JP2868859B2 - ゴーストキャンセラ - Google Patents

ゴーストキャンセラ

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JP2868859B2
JP2868859B2 JP2193134A JP19313490A JP2868859B2 JP 2868859 B2 JP2868859 B2 JP 2868859B2 JP 2193134 A JP2193134 A JP 2193134A JP 19313490 A JP19313490 A JP 19313490A JP 2868859 B2 JP2868859 B2 JP 2868859B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、テレビジョン信号受信におけるゴーストキ
ャンセラに関する。
(従来の技術) 近年、高層建造物の建造に伴い、該建造物で反射した
電波による受信傷害、特にテレビジョン信号受信におけ
る、いわゆるゴーストの発生が該建造物から遠く離れた
広い地域にまで及ぶようになり、このゴーストを防止す
るためのゴーストキャンセラに関する技術が盛んに研究
されるようになっている。
例えば、テレビジョン信号受信に際してのゴースト傷
害を軽減する手段として、タップ付き遅延線フィルタを
用い、テレビジョン信号中に周期的に挿入されている基
準波形を参照してタップ利得を自動設定する方式のゴー
ストキャンセラが既に実用化されている。
また、ゴーストキャンセラに要請される性能の一つ
に、電源投入時あるいはチャンネル切換え時におけるタ
ップ利得設定の所要時間の短縮がある。
従来、この要請に最もよく応え得るタップ利得設定方
式として、「除算法」が知られている(参考文献:小林
玲一ほか「フィードフォワードアルゴリズムによるゴー
ストキャンセラ」、1988年テレビジョン学会全国大会、
18−6)。
この除算法は、受信信号中の基準波形部を一回だけ入
力波形メモリに取り込み、この波形をもとに、高速フー
リエ変換を活用して計算だけで最適タップ利得を決定す
る方式である。
従って、除算法によるタップ利得設定方式において
は、波形取り込みが一回だけで済むので、例えば基準波
形受信の度ごとに出力波形を見ながらタップ利得を少し
ずつ修正して最適タップ利得に漸近する「逐次修正法」
に比べて、タップ利得設定所要時間が格段に短いという
利点がある。
以下、除算法を用いたタップ利得設定方式について説
明する。
まず、「除算法」の説明に先だって、ゴーストキャン
セラに用いられる基準波形について説明する。
第5図は基準波形の例として、現行のテレビジョン信
号に挿入されているGCR(Ghost Canceling Reference)
信号を示すものであり、図からも明らかなように該GCR
信号は8フィールド・シーケンスからなる。
このGCR信号を式、 SGCR =1/4{(S1−S5)+(S6−S2)+(S3−S7)+(S8−S
4)} に従って加減算すると、該GCR信号に含まれる前後の水
平同期パルスやカラーバーストならびに前ライン信号が
除去されたステップ波形を得ることができる。さらにこ
のステップ波形に1クロック差分を施すことで、インパ
ッルス波形が得られる。
このインパルス波形は、ゴーストの発生がないときに
は、前方に80μS、後方に44.7μSの平坦部を持つの
で、この後方の平坦部を利用して44.7μSまでのゴース
トを検知することが可能であり、以下このインパルス波
形を基準波形として用いるものとする。また、基準波形
のSN比を改善するために、必要に応じて何回かの同期加
算を施す場合もあるものとする。
つぎに、第4図に示すブロック図を参照して、「除算
法」の原理を上記参考文献に従って説明する。
ここで用いられるゴースト消去フィルタ110は、近接
ゴースト消去のためのFIRフィルタ(Finite impulse Re
sponse Filter:非巡回形タップ付き遅延線フィルタ)12
0と遠隔ゴースト消去のためのIIRフィルタ(Infinite I
mpulse Response Filter:巡回形タップ付き遅延線フィ
ルタ)130の縦続接続よりなる。IIRフィルタ130は、も
うひとつのFIRフィルタ131と差回路132からなる帰還ル
ープである。受信・復調されたビデオ信号100は、ゴー
スト消去フィルタ110に入力される一方、そのうちの基
準波形部は、タイミング回路140の制御のもと、波形処
理回路145において上述のフィールド間加減算・1クロ
ック差分・同期加算などの処理を施されたうえで、入力
波形メモリ150に読み込まれる。演算回路160は、この入
力波形メモリ150の内容に基づき、すぐあとで述べる方
法でFIRフィルタ120およびIIRフィルタ130に与えるべき
最適タップ利得を計算する。得られた最適タップ利得
は、タップ利得保持回路I125およびタップ利得保持回路
II135に送られ保持される。
最適タップ利得の計算は、つぎのように行う。送信系
・伝搬系・受信系総合の理想ベースバンド特性をR(i
ω)、ゴースト消去フィルタ10直前までの実際の総合ベ
ースバンド特性をG(jω)とし、G(jω)はさら
に、 G(jω)=G1(jω)+G2(jω) …(1) と分解でき、G1(jω)は近接ゴーストに、G2(jω)
は遠隔ゴーストに対応するものとする。G(jω)は、
入力波形メモリ50に取り込んだ基準波形部を、G1(j
ω)は同じ波形の前半の近接ゴースト対応部分を、それ
ぞれフーリエ変換して得られる。
近接ゴースト消去の理想特性は H1(jω)=R(jω)/G1(jω) …(2) であるから、H1(jω)を逆フーリエ変換して得られる
インパルス応答をFIRフィルタのタップ利得とすればよ
い。ところが、実際のFIRフィルタはタップ存在範囲
が、限定されているので、前記のごとく得られたインパ
ルス応答のうち、タップ存在範囲に対応する所定区間だ
けを切出して実際のFIRフィルタ120のタップ利得とす
る。このようにタップ利得を設定したFIRフィルタ120の
周波数応答は、H1(jω)とはやや異なるものとなり、
これをH1a(jω)とする。このときの遠隔ゴースト消
