JP2857751B2 - 鋳鉄系高密度粉末焼結体の製造法 - Google Patents

鋳鉄系高密度粉末焼結体の製造法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、鋳鉄系高密度粉末焼結体の製造
法に係り、特に、非平衡の鉄炭化物の分解反応を利用
し、鉄−鉄炭化物系粉末の表面酸化物を取り除いて、低
温、大気中でも焼結可能な鋳鉄粉末の粉末冶金技術に関
するものである。
【0002】
【背景技術】従来からの、鉄系粉末を用いた一般的な金
型成形による粉末冶金は、予め調整した粉末を所定の金
型に充填して、圧力を負荷し、成形する成形工程(圧粉
体の形成)と、そのような成形工程で得られた粉末成形
体を金型より取り出し、雰囲気を調整した加熱炉内に挿
入して、高温で焼結せしめることにより、目的とする製
品(焼結体)とする焼結工程から成り立っている。
【0003】そして、そのような粉末冶金手法に従っ
て、高い密度の焼結部材(焼結体)を得るには、先ず、
成形工程での圧粉体密度を確保することが肝要であると
されている。而して、この圧粉体密度に影響する因子と
しては、粒子粒度の配合割合や負荷方法等、幾つかのも
のが考えられるが、特に粉体粒子間の摩擦は、負荷成形
時の密度上昇のための大きな障害となることとなる。そ
こで、粉末粒子間の摩擦を軽減するために、潤滑剤とし
て、ステアリン酸亜鉛やパラフィンワックス等を数パー
セント以下の割合で粉体に添加して混合した後、成形用
原料粉末として用いることが行なわれている。しかしな
がら、それらの潤滑剤は、粉体との混合のためのプロセ
スや装置を必要とする他に、焼結時に蒸発して、炉内の
低温部位において凝結して、装置故障の原因となった
り、炉の寿命を縮める原因ともなっているのであり、ま
た、真空装置を用いた場合には、真空系の配管やバルブ
内にも堆積し、装置トラブルの原因となっているのであ
る。
【0004】また、圧粉体の成形圧力に関して、それ
が、高ければ高い程、勿論、高密度の圧粉体が得られる
ことととなるが、そのような成形圧力を高くする程、成
形時に製品中に剪断割れが生じ易くなるのであり、また
離型時には、スプリングバック量も大きくなって、亀裂
が発生し易くなるのであり、そのため、成形圧力には限
界があって、一般的には、400〜800MPaが現実
に採用されているところである。
【0005】ところで、鉄系粉末の金型成形において
は、一般に、幾何学的に充填度の優れた球形のアトマイ
ズ粉より、成形体の表面安定度の優れた還元粉が用いら
れることが多い。勿論、そのような還元粉は炭素を含ま
ず、そのために焼結体の強度が低くなるところから、強
度が要求される部材では、炭素を粉末に添加しなければ
ならない。しかしながら、圧粉体の焼結時の寸法変化
は、この炭素量によって微妙に変化し、高精度な製品を
得たい場合には、炭素混合時のロット毎に焼結を管理す
る必要があり、また脱炭等が生じないように、焼結雰囲
気を管理しておく必要がある。
【0006】また、細心の注意を払って成形及び焼結を
行なったとしても、得られる焼結体製品内の空孔を取り
除くことは、実質的に不可能である。真密度に近い、高
密度の製品を得たい場合は、HIPや粉末鍛造等の後加
工が必要とされるが、金型成形では、銅粉を原料粉末に
混合し、焼結時に銅を空孔に溶浸させることによって、
密度と強度を確保している。しかしながら、鉄鋼中の銅
は、リサイクル時に、精錬によって取り除くことが不可
能であり、更に、そのような鉄鋼中の銅は、溶接欠陥の
原因ともなるものである。従って、今後、鉄のエコマテ
リアル化を推進してゆく場合において、そのような銅
は、合金化したくない元素とも言えるものである。
【0007】さらに、鉄系粉末において、その圧粉体の
焼結を行なうには、還元性雰囲気の採用が必須であり、
