JP2819031B2 - マイクロ波プラズマcvd法により大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方法及び装置 - Google Patents

マイクロ波プラズマcvd法により大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、大面積に亘って均一なマイクロ波プラズマ
を生起させ、これにより引き起されるプラズマ反応によ
り、原料ガスを分解、励起させることによって大面積の
機能性堆積膜を連続的に形成する方法及び装置に関す
る。
更に詳しくは、前記原料ガスの利用効率を飛躍的に高
め、且つ高速で均一性の良い機能性堆積膜を大面積に亘
って連続的に形成することが出来る方法及び装置であっ
て、具体的には光起電力素子等の大面積薄膜半導体デバ
イスの量産化を低コストで実現させ得るものである。
〔従来技術の説明〕 近年、全世界的に電力需要が急激に増大し、そうした
需要をまかなうべく電力生産が活発化するに及んで環境
汚染の問題が深刻化して来ている。
因に、火力発電に代替する発電方式として期待され、
すでに実用期に入ってきている原子力発電においては、
チェルノブイリ原子力発電所事故に代表されるように重
大な放射能汚染が人体に被害を与えると共に自然環境を
侵す事態が発生し、原子力発電の今後の普及が危ぶま
れ、現実に原子力発電所の新設を禁止する法令を定めた
国さえ出て来ている。
又、火力発電にしても増大する電力需要をまかなう上
から石炭、石油に代表される化石燃料の使用量は増加の
一途をたどり、それにつれて排出される二酸化炭素の量
が増大し、大気中の二酸化炭素等の温室効果ガス濃度を
上昇させ、地球温暖化現象を招き、地球の年平均気温は
確実に上昇の一途をたどっており、IEA(International
Energy Agency)では2005年までに二酸化炭素の排出量
を20%削減することを提言している。
こうした背景のある一方、開発途上国における人口増
加、そして、それに伴う電力需要の増大は必至であり、
先進諸国における今後更なる生活様式のエレクトロニク
ス化の促進による人口一人当りの電力消費量の増大と相
まって、電力供給問題は地球規模で検討されねばならな
い状況になってきている。
このような状況下で、太陽光を利用する太陽電池によ
る発電方式は、前述した放射能汚染や地球温暖化等の問
題を惹起することはなく、また、太陽光は地球上至ると
ころに降り注いでいるためエネルギー源の偏在が少な
く、さらには、複雑な大型の設備を必要とせず比較的高
い発電効率が得られる等、今後の電力需要の増大に対し
ても、環境破壊を引き起こすことなく対応できるクリー
ンな発電方式として注目を集め、実用化に向けて様々な
研究開発がなされている。
ところで、太陽電池を用いる発電方式については、そ
れを電力需要を賄うものとして確立させるためには、使
用する太陽電池が、光電変換効率が充分に高く、特性安
定性に優れたものであり、且つ大量生産し得るものであ
ることが基本的に要求される。
因に、一般的な家庭において必要な電力を賄うには、
一世帯あたり3kW程度の出力の太陽電池が必要とされる
ところ、その太陽電池の光電変換効率が例えば10%程度
であるとすると、必要な出力を得るための前記太陽電池
の面積は30m2程度となる。そして、例えば十万世帯の家
庭において必要な電力を供給するには3,000,000m2とい
った面積の太陽電池が必要となる。
こうしたことから、容易に入手できるシラン等の気体
状の原料ガスを使用し、これをグロー放電分解して、ガ
ラスや金属シート等の比較的安価な基板上にアモルファ
スシリコン等の半導体薄膜を堆積させることにより作製
できる太陽電池が、量産性に富み、単結晶シリコン等を
用いて作製される太陽電池に比較して低コストで生産が
できる可能性があるとして注目され、その製造方法につ
いて各種の提案がなされている。
太陽電池を用いる発電方式にあっては、単位モジュー
ルを直列又は並列に接続し、ユニット化して所望の電
流、電圧を得る形式が採用されることが多く、各モジュ
ールにおいては断線やショートが生起しないことが要求
される。加えて、各モジュール間の出力電圧や出力電流
のばらつきのないことが重要である。こうしたことか
ら、少なくとも単位モジュールを作製する段階でその最
大の特性決定要素である半導体層そのものの特性均一性
確保されていることが要求される。そして、モジュール
設計をし易くし、且つモジュール組立工程の簡略化でき
るようにする観点から大面積に亘って特性均一性の優れ
た半導体堆積膜が提供されることが太陽電池の量産性を
高め、生産コストの大幅な低減を達成せしめるについて
要求される。
太陽電池については、その重要な構成要素たる半導体
層は、いわゆるpn接合、pin接合等の半導体接合がなさ
れている。それらの半導体接合は、導電型の異なる半導
体層を順次積層したり、一導電型の半導体層中に異なる
導電型のドーパントをイオン打込み法等によって打込ん
だり、熱拡散によって拡散させたりすることにより達成
される。
この点を、前述した注目されているアモルファスシリ
コン等の薄膜半導体を用いた太陽電池についてみると、
その作製においては、ホスフィン(PH3),ジボラン(B
2H6)等のドーパントとなる元素を含む原料ガスを主原
料ガスであるシラン等に混合してグロー放電分解するこ
とにより所望の導電型を有する半導体膜が得られ、所望
の基板上にこれらの半導体膜を順次積層形成することに
よって容易に半導体接合が達成できることが知られてい
る。そしてこのことから、アモルファスシリコン系の太
陽電池を作製するにつれて、その各々の半導体層形成用
の独立した成膜室を設け、該成膜室にて各々の半導体層
の形成を行う方法が提案されている。
因に、米国特許第4,400,409号明細書には、ロール・
ツー・ロール(Roll to Roll)方式を採用した連続プラ
ズマCVD装置が開示されている。この装置によれば、複
数のグロー放電領域を設け、所望の幅の十分に長い可撓
性の基板を、該基板が前記各グロー放電領域を順次貫通
する経路に沿って配置し、前記各グロー放電領域におい
て必要とされる導電型の半導体層を堆積形成しつつ、前
記基板をその長手方向に連続的に搬送せしめることによ
って、半導体接合を有する素子を連続形成することがで
きるとされている。なお、該明細書においては、各半導
体層形成時に用いるドーパントガスが他のグロー放電領
域へ拡散、混入するのを防止するにはガスゲートが用い
られている。具体的には、前記各グロー放電領域同志
を、スリット状の分離通路によって相互に分離し、さら
に該分離通路に例えばAr,H2等の掃気用ガスの流れを形
成させる手段が採用されている。こうしたことからこの
ロール・ツー・ロール方式は、半導体素子の量産に適す
る方式であると言えよう。
しかしながら、前記各半導体層の形成はRF(ラジオ周
波数)を用いたプラズマCVD法によって行われるとこ
ろ、連続的に形成される膜の特性を維持しつつその膜堆
積速度の向上を図るにはおのずと限界がある。即ち、例
えば膜厚が高々5000Åの半導体層を形成する場合であっ
ても相当長尺で、大面積にわたって常時所定のプラズマ
を生起し、且つ該プラズマを均一に維持する必要があ
る。ところが、そのようにするについては可成りの熟練
を必要とし、その為に関係する種々のプラズマ制御パラ
メーターを一般化するのは困難である。また、用いる成
膜用原料ガスの分解効率及び利用効率は高くはなく、生
産コストを引き上げる要因の一つともなっている。
また他に、特開昭61−288074号公報には、改良された
ロール・ツー・ロール方式を用いた堆積膜形成装置が開
示されている。この装置においては、反応容器内に設置
されたフレキシブルな連続シート状基板の一部にホロ様
たるみ部を形成し、この中に前記反応容器とは異なる活
性化空間にて生成された活性種及び必要に応じて他の原
料ガスを導入し熱エネルギーにより化学的相互作用をせ
しめ、前記ホロ様たるみ部を形成しているシート状基板
の内面に堆積膜を形成することを特徴としている。この
ようにホロ様たるみ部の内面に堆積を行うことにより、
装置のコンパクト化が可能となる。さらに、あらかじめ
活性化された活性種を用いるので、従来の堆積膜形成装
置に比較して成膜速度を早めることができる。
ところが、この装置はあくまで熱エネルギーの存在下
での化学的相互作用による堆積膜形成反応を利用したも
のであり、更なる成膜速度の向上を図るには、活性種の
導入量及び熱エネルギーの供給量を増やすことが必要で
あるが、熱エネルギーを大量且つ均一に供給する方法
や、反応性の高い活性種を大量に発生させて反応空間に
ロスなく導入する方法にも限界がある。
一方、最近注目されているのが、マイクロ波を用いた
プラズマプロセスである。マイクロ波は周波数帯が短い
ため従来のRFを用いた場合よりもエネルギー密度を高め
ることが可能であり、プラズマを効率良く発生させ、持
続させることに適している。
例えば、米国特許第4,517,223号明細書及び同第4,50
4,518号明細書には、低圧下でのマイクロ波グロー放電
プラズマ内で小面積の基体上に薄膜を堆積形成させる方
法が開示されているが、該方法によれば、低圧下でのプ
ロセス故、膜特性の低下の原因となる活性種のポリマリ
ゼーションを防ぎ高品質の堆積膜が得られるばかりでな
く、プラズマ中でのポリシラン等の粉末の発生を抑え、
且つ、堆積速度の飛躍的向上が図れるとされてはいるも
のの、大面積に亘って均一な堆積膜形成を行うにあたっ
ての具体的開示はなされていない。
一方、米国特許第4,729,341号明細書には、一対の放
射型導波管アプリケーターを用いた高パワープロセスに
よって、大面積の円筒形基体上に光導電性半導体薄膜を
堆積形成させる低圧マイクロ波プラズマCVD法及び装置
が開示されているが、大面積基体としては円筒形の基
体、即ち、電子写真用光受容体としてのドラムに限られ
ており、大面積且つ長尺の基体への適用はなされていな
い。
また、堆積膜の製造工程はバッチ式であって、一回の
仕込みで形成される堆積膜の量は限られており、大面積
の基板上に大量に堆積膜を連続して形成する方法に関す
る開示はない。
ところで、マイクロ波を用いたプラズマはマイクロ波
の波長が短いためエネルギーの不均一性が生じやすく大
面積化に対しては、解決されねばならない問題点が種々
残されている。
例えば、マイクロ波エネルギーの均一化に対する有効
な手段として遅波回路の利用があるが、該遅波回路には
マイクロ波アプリケーターの横方向への距離の増加に伴
いプラズマへのマイクロ波結合の急激な低下が生じると
いった独特の問題点を有している。そこで、この問題点
を解決する手段として、被処理体と遅波回路との距離を
変える基体の表面近傍でのエネルギー密度を均一にする
方法が試みられている。例えば、米国特許第3,814,983
号明細書及び同第4,521,717号明細書には、そうした方
法が開示されている。そして前者においては、基体に対
してある角度に遅波回路を傾斜させる必要性があること
が記載されているが、プラズマに対するマイクロ波エネ
ルギーの伝達効率は満足のゆくものではない。また、後
者にあっては、基体とは平行な面内に、非平行に2つの
遅波回路を設けることが開示されている。即ち、マイク
ロ波アプリケーターの中央に垂直な平面同志が、被処理
基板に平行な面内で、且つ基板の移動方向に対して直角
な直線上で互いに交わるように配置することが望ましい
こと、そして2つのアプリケーター間の干渉を避けるた
め、アプリケーター同志を導波管のクロスバーの半分の
長さだけ基体の移動方向に対して横にずらして配設する
ことのそれぞれが開示されている。
また、プラズマの均一性(即ち、エネルギーの均一
性)を保持するようにするについての提案がいくつかな
されている。それらの提案は、例えば、ジャーナル・オ
ブ・バキューム・サイエンス・テクノロジィー(Journa
l of Vacuum Science Technology)B−4(1986年1月
〜2月)295頁−298頁および同誌のB−4(1986年1月
〜2月)126頁−130頁に記載された報告に見られる。こ
れらの報告によれば、マイクロ波プラズマ・ディスク・
ソース(MPDS)と呼ばれるマイクロ波リアクタが提案さ
れている。即ち、プラズマは円板状あるいはタブレット
状の形をなしていて、その直径はマイクロ波周波数の関
数となっているとしている。そしてそれら報告は次のよ
うな内容を開示している。即ち、まず、プラズマ・ディ
スク・ソースをマイクロ波周波数によって変化させるこ
とができるという点にある。ところが、2.45GHzで作動
できるように設計したマイクロ波プラズマ・ディスク・
ソースにおいては、プラズマの閉じ込め直径はたかだか
10cm程度であり、プラズマ体積にしてもせいぜい118cm3
程度であって、大面積化とは到底言えない。また、前記
報告は、915MHzという低い周波数で作動するように設計
したシステムでは、周波数を低くすることで約40cmのプ
ラズマ直径、及び2000cm3のプラズマ体積が与えられる
としている。前記報告は更に、より低い周波数、例え
ば、400MHzで作動させることにより1mを超える直径まで
放電を拡大できるとしている。ところがこの内容を達成
する装置となると極めて高価な特定のものが要求され
る。
即ち、マイクロ波の周波数を低くすることで、プラズ
マの大面積化は達成できるが、このような周波数域での
高出力のマイクロ波電源は一般化されてはいなく、入手
困難であり入手出来得たとしても極めて高価である。そ
してまた、周波数可変式の高出力のマイクロ波電源は更
に入手困難である。
同様に、マイクロ波を用いて高密度プラズマを効率的
に生成する手段として、空胴共振器の周囲に電磁石を配
置し、ECR(電子サイクロトロン共鳴)条件を成立させ
る方法が特開昭55−141729号公報及び特開昭57−133636
号公報等により提案されており、また学会等ではこの高
密度プラズマを利用して各種の半導体薄膜が形成される
ことが多数報告されており、すでにこの種のマイクロ波
ECRプラズマCVD装置が市販されるに至っている。
ところが、これらのECRを用いた方法においては、プ
ラズマの制御に磁石を用いているため、マイクロ波の波
長に起因するプラズマの不均一性に、更に、磁界分布の
不均一性も加わって、大面積の基板上に均一な堆積膜を
形成するのは技術的に困難とされている。また、大面積
化のため装置を大型化する場合には、おのずと用いる電
磁石も大型化し、それに伴う重量及びスペースの増大、
また、発熱対策や大電流の直流安定化電源の必要性等実
用化に対しては解決されねばならない問題が種々残され
ている。
更に、形成される堆積膜についても、その特性は従来
のRFプラズマCVD法にて形成されるものと比較して同等
と言えるレベルには至っておらず、また、ECR条件の成
立する空間で形成される堆積膜とECR条件外のいわゆる
発散磁界空間で形成される堆積膜とでは特性及び堆積速
度が極端に異なるため、特に高品質、均一性が強く要求
される半導体デバイスの作製に適している方法とは言え
ない。
前述の米国特許第4,517,223号明細書及び同第4,729,3
41号明細書では、高密度のプラズマを得るについては、
非常に低い圧力を維持する必要性があることが開示され
ている。即ち、堆積速度を早めたり、ガス利用効率を高
めるためには低圧下でのプロセスが必要不可欠であると
している。しかしながら、高堆積速度、高ガス利用効
率、高パワー密度及び低圧の関係を維持するには、前述
の特許に開示された遅波回路及び電子サイクロトロン共
鳴法のいずれをしても十分とは言えないものである。
従って、上述したマイクロ波手段の持つ種々の問題点
を解決した新規なマイクロ波プラズマプロセスの早期提
供が望まれている。
ところで、薄膜半導体は前述した太陽電池用の用途の
他にも、液晶ディスプレイの画素を駆動するための薄膜
トランジスタ(TFT)や密着型イメージセンサー用の光
電変換素子及びスイッチング素子等大面積又は長尺であ
ることが必要な薄膜半導体デバイス作製用にも好適に用
いられ、前記画像入出力装置用のキーコンポーネントと
して一部実用化されているが、高品質で均一性良く高速
で大面積化できる新規な堆積膜形成法の提供によって、
更に広く一般に普及されるようになることが期待されて
いる。
〔発明の目的〕
本発明は、上述のごとき従来の薄膜半導体デバイス形
成方法及び装置における諸問題を克服して、大面積に亘
って均一に、且つ高速で高品質の機能性堆積膜を形成す
る新規な方法及び装置を提供することを目的とするもの
である。
本発明の他の目的は、帯状部材上に連続して高品質の
機能性堆積膜を形成する方法及び装置を提供することに
ある。
本発明の更なる目的は、堆積膜形成用の原料ガスの利
用効率を飛躍的に高めると共に、薄膜半導体デバイスの
量産化を低コストで実現し得る方法及び装置を提供する
ことにある。
本発明の更に別の目的は、大面積、大容積に亘ってほ
ぼ均一なマイクロ波プラズマを生起させる方法及び装置
を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、大面積、大容積に亘って生
起させたマイクロ波プラズマのプラズマ電位を均一に再
現性良く、安定して制御する方法及び装置を提供するこ
とにある。
本発明の更なる目的は、マイクロ波プラズマのプラズ
マ電位を制御することにより、高品質で、特性均一性に
優れた機能性堆積膜を形成させるための新規な方法及び
装置を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、比較的幅広で長尺の基板上
に連続して安定性良く、高効率で高い光電変換効率の光
起電力素子を形成するための新規な方法及び装置を提供
するものである。
〔発明の構成・効果〕
本発明者らは、従来の薄膜半導体デバイス形成装置に
おける上述の諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成
すべく鋭意研究を重ねたところ、帯状部材を湾曲開始端
形成用の支持・搬送用ローラー湾曲部形成用の支持・搬
送用リング、及び湾曲終了端形成用の支持・搬送用ロー
ラーを介し、前記支持・搬送用ローラー同志の間には隙
間を残して湾曲させ、前記帯状部材を側壁とした柱状の
成膜室を形成し、前記成膜室の両端面にはマイクロ波エ
ネルギーをマイクロ波の進行方向に対して平行な方向に
放射させるようにしたマイクロ波アプリケーター手段を
対向して一対配設し、更に、前記成膜室内に堆積膜形成
用の原料ガスを導入し、前記一対の支持・搬送用ローラ
ー同志の間に残された間隙より排気して前記成膜室内の
圧力を所定の減圧下に保持し、前記マイクロ波アプリケ
ーター手段よりマイクロ波エネルギーを前記側壁とほぼ
平行に放射せしめ、更に、前記帯状部材とは分離して配
設したバイアス印加手段にバイアス電圧を印加せしめた
ところ、前記成膜空間内において前記帯状部材の幅方向
にほぼ均一なマイクロ波プラズマを生起でき、且つその
プラズマ電位を制御し得るという知見を得た。
本発明は、上述の知見に基づき更に検討を重ねた結果
完成に至ったものであり、下述するところを骨子とする
マイクロ波プラズマCVD法により大面積の機能性堆積膜
を連続的に形成する方法及び装置を包含する。
本発明の方法は、以下のとおりのものである。即ち、
長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中途で前記帯状
部材上を側壁とする成膜空間を形成し、該形成された成
膜空間内にガス供給手段を介して堆積膜形成用原料ガス
を導入し、同時に、該成膜空間の両側からマイクロ波エ
ネルギーをマイクロ波の進行方向に対して平行な方向に
放射させるようにしたマイクロ波アプリケーター手段に
より、該マイクロ波エネルギーを該成膜空間内に放射さ
せてマイクロ波プラズマを該成膜空間内に生起せしめ、
前記マイクロ波プラズマのプラズマ電位を制御しなが
ら、該マイクロ波プラズマに曝される前記側壁を構成す
る該帯状部材上に堆積膜を形成することを特徴とするマ
イクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成方法である。
本発明の方法においては、前記移動する帯状部材はそ
の中途において、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成
手段とを用いて、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終
了端形成手段との間に前記帯状部材の長手方向に間隙を
残して該帯状部材を湾曲させて前記成膜空間の側壁を成
すようにされる。
そして、前記帯状部材を側壁として形成される柱状の
成膜空間の両端面のうち、片側又は両側に配設される、
少なくとも1つ以上の前記マイクロ波アプリケーター手
段を介して、前記マイクロ波エネルギーを前記成膜空間
内に放射させるようにする。
また、前記マイクロ波アプリケーター手段は前記端面
に垂直方向に配設し、前記マイクロ波エネルギーを前記
側壁と平行な方向に放射させるようにする。
本発明の方法においては、前記プラズマ電位は、前記
帯状部材から分離されたバイアス印加手段を介して制御
するようにする。
そして、前記バイアス印加手段は、少なくともその一
部分が前記マイクロ波プラズマに接するように配設し、
前記バイアス印加手段にバイアス電圧を印加させるよう
にするが、前記バイアス印加手段の前記マイクロ波プラ
ズマに接する少なくとも一部分には導電処理を施すよう
にする。
更に、前記バイアス電圧としては直流、脈流及び/又
は交流が好適に用いられる。
本発明の方法においては、前記バイアス印加手段は前
記ガス供給手段を兼ねるようにしても良いし、前記ガス