去の理想特性は H2(jω) =R(jω)/G(jω)H1a(jω) =R(jω)/{R(jω)−R(jω)+G(jω)
H1a(jω)} =1/{1−F2(jω)} …(3) ただし、 F2(jω) ={R(jω)−G(jω)H1a(jω)}/R(jω) …(4) となって、IIRフィルタ130の帰還路を構成するFIRフィ
ルタ131の特性がF2(jω)であればよいことが分か
る。このF2(jω)を逆フーリエ変換して得られるイン
パルス応答に適当な時間窓をかけたものを、IIRフィル
タ130のタップ利得とする。
以上のように、除算法では、入力波形メモリ150の内
容から全てのタップ利得を計算だけで決めることができ
る。しかも計算のほとんどはフーリエ変換・逆フーリエ
変換が占め、これらにはFFT(高速フーリエ変換)が使
えるので、計算所要時間も短い。
しかしながら、除算法には次のような問題点がある。
それは、前方ゴーストの存在を前提にすると、FIRフ
ィルタ120のタップ存在範囲とIIRフィルタ130のタップ
存在範囲とのオーバーラップ範囲を、かなり大きく取ら
なければならず、所要タップ数が増すという問題であ
る。
いま、タップ存在範囲をFIRフィルタ120は[−I,
J]、IIRフィルタ130は[L,M]とする。タップ利得を、
それぞれ、[c-I,・・,c0,・・,cJ](C0:メイン
タップ)、および[dL,・・,dM]で表す。
ゴースト存在許容範囲は[−I,M−J]とし、この区
間外にはゴーストは一切ないものと仮定する。ゴースト
存在許容範囲の後縁が、MよりJだけ小さくなるのは、
もともとM−Jの位置にあったゴーストが、FIRフィル
タ120の第JタップによってMの位置に2次ゴーストを
生じるからである。
第6図(a)は入力波形メモリ150の内容を模式的に
例示したもので、ゴースト消去フィルタ10直前までの総
合伝送特性のインパルス応答に相当する。このとき、時
間基準t=0はメイン・インパルスのピークにとる。図
示した位置にゴーストがある場合について考察する。こ
の波形を時刻KT(Tはサンプリング周期、KはJよりや
や大きくとる)まで切り出したのが第6図(b)で、前
方ゴーストを含む近接ゴーストのインパルス応答であ
る。これをフーリエ変換したものがG1(jω)である。
このG1(jω)を(2)式に入れて得たH1(jω)を逆
フーリエ変換すれば、FIRフィルタ20のとるべきインパ
ルス応答が求まるが、このインパルス応答は一般にKTよ
りあとまで尾を引く。これのサンプル値を、区間[−I,
J]で打ち切ったものをFIRフィルタ120のタップ利得[c
-I,・・,c0,・・,cJ]として採用する。これを第6
図(c)に示す。
このようにタップ利得を設定されたFIRフィルタ120に
同図(a)の波形を入力したときに得られる出力波形は
同図(d)のようになる。遅れ時間(−IT)の前方ゴー
ストを消去するために、タップ利得c-Iが非ゼロの値に
なっているので、遅れ時間(J+1)Tのゴーストの2
次ゴーストが(J+1−I)Tの位置に新たに現れる。
この2次ゴーストは次段のIIRフィルタ130で消去するわ
であるが、IIRフィルタの性質上、負の時間のタップは
許せないから、(J+1−I)は正でなければならな
い。すなわち、前方ゴーストの存在許容範囲(前方タッ
プ存在範囲)Iが与えられると、Jは必ずIよりも大き
くとらなければならない。同時に、IIRフィルタ130のタ
ップ存在範囲前縁Lは(J+1−I)より小さい値にと
らなければならない。このとき、FIRフィルタ120とIIR
フィルタ130のタップ存在範囲は少なくともIタップ分
重複せざるをえないわである。これは、タップの重複だ
けにとどまらない。第Jタップが非0になると、もとと
もMaの位置にあったゴーストから、(Ma+J)の位置の
2次ゴーストが生まれるので、IIRフィルタ・タップ存
在範囲はゴースト存在許容範囲よりもJだけ後方までと
らなければならない。Iを大きくとろうとすると、この
ように二重にハードウェアの増大を招く。これが除算法
の問題点である。
(発明が解決しようとする課題) 種々の受信環境のもとで確実に動作するゴーストキャ
ンセラを実現するためには、対応可能な前方ゴーストの
範囲をできるだけ大きくとりたいという要請がある。と
ころが、FIRフィルタ・IIRフィルタの縦続接続よりなる
ゴーストキャンセラにおいて、従来知られている高速な
タップ利得設定法では、FIRフィルタとIIRフィルタのタ
ップ存在範囲を、少なくともこのゴーストキャンセラが
対応すべき前方ゴーストの存在範囲程度にわたって重複
させなければならず、またIIRフィルタのタップ存在範
囲後縁を同じ程度だけ延長しなければならなかった。こ
れは、広範囲の前方ゴーストにも対応し得るゴーストキ
ャンセラを実現しようとするとき、ハードウェアを大形
化し、コスト増をもたらす要因であった。この発明は、
従来技術の上記問題点に鑑み、従来と同程度のタップ利
得設定所要時間とゴースト消去性能を維持しつつ、FIR
フィルタとIIRフィルタのタップ存在範囲の重複を、前
方ゴーストの存在許容範囲とは無関係に極力小さくする
ことを可能にしたゴーストキャンセラを提供することを
目的としている。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本願第1の発明のゴーストキャンセラは、近接ゴース
ト消去に対応すべく設けられるFIRフィルタと、このFIR
フィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対応すべく
設けられるIIRフィルタと、受信信号中の基準波形部を
取り込み一時記憶する入力波形メモリと、この入力波形
メモリの内容を入力したとき得られるはずのFIRフィル
タ出力と理想基準波形との差である誤差波形について
の、前縁のタップ存在範囲の2倍程度、後縁をタップ存
在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和を最小化す
るように、FIRフィルタのタップ利得を入力波形メモリ
の内容に基づいて計算する第1の演算手段と、この第1
の演算手段の演算結果に従ってFIRフィルタのタップ利
