JP2809536B2 - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JP2809536B2
JP2809536B2 JP3342742A JP34274291A JP2809536B2 JP 2809536 B2 JP2809536 B2 JP 2809536B2 JP 3342742 A JP3342742 A JP 3342742A JP 34274291 A JP34274291 A JP 34274291A JP 2809536 B2 JP2809536 B2 JP 2809536B2
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Makino Milling Machine Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の回転主軸の
先端に設けられた工具取付孔に嵌入、装着されることに
より、所定の進行方向に切削作用を行うと共に回転軸心
回りの回転(以下C軸回転という)によって切削刃の向
きを変えて切削進行方向を可変とすることが可能な切削
工具の構造に関し、特に、切削刃を保持したシャンク部
分が、切削作用時の切削加工反力の変動と、かじりや食
い込み等の不都合な作用とを防止するための弾性変形用
の支点を形成する少なくとも1つのスリットを有すると
同時に、加工条件の変化に従って切削刃の上方域の機械
的剛性度合いを適宜に調節、設定可能な剛性調節手段を
備え、単一の工具で加工条件の変動に対応した切削加工
が可能であると共に、ワークの荒切削加工から緻密な加
工面を形成する精密切削加工までを一貫して遂行可能な
ヘールバイト形の切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械、特に、旋盤、平削り盤、形削
り盤等の工作機械における切削工具としてヘールバイト
が用いられることは従来より周知であり、ヘール突切り
バイト、ヘール仕上げバイト、ヘールねじ切りバイト等
の種類が主として周知である。この種のヘールバイト
は、切削刃に近い工具先端領域に切削作用時のかじり又
は食い込みを阻止するためにU字形に曲げられたばね作
用部を有する点を特徴とした切削工具である。この種の
従来のヘールバイトは、ワークに対する姿勢が加工中不
変であり、加工前にヘールバイトの刃先とワークとの位
置関係をきっちり決めれば所望寸法の加工が行えた。
【0003】他方、近時、フライス系の工作機械により
平面形状の被加工面を有したワークに溝加工等の切削加
工を施す要請が有る。例えば、金型加工等では、単に、
直線溝のみならず、閉曲線に沿う溝加工等を精密に加工
する要請も有る。このような曲線溝等では、従来、切削
工具としてエンドミルを用いた加工が一般的であるが、
このエンドミル加工法では、工具自体が回転軸心を有し
て回転作動しながら切削加工を行うので、必然的に加工
溝の形状は断面が対称形状に限られる。断面が非対称形
状の溝の切削加工では、溝の断面形状に一致した形状の
切削刃をワークとの間で相対的に曲線軌跡に沿って移動
させる必要があり、刃先は単に平削り、型削り加工の場
合のように直線軌跡ではないために、切削工具自体に移
動軌跡の曲線化に伴って進行方向を変化させるC軸回転
を付与する必要がある。故に、C軸回転機能を付与して
も所望の加工寸法精度が得られ、ワークの加工断面が対
称、非対称の何れの切削加工にも適用可能であり、か
つ、緻密な仕上げ面粗度でワークに主として溝加工を遂
行可能な切削工具を提供すべく開発及び工夫の結果、本
出願人は、C軸軸心を有する工作機械に装着されてワー
ク表面に切削加工を施す切削工具として、弾性変形支点
を切削刃の上方域に形成するスリットを有したヘールバ
イト形の切削工具を構成し、かつ、同切削工具はC軸軸
心と一致した軸心を有するシャンクと、そのシャンクの
先端に上記軸心を含む平面として形成した切削刃の取付
面に所望形状の切削刃を所定の固定手段で固定し、上記
の弾性変形支点は、切削刃の切削進行方向に見て上記取
付面の前方領域に配設して切削反力を弾性的に吸収する
ことにより、切削加工反力を一定変動内に抑制し、又か