供給手段から分離して配設するようにしても良い。
そして、前記バイアス印加手段は、単数又は複数のバ
イアス棒で構成させるようにする。
本発明の方法においては、前記プラズマ電位は前記帯
状部材に印加するバイアス電圧によって制御するように
しても良く、前記ガス供給手段は接地電位とし、少なく
ともその一部分が前記マイクロ波プラズマに接するよう
に配設するようにする。
そして、前記ガス供給手段の前記マイクロ波プラズマ
に接する少なくとも一部分には導電処理を施すようにす
る。
本発明の方法においては、前記マイクロ波エネルギー
を前記マイクロ波アプリケーター手段の先端部分に設け
られたマイクロ波透過性部材を介して放射させるように
する。
そして、前記マイクロ波透過性部材にて前記マイクロ
波アプリケーター手段と前記成膜空間との気密を保持さ
せるようにする。
また、前記マイクロ波アプリケーター手段を、前記両
端面において互いに対向して配設させる場合には、一方
のマイクロ波アプリケーター手段より放射されるマイク
ロ波エネルギーが他方のマイクロ波アプリケーター手段
にて受信されないように配置する。
本発明の方法において、前記柱状の成膜空間内に放射
されたマイクロ波エネルギーは、前記成膜空間外へ漏洩
しないようにする。
また、前記成膜空間内に導入された堆積膜形成用原料
ガスは、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形成
手段との間で前記帯状部材の長手方向に残された間隙よ
り排気するようにする。
本発明の方法において、前記帯状部材の前記マイクロ
波プラズマに曝される側の面には少なくとも導電処理を
施すようにする。
更に、本発明の装置は、次のとおりのものである。即
ち、長手方向に帯状部材を移動せしめその中途で前記帯
状部材上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置であって、
該帯状部材を支持するため長手方向にそれらの間に所定
の空間を空けて互いに平行に配されているローラーの組
によって送り出し機構から巻き取り機構に長手方向に移
動する途中に設けられ、該帯状部材が壁として機能して
形成される成膜空間を形成するため該帯状部材を支持す
る成膜空間形成手段、マイクロ波の進行方向に対して平
行な方向にマイクロ波エネルギーを導入して前記成膜空
間内にマイクロ波プラズマを発生するため、該成膜空間
の対向する両側面のそれぞれに接続されたマイクロ波ア
プリケーター手段、前記成膜空間内部を排気するための
排気手段、前記成膜空間内に堆積膜形成原料ガスを導入
するためのガス供給手段、前記マイクロ波プラズマのプ
ラズマ電位を制御するためのバイアス電圧を印加するた
めのバイアス印加手段、前記帯状部材を加熱あるいは冷
却するための温度制御手段、及び該マイクロ波プラズマ
のプラズマ電位を制御するためのバイアス印加手段を有
することを特徴とする堆積膜形成装置である。
本発明の装置において、前記湾曲部形成手段は、少な
くとも一組以上の、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形
成手段とで構成され、前記湾曲開始端形成手段と前記湾
曲終了端形成手段とを、前記帯状部材の長手方向に間隙
を残して配設される。
なお、前記湾曲部形成手段は、少なくとも一対の支持
・搬送用ローラーと支持・搬送用リングとで構成され、
前記一対の支持・搬送用ローラーは前記帯状部材の長手
方向に間隙を残して平行に配設される。
本発明の装置において、前記バイアス印加手段を前記
帯状部材から分離して配設する。
そして、前記バイアス印加手段は、少なくともその一
部分が前記マイクロ波プラズマに接するように配設し、
前記バイアス印加手段にバイアス電圧を印加させるよう
にするが、前記バイアス印加手段の前記マイクロ波プラ
ズマに接する少なくとも一部分には導電処理が施され
る。
更に、前記バイアス電圧としては直流、脈流及び/又
は交流が好適に用いられる。
本発明の装置において、前記バイアス印加手段は前記
ガス供給手段を兼ねても良いし、前記ガス供給手段から
分離して配設されても良い。
前記バイアス印加手段は単数又は複数のバイアス棒で
構成される。
本発明の装置において、前記バイアス印加手段は前記
帯状部材を兼ねて配設する場合には、前記ガス供給手段
を接地し、少なくともその一部分が前記マイクロ波プラ
ズマに接するように配設する。
そして、前記ガス供給手段の前記マイクロ波プラズマ
に接する少なくとも一部分には導電処理を施す。
本発明の装置において、前記帯状部材を側壁として形
成される柱状の成膜室の両端面のうち片側又は両側に、
少なくとも1つ以上の前記マイクロ波アプリケーター手
段が配設される。
そして、前記マイクロ波アプリケーター手段は、前記
端面に垂直方向に配設される。
本発明の装置において、前記マイクロ波アプリケータ
ー手段の先端部分には、前記成膜室と前記マイクロ波ア
プリケーター手段との気密分離を行い、且つ、前記マイ
クロ波アプリケーターから放射されるマイクロ波エネル
ギーを前記成膜室内へ透過せしめるマイクロ波透過性部
材が配設される。
本発明の装置において、前記帯状部材の前記マイクロ
波プラズマに曝される側の面には、少なくとも導電性処
理が施される。
本発明の装置において、前記マイクロ波アプリケータ
ー手段には方形及び/又は楕円導波管を介してマイクロ
波エネルギーが伝送される。
そして、前記マイクロ波アプリケーター手段を前記成
膜室の両端面において互いに対向して配設させる場合に
は、前記マイクロ波アプリケーター手段に接続される前
記方形及び/又は楕円導波管の長辺を含む面同志、長軸
を含む面同志、又は長辺を含む面と長軸を含む面同志が
互いに平行とならないよう配設される。
また、前記方形及び/又は楕円導波管の長辺を含む面
及び/又は長軸を含む面と、前記一対の支持搬送用ロー
ラーの中心軸を含む面とのなす角度が垂直とならないよ
う配設される。
以下、本発明者らが本発明を完成させるにあたり行っ
た実験について詳しく説明する。
〔実験〕
本発明の装置を用いて、帯状部材上に高品質の機能性
堆積膜を均一に形成するための、マイクロ波プラズマの
生起条件について種々実験を行ったので、以下に詳述す
る。
実験例1 本実験例においては、後述する装置例2で示す装置を
用い、また、後述する製造例1で説明する手順でマイク
ロ波プラズマを生起させ、一対の導波管111,112の取り
付け角度の違いによるマイクロ波プラズマの安定性及び
マイクロ波の成膜室外への漏洩度等について検討を行っ
た。
第6図に方形導波管111,112の取り付け角度の説明用
の模式的断面概略図を示した。
実線で示した方形導波管111と点線で示した方形導波
管とは成膜室116の両端面に対向して配設されたマイク
ロ波アプリケーター(不図示)に接続されており、例え
ば、方形導波管111は図面手前側、方形導波管112は奥側
に配設されている。Oは湾曲形状の中心であり、A−
A′は支持・搬送用ローラー102と103との中心軸を含む
面を表しており、これに垂直な面をH−H′とする。そ
して、方形導波管111の長辺を含む面に平行な面B−
B′とH−H′とのなす角度をθとし、これを方形導波
管111の取り付け角度とする。また、方形導波管112の長
辺を含む面に平行な面C−C′とH−H′とのなす角度
をθとし、これを方形導波管112の取り付け角度とす
る。ここで、方形導波管111,112の取り付け角度θ1
が各々180゜を超える場合には、180゜以下の場合のH
−H′に対する対称配置となる故、その配置関係は180
゜以下の場合と同等である。勿論、θとθとは相互
に入れ替えても、対向している故、やはり配置関係は同
等である。
本発明において、支持・搬送用ローラー102,103とで
限定される帯状部材の湾曲端間距離を間隙Lと定義す
る。
第1表に示すマイクロ波プラズマ放電条件にて、第2
表に示す種々のθ1の組み合わせ条件におけるマイ
クロ波プラズマの安定性等について実験、評価を行っ
た。
なお、マイクロ波の漏洩度は支持・搬送用ローラー10
2,103の間隙部分より5cm程度離れた場所にマイクロ波検
知器を設けて評価を行った。
評価結果は第2表に示すとおりであった。
これらの結果から、マイクロ波アプリケーターへの方
形導波管の取り付け角度を変えることによって、マイク
ロ波プラズマの安定性及びマイクロ波の成膜室外への漏
洩度が大きく変化することが判った。具体的には、θ
及び/又はθが0゜の場合には、マイクロ波の漏れ量
が最も大きく、放電状態も不安定であり、15゜程度では
マイクロ波の漏れ量が小さくはなるものの、放電状態は
不安定である。また、30゜以上では、マイクロ波の漏れ
は無くなり放電状態は安定した。ただし、θとθ
がなす角度が0゜又は180゜すなわち、方形導波管の長
辺を含む面が互いに平行な配置となる場合には、マイク
ロ波の漏れ量にかかわらず、発振異常による電源ノイズ
が大きくなり、放電が不安定になる。なお、この放電実
験においては帯状部材101を静止させた場合及び1.2m/mi
nの搬送スピードで搬送させた場合とで行ったが、両者
において放電の安定性については特に差異は認められな
かった。
更に、マイクロ波プラズマ放電条件のうち、原料ガス
の種類及び流量、マイクロ波電力、湾曲形状の内直径、
成膜室内圧等種々変化させた場合においても方形導波管
の配置に起因するマイクロ波の漏れ量及び放電安定性等
について特に差異は認められなかった。
実験例2 本実験例においては、実験例1と同様、装置例2で示
した装置を用い、第6図で示した支持・搬送用ローラー
102,103の間隙Lを変化させたときのマイクロ波プラズ
マの安定性及び膜厚分布への影響等について検討を行っ
た。
間隙Lについては第3表に示した範囲で種々変化させ
て各々約10分間の放電を行った。その他のマイクロ波プ
ラズマ放電条件については第1表に示したのと同様と
し、方形導電管の取り付け角度θ1は共に45゜に配
置した。ただし、成膜室圧力の変化は、排気ポンプの能
力は特に調整せず、間隙Lを大きくすることによってコ
ンダクタンスが大きくなったために生じたものである。
なお、帯状部材101の表面温度が250℃となるように温度
制御機構106a〜eを動作させ、帯状部材の搬送速度は35
cm/minとした。
第3表に、放電状態、膜厚分布等を評価した結果を示
した。
なお、放電状態は目視にて、膜厚分布については、針
ステップ式膜厚計にて帯状部材の幅方向について10点ず
つ、長手方向には20cmごとに測定し、その分布を評価し
た。
これらの結果から、排気ポンプの能力調整は行われ
ず、間隙Lを変化させることによって、成膜室内の圧力
が変化し、それにともない形成される堆積膜の膜厚分布
が、特に帯状部材の幅方向について顕著に変化すること
が判った。また、方形導波管の取り付け角度を実験例1
においてマイクロ波の漏れが起こらなかった配置にして
も、間隙Lを大きくしすぎた場合には、やはりマイクロ
波漏れが生ずることが判った。そして、間隙Lからのマ
イクロ波漏れが少なくなるのは間隙Lの寸法をマイクロ
波の波長の好ましくは1/2波長以下、より好ましくは1/4
波長以下としたときであった。なお、帯状部材の長手方
向での膜厚分布は、帯状部材を搬送している限りほぼ良
好であった。
作製した試料の中で堆積速度が速く、膜厚分布が良好
であった試料No.4の堆積速度は約100Å/secであった。
また、用いた原料ガスの総流量に対して、帯状部材上に
堆積された膜の量より計算される原料ガス利用効率は55
%であった。
更に、マイクロ波プラズマ放電条件のうち、マイクロ
波電力、湾曲形状の内直径等について種々変化させた場
合において、膜厚分布及び放電安定性は若干の変化があ
るものの、間隙Lの大きさに起因する本質的な問題の解
決手段とはなり得なかった。
実験例3 本実験例においては、実験例1と同様、装置例2で示
した装置を用い、形成される湾曲形状の内直径を変化さ
せたときのマイクロ波プラズマの安定性、膜厚分布等に
ついて検討を行った。湾曲形状の内直径については第4
表に示した範囲で種々変化させた以外は、第1表に示し
たマイクロ波プラズマ放電条件と同様とし、また、方形
導波管の取り付け角度θ1は共に45゜に配置した。
なお、放電時間は各々10分間とし、帯状部材の表面温度
は実験例2同様250℃とした。また、帯状部材の搬送速
度は35cm/minとした。
第4表に、放電状態、膜厚分布等を評価した結果を示
した。
なお、放電状態は目視にて、膜厚分布については、針
ステップ式膜厚計にて帯状部材の幅方向について10点ず
つ、長手方向には20cmごとに測定し、その分布を評価し
た。
これらの結果から、他の放電条件は変えず、湾曲形状
の内直径を変化させることによって放電状態が変わり、
形成される堆積膜の膜厚分布が、特に帯状部材の幅方向
について顕著に変化することが判った。なお、帯状部材
長手方向での膜厚分布は、帯状部材を搬送している限り
ほぼ良好であった。
更に、マイクロ波プラズマ放電条件のうち、マイクロ
波電力、成膜室内の圧力等について種々変化させた場合
においても、それぞれのパラメーター変化によって、膜
厚分布及び放電安定性が影響を受けることが判った。
実験例4 本実験例においては、実験例1と同様、装置例2で示
した装置を用い、成膜室内の圧力は一定とし、原料ガス
流量、マイクロ波電力を種々変化させたときのマイクロ
波プラズマの安定性等について検討を行った。成膜室圧
力、原料ガス流量については、第5表に示した範囲で種
々変化させた以外は、第1表に示したマイクロ波プラズ
マ放電条件と同様とし、また、方形導波管の取り付け角
度θ1は共に60゜、60゜に配置した。
第5表に、放電状態を評価した結果を示した。ここ
で、◎は放電安定、○は、微小のチラツキはあるが、ほ
ぼ放電安定、△はややチラツキはあるが使用可能なレベ
ルで放電安定の状態を表している。いずれの場合におい
ても、マイクロ波電力を下げたり、成膜室圧力を下げた
り、原料ガスとしてのH2の流量を増やしたりした場合に
は放電が不安定となるか、放電が生起しなくなるほぼ限
界値を表している。従って、逆にマイクロ波電力を上げ
たり、成膜室圧力を上げたり、原料ガスとしてのSiH4
流量を増やしたりした場合には放電はより安定な状態と
なることが判った。なお、この放電実験においては帯状
部材101を静止させた場合及び1.2m/minの搬送スピード
で搬送させた場合とで行ったが、両者において放電の安
定性については特に差異は認められなかった。
実験例5 本実験例においては、実験例1と同様、装置例2で示
した装置を用い、帯状部材の幅寸法を変えたときの、マ
イクロ波プラズマの安定性及び膜厚分布への影響等につ
いて検討を行った。
帯状部材の幅寸法については第6表に示した範囲で種
々変化させて、各々10分間の放電を行った。その他のマ
イクロ波プラズマ放電条件については第1表に示したの
と同様とし、方形導波管の種類はEIAJ,WRI−32に変え、
取り付け角度θ1は共に60゜、60゜となるよう配置
した。そして、帯状部材の表面温度は実験例2と同様25
0℃とし、搬送速度は50cm/minとした。
なお、試料No.15〜17についてはマイクロ波アプリケ
ーターは片側のみ、試料No.18〜21については対向して
一対配設した。
第6表に放電状態、膜厚分布等を評価した結果を示し
た。評価方法は実験例2と同様とした。
これらの結果から、帯状部材の幅寸法が変わることに
より、マイクロ波プラズマの安定性及び膜厚分布が変化
することが判った。そして、片側からのマイクロ波電力
の供給のみではマイクロ波プラズマの安定性が欠けた
り、膜厚分布が大きくなる場合においても、マイクロ波
アプリケーターを対向して一対設けることによっていず
れも改善されることが判った。
また、マイクロ波プラズマ放電条件のうち、原料ガス
の種類及び流量、マイクロ波電力、成膜室内圧等種々変
化させた場合においては、それぞれのパラメーター変化
によってマイクロ波プラズマの安定性及び膜厚分布が影
響を受けることが判った。
実験例6 本実験例においては、後述する装置例7(第3図)で
示す装置にて、隔離容器300内に第11図(A)に示した
構成のバイアス印加手段を具備させ、ニッケル製のガス
導入管を兼ねるバイアス印加管1103への直流バイアス印
加電圧を変化させたときのマイクロ波プラズマの制御
性、プラズマ電位及び膜室への影響等について検討を行
った。
バイアス印加電圧を、−300Vから+300Vまで10Vきざ
みで変化させた以外は、第1表に示したのと同様のマイ
クロ波プラズマ放電条件にてプラズマを生起させ、ま
た、方形導波管の取り付け角度θ1は共に45゜,45
゜に配置した。なお、帯状部材の表面温度は250℃と
し、搬送速度は60cm/min.とした。また、各バイアス電
圧を印加してからは10分間放電を維持させるようにし
た。
第12図にX軸にバイアス印加電圧、Y軸にバイアス電
流値をとり、バイアス印加時におけるバイアス印加管と
帯状部材との間の電流−電圧特性を求めた結果を示す。
同時に、直径0.3mm、長さ3mm(露出部分)のタングス
テン線を用いたシングルプローブを用いた探針法によ
り、バイアス印加時のプラズマ電位Vbを測定し、バイア
スを印加させない時のプラズマ電位V0に対する変化率Δ
Vb(=Vb/Vo)を求めた結果を第13図に示す。なお、前
記シングルプローブは前記帯状部材の湾曲部分のほぼ中
央、且つ内表面よりほぼ5cmのところに配設した。
これらの結果において、放電用の原料ガスの種類や流
量によって変化はあるものの、概ねバイアス電圧を−20
0V以下、又は+200V以上とした場合には、成膜室内でス
パーク等の異常放電が発生し、安定した放電状態の維持
は困難であった。
しかしながら、マイクロ波プラズマの放電条件が一定
の時にはバイアス電圧の増加にともない電流−電圧特性
はほぼ増加傾向の直線関係を示し、プラズマ電位もバイ
アス電圧の増加とともに、増加傾向を示すことが判っ
た。即ち、バイアス電圧を変化させることでプラズマ電
位を容易に、安定して、再現性良く制御することができ
た。
引き続き、帯状部材としてのSUS430BA薄板上に堆積形
成された膜について5mm×5mmの試料片を切り出し、その
表面状態を超高分解能、低加速FE−SEM(日立製作所S
−900型)にて観察したところ、バイアス電圧が−300V
乃至+10Vの範囲では数百Å〜数千Å程度の表面荒れが
目立ったが、+10V乃至+180Vの範囲ではほぼバイアス
電圧の増加に伴って膜表面が平滑化していく傾向が認め
られた。そして、+180Vを超えた範囲では膜表面が再び
荒れ始め、特に+200Vを超えて異常放電の多発した試料
表面にはピンホールの発生も認められた。
また、マイクロ波電力が一定の条件下ではSiH4等の電
離断面積の大きい原料ガスの流量比が増加するのに伴
い、電流−電圧特性の傾きは大きくなり、一方、H2等の
電離断面積の小さい原料ガスの流量比が増加するのに伴
い、電流−電圧特性の傾きは小さくなることが判った。
比較実験例1 実験例6において、ガス導入管を兼ねるバイアス印加
管1103をニッケル製のものからアルミニウム製のものに
変えた以外は同様の条件で電流−電圧特性を測定した。
ところが、バイアス印加電圧を0Vから+60V程度まで上
昇させていったところ、バイアス印加管1103は変形を始
め、ついには溶断してしまうという現象が認められた。
更に、バイアス印加管1103を銅製、真ちゅう製のものに
変えて同様の測定を行ったところ、やはり前述と同様の
現象が認められた。これらに対し、バイアス印加管1103
をステンレス・スチール製、チタン製、バナジウム製、
ニオブ製、タンタル製、モリブデン製、タングステン製
等の高融点金属製、及びアルミナ・セラミックス管の表
面にニッケル溶射を800μm行ったものに変えて同様の
測定を行ったところ、ステンレス・スチール製のものを
用いた場合にはバイアス印加電圧が+120Vを超えるあた
りで変形が認められ、やはりついには溶断してしまった
以外は、他の材質のものを用いた場合にはほぼ実験例6
で得られたのと同様の測定結果が得られ、特に変形等の
現象も認められなかった。
比較実験例2 実験例6において、帯状部材としてのSUS430BA薄板を
PET(ポリエチレンテレフタレート)製シート(厚さ0.8
mm)に変えた以外は同様の条件で電流−電圧特性を測定
した。ところが、バイアス印加電圧を正又は負のいずれ
の側に印加しても流れる電流値は、実験例6で得られた
のとほぼ同等の値を示したものの、成膜室内での異常放
電の開始電圧が−100V又は100V程度であった。目視によ
りその状態を観察したところ、スパークは前記バイアス
印加管と帯状部材の支持・搬送用ローラーとの間で生じ
ており、このスパークは用いた帯状部材が絶縁性故チャ
ージアップ現象を示し、成膜室内にてバイアス印加管以
外では唯一導電性部材にて構成されている前記支持・搬
送用ローラーに過剰の電流が流れているためであること
が判った。
また、堆積形成された膜の表面状態を実験例6で行っ
たのと同様の方法にて観察、評価したところ、膜表面は
バイアス印加電圧の違いによらず数百Å〜数千Å程度の
表面荒れが生じたままであった。
比較実験例3 実験例6において、成膜室内に配設されるガス導入管
を兼ねるバイアス印加管1103の位置を、成膜室のほぼ中
心軸近く(第6図、Oの位置)から、第6図中OH′,OH,
OC,OC′の方向へ30mm,60mm,90mmと30mmづつずらせた以
外は、同様の条件で電流−電圧特性を測定した。なお、
OH′方向へは120mm,150mmの場合も同様に測定を行っ
た。
その結果、OH′,OH,OC,OC′方向へ30mm,60mmずらせた
場合には、実験例6と全く同様の結果が得られた。90mm
ずらせた場合には、スパーク等の異常放電の開始電圧が
やや変化するものの、それ以外はやはり実験例6と同様
