JP2828019B2 - エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法

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JP2828019B2 JP8092748A JP9274896A JP2828019B2 JP 2828019 B2 JP2828019 B2 JP 2828019B2 JP 8092748 A JP8092748 A JP 8092748A JP 9274896 A JP9274896 A JP 9274896A JP 2828019 B2 JP2828019 B2 JP 2828019B2
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彰 加藤
片山  雅之
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば計器類の自
発光型のセグメント表示やマトリックス表示、あるいは
各種情報端末機器のディスプレイなどに使用されるエレ
クトロルミネッセンス(以下、ELという)素子および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、EL素子は、絶縁性基板であるガ
ラス基板上に、光学的に透明なITO膜からなる第1電
極、Ta2 5 (五酸化タンタル)等からなる第1絶縁
層、発光層、第2絶縁層およびITO膜からなる第2電
極を順次積層して形成されている。
【0003】発光層としては、例えばZnS(硫化亜
鉛)を母体材料とし、発光中心としてMn(マンガン)
やTb(テルビウム)を添加したものや、SrS(硫化
ストロンチウム)を母体材料とし、発光中心としてCe
(セリウム)を添加したものが使用されている。EL素
子の発光色は、ZnS中の添加物の種類によって決ま
り、例えば発光中心としてMnを添加した場合には黄橙
色、Tbを添加した場合には緑色の発光が得られる。ま
た、SrSに発光中心としてCeを添加した場合には、
青緑色の発光色が得られる。
【0004】フルカラーEL表示器を実現するために
は、赤色、緑色および青色の発光を呈するEL発光層を
形成する必要がある。この中でも青色発光を呈するEL
素子の発光層材料としては、一般にSrSに発光中心と
してCeを添加したものが用いられている。しかし、こ
の発光層材料を用いた場合、本来青緑色の発光を呈する
ので、青色発光のみを得るためには、発光スペクトルの
緑色成分をカットするフィルタを用いる必要がある。
【0005】これに対し、例えば1993年ディスプレ
イ情報学会国際会議技術論文ダイジェストp761〜7
64に示されているように、CaGa2 4 (カルシウ
ムチオガレート)を発光層の母材とし、発光中心元素と
してCeを添加した、CaGa2 4 :Ce(カウシウ
ムチオガレート:セリウム)発光層を用いたEL素子で
は、フィルタを用いることなく青色発光が得られること
が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CaG
2 4 :Ce発光層を用いたEL素子のCIE色度座
標は、上記文献によりx=0. 15、y=0. 19であ
ると報告されている。一方、ブラウン管の青色蛍光体と
して用いられているZnS:AgのCIE色度座標はx
=0. 15、y=0. 07程度である。従って、従来の
CaGa2 4 :Ce発光層は青色発光層としては青色
純度が不十分であり、あまり満足できるものではなかっ
た。
【0007】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、CaGa2 4 :Ce発光層のような発光層を用い
たEL素子において、青色純度を良くすることを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来の方