じりや食い込みを防止しつつ切削刃を所定の軌跡に沿っ
てワークに対して相対的に進行せしめることによって切
削加工作用を進行させ、同時にC軸回転により切削軌跡
を曲線軌跡に選定することも可能とし、かつ、ワーク表
面に断面が対称及び非対称の任意の加工溝を切削加工で
きるようにしたヘールバイト形切削工具を提供した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述のC
軸回転による曲線軌跡加工性能を有し、かつ、断面が対
称及び非対称の任意の加工溝を切削加工できる切削工具
にあっても、なお、構造上の改善が要請されている。す
なわち、この種のヘールバイト形切削工具による加工条
件、例えば、ワーク面に切削加工する溝の幅寸法、深さ
寸法がワーク間で変化した場合やワーク素材の切削性が
変化した場合等に単一の切削工具では切削刃を種々、交
換しても切削刃の上方域に設けられたスリットによって
形成された弾性変形支点に基づく弾性変形性能が画一的
であるために、切削工具の機械的剛性も必然的に画一と
なり、適正な切削加工が遂行し得ない場合が生ずると言
う問題点がある。すなわち、例えば、ワークの加工溝が
幅広であるときは、切削工具の切削刃上方域における機
械的剛性度合いは比較的大きいことが必要であり、他
方、溝深さが浅く、細幅の溝切削加工等では、弾性変形
機能が大きく、むしろ機械的剛性が小さいことが必要と
されるため、機械的剛性が異なる複数本の切削工具を予
め準備して加工条件の変化に応じて工具の交換を行う必
要がある。
【0005】同様に、上述した画一的な機械的剛性を有
した切削工具では、ワークに荒加工から精密加工までを
一貫して単一の切削工具により切削加工を実行すること
は無理であり、精密加工段階における切削加工面の仕上
げ精度を向上させるには、やはり、複数本の機械的剛性
が異なる切削工具を予め準備して加工々程の進捗に応じ
て交換する必要があり、煩瑣である。
【0006】依って、本発明の目的は、単一のヘールバ
イト形切削工具の機械的剛性を、切削加工条件の変化に
応じて、都度、簡単に工作機械の主軸に装着したまま調
節する手段を有した構造の切削工具を提供せんとするも
のである。本発明の他の目的は、機械的剛性の加減調節
と共に切削加工時の切削刃に掛かる切削反力に基づく刃
先振動を吸収することが可能な構造を有した切削工具を
提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的に鑑みて、本
発明は、機械の工具保持部に保持される装着部と該装着
部から先端側へ延設される切削刃保持部とから成るシャ
ンクと、前記シャンクの前記切削刃保持部の先端に取着
された切削刃と、前記シャンクの前記切削刃保持部の横
側面から前記装着部の軸心方向に対して斜めに、かつ、
相互に平行配列に所定深さの内奥位置まで削設され、該
内奥位置を弾性変形支点とする複数のスリットと、前記
複数のスリットと交叉し、かつ、貫通して前記シャンク
の前記切削刃保持部に削設されたねじ孔と該ねじ孔内に
螺合されると共に前記切削刃保持部の外側から螺合、進
退させて前記複数のスリットから選択したスリットの弾
性変形機能を抑止するボルトとから成る剛性調節手段
と、を具備して構成される切削工具を提供するものであ
る。
【0008】また、本発明によれば、機械の工具保持部
に保持される装着部と該装着部から先端側へ延設される
切削刃保持部とから成るシャンクと、前記シャンクの前
記切削刃保持部の先端に取着された切削刃と、前記シャ
ンクの前記切削刃保持部の横側面から前記装着部の軸心
方向に対して斜めに削設した1つのスリットと、前記ス
リットと交叉して前記シャンクに穿設された孔内に取付
けられ、前記シャンクの前記切削刃保持部内にボルトで
止着されると共に該ボルトの止着力に従って径方向に弾
性的に拡大して前記孔の内壁に押圧力を発生する弾性リ
ングを有して成る剛性調節手段と、を具備して構成され
る切削工具を提供するものである。
【0009】
【作用】本発明の切削工具は、切削刃を保持したシャン
クの切削刃保持部における切削刃の上方域、つまり、機
械の工具保持部に保持される装着部と切削刃保持部の先
