JP2868695B2 - 写真感光材料用ポリエチレンナフタレートフイルム - Google Patents

写真感光材料用ポリエチレンナフタレートフイルム

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JP2868695B2
JP2868695B2 JP125794A JP125794A JP2868695B2 JP 2868695 B2 JP2868695 B2 JP 2868695B2 JP 125794 A JP125794 A JP 125794A JP 125794 A JP125794 A JP 125794A JP 2868695 B2 JP2868695 B2 JP 2868695B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真感光材料用ポリエチ
レンナフタレートフイルムに関し、さらに詳しくは、優
れた透明性、色相、熱安定性および耐巻ぐせカール性を
兼備した写真感光材料用ポリエチレンナフタレートフイ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料の基材フイルムとしては、
従来から、トリアセテートフイルムが広く使用されてき
た。このトリアセテートフイルムは、その製造工程にお
いて有機溶剤を使用することから、安全上、環境上の問
題をかかえている。また、機械的強度、および寸法安定
性に限界がある等の欠点もある。このため、代替素材と
して、ポリエチレンテレフタレートフイルムが一部使用
されるようになったが、巻ぐせカールが強く残留するた
め、現像処理後の取扱性が悪く、その使用範囲が限定さ
れている。
【0003】そこで、特開昭53−146773号、特
開平1−244446号等において、水蒸気透過性の向
上、含水率の向上等を図った改質ポリエチレンテレフタ
レートフイルムが提案されている。これらは、巻ぐせカ
ールの減少の面では効果が認められるものの、吸湿によ
る寸法安定性の悪化、ガラス転移温度の低下によるフイ
ルム端面部の変形増大等の欠点を有しており、代替素材
としては不十分なものであった。
【0004】特に近年、写真感光材料の用途は多様化し
てきており、撮影時のフイルム搬送の高速化、撮影装置
の小型化が進んでおり、写真感光材料用フイルムとして
は、優れた巻ぐせカール解消性と共に、強度、寸法安定
性、薄膜化の適応性等の性能が要求されてきている。こ
れらの要求に対して、トリアセテートフイルムおよび改
質ポリエチレンテレフタレートフイルムとも十分対応で
きず、優れた特性を有する写真感光材料用フイルムが望
まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た透明性、色相、熱安定性および耐巻ぐせカール性を兼
備した写真感光材料用ポリエチレンナフタレートフイル
ムを提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成
分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分と
するポリエチレンナフタレートからなるフイルムであっ
て、該フイルムがマンガン化合物、リン化合物、および
アンチモン化合物に由来するマンガン、リン、およびア
ンチモンの元素を下記式〜を同時に満足する割合で
含有しており、そして該フイルムをヘキサフルオロイソ
プロパノールとクロロホルムとの2:3混合溶媒に10
mg/mlで溶解させたときの400nm波長光の透過
度(T400)が95%/cm以上であり、かつ該透過度
(T400)と420nm波長光の透過度(T420)との差
(ΔT)が3%/cm以下であることを特徴とする写真
感光材料用ポリエチレンナフタレートフイルムによって
達成される。
【0007】
【数2】0.7≦ Mn ≦1.7 ・・・ 0.5≦ Mn/P ≦1.2 ・・・ 0.7≦ Sb ≦2.2 ・・・ (式中、Mnはマンガン元素の酸成分106g当たりの
モル数、Pはリン元素の酸成分106g当たりのモル
数、Sbはアンチモン元素の酸成分106g当たりのモ
ル数を示す。)
【0008】本発明においてポリエチレンナフタレート
とはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチ
レングリコールを主たるグリコール成分とするポリエチ
レンナフタレートである。
【0009】このナフタレンジカルボン酸としては、例
えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等
を挙げることができるが、これらの中でも2,6−ナフ
タレンジカルボン酸が好ましい。主たる酸成分がナフタ
レンジカルボン酸でない場合、例えばフイルムに成形し
たときの巻ぐせカール性が不良となるため、好ましくな