の結果が得られた。一方、OH′方向へ120mm,150mmずら
せた場合においては、そもそも成膜室内への原料ガスの
供給が十分に行われないために、プラズマが安定して生
起しないとの相まって、バイアス電圧を印加してもバイ
アス電流はほとんど流れず、プラズマ電位の制御は実施
困難であることが判った。
実験例7 本実験例においては、実験例6で用いた構成の装置を
用い、第7表に示す種々の波形及び周波数条件のバイア
ス電圧をバイアス印加管1103に印加させたときのマイク
ロ波プラズマの制御性、プラズマ電位及び膜室への影響
等について検討を行った。なお、マイクロ波プラズマ放
電条件等は実験例6と同様とした。
バイアス電圧はファンクション・ジェネレータ(ヒュ
ーレット・パッカード社製HP8116A)で発生させた種々
の波形出力を精密電力増幅器(エヌエフ回路ブロック社
製4500シリーズ及び特注品)にて増幅させたもの、又は
自作の整流回路装置にて出力させたものを同軸ケーブル
を介して、バイアス印加管1103に印加させた。
放電の状況、プラズマ電位の変化率、膜表面観察等に
より、プラズマ電位の制御性について評価を行った結果
を第7表中に示す。これらの結果より、比較的広い周波
数範囲においてバイアス電圧を印加することにより効果
が認められることが判った。
更に、バイアス電圧の周波数を固定して最大振幅電圧
を種々変化させた場合には、ほぼ実験例6と同様の傾
向、即ち、直流電圧を変化させたときと同様の傾向が認
められ、特に、最大振幅電圧の増加によりスパーク等の
異常放電の発生頻度が増加した。
これらの結果より、バイアス印加管に直流電圧以外の
種々のバイアス電圧を印加させた場合においても、該バ
イアス電圧を変化させることでプラズマ電位を容易に、
安定して、再現性良く制御できることが判った。
実験例8 本実験例においては、バイアス印加手段を第11図
(B)に示した構成に変えた以外は実験例6と同様の条
件で電流−電圧特性を測定した。
その結果、実験例6とほぼ同様の結果が得られ、ガス
導入管1105とバイアス棒1104とが独立に配設されていて
もバイアス電圧を変化させることでプラズマ電位を容易
に、安定して、再現性良く制御できることが判った。
実験例9 本実験例においては、バイアス印加手段を第11図
(C)に示した構成に変えた以外は実験例6と同様の条
件で電流−電圧特性を測定した。
その結果、スパーク等の異常放電の開始電圧がやや変
化し、その時には特に成膜室内の支持・搬送用リングと
帯状部材との接触部分での異常放電の発生が認められた
以外は、ほぼ実験例6と同様の結果が得られた。ただ
し、膜表面が平滑化するバイアス電圧は、実験例6の場
合と全く逆の極性、即ち、−10V乃至−180Vの範囲であ
った。勿論、この電圧範囲内においてはプラズマは安定
していた。
従って、帯状部材にバイアス電圧を印加し、成膜室内
にガス導入管を兼ねるアース棒1105を配設することでプ
ラズマ電位を容易に、安定して、再現性良く制御できる
ことが判った。
実験例10 本実験例においては、バイアス印加手段を第11図
(D)に示した構成に変え、バイアス棒1104には実験例
8と同様の条件で直流バイアス電圧を印加し、これとは
独立にバイアス棒1106にはバイアス棒1104に印加した直
流電圧の1/4の電圧を印加したときのマイクロ波プラズ
マの制御性、プラズマ電位及び膜質への影響等について
検討を行った。なお、マイクロ波プラズマ放電条件等は
実験例6と同様とした。
その結果、スパーク等の異常放電の発生頻度が減少
し、プラズマの安定性が向上した以外はほぼ実験例6と
同様の結果が得られた。
従って、成膜室内に複数のバイアス棒を配設し、夫々
独立にバイアス電圧を印加させることで、プラズマ電位
を容易に、安定して再現性よく制御できることが判っ
た。
実験例11 本実験例においては、実験例10にてバイアス棒1104に
印加するバイアス電圧を直流電圧に変えて、実験例7で
実施したのと同様の種々の波形及び周波数のバイアス電
圧を印加させたときのマイクロ波プラズマの制御性、プ
ラズマ電位及び膜質への影響等について検討を行った。
なお、マイクロ波プラズマ放電条件等は実験例6と同様
とした。
その結果、スパーク等の異常放電の発生頻度が減少
し、また、異常放電の開始電圧もやや低下し、プラズマ
の安定性が向上した以外はほぼ実験例6と同様の結果が
得られた。
従って、成膜室内に複数のバイアス棒を配設し、夫々
独立にバイアス電圧を印加させることで、プラズマ電位
を容易に、安定して再現性よく制御できることが判っ
た。
実験例12、13 実験例8及び9において、実験例7で実施したのと同
様のバイアス電圧を印加させた実験を行ったところ、ほ
ぼ実験例8及び9で得られたのと同様の効果が認められ
た。
実験結果の概要 本発明の方法及び装置において、マイクロ波プラズマ
の安定性、均一性等は、例えばマイクロ波アプリケータ
ーの形状及びそれに接続される導波管の種類及び配置、
成膜時の成膜室内の圧力、マイクロ波電力、マイクロ波
プラズマの閉じ込めの程度、放電空間の体積及び形状等
種々のパラメーターが複雑にからみ合って維持されてい
るので、単一のパラメーターのみで最適条件を求めるの
は困難であるが、本実験結果より、おおよそ次のような
傾向及び条件範囲が判った。
成膜室の圧力に関しては、好ましくは1.5mTorr乃至10
0mTorr、より好ましくは3mTorr乃至50mTorrであること
が判った。マイクロ波電力に関しては、好ましくは250
×2W乃至3000×2W、より好ましくは300×2W乃至1000×2
Wであることが判った。湾曲形状の内直径に関しては、
好ましくは7cm乃至45cm、より好ましくは8cm乃至35cmで
あることが判った。また、帯状部材の幅に関しては対向
する一対のマイクロ波アプリケーターを用いた場合に
は、好ましくは60cm程度、より好ましくは50cm程度で幅
方向の均一性が得られることが判った。
また、マイクロ波プラズマ領域からのマイクロ波の漏
れ量が大きくなるとマイクロ波プラズマの安定性を欠く
ことが判り、帯状部材の湾曲端同志の間隙Lは好ましく
はマイクロ波の1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以
下に設定されることが望ましいことが判った。
更に、本発明の方法及び装置において、マイクロ波プ
ラズマのプラズマ電位を制御するには、プラズマの閉じ
込められた成膜室内にバイアス電圧印加手段を設け、該
バイアス印加手段に種々の直流電圧、又は脈流、交流電
圧にて種々の波形、周波数、及び最大振幅電圧のバイア
ス電圧を印加させることが望ましいことが判った。ま
た、前記バイアス電圧印加手段はガス導入管を兼ねても
良く、あるいはガス導入管とは別に設けられたバイアス
棒でも良いことが判った。そして、前記帯状部材にバイ
アス電圧を印加させてもほぼ同様にプラズマ電位の制御
ができることが判った。前記バイアス電圧が直流電圧で
ある場合には、膜特性の改善を図る目安としてその電圧
を好ましくは+10V乃至+180Vとするのが望ましいこと
が判った。
以下、前述の〔実験〕により判明した事実をもとに本
発明の方法及び装置について更に詳しく説明する。
本発明の方法において、前記移動する帯状部材の中途
において、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段と
を用いて前記帯状部材を湾曲させて形成される柱状の成
膜空間の側壁の大部分は、前記移動する帯状部材で形成
されるが、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形
成手段との間には前記帯状部材の長手方向に間隙が残さ
れるようにする。
そして、本発明の方法において、前記柱状の成膜空間
内にてマイクロ波プラズマを均一に生起させ閉じ込める
には、前記帯状部材にて形成される側壁と平行な方向
に、前記成膜空間の両端面のうち片側又は両側よりマイ
クロ波エネルギーを放射させ、前記成膜空間内にマイク
ロ波エネルギーを閉じ込めるようにする。
前記帯状部材の幅が比較的狭い場合には、片側からマ
イクロ波エネルギーを放射させるだけでも前記成膜空間
内に生起するマイクロ波プラズマの均一性は保たれる
が、前記帯状部材の幅が、例えばマイクロ波の波長の1
波長を超えるような場合には、両側からマイクロ波エネ
ルギーを放射させるのが、マイクロ波プラズマの均一性
を保つ上で好ましい。
勿論、前記成膜空間内で生起するマイクロ波プラズマ
の均一性は、前記成膜空間内にマイクロ波エネルギーが
十分に伝送される必要があり、前記柱状の成膜空間はい
わゆる導波管に類する構造とされるのが望ましい。ま
た、前記成膜空間の内壁面は、所望の電流密度のバイア
ス電流が流れるのに必要な導電性を有することが望まし
い。そのためにはまず、前記帯状部材は導電性の材料で
構成されることが好ましいが、少なくとも前記成膜空間
に向いている側の面に導電処理が施されていることが必
要である。
また、本発明の方法において、前記移動する帯状部材
を前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段とを用
いて湾曲させて形成される柱状の成膜空間の両端面の形
成としては、前記成膜空間内に放射されたマイクロ波エ
ネルギーがほぼ均一に前記成膜空間内に伝送されるよう
にされるのが好ましく、円形状、楕円形状、方形状、多
角形状に類似する形であってほぼ対称な形で比較的滑ら
かな湾曲形状であることが望ましい。勿論、前記湾曲開
始端形成手段と前記湾曲終了端形成手段との間に前記帯
状部材の長手方向に残された間隙部分においては、前記
端面形状は不連続となる場合がある。
更には、本発明の方法において、前記成膜空間内での
マイクロ波エネルギーの伝送を効率良く行うとともに、
マイクロ波プラズマを安定して生起、維持、制御するた
めには、前記マイクロ波アプリケーター手段中でのマイ
クロ波の伝送モードは単一モードであることが望まし
い。具体的には、TE10モード、TE11モード、eH1モー
ド、TM11モード、TM01モード等を挙げることができる
が、好ましくはTE10モード、TE11モード、eH1モードが
用いられる。これらの伝送モードは単一でも、複数組み
合わせて用いられても良い。また、前記マイクロ波アプ
リケーター手段へは上述の伝送モードが伝送可能な導波
管を介してマイクロ波エネルギーが伝送される。更に、
前記マイクロ波エネルギーは、前記マイクロ波アプリケ
ーター手段の先端部分に設けられた気密性を有するマイ
クロ波透過性部材を介して前記成膜空間内へ放射され
る。
本発明の方法において、前記成膜空間には前記湾曲開
始端形成手段と湾曲終了端形成手段との間に間隙が残さ
れていて、該間隙から前記原料ガスが排気され、前記成
膜室間内が所定の減圧状態に保持されるようにするが、
前記間隙の寸法は十分な排気コンダクタンスが得られる
と同時に、前記成膜空間内に放射されたマイクロ波エネ
ルギーが前記成膜空間外へ漏洩しないように特別配慮さ
れる必要がある。
具体的には、マイクロ波アプリケーター手段中を進行
するマイクロ波の電界方向と、前記湾曲開始端形成手段
としての支持・搬送用ローラーの中心軸と前記湾曲終了
端形成手段としての支持・搬送用ローラーの中心軸とを
含む面とが互いに平行とならないように前記マイクロ波
アプリケーター手段を配設するようにする。
そして、複数個の前記マイクロ波アプリケーター手段
を介して前記成膜空間内にマイクロ波エネルギーを放射
させる場合には、各々のマイクロ波アプリケーター手段
について前述のごとく配慮される必要がある。
更に、前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段
との間に残された間隙の、前記帯状部材の長手方向の開
口幅の最大寸法はマイクロ波の波長の好ましくは1/2波
長以下、より好ましくは1/4波長以下とするのが望まし
い。
本発明の方法において、複数個の前記マイクロ波アプ
リケーター手段を互いに対向させて配設させる場合に
は、一方のマイクロ波アプリケーター手段より放射され
たマイクロ波エネルギーを、他方のマイクロ波アプリケ
ーター手段が受信し、受信されたマイクロ波エネルギー
が前記他方のマイクロ波アプリケーター手段に接続され
ているマイクロ波電源にまで達して、該マイクロ波電源
に損傷を与えたり、マイクロ波の発振に異常を生ぜしめ
る等の悪影響を及ぼすことのないように特別配慮される
必要がある。具体的には、前記マイクロ波アプリケータ
ー手段中を進行するマイクロ波の電界方向同志が互いに
平行とならないように前記マイクロ波アプリケーターを
配設するようにする。
本発明の方法において、前記成膜空間の両端面のうち
片側のみからマイクロ波エネルギーを放射させる場合に
は、他方の端面からのマイクロ波エネルギーの漏洩がな
いようにすることが必要であり、前記端面を導電性部材
で密封したり、穴径が用いるマイクロ波の波長の好まし
くは1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以下の金網、
パンチングボードなどで覆うことが望ましい。
本発明の方法において、前記成膜空間内に放射された
マイクロ波エネルギーは、前記成膜空間内に導入される
原料ガスの種類にもよるが、前記成膜空間内の圧力に強
い相関を持ちながら、且つ、前記マイクロ波アプリケー
ターに設けられたマイクロ波透過性部材からの距離の増
大と共に著しく減少する傾向を示す。従って、比較的幅
広の帯状部材を用いた場合において、幅方向に対して均
一なマイクロ波プラズマを生起させるには、前記成膜空
間内の圧力を十分に低く保持し、前記成膜空間の両端面
より、少なくとも一対以上のマイクロ波アプリケーター
手段を介してマイクロ波エネルギーを前記成膜空間内に
放射させるのが望ましい。
本発明の方法において、前記マイクロ波アプリケータ
ー手段は放射するマイクロ波エネルギーの進行方向が、
前記帯状部材で形成される成膜空間の側壁に対してほぼ
平行となるように、前記成膜空間の端面に対して垂直に
配設するのが望ましい。また、前記マイクロ波アプリケ
ーター手段は前記側壁からほぼ等距離の位置に配設され
るのが望ましいが、前記側壁の湾曲形状が非対称である
場合等においては特に配設される位置は制限されること
はない。勿論、複数のマイクロ波アプリケーター手段が
対向して配設される場合においてもそれらの中心軸は同
一線上にあっても、なくても良い。
本発明の方法において、前記帯状部材にて形成される
湾曲形状は、その中で生起されるマイクロ波プラズマの
安定性、均一性を保つ上で常に一定の形状が保たれるこ
とが好ましく、前記帯状部材は前記湾曲開始端形成手段
及び前記湾曲終了端形成手段によってシワ、たるみ、横
ずれ等が生ぜぬように支持されるのが望ましい。そし
て、前記湾曲開始端形成手段及び前記湾曲終了端形成手
段に加えて、湾曲形状を保持するための支持手段を設け
ても良い。具体的には前記湾曲した帯状部材の内側又は
外側に所望の湾曲形状を連続的に保持するための支持手
段を設ければ良い。前記湾曲した帯状部材の内側に前記
支持手段を設ける場合には、堆積膜の形成される面に対
して接触する部分をできるだけ少なくするように配慮す
る。例えば、前記帯状部材の両端部分に前記支持手段を
設けるのが好ましい。
前記帯状部材としては、前記湾曲形状を連続的に形成
できる柔軟性を有するものを用い、湾曲開始端、湾曲終
了端及び中途の湾曲部分においては滑らかな形状を形成
させることが望ましい。
前記成膜空間内にガス供給手段により導入された堆積
膜形成用原料ガスは、効率良く前記成膜空間外に排気さ
れ前記成膜空間内は前記マイクロ波プラズマが均一に生
起される程度の圧力に保たれるようにする。
本発明の方法において、前記マイクロ波プラズマのプ
ラズマ電位を制御するには、バイアス印加手段を前記成
膜空間内に生起するプラズマに少なくともその一部分が
接するように配設するのが望ましい。前記バイアス印加
手段は成膜空間内に堆積膜形成用原料ガスを導入するた
めのガス供給手段を兼ねても良く、又、前記ガス供給手
段とは別に設けられた単数本又は複数本のバイアス棒で
あっても良い。
前者の場合においては、バイアス電圧がガス供給手段
を介して原料ガスボンベ、流量制御系、配管等のいわゆ
るガス供給系に印加されて感電、制御系の破損等の事故
が発生しないように、該ガス供給系とバイアス電圧の印
加される前記ガス供給とはその中途において絶縁分離さ
れていることが望ましい。そして、その絶縁分離される
位置は前記成膜空間に近接していることが好ましい。
前記ガス供給手段を兼ねるバイアス印加手段が前記マ
イクロ波プラズマに接する少なくとも一部には、前記バ
イアス電圧が印加されるように導電処理が施されている
ことが望ましいが、プラズマ加熱等により変形、破損、
溶断等が発生しないようにその材質は配慮される必要が
ある。具体的には高融点金属又は高融点セラミックスの
上に高融点金属をコーティング処理して構成するように
することが望ましい。
また、前記ガス供給手段を兼ねるバイアス印加手段が
前記成膜空間内に配設される位置は、前記マイクロ波プ
ラズマがほぼ均一な導体として作用しているが故、前記
マイクロ波プラズマに接して配設されている限り特に限
定されないが、異常放電の発生等を抑える上で前記帯状
部材の内表面からは好ましくは10mm以上、より好ましく
は20mm以上離して配設するのが望ましい。
一方、後者の場合においては、前記バイアス棒を構成
する材質及びその配設される位置等については前述のバ
イアス印加手段がガス供給手段を兼ねる場合と同様に配
慮される。ただし、前記ガス供給手段は誘電体で構成さ
せることが、異常放電の発生の抑制や、均一なプラズマ
電位を前記成膜空間内で形成させる上で好ましいが、バ
イアス印加電圧が比較的低い場合等においては、特にそ
の材質については制限されることはない。
本発明の方法において、前記バイアス棒又はガス供給
手段を兼ねるバイアス印加手段が単数本配設される場合
には、バイアス電圧として直流、脈流及び交流電圧を単
独又は夫々を重畳させて印加させることが望ましく、前
記バイアス棒が複数本配設される場合には、夫々に同電
圧又は異なる電圧の直流電圧を印加させても良く、又、
直流、脈流及び交流電圧のそれぞれを単独又は重畳させ
て印加させても良い。複数種のバイアス電圧を印加させ
ることにより、プラズマ電位の制御範囲が広がるばかり
でなく、プラズマの安定性、再現性及び膜特性の向上、
欠陥の発生の抑制等が図られる。
前記交流電圧としては、好ましくは正弦波、方形波、
三角波、パルス波、及びこれらを重畳させた波形等を挙
げることができる。又、脈流電圧としては、好ましくは
前記交流電圧を半波整流又は全波整流した波形、及びラ
ンプ波等を挙げることができる。更に、前記バイアス電
圧の直流電圧又は最大振幅電圧は、形成される堆積膜の
諸特性及び欠陥の発生率等との兼ね合いにて適宜設定さ
れるが、プラズマの生起開始時から堆積膜の形成開始及
び終了時までの間において一定に保たれていても良い
が、形成される堆積膜の特性制御や欠陥発生の抑制を図
る上で連続的又は適宜の周期で変化させることが好まし
い。特に、スパーク等の異常放電が発生した場合には、
バイアス電圧の急激な変動が起こるので、電気的にこれ
を検知し、直ちにバイアス電圧を低下させるか、又は一
時中断させて、再び所定のバイアス電圧に復帰させるこ
とが、堆積膜の欠陥発生等を抑制する上で好ましい。勿
論、これらの工程は手動にて行っても良いが、自動制御
回路をバイアス印加手段の制御回路中に設けることが堆
積膜の歩留り向上の上で好ましい。
本発明の方法において、前記バイアス印加手段は前記
帯状部材を兼ねても良い。この場合には、前記成膜空間
内に接地電極を設けるようにする。そして、前記接地電
極はガス供給手段を兼ねても良い。
本発明の方法において、前記帯状部材は導電性材料、
又は、絶縁性材料の表面に導電性処理を施したもので構
成するようにするが、少なくとも堆積膜形成時に前記帯
状部材が加熱保持される温度において、十分な電流密度
が確保される導電率を有する材料にて構成されることが
必要である。具体的にはいわゆる金属、半導体等を挙げ
ることができる。また、前記帯状部材上には素子分離の
工程を容易にさせる等の目的で一部絶縁性部材で構成さ
れる領域を設けておいても良い。一方、前記絶縁性部材
で構成される領域の面積が大きい場合には、その領域に
おいてはプラズマ電位を制御された堆積膜の形成は行わ
れないが、微小面積である場合には導電性部材上に形成
される膜とほぼ同じ特性を有する膜が形成される。
前記柱状の成膜空間内においてマイクロ波プラズマを
均一に安定して生起、維持させるためには、前記成膜空
間の形状及び容積、前記成膜空間内に導入する原料ガス
の種類及び流量、前記成膜空間内の圧力、前記成膜空間
内へ放射されるマイクロ波エネルギー量、マイクロ波の
整合、及びバイアス印加電圧等について各々最適な条件
があるものの、これらのパラメーターは相互に有機的に
結びついており、一概に定義されるものではなく、適宜
好ましい条件を設定するのが望ましい。
即ち、本発明の方法によれば、帯状部材を側壁とした
成膜空間を形成し、且つ、該成膜空間の側壁を構成する
前記帯状部材を連続的に移動せしめると共に、前記成膜
空間の側壁を構成する帯状部材の幅方向に対してほぼ均
一にマイクロ波エネルギーを放射せしめるようにマイク
ロ波アプリケーター手段を配置し、マイクロ波プラズマ
の生起・維持条件、及びバイアス印加条件を調整・最適
化することによって、大面積にわたって高品質の機能性
堆積膜を連続して、均一性及び再現性良く形成すること
ができる。
また、本発明の方法によれば、プラズマ電位を適宜制
御することによって所望の特性を有し、欠陥の少ない高
品質の機能性堆積膜を連続して効率良く高い歩留りで形
成することができる。