法で製造されるCaGa2 4 :Ce発光層のX線回折
スペクトルにCaSの回折ピークが現れてくることを見
いだした。このCaSが存在すると、CaS:Ceに起
因する緑色発光成分が生じ、これが青色純度を悪くす
る。従って、CaS:Ceに起因する緑色発光成分を低
減できれば、青色純度が良好になる。
【0009】なお、Caの一部をSr(ストロンチウ
ム)で置換した、Ca1-P Srp Ga 2 4 :Ce発光
層も知られているが、この場合も、CaS:Ceに起因
する緑色発光成分を低減できれば、青色純度が良好にな
る。本発明は上記検討を基になされたもので、以下の特
徴を有する。請求項1に記載の発明においては、発光層
が、Ceを発光中心として添加したCaGa2 4 より
なり、発光層のX線回折スペクトルに現れるCaGa2
4(400)面X線回折ピーク強度I1 に対するCa
S(200)面X線回折ピーク強度I2 の比I2 /I1
が0. 1以下(0を含む)であることを特徴としてい
る。
【0010】発光層のX線回折スペクトルに現れるCa
Ga2 4 回折ピーク強度に対してCaS回折ピーク強
度が一定値以下に規定されることにより、発光層中に不
純物として存在するCaSの量が一定量以下に抑えられ
る。その結果、CaS:Ceに起因する緑色EL発光成
分が減少し、色純度の良い青色EL発光を得ることがで
きる。
【0011】請求項2に記載した発明においては、Ce
を発光中心として添加したCaGa 2 4 を主成分と
し、X線回折スペクトルに現れるCaGa2 4 (40
0)面X線回折ピーク強度I1 に対するCaS(20
0)面X線回折ピーク強度I2 の比I2 /I1 が0. 5
以下(0を含む)となる焼結ターゲットを用いて、スパ
ッタ法により発光層を形成するEL素子の製造方法を特
徴としている。
【0012】不純物CaSの混入が少ないスパッタター
ゲットを用いることによって、発光層中にCaSが成長
してくる割合を減らし、CaSの存在量の少ない発光層
とすることができる。従って、この方法により製造され
たEL素子の青色発光の色純度を良好なものとすること
ができる。請求項3に記載の発明においては、焼結ター
ゲットの製造に用いられるCaGa2 4 原料粉末のX
線回折スペクトルに現れるCaGa2 4 (400)面
X線回折ピーク強度I1 に対するCaS(200)面X
線回折ピーク強度I2 の比I2 /I1 が0. 5以下(0
を含む)であることを特徴としている。
【0013】このように、CaGa2 4 原料粉末の純
度を高めることにより、焼結ターゲットの純度も高める
ことができ、上述した青色発光の純度を良好にすること
ができる。請求項4に記載の発明においては、焼結ター
ゲットを主成分であるCaGa24 にガリウム化合物
を混合して製造することを特徴としている。
【0014】このように、ガリウム化合物を混合するこ
とにより、発光層中のGaの量を適量にして、青色発光
純度を一層良好にすることができる。このようなガリウ
ム化合物としては、請求項8に記載の発明のように、G
aS、Ga2 3 、Ga2 3 のいずれか1つ、もしく
はそれらの混合物を用いることができる。請求項5に記
載の発明においては、発光層が、Ceを発光中心として
添加したCa1-P Srp Ga2 4 (0.15≦p≦
0.6)よりなり、発光層のX線回折スペクトルに現れ
るSrGa2 4 (422)面X線回折ピーク強度I3
に対するCaS(200)面X線回折ピーク強度I2
比I2 /I3 が0. 1以下であることを特徴としてい
る。
【0015】発光層のX線回折スペクトルに現れるSr
Ga2 4 回折ピーク強度に対してCaS回折ピーク強
度が一定値以下に規定されることにより、発光層中に不
純物として存在するCaSの量が一定量以下に抑えられ
る。その結果、CaS:Ceに起因する緑色EL発光成
分が減少し、色純度の良い青色EL発光を得ることがで
