JP2809432B2 - 発熱体 - Google Patents

発熱体

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JP2809432B2
JP2809432B2 JP1187185A JP18718589A JP2809432B2 JP 2809432 B2 JP2809432 B2 JP 2809432B2 JP 1187185 A JP1187185 A JP 1187185A JP 18718589 A JP18718589 A JP 18718589A JP 2809432 B2 JP2809432 B2 JP 2809432B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、発熱体に関し、詳しくは発熱体を得るの
に、全体構成をより安全に簡素化し、コストダウンを図
り、その商品価値を高めようとする技術に係るものであ
る。
[従来の技術] 従来、面状の発熱体を得るのに、例えば、特開昭55−
117889号公報に示されるように、抵抗線をプラスチック
シート上に形成してなる面状の発熱体が知られている
が、この従来の面状の発熱体にあっては、面状の発熱体
の温度を略一定温度に制御したりするコントローラ及び
過昇温防止器等が別途必要となるものであった。
ところで、上記従来例では面状の発熱体の温度を略一
定温度に制御したりするコントローラ及び過昇温防止器
等が別途必要となるので、発熱体としてその全体構成が
大掛かりとなり、その取り扱いも面倒で、かつコスト高
となり、商品価値が低く、その普及の妨げとなるもので
あった。
また、他の従来例としては、特開昭53−69936号公報
に示される面状の発熱体のように、面状の発熱体自体が
正温度係数特性(PTC特性)を有するものがある。とこ
ろが、発熱体自体が正温度係数特性を有するものは、長
期間繰り返し使用すると、発熱体内部のカーボンが電極
側に引かれて流れ、発熱体内部のカーボンの分布が不均
一になり、特に、発熱体の幅(電極間の距離)が大きく
なるとカーボンの移動むらが大きくて幅方向におけるカ
ーボンの分布がいっそう不均一になる。このように、カ
ーボンの分布が少ないところが抵抗が大きくなり、面状
の発熱体に部分的にホットスポット、ホットラインと称
される局部過熱される部分が生じる恐れがあって温度分
布を均一に制御できず、局部過熱によって溶断して火災
等の危険があり、このため、面状発熱体の幅(つまり電
極間の幅)は最大でも150mm程度のものしか実用化され
ていないのが現状である。
また、面状の発熱体自体が正温度係数特性層を有する
ものとして、結晶性プラスチックにカーボンを混合し、
これを放射線架橋したものが特開昭56−67192号公報に
より知られているが、この従来例にあっては、カーボン
の移動は抑制されるが、放射線架橋は高価であるという
問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、発熱体本体の温度を制御
するためのコントローラ及び過昇温防止器等を別途設け
なくてもよく、全体構成をより安全に簡素化し、その取
り扱いも容易になし、その商品価値を高め、コストダウ
ンを図ることができ、また、発熱体の幅を長くしても温
度分布を均一に制御できて幅広の発熱体を形成すること
も可能となり、また、発熱体本体の温度制御を正温度係
数特性層を有する電極体で行うようにして構成を簡略化
するようにしたものにおいて、発熱体本体への電極体の
結合が簡略化できる発熱体を提供するにある。
[課題を解決するための手段] 上記本発明の目的を達成するために、本発明の発熱体
は、正温度係数特性を有する正温度係数特性層の両面に
導電性の金属層を一体に設けて電極体となし、この電極
体を通電により発熱する発熱体本体に、電極体の一方の
金属層が発熱体本体に接するように接合すると共に電極
体の他方の金属層を通電用の電極とした。
また、正温度係数特性層は、合成樹脂に導電性粒子を
含有させたものであり、正温度係数特性層を架橋させる
のが好ましい。また、両面に導電性の金属層を一体に形
