JP2839436B2 - シールド掘進機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シールド掘進機に関
し、特に断面形状が矩形状のトンネルを掘削するための
シールド掘進機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、断面形状が矩形状のトンネルを掘
削するシールド掘進機が提案されており、この種のシー
ルド掘進機のシールド本体の前部に設けられるカッタヘ
ッドは、その正面視形状がルーロの三角形状に形成さ
れ、またこのカッタヘッドは、シールド本体の中心軸に
対して偏心した位置で回転される回転軸体に、異なる速
度でかつ回転軸体の回転方向とは反対方向に回転される
ように構成されている。

【０００３】そして、さらにこの種のシールド掘進機に
おけるシールド本体の後部には、矩形状のトンネルの内
壁面にセグメントを配設するためのセグメント組立装置
が設けられている。

【０００４】ところで、このような矩形状のトンネルの
内壁面にセグメントを配設するセグメント組立装置、す
なわちエレクタ装置としては、例えば特願平４−４８９
６５号公報に開示されたものがある。

【０００５】このエレクタ装置は、シールド本体内に、
トンネルの内壁面に沿うように、すなわちほぼ矩形状に
配設されたガイドレールと、このガイドレールに案内さ
れる一対の走行フレームと、これら両走行フレームにそ
れぞれ連結ロッドを介して連結されるとともに上記ガイ
ドレールに案内されるガイドローラを有するエレクタフ
レームと、このエレクタフレーム側に押込フレームを介
して取り付けられた保持フレームと、この保持フレーム
に設けられたセグメント保持装置とから構成されてい
た。

【０００６】したがって、上記構成において、矩形状の
トンネルの内壁面にセグメントを配設する場合には、所
定のセグメントをセグメント保持装置により保持させ、
そして走行フレームにより、エレクタフレームをガイド
レールに沿って配設場所まで走行させて、押込フレーム
を内壁面側に突出させることにより、セグメントをトン
ネル内壁面の所定箇所に配設していた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記シールド
掘進機におけるエレクタ装置の構成によると、トンネル
の内壁面に沿って矩形状に配設されたガイドレールに、
走行フレームを介してエレクタフレームを移動案内させ
るようにしているため、その構成が非常に複雑となり、
またエレクタ装置を同一ガイドレール上に複数台配置す
ることが困難であり、したがってトンネルの形状が大き
くなった場合には、配設されるセグメントの数も増加す
るため、作業性が悪いという問題があった。

【０００８】そこで、本発明は上記問題を解消し得るシ
ールド掘進機を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のシールド掘進機は、シールド本体の前部に
複数個のカッタヘッドが回転自在に配置されて、断面形
状が矩形状のトンネルを掘削するシールド掘進機であっ
て、シールド本体の後部に、複数台のセグメント組立装
置を配置するとともに、中央部のセグメント組立装置
を、鉛直面内で旋回自在に支持されたリング体と、この
リング体に設けられた移動装置を介して、その半径方向
で移動自在にされたセグメント保持体とから構成し、か
つ両側部のセグメント組立装置を、上下方向で設けられ
たガイド支柱体と、このガイド支柱体に昇降装置を介し
て昇降自在に設けられた昇降体と、この昇降体に鉛直面
内で旋回自在に設けられた旋回体と、この旋回体に前後
方向で移動自在に設けられた移動体と、この移動体にト
ンネルの内壁面に対して移動自在に設けられたセグメン
ト保持体とから構成したものである。

【００１０】

【作用】上記の構成によると、リング体により旋回自在
に設けられた中央部のセグメント保持体を有するセグメ
ント組立装置と、ガイド支柱体に昇降自在に設けられた
昇降体に、移動体を介して、セグメント保持体をトンネ
ルの内壁面に対して移動させる上記とは別のセグメント
組立装置を両側部に設けたので、矩形状のトンネルの内
壁面にセグメントを配設する場合、これら各組立装置を
併用することにより、矩形状トンネルの内壁面の各場所
に応じたセグメント、特に鉛直側壁部分に対応するセグ
メントを迅速に組み立てることができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１〜図６に基づ
き説明する。図１および図２において、１は断面形状が
矩形状（例えば長方形状）のトンネルを掘削するための
シールド掘進機のシールド本体で、その前部には、カッ
タヘッド２が２組回転自在に設けられている。