端に保持された切削刃との間に延在する領域における機
械的剛性を、同シャンクの外部からボルトを前、後退動
作又は締め込み調節動作させることによる手動調節動作
で簡単に調節でき、従って、ワークに形成する溝等の加
工部の形状寸法が変化するとき、ワーク材質が変更され
るとき、或いは、荒切削加工から精密切削加工に至る加
工工程が変化するとき等の条件変化を含めた切削加工条
件の変化が有った場合も、工作機械の主軸に切削工具を
装着したままで作業者が同切削工具の機械的剛性の調節
を行い、適正レベルの機械的剛性を切削刃の上方領域の
切削刃保持部に付与し、単一の工具で、切削加工条件の
変化に対応し、適正な切削加工を遂行することができ
る。また、機械的剛性の調節手段に弾性リングを用いた
場合には、弾性変形支点を形成するスリットに該弾性リ
ングを圧接、配置して振動減衰機能を保有させることが
でき、切削刃の切削加工時における振動吸収により、切
削加工面の面精度を向上させることができる。
【0010】なお、本発明の切削工具は、切削刃がワー
クと相対的に所定の軌跡に沿って進行すると、切削刃の
刃形状に従った対称な断面形状又は非対称な断面形状の
切削溝をワーク表面に削成でき、かつ、C軸回転に従っ
て切削刃の進行軌跡は曲線軌跡をたどることも可能であ
ることは言うまでもない。そして、切削刃に作用する切
削反力は、シャンクの切削刃取付面から前方の領域に、
スリットにより形成される弾性変形支点におけるシャン
クのばね弾性作用で常に一定の反力水準に吸収、抑制さ
れるから、結果的に、切削加工中の切込み量の変動が抑
止され、切削刃は、切込み量の多少に関わりなく安定し
た切削加工力を発揮することは既に提案ずみのヘールバ
イト形切削工具と同様である。 以下、本発明を添付図
面に示す実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0011】
【実施例】図1は、本発明に係る切削工具の第1実施例
の断面正面図、図2は、図1の2ー2線による断面図、
図3は、本発明に係る切削工具の第2実施例の断面正面
図、図4は、図3の実施例の弾性リング体の作用説明
図、図5は切削工具が装着される工作機械の略示斜視図
である。
【0012】図1および図2において、本発明による切
削工具10は、工作機械の回転主軸の先端に具備された
チャック8の工具取付孔9に同主軸のC軸回転中心
“C”に軸心を一致させて装着され、ワーク(図示な
し)との間で所望の直線又は曲線軌跡に沿って相対的移
動を行うことにより切削加工を行う工具として形成さ
れ、シャンク20、切削刃40、シャンク20に切削刃
40を固定する固定手段を形成する止めねじ30を具備
している。
【0013】上記シャンク20は、チャック8の取付孔
9にガタの無い状態で嵌合、装着される丸棒状の装着部
22と、この装着部22のチャック端8aの位置から下
方に垂下した延長部として形成された切削刃保持部24
とを有しており、装着部22にはチャック8の取付孔9
に適宜個数のロックねじ18で強固に止着されるように
ねじ座25が形成されている。そして、この装着部22
は、ロックねじ18で取付孔9に強固に止着されたと
き、回転軸軸心Cに一致する軸心を有する円筒形状体を
成しているのである。
【0014】他方、上記装着部22から下方に延長した
一体の切削刃保持部24は、下端に切削刃40を取り付
ける鉛直平面形状の切削刃取付面26を形成する凹所部
分が設けられ、切削刃40は同凹所部分に下方から挿入
され、取付基準面26に前面42を密着状態に当接し、
後面44側から固定手段である止めねじ30で押圧され
て上記切削刃取付面26へ固定される。即ち、切削刃4
0は平板形状を有し、前面42の下端に種々の刃形状を
有した切れ刃46を備え、逃げ面47は前面42と後面
44との間に設けられている。
【0015】さて、シャンク20の切削刃保持部24に
形成された上記切削刃取付面26は装着部22から延長
した軸心Cを含む平面を成し、従って、この切削刃取付
面26に当接する切削刃40の前面42も同取付面26
に当接したとき、その前面42内に軸心が来る構成に成
っている。
【0016】また、この切削刃保持部24は、上記切削