きる。
【0016】請求項6に記載の発明においては、Ceを
発光中心として添加したCa1-P Srp Ga2 4
(0.15≦p≦0.6)を主成分とし、X線回折スペ
クトルに現れるCaGa2 4 (400)面X線回折ピ
ーク強度I1 に対するCaS(200)面X線回折ピー
ク強度I2 の比I2 /I1 が0. 5以下となる焼結ター
ゲットを用いて、スパッタ法により前記発光層を形成す
るEL素子の製造方法を特徴としている。
【0017】この製造方法においても、請求項2に記載
の発明と同様、不純物CaSの混入が少ないスパッタタ
ーゲットを用いることによって、発光層中にCaSが成
長してくる割合を減らし、CaSの存在量の少ない発光
層として、EL素子の青色発光の色純度を良好なものと
することができる。請求項7に記載の発明においては、
請求項4に記載の発明と同様に、焼結ターゲットに、ガ
リウム化合物を添加して製造することにより、発光層中
のGaの量を適量にして、青色発光純度を一層良好にす
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な実施形態
に基づいて説明する。 (第1実施形態)図1は、本発明に係わるEL素子10
の断面を示した模式図である。なお、図1のEL素子1
0では、矢印方向に光を取り出している。
【0019】薄膜EL素子10は、絶縁性基板であるガ
ラス基板1上に、光学的に透明なZnO(酸化亜鉛)か
らなる第1透明電極(第1電極)2、光学的に透明なS
rTiO3 (チタン酸ストロンチウム)からなる第1絶
縁層3、発光中心としてCeを添加したCaGa2 4
からなる発光層4、光学的に透明なSrTiO3 からな
る第2絶縁層5および光学的に透明なZnOからなる第
2透明電極(第2電極)6が順次積層されて形成されて
いる。
【0020】各層の膜厚は、第1、第2透明電極2、6
がそれぞれ300nm、第1、第2絶縁層3、5がそれ
ぞれ500nmおよび発光層4が600nmである。な
お、これら各層の膜厚は、ガラス基板1の中央の部分を
基準としている。次に、上記薄膜EL素子10の製造方
法について説明する。先ず、ガラス基板1上に第1透明
電極2を成膜した。蒸着材料としては、ZnO粉末にG
2 3 (酸化ガリウム)を加えて混合し、ペレット状
に成形したものを用い、成膜装置としてはイオンプレー
ティング装置を用いた。具体的には、上記ガラス基板1
の温度を一定に保持したままイオンプレーティング装置
内を真空に排気した。その後、アルゴン(Ar)ガスを
導入して圧力を一定に保ち、成膜速度が6〜18nm/
minの範囲となるようにビーム電力および高周波電力
を調整した。
【0021】次に、上記第1透明電極2上に、SrTi
3 からなる第1絶縁層3をスパッタ法により形成し
た。具体的には、上記ガラス基板1の温度を一定に保持
し、スパッタ装置内にArとO2 (酸素)の混合ガスを
導入し、1kWの高周波電力で成膜を行った。上記第1
絶縁層3上に、CaGa2 4 を母体材料とし、発光中
心としてCeを添加したCaGa24 :Ce発光層4
を、スパッタ法を用いて形成した。
【0022】具体的には、上記ガラス基板1を300℃
の一定温度に保持し、Arに20mol%の割合でH2
S(硫化水素)を混合したガスを成膜室内に導入し、3
00Wの高周波電力で成膜を行った。このとき、スパッ
タターゲットには、発光中心としてCeを添加したCa
Ga24 :Ce焼結体を用いた。なお、スパッタガス
中のH2 S濃度は、5mol%以上30mol%以下で
あることが望ましい。
【0023】次に、スパッタ成膜したCaGa24
Ce発光層4を、20mol%の割合でH2 Sを含むA
r雰囲気中で、630℃、30分間熱処理した。この結
果、上記スパッタ成膜直後には非晶質で発光を示さなか
ったCaGa24 :Ce発光層4が、結晶化し発光を