成した正温度係数特性層は、正温度係数特性層の押出成
形時に両面に金属層を一体形成されたものであってもよ
い。
そして、発熱体本体はシート状であり、このシート状
の発熱体本体が、合成樹脂バインダーにカーボンを混入
して成る組成物の層を、ガラスクロスの少なくと片面に
形成したものであってもよい。
また、電極体の片側の金属層を導電性を有する発熱体
本体に接し、電極となる片側の金属層の外面をまたぐよ
うに絶縁テープで覆って絶縁テープの両端部を発熱体本
体に縫着したり、あるいは、電極体の片側の金属層を導
電性を有する発熱体本体に接すると共に電極体を発熱体
本体に縫着したりすることができ、これらいずれの場合
にも、発熱体の少なくとも片面に熱伝導性のよい層を被
覆することができる。
更に、本発明において、熱伝導性の良い層として金属
板または金属箔を使用するものである。
[作用] このように、正温度係数特性を有する正温度係数特性
層の両面に導電性の金属層を一体に設けて電極体とな
し、この電極体を通電により発熱する発熱体本体に、電
極体の一方の金属層が発熱体本体に接するように結合す
ると共に電極体の他方の金属層を通電用の電極としたこ
とで、電極体の正温度係数特性層により発熱体本体の温
度制御を行い、従来のように温度制御を行うコントロー
ラ及び過昇温防止器等を省き、全体構成をより安全に簡
素化し、取り扱いも容易にし、コストダウンを図り、そ
の商品価値を高めるようにした。また電極体の一方の金
属層を発熱体本体に接するように結合することで電極体
から発熱体本体への導電性良く結合し得るようになり、
また結合に当たっても縫着等種々の結合手段が採用でき
るようになった。
また、発熱体本体の少なくとも一面に熱伝導性の良い
層を被覆した構成とすることで、発熱体本体の各部の温
度のばらつきを小さくできるものであり、また、熱伝導
性の良い層を発熱体本体の少なくとも一面に被覆するこ
とにより、断熱状態となっても、トリップ現像を伴わな
い制御により発熱体本体と正温度係数特性層を有する電
極体の温度が平衡した状態で安定状態に制御し、断熱状
態を除去すると元の定常状態に復帰させることができる
ようになった。
[実施例] 以下本発明を添付図面に示す実施例に基づいて詳述す
る。
電極体Bは第2図に示すように正温度係数特性を有す
る正温度係数特性層3の両面に銅箔のような導電性のよ
い金属層8を一体に設けて形成され、一方の金属層8を
電極2としてある。ここで、正温度係数特性層3とはヒ
ータの温度が設定温度範囲に昇温すると電気抵抗が急激
に正の温度係数に従って増大する性質を言い、PTC特性
とも言う。この電極体Bは第3図に示すように発熱体本
体1に取着するものであり、電極体Bの電極2となる金
属層8と反対の金属層8を発熱体本体1に接触させて結
合してある。この発熱体本体1は面状となっていて、フ
レキシブルで、種々の形状に沿うようにしてある。金属
層8としては銅以外にニッケル等のようなものがある。
そして発熱体本体1は正温度係数特性は有しておら
ず、カーボンファイバー、金属粒子を混ぜた繊維、セル
ロースのような有機繊維、合成繊維等を組み合わせて混
抄した発熱体本体1、又は、金属粒子やカーボンピッチ
を合成樹脂バインダーと混練してシート状にした発熱体
本体1、又は、カーボンペースト(合成樹脂バインダー
とカーボン粒子と溶剤とを混合したもの)を基材シート
(例えばガラスクロス)に塗布してなる発熱体本体1、
又は、カーボンピッチを合成樹脂バインダーと混練した
ものを基材となるプラスチックシートに塗布した発熱体
本体1、又は、インジウム(In)、二酸化スズ(SnO2
もしくはインジウム(In)と二酸化スズ(SnO2)を併用
した発熱体を備えたシート状の発熱体本体1(プラスチ
ックシート等の基材シートに二酸化スズ等の発熱体層が
形成されている発熱体本体1)等がある。
そして正温度係数特性を有する正温度係数特性層3と
しては、ポリオレフィン、アイオノマー樹脂、フッ素樹
脂(ビニリデンフルオライド樹脂)等の樹脂内に導電性
のカーボン粒子、金属粒子を含有させて正温度係数特性