い。
【0010】他の酸成分としては、芳香族ジカルボン酸
(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエタ
ンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン
酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカ
ルボン酸等);脂肪族ジカルボン酸(例えばアジピン
酸、セバシン酸等);脂環族ジカルボン酸(例えばシク
ロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等)等を例示するこ
とができる。これら他の酸成分の割合は、全酸成分当た
り、20モル%以下であることが好ましい。
【0011】ポリエチレンナフタレートフイルムを構成
するエチレングリコール以外のグリコール成分として
は、脂肪族グリコール(例えばトリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコ
ール等のごとき炭素数3〜10のポリメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール等);芳香族ジオール
(例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等);ポリアルキ
レングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)
(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等)などを例示
することができる。これら他のグリコール成分の割合
は、全グリコール成分当たり、20モル%以下であるこ
とが好ましい。
【0012】また、本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒ
ドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸、ω−ヒドロキ
シカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン
酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカル
ボン酸成分の総量に対し20モル%以下で共重合あるい
は結合させることもできる。
【0013】さらに、本発明におけるポリエチレンナフ
タレートには実質的に線状である範囲の量であり、か
つ、本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成分
に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン
酸又はポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸,
ペンタエルスリトール等を共重合させることもできる。
【0014】さらに本発明におけるポリエチレンナフタ
レートには、フイルムの表面平坦性、および熱安定性を
損なわない範囲であれば、例えば滑剤、顔料、染料、酸
化防止剤、光安定剤、遮光剤(例えばシリカ、架橋ポリ
スチレン、テラゾールブルー、イルガノックス、コバル
ト等)の如き添加剤を必要に応じて含有させることもで
きる。
【0015】本発明におけるポリエチレンナフタレート
フイルムは、従来からのポリエステルの製造方法によっ
て製造することができるが、エステル交換法、すなわち
ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとエチ
レングリコールとを反応させて製造するのが好ましく、
この反応においてナフタレンジカルボン酸の低級アルキ
ルエステルの一部(例えば20モル%以下)を他の酸成
分で置換してもよく、またグルコールの一部(例えば2
0モル%以下)を他のグルコール成分で置換してもよ
い。
【0016】かかるナフタレンジカルボン酸の低級アル
キルエステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジ
エチルエステル、ジプロピルエステル等を挙げることが
でき、特にジメチルエステルが好ましい。
【0017】本発明におけるポリエチレンナフタレート
の製造においては、ナフタレンジカルボン酸の低級アル
キルエステルとエチレングリコールとの反応で、まず酸
成分106gに対して、マンガンの元素量が合計0.7
〜1.7モルとなる反応系に可溶なマンガン化合物を添
加し、エステル交換反応を行う。(以下、モルとは酸成
分106g当たりのモル数を示す。)。さらにこの量
は、1.0〜1.5モルであることが好ましい。エステ