示すようになった。次に、上記発光層4上に、SrTi
3 からなる第2絶縁層5を上述の第1絶縁層3と同様
の方法で形成した。そして、ZnO膜からなる第2透明
電極6を、上述の第1透明電極2と同様の方法により、
第2絶縁層5上に形成した。
【0024】このような薄膜EL素子10の製造につい
て、X線回折スペクトルによる検討を行った。なお、以
下の説明において、X線回折スペクトルのCaGa2
4 (400)面回折ピーク強度をI1 、 CaS(20
0)面回折ピーク強度をI2 と表記する。焼結ターゲッ
トの製造には、図2のX線回折スペクトルに示されるよ
うに、I 2 /I1 比が殆ど0の純度の高いCaGa2
4 原料粉末を用いた。これに発光中心を形成するための
CeF3 (フッ化セリウム)を2重量%添加して、H2
S中で焼成した後、通常知られている方法にて焼結ター
ゲットを製造した。
【0025】製造された焼結ターゲットのX線回折スペ
クトルは、図2に示すX線回折スペクトルと同じ特性を
示しており、従ってI2 /I1 比は殆ど0であった。こ
の焼結ターゲットを用いてスパッタ成膜され、熱処理さ
れた発光層4のX線回折スペクトルを図3に示す。発光
層のI2 /I1 比はおよそ0. 05である。このように
して製造されたEL素子10のCIE色度座標は、x=
0. 15、y=0. 17であり、その青色純度は従来の
ものより改善されている。
【0026】このように発光層のI2 /I1 比を低くす
ることにより、CaS:Ceに起因する緑色発光成分が
減少し、色純度の良い青色EL発光を得ることができ
る。また、他の実施形態として、焼結ターゲットを製造
する際、上記した原料粉末に5重量%のGa2 3 (硫
化ガリウム(III ))をさらに添加した。製造された焼
結ターゲットのI2 /I1 比は殆ど0であった。
【0027】この焼結ターゲットを用いてスパッタ成膜
され、熱処理された発光層4のI2/I1 比は0. 01
以下であり、これを用いたEL素子のCIE色度座標は
x=0.15、y=0.16であった。従って、Ga2
3 を入れることにより、発光層中のGaが適量にな
り、上記したものよりも一層青色純度を向上させること
ができる。
【0028】なお、焼結ターゲットにおいて、主成分で
あるCaGa2 4 に添加する過剰量のガリウム化合物
としては、上記したGa2 3 以外に、GaS(硫化ガ
リウム(II))、Ga2 3 (酸化ガリウム(III ))
のいずれか、もしくはそれらの混合物であってもよく、
その場合、添加する過剰量は、1重量%以上10重量%
以下であることが望ましい。
【0029】次に、発光層のI2 /I1 比と青色純度と
の関係について説明する。上記実施形態で用いたような
2 /I1 が殆ど0であるCaGa2 4 原料粉末に、
さらに意図的にCaSを添加して焼結ターゲットを製造
し、これによりスパッタ成膜して、様々なI2 /I1
を持った発光層を形成し、そのEL発光を調べた。
【0030】図4に、発光層のI2 /I1 比の変化に対
するCIE色度のy座標の変化を示す。x座標に関して
は、I2 /I1 比が変化しても0.15のままで変化し
ないことを確認している。この図からわかるように、従
来y=0. 19であったものが、発光層のI2 /I1
の減少に伴いy=0. 16程度になる。従って、発光層
のI2 /I1 を0. 1以下とすれば、従来のものより青
色純度を向上させることができる。
【0031】次に、焼結ターゲットおよびその製造に用
いるCaGa2 4 原料粉末のI2/I1 比について検
討を行った。上記と同様、I2 /I1 が殆ど0のCaG
2 4 原料粉末にCeF3 を添加し、さらに意図的に
CaSを添加して、原料粉末のI2 /I1 比を変化させ
た。なお、原料粉末のI2 /I1 比と焼結ターゲットの
2 /I1 比は殆ど同じである。そして、様々なI2
1 比を持つ焼結ターゲットを用いてEL素子を製造