【００１２】これら各カッタヘッド２の正面視形状が、
３本の棒状のカッタ部３が放射状に設けられた形状とさ
れ、また各カッタヘッド２の軸部２ａは、シールド本体
１の水平中心線ａより、所定距離ｈだけ偏心した位置で
筒状軸受４を介して、回転自在に支持されるとともに、
この筒状軸受４が、シールド本体１側の隔壁部１ａの支
持体５内に回転自在に配置された保持筒６に保持されて
いる。

【００１３】したがって、カッタヘッド２は、主回転駆
動装置（例えば、油圧モータ）７により、保持筒６を介
して偏心距離ｈでもって公転されるとともに、副回転駆
動装置（例えば、油圧モータ）８により、軸部２ａを介
して自転されるよう支持されており、また軸部２ａが所
定方向に所定速度で回転されるとともに、この軸部ａを
支持している筒状軸受４は、軸部２ａの回転速度の３倍
の速度でもって回転されるとともに、その回転方向は軸
部２ａの回転方向とは反対方向に回転される。

【００１４】このような条件で、カッタヘッド２が回転
されると、そのカッタ部３の先端部の軌跡は矩形状とな
り、したがってカッタヘッド２を２個並行に設けること
により、横に長い長方形のトンネルを掘削することがで
きる。

【００１５】そして、このシールド掘進機におけるシー
ルド本体１の後部には、図３および図４に示すように、
矩形状のトンネルＴの内壁面に、セグメントＳをそれぞ
れ配設するためのセグメント組立装置（エレクタ装置と
もいう）１１が設けられている。

【００１６】このセグメント組立装置１１は、トンネル
Ｔの中央上下部のセグメントＳ１，Ｓ２を組み立てるた
めの中央部セグメント組立装置１２と、左右側部のセグ
メントＳ３，Ｓ４を組み立てるための側部セグメント組
立装置１３とから構成されている。

【００１７】上記中央部セグメント組立装置１２は、図
５および図６に示すように、シールド本体１の中央部
に、複数個の支持ローラ２１により、鉛直面内で旋回自
在に支持されたリング体２２と、このリング体２２をギ
ア機構を介して旋回させる回転駆動装置（図示しない
が、例えば油圧モータなどが使用される）と、上記リン
グ体２２の両側部に設けられた移動用シリンダ装置（移
動装置の一例）２３と、これら両移動用シリンダ装置２
３によりリング体２２の半径方向で移動させられるセグ
メント保持体２４と、このセグメント保持体２４に設け
られたセグメント保持具２５とから構成されている。

【００１８】したがって、この中央部セグメント組立装
置１２の構成によると、セグメント保持具２５により、
中央上下部のセグメントＳ１またはＳ２を保持し、そし
てセグメント保持体２４を移動させるとともに、リング
体２２を旋回させることにより、セグメントＳ１または
Ｓ２を所定場所、すなわちトンネルＴの中央上下部に配
設することができる（図４参照）。

【００１９】また、上記側部セグメント組立装置１３
は、シールド本体１の側部に、鉛直方向で立設されたガ
イド支柱体３１と、このガイド支柱体３１に昇降自在に
案内される昇降体３２と、この昇降体３２を昇降させる
昇降用シリンダ装置（昇降装置の一例）３３と、上記昇
降体３２の側面部（後面部）に軸受３４を介して鉛直面
内で旋回自在に支持された旋回体３５と、この旋回体３
５を、その外周面に形成されたリング状外歯３５ａに噛
合する駆動ギア３６を介して回転させる回転駆動装置
（例えば、油圧モータなどが使用され、左右に設けられ
ている）３７と、上記旋回体３５からシールド本体１の
後方側に突設された一対の水平ガイド体３８に、前後方
向で移動自在に支持された移動体３９と、上記水平ガイ
ド体３８と移動体３９との間に取り付けられて移動体３
９を前後方向で移動させる上下一対の水平移動用シリン
ダ装置４０と、上記移動体３９に、上下の保持筒４１に
それぞれ摺動自在に案内される一対のガイド部材４２を
介して、前後方向の軸心と直交する鉛直面内で所定方向
に移動自在に設けられたセグメント保持体４３と、上記
移動体３９とセグメント保持体４３との間に設けられて
セグメント保持体４３をトンネルＴの内壁面側に向かっ
て移動させる上下一対の側方移動用シリンダ装置４４
と、上記セグメント保持体４３に設けられたセグメント
保持具４５とから構成されている。

