JP2808386B2 - 防燃性銘木化粧シート、これを貼着して成る防燃性銘木化粧板、およびこれらの製造方法 - Google Patents

防燃性銘木化粧シート、これを貼着して成る防燃性銘木化粧板、およびこれらの製造方法

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JP2808386B2
JP2808386B2 JP4296350A JP29635092A JP2808386B2 JP 2808386 B2 JP2808386 B2 JP 2808386B2 JP 4296350 A JP4296350 A JP 4296350A JP 29635092 A JP29635092 A JP 29635092A JP 2808386 B2 JP2808386 B2 JP 2808386B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃化技術の改良に関
し、化粧単板シートに対しても満足な難燃化処理を施し
得るようにしたものである。
【0002】従って、本発明は、かかる難燃化技術が適
用された防燃性銘木化粧シート、およびその製造方法に
関する。
【0003】それゆえ、本発明は、以下に掲げる化粧単
板シートの一般的な用途に利用されうるものである。:
建築内装材例えば壁面材、天井表面材、柱被覆材および
可動間仕切り等の表面材:自動車、船舶の内装製品の表
面材:箪笥等の家具の外面化粧材:什器等の一般木製品
の外面化粧材:並びに電子機器および楽器の外面化粧材
など。
【0004】以上より、本発明はまた、防燃性銘木化粧
シートを基材の上に貼着して成る防燃性銘木化粧板、お
よびその製造方法にも関する。
【0005】
【従来の技術】天然木資源、特に銘木資源の枯渇によ
り、今日では、無垢木板に代えて、薄肉の突板を紙、不
織布等の繊維質シートで裏打ちした化粧単板シートが、
上記したような用途において、広く使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、木材には火
炎により燃焼し易いという性質があり、この点が従来、
木材製品の欠点となっていた。このような事情から、最
近、化粧単板シート等それ自体に対して、適当な難燃
化、不燃化処理を施すことが求められてきた。
【0007】化粧単板シートを難燃化する方法として
は、まず、突板を難燃剤(普通、燐酸系)の液中に含浸
処理して、突板自体に難燃性を付与する方法が考えられ
る。しかし、この方法によると、突板が含浸処理とこれ
に続く熱圧接着によって濃褐色に変色する場合が多く、
商品価値のある程度の低下が避けられないという欠点が
ある。
【0008】また、難燃化のために考えられる別の方法
としては、化粧単板シートの内部層に使用される紙や不
織布等を難燃剤の添加により難燃化処理する方法があ
る。しかし、紙や不織布等について燐酸系難燃剤等の添
加により自消性を付与せしめるには、該難燃剤を重量比
で約40〜50%の量添加する必要があり、このため、
難燃化された紙や不織布等は吸湿性が増大し、従って、
化粧単板シートの製造過程において、その紙、不織布等
と突板または他の層材料との接着性が悪くなり、特にホ
ットメルト接着剤を用いて圧着成形する過程で剥離が起
きる等、製造不良の発生を招くという問題があった。
【0009】さらに、別の難燃化方法としては、難燃剤
を化粧単板シートの中の樹脂層に配合するという方法が
考えられる。この種の樹脂層は普通、化粧単板シートそ
れ自体に可撓性や柔軟性等を付与するために、あるい
は、化粧単板シートを構成する各要素(紙、アルミニウ
ム箔など)間の接着一体化を図るために、積層要素の一
つとされるものである。
【0010】本発明者は、この方法について研究を進め
たところ、難燃剤を化粧単板シート中の樹脂層に単に添
加しただけでは、難燃性は当然に高まるが、その反面、
化粧単板シートの各要素間の接着力、特にアルミニウム
箔と紙または不織布との間の接着力が低下し、また、化
粧単板シート中のアルミニウム箔または鉄箔について腐
食の発生が起き、さらに、化粧単板シートそれ自体の柔
軟性、曲げ適性が悪くなる等、諸性能に関して問題とな
る低下がみられることを見出し、さらに、難燃剤の配合
量の増加により、上述の接着力低下、腐食発生等の性能
の悪化が顕著になることを確認した。
【0011】その上、本発明者は、難燃剤が配合された
化粧単板シートが不撚・準不燃の性能を有するものとな
るかどうかは、アルミニウム箔の厚さだけでなく、難燃
剤が添加される樹脂層の厚さと大きく関係していること
を確認し、さらに重要なことには、難燃剤の配合に伴う
化粧単板シートの各要素間の接着力の低下は、難燃剤が
添加される樹脂層の種類によって、著しく異なることを
確認した。
【0012】本発明は、かかる事情を考慮してなされた
もので、その目的は、シート表面の単板にまたはシート
内部の紙等に対して難燃化処理を施した従来の化粧単板
シートにおける欠点が起きないことは勿論のこと、難燃
剤の配合による大変高い難燃性(防燃性)の達成を可能
にし、かつ、該難燃剤の含有による接着力の低下、腐食
の発生、柔軟性の減少等の性能の悪化をひき起こさない
ところの防燃性銘木化粧シート、特には、建築材料とし
ての準不燃性能を達成することができかつ上記の耐腐食
性、接着力等に関して満足な性能を有するところの防燃
性銘木化粧シートを提供することにある。
【0013】また、本発明の他の目的は、かかる防燃性
銘木化粧シートを表面材とする化粧板であって、上記と
同様の性能を有する、防燃性銘木化粧板を提供すること
にある。さらに、本発明の別の目的は、防燃性銘木化粧
シートおよび化粧板を確実にかつ生産性高く製造するこ