し、そのEL発光を調べた。なお、この検討において
は、CaGa2 4 原料粉末にGa2 3 を添加してい
ないものを用いた。
【0032】図5に焼結ターゲットのI2 /I1 比の変
化に対するCIE色度のy座標の変化を示す。この図か
らわかるように、従来y=0. 19であったものが、I
2 /I1 比の減少に伴いy=0. 17程度になる。従っ
て、焼結ターゲットのI2 /I1 比を0. 5以下とすれ
ば、従来のものより青色純度を向上させることができ
る。なお、CaGa2 4 原料粉末にGa2 3 を添加
した場合には、図5に示す結果に対し、青色純度が一層
良くなる。
【0033】なお、上記実施形態では、CaGa
2 4 :CeEL素子について述べたが、SrGa2
4 :CeEL素子、BaGa2 4 :CeEL素子につ
いても、SrS、BaSの存在量を一定値以下に抑える
ことによって、青色純度を同様に向上させることができ
る。 (第2実施形態)この第2実施形態においては、EL素
子10における発光層4を、Ca1-p Srp Ga
2 4 :Ce発光層としたもので、他の構成およびその
製造方法は第1実施形態と同じである。
【0034】この実施形態における発光層4の焼結ター
ゲットとしては、CaGa2 4 とSrGa2 4 とを
等モル量混合し、これらに発光中心としてCeF3 を4
mol%、Ga2 3 を4mol%添加し、H2 S中に
て焼成して得たものを使用した。なお、焼結ターゲット
の製造に用いたCaGa2 4 原料粉末は、第1実施形
態と同様に、I2 /I1 比が殆ど0の純度の高いものを
用いた。
【0035】このような方法にて得られた焼結ターゲッ
トの組成は、Ca0.5 Sr0.5 Ga 2 4 :Ceであ
り、焼結ターゲットのX線回折スペクトルは、I2 /I
1 比が殆ど0であった。但し、焼結ターゲットのX線回
折スペクトルには、CaGa2 4 とSrGa 2 4
両方のピークが現れた。従って、焼結ターゲットについ
ては、CaGa 2 4 とSrGa2 4 が混在している
ので、第1実施形態と同様、I2 /I1比を0. 5以下
とすれば、青色純度を向上させることができる。
【0036】この焼結ターゲットを用いて発光層4をス
パッタ成膜した。具体的には、第1実施形態と同様に、
ガラス基板1を300℃の一定温度に保持し、Arに2
0mol%の割合でH2 Sを混合したガスを成膜室内に
導入し、300Wの高周波電力で成膜を行った。次に、
スパッタ成膜したCa0.5 Sr0.5 Ga2 4 :Ce発
光層4を、20mol%の割合でH2 Sを含むAr雰囲
気中で、630℃、30分間熱処理した。この結果、ス
パッタ成膜直後には非晶質で発光を示さなかったCa
0.5 Sr0. 5 Ga2 4 :Ce発光層4が、結晶化し発
光を示すようになった。
【0037】なお、第1透明電極2、第1絶縁層3、第
2絶縁層5、および第2透明電極6は、第1実施形態と
同じ方法、同じ材料を用いて形成した。図6に、上記し
た熱処理後のCa0.5 Sr0.5 Ga2 4 :Ce発光層
4のX線回折スペクトルを示す。この図6から理解され
る如く、SrGa2 4 のピークが現れ、CaGa2
4 のピークは現れなかった。また、第1実施形態とは異
なり、SrGa2 4 においては、(422)面回折ピ
ークが主ピークになる傾向が観察された。
【0038】従って、この第2実施形態のようにCaの
一部をSrで置換した発光層は、SrGa2 4 (42
2)面回折ピーク強度I3 を用いてI2 /I3 比につい
て評価する必要がある。上記のようにして製造された発
光層4では、I2 /I3 比はおよそ0.07であった。
また、EL素子10のCIE色度座標は、x=0.1
5、y=0.14であった。
【0039】上記した例では、Ca1-p Srp Ga2
4 :Ce発光層において、pが0.5の場合を示した
が、そのpの値は、輝度との関係で0.15≦p≦0.