本発明の方法が従来の堆積膜形成方法から客観的に区
別される点は、成膜空間を柱状とし、その側壁が連続的
に移動しつつも、構造材としての機能を果たし、且つ、
堆積膜形成用の基板又は支持体をも兼ねるようにした点
にある。
ここで、構造材としての機能とは、特に、成膜用の雰
囲気空間すなわち成膜空間と成膜用には関与しない雰囲
気空間とを物理的、化学的に隔離する機能であって、具
体的には、例えば、ガス組成及びその状態の異なる雰囲
気を形成したり、ガスの流れる方向を制限したり、更に
は、圧力差の異なる雰囲気を形成したりする機能を意味
するものである。
即ち、本発明の方法は、前記帯状部材を湾曲させて柱
状の成膜空間の側壁を形成し、他の残された壁面、すな
わち両端面及び前記側壁の一部に残された間隙のうちの
いずれかの箇所より、堆積膜形成用の原料ガス及びマイ
クロ波エネルギーを前記成膜空間内に供給し、また、排
気させることによって、マイクロ波プラズマを前記成膜
空間内に閉じ込め、前記側壁を構成する帯状部材上に機
能性堆積膜を形成せしめるものであり、前記帯状部材そ
のものが成膜空間を成膜用には関与しない外部雰囲気空
間から隔離するための構造材としての重要な機能を果た
しているとともに、堆積膜形成用の基板又は支持体とし
て用いることができる。
従って、前記帯状部材を側壁として構成される成膜空
間の外部の雰囲気は、前記成膜空間内とは、ガス組成及
びその状態、圧力等について相当異なる状態となってい
る。
一方、従来の堆積膜形成方法においては堆積膜形成用
の基板又は支持体は、堆積膜を形成するための成膜空間
内に配設され、専ら、該成膜空間にて生成する例えば堆
積膜形成用の前駆体等を堆積させる部材としてのみ機能
するものであり、本発明の方法におけるように前記成膜
空間を構成する構造材として機能させるものではない。
また、従来法であるRFプラズマCVD法、スパッタリン
グ法等においては、前記堆積膜形成用の基板又は支持体
は放電の生起、維持のための電極を兼ねることはあるが
プラズマの閉じ込めは不十分であり、成膜用には関与し
ない外部雰囲気空間との隔離は不十分であって、構造材
として機能しているとは言い難い。
一方、本発明の方法は、機能性堆積膜形成用の基板又
は支持体として機能し得る帯状部材を前記成膜空間の側
壁として用い、前記構造材としての機能を発揮せしめる
と共に、前記帯状部材上への機能性堆積膜の連続形成を
も可能にするものである。
本発明の方法において、前記帯状部材を用いて柱状空
間の側壁を形成し、該柱状空間内にマイクロ波エネルギ
ーを前記帯状部材の幅方向にほぼ均一に放射させて、前
記柱状空間内にマイクロ波を閉じ込めることによって、
マイクロ波エネルギーは効率良く前記柱状空間内で消費
されて、均一なマイクロ波プラズマが生起され、形成さ
れる堆積膜の均一性も高まる。更には、前記マイクロ波
プラズマに曝される側壁を構成する帯状部材を絶えず連
続的に移動させ、前記成膜空間外へ排出させることによ
って、前記帯状部材上に、その移動方向に対して均一性
の高い堆積膜を形成することができる。
本発明の方法においては、前記帯状部材で成膜空間を
形成し、該成膜空間内でのみ堆積膜を形成せしめるよう
に、前記成膜空間外におけるガス組成及びその状態は前
記成膜空間内とは異なるように条件設定する。例えば、
前記成膜空間外のガス組成については、堆積膜形成には
直接関与しないようなガス雰囲気としても良いし、前記
成膜空間から排出される原料ガスを含んだ雰囲気であっ
ても良い。また、前記成膜空間内にはマイクロ波プラズ
マが閉じ込められているのは勿論であるが、前記成膜空
間の外部には前記マイクロ波プラズマが漏洩しないよう
にすることが、プラズマの安定性、再現性の向上や不要
な箇所への膜堆積を防ぐ上でも有効である。具体的には
前記成膜空間の内外で圧力差をつけたり、電離断面積の
小さいいわゆる不活性ガス、H2ガス等の雰囲気を形成し
たり、あるいは、積極的に前記成膜空間内からマイクロ
波の漏洩が起こらないような手段を設けることが有効で
ある。マイクロ波の漏洩防止手段としては、前記成膜空
間の内外を結ぶ間隙部分を導電性部材で密封したり、穴
径が好ましくは用いるマイクロ波の1/2波長以下、より
好ましくは1/4波長以下の金網、パンチングボードで覆
っても良く、また、前記成膜空間の内外を結ぶ間隙の最
大寸法がマイクロ波の波長の好ましくは1/2波長以下、
より好ましくは1/4波長以下とするのが望ましい。ま
た、前記成膜空間の外での圧力を前記成膜空間内の圧力
に比較して非常に低く設定するか又は逆に高く設定する
ことによっても、前記成膜空間外でマイクロ波プラズマ
が生起しないような条件設定ができる。
このように、前記帯状部材に成膜空間を構成する構造
材としての機能をもたせることに、本発明の方法の特徴
があり、従来の堆積膜形成方法とは区別され、更に多大
な効果をもたらす。
以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD装置の構成及
び特徴点について更に詳細に順を追って記載する。
本発明の装置によれば、マイクロ波プラズマ領域を移
動しつつある帯状部材で閉じ込められていることによ
り、前記マイクロ波プラズマ領域内で生成した堆積膜形
成に寄与する前駆体を高い収率で基板上に捕獲し、更に
は堆積膜を連続して帯状部材上に形成できるため、堆積
膜形成用原料ガスの利用効率を飛躍的に高めることがで
きる。
更には、本発明のマイクロ波アプリケーター手段を用
いて、前記成膜空間内に均一なマイクロ波プラズマが生
起されるため、前記帯状部材の幅方向に形成される堆積
膜の均一性が優れているのは勿論のこと、前記帯状部材
を前記マイクロ波アプリケーター手段の長手方向に対し
てほぼ垂直方向に連続的に搬送することにより、前記帯
状基体の長手方向に形成される堆積膜の均一性にも優れ
たものとなる。
また、本発明の装置によれば、連続して安定に均一性
良く放電が維持できるため、長尺の帯状部材上に連続し
て、安定した特性の機能性堆積膜を堆積形成でき、界面
特性の優れた積層デバイスを作製することができる。
更には、本発明の装置によれば、バイアス印加手段に
適宜のバイアス電圧を単独又は重畳させて印加させるこ
とにより、所望のプラズマ電位を制御することができ
る。そして、そのことにより、高品質で、欠陥の少ない
機能性堆積膜を連続して効率良く、高い歩留りで、再現
性良く形成することができる。
本発明の装置において、前記帯状部材を構造材として
機能させるにあたり、前記成膜室の外部は大気であって
も良いが、前記成膜室内への大気の流入によって、形成
される機能性堆積膜の特性に影響を及ぼす場合には適宜
の大気流入防止手段を設ければ良い。具体的にはOリン
グ、ガスケット、ヘリコフレックス、磁性流体等を用い
た機械的封止構造とするか、又は、形成される堆積膜の
特性に影響が少ないかあるいは効果的な希釈ガス雰囲
気、又は適宜の真空雰囲気を形成するための隔離容器を
周囲に配設することが望ましい。前記機械的封止構造と
する場合には、前記帯状部材が連続的に移動しながら封
止状態を維持できるように特別配慮される必要がある。
本発明の装置と他の複数の堆積膜形成手段を連結させ
て、前記帯状部材上に連続して堆積膜を積層させる場合
には、ガスゲート手段等を用いて各装置を連結させるの
が望ましい。また、本発明の装置のみを複数連結させる
場合には、各装置において成膜室は独立した成膜雰囲気
となっているため、前記隔離容器は単一でも良いし、各
々の装置に設けても良い。
本発明の装置において、前記成膜室の外部の圧力は減
圧状態でも加圧状態でも良いが、前記成膜室内との圧力
差によって前記帯状部材が大きく変形するような場合に
は適宜の補助構造材を前記成膜室内に配設すれば良い。
該補助構造材としては、前記成膜室の側壁とほぼ同一の
形状を、適宜の強度を有する金属、セラミックス又は強
化樹脂等で構成される線材、薄板等で形成したものであ
ることが望ましい。また、該補助構造材の前記マイクロ
波プラズマに曝されない側の面に対向する前記帯状部材
上は、実質的に該補助構造材の影となる故堆積膜の形成
はほとんどなされないので前記補助構造材の前記帯状部
材上への投影面積は可能な限り小さくなるように設計さ
れるのが望ましい。
また、該補助構造材を前記帯状部材に密着させ、且つ
前記帯状部材の搬送速度に同期させて回転又は移動させ
ることにより、前記補助構造材上に施されたメッシュパ
ターン等を前記帯状部材上に形成させることもできる。
本発明の装置において好適に用いられる帯状部材の材
質としては、マイクロ波プラズマCVD法による機能性堆
積膜形成時に必要とされる温度において変形、歪みが少
なく、所望の強度を有し、また、導電性を有するもので
あることが好ましく、具体的には、ステンレススチー
ル、アルミニウム及びその合金、鉄及びその合金、銅及
びその合金等の金属の薄板及びその複合体、及びそれら
の表面に異種材質の金属薄膜をスパッタ法、蒸着法、鍍
金法等により表面コーティング処理を行ったもの。又、
ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、エポキシ等の耐熱性樹脂性シート又はこれらとガラ
スファイバー、カーボンファイバー、ホウ素ファイバ
ー、金属繊維等との複合体の表面に金属単体又は合金、
及び透明導電性酸化物(TCO)等を鍍金、蒸着、スパッ
タ、塗布等の方法で導電性処理を行ったものが挙げられ
る。また、前述の構成の帯状部材の導電性処理面上にSi
O2,Si3N4,Al2O3,AlN、及び前述の耐熱性樹脂等の絶縁性
薄膜を一部形成させたものを用いることもできる。
また、前記帯状部材の厚さとしては、前記搬送手段に
よる搬送時に形成される湾曲形状が維持される強度を発
揮する範囲内であれば、コスト、収納スペース等を考慮
して可能な限り薄い方が望ましい。具体的には、好まし
くは0.01mm乃至5mm、より好ましくは0.02mm乃至2mm、最
適には0.05mm乃至1mmであることが望ましいが、比較的
金属等の薄板を用いた方が厚さを薄くしても所望の強度
が得られやすい。
また、前記帯状部材の幅寸法については、前記マイク
ロ波アプリケーター手段を用いた場合においてその長手
方向に対するマイクロ波プラズマの均一性が保たれ、且
つ、前記湾曲形状が維持される程度であることが好まし
く、具体的には好ましくは5cm乃至100cm、より好ましく
は10cm乃至80cmであることが望ましい。
更に、前記帯状部材の長さについては、特に制限され
ることはなく、ロール状に巻き取られる程度の長さであ
っても良く、長尺のものを溶接等によって更に長尺化し
たものであっても良い。
本発明の装置において、前記帯状部材を連続的に湾曲
させながら支持・搬送する手段としては、搬送時に前記
帯状部材がたるみ、シワ、横ズレ等を生ずることなく、
その湾曲した形状を一定に保つことが必要である。例え
ば、所望の湾曲形状を有する支持・搬送用リングを少な
くとも一対設け、該支持・搬送用リングにて前記帯状部
材の好ましくは両端を支持し、またその形状に沿わせて
湾曲させ、更に前記帯状部材の長手方向に設けられた少
なくとも一対の湾曲開始端形成手段及び湾曲終了端形成
手段としての支持・搬送用ローラーにて絞り込み、ほぼ
柱状に湾曲させ、更に前記支持・搬送用リング及び支持
・搬送用ローラーの少なくとも一方に駆動力を与えて、
湾曲形状を維持しつつ前記帯状部材をその長手方向に搬
送せしめる。なお、前記支持・搬送用リングにて前記帯
状部材を支持・搬送する方法としては単なる滑り摩擦の
みによっても良いし、あるいは前記帯状部材にスプロケ
ット穴等の加工を施し、又前記支持・搬送用リングにつ
いてもその周囲に鋸刃状の突起を設けたいわゆるギア状
のものも用いたりしても良い。
前記支持・搬送用リングの形状については、湾曲形状
を形成するにあたり、好ましくは円形状であることが望
ましいが、楕円状、方形状、多角形状であっても連続的
に一定してその形状を保つ機構を有するものであれば特
に支障はない。搬送速度を一定に保つことが、前記湾曲
形状にたるみ、シワ、横ズレ等を生ぜしめることなく搬
送する上で重要なポイントとなる。従って、前記支持・
搬送機構には前記帯状部材の搬送速度の検出機構及びそ
れによるフィードバックのかけられた搬送速度調整機構
が設けられることが望ましい。また、これらの機構は半
導体デバイスを作製する上での膜厚制御に対しても多大
な効果をもたらす。
また、前記支持・搬送用リングはその目的上プラズマ
に曝される程度の差はあれ、マイクロ波プラズマ領域内
に配設されることとなる。従って、マイクロ波プラズマ
に対して耐え得る材質、すなわち耐熱性、耐腐食性等に
優れたものであることが望ましく、又、その表面には堆
積膜が付着し、長時間の堆積操作時には該付着膜が剥
離、飛散し、形成しつつある堆積膜上に付着して、堆積
膜のピンホール等の欠陥発生の原因となり、結果的には
作製される半導体デバイスの特性悪化や歩留り低下の原
因となるので、前記堆積膜の付着係数が低い材質もしく
は付着しても相当の膜厚まで強い付着力を保持し得る材
質及び表面形状のもので構成されることが望ましい。具
体的材質としては、ステンレススチール、ニッケル、チ
タン、バナジウム、タングステン、モリブデン、ニオブ
及びその合金を用いて加工されたもの、またはその表面
にアルミナ、石英、マグネシア、ジルコニア、窒化ケイ
素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等のセラミックス材
料を溶射法、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティン
グ法、CVD法等によりコーティング処理したもの、また
は前記セラミックス材料の単体もしくは複合体で成形加
工したもの等を挙げることができる。また、表面形状と
しては鏡面加工、凹凸加工等堆積される膜の応力等を考
慮して適宜選択される。
前記支持・搬送用リングに付着した堆積膜は剥離、飛
散等が発生する以前に除去されることが好ましく、真空
中にてドライエッチング又は分解後ウェットエッチン
グ、ビーズブラスト等の化学的、物理的手法によって除
去されることが望ましい。
前記支持・搬送用ローラーは、前記支持・搬送用リン
グに比較して前記帯状部材に接触する面積は大きく設計
されるので、前記帯状部材との熱交換率は大きい。従っ
て、該支持・搬送用ローラーで前記帯状部材の温度が極
端に上昇又は低下することのないように適宜温度調整が
なされる機構を有するものであることが望ましい。しか
るに、少なくとも一対以上設けられる支持・搬送用ロー
ラーの設定温度が異なるということもあり得る。更に、
前記支持・搬送用ローラーには前記帯状部材の搬送張力
検出機構が内蔵されることも搬送速度を一定に保持する
上で効果的である。
更に、前記支持・搬送用ローラーには前記帯状部材の
搬送時のたわみ、ねじれ、横ずれ等を防ぐためにクラウ
ン機構が設けられることが好ましい。
本発明において形成される湾曲形状は、前記アプリケ
ーター手段の先端部分を一部包含するように柱状に形成
される。
前記帯状部材を側壁として形成される柱状の成膜室の
両端面の形状としては、ほぼ円形状、楕円状、方形状、
多角形状等であって、且つ前記マイクロ波アプリケータ
ー手段が配設される位置は、ほぼ前記形状の中心付近で
あることが、前記成膜室内に均一にマイクロ波プラズマ
を生起せしめ、形成される堆積膜の均一性を高める上で
望ましい。また、前記湾曲部分の端面の内径はマイクロ
波の伝送モード及びマイクロ波プラズマ領域の体積を決
定し、実質的には前記帯状部材が搬送中に前記マイクロ
波プラズマ領域に曝される時間と相関して形成される堆
積膜の膜厚が決定され、且つ、前記帯状部材の幅寸法と
相関して前記成膜室の内表面積に対する前記側壁の面積
比が決まり堆積膜形成用原料ガスの利用効率が決定され
る。そして、前記マイクロ波プラズマ領域において、安
定したマイクロ波プラズマを維持するためのマイクロ波
電力密度(W/cm3)は用いられる原料ガスの種類及び流
量、圧力、マイクロ波アプリケーターのマイクロ波の放
射、伝達能力、及びマイクロ波プラズマ領域の絶対堆積
等の相関によって決まり、一概に定義することは困難で
ある。
本発明の装置において、前記成膜室内で堆積される膜
の膜厚を制御するためには、前記側壁の一部分を覆い隠
すような基板カバーを挿入させるのが好ましい。
前記帯状部材を太陽電池用の基板として用いる場合に
は、該帯状部材が金属等の電気導電性である場合には直
接電流取り出し用の電極としても良いし、合成樹脂等の
電気絶縁性である場合には堆積膜の形成される側の表面
にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Mo,W,Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真
ちゅう,ニクロム,SnO2,In2O3,ZnO,SnO2−In2O3(ITO)
等のいわゆる金属単体又は合金、及び透明導電性酸化物
(TCO)を鍍金、蒸着、スパッタ等の方法であらかじめ
表面処理を行って電流取り出し用の電極を形成しておく
ことが望ましい。また、素子分離の工程を容易にさせる
目的で、一部絶縁膜を形成させておいても良い。
勿論、前記帯状部材が金属等の電気導電性のものであ
っても、長波長光の基板表面上での反射率を向上させた
り、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相互拡散を
防止したり短絡防止用の干渉層とする等の目的で異種の
金属層等を前記基板上の堆積膜が形成される側に設けて
も良い。又、前記帯状部材が比較的透明であって、該帯
状部材の側から光入射を行う層構成の太陽電池とする場
合には前記透明導電性酸化物や金属薄膜等の導電性薄膜
をあらかじめ堆積形成しておくことが望ましい。
また、前記帯状部材の表面性としてはいわゆる平滑面
であっても、微小の凹凸面であっても良い。微小の凹凸
面とする場合にはその凹凸形状は球状、円錐状、角錐状
等であって、且つその最大高さ(Rmax)は好ましくは50
0Å乃至5000Åとすることにより、該表面での光反射が
乱反射となり、該表面での反射光の光路長の増大をもた
らす。
前記マイクロ波透過性部材は前記マイクロ波アプリケ
ーター手段の先端部分に設けられ、前記成膜室内の真空
雰囲気と前記マイクロ波アプリケーター手段の設置され
ている外気とを分離し、その内外間に存在している圧力
差に耐え得るような構造に設計される。具体的には、そ
のマイクロ波の進行方向に対する断面形状が好ましくは
円形、方形、楕円形の平板、ベルジャー状、ダブレット
状、円錐状とされるのが望ましい。
また、前記マイクロ波透過性部材のマイクロ波の進行
方向に対する厚さは、ここでのマイクロ波の反射が最少
に抑えられるように用いる材質の誘電率を考慮して、設
計されるのが望ましく、例えば平板状であるならばマイ
クロ波の波長の1/2波長にほぼ等しくされるのが好まし
い。更に、その材質としては、マイクロ波アプリケータ
ー手段から放射されるマイクロ波エネルギーを最小の損
失で前記成膜室内へ透過させることができ、また、前記
成膜室内への大気の流入が生じない気密性の優れたもの
が好ましく、具体的には石英、アルミナ、窒化ケイ素、
ベリリア、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化
ケイ素等のガラス又はファインセラミックス等が挙げら
れる。
また、前記マイクロ波透過性部材はマイクロ波エネル
ギー及び/又はプラズマエネルギーによる加熱によって
熱劣化(ヒビ割れ、破壊)等を起こすことを防止するた
め均一に冷却されることが好ましい。
具体的な冷却手段としては、前記マイクロ波透過性部
材の大気側の面に向けて吹きつけられる冷却空気流であ
ってもよいし、前記マイクロ波アプリケーター手段その
ものを冷却空気、水、オイル、フレオン等の冷却媒体に
て冷却し、前記マイクロ波アプリケーター手段に接する
部分を介して前記マイクロ波透過性部材を冷却しても良
い。前記マイクロ波透過性部材を十分に低い温度まで冷
却することで、比較的高いパワーのマイクロ波エネルギ
ーを前記成膜室内へ導入しても、発生する熱によって前
記マイクロ波透過性部材にひび割れ等の破壊を生じさせ
ることなく、高電子密度のプラズマを生起することがで
きる。
また、本発明の装置において、前記マイクロ波透過性
部材がマイクロ波プラズマに接している部分には、前記
帯状部材上と同様膜堆積が起こる。従って、堆積する膜
の種類、特性にもよるが、該堆積膜によって前記マイク
ロ波アプリケーター手段から放射されるべきマイクロ波
エネルギーが吸収又は反射等され、前記帯状部材によっ
て形成される成膜室内へのマイクロ波エネルギーの放射
量が減少し、放電開始直後に比較して著しくその変化量
が増大した場合には、マイクロ波プラズマの維持そのも
のが困難になるばかりでなく、形成される堆積膜の堆積
速度の減少や特性等の変化を生じることがある。このよ
うな場合には、前記マイクロ波透過性部材に堆積される
膜をドライエッチング、ウェットエッチング、又は機械
的方法等により除去すれば初期状態を復元できる。特
に、前記真空状態を維持したまま堆積膜の除去を行う方
法としてはドライエッチングが好適に用いられる。
また、前記マイクロ波アプリケーター手段ごと前記成
膜室内の真空状態は保持したまま、いわゆるロードロッ
ク方式で前記成膜室外へ取り出し、前記マイクロ波透過
性部材上に堆積した膜をウェットエッチング又は機械的
除去等によって剥離して再利用するか、又は、新品と交
換しても良い。更には、前記マイクロ波透過性部材の前
記成膜室側の表面に沿って、該マイクロ波透過性部材と
ほぼ同等のマイクロ波透過性を有する材質からなるシー
トを連続的に送ることによって、該シートの表面上に堆
積膜を付着、形成させ、前記マイクロ波プラズマ領域外