ル交換触媒として酸成分に対するマンガン化合物の添加
量が上記の1.7モルを超えると、触媒残渣による析出
粒子の影響でフイルムに成形した場合に表面平坦性が悪
化し、その結果フイルムの透明性が不良となり、好まし
くない。他方、該添加量が0.7モル未満では、エステ
ル交換反応が不充分となるばかりか、その後の重合反応
も遅く、好ましくない。
【0018】次いで、エステル交換反応が実質的に完結
した時に、エステル交換反応触媒の一部を失活させるた
めにリン化合物を添加するが、リン化合物に対するエス
テル交換反応触媒、すなわちマンガン化合物の添加量の
モル比[Mn/P]は0.5〜1.2が好ましい。特に
好ましくは0.6〜1.1の範囲である。このモル比が
0.5に満たない場合にはリン触媒残渣による析出粒子
の影響でフイルムに成形した場合に表面平坦性が悪化
し、他方該モル比が1.2を超える場合には、リン化合
物により失活されないマンガン化合物の活性により、ポ
リエチレンナフタレートの熱安定性が悪化し、フイルム
に成形した場合に色相が不良となり、好ましくない。
【0019】本発明に用いるマンガン化合物は、特に限
定されないが、酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩
等が好ましく、特に酢酸塩、即ち酢酸マンガンが好まし
い。
【0020】その後、反応生成物を重縮合反応させてポ
リマーとするが、前記反応生成物に重縮合反応の主たる
触媒としてアンチモン化合物を添加する。なお、アンチ
モン化合物は、エステル交換反応開始前に添加してもよ
い。ここで、該アンチモン化合物の量はアンチモン元素
量として0.7〜2.2モルの範囲であることが必要で
ある。この添加量が2.2モルを超えると、長時間のフ
イルム成形を行った場合、アンチモン化合物に起因する
析出物がフイルム欠点となり好ましくない。他方、該添
加量が0.7モル未満となると、重縮合反応性に劣り、
生産性不良となり、実質的に好ましくない。
【0021】本発明に用いるアンチモン化合物は、酸化
物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に
酢酸塩、即ち酢酸アンチモンを用いたとき、他の化合物
に比べポリマー中の析出粒子が少なく、フイルム透明性
が向上する。
【0022】また、リン化合物としてはトリメチルホス
フェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチル
ホスフェート、リン酸等が挙げられる。好ましくはトリ
メチルホスフェートであるが、特に限定されるものでは
ない。
【0023】本発明においてポリエチレンナフタレート
フイルムは、該フイルムをヘキサフルオロイソプロパノ
ールとクロロホルムとの2:3混合溶媒に10mg/m
lで溶解させたときの400nm波長光の透過度(T
400)が95%/cm以上であることが必要であり、好
ましくは97%/cm以上である。さらに、この透過度
(T400)と420nm波長光の透過度(T420)との差
(ΔT)が3%/cm以下であることが必要である。
【0024】本発明におけるT400およびΔTは、ポリ
エチレンナフタレートフイルム中の析出粒子、滑剤粒
子、触媒残渣、結晶化物、異物などの外乱、さらにはフ
イルム成形時の熱劣化などに大きく影響される。T400
が95%/cm未満、あるいはΔTが3%/cmを超え
てしまう場合、写真用基材として使用した際、低波長光
における感光状態が不良となり、カラー写真フイルムと
して使用したとき、偏った色調となってしまうため好ま
しくない。
【0025】本発明のポリエチレンナフタレートフイル
ムは、その製造方法によって特に制限されることはな
く、例えば以下の方法で好ましく製造される。
【0026】ポリエチレンナフタレートを融点(Tm:
℃)ないし(Tm+60)℃の温度でフイルム状に押し
出し、急冷して固有粘度0.5dl/g以上(好ましく
は0.5〜0.9dl/g)の未延伸フイルムとし、つ
いで該未延伸フイルムを一軸方向(縦方向又は横方向)
に(Tg−10)〜(Tg+50)℃の温度(但し、T
g:ポリエチレンナフタレートのガラス転移温度)で2
〜5倍の倍率で延伸し、続いて上記延伸方向と直角方向
(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向
となる)にTg(℃)〜(Tg+50)℃の温度で2〜
5倍の倍率で延伸する。その後、さらに熱固定処理を行
うが、この処理は(Tg+60)℃以上(Tg+12
0)℃未満の温度で行うことが好ましい。該熱固定温度
が(Tg+60)℃よりも低い場合、フイルムの結晶化
が不足するため、カール回復性が不良となると同時にフ
イルムが層剥離(デラミ)を起こしやすく、剥離した部
分が白化していまい、さらにはパーフォレーション孔あ