そのために、水素、分解アンモニアガス、炭化水素系ガ
ス、更には真空等の各種の制御された雰囲気が用いられ
ることとなる。勿論、その場合において、そのような雰
囲気のための処理設備が必要になることは言うまでもな
く、それに加えて、更に、工程がバッチ処理となるとこ
ろから、生産性が劣ることとなり、加工費が高くなると
いう問題を内在している。加えて、鉄系粉末の場合に
は、焼結に1100〜1200℃と高温を使用するため
に、エネルギー消費も多くなる問題も内在しているので
ある。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明者は、上述の如き不
都合を解消すべく、種々検討した結果、鋳鉄溶湯から、
水アトマイズ或いはガスアトマイズ等の手法にて、急冷
凝固して得られる、遊離炭素を殆ど含まない鉄と鉄炭化
物からなる粉末を、原料として用いることにより、金型
内における低温度下での加熱、加圧操作にて、一工程
で、既に焼結した、殆ど空孔のない緻密な成形体(焼結
体)を得ることが出来る事実を見出し、本発明を完成す
るに至ったのである。
【0009】従って、本発明の課題とするところは、鋳
鉄系高密度粉末焼結体の経済的な製造法を提供すること
にあり、また、低い温度及び低い圧力下での加熱、加圧
操作にて、しかも潤滑剤の混合や特別の雰囲気を制御し
た焼結工程も必要とすることなく、一工程にて、空孔の
ない、緻密な成形体(焼結体)を得る手法を提供するこ
とにある。
【0010】
【解決手段】そして、本発明は、かかる課題を解決する
ために、鋳鉄溶湯から急冷凝固して得られる、遊離炭素
を殆ど含まない鉄−鉄炭化物系粉末を用い、これを金型
に充填して、500〜700℃の温度に加熱すると共
に、加圧せしめることにより、非平衡状態の鉄炭化物を
分解して粉末表面に炭素を析出させる一方、その析出炭
素と粉末表面の酸化物層中の化合物酸素とを反応せしめ
て該酸化物層を取り除き、前記充填された粉末間の焼結
を進行せしめることを特徴とする鋳鉄系高密度粉末焼結
体の製造法を、その要旨とするものである。
【0011】このように、本発明にあっては、従来の如
きステアリン酸亜鉛等の特別の潤滑剤や銅粉等の溶浸剤
を何等使用することなく、また特別の雰囲気制御も不要
で、単なる大気中にて、一工程で、しかも金型が使用出
来る低温下において、鉄系の粉末焼結部材を有利に得る
ことが出来るのである。
【0012】なお、かくの如き本発明に従う製造法の好
ましい態様の一つによれば、前記加圧操作の後、更に焼
鈍処理が実施されることとなる。この焼鈍処理によっ
て、鉄−鉄炭化物−微細黒鉛よりなる組織を有する高強
度の焼結体となり、以て機械加工が可能な、また脆さが
改善されて、構造材料としても有利に利用され得るもの
となるのである。
【0013】また、本発明の他の望ましい態様の一つに
よれば、鋳鉄溶湯には、2〜4.3重量%の炭素及び
0.1〜1重量%のケイ素を含有しているものが用いら
れ、そのような鋳鉄溶湯を用いて、急冷凝固手法にて粉
末化することによって、本発明の目的の達成に有効な、
遊離炭素を実質的に含まない鉄−鉄炭化物系粉末を有利
に得ることが出来るのである。
【0014】
【発明の実施の形態】要するに、本発明は、鋳鉄溶湯か
ら、水アトマイズ法やガスアトマイズ法等の急冷効果を
利用する急冷凝固手法によって得られる、遊離炭素を実
質的に含まない鉄と鉄炭化物からなる粉末、即ち鉄−鉄
炭化物系粉末を、粉末冶金における原料粉末として用い
ることとしたのであり、そのような鉄−鉄炭化物系粉末
を、プレス成形金型の如き加圧成形の可能な所定の金型
に充填して、500〜700℃の温度に加熱せしめる一
方、加圧成形操作を実施することにより、比較的低い成
形圧力(例えば、40MPa〜200MPa程度)下に