へ排出するといった手法を採用することもできる。
本発明の装置におけるマイクロ波アプリケーター手段
は、マイクロ波電源より供給されるマイクロ波エネルギ
ーを前記成膜室内に放射して、前記ガス導入手段から導
入される堆積膜形成用原料ガスをプラズマ化し維持させ
ることができる構造を有するものである。
具体的には、マイクロ波伝送用導波管の先端部分に前
記マイクロ波透過性部材を、気密保持が可能な状態に取
り付けたものが好ましく用いられる。そして前記マイク
ロ波アプリケーター手段は前記マイクロ波伝送用導波管
と同一規格のものであっても良いし、他の規格のもので
あっても良い。また、前記マイクロ波アプリケーター手
段中でのマイクロ波の伝送モードは、前記成膜室内での
マイクロ波エネルギーの伝送を効率良く行わせしめ、且
つ、マイクロ波プラズマを安定して生起・維持・制御せ
しめる上で、単一モードとなるように前記マイクロ波ア
プリケーターの寸法・形状等が設計されるのが望まし
い。但し、複数モードが伝送されるようなものであって
も、使用する原料ガス、圧力、マイクロ波電力等のマイ
クロ波プラズマ生起条件を適宜選択することによって使
用することもできる。単一モードとなるように設計され
る場合の伝送モードとしては、例えばTE10モード、TE11
モード、eH1モード、TM11モード、TM01モード等を挙げ
ることができるが、好ましくはTE10モード、TE11モー
ド、eH1モードが選択される。そして、前記マイクロ波
アプリケーター手段には、上述の伝送モードが伝送可能
な導波管が接続され、好ましくは該導波管中の伝送モー
ドと前記マイクロ波アプリケーター手段中の伝送モード
とは一致させるのが望ましい。前記導波管の種類として
は、使用されるマイクロ波の周波数帯(バンド)及びモ
ードによって適宜選択され、少なくともそのカットオフ
周波数は使用される周波数よりも小さいものであること
が好ましく、具体的にはJIS,EIAJ,IEC,JAN等の規格の方
形導波管、円形導波管、又は楕円導波管等の他、2.45GH
zのマイクロ波用の自社規格として、方形の断面の内径
で幅96mm×高さ27mmのもの等を挙げることができる。
本発明の装置において、マイクロ波電源より供給され
るマイクロ波エネルギーは、前記マイクロ波アプリケー
ター手段を介して効率良く前記成膜室内へ放射されるた
め、いわゆるマイクロ波アプリケーターに起因する反射
波に関する問題は回避しやすく、マイクロ波回路におい
てはスリースタブチューナー又はE−Hチューナー等の
マイクロ波整合回路を用いなくとも比較的安定した放電
を維持することが可能であるが、放電開始前や放電開始
後でも異常放電等により強い反射波を生ずるような場合
にはマイクロ波電源の保護のために前記マイクロ波整合
回路を設けることが望ましい。
本発明の装置において、前記成膜室には前記湾曲開始
端形成手段と湾曲終了端形成手段との間に間隙が残され
ていて、該間隙から前記原料ガスを排気し、前記成膜室
内が所定の減圧状態に保持されるようにするが、前記間
隙の寸法は十分な排気コンダクタンスが得られると同時
に、前記成膜室内に放射されたマイクロ波エネルギーが
前記成膜室外へ漏洩しないように設計される必要があ
る。
具体的には、マイクロ波アプリケーター手段中を進行
するマイクロ波の電界方向と、前記湾曲開始端形成手段
としての支持・搬送用ローラーの中心軸と前記湾曲終了
端形成手段としての支持・搬送用ローラーの中心軸とを
含む面とが互いに平行とならないように前記マイクロ波
アプリケーター手段を配設する。すなわち、前記マイク
ロ波アプリケーター手段に接続される前記導波管の長辺
又は長軸を含む面と前記一対の支持・搬送用ローラーの
中心軸を含む面とが平行とならないように、前記導波管
を配設させる。
そして、複数個の前記マイクロ波アプリケーター手段
を介して前記成膜室内にマイクロ波エネルギーを放射さ
せる場合には、各々のマイクロ波アプリケーター手段に
ついて前述のごとく配設されることが必要である。
更に、前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段
との間に残された間隙の、前記帯状部材の長手方向の開
口幅の最大寸法は該間隙からのマイクロ波エネルギーの
漏洩を防止する上で、マイクロ波の波長の好ましくは1/
2波長以下、より好ましくは1/4波長以下とするのが望ま
しい。
本発明の装置において、複数個の前記マイクロ波アプ
リケーター手段を互いに対向させて配設させる場合に
は、一方のマイクロ波アプリケーター手段より放射され
たマイクロ波エネルギーを、他方のマイクロ波アプリケ
ーター手段が受信し、受信されたマイクロ波エネルギー
が前記他方のマイクロ波アプリケーター手段に接続され
ているマイクロ波電源にまで達して、該マイクロ波電源
に損傷を与えたり、マイクロ波の発振に異常を生ぜしめ
る等の悪影響を及ぼすことのないように配置する必要が
ある。
具体的には、前記マイクロ波アプリケーター手段中を
進行するマイクロ波の電界方向同志が互いに平行となら
ないように前記マイクロ波アプリケーター手段を配設す
る。すなわち、前記マイクロ波アプリケーター手段に接
続される前記導波管の長辺又は長軸を含む面とが互いに
平行とならないように前記導波管を配設する。
本発明の装置において、前記成膜室の両端面のうち片
側のみからマイクロ波エネルギーを放射させる場合に
は、他方の端面からのマイクロ波エネルギーの漏洩がな
いようにすることが必要であり、前記端面を導電性部材
で密封したり、穴径が用いるマイクロ波の波長の好まし
くは1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以下の金網、
パンチングボードなどで覆うことが望ましい。
本発明の装置において、プラズマ電位を制御するため
に設けられるバイアス印加手段は前記成膜室内に生起す
るプラズマに少なくともその一部分が接するように配設
される。以下、図面を用いてその配置等についての典型
例を具体的に説明するが、本発明の装置におけるバイア
ス印加手段はこれらに限定されるわけではない。
第11図(A)乃至第11図(D)に、第1図に示した本
発明の装置の、第6図に示した断面模式図中のHH′方向
での側断面模式図を示した。これらの図面においては主
要構成部材のみを示してある。
第11図(A)に示す例は、バイアス印加手段がガス供
給手段を兼ねる場合の典型例であり、帯状部材1101は接
地され、支持・搬送用ローラー1102によって湾曲形状が
保たれながら搬送されている。1103はガス導入管を兼ね
るバイアス印加管であり、ガス供給管1110と絶縁性継手
1109にて接続されている。そして、ガス導入管を兼ねる
バイアス印加管1103にはバイアス印加用電源1107にて発
生させたバイアス電圧が印加される。該バイアス印加用
電源1107としては、市販されている直流安定化電源、交
流電源、高周波電源等の他、種々の波形及び周波数を有
するバイアス電圧を印加させるために、例えばファンク
ション・ジェネレーターにて発生させた波形出力を精密
電力増幅器にて増幅させる電源システムを自作して用い
ることができる。バイアス印加電圧及びバイアス電流値
は記録計等にて絶えずモニターすることが好ましく、プ
ラズマの安定性・再現性の向上や異常放電の発生を抑制
するための制御回路にそのデータを取り込むようにする
ことが望ましい。
バイアス印加管1103が前記成膜室内に配設される位置
は、前記マイクロ波プラズマに該バイアス印加管1103が
接して配設される限り特に限定されることはないが、異
常放電の発生等を抑える上で、前記帯状部材1101の内表
面から好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上離
して配設されるのが望ましい。
バイアス印加管1103はガス導入管を兼ねるのでその周
方向、特に長手方向には均一に原料ガスが放出されるよ
うな孔又はスリットが開けられているのが望ましい。ま
た、その管径及び管長については、所望の電流密度が確
保されるように設計されるが、その表面積は前記電流密
度が確保される限り小さくさせることが好ましい。それ
により、表面に堆積膜が形成されることによる原料ガス
の利用効率の低下及び堆積した膜の剥がれ、飛散による
帯状部材上に形成される堆積膜の欠陥発生率の増大を抑
制することができる。また、本構成とすることにより原
料ガスの分解効率のより一層の向上も図れる。
第11図(B)及び第11図(D)に示す例は、ガス供給
手段とバイアス印加手段とを各々独立に設ける場合の典
型例であり、第11図(B)にはバイアス棒1104が1本、
第11図(D)にはバイアス棒1104及び第2バイアス棒11
06が設けられている例を示したが、所望により更に別の
バイアス棒を追加配設しても良い。
1107,1108は各々バイアス印加用電源であり、その仕
様は全く同じであっても良いし、各々独立のバイアス電
圧が印加できるように異なった仕様のものであっても良
い。原料ガスはガス導入管1105を介して前記成膜室内に
導入される。バイアス棒1104及び第2バイアス棒は各々
耐熱性金属、例えばステンレススチール、ニッケル、チ
タン、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タ
ングステン等で構成される棒状又は管状のものを用いる
ことが好ましい。管状構造とすることによって、その中
に冷却媒体を流してバイアス棒の以上発熱等を抑えるこ
とができる。また、これらの配設される位置は前記バイ
アス印加管1103の場合とほぼ同様である。
ガス導入管1105は異常放電の発生の抑制や、均一なプ
ラズマ電位を形成させる上で誘電体で構成させることが
好ましいが、導電性であって接地されていても支障なく
用いることもできる。
第11図(C)に示す例は、帯状部材にバイアス電圧を
印加させる場合の典型例であり、帯状部材1101にバイア
ス印加用電源1107が接続されている。そして、ガス導入
管1105は導電性部材で構成され、且つ接地されている。
なお、ガス導入管1105を誘電体で構成し、これとは別に
接地電極を設けても良い。前記ガス導入管1105の配設さ
れる位置はプラズマに接している限り、特に制限はな
い。
本発明の装置において前記成膜室及び/又は隔離容器
を他の成膜手段を有する真空容器と真空雰囲気を分離独
立させ、且つ、前記帯状部材をそれらの中を貫通させて
連続的に搬送するにはガスゲート手段が好適に用いられ
る。本発明の装置において前記成膜室及び/又は隔離容
器内は修正パッシェン曲線の最小値付近の動作に必要な
程度の低圧に保たれるのが望ましいため、前記成膜室及
び/又は隔離容器に接続される他の真空容器内の圧力と
しては少なくともその圧力にほぼ等しいか又はそれより
も高い圧力となるケースが多い。従って、前記ガスゲー
ト手段の能力としては前記各容器間に生じる圧力差によ
って、相互に使用している堆積膜形成用原料ガスを拡散
させない能力を有することが必要である。従って、その
基本概念は米国特許第4,438,723号に開示されているガ
スゲート手段を採用することができるが、更にその能力
は改善される必要がある。具体的には、最大106倍程度
の圧力差に耐え得ることが必要であり、排気ポンプとし
ては排気能力の大きい油拡散ポンプ、ターボ分子ポン
プ、メカニカルブースターポンプ等が好適に用いられ
る。また、ガスゲートの断面形状としてはスリット状又
はこれに類似する形状であり、その全長及び用いる排気
ポンプの排気能力等と合わせて、一般のコンダクタンス
計算式を用いてそれらの寸法が計算、設計される。更
に、分離能力を高めるためにゲートガスを併用すること
が好ましく、例えばAr,He,Ne,Kr,Xe,Rn等の希ガス又はH
2等の堆積膜形成用希釈ガスが挙げられる。ゲートガス
流量としてはガスゲート全体のコンダクタンス及び用い
る排気ポンプの能力等によって適宜決定されるが、概ね
第10図(a),(b)に示したような圧力勾配を形成す
るようにすれば良い。第10図(a)において、ガスゲー
トのほぼ中央部に圧力の最大となるポイントがあるた
め、ゲートガスはガスゲート中央部から両サイドの真空
容器側へ流れ、第10図(b)においてはガスゲートのほ
ぼ中央部に圧力の最小となるポイントがあるため、両サ
イドの容器から流れ込む堆積膜形成用原料ガスと共にゲ
ートガスもガスゲート中央部から排気される。従って両
者の場合において両サイドの容器間での相互のガス拡散
を最小限に抑えることができる。実際には、質量分析計
を用いて拡散してくるガス量を測定したり、堆積膜の組
成分析を行うことによって最適条件を決定する。
本発明の装置において、前記ガスゲート手段によっ
て、前記隔離容器と接続される他の真空容器中に配設さ
れる堆積膜形成手段としては、RFプラズマCVD法、スパ
ッタリング法及び反応性スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法、光CVD法、熱CVD法、MOCVD法、MBE法そし
てHR−CVD法等いわゆる機能性堆積膜形成用に用いられ
る方法を実現するための手段を挙げることができる。そ
して、勿論本発明のマイクロ波プラズマCVD法及び類似
のマイクロ波プラズマCVD法の手段を接続することも可
能であり、所望の半導体デバイス作製のため適宜手段を
選択し、前記ガスゲート手段を用いて接続される。
本発明の装置において用いられるマイクロ波電源から
供給されるマイクロ波周波数は、好ましくは民生用に用
いられている2.45GHzが挙げられるが、他の周波数帯の
ものであっても比較的入手し易いものであれば用いるこ
とができる。また、安定した放電を得るには発振様式は
いわゆる連続発振であることが望ましく、そのリップル
幅が、使用出力領域において、好ましくは30%以内、よ
り好ましくは10%以内であることが望ましい。
本発明の装置において、前記成膜室及び/又は隔離容
器を大気に曝すことなく連続して堆積膜形成を行うこと
は、形成される堆積膜の特性安定上、不純物の混入を防
止できるため有効である。ところが、用いられる帯状部
材の長さは有限であることから、これを溶接等の処理に
より接続する操作を行うことが必要である。具体的に
は、前記帯状部材の収納された容器(送り出し側及び巻
き取り側)に近接して、そのような処理室を設ければ良
い。
以下、図面を用いて具体的処理方法について説明す
る。
第9図(その1)(i)図乃至第9(その4) (x)図は、前記帯状部材処理室の概略及び帯状部材
等の成膜時の作動を説明するための模式図を示した。
第9図において、901aは帯状部材の送り出し側に設け
られた帯状部材処理室(A)、901bは帯状基体の巻き取
り側に設けられた帯状部材処理室(B)であり、その内
部にはバイトン製ローラー907a,907b、切断刃908a,908
b、溶接治具909a,909bが収納されている。
即ち、第9図(その1)(i)は、通常成膜時の状態
であり、帯状部材902が図中矢印方向に移動していて、
ローラー907a、切断刃908a、及び溶接治具909aは帯状部
材902に接触していない。910は帯状部材収納容器(不図
示)との接続手段(ガスゲート)、911は真空容器(不
図示)との接続手段(ガスゲート)である。
第9図(その1)(ii)は、1巻の帯状部材への成膜
工程が終了した後、新しい帯状部材と交換するための第
1工程を示している。まず、帯状部材902を停止させ、
ローラー907aを図中点線で示した位置から矢印方向へ移
動させ帯状部材902及び帯状部材処理室901aの壁と密着
させる。この状態で帯状部材収納容器と成膜室とは気密
分離される。次に、切断刃908aを図中矢印方向に動作さ
せ帯状部材902を切断する。この切断刃908aは機械的、
電気的、熱的に帯状部材902を切断できるもののうちの
いずれかにより構成される。
第9図(その1)(iii)では、切断分離された帯状
部材903が帯状部材収納容器側へ巻き取られる様子を示
している。
上述した切断及び巻き取り工程は帯状部材収納容器内
は真空状態又は大気圧リーク状態のいずれかで行われて
も良い。
第9図(その2)(iv)では、新しい帯状部材904が
送り込まれ、帯状部材902と接続される工程を示してい
る。帯状部材904と902とはその端部が接せられ溶接治具
909aにて溶接接続される。
第9図(その2)(v)では帯状部材収納容器(不図
示)内を真空排気し、十分成膜室との圧力差が少なくな
った後、ローラー907aを帯状部材902及び帯状部材処理
室(A)901aの壁から離し、帯状部材902,904を巻き取
っている状態を示している。
次に、帯状部材の巻き取り側での動作を説明する。
第9図(その3)(vi)は、通常成膜時の状態である
が、各治具は第9図(その1)(i)で説明したのとほ
ぼ対称に配置されている。
第9図(その3)(vii)は、1巻の帯状部材への成
膜工程が終了した後、これを取り出し、次の成膜工程処
理された帯状部材を巻き取るための空ボビンと交換する
ための工程を示している。
まず、帯状部材902を停止させ、ローラー907bを図中
点線で示した位置から矢印方向へ移動させ、帯状部材90
2及び帯状部材処理室901bの壁と密着させる。この状態
で帯状部材収納容器と成膜室とは気密分離される。次
に、切断刃908bを図中矢印方向に動作させ、帯状部材90
2を切断する。この切断刃908bは機械的、電気的、熱的
に帯状基板902を切断できるもののうちのいずれかによ
り構成される。
第9図(その3)(viii)では、切断分離された成膜
工程終了後の帯状部材905が帯状部材収納容器側へ巻き
取られる様子を示している。
上述した切断及び巻き取り工程は帯状部材収納容器内
は真空状態又は大気圧リーク状態のいずれかで行われて
も良い。
第9図(その4)(ix)では、新しい巻き取りボビン
に取り付けられている予備巻き取り用帯状部材906が送
り込まれ、帯状部材902と接続される工程を示してい
る。予備巻き取り用帯状部材906と帯状部材902とはその
端部が接せられ、溶接治具909bにて溶接接続される。
第9図(その4)(X)では、帯状部材収納容器(不
図示)内を真空排気し、十分成膜室との圧力差が少なく
なった後、ローラー907bを帯状部材902及び帯状部材処
理室(B)901bの壁から離し、帯状部材902,906を巻き
取っている状態を示している。
本発明の方法及び装置において連続形成される機能性
堆積膜としては非晶質、結晶質を問わず、Si,Ge,C等い
わゆるIV族半導体薄膜、SiGe,SiC,SiSn等いわゆるIV族
合金半導体薄膜、GaAs,GaP,GaSb,InP,InAs等いわゆるII
I−V族化合物半導体薄膜、及びZnSe,ZnS,ZnTe,CdS,CdS
e,CdTe等いわゆるII−VI族化合物半導体薄膜等が挙げら
れる。
本発明の方法及び装置において用いられる前記機能性
堆積膜形成用原料ガスとしては、上述した各種半導体薄
膜の構成元素の水素化物、ハロゲン化物、有機金属化合
物等で前記成膜室内へ好ましくは気体状態で導入できる
ものが選ばれ使用される。
勿論、これらの原料化合物は1種のみならず、2種以
上混合して使用することもできる。又、これらの原料化
合物はHe,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn等の希ガス、及びH2,HF,HCl等
の希釈ガスと混合して導入されても良い。
また、連続形成される前記半導体薄膜は価電子制御及
び禁制帯幅制御を行うことができる。具体的には価電子
制御剤又は禁制帯幅制御剤となる元素を含む原料化合物
を単独で、又は前記堆積膜形成用原料ガス又は前記希釈
ガスに混合して前記成膜室内へ導入してやれば良い。
前記堆積膜形成用原料ガス等は、前記帯状部材で形成
される柱状の成膜室内に配設されたその先端部に単一又
は複数のガス放出孔を有するガス導入管、又はガス導入
管を兼ねるバイアス管より、前記柱状の成膜室内に均一
に放出され、マイクロ波エネルギーによりプラズマ化さ
れ、マイクロ波プラズマ領域を形成する。前記ガス導入
管、又はガス導入管を兼ねるバイアス管を構成する材質
としてはマイクロ波プラズマ中で損傷を受けることがな
く、前述した機能を有するものが好適に用いられる。具
体的にステンレススチール、ニッケル、チタン、ニオ
ブ、タンタル、タングステン、バナジウム、モリブデン
等耐熱性金属及びこれらをアルミナ、窒化ケイ素、石英
等のセラミックス上に溶射処理等したもの、そしてアル
ミナ、窒化ケイ素、石英等のセラミックス単体、及び複
合体で構成されるもの等を挙げることができる。
本発明の装置において、前記ガス導入管より前記柱状
の成膜室内に導入された堆積膜形成用原料ガスはその一
部又は全部が分解して堆積膜形成用の前駆体を発生し、
堆積膜形成が行われるが、未分解の原料ガス、又は分解
によって異種の組成のガスとなったものはすみやかに前
記柱状の成膜室外に排気される必要がある。ただし、排
気孔面積を必要以上に大きくすると、該排気孔よりのマ
イクロ波エネルギーの漏れが生じ、プラズマの不安定性
の原因となったり、他の電子機器、人体等への悪影響を
及ぼすこととなる。従って、本発明の装置においては、
該排気孔は、前記帯状部材の湾曲開始端と湾曲終了端と
の間隙とし、その間隔はマイクロ波の漏洩防止上、使用
されるマイクロ波の波長の好ましくは1/2波長以下、よ
り好ましくは1/4波長以下であることが望ましい。
〔装置例〕
以下、図面を用いて本発明の具体的装置例を挙げて説
明するが、本発明はこれらの装置例によって何ら限定さ
れるものではない。
装置例1 第1図に本発明のマイクロ波プラズマCVD装置の模式
的透視概略図を示した。
101は帯状部材であり、支持・搬送用ローラー102,103
及び支持・搬送用リング104,105によって円柱状に湾曲