得を保持する第1のタップ利得保持手段と、このタップ
利得保持手段によってタップ利得を保持されたFIRフィ
ルタに入力波形メモリの内容を入力して得られる当該FI
Rフィルタ出力を一時記憶する出力波形メモリと、この
出力波形メモリに記憶されるFIRフィルタ出力と基準波
形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得のコ
ンボリューションを差し引いたものの総体の所定区間の
2乗和を最小化するようにIIRフィルタタップ利得を決
定する第2の演算手段と、前記第2の演算手段の演算結
果に従ってIIRフィルタのタップ利得を保持する第2の
タップ利得保持手段とを具備することを要旨とする。
本願第2の発明のゴーストキャンセラは、近接ゴース
ト消去に対応すべく設けられるFIRフィルタと、このFIR
フィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対応すべく
設けられるIIRフィルタと、受信信号中の基準波形部を
取り込み一時記憶する入力波形メモリと、この入力波形
メモリの内容を入力したとき得られるはずのFIRフィル
タ出力と理想基準波形との差である誤差波形について
の、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁をタップ存
在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和を最小化す
るように、FIRフィルタのタップ利得を入力波形メモリ
の内容に基づいて計算する第1の演算手段と、この第1
の演算手段の演算結果に従ってFIRフィルタのタップ利
得を保持する第1のタップ利得保持手段と、このタップ
利得保持手段によってタップ利得を保持された前記FIR
フィルタに受信信号を入力して得られる前記FIRフィル
タの出力中の基準波形部を取り込み一時記憶する出力波
形メモリと、この出力波形メモリに記憶されるFIRフィ
ルタ出力と基準波形との差から、基準波形とIIRフィル
タタップ利得のコンボリューションを差し引いたものの
総体の所定区間の2乗和を最小化するようにIIRフィル
タタップ利得を決定する第2の演算手段と、この第2の
演算手段の演算結果に従ってIIRフィルタのタップ利得
を保持する第2のタップ利得保持手段とを具備すること
を要旨とする。
本願第3の発明のゴーストキャンセラは、近接ゴース
ト消去に対応すべく設けられるFIRフィルタと、このFIR
フィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対応すべく
設けられるIIRフィルタと、受信信号中の基準波形部を
取り込み一時記憶する入力波形メモリと、この入力波形
メモリの内容を入力したとき得られるはずのFIRフィル
タ出力と理想基準波形との差である誤差波形について
の、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁をタップ存
在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和を最小化す
るように、FIRフィルタのタップ利得を前記入力波形メ
モリの内容に基づいて計算する第1の演算手段と、この
第1の演算手段の演算結果をそのタップ利得とするFIR
フィルタに、前記入力波形メモリの内容を入力したとき
に得られるはずの出力波形を、前記第1の演算手段の演
算結果と前記入力波形メモリの内容とに基づいて計算す
る第3の演算手段と、この第3の演算手段の演算結果を
一時記憶する出力波形メモリと、この出力波形メモリに
記憶されるFIRフィルタ出力と基準波形との差から、基
準波形とIIRフィルタタップ利得のコンボリューション
を差し引いたものの総体の所定区間の2乗和を最小化す
るようにIIRフィルタタップ利得を決定する第2の演算
手段と、前記第1の演算手段の演算結果に従ってFIRフ
ィルタのタップ利得を保持する第1のタップ利得保持手
段と、前記第2の演算手段の演算結果に従ってIIRフィ
ルタのタップ利得を保持する第2のタップ利得保持手段
とを具備することを要旨とする。
本願第4の発明のゴーストキャンセラは、近接ゴース
ト消去に対応すべく設けられタップ利得が受信信号に含
まれる基準波形部に基づいて決定されるFIRフィルタ
と、このFIRフィルタに縦続にかつ遠隔ゴースト消去に
対応すべく設けられてタップ利得が前記FIRフィルタの
タップ利得を受信信号に含まれる基準波形部に基づいて
設定したときに得られるべき出力中の基準波形部に基づ
いて決定されるIIRフィルタとを具備し、前記FIRフィル
タのタップ利得を決定するに際しての誤差評価基準は、
前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁をタップ存在範
囲と同程度とする時間区間内の2乗和誤差であることを
要旨とする。
本願第5の発明のゴーストキャンセラは、近接ゴース
ト消去に対応すべく設けられタップ利得が受信信号に含
まれる基準波形部に基づいて決定されるFIRフィルタ
と、このFIRフィルタに縦続にかつ遠隔ゴースト消去に
対応すべく設けられてタップ利得が前記FIRフィルタの
タップ利得を受信信号に含まれる基準波形部に基づいて
設定したときに得られるべき出力中の基準波形部に基づ
いて決定されるIIRフィルタとを備え、このIIRフィルタ
のタップ利得は、前記出力波形と基準波形との差から、
基準波形とIIRフィルタタップ利得とのコンボリューシ
ョンを差し引いたものの総体の所定区間の2乗和を最小
化するように、決定されるものであることを要旨とす
る。
(作用) この発明は、高速フーリエ変換(FFT)等による時間
・周波数領域変換によって最適タップ利得を決定しよう
とする従来の方法と異なり、一度入力波形メモリに取込
んだ基準波形部に基づいて全ての計算を時間領域だけで
行うことによって最適タップ利得を決定cようとするこ
とを基本としている。すなわち、計算を時間領域だけで
行うことによって、FIRフィルタ、IIRフィルタのそれぞ
れが受持つべきゴースト消去の時間範囲を明確にでき、
FIRフィルアは、その出力で見て、時間JTまでの波形を