とができる各々の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、表面が銘木
単板であってアルミニウム箔をその裏打ち材として含む
積層構成の化粧単板シートを対象として、難燃剤をシー
ト中の樹脂層に添加することにより、化粧単板シートの
難燃化を図る技術についてさらに鋭意研究し、その結
果、化粧単板シートの中核的な要素として厚さ10ない
し30μmのアルミニウム箔を使用し、そして、このア
ルミニウム箔の表裏両面に、エチレン−アクリル酸共重
合体およびアイオノマーからなる群より各々独立に選択
された接着性樹脂層をそれぞれ20ないし50μmの厚
さで積層し、かつ、難燃剤を2層の該接着性樹脂層にそ
れぞれ添加し、しかも、各接着性樹脂層中の難燃剤の含
有量を重量比で15%以下に制限することにより、得ら
れる化粧単板シートは、十分高く難燃化されて法定の準
不燃の性能を有するものになるとともに、シート各要素
間の接着力は満足な高水準で維持され、かつ、化粧単板
シートとして適度の可撓性、柔軟性を有するものとな
り、さらに、難燃剤の含有にも拘らずアルミニウム箔の
腐食が抑制される等、諸利点を有する優れた製品になる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0015】これにより、単板、紙等に対する難燃化処
理が不要となり、変色等の問題がなくなる。また、難燃
剤には、燐酸系を含め、広範囲のものが適用し得るとい
う利点もある。また、本発明者は、予め難燃剤がそれぞ
れ添加された2種の接着性樹脂を用いて、一般的な押出
しラミネート法および熱圧締法に従って、上述の化粧単
板シート、即ち難燃剤が含有された特定の接着性樹脂層
をアルミニウム箔の両側に積層した化粧単板シートを製
造(特に量産)することができることを見出し、本発明
を完成した。
【0016】したがって、本発明は、紙または不織布;
厚さ20ないし50μmの第1の接着性樹脂層;厚さ1
0ないし30μmのアルミニウム箔;厚さ20ないし5
0μmの第2の接着性樹脂層;紙または不織布;接着剤
層;銘木単板が最下層より順に積層され、一体に圧着成
形されてなる化粧単板シートであって、前記第1の接着
性樹脂層および第2の接着性樹脂層は、エチレン−アク
リル酸共重合体およびアイオノマーからなる群より各々
独立に選択された樹脂層より成り、かつ、難燃剤が該第
1の接着性樹脂層および第2の接着性樹脂層の各層にそ
れぞれ、重量比で15%以下の量含有されていることを
特徴とする防燃性銘木化粧シートに関するものである。
【0017】その上、本発明は、上記の防燃性銘木化粧
シートが、木質系、無機質系または金属系基材の上に貼
着されている防燃性銘木化粧板にも関する。
【0018】また、本発明に係る防燃性銘木化粧シート
および化粧板は、次のプロセスにより製造することがで
きる。その製造プロセスは、エチレン−アクリル酸共重
合体およびアイオノマーからなる群より各々独立に選択
された第1の接着性樹脂および第2の接着性樹脂の双方
にそれぞれ、重量比で15%以下の量の難燃剤を添加す
る段階と、 (a)まず、押出しラミネート法に従い、紙または不織
布;厚さ20ないし50μmの前記第1の接着性樹脂の
層;厚さ10ないし30μmのアルミニウム箔;厚さ2
0ないし50μmの前記第2の接着性樹脂の層;紙また
は不織布よりなる積層体を成形し、次に、接着剤を該積
層体の上側の紙または不織布の上に塗布し、続いて、銘
木単板をその上にオーバーレイし、そしてその後、これ
ら全体を熱圧接着するか、または、 (b)一方で、押出しラミネート法に従い、紙または不
織布;厚さ20ないし50μmの前記第1の接着性樹脂
の層;厚さ10ないし30μmのアルミニウム箔;厚さ
20ないし50μmの前記第2の接着性樹脂の層よりな
る積層体を成形し、また、他方で、貼合わせにより、銘
木単板;接着剤層;紙または不織布よりなる単板裏打ち
シートを製造し、そしてその後、前記積層体と単板裏打
ちシートとを熱圧接着する段階より成る。
【0019】また、本発明は、さらに、上記の方法に従
い製造された防燃性銘木化粧シートを、木質系、無機質
系または金属系基材の上に貼着する段階より成る、防燃
性銘木化粧板の製造方法にも関する。
【0020】(本発明の概要) 本発明は、単に難燃剤を化粧単板シートの中の樹脂層に
配合して難燃化を図ったものではない。一般に、化粧単
板シートの難燃性をより一層高めるには、より多量の難
燃剤を樹脂層に含有すればよいと考えられる。しかし、
難燃剤の多量配合は、化粧単板シートの各要素間の接着
力を著しく弱め、ひどいときには、同シート中の樹脂層
と紙・不織布との間で容易に剥離するようになり、積層
構造を維持できなくする。また、難燃剤の多量配合は、
化粧単板シート中のアルミニウム箔の腐食をも促進す
る。従って、化粧単板シートのより高い難燃化と腐食防
止を図るためには、特に法定の準不燃の性能を確保する
ためには、適当量の難燃剤をアルミニウム箔の上側の樹
脂層と下側の樹脂層とにそれぞれ配合することがより好
ましい態様であると導かれる。
【0021】またここで、特に考慮すべきことは、上述
したように、難燃剤の配合に伴う化粧単板シートの各要
素間の接着力の低下は、難燃剤が添加される樹脂層の種
類によって、著しく異なるという点である。樹脂層がこ
の種の化粧単板シートで従来より慣用されているポリエ
チレン層またはポリプロピレン層である場合、化粧単板
シートの各要素間の接着力は、難燃剤の配合により、急
激に低下する。難燃剤を僅か5重量%配合しただけで、
常態での接着力は難燃剤未配合の場合と比べてほぼ半減
し、さらに難燃剤を配合すると、その接着力は格段に低
下し、樹脂層と紙・不織布との間で剥離が起きやすくな