おいても、殆ど空孔のない、真密度に近い緻密な成形体
を得ることが出来、またそのような成形体は、この段階
で、既に焼結しているのである。因みに、上記の原料粉
末を金型に充填して、600℃の温度で1時間、大気中
で加熱した後、100MPa程度の圧力を加えて成形す
ると、実質的に空孔の認められない、焼結した、高密度
な成形体が得られ、それは150〜200MPa程度の
強度を有し、そのままでも、耐摩耗性材料等として用い
られ得るものである。
【0015】なお、上記した鉄−鉄炭化物系粉末に対す
る加熱は、加圧成形操作に先立って行なわれ得る他、加
圧成形操作と同時に行なうことも可能であるが、その加
熱温度が500℃よりも低くなると、鉄炭化物が安定し
て、その分解により生じる炭素による表面酸化物の還
元、分解作用を、充分に期待し難くなるところから、そ
の加熱温度は、少なくとも500℃以上とする必要があ
る。一方、700℃よりも高い加熱温度は、金型の使用
限界を越えるものであり、また装置が大型化したり、特
別の材質を用いる必要がある等、装置のコストアップを
招き、そのような高温の加熱温度は避ける必要がある。
なお、加熱時間は、加熱温度や成形圧力等に応じて適宜
に決定されることとなるが、一般に0.5時間〜1.5
時間程度とされることとなる。
【0016】このように、本発明によれば、低温、低負
荷(圧力)にて、更に大気中での操作であっても、著し
く高密度な焼結体が一段の工程にて得られるのである
が、その理由としては、現在までのところ、以下のよう
に考えられている。即ち、急冷凝固操作によって生じた
鉄−鉄炭化物系粉末中の鉄炭化物は、準安定系に属し、
不安定であるために、温度の上昇と共に、鉄と炭素に分
解するようになる。そして、炭素は、ベイナイト変態等
で知られるように、かなり低温度で拡散出来るものであ
るところから、分解で生成した炭素は、粉末表面に拡散
するようになる。而して、粉末表面は、鉄酸化物で覆わ
れているが、自由エネルギ−線図から認められるよう
に、500℃程度から、特に600℃付近以上では、鉄
酸化物は、炭素と併存する状態では、還元されるように
なる。即ち、その分解で生成した炭素が、粉末表面の鉄
酸化物層中の化合物酸素と反応し、かかる酸化物を分解
して、そのような酸化物層を消失せしめるのである。こ
のように、焼結を妨げる共有結合性の酸化物の層が、分
解炭素によって除去されることとなるところから、上述
の如き低温下においても、原料粉末の焼結が進行可能と
なるのである。
【0017】また、そのようにして析出する炭素は、粉
末表面において潤滑剤としての役割をも果たすものであ
って、そのために、複雑形状部材を得るに際して、その
均一な緻密化が可能となる特徴を発揮するものである。
【0018】ここにおいて、上述の如く低温域で炭化物
が分解するには、粉末中の炭素含有量は、少なくとも2
重量%以上とすることが望ましく、また粉末製造過程で
遊離黒鉛を生じさせないためには、共晶組成(4.3重
量%)以下が適当であるのであり、それ故に、急冷凝固
によって、目的とする粉末を与える鋳鉄溶湯中の炭素含
有量は、2〜4.3重量%とすることが望ましいのであ
る。
【0019】また、原料粉末中に含まれるケイ素やアル
ミニウム等の如き黒鉛化元素は、鉄炭化物の分解を助長
することとなるが、過剰の黒鉛化元素の存在は、加圧成
形工程中において、粉末の粒界に遊離黒鉛として析出
し、粉末同士の焼結の障害となる。このため、原料粉末
のケイ素含有量、従って鋳鉄溶湯中のケイ素含有量は、
1重量%以下とすることが望ましく、またアルミニウム
の含有量は、不純物として許容される程度に止めるべき
である。なお、後述する焼鈍過程では、ケイ素の含有量
が少ないと、焼鈍時間が長くなるところから、その含有
量の下限は0.1重量%程度に止めるべきである。
