解液の収率(歩
留)が80〜81%で、Aセルラーゼ剤とTセルラーゼ
剤とを併用した場合の収率71%および夫々の酵素剤を
単用した場合の収率72〜75%に比べて、5〜10%
程度向上する。さらに、分解液の成分も細胞分離酵素剤
とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤とを併用した場
合には、各酵素剤単用の場合および両セルラーゼ剤を併
用した場合にくらべて濃厚となる。
素剤を全く使用しないで、切断したしめじを同重量の水
と撹拌した場合、および細胞分離酵素剤とAセルラーゼ
剤とを同量で併用し、酵素濃度を1〜5%と順次高くし
た場合について表6に示す。酵素剤を全く使用しないで
しめじを水と撹拌した場合は、切断したしめじが5時間
の撹拌中に吸水して膨脹はするが、殆ど分解はされてい
ないので、分解液を回収することは不可能で、14%程
機械的に破砕されて、水中に溶出した液が回収できる
が、残渣は79%にも達する。勿論、液中の成分は極め
て微量である。一方両酵素剤を併用した場合は、酵素濃
度が1%のときは分解液の収率が60%と低いが、1
%、2%、3%、4%および5%と酵素濃度が高くなる
につれて、分解液の収率は60%、71%、75%、7
7%および81%と増加し、また残渣は33%から14
%へと減少する。また、分解液の成分も当然のことなが
ら、酵素濃度が高くなるほど増加していく。
ることなく水とともに撹拌しても、きのこが吸水膨潤す
るのみで殆どきのこは分解されることなく、極僅かな成
分が溶出されるのみであることが明らかである。また、
きのこの椎茸、新舞茸、えのきたけ、なめこおよびしめ
じに、細胞分離酵素剤、Aセルラーゼ剤またはTセルラ
ーゼ剤をそれぞれ単独で添加して分解しても、分解作用
が不十分で分解液の収率が低い。これに対して、細胞分
離酵素剤とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤とを併
用したときには、えのきたけを除いた他の4種のきのこ
(椎茸、新舞茸、なめこおよびしめじ)の場合は、80
%前後のほぼ同様な収率(歩留)で分解液が得られる。
えのきたけの場合には、その組織が硬いため、細胞分離
酵素剤とAセルラーゼ剤とを併用した場合、72%程度
の収率(歩留)で分解液が得られ、他の4種のきのこに
くらべて10%近く収率が低い。なおAセルラーゼ剤と
Tセルラーゼ剤とを併用しても、各酵素剤を単用した場
合と同様に低い収率でしか分解液が得られない。
き、1405gの調整椎茸を得、十分水洗後、切断して
2435gを得た。これに同重量の2435gの水を加
え、さらにリゾプス(Rhizopus)属糸状菌の生
産する細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)の1.
5%およびアスペルギルス・ニガー(Aspergil
lus niger)糸状菌の生産する繊維分解酵素剤
(Aセルラーゼ剤)の2.5%、合計4%を添加し、プ
ラネタリー回転方式採用のの卓上型万能ミキサーにて、
常温で4時間撹拌混合して生椎茸を分解した。椎茸の組
織は、酵素作用により完全に崩壊し粥状(泥状)となっ
たので、これを27メッシュ篩(孔直径ほぼ0.6m
m)にてゴムヘラを補助として濾過し、全重量の80%
に相当する重量の分解液と11%に相当する重量の残渣
を得た。得られた分解液のpHは5.44で、屈折計指
度(ブリックス度)は5.2度を示した。この懸濁液の
10mlを3000rpmで10分遠心分離して得られ
た沈殿物量は、0.7mlで、同様に、その液10ml
を中和するに要した0.1規定NaOH液の量は3.5
mlでこれを滴定酸度として示した。また、得られた分
解液中のアミノ態窒素量は0.0388%で、アミノ酸
として0.243%に相当する。同じく直接還元糖(ブ
ドウ糖、果糖等)の量は1.95%であり、全糖分量も
同一数値を示した。粘度は37CPで僅かに粘性を示し
た。分解液100g中のビタミンB1 は0.029m
g、ビタミンB2 は0.68mg、ナイアミンは0.7
5mgであって、核酸関連物質は、分解液1g中、UM
P(ウリジン5´−リン酸)が0.79μmol、CM
P(シチジン5´−リン酸)が0.67μmol、AM
P(アデノシン5´−リン酸)が0.73μmolおよ
びGMP(グアノシン5´−リン酸)が0.66μmo
l含有されていた。この分解液は、椎茸独特の風味を示
す旨味液であった。
gを得、その75%に相当する947gの水を加え、リ
ゾプス(Rhizopus)属糸状菌の生産する細胞分
離酵素剤1%とトリコデルマ(Trichoderm
a)属糸状菌の生産するセルラーゼ剤(Tセルラーゼ
剤)2%、合計3%を加え、プラネタリー回転方式の卓
上型万能ミキサーにて、常温で7時間撹拌混合して殆ど
粥状に分解した。得られた粥状液を27メッシュ篩にて
ゴムヘラを補助として濾過し全重量の70%に相当する
重量の分解液と、20%に相当する重量の残渣を得た。
実施例1の生椎茸の場合に比して残渣量が約10%多く
酵素分解がやや困難であった。得られた分解液は、pH
4.77、屈折計指度(ブリックス度)4.2度、10
ml中の遠心沈殿量0.5ml、10ml中の滴定酸度
4.0ml、アミノ態窒素0.0457%、アミノ酸と
して0.286%、直接還元糖0.78%、全糖分0.