る。高温高湿の雰囲気下に放置すると、その剥離はます
ます容易になり、この場合難燃剤の配合量が相対的に多
いとき、化粧単板シートは積層構造を維持できなくな
る。従って、樹脂層としてポリエチレン層またはポリプ
ロピレン層を採用したのでは、法定の準不燃性能を満足
するような大変高い難燃性を達成することができない。
本発明は、化粧単板シート中の樹脂層として、エチレン
−アクリル酸共重合体およびアイオノマーからなる群よ
り各々独立に選択された接着性樹脂を適用することによ
り、上述の不都合を改善したものである。すなわち、本
発明は、これらの接着性樹脂の適用により、法定の準不
燃性能を満たす大変高い難燃性を達成できるとともに、
化粧単板シート各要素間の接着力を十分高い水準で維持
できるようにしたものである。
【0022】さらに、考慮すべきことは、かかる接着性
樹脂層をアルミニウム箔の両側に各々積層した構成の化
粧単板シートが、難燃剤の配合により法定の準不燃性能
を有するものになるかどうかは、難燃剤が添加される接
着性樹脂層の厚さ並びにアルミニウム箔の厚さと関係し
ている点である。上記の化粧単板シートにおいて接着性
樹脂層の厚さを増加させたとき、その厚さが約40μm
までは十分満足な難燃性が確保されるが、それより厚く
なると、難燃剤の配合量が増すにも拘らず、難燃性が低
下し始め、接着性樹脂層の厚さが50μmを越すと、法
定の準不燃の性能を確保できなくなる。他方、接着性樹
脂層の厚さが約20μmであっても、高い難燃性が得ら
れ、法定の準不燃の性能を確保できるが、それより薄く
すると、添加できる難燃剤の総量が減少し、難燃性が低
下するだけでなく、化粧単板シート全体に十分な柔軟性
を付与できなくなる。かかる観点より、本発明では、第
1の接着性樹脂層および第2の接着性樹脂層の厚さはそ
れぞれ20μmないし50μmの範囲に限定されている
のである。
【0023】また、アルミニウム箔の厚さに関しては、
その厚さが10μmもあれば、アルミニウム箔は法定の
準不燃性能を達成できる程の高い不燃化作用を発揮する
ことができる。しかしながら、アルミニウム箔の厚さが
30μmを越すと、化粧単板シートは、可撓性が極度に
悪くなり、曲げ加工しにくい剛直なシートとなり、表面
化粧材として不向きな製品となる。そこで、本発明で
は、アルミニウム箔の厚さは10μmないし30μmの
範囲に限定されているのである。
【0024】そして、本発明者は、各々上記の範囲の厚
さを有する、上記の特定の接着性樹脂層とアルミニウム
箔とを採用した場合において、化粧単板シートの各要素
間の接着力およびアルミニウム箔の腐食等が問題となら
ない条件の下、難燃剤は2つの接着性樹脂層にそれぞれ
15重量%まで配合することができ、かつ、そのような
難燃剤の高配合により、法定の準不燃性能を満たすとこ
ろの高い難燃性を達成できることを確認したのである。
【0025】したがって、本発明による化粧単板シート
は、以上より、難燃剤含有の接着性樹脂層(厚さ20〜
50μm)/アルミニウム箔(厚さ10〜30μm)/
難燃剤含有の接着性樹脂層(厚さ20〜50μm)の積
層構造を備え、かつ、接着性樹脂層としてエチレン−ア
クリル酸共重合体およびアイオノマーからなる群より各
々独立に選択された樹脂層を適用し、さらに、各接着性
樹脂層中の難燃剤の含有量を重量比で15%以下に制限
するという要件で構成されているのである。
【0026】本発明において用いる紙または不織布は、
下地の凹凸を緩衝して化粧シートの浮き上がりを防止す
るために、また内側のアルミニウム箔の輝きを隠蔽する
ために、積層要素とされるものである。本発明で用いる
紙または不織布には、和紙、洋紙(上質紙、中質紙
等)、クラフト紙、薄葉紙または樹脂含浸紙、並びに、
ポリエチレン不織布、ポリエステル/パルプ不織布等の
各種不織布など、すべての繊維質シートが包含される。
紙または不織布の坪量は、15〜100g/m、好ま
しくは20〜50g/mである。
【0027】アルミニウム箔は、化粧シートに適度の剛
性を持たせて突板の寸法変化、あばれ、反りを抑えるた
めに、また化粧シートに高い寸法安定性を付与するため
に、積層要素とされるものである。本発明において、ア
ルミニウム箔とは、アルミニウムの純金属またはその合
金をいう。箔の厚さは、10〜30μmである。10μ
m未満であると、法定の準不燃性能を満たす難燃性を達
成できず、一方、30μmを越えると、化粧単板シート
の可撓性が極度に悪くなり、曲げ加工しづらいものにな
る。そこで、本発明は、上記の厚さ範囲を要件としてい
る。
【0028】化粧単板シート中の第1および第2の接着
性樹脂層は、次のような機能を果たすものである。 (a)接着力が高い故、化粧単板シート中のアルミニウ
ム箔と紙・不織布との接着一体化を可能にする。 (b)アルミニウム箔および紙・不織布を含む積層構造
において、外気中の水分は紙・不織布に浸入しその後ア
ルミニウム箔にまで移行し、よってアルミニウム箔の腐
食が発生する。樹脂層がアルミニウム箔と紙・不織布の
間に介在することにより、水分の移行が遮断され、従っ
てアルミニウム箔の腐食の発生を防止することができ
る。 (c)樹脂層は柔軟性が高いことから、これを化粧単板
シートの積層要素とすることにより、化粧単板シートに
適度の柔軟性を付与して施工時下地の凹凸を吸収すると
ともに、該シート自体に適度の可撓性および曲げ適性
(曲げたとき、単板が割れず、木目が拡張する性質)を
付与し、曲げ加工を容易にする。 (d)さらに、アルミニウム箔と一緒になって突板のあ
ばれ、反りを抑える。
【0029】一般に、上記(a)〜(d)の性能は樹脂
層への難燃剤の配合により悪化し、特に接着力の低下並
びにアルミニウム箔の腐食発生は顕著になる。本発明