【0020】ところで、以上の如くして、低温・低負荷
の加圧成形操作にて得られた高密度の焼結体(成形体)
は、その組織が鉄と鉄炭化物より構成されているために
硬く(HRC=45〜50)、機械加工が困難なものであ
り、また脆いため、構造材料としては不向きであるとこ
ろから、そのような焼結体(成形体)には、850〜1
000℃程度の温度にて、更に焼鈍処理が施され、これ
によって、鉄−鉄炭化物−微細黒鉛よりなる組織が焼結
体内に実現されるのである。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。また、
本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した発
明の実施の形態における記述以外にも、本発明の趣旨を
逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々
なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、
理解されるべきである。
【0022】先ず、鋳鉄溶湯を用いて、通常の水アトマ
イズ手法によって急冷凝固せしめることにより、遊離炭
素を実質的に含まない、鉄及び鉄炭化物からなる粒状乃
至は球状の鉄−鉄炭化物系粉末(C:3.25重量%、
Si:0.34重量%、O:0.214重量%)を、平
均粒径:44μm において得た。なお、鋳鉄溶湯中の炭
素及びケイ素の含有量は、それぞれ、得られた粉末中の
ものと略同様なものであった。
【0023】次いで、このようにした得られた鉄−鉄炭
化物系粉末を原料粉末として、その25gを、10mm
×80mmの長方形の角穴を有する金型に充填した。な
お、金型の内面には、潤滑剤として黒鉛を塗布した。そ
して、かかる金型を炉に入れて、大気下において、約1
時間を要して600℃に加熱せしめ、そして600℃に
到達した後、100MPaの負荷(圧力)を加えて、1
時間保持することにより、加圧成形操作を実施した後、
除荷して、冷却した。この加圧成形操作にて、幅:10
mm×長さ:80mm×厚さ約4mmの試片を得た。
【0024】その後、かかる試片を切断し、(アルコー
ル+5%硝酸)溶液にて腐食せしめた後、その表面を走
査型電子顕微鏡により組織観察して、その結果(写真)
を、図1に示した。この図1に示される写真において、
凹部はα鉄が腐食された痕であり、凸部は鉄炭化物であ
る。この図1からも明らかなように、殆ど空孔は観察さ
れず、600℃という低温で、しかも大気中での処理に
よって、極めて完全な焼結が行なわれたことが窺知され
るのである。なお、本試片について、機械的性質を調べ
たところ、150〜200MPaの強度を有しており、
硬さもHRC=50程度で、耐摩耗材としては期待される
ものの、機械加工が困難であり、脆いため、構造材料と
しては不向きであるものと考えられる。
【0025】そこで、本試片を900℃の炉に入れ、焼
鈍処理を実施した。但し、試片は、焼鈍中の酸化を防ぐ
ために、炭素粉中に埋没した。このような焼鈍処理が施
されてなる試片について、その引張り強度を測定し、焼
鈍時間と引張り強度との関係として、図2に示した。こ
の図2に示される如く、2時間の焼鈍処理によって、引
張り強さは450MPaにも達しており、それは、一般
の鉄粉末冶金材の中、Fe−C−Cu系の高強度材の強
度にも匹敵するものである。なお、2時間の焼鈍でも、
まだ、面積率で約50%の鉄炭化物が残留しており、硬
さもHRC=90程度である。勿論、焼鈍時間を長くする
と、鉄炭化物の面積率が減少し、遊離黒鉛が増加してく
るので、強度は減少することとなる。
【0026】ここにおいて、ケイ素等の黒鉛化元素を添
加すれば、焼鈍時間を短縮することは可能であるが、成
形過程において粉末粒子間に遊離炭素が析出するように