刃取付面26より更に上方領域に軸心“C”と交叉する
方向に切込んだ3つのスリット28a、28b、28c
が同切削刃保持部24の側面から内奥に向けて傾斜し、
かつ、相互に平行な配置で形成されている。即ち、これ
らのスリット28a〜28cは軸心Cを通過して29
a、29b、29cで示す内奥位置まで切り込まれた所
定隙間寸法Sと深さ寸法L1,L2,L3(L1<L2
<L3)とを有し、しかも、シャンク20の全幅に渡る
切溝、つまり、図1の紙面に垂直な方向に貫通した切溝
として設けられている。これらの内奥位置29a、29
b、29cは、切削刃40の切削作用時にワークに対し
て相対的に進行する方向(矢印P)に見て上記切削刃取
付面26よりも前方側に配置され、このような深さのス
リット28a〜28cが設けられることにより、シャン
ク20における切削刃取付面26を有する切削刃保持部
24の下端領域は、上記内奥位置29a〜29cを支点
にしてスリット間隙を拡縮する方向に弾性的に変形可能
に成っている。即ち、周知のヘールバイトと同様に本発
明の切削工具10も支点29a〜29c等を変形支点と
するばね作用を有した工具として機能する構成を有して
いるのである。
【0017】本発明によれば、更に、シャンク20にお
ける切削刃保持部24において、上述の3つのスリット
28a〜28cに共通に交叉、しかも、各スリット28
a等の幅方向の略中央部位を通過するように配設された
(図2参照)所定ねじ寸法のねじ孔31が設けられ、こ
のねじ孔31は、結局、他の側面へ貫通したタップ孔と
して形成されている。そして、このねじ孔31には、ボ
ルト32がねじ係合されている。なお、ボルト32の長
さは、図1では、最上部に設けられたスリット28cを
通過する長さを有するものが図示されているが、必要に
応じてスリット28cと中央部のスリット28bとの両
者を通過する長さのボルトを係合させても良く、更に、
ボルト32を図示例とは反対側から係合させ、最下部の
スリット28aだけを通過した状態に係合させるねじ長
さを選定、使用しても良い。ここで注目すべき点は、こ
のようにボルト32が係合しているスリット、例えば、
図1のスリット28cでは、ボルト32が同スリット2
8cの内奥位置29cを支点とした弾性変形機能を抑止
するブロック作用を行い、その結果、切削工具10の切
削刃保持部24に保持された切削刃40の上方域におけ
る機械的剛性度が変化させ得る点である。こうして、ボ
ルト32を用いて3つのスリット28a〜28cにおけ
る何れか1つのスリット又は何れか2つのスリット等を
ブロックし、夫々に応じて、切削刃40の上方域におけ
る機械的剛性度を、作業者が調節できるのである。そし
て、この機械的剛性度を調節すれば、後述のように、1
つの切削工具10で種々の切削加工条件の変化に対応す
ることが可能になるのである。なお、ねじ孔31の内
径、従ってボルト32のねじ外径は、スリット28a等
に交叉し、ブロック作用したときに、機械的剛性度を顕
著に調整可能となるような寸法に予め設計、選定するこ
とは言うまでもない。
【0018】他方、切削刃取付面26に止めねじ30で
固定される上記切削刃40の切れ刃46は、種々の加工
形状に応じた切れ刃形状を有し、同切れ刃46は取付状
態で、前面42内に在る軸心Cと一致する軸線を中心に
して切削進行方向Pに対して左右方向に延びる直線状又
は曲線状の連続線で定義された切れ刃形状を有するよう
に形成されている。なお、切削刃40は、その切れ刃4
6を下端に有した前面42が切削刃取付面26に当接し
たとき、同基準取付面26内に在る軸心Cが上述の切れ
刃46の形状の定義する中心線と一致するように進行方
向Pに対して左右方向の位置決めを行うことが可能に形
成されている。又、切削刃40は、図示例の止めねじ3
0で交換自在に止着する構造に代え、ろう付け等で一体
に固定した構造のものであっても良い。
【0019】ここで、本発明の第1の実施例に係る切削
工具10が装着される工作機械の全体構成を簡単に説明
する。図5は本発明の切削工具10が装着されて切削を
行う工作機械の機構図であり、Wは被加工物であるワー
クを示し、切削工具10の下方にワークテーブル72上
に搭載、固定される。また、同工作機械のコラム73の
