JP2865776B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は冷媒を圧縮するスクロール圧縮機に係り、特
に、旋回スクロールを固定スクロールにガス圧力で密着
保持する中間圧方式において、運転圧力比の大きい場合
の中間圧力の制御装置に関する。
〔従来の技術〕
スクロール圧縮機の旋回スクロールを固定スクロール
に押し付ける構造は特開昭53−119412号公報に記載のよ
うに、固定スクロールと旋回スクロールから形成される
圧縮密閉室と旋回スクロールの背面とフレームより形成
される背圧室を旋回スクロールの台板に設けた背圧孔に
よつて連通して、背圧室の圧力を吸入圧力と吐出圧力の
中間の圧力にしていた。
また、背圧室の圧力を制御する従来の構造は特開昭57
−76291号公報に記載されているように、背圧室と吸入
部とを電磁弁を介して連通して吐出側に設けた圧力スイ
ツチによつて開閉して、特に、起動時には背圧室の圧力
を吸入圧力となるように制御していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術の前者における背圧室の圧力は旋回スク
ロールの台板に設けた背圧孔の位置と吸入圧力によつて
ほぼ決つてしまい、吐出圧力には関係ないため、吐出圧
力が大きい場合、旋回スクロールを固定スクロールに押
し付ける力よりも旋回スクロールを固定スクロールから
離そうとする力が大きくなつてしまい、旋回スクロール
が固定スクロールから離れてしまい圧縮不良を生じる問
題があつた。
また、従来技術の後者では、背圧室の圧力を、起動
時、あるいは、吐出圧力が大きい時に下げるために、背
圧室と吸入側を電磁弁を介して連通して圧縮量を減らし
ているが、吸入圧力が小さい時に、旋回スクロールを固
定スクロールに密着させる手段は設けられておらず、従
来技術の前者と同様に、圧縮を十分行なう必要がある時
に旋回スクロールが固定スクロールから離れてしまい圧
縮不良を生じる問題があつた。
本発明の目的は、旋回スクロールを固定スクロールに
適度に押し付けて、背圧室の圧力不足による旋回,固定
スクロールの密着不足による圧縮不良を防ぎ、吸入およ
び吐出圧力範囲が大きな、すなわち、運転圧力範囲の広
いスクロール圧縮機を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は旋回スクロール
の台板に旋回,固定両スクロールによつて形成される密
閉空間と旋回スクロールの背圧室とを連絡する連絡孔を
設けて、背圧室の圧力を吸入圧力と吐出圧力の中間圧力
を付加すると同時に、背面室と吐出圧力部を電磁弁およ
び抵抗手段を介在した経路で連絡し、背圧室の圧力が必
要圧力以下の状態では電磁弁を開き、吐出圧力状態の
油、あるいは、ガスを抵抗体を介して背圧室に導き、旋
回スクロールを固定スクロールに密着させるようにした
ものである。
〔作用〕
圧縮機の吸入パイプ,吐出パイプのいずれか、あるい
は、両者には圧力を感知する圧力センサが設けられてい
る。
背圧室と吐出圧力部は、電磁弁と抵抗手段を介在した
経路で接続されている。
圧力センサによつて感知された圧力より、背圧室内の
圧力を演算する。この圧力が旋回スクロールを押し上げ
るために必要な圧力より低い時、電磁弁を開け、吐出圧
力部の冷媒ガスの一部を背圧室内に流入させることによ
り、背圧室内の圧力を、上昇させる。
〔実施例〕 以下、本発明の一実施例を第1図により説明する。第
1図は本発明を実施した密閉形スクロール圧縮機の全体
構造断面図である。
第1図においては、密閉容器1内の上方には、圧縮機
構部2が、下方には電動機3がそれぞれ配設され、ま
た、密閉容器1の底部には、潤滑の油溜り4が形成され
ている。圧縮機構部2は台板上にうず巻き状のラツプ5a
をもつ固定スロール5と、同じく台板上にうず巻き状の
ラツプ6aをもつ旋回スクロール6のラツプ同士を組み合
わせた構成となつている。また、旋回スクロール6とフ
レーム7との間には、旋回スクロール6の自転を防止す
るオルダム機構8が設けられている、電動機3は、密閉
容器1に圧入締結され、クランク軸9を介して旋回スク
ロール6を旋回運動させるようになつている。クラクン
軸9はフレーム7に設けられた主軸受10と下部軸受11と
で支持され、そのクランクピンは、旋回スクロール背面
に設けた旋回軸受12に嵌合されている。
クランク軸9内には主軸受10,下部軸受11及び旋回軸
受12へ潤滑油を導く給油通路13が設けられ、かつ、クラ
ンク軸9の軸端には油溜り4の潤滑油を吸い上げて、給
油通路13へ送り込む給油装置が設けられている。
次に、動作について説明する。電動機3よりクランク
軸9を介して旋回スクロール6が旋回運動すると、吸入
パイプ14より吸入管15を通つて吸入された冷媒ガスは、
固定スクロール5と旋回スクロール6との作用で圧縮さ
れる。この時、圧縮過程中の冷媒ガスの一部が背圧孔16
を通り、背圧室17に流入する。このため、背圧室の圧力
は吸入圧力と吐出圧力の中間の圧力となり、旋回スクロ
ール6を固定スクロール5に押し付ける。
圧縮された冷媒ガスは固定スクロール5の上部中心に
ある吐出孔18より吐出し、フレーム7の外周部に設けら
れた軸方向(上下方向)の溝で構成された通路19を通過
し、電動機3を冷却し、吐出管20を経て吐出パイプ21に
流出する。
吸入パイプ14及び吐出パイプ21には、おのおのの圧力
(吸入圧力,吐出圧力)を電流又は電圧に変換する圧力