等化する(基準波形に近似させる)という、明確に定義
された役割を担う事ができる。その結果、FIRフィルタ
出力波形のうち時間JTまでの波形は、もうIIRフィルタ
では等化する必要がなく、IIRフィルタは、FIRフィルタ
出力波形のうち時間(J+1)T以降の波形についてだ
け等化を行えばよい。従って、両フィルタは互いに範囲
が重複したタップを持つ必要は無くなる。
また、実際には余裕をみて数タップ分の重複を持たす
ことも考えられるが、従来方式のように、前記ゴースト
の存在範囲に相当する広範囲の重複を行う必要がない。
さらに、タップを重複させなくてもよいことから、Jは
Iには無関係に任意に小さく設定できる。その故、FIR
フィルタとIIRフィルタのタップの総和は、従来方式に
くらべて、およそ2I個だけ節約できる。なお、FIRフィ
ルタ最適タップ利得の時間領域計算法は既に確立してお
り、誤差評価基準(時間範囲を含めて)を定義すれば、
最適タップ利得を与える式は容易に求まる。また、タッ
プ数が極端に多くなければ、所要計算時間も、除算法の
ようにFFTを活用する方式に比べて、とくに遜色はな
い。
タップ数の節減という目的は、上記のFIRフィルタ・
タップ利得決定法だけで達成しうるものであるが、これ
とともに本発明は、IIRフィルタのタップ利得決定に関
しても、時間領域での計算による、単純で、したがって
演算誤差の累積が少なく、所要時間も短い方式を提供す
るものである。
本発明では、上述の誤差評価基準に則って計算したタ
ップ利得をタップ利得とするFIRフィルタに、前記入力
波形メモリの内容を入力して得られるはずの出力波形
を、前記入力波形メモリの内容を実際にFIRフィルタに
通すか、実際の受信ビデオ信号を入力したときのFIRフ
ィルタ出力から抽出するか、あるいは前記入力波形メモ
リの内容から計算によって求めるかのいずれかによって
得、これを出力波形メモリに一時記憶する。つぎに、こ
の出力波形メモリに記憶されるFIRフィルタ出力と基準
波形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得の
コンボリューションを差し引いたものの総体の所定区間
の2乗和を最小化するようにIIRフィルタタップ利得を
決定する演算、具体的には例えば出力波形メモリの内容
と理想基準波形との差である誤差波形ベクトルに対し、
行列(PtP+νI)-1Pt(ただし、Ptは基準波形の自己
シフトを行とする行列、tは転置、-1は逆行列、Iは単
位行列、νは正の微小定数)を掛けて得られたベクトル
をIIRフィルタのタップ利得とする、という演算を行な
う。このIIRフィルタ最適タップ利得の計算に用いられ
る行列は理想基準波形だけに準拠しているのであらかじ
め計算しておくことができ、また帯行列(対角近傍以外
の要素は0の行列)であるので、計算は極めて単純で、
帯の幅(せいぜい数十)とタップ数の積の回数の積和
演算に過ぎないものとなる。
これに対して、従来の技術に示した第(4)式は、
より大きいNa(2のベキ乗)を次元とするFFTを2ラウ
ンド、周波数領域での乗算、除算を各1ラウンド含むた
め、本発明に係る方式のほうが計算量も少なく、構造が
単純な分だけ有限語長演算に起因する演算誤差も小さい
ことが明らかである。
上記2項目は、これらの組み合わせでのみ新規な作用
・効果を有するわけではなく、それぞれを単独で既知の
技術と組み合わせることによっても、それぞれが持つ新
規な作用・効果を発揮させることができる。
(実施例) 第1図に本発明の一実施例を示す。電源投入時、ある
いはチャンネル切換え時を想定して入力切換えスイッチ
S1、出力切換えスイッチS3ともにa側に倒され、IIRフ
ィルタ30のタップ利得は全0にリセットされているもの
とする。
また、受信・復調されたビデオ信号100は4分され、
それぞれ出力切換えスイッチS3、入力切換えスイッチS
1、波形処理回路45およびタイミング回路40へ送られ
る。
いま基準波形は第5図に示したものを例にとる。波形
処理回路45は、タイミング回路40の制御のもとに、ビデ
オ信号100から基準波形部を取り出し、フィールド間波
形加減算・1クロック差分・同期加算などの処理を施
し、インパルス状波形に直して入力波形メモリ50に送り
込む。この入力波形メモリ50に取り込まれた基準波形を
サンプル値系列{xk}とする。
演算回路I61は、入力波形メモリ50からサンプル値系
列{xk}を読み出しながら、後述する演算を行い、FIR
フィルタ20のタップ利得{ci}(i=−I〜J)を決定
する。決定されたタップ利得はタップ利得保持回路I25
に保持される。
上記のようにタップ利得を設定されたFIRフィルタ20
および全てのタップ利得を0にリセットされたIIRフィ
ルタ30からなるゴースト消去フィルタ10に、入力切換え
スイッチS1経由で、入力波形メモリ50から読み出された
サンプル値系列{xk}を入力する。このときのゴースト
消去フィルタ10出力{zk}は、(当面IIRフィルタ全0
にリセットされているため)FIRフィルタ20出力{yk
に等しい。ゴースト消去フィルタ10出力{zk}(すなわ
ち{yk})は出力波形メモリ51に一時記憶され、この
{yk}をもとに、演算回路II63は後述の演算法に従って
IIRフィルタ30のタップ利得{dj}(j=L〜M)を決
定する。
演算回路II63で決定されたタップ利得はタップ利得メ
モリ保持回路II35に保持される。
さきにタップ利得を設定されたFIRフィルタ20および
上記のようにタップ利得を設定されたIIRフィルタ30か
らなるゴースト消去フィルタ10に、再び入力切換えスイ
ッチS1経由で、入力波形メモリ50から読み出されたサン
プル値系列{xk}を入力する。このときのゴースト消去
フィルタ10出力{z k}は、さきの{zk}(すなわち
{yk})に代って出力波形メモリ51に一時記憶される。
この出力{z k}をもとに、演算回路II63は後述の演算法
に従ってIIRフィルタ30のタップ利得{dj}を補正す
る。
演算回路II63で補正されたタップ利得{d j}はタップ
利得メモリ保持回路II35に補正前のタップ利得{dj}に
代って保持される。