を有せしめたものがある。かかる場合、カーボン粒子は
ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレン
ブラック等がある。そして配合割合は限定しないが正温
度係数特性を出すように配合するものであり、カーボン
粒子は4〜50重量%含有させる。使用するカーボン粒子
の特性により配合量は異なる。このような正温度係数特
性層3は上記の他に例えば、ポリエチレン、エチレン共
重合体、ポリエステル、フッ素樹脂、フッ素ゴム、アク
リルゴム、ポリ塩化ビニル等のポリマーに、クレー、タ
ルク、二酸化けい素、ケイ藻土、軽石粉、カーボン繊
維、無煙炭粉末、人造水晶石、シリカ等の特定量のフィ
ラー及び導電性カーボンブラックを組み合わせ配合した
もの等種々のものがある。
上記のように、正温度係数特性層3の両面に導電性の
金属層8を一体に形成した電極体Bは、正温度係数特性
層3の押出成形時に両面に金属層8を一体形成すること
により得ることができる。このように正温度係数特性層
3の両面に金属層8を一体に形成した電極体Bを発熱体
本体1に結合するには種々の方法が採用できるが、例え
ば、第6図に示すように、電極体Bの片側の金属層8を
導電性を有する発熱体本体1に当接し、この状態で電極
2となる片側の金属層8の外面をまたぐように絶縁テー
プ9で覆って絶縁テープ9の両端部を発熱体本体1にミ
シン掛けによって糸状物10により縫着したり、あるい
は、第7図、第8図に示すように、電極体Bの片側の金
属層8を導電性を有する発熱体本体1に当接した状態で
電極体Bを発熱体本体1に縫着したりすることができ
る。第7図においては、発熱体本体1に当接する方の金
属層8の両側を側方に連出してこの連出部8aをミシン掛
けによって糸状物10により縫着するものであり、第8図
においては、正温度係数特性層3を両側に連出してこの
連出部3aをミシン掛けによって糸状物10により縫着する
ものである。
ところで、電極2への通電は夫々電極2から導出され
たリード線から行なわれる。なお、発熱体本体1のヒー
タとしては金属線、金属帯等であってもよい。
このように、通電用の電極2と導電性を有する発熱体
本体1とを正温度係数特性を有する正温度係数特性層3
を介して結合させることで、電極2から正温度係数特性
層3を介して発熱体本体1に通電して発熱体本体1の昇
温を図るのであり、そして正温度係数特性層3の正温度
係数特性によって、正温度係数特性層3の温度が設定温
度範囲に昇温すると電気抵抗値が急激に正の温度係数に
したがって増大し、正温度係数特性層3への通電量を抑
制し、結果として発熱体本体1への通電を減少させ、発
熱体本体1のそれ以上の昇温を抑制し、このように発熱
体本体1の温度制御を正温度係数特性層3において行
い、しかして従来のように温度制御を行うコントローラ
及び過昇温防止器等を省き、全体構成を簡素化し、取り
扱いも容易にし、コストダウンを図り、その商品価値を
高めるものであり、また、電極体B部分においてい正温
度係数特性層3により温度制御を行うことで、発熱体本
体1に正温度係数特性を持たせた従来のもののように長
期間の繰り返し使用をしても温度分布のばらつきがな
く、この結果、発熱体本体1の幅を長くしても温度分布
を均一に制御できて幅広の発熱体本体1を形成すること
も可能となるものである。また発熱本体体1に金属層8
が接するように電極体Bを装着してあるために、正温度
係数特性層3と発熱体本体1との間の間が抵抗なく通電
できる。
なお、正温度係数特性層3を結晶性ポリマーに導電性
粒子を含有させたもので構成して、この正温度係数特性
層3を架橋すると内部の導電性粒子が安定な間隔を保持
することができるようになるものである。
また、上記のように正温度係数特性層3が発熱体本体
1と前記電極2との間に介在するようにして結合させた
発熱体Aは、第1図、第5図に示すように発熱体Aの片
面又は両面に熱伝導性の良い層Cを被覆することができ
る。ここで、熱伝導性の良い層Cで被覆する場合には合
成樹脂層のような絶縁層11により被覆し、その外面を熱
伝導層の良い層Cで被覆するものである。もちろん熱伝