下部にX軸およびY軸送り機構74が設けられている。
この送り機構74はワークWを搭載したワークテーブル
72をX軸およびY軸方向に送ることができるようにク
ロス案内面構造になっており、それぞれにX軸送りモー
タ75およびY軸送りモータ76が付いている。
【0020】上記コラム73の上部にはZ軸送り機構7
7が設けられており、このZ軸送り機構77は切削工具
10をZ軸方向に切込み送りできるような案内構造にな
っておりZ軸送りモータ78が付いている。Z軸送り機
構77の可動部に工具主軸頭79が付いており、その内
部に既述の回転工具主軸7が設けられている。回転工具
主軸7の下部の工具取付孔内にチャック8を介して切削
工具10が嵌合、装着され、回転工具主軸7の上部はC
軸駆動モータ81に連結されている。
【0021】上記回転工具主軸7はその軸線回りに回転
可能に軸承されており、この回転送り軸のことをC軸と
称し、C軸駆動モータ81によって回転角度が制御され
るようになっている。この工作機械は、数値制御装置か
ら成る制御装置82に与えられた数値制御情報に基づい
て、これらのX軸送りモータ75、Y軸送りモータ7
6、Z軸送りモータ78及びC軸駆動モータ81には適
宜駆動信号を発して工作機械のX軸、Y軸、Z軸および
C軸を駆動して、ワークWと切削工具10との間に所望
の軌跡に沿う相対的な移動をさせ、切削工具10の切削
刃40によりワークWに溝加工等の切削加工を行う。こ
のように、従来のエンドミルでは工具の切れ刃自体が高
速回転して切削作用を行うため、加工溝の形状は対称形
に限定されるが、本発明の切削工具10では単に切削進
行方向を変更するために、C軸旋回を行い、切削作用は
工具10の切削刃40における切れ刃46が軌跡に沿っ
て進行することにより切削作用を行うので、非対称形状
の加工も行うことができるのである。
【0022】しかも、本発明では既述の如く、切削工具
10のシャンク20における切削刃保持部24にスリッ
ト28a〜28cの内奥位置29a〜29cを支点とし
たヘールバイトと同様な弾性変形支点を有し、この弾性
変形支点の位置29a〜29cが何れも切削作用の進行
方向P(図1参照)に見て切削刃40の前方側に存在す
るから、切削作用時の切削加工反力はスリット28a等
の隙間幅Sを拡縮するように切削刃保持部24と切削刃
40との一体的な弾性変形を生起させる。故に、機械側
から伝達される振動等でワークWの加工面と工具10の
切削刃40における切れ刃46との相対的な位置関係が
切削加工過程で変動し、切削加工反力が変動しても、そ
の変動反力は上記の切削刃保持部24の下方領域と切削
刃40との一体的な弾性変形で吸収され、抑制される。
特に、過剰な切削加工反力が弾性変形で吸収、抑制され
て安定した反力範囲内に維持されるから、切削刃40の
切れ刃46がワークとの間でかじりや食い込みを起こす
危惧は解消されると共に切削進行過程で切込み量の変動
を来すことが無くなる。このことは、切削刃40にZ軸
方向(ワークに対する法線方向)の切込み量を例えば2
0ミクロン以下の少ない値に設定してすべりを起こすこ
となく切削を遂行をすることも可能にし、その結果、加
工寸法の微細な制御とワークの加工溝の溝表面等の加工
面における面粗度が緻密な加工とを可能とするのであ
る。
【0023】更に、本発明によれば、上述の切削加工反
力の変動分を吸収するスリット28a〜28cとその内
奥の弾性変形支点29a〜29cから成る切削反力吸収
機構に加えて、既述のねじ孔31及びボルト32からな
る機械的剛性度の調節機構が設けられているから、例え
ば、ワークWに対する加工溝の溝深さや溝幅がワークの
種類に応じて異なるときや、ワーク素材が快削性のもの
や難削性のもの等の違いがある等の切削加工条件が変化
した場合、従来の切削工具では、その工具全体をチャッ
ク8から取り外して夫々の切削加工条件に適合した機械
的剛性度を有したものと交換をする必要があったが、本
発明によれば、切削刃40が同じものを使用できる限
り、切削工具10の全体を交換する必要はなく、都度、
作業者がボルト32のねじ込み量を調節したり、ボルト
32だけを異なる長さのものと交換するだけで切削加工