は、接着性樹脂層としてエチレン−アクリル酸共重合体
(EAA)およびアイオノマーからなる群より各々独立
に選択された樹脂層を適用することにより、上記(a)
〜(d)の性能の悪化を極力抑止したものである。な
お、この限定事項は、従来より樹脂層として慣用される
ポリエチレンまたはポリプロピレン層を使用した化粧単
板シートにおいては、上記の性能の悪化が著しいが、上
記群の接着性樹脂層を使用した化粧単板シートにおいて
は、その悪化の進行が大変遅いという本発明者による新
規な知見に基づくものである。
【0030】本発明で用いる第1および第2の接着性樹
脂層は、同種であっても異種であっても、また各樹脂層
は単層であっても複層であってもよい。その厚さは、2
0〜50μmである。20μm未満であると、化粧単板
シート全体に十分な柔軟性を付与できなくなり、一方、
50μmを越すと、難燃性が低下し、法定の準不燃の性
能を達成できなくなる。そこで、本発明では、接着性樹
脂層の厚さを上記の範囲に限定しているのである。
【0031】そしてまた、本発明の特徴は、化粧単板シ
ート全体を難燃化、防燃化するために、難燃剤が配合さ
れた接着性樹脂層をアルミニウム箔の両側に介在させた
積層構造を有するものとしたことにある。難燃剤は、第
1の接着性樹脂層および第2の接着性樹脂層の双方にそ
れぞれ、重量比で15%以下の量含有される。本発明で
用いうる難燃剤には、三酸化アンチモン、燐酸系、ハロ
ゲン系のものが挙げられる。
【0032】また、本発明において、銘木単板として
は、各種の銘木より、例えば0.05ないし3.0mm
の厚さに、好ましくは0.10ないし0.4mmの厚さ
に、切削加工された挽板または突板を適用することがで
きる。銘木単板の木理は、特に限定されず、柾目、追
柾、板目またはこぶ杢など、いずれでもよい。
【0033】また、銘木単板の樹種も特には、限定され
ないが、好ましい樹種の例は、次の通りである。:檜、
楢、欅、桜、楡、黒柿、栃、桂、楓、槐、楠木等:ロー
ズウッド、チーク、マホガニー、コクタン(黒壇)、シ
タン(紫檀)、バーズアイメープル、アメリカンブラッ
クウォールナット、クラロウォールナット、ラテヌォー
ルナット、クィンスランドウォールナット、ゼブラウッ
ド、マンガシロ、ブラジリアンローズ、カリン(花
梨)、バーシモン、シルバーローズ、パルマ、レッドウ
ッド、パープルウッド、シルキーオーク、タイワンク
ス、チェリー、マグノリヤ、黒レオ(ダオ)、白レオ、
サベリ、ブビンカ、マコレ、マドローナー、ミルトル、
メープル、アッシン、インブイヤー等。
【0034】接着剤層は、銘木単板と紙または不織布と
を接着するために、積層要素とされる。単板と紙または
不織布との接着が比較的容易であるため、本発明におい
て使用される接着剤の種類は特に限定されないが、例え
ば、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)接着剤、酢酸ビ
ニル−アクリル共重合体接着剤、水性ビニルウレタン系
接着剤、またはアクリル系粘着剤などが有利に利用する
ことができる。
【0035】また、本発明における防燃性銘木化粧板
は、上述の各要素より成る防燃性銘木化粧シートを表面
材とし、これを厚肉の基材の上に貼着してなるものであ
るが、かかる基材としては、有利には、木質系の基材
(例えば、合板、MDF、パーティクルボードハニカム
ボード等)、無機質系の基材(例えば、石膏ボード、軽
カル板、石綿パーライト板等)または金属系の基材(例
えば、アルミニウム板、鉄板等)が適用される。
【0036】また、本発明の防燃性銘木化粧シートは、
難燃剤配合の段階と積層成形の段階との2段階より製造
することができる。前者の段階は、所定量(重量比で1
5%以下)の難燃剤を第1の接着性樹脂および第2の接
着性樹脂の双方にそれぞれ添加する段階である。また、
後者の段階には、製造上有利な方法として次の2通りの
方法がある。
【0037】一の方法は、(a)まず、押出しラミネー
ト法に従い、紙または不織布;前記第1の接着性樹脂の
層;アルミニウム箔;前記第2の接着性樹脂の層;紙ま
たは不織布よりなる積層体を成形し、次に、接着剤を該
積層体の上側の紙または不織布の上に塗布し、続いて、
銘木単板をその上にオーバーレイし、そしてこれら全体
を熱圧接着するという方法である。
【0038】また、別の方法は、(b)一方で、押出し
ラミネート法に従い、紙または不織布;前記第1の接着
性樹脂の層;アルミニウム箔;前記第2の接着性樹脂の
層よりなる積層体を成形し、また他方で、貼合わせによ
り、銘木単板;接着剤層;紙または不織布よりなる単板
裏打ちシートを製造し、そして、前記積層体と単板裏打
ちシートとを熱圧接着するという方法である。
【0039】そして、本発明の防燃性銘木化粧板は、さ
らに、上記の方法に従い製造された防燃性銘木化粧シー
トを木質系、無機質系または金属系基材の上に貼着する
という段階を経て製造される。
【0040】
【作用】本発明では、難燃剤を銘木化粧シート内の接着
性樹脂層の中に配合したので、化粧シート自体に難燃性
が付与されるだけでなく、その配合に伴う、特に高含有
量で配合したときの不都合、欠点が生じなくなる。すな
わち、化粧シート表面の銘木単板を難燃化処理する必要
が無くなるので、従来その処理により生じる場合があっ
た単板の変色という問題が全く起きなくなる。また、化
粧シート内で単板直下の紙または不織布等を難燃化処理
する必要も無くなるので、従来その処理によりみられた
単板と紙等との間の接着性不良という問題も生じなくな
る。
【0041】特に本発明では、難燃剤含有の接着性樹脂
層(厚さ20〜50μm)/アルミニウム箔(厚さ10
〜30μm)/難燃剤含有の接着性樹脂層(厚さ20〜
