JP2864285B2 - 乳酸桿菌―大腸菌用複合シャトルベクター及びそれで形質転換された宿主微生物 - Google Patents

乳酸桿菌―大腸菌用複合シャトルベクター及びそれで形質転換された宿主微生物

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、大腸菌の乳酸桿菌との異種細胞中でも自律
増殖が可能であり、β−ガラクトシダーゼを唯一のマー
カーとして選択することができる新規な乳酸桿菌−大腸
菌用複合シャトルベクター及びそれによって形質転換さ
れて宿主微生物に関する。
従来の技術 微生物の組換えDNA技術は、大腸菌や枯草菌を中心に
発展してきた。乳酸菌においては、乳酸球菌の組換えDN
A技術は、宿主ベクター系の確立から異種遺伝子の発現
とかなりの進歩をとげているが、乳酸桿菌に関しては形
質転換法等の確立が難行し、他の菌種に比べかなりの遅
れをとっていた。
しかし、近年、形質転換に電気パルス法を導入するこ
とにより、ほとんど不可能であった乳酸桿菌への形質転
換も、その成功例が報告されるようになり、いくつかの
宿主ヘクター系も確立されるようになった。
この乳酸桿菌の宿主ベクター系では、選択マーカーと
して、エリスロマイシン耐性がよく用いられ、エンテロ
コッカシ フェカリス(Enterococcus faecalis)由来
のエリスロマイシン耐性遺伝子がそのベクター上に組込
まれている宿主ベクター系が主流をなしている。この系
では、形質転換体は、抗生物質エリスロマイシンを含む
培地上で効果的に選択される。
乳酸桿菌は、発酵乳製造に用いられる菌であり、古く
からその食品用微生物としての安全性が確認されている
菌種である。したがって、本菌が組換えDNA技術によっ
て、育種改良され、また、発現ベクターの開発により、
有用な異種遺伝子を発現させ、乳酸桿菌による物質生産
が可能になるならば、食用としてその安全性が保障され
ている菌種だけに期待されるところは大きい。
ところが、前述のエリスロマイシン耐性を選択マーカ
ーとする宿主ベクター系は、実験室レベルにおいては効
果的な系ではあるが、これをそのまま食品製造に導入す
ることはできない。この系では、形質転換体のマーカー
として抗生物質エリスロマイシンを用いるため、これを
食品製造に利用すれば、形質転換体の選択および安定的
な維持のために、食品中に大量の抗生物質を投入するこ
とを余儀なくされるからである。
よって、抗生物質耐性マーカーに頼らない、食品製造
に用いても安全な選択マーカーを持つ宿主ベクター系の
開発が必要となるが、乳酸桿菌において、食品製造に利
用可能な宿主ベクター系が開発された例は知られていな
い。
発明が解決しようとする課題 本発明は、このような抗生物質耐性マーカーに頼ら
ず、食品製造に用いても安全な選択マーカーをもつ宿主
ベクターの開発を目的としてなされたものである。
乳酸桿菌は、主に発酵乳製造に用いられ、その場合、
培地は牛乳である。牛乳には、糖源として乳糖のみが含
まれている。ところが、乳酸桿菌は、そのエネルギー源
を乳糖に頼っているため、乳糖非資化性の乳酸桿菌は、
牛乳中で生育することはできない。そこで、その乳糖非
資化性の乳酸桿菌(β−ガラクトシダーゼ欠損株)を宿
主とし、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を備えたプラスミ
ドをベクターにすることによって、β−ガラクトシダー
ゼ、すなわち、乳糖資化性を選択マーカーとする食品製
造に利用可能な宿主ベクター系を開発しようとするもの
である。
課題を解決するための手段 本発明者らは、このような宿主ベクター系の開発につ
いて鋭意努力したところ、ラクトバチルス ヘルベティ
カス(Lactobacillus helveticus)のプラスミドpLJ1由
来の複数開始領域(ori)、大腸菌(Escherichia col
i)のプラスミドpBR329由来の複製開始領域(ori)およ
びラクトバチルス ブルガリカス(Lactobacillus bulg
aricus)由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を連結させ
た乳酸桿菌−大腸菌用複合シャトルベクターpBG9を構築
することによって抗生物質耐性マーカーに頼らず、食品
製造に用いても安全な選択マーカーをもつ宿主ベクター
系を確立した。
また、さらにpBG9のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の上