この段階で入力切換えスイッチS1はb側に切換えら
れ、ゴースト消去フィルタ10には入力ビデオ信号がその
まま入力される。同時に出力切換えスイッチS3もb側に
切換えられ、以後は、ゴースト消去フィルタ10の出力が
最終出力となる。
ここで、前記FIRフィルタ20のタップ利得決定法につ
いて述べる。
いま、理想基準波形を{rk}とし、出力波形{yk}か
ら理想基準波形{rk}を引いたものを誤差波形{ek}と
する。FIRフィルタ・タップ利得決定にあたっての評価
基準Eyは、誤差波形{ek}の、区間[−2I,J]にわたる
2乗和、すなわち、 にとる。
なお、誤差評価区間をこのようにとるのは次の理由に
よる。
まず、前縁を−2I(タップ数の2倍)にとるのは、前
方ゴーストについては遅れ時間−Iまでのゴーストそれ
自身だけではなく、第(−I)タップが働くことによっ
て生じる孫ゴーストまでも、FIRフィルタ20で消去しよ
うとするからである。
一方、後縁をJ(タップ数と同じ)にとるのは、区間
[0,J]の出力波形について考えたとき、その2乗和誤
差を最小にするには、それ自体を評価基準にとるのが最
良の結果をもたらすわけで、誤差評価区間をこれより広
げれば、結果はせいぜい同じか一般的には悪くなるから
である。
このように誤差評価区間後縁をJにとることによっ
て、区間[0,J]にあったゴーストはほぼ完全に消え、
それらから生じる孫ゴースト等はすべて(J+1)以降
に掃き寄せられる。
そこでIIRフィルタ30のタップ存在範囲下限Lを(J
+1)か、これよりやや小さい値にとっておけば、これ
ら新たに生じた孫ゴースト等は、もともとL以降にあっ
たゴーストとともにIIRフィルタ30で消去される。すな
わち、FIRフィルタ20とIIRフィルタ30のタップは重複さ
せる必要がない。また、Jの値にもIに関連した制約は
なく、例えば、基準波形の非0部分をカバーする程度の
大きさにとればよい。
第(5)式の値を最小化するタップ利得ベクトルC: C=[c-I,…………,cJt …(6) は、連立1次方程式 AC=B …(7) ただし、Aは要素aijの行列: (δijはクロネッカーのデルタ、μは行列Aの正定値性
を保証するに要する正の微小定数) Bは要素biのベクトル: の解として与えられることが知られている。この連立1
次方程式を解くことは、公知の手法で容易に実現できる
ので、ここでは説明を省略する。
尚、誤差評価区間を[−2I,J]にとるのは、本発明の
原理の説明のためであり、実際の装置に於ける誤差評価
区間が、この値から多少ずれている場合に於いても、本
発明の範囲内にあることはいうまでもないことである。
その際、必要とする計算量(加減乗除の数)は、誤差
評価区間の長さN(N=2I+J+1)の2乗に比例し、
その比例係数は計算法にもよるが、5程度である。並列
乗算器等を使うとして、1計算に3T掛かると仮定する
と、所要計算時間は15・T・N2である。一例として、N
=64,T=70nSの場合には、4.3mSである。この数字は、
テレビの1フィールド時間17mSの1/4程度であり、いま
の目的に十分合致する速さといえる。
つぎに、IIRフィルタのタップ利得設定法について述
べる。
FIRフィルタ出力波形ykを入力したときのIIRフィルタ
出力波形zkは、 と表せる。IIRフィルタ30についても、目的は出力誤差
(zk−rk)のある区間の2乗和を最小化することであ
る。区間を[L−R,M+R](Rは基準インパルス波形
の非0部片側の幅)にとると、評価基準は である。
ここで誤差評価区間をこのように選んだのは、第Lタ
ップを通ったメイン・インパルスの影響範囲は(L−
R)までであり、第Mタップを通ったメイン・インパル
スの影響範囲は(M+R)までだからである。
また、評価基準Ezは、FIRフィルタ出力波形ykの関数
ではあるが、FIRフィルタ出力波形ykの陽な関数として
は表すことができないので、FIRフィルタ20の場合のよ
うな厳密な解法はない。
そこで、つぎのよう考える。いま、タップ利得ベクト
ルD: D=[dL,…………,dMt …(12) の最適値が、なんらかの方法で求まり、Dはその近傍に
あるとする。
しかるに、そのときの出力波形{zk}は、理想基準波
形{rk}にきわめて近い波形{r k}になっているはずで
ある。したがって、 が成り立つ。ここで、r k-jをrk-jで代替するという近似
を施せば、 となる。
すなわち、評価基準Ezは、FIRフィルタ出力{yk}と
基準波形{rk}との差から、基準波形{rk}とIIRフィ
ルタタップ利得{dj}のコンボリューションを差し引い
たものの総体の所定区間[L−R,M+R]の2乗和であ
る。この評価基準Ezを最小化するようにIIRフィルタタ
ップ利得{dj}を決定すればよい。その具体的な計算法
の一例を次に示す。
評価基準Ezを最小化するDは、第(5)式の場合と同
様に、連立1次方程式 WD=V (15) ただし、Wは要素wijの行列: (νは行列Wの正定値性を保証するに要する正の微小定
数) Vは要素viのベクトル: の解として与えられる。
ここで、 Y=[yL-R,yL,……,yM,YM+Rt …(18) =[rL-R,rL,……,rM,rM+Rt …(19) を定義すれば、 W=PtP+νI(Iは単位行列) …(21) V=Pt(Y−) …(22) と書けるから、(15)式の連立1次方程式の解は、 D=Ψ(Y−) …(23) ただし、 Ψ=(PtP+νI)-1Pt …(24) となる。
理想基準波形{rk}は既知であるから、Ψはあらかじ
め計算しておくことができる。またΨは、帯行列(対角
近傍のある範囲以外は0)であり、かつ、上下の一部の
行以外の各行は(シフトを除いて)同一である。その形
はつぎのようになる。
これを用いて第(23)式の計算を行うわけであるが、
具体的にはつぎの形の計算に帰着する。
ただし、{ψk,j}の組は複数通りあって、jに応じ
てそのうちの一つをとる。なお、(L−R)の値によっ
ては、rL-Rが基準波形の非0部分の外になって、第(1
9)式のの要素は全0である。
そのときは(26)式の( )の中はyj+kだけでよい。
ここまででIIRフィルタ30のタップ利得は一応決ま