50μm)の積層構造を備え、かつ、接着性樹脂層とし
てエチレン−アクリル酸共重合体およびアイオノマーか
らなる群より各々独立に選択された樹脂層を適用し、さ
らに、各接着性樹脂層中の難燃剤の含有量を重量比で1
5%以下に制限したので、難燃性(防燃性)が改良され
て、建築材料としての準不燃性能が達成され得るととも
に、樹脂層が本来発揮するところの接着力が難燃剤の配
合にも拘らず良好な水準で維持され、化粧単板シート中
のアルミニウム箔と紙・不織布は強固に接着一体化され
る。また、該接着性樹脂層の介在により、一殻に吸水性
のある難燃剤が存在する条件の下でもなお、外部よりア
ルミニウム箔への水分の移行は良好に遮断され、よって
アルミニウム箔の腐食の発生が防止される。さらに、該
接着性樹脂層の積層により、難燃剤の含有に関係なく、
銘木化粧シートに本来通りの柔軟性が維持され、適度の
可撓性および曲げ適性が付与される。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。
【0043】実施例1 この実施例は、防燃性銘木化粧シートに関する。これは
図1に示すように、紙または不織布1(坪量30g/m
の紙);第1の接着性樹脂層2(厚さ40μmのアイ
オノマー層);アルミニウム箔3(厚さ15μm);第
2の接着性樹脂層4(厚さ40μmのアイオノマー
層);紙または不織布5(坪量30g/mの中質
紙);接着剤層6(酢酸ビニルアクリル共重合体接着
剤);銘木単板7(厚さ0.24mmの楢突板)が最下
層より順に積層され、一体に圧着成形されてなる化粧シ
ートである。
【0044】そして本実施例では、特徴的なことに、難
燃剤として三酸化アンチモンおよび臭素系難燃剤が第1
の接着性樹脂層2およびは第2の接着性樹脂層4の双方
に含有されている。
【0045】本実施例の化粧シートは、以下の手順に従
い、製造された。 難燃剤の配合 三酸化アンチモンおよび臭素系難燃剤を各々適量づつ、
アイオノマーの中に添加し、次いでロール練り等によっ
て均質になるまで十分に混和して、難燃剤の配合された
第1の接着性樹脂2および第2の接着性樹脂4の双方を
調製した。
【0046】積層成形 一のプロセスとして、図3に示すように、最初に押出し
ラミネート法に従い、坪量30g/mの紙1;前記ア
イオノマーよりなる第1の接着性樹脂層2(厚さ40μ
m);厚さ15μmのアルミニウム箔3;前記アイオノ
マーよりなる第2の接着性樹脂層4(厚さ40μm);
坪量30g/mの紙5よりなる積層体10を成形し
(図3(A))、次に酢酸ビニルアクリル共重合体接着
剤6を積層体10表面の紙5の上に適量塗布し(図3
(B))、続いて厚さ0.24mmの楢突板7をその上
にオーバーレイし(図3(C))、そしてこれら全体を
熱圧締することにより、防燃性銘木化粧シートに仕上げ
た(図3(D))。
【0047】また、別の積層成形プロセスにより、本実
施例の化粧シートを製作した。図4に示すように、まず
一方で、押出しラミネート法に従い、坪量30g/m
の紙1;前記アイオノマーよりなる第1の接着性樹脂層
2(厚さ40μm);厚さ15μmのアルミニウム箔
3;前記アイオノマーよりなる第2の接着性樹脂層4
(厚さ40μm)よりなる積層体11を成形し(図4
(A))、また他方で、貼合わせにより(110℃×7
kg/cm×3分の条件による熱圧締)、厚さ0.2
4mmの楢突板7;酢酸ビニルアクリル共重合体接着剤
6;坪量30g/mの紙5よりなる単板裏打ちシート
12を製造し(図4(B))、そして、積層体11と単
板裏打ちシート12とをホット・コールド連続プレス機
の中に入れ、これらを125℃×7kg/cm×15
分の条件で熱圧締し、続いて同じプレス圧を維持したま
ま、強制冷却により常温に降温するまで圧締を続け(図
4(C))、その後、必要により、サンドペーパー#2
40を用いて突板7の表面を研磨し続いてその表面にポ
リウレタン樹脂塗料(固形分塗布量10g/m)を塗
装することにより、防燃性銘木化粧シート8を作り上げ
た(図4(C))。
【0048】実施例2 この実施例は、防燃性銘木化粧板に関する。これは、図
2に示すように、実施例1の防燃性銘木化粧シート8が
木質系基材9(合板、MDF等)の上に貼着されてなる
化粧板である。従って、本実施例では、特徴的なこと
に、表面材たる化粧シートの内部層2、4それぞれに三
酸化アンチモンおよび臭素系難燃剤が配合されている。
【0049】この実施例の防燃性銘木化粧板は、図4
(D)に示すように、上記のプロセスに従い製造された
防燃性銘木化粧シート8を、木質系基材9の上に貼着す
ることにより、作り上げた。
【0050】実施例1の化粧シートも、実施例2の化粧
板も、高い難燃性を有し、満足な防火性能を発揮するも
のであった。このことは、次の試験例1および2の結果
からも確認することができた。
【0051】試験例1:化粧シートの表面燃焼試験 実施例1の防燃性銘木化粧シートについて、防火材料の
建設省告示およびJIS A1321に従い、表面燃焼
試験を行なった。試験に供する基材として、法定不燃材
料の石綿パーライト板(10mm厚)および法定準不燃
材料の石膏ボード(9mm厚)を採用し、そして各々そ
の上に実施例1の化粧シートを貼着して、試験体を作成
した。各基材につき2個の試験体を準備した。なお、化
粧シートと基材との貼着には、酢酸ビニルエマルジョン
接着剤を塗布量(固形分)40g/mにて使用した。
試験の結果を次の表に示す。
【0046】
【表1】
【0052】この表より、化粧シートを不燃基材の上に
貼着した試験体も、またそれを準不燃基材の上に貼着し
た試験体も、準不燃の性能を有することがわかる。した
がって、実施例1の化粧シートは、準不燃の性能を発揮