け時の層剥離、金属などとの接触によって生ずる傷の成
長などの問題が起こるため、好ましくない。他方熱固定
温度が(Tg+120)℃よりも高い場合、過度のフイ
ルム結晶化のためにフイルムが白化してしまい、透明性
不良となるため、好ましくない。
【0027】二軸延伸フイルムの厚みは写真感光材料と
しての使用態様によって適宜選択できるが、25〜25
0μm、更には40〜150μmが好ましい。
【0028】本発明のポリエチレンナフタレートフイル
ムには、用途に応じて易滑性を付与することもできる。
易滑性付与の手段としては特に限定されるものではない
が、ポリマーへの不活性粒子の含有、またはフイルムへ
の易滑剤の塗布等が一般的手法として知られており、こ
れらを用いることができる。
【0029】不活性粒子を含有させる方法としては、S
iO2、BaSO4、CaCO3、アルミナシリケート、
架橋有機粒子等をポリマー中に添加する方法、ポリエチ
レンナフタレートの重合時に触媒等を析出させる方法が
あげられる。なお、フイルムの透明性を確保する観点よ
り、外部より添加する場合の粒子は、ポリエチレンナフ
タレートの屈折率に近い屈折率を有するものが好まし
く、例えばBaSO4、アルミナシリケート、架橋有機
粒子(架橋ポリスチレン等)が好ましく挙げられる。
【0030】更には、不活性粒子を含有させる場合、フ
イルムの透明性を得るためには、粒子を実質的に含まな
いポリエチレンナフタレートフイルムの少なくとも片面
の面に不活性粒子を含有した層を薄く積層する方法も好
ましい。この手段としては、例えば複数の押出し機なら
びにフィードブロック、あるいはマルチマニフォールド
ダイによる共押出し法が有効な手段として挙げられる。
【0031】本発明のポリエチレンナフタレートフイル
ムは、優れた透明性、色相、熱安定性および耐巻ぐせカ
ール性を有するため、例えば撮影用フイルム、スチル写
真用ロールフイルム、映画用ロールフイルム、X線用ロ
ールフイルム、製版用フイルム等の幅広い写真用途のベ
ーススフイルムとして利用できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲で実施例
に限定されるものではない。尚、実施例での「部」は重
量部を意味する。また実施例での各特性値の測定は下記
の方法による。
【0033】(1)400nmよび420nm波長光の
透過光強度(T400、T420) ポリエチレンナフタレートフイルム0.25gをヘキサ
フルオロイソプロパノールとクロロホルムとの2:3混
合溶媒に溶解させ、25ml溶液に調製後(10mg/
ml)、島津製作所製自記分光光度計UV−3101P
Cにより400nmおよび420nm波長光の透過度
(T400およびT420、単位=%/cm)を測定する。
【0034】(2)熱安定性 フイルム作製前後のポリマーの固有粘度より下記式を用
いて熱劣化指数を求め、ポリマーの熱安定性評価を行
う。 熱劣化指数=([η0]/[ηx])−1 ただし、 [η0] :フイルム作製前のポリマーの固有粘度 [ηx] :フイルム作製後のポリマーの固有粘度 判定基準 : 熱劣化指数 ≦ 0.05 熱安定性 ○ 0.05 < 〃 ≦ 0.10 〃 △ 0.10 < 〃 〃 ×
【0035】(3)フイルムヘーズ(曇り度) JIS−K6714に準じ、日本精密光学社製、積分球
式HTRメーターにより、フイルムのヘーズを求める。 判断基準: ○ ・・・ ヘーズ2%以下で良好 △ ・・・ ヘーズ2〜5% × ・・・ ヘーズ5%以上で、用途が限定される
【0036】(4)カール回復率 サンプルフイルムを120mm×35mmにカットし、
直径10mmの巻芯に長手方向に巻いた後、80℃で2
時間処理し、その後巻芯から解放する。その後40℃の
蒸留水に15分間浸漬した後、サンプルを長手方向に垂
直に垂らし、5gの荷重下55℃の空気恒温槽で3分間
乾燥する。続いて、荷重を除いてフイルムの上端部と下
端部の距離(A:mm)を求める。カール回復率を下記
の式で表わす。
【0037】
【数3】
【0038】(5)ガラス転移温度 示差熱測定装置(Du Pont製DSC2100型)
を用い、20℃/分の昇温速度でガラス転移ピーク温度
を求める。
【0039】[実施例1]2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステル100部とエチレングリコール6
0部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン4水塩
0.03部(1.23モル)を使用して、常法に従って
エステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート
0.023部(1.64モル)を添加し、実質的にエス
テル交換反応を終了させた。
【0040】更に三酸化アンチモン0.024部(0.