素子である吸入センサ22及び吐出センサ23があり、集積
回路24と電送線25によつて電気的に接続されている。
集積回路24では、吸入センサ22及び吐出センサ23より
送られた電気的信号より、それらの吸入圧力及び吐出圧
力に対する、背圧室17内の最適圧力を演算する。一方、
集積回路24は吸入圧力及び吐出圧力及び、背圧孔16の位
置等により、背圧室17内の実際の圧力を演算する。
一方、背圧室17と吐出パイプ21を接続するバイパス管
27があり、そのバイパス管27には、流体力学的抵抗手段
(本実施例ではキヤピラリ管28)及び電磁弁26が設けら
れている。
集積回路24が演算した実際の圧力が最適圧力より、あ
る一定レベル以上に低くなつた時、集積回路24は、電磁
弁26を開け、吐出パイプ21と背圧室17を連通させる。
それによつて、吐出パイプ21内の冷媒ガスの一部が背
圧室17内に流入する。
このため、背圧室17内の圧力は、キヤピラリ28の長さ
及び内径に見合つた圧力上昇を生じ、最適圧力に近づ
き、旋回スクロール6に対する、スクロール内の圧縮過
程中のガスの押し下げ力と、背圧室17内のガスによる押
し上げ力が釣り合い、旋回スクロール6が固定スクロー
ル5より離脱することなく運転される。
また、第2図は他の実施例を示すものである。なお、
29は圧縮機を示す。
本実施例では、圧力センサを吸入圧力側のみに設けた
ものである(吸入センサ22)。
背圧室17内の圧力はスクロール内の圧縮過程中の冷媒
ガスを背圧孔16より流入させることによつて発生させる
ため、吸入圧力、及び、背圧孔16の位置によつて、ほ
ぼ、決定される。
さて、本実施例では、吸入センサ22より感知した吸入
圧力がある一定値より低い時、すなわち、背圧室17が低
い時、電磁弁26を開くことによつて、背圧室17内の圧力
を上昇させるものである。
これは吐出圧力が大きく変化しない場合には、前述の
実施例と同様の効果がある。
第3図は他の実施例を示すものである。
本実施例では、圧力センサを吐出圧力側に設けたもの
である。
吐出センサ23より感知した圧力がある一定値より高い
時、すなわち、スクロール内のガスが旋回スクロール6
を押し下げる力が大きい時、電磁弁を開くことにより、
背圧室17内の圧力を上昇させる。
これは吸入圧力が大きく変化しない場合、すなわち、
背圧室17内の圧力が大きく変化しない場合、前述の実施
例と同様の効果がある。
第4図は、他の実施例を示すものである。
本実施例では、バイパス管27によつて背圧室17と油溜
り4を接続したもので、背圧室17内の圧力制御時、油溜
り4の高圧の油を背圧室17内に流入させることによつて
背圧室17内の圧力を上昇させるものである。
これによつて、実施例と比較して冷媒ガスを膨張させ
ないため、効率のよい運転が可能となり、かつ、実施例
と同様の効果がある。
〔発明の効果〕
本発明によれば、密閉形スクロール圧縮機で、背圧室
内の圧力を制御することが可能となり、背圧室内の圧力
不足による、旋回スクロールと固定スクロールの密着不
足による圧縮不良を防ぎ、吸入圧力、及び、吐出圧力範
囲の大きな、すなわち、運転範囲の広いスクロール圧縮
機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の系統図、第2図は本発明の
第二の実施例の系統図、第3図は本発明の第三の実施例
の系統図、第4図は本発明の第四の実施例の系統図であ
る。 1…密閉容器、2…圧縮機構部、3…電動機、4…油溜
り、5…固定スクロール、6…旋回スクロール、7…フ
レーム、8…オルダムリング、9…クランク軸、10…主
軸受、11…下軸受、12…旋回軸受、13…給油通路、14…
吸入パイプ、15…吸入管、16…背圧孔、17…背圧室、18
…吐出孔、19…通路、20…吐出管、21…吐出パイプ、22
…吐入センサ、23…吐出センサ、24…集積回路、25…電
送線、26…電磁弁、27…バイパス管、28…キヤピラリ
管、29…圧縮機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−101688(JP,A) 特開 昭57−76290(JP,A) 特開 昭64−381(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 18/02 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】台板にうず巻状のラップを直立した旋回ス
    クロールと、前記ラツブに対応するうず巻状のラツプを
    直立した固定スクロールを互いに噛合せ、前記旋回スク
    ロールの自転を防止し、旋回運動をする手段を設け、前
    記旋回スクロールの台板に前記両スクロールによって形
    成される密閉空間と前記旋回スクロールの背圧室とを連
    絡する連絡孔を設けて、背圧室の圧力を吸入圧力と吐出
    圧力との中間圧力を付加し乍ら、前記旋回スクロールを
    旋回運動させて冷媒ガスを吸入圧縮する圧縮機におい
    て、 前記背圧室と吐出圧力部とを電磁弁および抵抗手段を介
    在した経路で連絡し、ある所定の吸入圧力,吐出圧力の
    いずれかあるいは両者を感知して前記背圧室の圧力が必
    要圧力以下の状態では前記電磁弁を開く制御手段を設け
    たことを特徴とするスクロール圧縮機。
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