導性の良い層Cで被覆しない場合も絶縁層11により第4
図のように被覆しても良いものである。熱伝導性の良い
層Cとしては、銅、アルミニュウム、鉄等の金属の箔ま
たは板、あるいは、アルミナ、シリカ、窒素アルミ等を
ポリエチレンフタレートや塩化ビニル等の合成樹脂シー
ト中に練り込んだシート等が用いられる。
次に、熱伝導性の良い層Cで発熱体Aを覆った場合の
実施例と、熱伝導性の良い層Cで覆わなかった場合とに
おける比較例との温度制御の実施例につき説明する。以
下の説明において、正温度係数をPTCと略して説明す
る。
(比較例) ガラスクロスの片面にカーボンペーストをスクリーン
印刷により塗布して600Ω/cm2の発熱体本体1を形成
し、この発熱体本体1の幅250mm×長さ100mmのものの幅
方向の上面両側に幅10mmの電極体Bを結合し、更に全面
を絶縁層11を構成するマイラーテープ(厚さ40μ)によ
り絶縁して比較例に用いる第9図に示すような試験体
A″を得た。ここで用いる電極体Bは300μのPTC層3の
両面に金属層8を構成する錫メッキ銅箔50μを両面に積
層したものである。
室温20℃の環境下で第10図(a)に示すように比較例
の試験体A″の下に50mm厚のウレタン発泡体13を配置し
て片面断熱した状態で100Vの電圧を印加し、続いて、第
10図(b)に示すように試験A″の上下両面を50mm厚の
ウレタン発泡体13を配置して両面断熱した状態で100Vの
電圧を印加し、この場合における一方の電極体(
点)、発熱体本体1の幅方向の中央部(点)、他方の
電極体(点)の3点における温度の変化を測定した。
結果を第12図に示す。第12図においては室温を示して
いる。
(実施例) 第9図に示す比較例で用いる試験体と同じものの全面
に熱伝導性の良い層Cとして厚さ80μの粘着剤付きアル
ミテープを貼り付けて実施例に用いる試験体A′を得
た。
室温20℃の環境下で第11図(a)に示すように実施例
の試験体A′の下に50mm厚のウレタン発泡体13を配置し
て片面断熱して状態で100Vの電圧を印加し、続いて、第
11図(b)に示すように実施例の試験体A′の上下両面
を50mm厚のウレタン発泡体13を配置して両面断熱した状
態で100Vの電圧を印加し、続いて第11図(c)に示すよ
うに実施例の試験体A′の上下両面を280mm厚のウレタ
ン発泡体13aを配置して両面断熱した状態で100Vの電圧
を印加し、続けて第11図(d)に示すように実施例の試
験体A′の下に50mm厚のウレタン発泡体13を配置して片
面断熱した状態で100Vの電圧を印加し、この場合におけ
る一方の電極体(点)、発熱体本体1の幅方向の中央
部(点)、他方の電極体(点)の3点における温度
の変化を測定した。結果を第13図に示す。第13図におい
ては室温を示している。
しかして、第12図から明らかなように、比較例のもの
は50mm厚のウレタン発熱体13を両面に配置した両面断熱
を行った時、PTC層3が両面断熱されたことにより昇温
し、トリップによる電流制御によって発熱体本体1の温
度が制御されたが、トリップ前の発熱体本体1の温度は
100℃になり、この結果、両面断熱を行った時のPTC層3
と発熱体本体1との昇温速度が違うため、発熱体本体1
の温度を確実に85℃以下で制御するのは難しく、また、
PTC層3のない部分の発熱体本体1だけが両面断熱され
るとPTC層3の昇温は起こらないので発熱体本体1の温
度制御(電流制御)が起こらず、また、PTC層3の抵抗
の範囲が下記のようにかなり狭くなるという問題が発生
することが判明した。
一方、第13図から明からなように、実施例のものは、
50mm厚のウレタン発熱体13を下面に配置した片面断熱の
条件下では、熱伝導性の良い層C(すなわち近熱板)に
より発熱体本体1とPTC層3の温度差は比較例に対して1
0℃から6℃へと小さくなっている。また、50mm厚のウ
レタン発熱体13を両面に配置して両面断熱した条件下で
は、両面断熱によりPTC層3の温度が上昇して電流制御
をはじめる。そして、発熱体本体1の最終温度は69℃、