した形状を保ちながら、図中矢印()方向に搬送され
成膜質116を連続的に形成する。106a乃至106eは帯状部
材101を加熱又は冷却するための温度制御機構であり、
各々独立に温度制御がなされる。
本装置例において、マイクロ波アプリケーター107,10
8は一対対向して設けられており、その先端部分にはマ
イクロ波透過性部材109,110が各々設けられていて、ま
た、方形導波管111,112が各々支持・搬送用ローラーの
中心軸を含む面に対してその長辺を含む面が垂直となら
ぬよう、且つ、お互いに長辺を含む面が平行とならぬよ
うに配設されている。なお、第1図において、説明のた
めにマイクロ波アプリケーター107は支持・搬送用リン
グ104から切り離した状態を示してあるが、堆積膜形成
時には、図中矢印方向に配設される。
113はガス導入管を兼ねるバイアス印加管、114は排気
管であり、不図示の排気ポンプに接続されている。115
a,115bは隔離通路であり、本発明の装置を他の成膜手段
を含む容器等との接続を行うときに設けられる。
支持・搬送用ローラー102,103には、搬送送度検出機
構、張力検出調整機構(いずれも不図示)が内蔵され、
帯状部材101の搬送速度を一定に保たれるとともに、そ
の湾曲形状が一定に保たれる。
導波管111,112には不図示のマイクロ波電源が接続さ
れている。
ガス導入管を兼ねるバイアス印加管113には導線120を
介して、バイアス印加用電源119にて発生させたバイア
ス電圧が印加される。又、ガス導入管を兼ねるバイアス
印加管113は絶縁性継手117を介してガス供給管118とは
絶縁分離されている。
帯状部材101は接地されるが、成膜室116の側壁部分の
ほぼ全面にわたり均一に接地されることが好ましく、支
持・搬送用ローラー102,103、支持・搬送用リング104,1
05、及び前記帯状部材101の側壁に接触する電気ブラシ
(不図示)等を介して接地されるのが望ましい。
第2図にマイクロ波アプリケーター手段107,108を具
体的に説明するための断面模式図を示した。
200はマイクロ波アプリケーターであり、図中左側矢
印方向から不図示のマイクロ波電源より方形導波管208
を介してマイクロ波が伝送される。
201,202はマイクロ波透過性部材であり、メタルシー
ル212及び固定用リング206を用いて、内筒204、外筒205
に固定されており、真空シールがされている。また内筒
204と外筒205との間には冷却媒体209が流れるようにな
っており、一方の端はOリング210でシールされてい
て、マイクロ波アプリケーター200全体を均一に冷却す
るようになっている。冷却媒体209としては、水、フレ
オン、オイル、冷却空気等が好ましく用いられる。マイ
クロ波透過性部材201にはマイクロ波整合用円板203a,20
3bが固定されている。外筒205には溝211の加工されたチ
ョークフランジ207が接続されている。また、213,214は
冷却空気の導入孔、及び/又は排出孔であり、アプリケ
ーター内部を冷却するために用いられる。
本装置例において、内筒204の内側の形状は円筒状で
あり、その内直径及びマイクロ波の進行方向の長さは導
波管としての機能を果たすように設計される。すなわ
ち、その内直径は、カットオフ周波数が用いるマイクロ
波の周波数よりも小さく、且つ、複数モードが立たない
範囲で可能な限り大きく、また、長さについては好まし
くはその内部において定在波がたたないような長さに設
計されるのが望ましい。勿論、前記内筒204の内側の形
状は角柱状であっても良い。
なお、本装置例では第11図(A)に示した構成のバイ
アス印加手段を具備しているが、もちろん第11図(B)
乃至第11図(D)に示した構成のいずれのバイアス印加
手段を具備しても良い。
装置例2 本装置例では、装置例1で示した装置を隔離容器中に
配設した場合を挙げることができる。(不図示) 隔離容器の形状としては、装置例1で示した各構成治
具を内蔵できるものであれば、特に制限はないが、立方
体状、直方体状の他円筒状等のものが好適に用いられ
る。また、成膜室116と隔離容器との間に残された空間
には補助ガス導入管が設けられ、該空間での放電防止用
の圧力調整用の希ガス、H2ガス等が導入される。また、
前記空間は成膜室116の排気用ポンプで同時に排気され
ても良く、また、独立の排気ポンプが接続されていても
良い。
なお、本装置例では第11図(A)に示した構成のバイ
アス印加手段を具備しているが、もちろん第11図(B)
乃至第11図(D)に示した構成のいずれのバイアス印加
手段を具備しても良い。
装置例3 本装置例では、装置例1において、マイクロ波アプリ
ケーターの形状を角柱状にした以外は同様の構成のもの
を挙げることができる。角柱状のマイクロ波アプリケー
ターの断面寸法は、用いる導波管の寸法と同じでも良い
し、異なっていても良い。また、用いるマイクロ波の周
波数に対して、複数モードが立たない範囲で可能な限り
大きくするのが望ましい。
装置例4 本装置例では、装置例2において、装置例3で用いた
角柱状のマイクロ波アプリケーター手段を用いた以外は
同様の構成としたものを挙げることができる。
装置例5,6 本装置例では、装置例1及び2において、円筒状マイ
クロ波アプリケーター手段のかわりに、楕円柱状マイク
ロ波アプリケーター手段を用いた以外は同様の構成とし
たものを挙げることができる。
装置例7 本装置例では、第3図に示したごとく、装置例2で示
した堆積膜形成用のマイクロ波プラズマCVD装置に帯状
部材101の送り出し及び巻き取り用の真空容器301及び30
2をガスゲート321及び322を用いて接続した装置を挙げ
ることができる。
なお、本装置例では第11図(A)に示した構成のバイ
アス印加手段を具備しているが、もちろん第11図(B)
乃至第11図(D)に示した構成のいずれのバイアス印加
手段を具備しても良い。
300は隔離容器、303は帯状部材の送り出し用ボビン、
304は帯状部材の巻き取り用ボビンであり、図中矢印方
向に帯状部材が搬送される。もちろんこれは逆転させて
搬送することもできる。また、真空容器301,302中には
帯状部材の表面保護用に用いられる合紙の巻き取り、及
び送り込み手段を配設しても良い。前記合紙の材質とし
ては、耐熱性樹脂であるポリイミド系、テフロン系及び
グラスウール等が好ましく用いられる。306,307は張力
調整及び帯状部材の位置出しを兼ねた搬送用ローラーで
ある。312,313は帯状部材の予備加熱又は冷却用に用い
られる温度調整機構である。307,308,309は排気量調整
用のスロットルバルブ、310,311,320は排気管であり、
それぞれ不図示の排気ポンプに接続されている。314,31
5は圧力計、また、316,317はゲートガス導入管、318,31
9はゲートガス排気管であり、不図示の排気ポンプによ
りゲートガス及び/又は堆積膜形成用原料ガスが排気さ
れる。
装置例8 本装置例では、第4図に示したごとく、装置例7で示
した装置に、更に2台の本発明のマイクロ波プラズマCV
D法による堆積膜形成装置の内蔵された隔離容器300−a,
300−bを両側に接続して、積層型デバイスを作製でき
るように構成したものを挙げることができる。なお、本
装置例においては隔離容器300中には第11図(A)に示
した構成のバイアス印加手段を具備し、隔離容器300a,3
00b中には第11図(B)に示した構成のバイアス印加手
段を具備した例を示したが、各々の隔離容器中には第11
図(A)乃至第11図(D)に示した構成のいずれのバイ
アス印加手段を具備しても良い。
図中a及びbの符号をつけたものは、基本的には隔離
容器300中で用いられたものと同様の効果を有する機構
である。
401,402,403,404は各々ガスゲート、405,406,407,408
は各々ゲートガス導入管、409,410,411,412は各々ゲー
トガス排気管、413はガス導入管である。
装置例9,10 装置例7及び8においてマイクロ波アプリケーター20
1を装置例3又は4で用いた角柱状のマイクロ波アプリ
ケーターに変えた以外は同様の構成としたものを挙げる
ことができる。
装置例11,12 装置例7及び8においてマイクロ波アプリケーターを
装置例5又は6で用いた楕円柱状のマイクロ波アプリケ
ーターに変えた以外は同様の構成としたものを挙げるこ
とができる。
装置例13 本装置例では第5図に示したごとく、装置例7で示し
た装置に、更に2台の従来法であるRFプラズマCVD装置
を両側に接続して、積層型デバイスを作製できるように
構成したものを挙げることができる。なお、本装置例で
は隔離容器300中には第11図(A)に示した構成のバイ
アス印加手段を具備しているが、勿論第11図(B)乃至
第11図(D)に示した構成のいずれのバイアス印加手段
を具備しても良い。
ここで、501,502は真空容器、503,504はRF印加用カソ
ード電極、505,506はガス導入管兼ヒーター、507,508は
基板加熱用ハロゲンランプ、509,510はアノード電極、5
11,512は排気管である。
装置例14,15 本装置例では、装置例1及び2で示した装置におい
て、比較的幅の狭い帯状部材を用いた場合として、マイ
クロ波アプリケーターを成膜室の片側一方の端面のみに
配設したものを挙げることができる。ただし、この場合
にはもう一方の端面にはマイクロ波漏洩防止用の金網、
パンチングボード、金属薄板等が設けられる。
その他の装置例 例えば、装置例8において、堆積膜形成用の隔離容器
300,300−a,300−b中に、上述した種々の形状のマイク
ロ波アプリケーターを組み合わせて取り付けた装置。
また、装置例8で示した装置を2連又は3連接続した
装置、及び前述のRFプラズマCVD法による堆積膜形成手
段を混在させて接続した装置等を挙げることができる。
また、装置例1又は2で示した装置において、成膜室
の両端面に2対又はそれ以上のマイクロ波アプリケータ
ーを配設し、より大きなマイクロ波プラズマ領域を形成
させ、帯状部材の搬送送度は変えず、比較的厚膜の機能
性堆積膜を形成できるようにした装置等を挙げることが
できる。
本発明の方法及び装置によって好適に製造される半導
体デバイスの一例として太陽電池が挙げられる。その層
構成として、典型的な例を模式的に示す図を第8図
(A)乃至(D)に示す。
第8図(A)に示す例は、支持体801上に下部電極80
2、n型半導体層803、i型半導体層804、p型半導体層8
05、透明電極806及び集電電極807をこの順に堆積形成し
た光起電力素子800である。なお、本光起電力素子では
透明電極806の側より光の入射が行われることを前提と
している。
第8図(B)に示す例は、透光性の支持体801上に透
明電極806、p型半導体層805、i型半導体層804、n型
半導体層803及び下部電極802をこの順に堆積形成した光
起電力素子800eである。本光起電力素子では透光性の支
持体801の側より光の入射が行われることを前提として
いる。
第8図(C)に示す例は、バンドギャップ及び/又は
層厚の異なる2種の半導体層をi層として用いたpin接
合型光起電力素子811,812を2素子積層して構成された
いわゆるタンデム型光起電力素子813である。810は支持
体であり、下部電極802、n型半導体層803、i型半導体
層804、p型半導体層805、n型半導体層808、i型半導
体層809、p型半導体層810、透明電極806及び集電電極8
07がこの順に積層形成され、本光起電力素子では透明電
極806の側より光の入射が行われることを前提としてい
る。
第8図(D)に示す例は、バンドギャップ及び/又は
層厚の異なる3種の半導体層をi層として用いたpin接
合型光起電力素子820,821,823を3素子積層して構成さ
れた、いわゆるトリプル型光起電力素子824である。801
は支持体であり、下部電極802、n型半導体層803、i型
半導体層804、p型半導体層805、n型半導体層814、i
型半導体層815、p型半導体層816、n型半導体層817、
i型半導体層818、p型半導体層819、透明電極806及び
集電電極807がこの順に積層形成され、本光起電力素子
では透明電極806の側より光の入射が行われることを前
提としている。
なお、いずれの光起電力素子においてもn型半導体層
とp型半導体層とは目的に応じて各層の積層順を入れ変
えて使用することもできる。
以下、これらの光起電力素子の構成について説明す
る。
支持体 本発明において用いられる支持体801は、フレキシブ
ルであって湾曲形状を形成し得る材質のものが好適に用
いられ、導電性のものであっても、また電気絶縁性のも
のであってもよい。さらには、それらは透光性のもので
あっても、また非透光性のものであってもよいが、支持
体801の側より光入射が行われる場合には、もちろん透
光性であることが必要である。
具体的には、本発明において用いられる前記帯状部材
を挙げることができ、該帯状部材を用いることにより、
作製される太陽電池の軽量化、強度向上、運搬スペース
の低減等が図れる。
電極 本光起電力素子においては、当該素子の構成形態によ
り適宜の電極が選択使用される。それらの電極として
は、下部電極、上部電極(透明電極)、集電電極を挙げ
ることができる。(ただし、ここでいう上部電極とは光
の入射側に設けられたものを示し、下部電極とは半導体
層を挟んで上部電極に対向して設けられたものを示すこ
ととする。) これらの電極について以下に詳しく説明する。
(i)下部電極 本発明において用いられる下部電極802としては、上
述した支持体801の材料が透光性であるか否かによっ
て、光起電力発生用の光を照射する面が異なる故(たと
えば支持体801が金属等の非透光性の材料である場合に
は、第8図(A)で示したごとく透明電極806側から光
起電力発生用の光を照射する。)、その設置される場所
が異なる。
具体的には、第8図(A),(C)及び(D)のよう
な層構成の場合には支持体801とn型半導体層803との間
に設けられる。しかし、支持体801が導電性である場合
には、該支持体が下部電極を兼ねることができる。ただ
し、支持体801が導電性であってもシート抵抗値が高い
場合には、電流取り出し用の低抵抗の電極として、ある
いは支持体面での反射率を高め入射光の有効利用を図る
目的で電極802を設置してもよい。
第8図(B)の場合には透光性の支持体801が用いら
れており、支持体801の側から光が入射されるので、電
流取り出し及び当該電極での光反射用の目的で、下部電
極802が支持体801と対向して半導体層を挟んで設けられ
ている。
また、支持体801として電気絶縁性のものを用いる場
合には電流取り出し用の電極として、支持体801とn型
半導体層803との間に下部電極802が設けられる。
電極材料としては、Ag,Au,Pt,Ni,Cr,Cu,Al,Ti,Zn,Mo,
W等の金属又はこれらの合金が挙げられ、これ等の金属
の薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング等
で形成する。また、形成された金属薄膜は光起電力素子
の出力に対して抵抗成分とならぬように配慮されねばな
らず、シート抵抗値として好ましくは50Ω以下、より好
ましくは10Ω以下であることが望ましい。
下部電極802とn型半導体層803との間に、図中には示
されていないが、導電性酸化亜鉛等の拡散防止層を設け
ても良い。該拡散防止層の効果としては電極802を構成
する金属元素がn型半導体層中へ拡散するのを防止する
のみならず、若干の抵抗値をもたせることで半導体層を
挟んで設けられた下部電極802と透明電極806との間にピ
ンホール等の欠陥で発生するショートを防止すること、
及び薄膜による多重干渉を発生させ入射された光を光起
電力素子内に閉じ込める等の効果を挙げることができ
る。
(ii)上部電極(透明電極) 本発明において用いられる透明電極806としては太陽
や白色蛍光灯等からの光を半導体層内に効率良く吸収さ
せるために光の透過率が85%以上であることが望まし
く、さらに、電気的には光起電力素子の出力に対して抵
抗成分とならぬようにシート抵抗値は100Ω以下である
ことが望ましい。このような特性を備えた材料としてSn
O2,In2O3,ZnO,CdO,Cd2SnO4,ITO(In2O3+SnO2)などの
金属酸化物や、Au,Al,Cu等の金属を極めて薄く半透明状
に成膜した金属薄膜等が挙げられる。透明電極は第8図
(A),(C),(D)においてはp型半導体層805層
の上に積層され、第8図(B)においては基板801の上
に積層されるものであるため、互いの密着性の良いもの
を選ぶことが必要である。これらの作製方法としては、
抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパッタリン
グ法、スプレー法等を用いることができ所望に応じて適
宜選択される。
(iii)集電電極 本発明において用いられる集電電極807は、透明電極8
06の表面抵抗値を低減させる目的で透明電極806上に設
けられる。電極材料としてはAg,Cr,Ni,Al,Ag,Au,Ti,Pt,
Cu,Mo,W等の金属またはこれらの合金の薄膜が挙げられ
る。これらの薄膜は積層させて用いることができる。ま
た、半導体層への光入射光量が十分に確保されるよう、
その形状及び面積が適宜設計される。
たとえば、その形状は光起電力素子の受光面に対して
一様に広がり、且つ受光面積に対してその面積は好まし
くは15%以下、より好ましくは10%以下であることが望
ましい。
また、シート抵抗値としては、好ましくは50Ω以下、
より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
i型半導体層 本発明によって作製される光起電力素子において好適
に用いられるi型半導体層を構成する半導体材料として
は、a−Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−SiC:H,a−SiC:F,a
−SiC:H:F,a−SiGe:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:F,poly−S
i:H,poly−Si:F,poly−Si:H:F等いわゆるIV族及びIV族
合金系半導体材料の他、II−VI族及びIII−V族のいわ
ゆる化合物半導体材料等が挙げられる。
p型半導体層及びn型半導体層 本発明によって作製される光起電力素子において好適
に用いられるp型又はn型半導体層を構成する半導体材
料としては、前述したi型半導体層を構成する半導体材
料に価電子制御剤をドーピングすることによって得られ
る。
〔製造例〕
以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて
の具体的製造例を示すが、本発明はこれらの製造例によ
って何ら限定されるものではない。
製造例1 装置例7で示した連続式マイクロ波プラズマCVD装置
(第3図)を用い、アモルファスシリコン膜の連続堆積
を行った。
まず、基板送り出し機構を有する真空容器301に、十
分に脱脂、洗浄を行ったSUS430BA製帯状基板(幅45cm×
長さ200m×厚さ0.25mm)の巻きつけられたボビン303を
セットし、該基板101をガスゲート321及び隔離容器300
中の搬送機構を介して、更にガスゲート322を介し、基
板巻き取り機構を有する真空容器302まで通し、たるみ
のない程度に張力調整を行った。
そこで、各真空容器301,302及び隔離容器300を不図示
のロータリポンプで荒引きし、次いで不図示のメカニカ
ルブースターポンプを起動させ10-3Torr付近まで真空引
きした後、更に温度制御機構106a,106bを用いて、帯状
部材101の表面温度を250℃に保持しつつ、不図示の油拡
散ポンプ(バリアン製HS−32)にて5×10-6Torr以下ま
で真空引きした。
なお、マイクロ波アプリケーターの形状、及び湾曲形
状等の条件を第8表に示した。
十分に脱ガスが行われた時点で、ニッケル製のガス導
入管を兼ねるバイアス印加管113より、SiH4 400sccm、S
iF4 4.5sccm、H2 80sccmを導入し、前記油拡散ポンプに
取り付けられたスロットルバルブの開度を調整して隔離
容器300内の圧力を4.5mTorrに保持した。圧力が安定し
たところで、不図示の2.45GHz仕様のマイクロ波電源よ
り、実効パワーで0.70kW×2のマイクロ波を対向して一
対設けられたアプリケーター107,108より成膜室内に放
射させた。直ちに、導入された原料ガスはプラズマ化
し、プラズマ領域を形成し、該プラズマ領域は支持・搬
送用ローラー102,130の間隙より隔離容器側に漏れ出る
ことはなかった。また、マイクロ波の漏れも検出されな
かった。
そこで、バイアス印加用電源119より+80Vの直流電圧
を導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管1
13に印加させたところ、6.8Aのバイアス電流が流れ、目
視によるとプラズマの輝度が若干増した。
そこで、支持・搬送用ローラー102,103及び支持・搬
送用リング104,105(いずれも駆動機構は不図示)を起
動し、前記基板101の搬送スピードが40cm/minとなるよ
うに制御した。搬送を開始してもプラズマは安定してお
り、バイアス電圧、電流ともに変化はなかった。
なお、ガスゲート321,322にはゲートガス導入管316,3
17よりゲートガスとしてH2ガスを50sccm流し、排気孔31
8、318より不図示の油拡散ポンプで排気し、ガスゲート
内圧は1mTorrとなるように制御した。
搬送を開始してから30分間、連続して堆積膜の形成を
行った。なお、長尺の基板を用いているため、本製造例
の終了後、引き続き他の堆積膜の形成を実施し、すべて