なるところから、ケイ素の添加には限界があり、1重量
%以下の含有量に止めるのが望ましい。
【0027】以上のように、本発明は、600℃前後と
いう低温で、何等特別な雰囲気も必要とせず、更に10
0MPa程度の低負荷にて、加熱、加圧成形操作を実施
することにより、殆ど空孔のない緻密な焼結体を一挙に
与えるものであって、またその焼鈍材は、鉄粉末冶金材
の高強度材にも匹敵しているのである。
【0028】そこで、このような本発明における易焼結
性の原因を調査するために、炭素及び酸素の分析を行な
った。先ず、上記原料粉末を、アルゴン雰囲気中におい
て、600℃で2時間加熱し、その得られた処理粉末中
の炭素含有量及び酸素含有量を分析した結果、それぞ
れ、3.14重量%及び0.095重量%となり、炭素
は0.1%程度、また酸素は元の半分以下に減少してお
り、かかる処理にて、還元反応が進んだことを示してい
る。また、上記の如く、本発明に従って加熱・加圧成形
して得られた成形体(焼結体)について、それをアルゴ
ン雰囲気中において粉砕し、炭素と酸素の含有量を分析
したところ、それぞれ、3.08重量%及び0.088
重量%となり、この場合も、上記熱処理と同程度に炭素
及び酸素の含有量が減少しており、還元が進んだことを
表している。このことより、本発明において用いられる
鉄−鉄炭化物系の急冷凝固粉末は、それ自身において不
安定な鉄炭化物が分解し、粉末表面の酸化物を還元し
て、粒子表面を易焼結性に改変するインテリジェントな
粉末であると考えられるのである。
【0029】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
よれば、鉄−鉄炭化物系粉末冶金において、600℃前
後という低温度領域で、また100MPaというような
低負荷(低圧力)において、しかも何等特別の潤滑剤を
混合せしめる必要もなく、更に大気中においても、空孔
のない焼結体を、一段の工程で得ることが出来るのであ
り、従来の如く、特別の雰囲気を制御した焼結工程も必
要としないところに、本発明の格別顕著な技術的意義が
存するのである。
【0030】また、そのようにして得られる焼結体に対
して、更に焼鈍処理を施すようにすれば、400MPa
以上の強度も得ることが出来、構造材料として、有利に
用いられ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において得られた焼結体の5%硝酸アル
コール腐食が施されてなる表面の走査型電子顕微鏡写真
である。
【図2】実施例において得られた焼結体の焼鈍時間と引
張り強さとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄溶湯から急冷凝固して得られる、遊
    離炭素を殆ど含まない鉄−鉄炭化物系粉末を用い、これ
    を金型に充填して、500〜700℃の温度に加熱する
    と共に、加圧せしめることにより、非平衡状態の鉄炭化
    物を分解して粉末表面に炭素を析出させる一方、その析
    出炭素と粉末表面の酸化物層中の化合物酸素とを反応せ
    しめて該酸化物層を取り除き、前記充填された粉末間の
    焼結を進行せしめることを特徴とする鋳鉄系高密度粉末
    焼結体の製造法。
  2. 【請求項2】 前記加圧操作の後、更に焼鈍処理を実施
    することを特徴とする請求項1記載の鋳鉄系高密度粉末
    焼結体の製造法。
  3. 【請求項3】 前記鋳鉄溶湯が、2〜4.3重量%の炭
    素及び0.1〜1重量%のケイ素を含有している請求項
    1又は請求項2記載の鋳鉄系高密度粉末焼結体の製造
    法。
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