6の範囲とするのが望ましい。その範囲内であれば安定
した輝度が得られることを確認している。図7に、pの
値を固定した場合における、Ca0.5 Sr0.5 Ga2
4 :Ce発光層のI2 /I3 比に対するCIE色度座標
のy座標の変化を示す。この図7から、I2 /I3 比が
0.1を越えると、CaS:Ceに起因する緑色発光の
ために青色純度が急激に悪くなることがわかる。従っ
て、I2 /I3 比は0.1以下が望ましい。
【0040】なお、この第2実施形態においても、主成
分であるCa1-P Srp Ga2 4(0.15≦p≦
0.6)に添加する過剰量のガリウム化合物としては、
第1実施形態と同様、Ga2 3 以外に、GaS、Ga
2 3 のいずれか、もしくはそれらの混合物を用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すEL素子の断面を
示した模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における焼結ターゲット
の製造に用いるCaGa2 4原料粉末のX線回折スペ
クトルを示す図である。
【図3】図2に示す焼結ターゲットを用いて形成された
発光層のX線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態における発光層のI2
1 比の変化に対するCIE色度のy座標の変化を示す
図である。
【図5】本発明の第1実施形態における焼結ターゲット
のI2 /I1 比の変化に対するCIE色度のy座標の変
化を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態における発光層のX線回
折スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における発光層のI2
3 比の変化に対するCIE色度のy座標の変化を示す
図である。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…第1電極、3…第1絶縁層、4…
発光層、5…第2絶縁層、6…第2電極、10…EL素
子。
フロントページの続き (72)発明者 服部 正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−65478(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 33/14 C09K 11/00 H05B 33/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に発光層を有したエレクトロルミ
    ネッセンス素子において、 前記発光層が、Ceを発光中心として添加したCaGa
    2 S4 よりなり、前記発光層のX線回折スペクトルに現
    れるCaGa2 S4 (400)面X線回折ピーク強度I
    1 に対するCaS(200)面X線回折ピーク強度I2
    の比I2 /I1 が0. 1以下であることを特徴とするエ
    レクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】 基板上に発光層を有したエレクトロルミ
    ネッセンス素子の製造方法において、 Ceを発光中心として添加したCaGa2 S4 を主成分
    とし、X線回折スペクトルに現れるCaGa2 S4 (4
    00)面X線回折ピーク強度I1 に対するCaS(20
    0)面X線回折ピーク強度I2 の比I2 /I1 が0. 5
    以下となる焼結ターゲットを用いて、スパッタ法により
    前記発光層を形成したことを特徴とするエレクトロルミ
    ネッセンス素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼結ターゲットの製造に用いられる
    CaGa2 S4 原料粉末のX線回折スペクトルに現れる
    CaGa2 S4 (400)面X線回折ピーク強度I1 に
    対するCaS(200)面X線回折ピーク強度I2 の比
    I2 /I1 が0. 5以下であることを特徴とする請求項
    2に記載のエレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記焼結ターゲットは、主成分であるC
    aGa2 S4 にガリウム化合物を混合して製造されたも
    のであることを特徴とする請求項2又は3に記載のエレ
    クトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板上に発光層を有したエレクトロルミ
    ネッセンス素子において、 前記発光層が、Ceを発光中心として添加したCa1-P
    Srp Ga2 S4 (0.15≦p≦0.6)よりなり、
    前記発光層のX線回折スペクトルに現れるSrGa2 S
    4 (422)面X線回折ピーク強度I3 に対するCaS
    (200)面X線回折ピーク強度I2 の比I2 /I3 が
    0. 1以下であることを特徴とするエレクトロルミネッ
    センス素子。
  6. 【請求項6】 基板上に発光層を有したエレクトロルミ
    ネッセンス素子の製造方法において、 Ceを発光中心として添加したCa1-P Srp Ga2 S
    4 (0.15≦p≦0.6)を主成分とし、X線回折ス
    ペクトルに現れるCaGa2 S4 (400)面X線回折
    ピーク強度I1 に対するCaS(200)面X線回折ピ
    ーク強度I2 の比I2 /I1 が0. 5以下となる焼結タ
    ーゲットを用いて、スパッタ法により前記発光層を形成
    したことを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記焼結ターゲットは、主成分であるC
    a1-P Srp Ga2S4 (0.15≦p≦0.6)にガ
    リウム化合物を混合して製造されたものであることを特
    徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ガリウム化合物は、GaS、Ga2
    S3 、Ga2 O3 のいずれか1つ、もしくはそれらの混
    合物であることを特徴とする請求項4又は7に記載のエ
    レクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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