流に、エンテロコッカス フェカリス(Enterococcus f
aecalis)のプラスミドpAM β1由来のエリスロマイシ
ン耐性遺伝子のプロモーターから開始コドンATGまでを
含む領域を組込むことにより、本シャトルベクターを発
現ベクターとして利用できるようにするとともに、エリ
スロマイシン耐性遺伝子のプロモーターからの通し読み
(read through)により、選択マーカーであるβ−ガラ
クトシダーゼ遺伝子がさらに強く発現できるようにし
た。開始コドンATGの部分には、発現させるべき異種遺
伝子が挿入できるよう適当な制限酵素切断部位、例えば
制限酵素Sac I切断部位、制限酵素Aat II切断部位ある
いは制限酵素Sph I切断部位等を設け、さらに異種遺伝
子が挿入されていないときは、開始コドンATGから不要
なタンパク質が生産されぬよう、上記制制限酵素切断部
位の下流に停止コドンを設けることによって複合シャト
ルベクターを構築することにより、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上記のようにして構築された乳
酸桿菌−大腸菌用複合シャトルベクター及びこのベクタ
ーで形質転換された微生物に関する。
本発明における、食品製造に利用可能な乳酸桿菌−大
腸菌用複合シャトルベクターは次のようにして構築され
る。
ラクトバチルス ヘルベティカスのプラスミドpLJ1の
複製開始領域は、pLJ1上に存在する制限酵素切断部位を
利用して検索することにより取り出す。
大腸菌のプラスミドpBR329の複製開始領域は、pBR329
上に存在する制限酵素切断部位を利用し、さらにエクソ
ヌクレアーゼを用いて抗生物質耐性遺伝子部分を完全に
除去することによって取り出す。
また、エリスロマイシン耐性遺伝子の、プロモーター
から開始コドンATGまでの部分については、本遺伝子を
大腸菌用プラスミドベクターpUC18のマルチクローニン
グ部位に挿入し、これを鋳型(template)とするPCR(p
olymerase chain reaction)法によってATGの部分に異
種遺伝子挿入のための制限酵素切断部位、さらにその下
流に停止コドンを新設した形で合成する。
さらに、ラクトバチルス ブルガリカスの染色体のDN
Aからβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の断片を取り出す。
このようにして得られたpLJ1,pBR329の複製開始領域
とエリスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターから停止
コドンまでの領域、さらにラクトバチルス ブルガリカ
ス由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の各遺伝子断片
を、リンカーを用いてその両端に適当な制限酵素切断部
位に改造する等してこれらを連結して複合シャトルベク
ターを構築する。
このベクターの構築やその増幅の際に宿主として用い
る乳糖非資化性大腸菌には、市販されているEscherichi
a coli JM105や同NM522が用いられる。
また、乳糖非資化性宿主乳酸桿菌は、pLJ1を保持しな
いラクトバチルス ヘルベティカスをニトロソグアニジ
ン(NTG)処理することによって取得し、これを、本発
明のベクターによって形質転換する。
本発明によって得られる複合シャトルベクターによっ
て形質転換された微生物は、このベクターを保持する形
質転換体のみが乳糖を資化できるため牛乳中で生育する
ことが可能となり、また、生育途中でベクターを脱落等
により失った菌は乳糖非資化性となるため、この系から
排除される。このようにして、牛乳の何も添加すること
なく、牛乳そのままの状態で形質転換体の選択およびそ
の安定的な維持を可能にすることができるものである。
また、ある宿主微生物において、異種遺伝子を効率よ
く発現させるためには転写開始に必要なプロモーターの
存在やそのプロモーター活性の強弱、さらには、開始コ
ドンATGの上流にあるSD配列の塩基配列や開始コドンATG
までの距離などが重要な役割を果たす。本発明の宿主ベ
クター系に用いられている宿主乳酸桿菌ラクトバチルス
ヘルベティカスにおいては、エンテロコッカス フェ
カリスのプラスミドpAMβ1由来のエリスロマイシン耐
性遺伝子が効率良く発現することがわかっている。よっ
て、エリスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターから開