PTC層3の温度は72℃となった。比較例のものと比べる
と発熱体本体1もPTC層3も共に85℃以下となり、ま
た、トリップ現像による電流制御が起こらないので、発
熱体本体1の温度は急激な下降をせず、85℃以下に保た
れる。また、極端な断熱により、PTC層3の温度を上
げ、トリップさせようと試みたが、280mm厚のウレタン
発熱体13aを両面に配置して両面断熱した条件下では、P
TC層3の温度は76℃、発熱体本体1の温度は68℃であっ
た。これは発熱体本体1とPTC層3の温度があまり変わ
らないためと推定される。電流制御機構はトリップでは
なく、抵抗上昇による温度制御と思われる。そして、こ
のようにトリップによる温度制御ではないので、断熱材
を除去すると元の状態に復帰する。つまり、例えば片面
にのみ50mm厚のウレタン発熱体13を配置すると、始めの
片面のみ50mmのウレタン発泡体13を配置した場合と同じ
温度に復帰する。
上記のような、熱伝導性の良い層Cで発熱体を覆った
実施例のものが上記の実験結果のような温度制御を行う
のは下記に述べるような理由からであると考えられる。
以上温度制御機構について説明する。
PTC特性とは、第14図に示すように温度の上昇ととも
に抵抗値が増大する特性のことをいう。徐々に温度を上
昇させるとポリマーの熱膨張率によってカーボン・パス
が次第に切断されていき、緩やかなPTC特性を示す。そ
して、融点近くでは急激なPTC効果が現れる。
ところで、PTCを面状の発熱体本体の電極として用い
た場合の回路図は第15図で示される。この回路に一定電
圧(V)を印加すると、回路の負荷抵抗(RL)がPTC素
子の定常状態での抵抗値(RPTC)より十分に大きいと、
素子の発熱−温度曲線はPg(1)式のような極大値をも
つ曲線で表される。
Pg=V2RPTC(T)/(PPTC(T)+RL……(1) また、環境温度をT0とすると素子の放熱量は素子温度
の差に比例するので、素子の放熱−温度特性Pdは(2)
式のようになる。
Pd=KA(T−T0)…(2) K:熱放散係数 A:素子面積 そして、素子は第16図に示すように、発熱量と放熱量
の一致した温度(A)で安定する。印加電圧が上昇し、
PTC素子の発熱量がPg(2)になると放熱量との接点
(B)で安定する。それ以上の電圧ではPg(3)とな
り、(C)の状態で安定する。この(C)の状態ではPT
C素子の温度が上昇して高抵抗となっているため、回路
を流れる電流を制御する。この状態に移転することをい
わゆるトリップ現象と呼んでいる。環境温度T0が変化す
ると、Pdが左右にシフトし、平衡点も移動する。一度ト
リップした素子は、Pdの曲線以下まで電圧を下げるか電
源を切って素子が冷えるのを待つ必要がある(すなわ
ち、第12図に示す比較例において両面断熱時にトリップ
した後は電圧を下げるか電源を切って素子が冷えるのを
待たねばならない)。
ところで、PTC電極を発熱体本体の温度制御に用いた
時、電圧Vは一定なので、発熱−温度曲線Pgは上下に移
動しない。しかし、断熱材を用いると、放熱−温度曲線
は熱放散係数Kが小さくなるのでPd(1)からPb(2)
へと第18図のように変化する。一方、一定の抵抗値RL
もつ発熱体本体に、常温で第17図のように抵抗値の異な
るPTC電極(1)(2)(3)を用いると、第18図のよ
うに発熱量−温度曲線はPg(1)、Pg(2)、Pg(3)
と変化する。
ここで、Pg(1)を例にすると、断熱材を乗せること
により、PTC電極の温度はA0からA1へ平衡点が移動す
る。ところが、平衡点A1は隣接する発熱体本体から熱を
もらっているので、断熱により昇温する発熱体の温度を
受けながら次第にA1からB1へと移動していく。そして、
平衡点B1を越えると、PTC電極は自己発熱によって平衡
点C1へ移動する。すなわち、トリップ現像を起こして抵
抗値が急激に増加し、回路の電流を制限する。Pg
(2)、Pg(3)についても同様のことがいえる。しか
し、発熱体の昇温速度はPTC電極よりも速いので、100℃
以上に昇温することがあり、85℃以下に制御するのは難
しい。また、ここで注意すべきことは、PTC電極の抵抗