する壁装材料であると認められる。
【0053】試験例2:化粧シートの表面燃焼について
の比較試験 各化粧シートについて、防火材料の建設省告示およびJ
IS A 1321に従う表面燃焼試験を以下の通り行
ない、その防火性能を比較してみた。
【0054】次の積層構成をなす化粧シートA、Bおよ
びCを夫々、各シートにつき3枚づつ製作し、上記試験
に供することとした。 化粧シートA; (最上層)突板/接着剤層/紙/無処理の接着性樹脂層
/アルミニウム箔/無処理の接着性樹脂層/紙(最下
層) 化粧シートB; (最上層)突板/接着剤層/紙/難燃剤含有の接着性樹
脂層/アルミニウム箔/無処理の接着性樹脂層/紙(最
下層) 化粧シートC; (最上層)突板/接着剤層/紙/難燃剤含有の接着性樹
脂層/アルミニウム箔/難燃剤含有の接着性樹脂層/紙
(最下層)
【0055】上記各化粧シートに使用された材料は、次
の通りである。 突板:かば材 気乾重量109g/m 表面塗
装無し 紙 :坪量30g/m 接着剤層:酢酸ビニル系接着剤 塗布量(固形
分) 20g/m 無処理の接着性樹脂層:難燃剤が添加されていないエチ
レン−アクリル酸共重合体樹脂の接着性フィルム(40
μ厚) アルミニウム箔: 厚さ 15μ 難燃剤含有の接着性樹脂層:三酸化アンチモンおよびブ
ロム系難燃剤が合計で重量比で12%含有されているエ
チレン−アクリル酸共重合体樹脂の接着性フィルム(4
0μ厚)
【0056】表面燃焼試験のための基材として、法定準
不燃材料の石膏ボード(9mm厚)を採用し、その上に
上記の化粧シートA、BおよびCを夫々貼着し、供試シ
ートを各種類ごとに3個づつ作成した。なお、化粧シー
トと基材との貼着には、酢酸ビニルエマルジョン接着剤
を塗布量(固形分)40g/mにて使用した。試験の
結果を次の表に示す。
【0057】
【表2】 なお、準不燃の性能の規格値は、温度時間面積 tdθ
<100、発煙係数CA<60、残炎時間=0である。
この表より、適量の難燃剤を接着性樹脂層に含有するこ
とにより、化粧シートは、法定準不燃の性能を発揮し、
しかも上下2層の接着性樹脂層に含有すれば、防火性能
がますます向上することがわかる。
【0058】試験例3:−接着性樹脂層の水分遮断性能
と難燃剤含有量との関係− 1)EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)よりなり
かつブロム系難燃剤が以下の表に示す添加量にて配合さ
れた種々の接着性樹脂を調製し、そして、各々の該樹脂
を押出しラミネート法に従って、紙(坪量30g/
)とアルミニウム箔(厚さ15μm)との間に押し
出し、紙/難燃剤含有の接着性樹脂層/アルミニウム箔
の積層体を製造した。 2)試験法 炭酸ナトリウム1%水溶液を含浸させた脱脂綿の塊を上
記の積層体の紙表面に置き、続いて時計皿で脱脂綿の塊
を覆って水分の揮発を抑える。そして、これをその状態
のまま室温にて12時間の間放置した。その後、時計皿
を取り外し、積層体を水で洗浄し、室温で乾燥させた。 3)評価 しかる後、得られた積層体のアルミニウム箔の表面を観
察し、腐食痕の発生の有無により、各積層体の接着性樹
脂層は水分遮断性能が良好であるかそれとも不良である
かを判定することとした。腐食痕の発生有りは水分遮断
の性能が不十分であることを意味し、一方、腐食痕の発
生無しは水分遮断の性能が十分良好であることを意味す
る。結果は以下の表に示す。
【0059】
【表3】
【0060】この表より、難燃剤の配合量が約20%以
上になると、接着性樹脂層の本来具える水分遮断性能
(外部から浸入した水がさらに内部に浸透するのを妨
げ、隣接するアルミニウム箔の腐食の発生を防止する性
質)が著しく低下し、アルミニウム箔の腐食の発生が観
察されるようになることがわかる。従って、接着性樹脂
層への難燃剤の配合量は15%(あるいはこれよりも多
い16〜18%)以下に制限すべきであるという結論が
導かれる。
【0061】試験例4:−接着性樹脂層の接着力と難燃
剤含有量との関係− 防燃性銘木化粧シートにおける接着力の低下は、同シー
トの強度、柔軟性を減少し、その可撓性および曲げ適性
を悪化せしめる。曲げ適性が悪いと、曲げたときに単板
の木目が追従して拡張せず、割れが生じ、よって、とり
わけ曲面部への曲げ貼着を困難なものにする。従って、
接着力と難燃剤含有量との関係を知ることは重要であ
り、本試験例はこの関係を調べたものである。
【0062】1)供試防燃性銘木化粧シート 構成 最下層より、薄葉紙(坪量30g/m)/第1の接着
性樹脂層(下記の表に示す量のブロム系難燃剤が配合さ
れた樹脂層、厚さ40μm)/アルミニウム箔(15μ
m)/第2の接着性樹脂層(第1の接着性樹脂層と同量
のブロム系難燃剤が配合された樹脂層、厚さ40μm)
/薄葉紙(坪量30g/m)/接着剤層(酢酸ビニル
系接着剤、塗布量(乾燥時)20g/m)/銘木単板
(樺柾目単板、厚さ0.25mm)よりなる積層構造を
有する。第1および第2の接着性樹脂層として、エチレ
ン−アクリル酸共重合体(EAA)より成る防燃性銘木
化粧シート、および、低密度ポリエチレン(LDPE)
より成る防燃性銘木化粧シートの2種類を作製し、これ
らを本試験に供することとした。
【0063】製造法 本発明の方法に従い製造したが、その熱圧接着は、次の
手順により行なった。得られた積層体をホットコールド
連続プレス機の中に収め入れ、これを125℃×7kg
/cm×15分の条件で熱圧締し、続いて、プレス圧
力を同じに維持したまま、強制冷却し、それが常温に降
温するまで圧締を続ける。
【0064】2)接着力の測定 2種類の供試防燃性銘木化粧シートより、打ち抜きも
しくは切断等により、それぞれ15mm幅のストリップ