り、通常はこれで十分である。このタップ利得をタップ
利得保持回路II35に保持させたところでタップ利得設定
を終え、入力切換えスイッチS1および出力切換えスイッ
チS3をb側に切換えるようにしてもよい。
しかし、次のようにして、一層の残留誤差の軽減を図
ることもできる。
さきに第(14)式の導出に当っては、r k-jをrk-jで代
替した。これに起因する残留誤差が存在しうる。そこ
で、すでにタップ利得を設定済みのFIRフィルタ20およ
びIIRフィルタ30からなるゴースト消去フィルタ10に、
再び入力波形メモリ50に格納された基準波形を通し、そ
のときの出力波形{z k}を出力波形メモリ51に記憶させ
る。
そして、この出力波形{z k}に基づいて、IIRフィル
タ30のタップ利得を補正する。
いま、r k-jが実際には、r k-j =rk-j+εk-j …(27) であったとすると、タップ利得が{dj}に設定されたと
きの出力波形zKは、 であるから、出力誤差波形e kz k−rkは、 である。このうち第1項(の2乗和)は、1回目のIIR
フィルタ・タップ利得設定で十分に小さくなっているは
ずだし、またタップ利得{dj}をどう変えても今より小
さくはならない。しかし、e k全体(の2乗和)はもっと
小さくなる可能性がある。
そのようなタップ利得{dj}をタップ利得{d j}:d j =dj+Δdj …(30) とする。
このときのe kとすると、 と表せる。右辺第3項は第2項に比べて無視できる大き
さとみなせるので、 を最小化すればよい。これは第(14)式と同じ問題であ
るから、その解は第(26)式にならって、 で与えられる。すなわち、出力波形メモリ51から{z k
を読みだし、上式の演算によってΔdjを求め、IIRフィ
ルタ・タップ利得を第(30)式のように補正し、補正し
たタップ利得をタップ利得保持回路II35に保持させれば
よい。これによって、残留誤差は(その余地があれれ
ば)一段と削減される。
なお、同様のタップ利得補正をさらに何回も繰り返す
ことも可能ではあるが、それによって得られる残留誤差
の改善量は急速に減少するので、実際的には1回の補正
で十分である。
これによって、IIRフィルタのタップ利得設定法が定
まった。第(26)式および第(33)式を合わせた所要計
算量は、2(2Q+1)回の乗算と同数の加算である。
一例として、Q=20,=500の場合では、4×104
度である。前述と同じ仮定に立てば、12×104クロック
・サイクル、すなわち8.4msec.を要することになり、FI
Rフィルタについての所要時間の略2倍(IIRフィルタ・
タップ利得計算を1回目だけで済ませれば略同じ)であ
る。
つぎに全所要時間を計算する。全所要時間は、受信
信号からの基準波形部とりこみ、FIRフィルタ・タッ
プ利得の計算、入力波形メモリの内容をゴースト消去
フィルタに通し出力波形をメモリに格納(2回)、II
Rフィルタ・タップ利得の計算(2回)の合計である。
は第5図の基準波形を用いての4回の同期加算を仮
定すると、32フィールド時間となる。は1回につきせ
いぜい2水平ライン(4/525フィールド)である。フィ
ールド時間を単位として表すと、32、0.25、0.0
2、0.5であるから、計約33フィールド時間、すなわち
約0.6秒ということになる。このうちの大部分は煮消
費されているわけで、タップ利得の計算そのものに費さ
れる時間は極めて短い。
上記実施例の変形として、いくつかの他の実施例が考
えられるので、それらについて述べる。
第2の実施例は、IIRフィルタ・タップ利得計算のた
めに予め用意してメモリに蓄えておくべき{ψk,j}の
組を、一通りだけに限定し、jによらず{ψk}とする
ものである。このときIIRフィルタ・タップ利得計算
は、 となる。さきの実施例よりは残留誤差が僅かに大きいか
も知れないが、{ψk}用のメモリが少なくて済むし、
計算手順も簡単になる。
第3の実施例の構成を第2図に示す。第1図との違い
は、出力波形メモリ51に取り込まれるのが、入力波形メ
モリ50の内容を入力したときのゴースト消去フィルタ10
出力ではなく、実際のゴースト消去フィルタ10出力ビデ
オ信号中の基準波形部を、波形処理回路II47経由で抽出
したものであるという点である。この方法は、さきの実
施例の場合より2〜3倍の時間がかかるという難点はあ
るが、一方、実際のゴースト消去フィルタ10を常時、ビ
デオ信号のために空けておけるという利点を持つ。この
ため、第1図中の入力切換えスイッチS1および出力切換
えスイッチS3を省略することができる。
第4の実施例は、第1(または第2)の実施例と第3
の実施例との組み合わせである。すなわち、チャンネル
切換えなどでタップ利得をリセットした直後には、第1
(または第2)の実施例のようにしてタップ利得を設定
するが、入出力切換えスイッチS1,S3をb側にしたあと
は、第3の実施例のようにしてタップ利得を設定するこ
とによって、これらのタップ利得をゴースト発生状況の
時間変動に追随させるものである。
第(33)式および第(30)式によるタップ利得修正
は、もともとFIRフィルタ20におる等化が完全ではない
ことの影響を除去する目的で行われたが、同じ式による
タップ利得修正は、出力波形の誤差発生原因が伝搬路特
性の変動であっても、やはり出力誤差の2乗和を減少さ
せる方向に働く。まず、これを説明する。
伝搬路特性の変動によって、FIRフィルタ出力波形が
{yk(n)}(nは修正回数)から{yk(n+1)}へ
と、 yk(n+1)=yk(n)+Δyk(n) …(35) のように変ったとする。これに応じて、タップ利得を dj(n+1)=dj(n)+Δdj(n) …(36) のように修正すれば、タップ利得修正後の出力誤差2乗
和が最小になるとする。このときの出力波形は、 ただし、z k(n)はyk(n+1)に対応する出力波形メ
モリ51の内容、と表せる。
したがって、出力誤差2乗和は、r k-jをrk-jで近似し
て、 となり、これを最小化するのは前述の第(14)式と同じ
問題であるから、その解は、第2の実施例に準拠すれ
ば、 で与えられる。すなわち、出力波形メモリから{z
k(n)}を読みだし、上式の演算によってΔdj(n)