始コドンATGまでの部分を利用すれば、宿主乳酸桿菌に
おいて異種遺伝子を効率よく発現させることが可能とな
る。すなわち、プロモーター活性の弱い異種遺伝子につ
いては、これを開始コドンATGの下流にそのまま連結す
ることにより、さらにプロモーター活性だけでなくSD配
列にも問題のある異種遺伝子については、この異種遺伝
子中のタンパク質をコードしている構造遺伝子の開始コ
ドンATGより下流の部分を、エリスロマイシン耐性遺伝
子の開始コドンATGの下流に連結することによって、効
率よく発現することが可能になるのである。また、プロ
モーターやSD配列に問題がなく、宿主乳酸桿菌において
十分な発現が得られる異種遺伝子については、その他の
クローニング部位が利用できる。
したがって、本発明は、乳糖非資化性宿主乳酸桿菌に
おいて、食品製造に利用可能であり、しかも有用な異種
遺伝子の発現を可能にする乳酸桿菌−大腸菌用複合シャ
トルベクターを提供することができる。
次に、本発明を実施例を挙げて説明する(第2図参
照)。
(1) ラクトバチルス ヘルベティカスのプラスミド
pLJ1の複製開始領域(ora)の取得。
pLJ1上には、多数の制限酵素切断部位が存在する。こ
の切断部位を利用して、pLJ1のori部分を検索した結
果、Ava II−Hind III断片上に存在することがわかっ
た。この断片を、リンカーを用いてBamH I−Pst I断片
に改造した。
(2) 大腸菌用ベクターpBR329の複製開始領域(or
i)の取得。
pBR329のori部分については、Ava I−Pst I間に存在
することがわかっている。しかし、このAva I−Pst I間
には、抗生物質アンピシリン耐性遺伝子の後半部分が存
在する。食品製造に利用されるベクター上に抗生物質耐
性遺伝子部分がコードされているのは、好ましくないこ
とであるため、Pst I切断点よりエクソヌクレアーゼBal
31を用いて、アンピシリン耐性遺伝子を完全に除去し
た。除去した後、リンカーを用いて再びPst I部位に改
造し、さらにAva I部位をsal I部位に改造することによ
って、ori部分をsal I−Pst I断片の形で取り出せるよ
うにした。
(3) エリスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターか
ら開始コドンATGまでの部分の取得。
エリスロマイシン耐性遺伝子は、約1kbの大きさのDde
I断片の形でpAMβ1より切出せる。このDde I断片の両
端を、Klenow酵素を用いて平滑端末とし、Xba I切断後
に同様にして平滑末端化した大腸菌用ベクターpUC18へ
挿入した。挿入方向がpUC18のマルチクローニング部位
に対し、図のようになっているものを選択した。PCR法
による合成は、pUC18のマルチクローニング部位のSal I
部位よりエリスロマイシン耐性遺伝子の開始コドン、さ
らにこれに続く新設の制限酵素切断部位、停止コドンま
でとした。PCR法用プライマーとしては、Sal I部位から
のものについては配列通りとし、開始コドンからのもの
については、発現ベクターとして利用できるよう開始コ
ドンATGの下流に制限酵素Sac I切断部位を付加し、さら
にその下流に停止コドンTAAを開始コドンATGと同じ読み
枠になるよう付加した形で作製した。すなわちATGのG
と、Sac I部位(GAGCTC)の最初のGとを重複させて作
製することにより、このSac I部位を制限酵素Sac Iで切
断した後、Klenow酵素で処理すると、その末端を開始コ
ドンATGの形で残すことができるようにしたのである。
こうすることによって、プロモーター活性が弱いという
だけでなく、SD配列についても問題のある異種遺伝子に
ついては、このATGの下流に、その構造遺伝子のATGより
下流の部分を連結させることにより、これを発現させる
ことを可能にすることができた。
そして、プロモーター活性が弱いというだけで、SD配
列には問題のない異種遺伝子については、これをそのま
ま、エリスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターと同じ
方向になるようSac I部位に挿入すればよいのである。
また、Sac I部位に異種遺伝子が挿入されていない場
合は、開始コドンATGからのペプチド合成はSac I部位の
下流に設けられた停止コドンTAAで止められる為、宿主
菌は不要タンパク生産による悪影響を受けることはな
い。
前述の2種のプライマーを用いて、PCR法により、エ
リスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターから開始コド
ンATG、さらにSac I部位、停止コドンTAAまでを含むDNA
断片を合成した。
(4) ラクトバチルス ブルガリカス由来のβ−ガラ
クトシダーゼ遺伝子の取得。
ラクトバチルス ブルガリカスの染色体DNAを制限酵
素Sal Iで切断し、β−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むD
NA断片をpBR329のSal I部位に組込んだプラスミドをpBG
1とした(特願平2−5878号)。
このpBG1に組込まれたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を
含む挿入断片のうち、本遺伝子の下流の本遺伝子をコー
ドしていない部分(Sma I−Sal I部分)を除去したプラ
スミドをpBG3とした。
(5) 複合シャトルベクターの構築 前項(4)で得られたpBG3のクロラムフェニコール耐
性遺伝子(Cmr),アンピシリン耐性遺伝子(Ampr),
および複製開始領域(ori)を含む、BamH I部位からSal
I部位までの部分を、前項(1)(2)で得られたpLJ1
およびpBR329の複製開始領域で置き換えたプラスミドを
pBG9とした。
このpBG9をSal Iで切断し、Klenow酵素で処理した
後、この部位に、前項(3)で得られたエリスロマイシ
ン耐性遺伝子のプロモーターから停止コドンTAAまでを
含む断片を挿入した。エリスロマイシン耐性遺伝子のプ
ロモーターの方向が、pBG9中のβ−ガラクトシダーゼ遺
伝子の方向と同じ方向に挿入されているプラスミドを選
択し、これをpBG10とした。pBG10上のBamH I、Pst Iお
よびSal I部位は、クローニング部位として利用でき、
また、Sac I部位は発現ベクター用のクローニング部位
として利用できる。
(6) 乳糖非資化性宿主乳酸桿菌ラクトバチルス ヘ
ルベティカスSBT2195株の取得 乳糖資化性をもつ野性型のラクトバチルス ヘルベテ
ィカスを、リン酸緩衝液中で300μg/mlのニトロソグア
ニジン(NTG)で37℃ 30分間処理することにより、乳
糖非資化性株を得た。
NTG処理後の菌体を、MRS培地(DIFCO社製)で培養
し、生残した菌を、MRS培地およびlac tose−MRS培地
(MRS培地中のブドウ糖を乳糖に置き換えたもの)にレ
プリカした。MRS培地で生育し、lactose−MRS培地で生
育しない菌株を、乳糖非資化生株とした。
このようにして得られた乳糖非資化生株を継代培養
し、乳糖非資化生の性質が安定している株を選択して、
これをラクトバチルス ヘルベティカスSBT2195株と命
名し、宿主乳酸桿菌として用いた。
SBT2195株は、乳糖非資化生である点で親株の乳酸桿
菌と相違するが、その他の菌学的性質、たとえば乳酸を
およそ90%生成すること、グラム溶性であること、通性
兼気性桿菌であること、カタラーゼ(−)であること、
乳酸施光性がDL型であること等は親株の乳酸桿菌と同じ
であった。
ラクトバチルス ヘルベティカスSBT2195株は微工研
に寄託番号第11538号として寄託している。
発明の効果 本発明の乳酸桿菌−大腸菌用複合シャトルベクター
は、大腸菌と乳酸桿菌の異種細胞中でも自律増殖が可能
であり、また乳糖非資化性宿主微生物と組合せることに
よって乳糖を糖源とした培地でこの形質転換体を選択す
ることができる。
すなわち、大腸菌E.coli JM105または大腸菌E.coli N
M522に形質転換すると、形質転換体は乳糖を糖源とする
M9最小培地で選択可能であった。また、乳糖非資化宿主
乳酸桿菌ラクトバチルス ヘルベティカスSBT2195株に
形質転換すると、形質転換体は脱脂乳培地で選択可能で
あった。
本発明の複合シャトルベクターpBG10で形質転換され
たラクトバチルス ヘルベティカスSBT2195株を、ラク
トバチルス ヘルベティカスSBT2196株と命名し微工研
に寄託した(寄託番号11676号)。SBT2196株は、pBG10
を保持することにより、親株と同様乳糖資化性となる。
また、その他の菌学的性質、たとえば乳酸をおよそ90%
生成すること、グラム陽性であること、通気嫌気性桿菌
であること、カタラーゼ(−)であること、乳酸施光性
がDL型であること等についても親株の乳酸桿菌と同じで
あった。ラクトバチルス ヘルベティカスSBT2196株は
脱脂乳中で培養すると、SBT2195株は全く生育できない