の堆積終了後、基板を冷却して取り出し、本製造例にお
いて形成された帯状部材上の堆積膜膜厚分布を幅方向及
び長手方向について測定したところ5%以内に納まって
おり、堆積速度は平均100Å/secであった。また、その
一部を切り出し、FT−IR(パーキン・エルマー社製1720
X)を用い反射法により赤外吸収スペクトルを測定した
ところ、2000cm-1及び630cm-1に吸収が認められa−Si:
H:F膜に特有の吸収パターンであった。更に、RHEED(JE
M−100SX、日本電子製)により膜の 結晶性を評価した
ところ、ハローで、非晶質であることが判った。また、
金属中水素分析計(EMGA−1100、堀場製作所製)を用い
て膜中水素量を定量したところ21±2atomic%であっ
た。
更に、帯状部材上に堆積形成されたアモルファスシリ
コン膜を約5cm2の領域にわたって機械的に剥離させてそ
の体積を測定し、ひき続き、ESR装置(JES−RE2X、日本
電子製)にてスピン密度を測定したところ、2.5×1015s
pins/cm3であり、欠陥の少ない膜であることが判った。
また、前記帯状部材の他の部分より1cm×1cmの試料片
を任意に5ヶ所切り出し、反応性スパッタリング装置
(自社内製品)にセットしてアモルファスシリコン膜の
堆積された面上に1500ÅのITO(In2O3+SnO2)膜を堆積
した。そして、この試料片をCPM(Constant Photocurre
nt Method)装置(自社内製装置)にセットし、ITO膜側
から光入射を行ってアーバック裾(Urbach Tail)の傾
きを測定したところ、48±1meVで、欠陥の少ない膜であ
ることが判った。
製造例2 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器300の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、ガス導入管を
兼ねるバイアス印加管113より、SiH4 120sccm、GeH4 10
0sccm、SiF4 4sccm、H2 60sccmを導入し、内圧を9mTorr
に保持し、マイクロ波電力を0.45kW×2とし、搬送速度
を25cm/minとした以外は同様の堆積膜形成条件でアモル
ファスシリコンゲルマニウム膜の連続堆積を行った。
なお、バイアス印加用電源119より+40Vの直流電圧を
導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管113
に印加させたところ、6.2Aのバイアス電流が流れ、目視
によるとプラズマの輝度が若干増した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均52Å/secであった。
また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキン・エル
マー社製1720X)を用い、反射法により赤外吸収スペク
トルを測定したところ、2000cm-1、1880cm-1及び630cm
-1に吸収が認められa−SiGe:H:F膜に特有の吸収パター
ンであった。更にRHEED(JEM−100SX、日本電子製)に
より膜の結晶性を評価したところ、ハローで、非晶質で
あることが判った。また、金属中水素分析計(EMGA−11
00、堀場製作所製)を用いて膜中水素量を定量したとこ
ろ14±2atomic%であった。
更に、帯状部材上に堆積形成されたアモルファスシリ
コンゲルマニウム膜を約5cm2の領域にわたって機械的に
剥離させてその体積を測定し、ひき続き、ESR装置(JES
−RE2X、日本電子製)にてスピン密度を測定したところ
4.5×1015spins/cm3であり、欠陥の少ない膜であること
が判った。
また、前記帯状部材の他の部分より1cm×1cmの試料片
を任意に5ヶ所切り出し、反応性スパッタリング装置
(自社内製品)にセットしてアモルファスシリコンゲル
マニウム膜の堆積された面上に1500ÅのITO(In2O3+Sn
O2)膜を堆積した。そして、この試料片をCPM(Constan
t Photocurrent Method)装置(自社内製装置)にセッ
トし、ITO膜側から光入射を行ってアーバック裾(Urbac
h Tail)の傾きを測定したところ54±1meVで、欠陥の少
ない膜であることが判った。
製造例3 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器300の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、ガス導入管を
兼ねるバイアス印加管113より、SiH4 160sccm、CH4 23s
ccm、SiF4 5sccm、H2 250sccmを導入し、内圧を23mTorr
に保持し、マイクロ波電力を1.0kW×2とした以外は同
様の堆積膜形成条件でアモルファスシリコンカーバイド
膜の連続堆積を行った。
なお、バイアス印加用電源119より+50Vの直流電圧を
導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管113
に印加させたところ、6.6Aのバイアス電流が流れ、目視
によるとプラズマの輝度が若干増した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均41Å/secであった。
また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキン・エル
マー社製1720X)を用い反射法により赤外吸収スペクト
ルを測定したところ、2080cm-1、1250cm-1、960cm-1、7
77cm-1及び660cm-1に吸収が認められa−SiC:H:F膜に特
有の吸収パターンであった。更に、RHEED(JEM−100S
X、日本電子製)により膜の結晶性を評価したところ、
ハローで、非晶質であることが判った。また、金属中水
素分析計(EMGA−1100、堀場製作所製)を用いて膜中水
素量を定量したところ15±2atomic%であった。
更に、帯状部材上に堆積形成されたアモルファスシリ
コンカーバイド膜を約5cm2の領域にわたって機械的に剥
離させてその体積を測定し、ひき続き、ESR装置(JES−
RE2X、日本電子製)にてスピン密度を測定したところ8.
0×1015spins/cm3であり、欠陥の少ない膜であることが
判った。
また、前記帯状部材の他の部分より1cm×1cmの試料片
を任意に5ヶ所切り出し、反応性スパッタリング装置
(自社内製品)にセットしてアモルファスシリコンカー
バイド膜の堆積された面上に1500ÅのITO(In2O3+Sn
O2)膜を堆積した。そして、この試料片をCPM(Constan
t Photocurrent Method)装置(自社内製装置)にセッ
トし、ITO膜側から光入射を行ってアーバック裾(Urbac
h Tail)の傾きを測定したところ57±1meVで、欠陥の少
ない膜であることが判った。
製造例4 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器300の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、ガス導入管を
兼ねるバイアス印加管113より、SiH4 200sccm、BF3(30
00ppm H2希釈)38sccm、SiF4 25sccm、H2 550sccmを導
入し、内圧を6.5mTorrに保持し、マイクロ波電力を1.1k
W×2とした以外は同様の堆積膜形成条件でp型の微結
晶シリコン膜の連続堆積を行った。
なお、バイアス印加用電源119より+120Vの直流電圧
を導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管1
13に印加させたところ、7.5Aのバイアス電流が流れ、目
視によるとプラズマの輝度が若干増した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均48Å/secであった。
また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキン・エル
マー社製1720X)を用い反射法により赤外吸収スペクト
ルを測定したところ、2100cm-1及び630cm-1に吸収が認
められμC−Si:H:F膜に特有の吸収パターンであった。
更にRHEED(JEM−100SX、日本電子製)により膜の結晶
性を評価したところ、リング状で、無配向の多結晶質で
あることが判った。また、金属中水素分析計(EMGA−11
00、堀場製作所製)を用いて膜中水素量を定量したとこ
ろ4±1atomic%であった。
更に、帯状部材上に堆積形成された膜について、5mm
×5mmの試料片を任意に5ヶ所切り出し、その表面状態
を超高分解能、低加速FE−SEM(日立製作所S−900型)
にて観察したところ、膜表面は平滑であり、異常突起の
発生はほとんど認められなかった。
製造例5 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器300の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、ガス導入管を
兼ねるバイアス印加管113より、SiH4 280sccm、PH3(1
%H2希釈)24sccm、SiF4 5sccm、H2 40sccmを導入し、
内圧を7mTorrに保持し、マイクロ波電力を0.75kW×2と
した以外は同様の堆積膜形成条件でn型のアモルファス
シリコン膜の連続堆積を行った。
なお、バイアス印加用電源119より+80Vの直流電圧を
導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管113
に印加させたところ、7.0Aのバイアス電流が流れ、目視
によるとプラズマの輝度が若干増した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均65Å/secであった。
また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキン・エル
マー社製1720X)を用い反射法により赤外吸収スペクト
ルを測定したところ、2000cm-1及び630cm-1に吸収が認
められ、a−Si:H:F膜に特有の吸収パターンであった。
更に、RHEED(JEM−100SX、日本電子製)により膜の結
晶性を評価したところ、ハローで、非晶質であることが
判った。また、金属中水素分析計(EMGA−1100、堀場製
作所製)を用いて膜中水素量を定量したところ21±2ato
mic%であった。
更に、帯状部材上に堆積形成された膜について、5mm
×5mmの試料片を任意に5ヶ所切り出し、その表面状態
を超高分解能、低加速FE−SEM(日立製作所S−900型)
にて観察したところ、膜表面は平滑であり、異常突起の
発生はほとんど認められなかった。
製造例6 製造例1において、SUS430BA製帯状基板のかわりに、
堆積膜の形成される側の面にAl膜を2μm蒸着した(う
ち、その一部には巾70μm、長さ10mmのくし型ギャップ
を幅及び長手方向に20cmごとに形成した。)PET(ポリ
エチレンテレフタレート)製帯状基板(幅45cm×長さ10
0m×厚さ0.9mm)を用い、基板表面温度を210℃とした以
外は、全く同様の操作にてアモルファスシリコン膜の連
続堆積を行った。
なお、バイアス印加用電源119より+80Vの直流電圧を
導線120を介してガス導入管を兼ねるバイアス印加管113
に印加させたところ、6.7Aのバイアス電流が流れ、目視
によるとプラズマの輝度が若干増した。
基板を冷却後取り出し、まず、膜厚分布を幅方向及び
長手方向について測定したところ5%以内に納まってお
り、堆積速度は平均95Å/secであった。また、その一部
を切り出し、FT−IR(パーキン・エルマー社製1720X)
を用い、リファレンス透過法により赤外吸収スペクトル
を測定したところ、2000cm-1及び630cm-1に吸収が認め
られ、a−Si:H:F膜に特有の吸収パターンであった。ま
た、2000cm-1付近のSi−Hに帰属される吸収から膜中水
素量を定量したところ、24±2atomic%であった。
更に、RHEED(JEM−100SX、日本電子製)により、膜
の結晶性を評価したところ、ハローで、非晶質であるこ
とが判った。
また、あらかじめ形成してあるギャップ電極のうち20
箇所をランダムに切り出し、それぞれについてAM−1光
(100mW/cm2)照射下での光電流値、及び暗中での暗電
流値をHP4140Bを用いて測定し、明導電率σp(S/c
m)、及び暗導電率σd(S/cm)を求めたところ、それ
ぞれ(3.5±0.5)×10-5S/cm及び(1.0±0.5)×10-11S
/cmの範囲内に納まっていた。
また、この試料片をCPM(Constant Photocurrent Met
hod)装置(自社内製装置)にセットし、ITO膜側から光
入射を行ってアーバック裾(Urbach Tail)の傾きを測
定したところ50±1meVで、欠陥の少ない膜であることが
判った。
製造例7〜11 製造例1〜5の製造条件において、バイアス印加電圧
を第9表に示す条件に変えた以外は同様の操作及びプラ
ズマ生起条件等にて、各堆積膜の形成を行った。
形成された堆積膜の評価を、製造例1〜5と同様の方
法にて行った結果を総合して、第9表中に示したが、い
ずれの場合においても異常放電は発生せずプラズマは安
定しており、良好な特性の膜が得られた。
製造例12〜16 製造例1〜5の製造条件において、第2のバイアス棒
に印加するバイアス印加電圧を第10表に示す条件に変え
た以外は同様の操作及びプラズマ生起条件等にて、各堆
積膜の形成を行った。なお、バイアス印加方法は第11図
(D)に示した方法にて、第1のバイアス棒にはいずれ
の場合も+30Vを印加した。
形成された堆積膜の評価を、製造例1〜5と同様の方
法にて行った結果を総合して、第10表中に示したが、い
ずれの場合においても異常放電は発生せずプラズマは安
定しており、良好な特性の膜が得られた。
製造例17 本製造例においては、第7図の断面模式図に示す層構
成のショットキー接合型ダイオードを第3図に示す装置
を用いて、作製した。
ここで、701は基板、702は下部電極、703はn+型半導
体層、704はノンドープの半導体層、705は金属層、706,
707は電流取り出し用端子である。
まず、製造例1で用いたのと同様のSUS430BA製帯状基
板を連続スパッタ装置にセットし、Cr(99.98%)電極
をターゲットとして用いて、1300ÅのCr薄膜を堆積し、
下部電極702を形成した。
ひき続き、該帯状部材を装置例7で示した第3図の連
続堆積膜形成装置の真空容器301中の送り出し用ボビン3
03にセットし、Cr薄膜の堆積された面を下側に向けた状
態で隔離容器300を介して、真空容器302中の巻き取り用
ボビン304にその端部を巻きつけ、たるみのないよう張
力調整を行った。
なお、本製造例における基板の湾曲形状及びマイクロ
波アプリケーター等の条件は第8表に示したのと同様と
した。
その後、不図示の排気ポンプにて、各真空容器の排気
管309,310,311を介して、製造例1と同様の荒引き、高
真空引き操作を行った。この時、帯状部材の表面温度は
250℃となるよう、温度制御機構106a,106bにより制御し
た。
十分に脱ガスが行われた時点で、ガス導入管を兼ねる
バイアス印加管113より、SiH4 280sccm、SiF4 4sccm、P
H3/H2(1%H2希釈)50sccm、H2 35sccmを導入し、スロ
ットルバルブ709の開度を調整して、隔離容器300の内圧
を7.5mTorrに保持し、圧力が安定したところで、直ちに
不図示のマイクロ波電源より0.7kW×2のマイクロ波を
一対のマイクロ波アプリケーター107,108より放射させ
た。プラズマが生起したと同時に+80Vの直流バイアス
電圧を印加させたところ、6.9Aのバイアス電流が流れ
た。プラズマが安定したところで搬送を開始し、50cm/m
inの搬送スピードで図中左側から右側方向へ搬送しつつ
5分間の堆積操作を行った。これにより、n+半導体層70
3としてのn+a−Si:H:F膜が下部電極702上に形成され
た。
なお、この間ガスゲート321,322にはゲートガスとし
てH2を50sccm流し、排気孔318より不図示の排気ポンプ
で排気し、ガスゲート内圧は1.5mTorrとなるように制御
した。
マイクロ波の供給及び原料ガスの導入を止め、また、
帯状部材の搬送を止めてから隔離容器300の内圧を5×1
0-6Torr以下まで真空引きした後、再びガス導入管を兼
ねるバイアス印加管113より、SiH4 350sccm、SiF4 6.5s
ccm、H2 65sccmを導入し、スロットルバルブ309の開度
を調整して、隔離容器300の内圧を6.5mTorrに保持し、
圧力が安定したところで、直ちに不図示のマイクロ波電
源より0.65kW×2のマイクロ波を一対のマイクロ波アプ
リケーター107,108より放射させた。プラズマが生起し
たのと同時に+80Vの直流バイアス電圧を印加させたと
ころ、6.5Aのバイアス電流が流れた。プラズマが安定し
たところで搬送を開始し、67cm/minの搬送スピードで図
中右側から左側方向へ逆転搬送しつつ、3.7分間の堆積
操作を行った。これにより、n+a−Si:H:F膜上にノンド
ープの半導体層704としてのa−Si:H:F膜が積層形成さ
れた。
すべての堆積操作終了後、マイクロ波の供給、原料ガ
スの供給を止め、基板の搬送を止め、十分に隔離容器30
0内の残留ガスの排気を行い、基板を冷却後取り出し
た。
該基板の10箇所をランダムにφ5mmのパーマロイ製マ
スクを密着させ、金属層705としてのAu薄膜を電子ビー
ム蒸着法にて80Å蒸着した。続いて、ワイヤボンダーに
て電流取り出し用端子706,707をボンディングし、HP414
0Bを用いてダイオード特性を評価した。
その結果、ダイオード因子n=1.1±0.04、±1Vでの
整流比約6桁と良好なダイオード特性を示した。
製造例18 本製造例においては、第8図(A)の断面模式図に示
す層構成のpin型光起電力素子を装置例8で示した第4
図の連続堆積膜形成装置を用いて作製した。
該光起電力素子は、基板801上に下部電極802、n型半
導体層803、i型半導体層804、p型半導体層805、透明
電極806及び集電電極807をこの順に堆積形成した光起電
力素子800である。なお、本光起電力素子では透明電極8
06の側より光の入射が行われることを前提としている。
まず、製造例6で用いたのと同様のPET製帯状基板を
連続スパッタ装置にセットし、Ag(99.99%)電極をタ
ーゲットとして用いて1000ÅのAg薄膜を、また連続して
ZnO(99.999%)電極をターゲットとして用いて1.2μm
のZnO薄膜をスパッタ蒸着し、下部電極802を形成した。
ひき続き、該下部電極802の形成された帯状基板を装
置例8(第4図)で示した連続堆積膜形成装置に、製造
例15で行ったのと同様の要領でセットした。この時の隔
離容器300内における基板の湾曲形状等の条件を第11表
に示す。
また、隔離容器300−a,300−bにおいては、第12表に
示す堆積膜形成条件でn型a−Si:H:F膜及びp+型μc−
Si:H:F膜の形成を行った。
まず、各々の成膜室内でマイクロ波プラズマを生起さ
せ、放電等が安定したところで帯状部材101を搬送スピ
ード64cm/minで図中左側から右側方向へ搬送させ、連続
して、n,i,p型半導体層を積層形成した。
帯状部材101の全長に亘って半導体層を積層形成した
後、冷却後取り出し、更に、連続モジュール化装置にて
35cm×70cmの太陽電池モジュールを連続作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で8.5%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発
生率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モ
ジュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例19 本製造例では、製造例18で作製したpin型光起電力素
子において、i型半導体層としてのa−Si:H:F膜のかわ
りにa−SiGe:H:F膜を用いた例を示す。
a−SiGe:H:F膜の形成は、搬送速度を51cm/min、帯状
部材の表面温度を200℃、バイアス電圧を正弦波(500H
z)170VP-Pとした以外は製造例2で行ったのと同様の操
作及び方法で行い、他の半導体層形成及びモジュール化
工程は製造例18と同様の操作及び方法で行い、太陽電池
モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で7.5%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発
生率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モ
ジュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例20 本製造例では、製造例18で作製したpin型光起電力素
子において、i型半導体層としてのa−Si:H:F膜のかわ
りにa−SiC:H:F膜を用いた例を示す。
a−SiC:H:F膜の形成は、搬送速度を36cm/min、帯状
部材の表面温度を200℃、バイアス電圧を三角波(1MH