を求め、IIRフィルタ30のタップ利得を第(36)式のよ
うに補正する。これをやや変形して ただし、0<α≦1 としてもよい。
ここで、α=1にとるのが、追随速度の点からは有利
であるが、雑音の影響を避ける目的からはαを1より小
さくとるほうが望ましい場合もある。
なお、FIRフィルタ20についても、そのタップ利得を
逐次修正すべきであるが、それには入力波形メモリ50の
内容を定期的に更新し、第1の実施例で述べた計算法に
従って、その都度タップ利得を更新すればよい。また、
定期的に更新された出力波形メモリ51の内容を基に、従
来公知の逐次修正法によってタップ利得を修正してもよ
い。
第5の実施例を第3図に示す。これは、ゴースト消去
フィルタ出力波形を求めるのに、実際のゴースト消去フ
ィルタ10に入力波形メモリ50の内容を通過させる代り
に、入力波形メモリ50から{xk}を読みだし、演算回路
III63において なる演算を行わしめるものである。なお、IIRフィルタ
・タップ利得設定を1回だけで済まし、タップ利得補正
を施さないのであれば、第(41)式の計算だけでよい。
本実施例は第3の実施例と同様の効果を有する。
第6の実施例は、第1(または第2)の実施例と第5
の実施例との組み合わせである。すなわち、チャンネル
切換えなどでタップ利得をリセットした直後には、第1
(または第2)の実施例のようにしてタップ利得を設定
するが、入出力切換えスイッチS1、S3をb側にしたあと
は、第5の実施例のようにしてタップ利得を設定するこ
とによって、これらのタップ利得をゴースト発生状況の
時間変動に追随させるものである。これは、第4の実施
例と同様の効果を有する。
上述してきた各実施例によれば、下記の如く効果を奏
するものである。
まず第1に、FIRフィルタのタップ利得を決定するに
あたっての誤差評価区間の後縁をタップ存在範囲にほぼ
等しくとることによって、FIRフィルタとIIRフィルタと
が重複してもたなければならないタップの存在範囲を最
小限で済ませ、かつ、ゴースト存在許容範囲を超えてII
Rフィルタが持たなければならないタップの存在範囲を
も最小限で済ませる、言い換えれば、ゴースト消去フィ
ルタ・ハードウェアが節約されるという効果をもたら
す。
第2に、タップ存在範囲が特定されたIIRフィルタに
ついてのタップ利得計算法を新たに提供するものであ
り、しかも、従来のタップ存在範囲を特定しないIIRフ
ィルタについて知られているタップ利得計算法よりも単
純なため、有限語長演算に起因する誤差の累積が少な
い、という効果をもたらす。
第3に、電源投入後、あるいはチャンネル切換え後
に、いったんタップ利得を設定したあと、IIRフィルタ
・タップ利得を補正あるいは継続的に修正するにあたっ
て、IIRフィルタ出力波形そのものに基づいてこれを行
うことができるので、入力波形を周波数領域へ変換して
タップ利得を計算する方式が原理的に近似を含むのに対
比して、残留誤差をより小さくすることができる。
以上を総合して、電源投入後、あるいはチャンネル切
換え後、極めて短時間にタップ利得を最適値に設定でき
るゴーストキャンセラを、従来知られている方法に比べ
て、より少ないタップ数のゴースト消去フィルタを用い
て、しかも、より高度のゴースト消去性能を備えて実現
することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、最適タップ利
得の決定を時間領域だけの演算で行うようにしたので、
FIRフィルタ、IIRフィルタのタップ存在範囲の重複を、
前方ゴーストの存在許容範囲とは無関係に極力小さくす
ることを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すブロック図である。第
2図および第3図はそれぞれ本発明の他の実施例を示す
ブロック図、第4図は従来の直接計算法によるゴースト
キャンセラのブロック図、第5図はゴースト消去用基準
波形の一例を示す図、第6図は従来の直接計算法による
ゴーストキャンセラの動作を説明する波形図である。 10…ゴースト消去フィルタ 20…FIRフィルタ 25…タップ利得保持回路I 30…IIRフィルタ 35…タップ利得保持回路II 50…入力波形メモリ 51…出力波形メモリ 61…演算回路I 63…演算回路II

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】近接ゴースト消去に対応すべく設けられる
    FIRフィルタと、 このFIRフィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対
    応すべく設けられるIIRフィルタと、 受信信号中の基準波形部を取り込み一時記憶する入力波
    形メモリと、 この入力波形メモリの内容を入力したとき得られるはず
    のFIRフィルタ出力と理想基準波形との差である誤差波
    形についての、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁
    をタップ存在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和
    を最小化するように、FIRフィルタのタップ利得を入力
    波形メモリの内容に基づいて計算する第1の演算手段
    と、 この第1の演算手段の演算結果に従ってFIRフィルタの
    タップ利得を保持する第1のタップ利得保持手段と、 このタップ利得保持手段によってタップ利得を保持され
    たFIRフィルタに入力波形メモリの内容を入力して得ら
    れる当該FIRフィルタ出力を一時記憶する出力波形メモ
    リと、 この出力波形メモリに記憶されるFIRフィルタ出力と基
    準波形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得
    のコンボリューションを差し引いたものの総体の所定区
    間の2乗和を最小化するようにIIRフィルタタップ利得
    を決定する第2の演算手段と、 前記第2の演算手段の演算結果に従ってIIRフィルタの
    タップ利得を保持する第2のタップ利得保持手段と、 を備えたことを特徴とするゴーストキャンセラ。