が変わると各平衡点も変化することである。
初期抵抗(at20℃);RPTC (1)<RRTC (2)<R
PTC(3) 断熱時の平衡点;A1<A2<A3 トリップ温度;B1>B2>B3 トリップ平衡の平衡点;C1>C2>C3 つまり、PTC電極の抵抗値が違うと、断熱してからト
リップ温度に達するまでに要する時間が異なってくる。
よって、発熱体本体が制御される温度も違ってくるの
で、PTC電極の抵抗の設計が難しい。また発熱体本体の
温度上昇の方がPTC電極の温度上昇よりずっと速く、そ
の温度差はいつも一定というわけではないので、全ての
部分において85℃以下を保証することは難しい(比較例
の問題点)。
ところが、熱伝導性の良い層で発熱体を覆う構成とし
た実施例のものにおいては、上記(2)式における発熱
面積(A)が熱伝導性の良い層で覆わない場合に比べて
大きくなり、発熱−温度曲線Pd(2)は第19図のように
放熱−温度曲線Pgの上へくる。
この第19図からわかるように、Pg(2)とPdの交点は
A点しか存在しない。しかし、発熱体本体は電流制限を
受けないから、時間と共に昇温し、PTC電極の温度は、
発熱体の温度によりA点から高温側に動く。更に、断熱
すると発熱体本体の温度はより高くなり、A点はもっと
右方向へ移動してB点となる。B点では、PTC特性が出
て電流を制限するので、発熱体本体の温度はそれ以上上
がらなくなり、少し下がってPTC電極の熱を奪うように
なり、両者が平衡した状態でB点が安定する。
これはトリップ現象を伴わない制御なので(B点がPg
の山を越えない)、断熱材を除去することにより実施例
のように元の定常状態(A点)へ復帰するのである。
[発明の効果] 本発明にあっては、叙述のように、正温度係数特性を
有する正温度係数特性層の両面に導電性の金属層を一体
に設けて電極体となし、この電極体を通電により発熱す
る発熱体本体に、電極体の一方の金属層が発熱体本体に
接触するように結合すると共に電極体の他方の金属層を
通電用の電極としたので、電極体の正温度係数特性層に
より発熱体本体の温度制御を行い、従来のように温度制
御を行うコストローラ及び過昇温防止器等を省き、全体
構成をより安全に簡素化し、取り扱いも容易にし、コス
トダウンを図り、その商品価値を高めるようにしたもの
であり、しかも正温度係数特性層を有する電極体の片側
の金属層を発熱体本体に接するように結合することで導
電性よく結合でき、電極体から発熱体本体に抵抗なく給
電できて無駄な発熱をなくして安定した制御を行うこと
ができるものであり、さらに結合に当たっても縫着等種
々の結合手段が採用でき、簡単且つ確実に正温度係数特
性層を有する電極体を発熱体本体に結合できるものであ
る。また、発熱体本体の少なくとも一面に熱伝導性の良
い層を被覆した構成とすることで、発熱体本体の各部の
温度のばらつきを小さくできるものである。しかも、発
熱体本体の少なくとも一面に熱伝導性の良い層を被覆す
ることで、断熱状態となっても、トリップ現象を伴わな
い制御により発熱体本体の温度と正温度係数特性層を有
する電極体の温度が平衡した状態で安定状態に制御さ
れ、また、断熱材を除去することにより元の定常状態へ
復帰させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の両面を熱導電性の良い層で
覆ったものの断面図、第2図は同上に用いる電極体の斜
視図、第3図は同上の電極体を発熱体本体に結合した状
態の断面図、第4図は第3図の絶縁層により絶縁したも
のの断面図、第5図は同上の片面を熱伝導性の良い層で
覆ったものの断面図、第6図、第7図、第8図は同上の
電極体を発熱体本体に結合する各実施例の断面図、第9
図(a)(b)は熱伝導性の良い層で覆わなかった比較
例の試験体の断面図及び平面図、第10図(a)(b)は
片面を50mm厚のウレタン発泡体で断熱する場合、両面を
50mm厚のウレタン発泡体で断熱する場合の試験方法の説
明図、第11図(a)(b)(c)(d)は本発明の実施
例の試験体の片面を50mm厚のウレタン発泡体で断熱する
場合、両面を50mm厚のウレタン発泡体で断熱する場合、