z)160VP-Pとした以外は製造例3で行ったのと同様の操
作及び方法で行い、他の半導体層形成及びモジュール化
工程は製造例18と同様の操作及び方法で行い、太陽電池
モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で6.8%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発
生率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モ
ジュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例21 本製造例では、第8図(C)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第4図に示す装置
において隔離容器300−a,300,300−bと同様の構成の隔
離容器300−a′,300′,300−b′をこの順でガスゲー
トを介して更に接続させた装置(不図示)を用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったものを用い、下部素子は製造例19
で、上部素子は製造例18で作製したのと同様の層構成と
し、各半導体層の堆積膜作製条件は第13表に示した。モ
ジュール化工程は製造例18と同様の操作及び方法で行
い、太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.4%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発生
率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モジ
ュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例22 本製造例では、第8図(C)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第4図に示す装置
において隔離容器300−a,300,300−bと同様の構成の隔
離容器を300−a′,300′,300−b′をこの順でガスゲ
ートを介して更に接続させた装置(不図示)を用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったものを用い、下部素子は製造例18
で、上部素子は製造例20で作製したのと同様の層構成と
し、各半導体層の堆積膜作製条件は第14表に示した。モ
ジュール化工程は製造例18と同様の操作及び方法で行
い、太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.3%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発生
率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モジ
ュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例23 本製造例では、第8図(D)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第4図に示す装置
において隔離容器300−a,300,300−bと同様の構成の隔
離容器300−a′,300′,300−b′,300−a″,300″,30
0−b″をこの順でガスゲートを介して更に接続させた
装置(不図示)を用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったものを用い、下部素子は製造例19
で、中間素子は製造例18、上部素子は製造例20で作製し
たのと同様の層構成とし、各半導体層の堆積膜作製条件
は第15表に示した。モジュール化工程は製造例18と同様
の操作及び方法で行い、太陽電池モジュールを作製し
た。
作製した太陽電池モジュールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.5%以上が得られ、更にモジュール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
8.5%以内に納まった。更に、ショート等による欠陥発
生率をバイアス電圧を印加させずに形成した太陽電池モ
ジュールの場合と比較したところ、20%以上向上してい
た。
これらのモジュールを接続して3kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
〔発明の効果の概要〕 本発明の方法によれば、成膜空間の側壁を構成する帯
状部材を連続的に移動せしめると共に、前記成膜空間の
側壁を構成する帯状部材の幅方向、且つマイクロ波の進
行方向に対して平行な方向にマイクロ波エネルギーを放
射せしめるマイクロ波アプリケーター手段を具備させ、
前記成膜空間内にマイクロ波プラズマを閉じ込めること
によって、大面積の機能性堆積膜を連続して、均一性良
く形成することができる。
また、本発明の方法によれば、プラズマ電位を適宜制
御することによって、所望の特性を有し、欠陥の少ない
高品質の機能性堆積膜を連続して効率良く高い歩留りで
形成することができる。
本発明の方法及び装置により、マイクロ波プラズマを
前記成膜空間内に閉じ込め、プラズマ電位を制御するこ
とにより、マイクロ波プラズマの安定性、再現性が向上
すると共に堆積膜形成用原料ガスの利用効率を飛躍的に
高めることができる。更に、前記帯状部材を連続して搬
送させることによって、湾曲の形状、長さ、及び搬送ス
ピードを種々変化させることによって任意の膜厚の堆積
膜を大面積に亘り均一性よく、連続して堆積形成でき
る。
本発明の方法及び装置によれば、比較的幅広で、且つ
長尺の帯状部材の表面上に連続して均一性良く機能性堆
積膜を形成できる。従って、特に大面積太陽電池の量産
機として好適に用いることができる。
また、放電を止めることなく、連続して堆積膜が形成
できるため、積層型デバイス等を作製するときには良好
な界面特性が得られる。
また、低圧下での堆積膜形成が可能となり、ポリシラ
ン粉の発生を抑えられ、また、活性種のポリマリゼーシ
ョン等も抑えられるので欠陥の減少及び、膜特性の向
上、膜特性の安定性の向上等が図れる。
従って、稼動率、歩留りの向上が図れ、安価で高効率
の太陽電池を量産化することが可能となる。
更に、本発明の方法及び装置によって作製された太陽
電池は光電変換効率が高く、且つ、長期に亘って特性劣
化の少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のマイクロ波プラズマCVD装置の模式
的概略図である。第2図は、本発明のマイクロ波アプリ
ケーター手段の概略図である。第3図乃至第5図は、本
発明の連続式マイクロ波プラズマCVD装置の1例の全体
概略図である。第6図は本発明における方形導波管の取
り付け角度を説明するための断面模式図である。第7図
は、本発明において作製されたショットキー接合型ダイ
オードの断面模式図である。第8図(A)乃至(D)
は、本発明において作製されたpin型光起電力素子(シ
ングル、タンデム、トリプル)の断面模式図である。第
9図(i)乃至(X)は、帯状部材の処理方法を説明す
るための図である。第10図は、本発明におけるガスゲー
ト手段の圧力勾配を模式的に示した図である。第11図
は、バイアス印加手段の典型的配置を示す図である。第
12図は、本発明の実験例において得られたバイアス電圧
印加時の電流−電圧特性図である。第13図は、本発明の
実験例において得られたバイアス電圧印加時のプラズマ
電位の変化率を示した図である。 第1乃至11図の夫々について、 101,1101……帯状部材、 102,103,1102……搬送用ローラー、 104,105……搬送用リング、 106a〜e……温度制御機構、 107,108……マイクロ波アプリケーター、 109,110……マイクロ波透過性部材、 111,112……方形導波管、 113,1103……ガス導入管を兼ねるバイアス印加管、114
……排気管、 115a,b……隔離通路、116……成膜室、 117,1109……絶縁性継手、 118,1110……ガス供給管、 119,1107,1108……バイアス印加用電源、 120……導線、200……マイクロ波アプリケーター、 201,202……マイクロ波透過性部材、 203a,b……マイクロ波整合用円板、 204……内筒、205……外筒、 206……固定用リング、 207……チョークフランジ、208……方形導波管、 209……冷却媒体、210……Oリング、 211……溝、212……メタルシール、 213,214……冷却空気導入・排出孔、 301,302,501,502……真空容器、 303……送り出し用ボビン、 304……巻き取り用ボビン、 305,306……搬送用ローラー、 307,308,309……スロットルバルブ、 310,311,318,319,320……排気孔、 312,313……温度調整機構、 314,315……圧力計、 316,317,405,406,407,408……ゲートガス導入管、 321,322,401,402,403,404……ガスゲート、 409,410,411,412……ゲートガス排気管、 413……ガス導入管、 503,504……カソード電極、 505,506……ガス導入管、 507,508……ハロゲンランプ、 509,510……アノード電極、 511,512……排気管、701,801……支持体、 702,802……下部電極、 703,803,808,814,817……n型半導体層、704,804,809,8
15,818……i型半導体層、705……金属層、 706,707……電流取り出し用端子、 800,800′,811,812,820,821,823……pin接合型光起電力
素子、 805,810,816,819……p型半導体層、 806……上部電極、807……集電電極、 813……タンデム型光起電力素子、 824……トリプル型光起電力素子、 901a……帯状部材処理室(A)、 901b……帯状部材処理室(B)、 902,903,904,905,906……帯状部材、 907a,907b……ローラー、 908a,908b……切断刃、 909a,909b……溶接治具、 910,911,912,913……接続手段、 1104,1106……バイアス棒、 1105……ガス導入管。

Claims (41)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中
    途で前記帯状部材上を側壁とする成膜空間を形成し、該
    形成された成膜空間内にガス供給手段を介して堆積膜形
    成用原料ガスを導入し、同時に、該成膜空間の両側から
    マイクロ波エネルギーをマイクロ波の進行方向に対して
    平行な方向に放射させるようにしたマイクロ波アプリケ
    ーター手段により、該マイクロ波エネルギーを該成膜空
    間内に放射させてマイクロ波プラズマを該成膜空間内に
    生起せしめ、前記マイクロ波プラズマのプラズマ電位を
    制御しながら、該マイクロ波プラズマに曝される前記側
    壁を構成する該帯状部材上に堆積膜を形成することを特
    徴とするマイクロ波プラズマCVD法による堆積膜形成方
    法。
  2. 【請求項2】前記帯状部材の中途において、湾曲開始端
    形成手段と湾曲終了端形成手段とを用いて、前記湾曲開
    始端形成手段と前記湾曲終了端形成手段との間に、前記
    帯状部材の長手方向に間隙を残して該帯状部材を湾曲さ
    せて前記成膜空間の側壁を形成する請求孔1に記載の堆
    積膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記マイクロ波アプリケーター手段を前記
    端面に垂直方向に配設し、前記マイクロ波エネルギーを
    前記側壁と平行な方向に放射させる請求項1に記載の堆
    積膜形成方法。
  4. 【請求項4】前記プラズマ電位は、前記帯状部材から分
    離されたバイアス手段を介して制御される請求項1に記
    載の堆積膜形成方法。
  5. 【請求項5】前記バイアス印加手段を少なくともその一
    部分が前記マイクロ波プラズマに接するように配設し、
    前記バイアス印加手段にバイアス電圧を印加させる請求
    項4に記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】前記バイアス印加手段の前記マイクロ波プ
    ラズマに接する少なくとも一部分には導電処理が施され
    ている請求項5に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】前記バイアス電圧は直流、脈流又は交流で
    ある請求項5に記載の堆積膜形成方法。
  8. 【請求項8】前記バイアス印加手段は前記ガス供給手段
    を兼ねている請求項5に記載の堆積膜形成方法。
  9. 【請求項9】前記バイアス印加手段は前記ガス供給手段
    から分離して配設されている請求項5に記載の堆積膜形
    成方法。
  10. 【請求項10】前記バイアス印加手段は、単数又は複数
    のバイアス棒で構成されている請求項9に記載の堆積膜
    形成方法。
  11. 【請求項11】前記プラズマ電位は前記帯状部材に印加
    するバイアス電圧によって制御される請求項1に記載の
    堆積膜形成方法。
  12. 【請求項12】前記ガス供給手段は設置電位とし、少な
    くともその一部分が前記マイクロ波プラズマに接するよ
    うに配設されているされている請求項11に記載の堆積膜
    形成方法。
  13. 【請求項13】前記ガス供給手段の前記マイクロ波プラ
    ズマに接する少なくとも一部分は導電処理が施されてい
    る請求項12に記載の堆積膜形成方法。
  14. 【請求項14】前記マイクロ波エネルギーをマイクロ波
    アプリケーター手段の先端部分に設けられたマイクロ波
    透過性部材を介して放射させるようにする請求項1に記
    載の堆積膜形成方法。
  15. 【請求項15】前記マイクロ波透過性部材にて、前記マ
    イクロ波アプリケーター手段と、前記成膜空間との気密
    が保持されている請求項14に記載の堆積膜形成方法。
  16. 【請求項16】一方のマイクロ波アプリケーター手段よ
    り放射されるマイクロ波エネルギーが他方のマイクロ波
    アプリケーター手段に受信されないように配置されてい
    る請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  17. 【請求項17】前記成膜空間内に放射されたマイクロ波
    エネルギーが、前記成膜空間外へ漏洩しないようにされ
    ている請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  18. 【請求項18】前記成膜空間内に導入された堆積膜形成
    用原料ガスを前記歪曲開始端形成手段と前記湾曲終了端
    形成手段との間で前記帯状部材の長手方向に残された間
    隙より排気されるようにしている請求項2に記載の堆積
    膜形成方法。
  19. 【請求項19】前記帯状部材の前記マイクロ波プラズマ
    に曝される側の面には少なくとも導電処理が施されてい
    る請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  20. 【請求項20】長手方向に帯状部材を移動せしめその中
    途で前記帯状部材上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置
    であって、該帯状部材を支持するため長手方向にそれら
    の間に所定の空間を空けて互いに平行に配されているロ
    ーラーの組によって送り出し機構から巻き取り機構に長
    手方向に移動する途中に設けられ、該帯状部材が壁とし
    て機能して形成される成膜空間を形成するため該帯状部
    材を支持する成膜空間形成手段、マイクロ波の進行方向
    に対して平行な方向にマイクロ波エネルギーを導入して
    前記成膜空間内にマイクロ波プラズマを発生するため、
    該成膜空間の対向する両側面のそれぞれに接続されたマ
    イクロ波アプリケーター手段、前記成膜空間内部を排気
    するための排気手段、前記成膜空間内に堆積膜形成原料
    ガスを導入するためのガス供給手段、前記マイクロ波プ
    ラズマのプラズマ電位を制御するためのバイアス電圧を
    印加するためのバイアス印加手段、前記帯状部材を加熱
    あるいは冷却するための温度制御手段、及び該マイクロ
    波プラズマのプラズマ電位を制御するためのバイアス印
    加手段を有することを特徴とする堆積膜形成装置。
  21. 【請求項21】前記成膜空間形成手段は前記ローラーの
    組と該ローラーの間に配された支持搬送リングからなる
    請求項20に記載の堆積膜形成装置。
  22. 【請求項22】前記ローラーは前記帯状部材を湾曲させ
    る湾曲部形成手段を構成し、該湾曲部形成手段を、少な
    くとも一組以上の、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形
    成手段とで構成し、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲
    終了端形成手段との間に前記成膜空間が設けられる請求
    項20に記載の堆積膜形成装置。
  23. 【請求項23】前記ローラーの組は少なくとも一対の支
    持・搬送用ローラーを有し、該支持・搬送用ローラーは
    湾曲部形成手段を構成するとともに、該湾曲部形成手段
    は支持・搬送用リングを有する請求項22に記載の堆積膜
    形成装置。
  24. 【請求項24】前記バイアス印加手段は前記帯状部材か
    ら分離して配設されている請求項20に記載の堆積膜形成
    装置。
  25. 【請求項25】前記バイアス印加手段の少なくとも一部
    が前記マイクロ波プラズマに接するように配設されてい
    る請求項24に記載の堆積膜形成装置。
  26. 【請求項26】前記バイアス印加手段の前記マイクロ波
    プラズマに接する部分に導電処理が施されている請求項
    25に記載の堆積膜形成装置。
  27. 【請求項27】前記バイアス印加手段にバイアス電圧を
    供給する手段を有する請求項26に記載の堆積膜形成装
    置。
  28. 【請求項28】前記バイアス電圧を供給する手段は直
    流、脈流又は交流電圧を発生する請求項27に記載の堆積
    膜形成装置。
  29. 【請求項29】前記バイアス印加手段は前記ガス供給手
    段の一部である請求項25に記載の堆積膜形成装置。
  30. 【請求項30】前記バイアス印加手段は前記ガス供給手
    段から分離して配設される請求項25に記載の堆積膜形成
    装置。
  31. 【請求項31】前記バイアス印加手段は複数のバイアス
    棒を有する請求項30に記載の堆積膜形成装置。
  32. 【請求項32】前記バイアス印加手段は一つのバイアス
    棒を有する請求項30に記載の堆積膜形成装置。
  33. 【請求項33】前記バイアス印加手段は帯状部材を兼ね
    る請求項20に記載の堆積膜形成装置。
  34. 【請求項34】前記ガス供給手段が接地され、少なくと
    も該ガス供給手段の一部が前記帯マイクロ波プラズマに
    接するように配されている請求項20に記載の堆積膜形成
    装置。
  35. 【請求項35】前記ガス供給手段の前記マイクロ波プラ
    ズマに接する少なくとも一部分は導電性を有する請求項
    33に記載の堆積膜形成装置。
  36. 【請求項36】前記マイクロ波アプリケーター手段は前
    記端面に垂直に配設されている請求項20に記載の堆積膜
    形成装置。
  37. 【請求項37】前記マイクロ波アプリケーター手段の先
    端部分には、前記成膜空間と前記マイクロ波アプリケー
    ター手段との気密分離を行ない、かつ、前記マイクロ波
    アプリケーター手段から放射されるマイクロ波エネルギ
    ーを前記成膜空間内へ透過せしめるマイクロ波透過性部
    材が配設されている請求項20に記載の堆積膜形成装置。
  38. 【請求項38】前記マイクロ波アプリケーター手段には
    方形又は楕円導波管を介してマイクロ波エネルギーが伝
    送される請求項20に記載の堆積膜形成装置。
  39. 【請求項39】前記マイクロ波アプリケーター手段に接
    続される前記方形又は楕円導波管の長辺を含む面同士、
    長軸を含む面同士、または長辺を含む面と長軸を含む面
    同士が互いに平行にならないように配設されている請求
    項38に記載の堆積膜形成装置。
  40. 【請求項40】前記方形及び/又は楕円導波管の長辺を
    含む面及び/又は長軸を含む面と、前記ローラーの組の
    中心軸を含む面とのなす角度が垂直にならないように前
    記アプリケーター手段が配設されている請求項39に記載
    の堆積膜形成装置。
  41. 【請求項41】前記ローラーの組は少なくとも一対の支
    持・搬送用ローラーを有する請求項20に記載の堆積膜形
    成装置。
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