79%、蔗糖分0.01%、固形分4%を示し、143
CPの粘度を有する粘稠液であった。また、分解液10
0g中のビタミンB1 は0.083mg、ビタミンB2
は0.31mg、ナイアミンは0.67mgであって、
核酸関連物質は、分解液1g中、CMPが0.7μmo
l、AMPが0.75μmol、UMPが0.78μm
olおよびGMPが0.60μmol含有されていた。
この分解液は、えのきたけ独特の風味と旨味を有する液
であった。
gを得、これに同重量の1935gの水を加え、リゾプ
ス(Rhizopus)属糸状菌の生産する細胞分離酵
素剤1%とアスペルギルス・ニガー(Aspergil
lus niger)糸状菌の生産するセルラーゼ剤
(Aセルラーゼ剤)2%、合計3%を加え、プラネタリ
ー回転方式の卓上型万能ミキサーにて常温で7時間撹拌
混合して新舞茸を分解した。新舞茸の組織は酵素作用に
て完全崩壊して粥状になったので、これを27メッシュ
篩で、ゴムヘラを補助として濾過し全重量の82%に相
当する重量の分解液と、9%に相当する重量の残渣を得
た。得られた分解液は、pH5.13、屈折計指度(ブ
リックス度)4.95度、10ml中の遠心沈殿量2.
8ml、10ml中の滴定酸度4.0ml、アミノ態窒
素0.0537%、直接還元糖1.72%、全糖分1.
73%、蔗糖分0.01%、固形分4.83%を示し、
266CPの粘度を有する粘稠液であった。また分解液
100g中のビタミンB1 は0.031mg、ビタミン
B2 は0.078mg、ナイアミンは0.82mgであ
って、核酸関連物質は、分解液1g中、CMPが0.7
8μmol、AMPが0.81μmol、UMPが0.
84μmolおよびGMPが0.70μmol含有され
ていた。この分解液の風味は新舞茸独特の新鮮さを示
し、旨味も強く風味調味液として有望であった。
とともに撹拌すると、前記したように、きのこは全く分
解されることなく、極僅かな成分が溶出されるのみであ
り、また、きのこに、リゾプス(Rhizopus)属
糸状菌の生産する細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素
剤)、またはアスペルギルス・ニガー(Aspergi
llus niger)糸状菌もしくはトリコデルマ
(Trichoderma)属糸状菌の生産する繊維分
解酵素剤(Aセルラーゼ剤もしくはTセルラーゼ剤)を
それぞれ単独で添加するか、上記2種のセルラーゼ剤を
併用して添加しても、前記したように、きのこを十分に
分解することはできない。
とAセルラーゼ剤もしくはTセルラーゼ剤とを併用する
ことによって、きのこの子実体を殆ど分解させて粥状化
させ、高い収率で分解液(マセレーション液)を得るこ
とができる。すなわち、本発明においては、きのこの組
織を崩壊し、さらに細胞間接着物質や表層にある粘着物
質を分解するとともに細胞壁を分解して細胞内容物質を
溶出させ、さらに細胞内および細胞間に存在する蛋白
質、核酸物質を分解して呈味栄養成分である各種アミノ
酸やイノシン酸、グアニル酸等のポリヌクレオチドとな
し、きのこ類のもつ細胞内外のすべての呈味栄養成分を
含有する分解液を得ることができ、これを各種食品等に
容易に有効利用することが可能となる。
Claims (2)
- 【請求項1】 きのこ類に、リゾプス(Rhizopu
s)属糸状菌の生産する、プロトペクチン分解酵素を主
体として含有する細胞間物質分解酵素剤と、トリコデル
マ(Trichoderma)属糸状菌の生産する、セ
ルロース分解酵素を主体として含有する繊維分解酵素剤
とを併用して作用させ、きのこ類の子実体をほぼ完全に
分解して粥状化することを特徴とするきのこ類の酵素に
よる完全分解方法。 - 【請求項2】 きのこ類に、リゾプス(Rhizopu
s)属糸状菌の生産する、プロトペクチン分解酵素を主
体として含有する細胞間物質分解酵素剤と、アスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger)
糸状菌の生産する、セルロース分解酵素およびヘミセル
ロース分解酵素を主体として含有する繊維分解酵素剤と
を併用して作用させ、きのこ類の子実体をほぼ完全に分
解して粥状化することを特徴とするきのこ類の酵素によ
る完全分解方法。
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