82モル)を添加後、引き続き高温高真空下で常法通り
重縮合反応を行ない、固有粘度(ο−クロロフェノー
ル、35℃)0.62dl/gのポリエチレンナフタレ
ートを得た。
【0041】このポリエチレンナフタレートのペレット
を180℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、
溶融温度300℃で溶融し、この溶融ポリマーを1mm
のスリット状ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ド
ラム上に押出し、未延伸フイルムを得た。このようにし
て得られた未延伸フイルムを120℃に予熱し、更に低
速、高速のロール間で15mm上方より900℃の表面
温度のIRヒーター1本にて加熱して3.0倍に延伸
し、続いてステンターに供給し、140℃にて横方向に
3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フイルムを21
0℃の温度で5秒間熱固定し、厚み75μmのポリエチ
レンナフタレートフイルムを得た。このフイルムの固有
粘度は0.60dl/gであった。
【0042】得られたフイルムを100℃にて2日間熱
処理し、フイルム特性を測定したが、表1に示す通り良
好であった。
【0043】[実施例2]触媒量Mnを0.80モルと
し、Pを1.07モルとする以外は、実施例1と同様に
行った。この場合、実施例1に比してエステル交換反応
時間、および重合反応時間が長くなるが、得られるポリ
エチレンナフタレートの物性に問題はなく、フイルム特
性は表1に示すとおり良好であった。
【0044】[実施例3]触媒量Mnを1.60モルと
し、Pを2.13モルとする以外は、実施例1と同様に
行った。この場合、実施例1に比してT400および透明
性が低下するものの、フイルム特性は表1に示すとお
り、写真フイルム用基材として使用可能であった。
【0045】[実施例4,5]触媒比率を1.10また
は0.58とする以外は、実施例1と同様に行った。こ
の場合、実施例1に比してT400および透明性が低下す
るものの、フイルム特性は表1に示すとおり、写真フイ
ルム用基材として使用可能であった。
【0046】[実施例6,7]三酸化アンチモンを1.
06または0.40モルとする以外は、実施例1と同様
に行った。この場合、実施例1に比して重合反応時間が
長くなるが、フイルム特性は表1に示すとおり、写真フ
イルム用基材として使用可能であった。
【0047】[実施例8]重合触媒として酢酸アンチモ
ンを用いる以外は、実施例1と同様に行ってフイルムを
得た。フイルムの各特性は表1に示すとおり、いずれも
良好であり、特にフイルム色相、および透明性について
改良効果が確認された。
【0048】[実施例9]二軸配向フイルムの熱固定温
度を190℃とする以外は、実施例2と同様に行ってフ
イルムを得た。フイルムの各特性は表1に示すとおり、
いずれも良好であり、実施例2に比してさらにフイルム
色相、および透明性について改良効果が確認された。
【0049】[実施例10]ポリエチレンナフタレート
の固有粘度を0.52dl/gとする以外は、実施例3
と同様に行い固有粘度0.50dl/gのフイルムを得
た。このフイルムはカール回復性が若干劣るものの、写
真フイルム用基材として使用可能であった。フイルムの
各特性を表1に示す。
【0050】[実施例11]2,6−ナフタレンジカル
ボン酸100部とエチレングリコール50部を、酢酸マ
ンガン4水塩0.02部(0.82モル)を用いて、加
圧下直接エステル化反応させ、トリメチルフォスフェー
ト0.015部(1.09モル)を添加し、さらに三酸
化アンチモン0.024部を添加後、引き続き高温高真
空下で重縮合反応を行ない、固有粘度(ο−クロロフェ
ノール、35℃)0.62dl/gのポリエチレンナフ
タレートを得た。その後、実施例1と同様に行ったが、
得られたフイルムの各特性は表1に示すとおり、実施例
1とほぼ同等の良好な特性を示した。
【0051】[比較例1]触媒量Mnを1.84モルと
する以外は、実施例9と同様に行った。触媒比率Mn/
Pを0.75としているため、ポリエチレンナフタレー
トの熱安定性については使用可能範囲であるが、過剰な
マンガン化合物により、フイルムとした場合の透明性が
不良であった。フイルム特性を表1に示す。
【0052】[比較例2]触媒量Mnを0.65モルと
する以外は、実施例9と同様に行った。この場合、エス
テル交換反応が不良となるため、重合工程においても固
