JP2833423B2 - サーマルプリンタに於ける印刷方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はサーマルプリンタに於
ける印字制御に関するものであり、特に、印字品位の向
上を図った印刷方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】発熱体を直線的に配列したサーマルヘッ
ドによる熱転写印刷は、印字制御部からサーマルヘッド
へ１ライン分の１次元ドットデータを順次シリアル転送
して行われる。サーマルヘッドのシフトレジスタへ１ラ
インのドットデータを転送後に印字制御部からヒート信
号が入力され、ドットデータに対応する発熱体にストロ
ーブパルスが印加されて一本の走査線が印刷される。ド
ットデータの転送並びに発熱動作は用紙送り機構或いは
ヘッド送り機構と同期運転され、用紙上にドットパター
ンが２次元展開されて文字や図形等が印刷される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】サーマルヘッドは、発
熱体の印字率が高い部分は蓄熱効果によって相対的に印
刷濃度が高くなる性質がある。従って、印字率即ちドッ
トのオン比率によって印刷濃度が変動するため、印字率
の低い印刷個所が適正な印刷濃度となるようにサーマル
ヘッドの発熱エネルギーを高エネルギーに調節すると高
印字率の印刷個所のドットがつぶれて印字品位が低下し
たり、インクリボンの溶断が起こることがある。

【０００４】また、高印字率の印刷個所が適正な印刷濃
度となるように発熱エネルギーを低下させると低印字率
の印刷個所の印字濃度が不足して文字のかすれを生じる
ことがあり、発熱エネルギーの一律的な調節によっては
ドットパターンの印刷濃度を均一に制御することは困難
である。そして、特に、レタリングテープ等のように高
品位な印字結果を要求されるものを作成する場合には上
述した印刷濃度の不均一性が問題になる。そこで、この
発明は印字率に係わらず印刷濃度を均一に制御する手段
を提供して、上記課題を解決することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するために、ドットパターンの走査線を構成する１
ラインの印字データを順次サーマルヘッドへ転送し、１
ラインの印字データの転送完了の都度、ヒート信号をサ
ーマルヘッドへ入力して前記サーマルヘッドに通電し、
ヒート信号の出力タイミングに同期して送られる用紙に
文字等のドットパターンを印刷するサーマルプリンタの
印字制御に於て、１ラインの印字データを複数のブロッ
クに分割し、前記複数のブロックの夫々の印字率を求め
て予め設定した基準印字率と比較し、前記印字データを
サーマルヘッドへシリアル転送する際に、前記基準印字
率以上の高印字率ブロックの印字データを転送したとき
は直後の高印字率ブロックのデータ転送を保留して印字
し、その後に前記保留された高印字率ブロックの印字デ
ータを転送して再度印字し、１ラインを重複走査して印
字するサーマルプリンタに於ける印刷方法を提案するも
のである。

【０００６】

【作用】サーマルヘッドへ１回に転送される１ラインの
印字データを複数のブロックに分割して夫々のブロック
の印字率を求める。ブロックの印字率の高低を判別する
ための基準印字率を設定する。印字データをサーマルヘ
ッドへシリアル転送する際に、基準印字率以上の高印字
率ブロックの印字データを転送した直後に高印字率ブロ
ックが連続する場合は、その高印字率ブロックの印字デ
ータの転送を保留する。１ラインの印字データ転送後に
サーマルヘッドへヒート信号を出力して印字し、続い
て、同一ラインの印字データ中の保留された印字データ
を転送し、再度ヒート信号を出力して印字する。この重
複走査は用紙送り或いはサーマルヘッドの送りの１ステ
ップ内で処理され、複数回の印字動作によって１ライン
のドットパターンが形成される。連続する高印字率ブロ
ックへの通電タイミングが相異するため、高印字率部位
の熱集中が緩和されて低印字率部位との印字濃度の差が
減少する。

【０００７】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図に従って詳述
する。図１の（ａ）は２５６ドットのサーマルヘッドの
発熱体を模式的に示し、発熱体は１６ドット毎にブロッ
ク結線され、１６のブロックが形成されている。このサ
ーマルヘッドに転送すべき印字データを重複走査する本
発明の印刷方法を図２及び図３に示すフローチャートに
従って説明する。

【０００８】先ず、印字データをプリンタ装置に入力し
（ステップ１０１）、プリンタ装置の印字制御部に次ス
テップの演算処理を実行させる。印字制御部は図１の
（ａ）に示す１ラインを構成する２５６ドット印字デー
タの１６ドット単位のブロック毎に印字率を算出し、メ
モリ上のテーブルに書込む（ステップ１０２）。続い
て、サーマルヘッドのシフトレジスタへ１ラインの印字
データのシリアル転送を開始し（ステップ１０３）、ブ
ロック毎の印字率に応じて出力するか否かが決定される
（ステップ１０４）。ここでは高印字率ブロックと低印
字率ブロックとを判別する基準印字率を８０％として、
８０％以上のブロックの場合は、サーマルヘッドへ転送
するとともに、メモリテーブル上のそのブロックの印字
率を０％に書換える（ステップ１０５）。

【０００９】そして、１ラインの印字データ転送終了ま
ではステップ１０７からステップ１０９に進む。今回の
ブロックの印字率が８０％以上であってその印字データ
がサーマルヘッドへ出力された場合は、直後のブロック
の印字率が高印字率が低印字率かに係らず当該ブロック
の印字データの転送が保留され（ステップ１１０）、ス
テップ１０４に戻って１ラインの印字データの転送終了
まで各ブロックの印字データに対して上記の手順で転送
或いは転送保留が行われる。