のに対し、このSBT2196株は生育可能となり脱脂乳を凝
固させ、醗酵乳を製造することができる。また、複合シ
ャトルベクターを脱落等で失ったSBT2196株は、乳糖非
資化性となるためこの系から除外される。すなわち、脱
脂乳に培養するだけでSBT2196株はその性質を安定的に
維持することができるのである。
なお、本発明の複合シャトルベクターは、クローニン
グベクターとして有用であるばかりではなく、エリスロ
マイシン耐性遺伝子由来のプロモーターから開始コドン
までの部位の直後に制限酵素切断部位を設けたので乳糖
桿菌における発現ベクターとすることができる。
よって、本発明の複合シャトルベクターは、これらの
特徴を利用して食品製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の複合シャトルベクターの概略を、ま
た第2図はその製造法の概略を示す概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:225) (56)参考文献 Plasmid,Vol.22[3 ](1989)p.193−202 Plasmid,Vol.21[1 ](1989)p.9−20 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/70 C12N 15/74 WPI(DIALOG) BIOSYS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトバチルス ヘルベティカス(Lactob
    acillus helveticus)のプラスミドpLJ1由来の複製開始
    領域(ori)、大腸菌(Escherichia coli)のプラスミ
    ドpBR329由来の複製開始領域(ori)、エンテロコッカ
    ス フェカリス(Enterococcus faecalis)のプラスミ
    ドpAMβ1由来のエリスロマイシン耐性遺伝子のプロモ
    ーターから開始コドンATG、さらにこれに続く新設した
    制限酵素切断部位、停止コドンまでを含む領域及びラク
    ドバチルス ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricu
    s)由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含み、かつ該
    エリスロマイシン耐性遺伝子のプロモーターから開始コ
    ドンATG、さらにこれに続く新設した制限酵素切断部
    位、停止コドンまでを含む領域の下流に該β−ガラクト
    シダーゼ遺伝子が連結されていることを特徴とする、乳
    酸桿菌−大腸菌用複合シャトルベクター。
  2. 【請求項2】第1図に示され、次の性質を有する請求項
    (1)記載の乳酸桿菌−大腸菌用複合シャトルベクター
    pBG10。 (i)大きさが約6.0キロベースペアー(kb)である。 (ii)β−ガラクトシダーゼを唯一のマーカーとして選
    択することができる。 (iii)(a)エリスロマイシン耐性遺伝子の開始コド
    ンATGの部分に、制限酵素Sac I切断部位を設けている。 (b)Sac I部位の下流に停止コドンを設けている。 (c)異種遺伝子をSac I切断部位に挿入することによ
    り発現させることができ、また異種遺伝子が挿入されて
    いないときは停止コドンにより不要なタンパク生成を停
    止することができる。
  3. 【請求項3】請求項(1)または(2)に記載の複合シ
    ャトルベクターの乳糖非資化性宿主乳酸桿菌であるラク
    トバチルス ヘルベティカスSBT2195株〔微工研寄託番
    号第11538号〕
  4. 【請求項4】乳糖非資化性の乳酸桿菌が請求項(1)ま
    たは(2)に記載の複合シャトルベクターで形質転換さ
    れた宿主微生物。
  5. 【請求項5】ラクトバチルス ヘルベティカスSBT2196
    株〔微工研寄託番号第11676号〕である請求項(4)記
    載の宿主微生物。
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Plasmid,Vol.21[1](1989)p.9−20
Plasmid,Vol.22[3](1989)p.193−202

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