条件の変化に対応することができるのである。
【0024】更に、同一のワークWに荒切削加工段階か
ら精密切削加工段階へと加工々程を進捗させる過程で
も、荒切削加工段階では機械的剛性度を高く設定し、精
密切削加工々程の段階では、切込み量を低減させると共
に機械的剛性度も低下させるようにすれば、単一本の切
削工具10で全加工工程を網羅することも可能となるの
である。
【0025】図3及び図4は本発明に係る切削工具10
の他の実施例を示している。この実施例では、前述した
第1の実施例において、切削工具10のシャンク20に
おける切削刃保持部24に複数の傾斜スリット28a〜
28cと内奥の弾性変形支点29a〜29cを設けて構
成した切削反力の変動分を吸収、抑制する反力吸収機構
並びにそれらの傾斜スリットをボルト32でブロックし
て弾性変形性能を変化させ、以て切削刃40の上方域に
おける機械的剛性度を加減調節するようにした構造とは
異なり、単一の傾斜スリット58により、内奥点位置5
9を弾性変形支点として形成し、この1つの傾斜スリッ
ト58の弾性変形性能を変化させて機械的剛性度を加減
調節する手段を設けている。
【0026】即ち、本実施例では、上記の傾斜スリット
58と交叉するように、比較的大径の円筒孔60を切削
刃保持部24に保持された切削刃40の上方域に穿設
し、更に、この円筒孔60と同心のねじ孔62を同円筒
孔60の底部から切削刃保持部24の側面へ向けて穿設
し、前者の円筒孔60内には弾性素材、例えば、種々の
合成ゴム材等から形成した弾性リング体61を装填し、
この弾性リング体61をボルト63で円筒孔60の孔底
に定着させた構造にしている。このとき、円筒孔60
は、傾斜スリット58と交叉し、更に、それを貫通して
内奥に延びた孔として形成されているから、弾性リング
体61の内端面は、明らかに傾斜スリット58を横切っ
て配設されている。しかも、同弾性リング体61をボル
ト63により締付けると、図4に示すように、径拡大方
向に膨張する。この結果、同弾性リング体61は円筒孔
60の孔壁面に圧接されると共に圧接力はボルトねじ6
3の締付け力に応じて加減調節される。このように、弾
性リング体61が孔壁面に膨張、圧接されると、切削刃
保持部24における傾斜スリット58を境界として機械
的に分離された上部側と下部側とが機械的結合度を変化
させ、下部側が切削加工々程で弾性変形支点59を支点
にして変形する弾性変形性能が変化する。この結果、切
削刃40の上方域における機械的剛性度を加減調節する
ことが可能となるのである。
【0027】なお、弾性リング体61の作用を更に詳細
に検討すると、円筒孔60の孔壁面に圧接された状態で
切削加工々程が進捗されると、同弾性リング体61は、
切削刃保持部24の上記円筒孔60の孔壁面と摩擦係合
状態のまま弾性変形する。従って、この弾性リング体6
1は、切削刃保持部24における切削刃40の上方域が
弾性変形支点59を支点として切削反力に応じて弾性変
形により反力変動分を吸収する過程で、その弾性変形動
作中の振動成分を減衰させる制振性能をも発揮する。
【0028】上述のように、本実施例によれば、切削工
具10が切削加工を行う場合にワーク材質の変化を含め
た切削加工条件が変化したときに、弾性リング体61を
円筒孔60の孔底に定着させるボルト63の締め付け量
を作業者が調節することにより、切削刃40の上方域に
おける機械的剛性度を簡単に調節することが可能である
と同時に、切削加工反力による振動成分を減衰させるこ
とも可能であり、従って、ヘールバイト形切削工具10
の切削工程をより安定化させることができるのである。
つまり、この第2実施例では、円筒孔60、弾性リング
体61、ボルトねじ63から成る切削工具の機械的剛性
調節手段が、制振性能も発揮する点で、前述の第1の実
施例と相違している。
【0029】然しながら、第1の実施例でも必要に応じ
て、複数のスリット28a等に、例えば、合成ゴム薄板
等の弾性板を適正に介在、配設させれば、第2実施例の
場合と同様な制振性能を保持させることも可能である。
【0030】なお、第2実施例の他の構造部分、例え
ば、切削刃の取付構造等は、前述した第1の実施例と同
様であるから、夫々の要素を同一参照番号で図示し、そ