【００１０】このルーチンでは印字率８０％以下の低印
字率ブロックの印字データは転送を保留され、８０％以
上のブロックが連続した場合は、ステップ１０９と１１
０とによって隅数番目の高印字率ブロックの印字データ
は転送されない。従って、１回目のデータ転送終了後に
ヒート信号を出力（ステップ１０７→１０８）した結果
は、図１中に示すように、高印字率のブロックのみが
夫々１ブロック以上の間隔をあけて配列される。

【００１１】第１回目のヒート信号出力後に図３のステ
ップ１１１へ進み、同一ラインの印字データの転送を再
開する。今回は、１回目の走査とは逆に、印字率８０％
以下の低印字率ブロックのドットデータをサーマルヘッ
ドへ転送し、テーブル上のそのドットデータの印字率を
０％に書換える（ステップ１１２→１１３）。一方、８
０％以上の高印字率ブロックの印字データは転送を保留
する（ステップ１１２→１１４）。

【００１２】そして、１ラインのデータ転送を終了する
まではステップ１１５から１１７へ進み、サーマルヘッ
ドへ転送された低印字率ブロックの直後のブロックの印
字データは無条件で転送を保留され（ステップ１１
９）、ステップ１１２へ戻って１ラインのデータ転送を
終了するまで順次残りのブロックのドットデータを転送
或いは転送保留する。

【００１３】１ラインの転送終了後に、ヒート信号を出
力して（ステップ１１６）図１のに示すようにサーマ
ルヘッドに転送された低印字率ドットデータに対応する
ブロックが通電されて印字される。オンドット率８０％
以下のブロックが連続した場合は、ステップ１１７と１
１９とによって隅数番目の低印字率ブロックのドットデ
ータは出力を保留され、隣接するブロックが通電される
ことがないように制御される。

【００１４】続いて、ヒート信号の出力数即ち、同一ラ
インの重複走査回数が４回に達していないためステップ
１１８から１０４へ戻り、再び第一回目の走査と同様に
して残りの高印字率ブロックの印字データを転送し、１
ラインのデータ転送終了後に印字する（ステップ１０７
→１０８）。この印字結果は図１のに示すように本来
の高印字率ブロックに隣接する高印字ブロックが配列
される。

【００１５】続いて、第２回目の走査と同様にステップ
１１１へ進んで同一ラインの４回目の走査を行い、残り
の低印字率ブロックの印字データを転送し、転送終了後
に印字する（ステップ１１５→１１６）。この印字によ
って図１のに示すように残りの低印字率ブロックが印
字され、１ラインを４回重複走査し、高印字率ブロック
と低印字率ブロックとを夫々２回に分けて印字して１ラ
インのドットパターンが形成される。尚、図１に示す
の走査は、用紙送り或いはサーマルヘッド送りの
１ステップ内に処理して印刷物上の印字結果が、同図
（ａ）に示すように１ラインに整列されるようにする。

【００１６】そして、の印字後にヒート信号出力回数
が４回となったことからステップ１１８から１２０へ進
み、ヒート信号カウント値をクリアして１ラインの印刷
処理を終了し（ステップ１２１）、次のラインデータが
有る場合は、ステップ１０１から同一処理行程に入る。
尚、１ラインの走査回数や処理手順の細部等は上記一実
施例に限定されるものではなく、例えば重複走査の回数
を２回として図１に示すとを同時に転送し、と
も同時転送するようにしてもよく、この発明がそれらの
改変された方法にも及ぶことは当然である。

【００１７】

【発明の効果】この発明は、上記一実施例において詳述
したように、ドットパターンの１ラインを構成する印字
データを複数のブロックに分割し、サーマルヘッドへの
複数回の転送と印字とによって１ラインを形成する。そ
して、１ライン中に高印字率のブロックが連続したとき
は、これらのブロックが同時に印字されないように時間
的に分散して転送及び印字を行うので、高印字率部分の
発熱エネルギーの同時集中が回避されてサーマルヘッド
の蓄熱効果による高印字率部分のドットパターンのつぶ
れが解消される。これにより、高印字率部分と低印字率
部分との印字濃度の差異が解消され、印字品位が著しく
向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の印刷方法の解説図であり、（ａ）は１
ラインの印字データのブロック毎の印字率を示し、乃
至は各ブロックの発熱タイミングチャートである。

【図２】本発明の印刷方法のフローチャートの前半部で
ある。

【図３】本発明の印刷方法のフローチャートの後半部で
ある。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドットパターンの走査線を構成する１ラ
   インの印字データを順次サーマルヘッドへ転送し、１ラ
   インの印字データの転送完了の都度、ヒート信号をサー
   マルヘッドへ入力して前記サーマルヘッドに通電し、ヒ
   ート信号の出力タイミングに同期して送られる用紙に文
   字等のドットパターンを印刷するサーマルプリンタの印
   字制御に於て、１ラインの印字データを複数のブロック
   に分割し、前記複数のブロックの夫々の印字率を求めて
   予め設定した基準印字率と比較し、前記印字データをサ
   ーマルヘッドへシリアル転送する際に、前記基準印字率
   以上の高印字率ブロックの印字データを転送したときは
   直後の高印字率ブロックのデータ転送を保留して印字
   し、その後に前記保留された高印字率ブロックの印字デ
   ータを転送して再度印字し、１ラインを重複走査して印
   字するサーマルプリンタに於ける印刷方法。