  2. 【請求項2】近接ゴースト消去に対応すべく設けられる
    FIRフィルタと、 このFIRフィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対
    応すべく設けられるIIRフィルタと、 受信信号中の基準波形部を取り込み一時記憶する入力波
    形メモリと、 この入力波形メモリの内容を入力したとき得られるはず
    のFIRフィルタ出力と理想基準波形との差である誤差波
    形についての、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁
    をタップ存在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和
    を最小化するように、FIRフィルタのタップ利得を前記
    入力波形メモリの内容に基づいて計算する第1の演算手
    段と、 この第1の演算手段の演算結果に従ってFIRフィルタの
    タップ利得を保持する第1のタップ利得保持手段と、 このタップ利得保持手段によってタップ利得を保持され
    た前記FIRフィルタに受信信号を入力して得られる前記F
    IRフィルタの出力中の基準波形部を取り込み一時記憶す
    る出力波形メモリと、 この出力波形メモリに記憶されるFIRフィルタ出力と基
    準波形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得
    のコンボリューションを差し引いたものの総体の所定区
    間の2乗和を最小化するようにIIRフィルタタップ利得
    を決定する第2の演算手段と、 この第2の演算手段の演算結果に従ってIIRフィルタの
    タップ利得を保持する第2のタップ利得保持手段と、 を備えたことを特徴とするゴーストキャンセラ。
  3. 【請求項3】近接ゴースト消去に対応すべく設けられる
    FIRフィルタと、 このFIRフィルタと縦続接続され遠隔ゴースト消去に対
    応すべく設けられるIIRフィルタと、 受信信号中の基準波形部を取り込み一時記憶する入力波
    形メモリと、 この入力波形メモリの内容を入力したとき得られるはず
    のFIRフィルタ出力と理想基準波形との差である誤差波
    形についての、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁
    をタップ存在範囲と同程度にとった時間区間内の2乗和
    を最小化するように、FIRフィルタのタップ利得を前記
    入力波形メモリの内容に基づいて計算する第1の演算手
    段と、 この第1の演算手段の演算結果をそのタップ利得とする
    FIRフィルタに、前記入力波形メモリの内容を入力した
    ときに得られるはずの出力波形を、前記第1の演算手段
    の演算結果と前記入力波形メモリの内容とに基づいて計
    算する第3の演算手段と、 この第3の演算手段の演算結果を一時記憶する出力波形
    メモリと、 この出力波形メモリに記憶されるFIRフィルタ出力と基
    準波形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得
    のコンボリューションを差し引いたものの総体の所定区
    間の2乗和を最小化するようにIIRフィルタタップ利得
    を決定する第2の演算手段と、 前記第1の演算手段の演算結果に従ってFIRフィルタの
    タップ利得を保持する第1のタップ利得保持手段と、 前記第2の演算手段の演算結果に従ってIIRフィルタの
    タップ利得を保持する第2のタップ利得保持手段と、 を備えたことを特徴とするゴーストキャンセラ。
  4. 【請求項4】近接ゴースト消去に対応すべく設けられタ
    ップ利得が受信信号に含まれる基準波形部に基づいて決
    定されるFIRフィルタと、 このFIRフィルタに縦続にかつ遠隔ゴースト消去に対応
    すべく設けられてタップ利得が前記FIRフィルタのタッ
    プ利得を受信信号に含まれる基準波形部に基づいて設定
    したときに得られるべき出力中の基準波形部に基づいて
    決定されるIIRフィルタとを具備し、 前記FIRフィルタのタップ利得を決定するに際しての誤
    差評価基準は、前縁をタップ存在範囲の2倍程度、後縁
    をタップ存在範囲と同程度とする時間区間内の2乗和誤
    差であることを特徴とするゴーストキャンセラ。
  5. 【請求項5】近接ゴースト消去に対応すべく設けられタ
    ップ利得が受信信号に含まれる基準波形部に基づいて決
    定されるFIRフィルタと、 このFIRフィルタに縦続にかつ遠隔ゴースト消去に対応
    すべく設けられてタップ利得が前記FIRフィルタのタッ
    プ利得を受信信号に含まれる基準波形部に基づいて設定
    したときに得られるべき出力中の基準波形部に基づいて
    決定されるIIRフィルタとを備え、 このIIRフィルタのタップ利得は、前記出力波形と基準
    波形との差から、基準波形とIIRフィルタタップ利得と
    のコンボリューションを差し引いたものの総体の所定区
    間の2乗和を最小化するように決定されるものであるこ
    とを特徴とするゴーストキャンセラ。
  6. 【請求項6】前記第2の演算手段で行われる演算は前記
    出力波形メモリの内容と理想基準波形との差である誤差
    波形の所定区間からなる列ベクトルに対し、行列(PtP
    +νI)-1Pt(ただし、Ptは基準波形を第1行とし、こ
    れを右にn回シフトしたものを第n行とする行列、t
    転置、-1は逆行列、Iは単位行列、νは正の微小定数)
    を左から掛ける演算、またはこれと等価な演算であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3に記載のゴーストキャ
    ンセラ。
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