両面を280mm厚のウレタン発泡体で断熱する場合、更に
片面を50m厚のウレタン発泡体で断熱する場合の試験方
法の説明図、第12図は比較例の試験体の各断熱時におけ
る温度の変化を示すグラフ、第13図は本発明の実施例の
試験体の各断熱時における温度の変化を示すグラフ、第
14図はPTC特性を示すグラフ、第15図はPTCを発熱体の電
極として用いた場合の回路図、第16図は同上の特性図、
第17図は常温で抵抗値の異なる場合のPTC特性を示すグ
ラフ、第18図は常温で抵抗値の異なるPTC電極を用いた
場合における発熱量−温度曲線と平衡点の移動を示すグ
ラフ、第19図は熱伝導性の良い層で覆った場合における
発熱量−温度曲線を示すグラフであって、1は発熱体本
体、2は電極、3は正温度係数特性層、8は金属層、9
は絶縁テープ、Bは電極体、Cは熱伝導性の良い層であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒沢 幸彦 東京都江東区木場1丁目5番1号 藤倉 電線株式会社内 (72)発明者 国末 修二 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (72)発明者 柘植 幸宏 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−106034(JP,A) 特開 昭57−11489(JP,A) 特開 昭55−122381(JP,A) 実開 平2−57589(JP,U) 実開 昭56−54687(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 3/14,3/03 H05B 3/20,3/38

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正温度係数特性を有する正温度係数特性層
    の両面に導電性の金属層を一体に設けて電極体となし、
    この電極体を通電により発熱する発熱体本体に、電極体
    の一方の金属層が発熱体本体に接するように結合すると
    共に電極体の他方の金属層を通電用の電極としたことを
    特徴とする発熱体。
  2. 【請求項2】発熱体本体がシート状であることを特徴と
    する請求項1記載の発熱体。
  3. 【請求項3】発熱体本体が、合成樹脂バインダーにカー
    ボンを混入して成る組成物の層を、ガラスクロスの少な
    くとも片面に形成したことを特徴とする請求項2記載の
    発熱体。
  4. 【請求項4】電極体の片側の金属層を導電性を有する発
    熱体本体に接し、電極となる片側の金属層の外面をまた
    ぐように絶縁テープで覆って絶縁テープの両端部を発熱
    体本体に縫着して成ることを特徴とする請求項1記載の
    発熱体。
  5. 【請求項5】電極体の片側の金属層を導電性を有する発
    熱体本体に接すると共に電極体を発熱体本体に縫着して
    成ることを特徴とする請求項1記載の発熱体。
  6. 【請求項6】発熱体の少なくとも片面に熱伝導性のよい
    層を被覆して成ることを特徴とする請求項1または請求
    項4又は請求項5記載の発熱体。
  7. 【請求項7】正温度係数特性層が、合成樹脂に導電性粒
    子を含有させたものであることを特徴とする請求項1記
    載の発熱体。
  8. 【請求項8】正温度係数特性層を架橋させたことを特徴
    とする請求項7記載の発熱体。
  9. 【請求項9】両面に導電性の金属層を一体に形成した正
    温度係数特性層は、正温度係数特性層の押出成形時に両
    面に金属層を一体形成されたものであることを特徴とす
    る請求項7記載の発熱体。
  10. 【請求項10】熱伝導性の良い層として金属板または金
    属箔を使用したことを特徴とする請求項1又は請求項2
    又は請求項3又は請求項6記載の発熱体。
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