【００２０】したがって、この側部セグメント組立装置
１３の構成によると、セグメント保持具４５により、側
方上下部のセグメントＳ３またはＳ４を保持し、そして
昇降体３２を昇降させるとともに、旋回体３５、移動体
３９およびセグメント保持体４３をそれぞれ移動させる
ことにより、セグメントＳ３またはＳ４を所定場所、す
なわちトンネルＴの側方上下部にそれぞれ配設すること
ができる。

【００２１】上記シールド掘進機により、矩形状のトン
ネルＴが掘削されると、シールド本体１の後方に配置さ
れた中央部セグメント組立装置１２により、図４に示す
ように、トンネルＴの中央上下部のセグメントＳ１，Ｓ
２が組み立てられ、そして左右に設けられた側部セグメ
ント組立装置１３により、側方上下部のセグメントＳ
３，Ｓ４がそれぞれ組み立てられる。

【００２２】このように、矩形状のトンネルＴの内壁面
に配置されるセグメントＳを、中央部セグメント組立装
置１２と、左右の側部セグメント組立装置１３とを併用
して組み立てるようにしたので、従来のような、矩形状
に配置されたガイドレールに沿って、一台のエレクタ装
置を移動させながら、順次、セグメントを組み立てる場
合に比べて、セグメント組立装置全体の構成を簡単にす
ることができるとともに、その組立作業を迅速に行うこ
とができる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明の構成によると、シ
ールド本体に、リング体により旋回自在に設けられたセ
グメント保持体を有するセグメント組立装置と、このセ
グメント組立装置とは別個に、ガイド支柱体に昇降自在
に設けられた昇降体に、旋回体および移動体を介して、
セグメント保持体をトンネルの内壁面に対して移動させ
るセグメント組立装置を設けたので、例えば矩形状のト
ンネルの内壁面にセグメントを配設する場合、これら両
組立装置を併用することにより、従来のような矩形状に
配置されたガイドレールに沿って、一台のエレクタ装置
（組立装置）を移動させながら、順次、セグメントを組
み立てる場合に比べて、セグメント組立装置全体の構成
を簡単にすることができるとともに、その組立作業を迅
速に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例におけるシールド掘進機の全
体断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ矢視図である。

【図４】同実施例におけるトンネルへのセグメントの配
設状態を示す正面図である。

【図５】セグメント組立装置の要部正面図である。

【図６】図５の一部切欠Ｃ−Ｃ矢視図である。

【符号の説明】

１ シールド本体 ２ カッタヘッド １１ セグメント組立装置 １２ 中央部セグメント組立装置 １３ 側部セグメント組立装置 ２２ リング体 ２４ セグメント保持体 ３１ ガイド支柱体 ３２ 昇降体 ３３ 昇降用シリンダ装置 ３５ 旋回体 ３７ 回転駆動装置 ３９ 移動体 ４０ 水平移動用シリンダ装置 ４３ セグメント保持体 ４４ 側方移動用シリンダ装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シールド本体の前部に複数個のカッタヘッ
   ドが回転自在に配置されて、断面形状が矩形状のトンネ
   ルを掘削するシールド掘進機であって、シールド本体の
   後部に、複数台のセグメント組立装置を配置するととも
   に、中央部のセグメント組立装置を、鉛直面内で旋回自
   在に支持されたリング体と、このリング体に設けられた
   移動装置を介して、その半径方向で移動自在にされたセ
   グメント保持体とから構成し、かつ両側部のセグメント
   組立装置を、上下方向で設けられたガイド支柱体と、こ
   のガイド支柱体に昇降装置を介して昇降自在に設けられ
   た昇降体と、この昇降体に鉛直面内で旋回自在に設けら
   れた旋回体と、この旋回体に前後方向で移動自在に設け
   られた移動体と、この移動体にトンネルの内壁面に対し
   て移動自在に設けられたセグメント保持体とから構成し
   たことを特徴とするシールド掘進機。