(ストリップの長さ方向は単板の木目方向と平行であ
る。)を作製し、そしてナイフを用いて、該ストリップ
の先端部において第2の接着性樹脂層とその上層側の紙
との間に裂け目をいれ、そこより強制的にストリップの
約1/2の長さの部位まで引き剥して、180度ピーリ
ング強度測定用の試験体(一端側にて2つの片に分かれ
ている。)を作製した。 −測定1.− 作製された2種類の試験体(各種類に付き3個の試験
体)をそれぞれ、常温の室内に24時間の間静置し、そ
してその後、取り出した各試験体について、一般の試験
規格に従って常態180°ピーリング強度(g/15m
m)を測定した。なお、供試防燃性銘木化粧シートに用
いられた紙それ自体の層内剥離強度(紙間剥離強度)は
平均で、1800g/15mmである。 −測定2.− また、作製された2種類の試験体(各種類に付き3個の
試験体)をそれぞれ、40℃、相対湿度95%の雰囲気
に調整されたチャンバ内に7日間置き、続いて25℃、
相対湿度55%の雰囲気下に3日間放置し、そしてその
後、取り出した各試験体について、測定1.と同様の方
法で常態180°ピーリング強度(g/15mm)を測
定した。
【0065】3)結果 上記測定1.および測定2.の結果を以下の表に示す。
この表中、ピーリング強度は、3回の試験における常態
180°ピーリング強度の平均値を表わす。また、図5
は、測定1.の結果を表わすグラフであり、図6は、測
定2.の結果を表わすグラフである。
【0066】
【表4】
【0067】この表およびグラフより、次のことが理解
される。接着性樹脂層として低密度ポリエチレン層より
成る防燃性銘木化粧シートにあっては、接着性樹脂層と
これに隣接する紙との間の接着力は難燃剤の添加により
急激に低下し、難燃剤を僅か5重量%配合しただけで、
接着力は難燃剤未配合の場合と比べてほぼ半減し、さら
に難燃剤の配合量を増加すると、接着力は格段に低下
し、接着性樹脂層と紙との間で剥離が起きやすくなる。
特に、化粧シートを高温高湿の雰囲気下に曝した場合に
は、その後それを常温中湿度の雰囲気下に戻して乾燥さ
せても、接着力の低下は著しく、接着性樹脂層と紙との
間で容易に剥離が生じるようになり、とりわけ難燃剤の
配合量が多いと、化粧シートは積層構造を維持できなく
なる。これに対して、接着性樹脂層としてエチレン−ア
クリル酸共重合体層より成る防燃性銘木化粧シートにあ
っては、接着性樹脂層とこれに隣接する紙との間の接着
力は、難燃剤の少量(5重量%ぐらい)添加の場合では
ほとんど低下せず、さらに難燃剤の配合量をより多くし
ても、接着力の低下の進行はいたって緩やかであり、そ
して難燃剤を20重量%配合すると、接着力の低下が目
立ちはじめ、接着性樹脂層と紙との間で剥離が起きるよ
うになる。従って、接着性樹脂層としてはエチレン−ア
クリル酸共重合体層を適用し、かつ、それへの難燃剤の
配合量は15%(あるいはこれよりも多い16〜18
%)以下に制限すべきであるという結論が導かれる。
【0068】試験例5:−防燃性銘木化粧シートの表面
燃焼試験− 各防燃性銘木化粧シートについて、防火材料の建設省告
示およびJIS A1321に従う表面燃焼試験を以下
の通り行ない、その防火性能を比較してみた。
【0069】次の積層構成をなす化粧シートC、Dお
よびEを夫々、各シートにつき3枚づつ製作し、上記試
験に供することとした。 化粧シートC; (最上層)単板/接着剤層/紙/難燃剤12%含有の接
着性樹脂層/アルミニウム箔/難燃剤12%含有の接着
性樹脂層/紙(最下層) 化粧シートD ; (最上層)単板/接着剤層/紙/難燃剤12%含有の接
着性樹脂層/紙(最下層) 化粧シートE; (最上層)単板/接着剤層/紙/無処理の接着性樹脂層
/アルミニウム箔/ブロム系難燃剤24%含有の接着性
樹脂層/紙(最下層)
【0070】上記各化粧シートに使用された材料は、次
の通りである。 単板:かば材 気乾重量112g/m 表面塗
装無し 紙 :坪量30g/m 接着剤層:酢酸ビニル系接着剤 塗布量(固形
分) 20g/m アルミニウム箔: 厚さ 15μ 難燃剤12%含有の接着性樹脂層:ブロム系難燃剤が重
量比で12%含有されている、40μ厚のエチレン−ア
クリル酸共重合体接着性フィルム 難燃剤12%含有の接着性樹脂層:ブロム系難燃剤が
重量比で12%含有されている、80μ厚のエチレン−
アクリル酸共重合体接着性フィルム 無処理の接着性樹脂層:難燃剤が添加されていない、4
0μ厚のエチレン−アクリル酸共重合体接着性フィルム 難燃剤24%含有の接着性樹脂層:ブロム系難燃剤が重
量比で24%含有されている、40μ厚のエチレン−ア
クリル酸共重合体接着性フィルム
【0071】表面燃焼試験のための基材として、法定準
不燃材料の石膏ボード(9mm厚)を採用し、その上に
上記の化粧シートC、DおよびEを夫々貼着し、供試
シートを各種類ごとに3個づつ作成した。なお、化粧シ
ートと基材との貼着には、酢酸ビニルエマルジョン接着
剤を塗布量(固形分)40g/mにて使用した。試験
の結果を次の表に示す。
【0072】
【表5】 なお、準不燃の性能の規格値は、温度時間面積 tdθ
<100、発煙係数CA<60、残炎時間=0である。
【0073】この表より、次のことが理解される。防燃
性銘木化粧シートCは、難燃剤含有の接着性樹脂層/
アルミニウム箔/難燃剤含有の接着性樹脂層の3層構造
を有する化粧シートであり、測定3点いずれについて
も、準不燃の性能の規格を満たす。これに対し、防燃性
銘木化粧シートDは、難燃剤含有の接着性樹脂層のみで
アルミニウム箔が介在していない構造を有する化粧シー
ト(化粧シートCのような3層構造を形成しておら
ず、すなわち、接着性樹脂層の厚さは化粧シートC
おける該樹脂層の厚さの2倍の厚さであって、化粧シー