の構成及び作用説明に就いては省略する。
【0031】
【発明の効果】上述の実施例の記載を介して明らかなよ
うに、本発明によれば、C軸制御の可能な工作機械に装
着されてワーク表面に切削加工を施す切削工具として、
弾性変形支点を切削刃の上方域に形成するスリットを有
したヘールバイト形の切削工具を構成し、切削反力にお
ける変動分を吸収、抑止すると同時に、上記スリットに
ブロック手段を介在させて弾性変形性能を調節し、以て
切削刃保持部の切削刃上方域における機械的剛性度を調
節可能としたので、ワークに対する切削加工過程で、切
削加工条件が種々変化した場合にも、その都度、切削工
具の交換を行う煩瑣を解消し、単に、作業者が切削工具
の側面から手動で調節作業を施すことにより、単一の切
削工具で、切削加工条件の変化に対応することが可能に
成ったのである。
【0032】しかも、機械的剛性度の調節手段が弾性リ
ング体を具備して構成された場合には、切削加工時に発
生する切削刃保持部及び切削刃自体の振動を減衰、制振
することが可能となり、故に、ヘールバイト形切削工具
による切削加工作用を一層、安定化させることが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による切削工具が機械の工
具取付孔に装着された状態を示す断面正面図である。
【図2】図1の2ー2線に沿う断面を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例による切削工具が機械の工
具取付孔に装着された状態を示す断面正面図である。
【図4】図3に示す実施例の弾性リング体の構成を取出
し図示した図である。
【図5】本発明に係る切削工具が装着される工作機械の
構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
8…チャック 9…工具取付孔 10…切削工具 20…シャンク 22…装着部 24…切削刃保持部 26…切削刃取付面 28a〜28c…スリット 29a〜29c…内奥位置 31…ねじ孔 32…ボルト 40…切削刃 46…切れ刃 58…スリット 59…内奥位置 60…円筒孔 61…弾性リング体 62…ねじ孔 63…ボルト

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械の工具保持部に保持される装着部と
    該装着部から先端側へ延設される切削刃保持部とから成
    るシャンクと、 前記シャンクの前記切削刃保持部の先端に取着された切
    削刃と、 前記シャンクの前記切削刃保持部の横側面から前記装着
    部の軸心方向に対して斜めに、かつ、相互に平行配列に
    所定深さの内奥位置まで削設され、該内奥位置を弾性変
    形支点とする複数のスリットと、 前記複数のスリットと交叉し、かつ、貫通して前記シャ
    ンクの前記切削刃保持部に削設されたねじ孔と該ねじ孔
    内に螺合されると共に前記切削刃保持部の外側から螺
    合、進退させて前記複数のスリットから選択したスリッ
    トの弾性変形機能を抑止するボルトとから成る剛性調節
    手段と、 を具備して構成されることを特徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 機械の工具保持部に保持される装着部と
    該装着部から先端側へ延設される切削刃保持部とから成
    るシャンクと、 前記シャンクの前記切削刃保持部の先端に取着された切
    削刃と、 前記シャンクの前記切削刃保持部の横側面から前記装着
    部の軸心方向に対して斜めに削設した1つのスリット
    と、 前記スリットと交叉して前記シャンクに穿設された孔内
    に取付けられ、前記シャンクの前記切削刃保持部内にボ
    ルトで止着されると共に該ボルトの止着力に従って径方
    向に弾性的に拡大して前記孔の内壁に押圧力を発生する
    弾性リングを有して成る剛性調節手段と、 を具備して構成されることを特徴とした切削工具。
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