有粘度が上昇せず、フイルムとした場合のカール回復性
が損なわれ、写真感光材料用フイルムとしの要求特性を
満足することができなかった。フイルム特性を表1に示
す。
【0053】[比較例3]触媒比率Mn/Pを0.49
とする以外は、実施例9と同様に行った。過剰なリン化
合物の添加により、ポリエチレンナフタレートの熱安定
性が悪化し、T40 0が低下してしまい、またフイルムと
した場合の透明性も不良であった。フイルム特性を表1
に示す。
【0054】[比較例4]触媒比率Mn/Pを1.23
とする以外は、実施例9と同様に行った。リン化合物に
より失活されていないマンガン化合物により、ポリエチ
レンナフタレートの熱安定性が悪化し、比較例3と同様
400が低下してしまい、フイルムとした場合の透明性
も不良であった。フイルム特性を表1に示す。
【0055】[比較例5]二軸配向フイルムの熱固定温
度を250℃とする以外は、実施例9と同様に行ってフ
イルムを得た。得られたフイルムの特性は表1に示すと
おり、T400、ΔT、およびフイルム透明性が不良であ
った。
【0056】[比較例6]二軸配向フイルムの熱固定温
度を170℃とする以外は、実施例9と同様に行ってフ
イルムを得た。この場合比較例5に比してT400、Δ
T、およびフイルム透明性は良好となるが、カール回復
性が不良となり、写真感光材料用フイルムとしての要求
特性を満足することができなかった。
【0057】[比較例7]酢酸アンチモンを2.30モ
ルとする以外は、実施例9と同様に行ってフイルムを得
た。フイルムは熱安定性が不良であり、T400は低下
し、写真感光材料用フイルムとしの要求特性を満足する
ことができなかった。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、優れた色相、透明性、
熱安定性、および耐巻ぐせカール性を兼備した写真感光
材料用フイルムとして有用なポリエチレンナフタレート
フイルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/795 G03C 1/81 G08G 63/189

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分
    とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分とす
    るポリエチレンナフタレートからなるフイルムであっ
    て、該フイルムがマンガン化合物、リン化合物、および
    アンチモン化合物に由来するマンガン、リン、およびア
    ンチモンの元素を下記式〜を同時に満足する割合で
    含有しており、そして該フイルムをヘキサフルオロイソ
    プロパノールとクロロホルムとの2:3混合溶媒に10
    mg/mlで溶解させたときの400nm波長光の透過
    度(T400)が95%/cm以上であり、かつ該透過度
    (T400)と420nm波長光の透過度(T420)との差
    (ΔT)が3%/cm以下であることを特徴とする写真
    感光材料用ポリエチレンナフタレートフィルム。 【数1】0.7≦ Mn ≦1.7 ・・・ 0.5≦ Mn/P ≦1.2 ・・・ 0.7≦ Sb ≦2.2 ・・・ (式中、Mnはマンガン元素の酸成分106g当たりの
    モル数、Pはリン元素の酸成分106g当たりのモル
    数、Sbはアンチモン元素の酸成分106g当たりのモ
    ル数を示す。)
  2. 【請求項2】 ポリエチレンナフタレートがエステル交
    換法で製造されたポリエチレン−2,6−ナフタレート
    である請求項1記載の写真感光材料用ポリエチレンナフ
    タレートフイルム。
  3. 【請求項3】 アンチモン化合物が酢酸アンチモンであ
    る請求項1記載の写真感光材料用ポリエチレンナフタレ
    ートフイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエチレンナフタレートフィルムが二
    軸延伸後の熱固定を(Tg+60)℃以上(Tg+12
    0)℃未満(ただし、Tgはポリエチレンナフタレート
    のガラス転移温度(℃)である)の温度で行なったフイ
    ルムである請求項1記載の写真感光材料用ポリエチレン
    ナフタレートフィルム。
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