トCよりアルミニウム箔を取り除いた材料構成をな
す。)であり、燃焼試験において石膏ボードの特に表層
の紙の燃焼が激しく、測定3点いずれもtdθ>100
であり、準不燃性能の規格を満たさない。また、防燃性
銘木化粧シートEは、無処理の接着性樹脂層/アルミニ
ウム箔/難燃剤含有の接着性樹脂層の3層構造を有する
化粧シート(化粧シートCのような3層構造を形成す
るが、難燃剤は一方の接着性樹脂層のみに含有され、そ
の含有量は化粧シートCにおける含有量の2倍の量で
ある。)であり、測定3点のうち2点についてtdθ>
100であるので、準不燃の性能試験について、化粧シ
ートDと同様、不合格となる。なお、防燃性銘木化粧シ
ートCにおいて準不燃の性能が発揮されるのは、第1
の接着性樹脂層(難燃剤含有されている)およびアルミ
ニウム箔がシート裏側の紙・不織布および石膏ボードの
表面紙への炎の侵入を遅延させ、かつ、第2の接着性樹
脂層(難燃剤含有されている)がシート表側の単板、接
着剤層、および紙・不織布の燃焼を遅延させ、炭化を促
進して、断熱層を形成するという機構によるものと推量
される。したがって、接着性樹脂層/アルミニウム箔/
接着性樹脂層という3層の積層構造を備えかつ難燃剤を
双方の接着性樹脂層に各々含有せしめることにより、ア
ルミニウム箔が接着性樹脂層の中に介在されていない構
造の化粧シートと比較して、また、3層の積層構造を有
するが難燃剤が一方の接着性樹脂層のみに含有されてい
る構造の化粧シートと比較して、防火性能が著しく向上
し、よって、本発明の防燃性銘木化粧シートは、法定準
不燃の性能を満足に発揮することができるものである。
【0074】試験例6:−接着性樹脂層およびアルミニ
ウム箔の厚さによる、防燃性銘木化粧シートの防火性能
への影響について− 接着性樹脂層の厚さが種々異なる各防燃性銘木化粧シー
トについて、また、アルミニウム箔の厚さが種々異なる
各防燃性銘木化粧シートについて、防火材料の建設省告
示およびJIS A 1321に従う表面燃焼試験を以
下の通り行ない、その防火性能を比較してみた。
【0075】接着性樹脂層の厚さが20、30、40、
50、60μmである5種類の防燃性銘木化粧シート
(アルミニウム箔の厚さは総て15μmである)と、ア
ルミニウム箔の厚さが0、10、15、20、30μm
である5種類の防燃性銘木化粧シート(接着性樹脂層の
厚さは総て40μmである)とをそれぞれ、各種類のシ
ートにつき3枚づつ製作し、上記試験に供することとし
た。
【0076】これらの防燃性銘木化粧シートは、いずれ
も次の積層構成をなす。 (最上層)単板/接着剤層/紙/難燃剤含有の接着性樹
脂層/アルミニウム箔/難燃剤含有の接着性樹脂層/紙
(最下層) 上記の化粧シートに使用された材料は、次の通りであ
る。 単板:かば材 気乾重量106g/m 表面塗
装無し 紙 :薄葉紙 坪量30g/m 接着剤層:酢酸ビニル系接着剤 塗布量(固形
分) 20g/m 難燃剤含有の接着性樹脂層:ブロム系難燃剤が重量比で
12%含有されているエチレン−アクリル酸共重合体接
着性フィルム
【0077】表面燃焼試験のための基材として、法定準
不燃材料の石膏ボード(9mm厚)を採用し、その上に
上記の防燃性銘木化粧シートを夫々貼着し、供試体を各
種類ごとに3個づつ作成した。なお、化粧シートと基材
との貼着には、酢酸ビニルエマルジョン接着剤を塗布量
(固形分)40g/mにて使用した。
【0078】試験の結果を次の表に示す。また、図7
は、接着性樹脂層の厚さが種々異なる各防燃性銘木化粧
シートについての結果を表わすグラフであり、図8は、
アルミニウム箔の厚さが種々異なる各防燃性銘木化粧シ
ートについての結果を表わすグラフである。
【表6】
【0079】この表およびグラフより、次のことが理解
される。試験された防燃性銘木化粧シートは、接着性樹
脂層の厚さが約40μm以下であるとき、ほぼ同程度の
高い防火性能を示し、準不燃の基準に適合するが、その
厚さが40μmを越えると、防火性能は悪化し、準不燃
の性能に達しなくなる。また、アルミニウム箔の厚さが
10μmないし30μmの範囲内であるとき、準不燃の
基準を満たす大変高い防火性能を示す。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シート表面が銘木単板でありアルミニウム箔がその裏打
ち材として含まれる積層構成の化粧単板シートであっ
て、高い難燃性を有し、防火材料の準不燃の性能を発揮
することができ、その上、突板の変色による製品価値の
低下や、接着性の悪化による製造不良の発生などの欠
点、問題が起きない防燃性銘木化粧シートが提供され
る。特に、本発明によれば、難燃剤の高配合により高い
難燃性(防燃性)の達成が可能となるだけでなく、難燃
剤の含有による接着力の低下、腐食の発生、可撓性の低
減等の諸性能の悪化をもひき起こさないという効果が得
られる。また、本発明によれば、かかる防燃性銘木化粧
シートの使用により、上記の防火効果等を奏する防燃性
銘木化粧板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の防燃性銘木化粧シートを示す
断面図である。
【図2】本発明の実施例の防燃性銘木化粧板を示す断面
図である。
【図3】図3(A)ないし図3(D)は、図1の防燃性
銘木化粧シートの製造工程を示す図である。
【図4】図4(A)ないし図4(D)は、図1の防燃性
銘木化粧シート並びに図2の防燃性銘木化粧板の製造工
程を示す図である。
【図5】図5は、室内静置24時間後のピーリング強度
と難燃剤の含有量との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、40℃×95%RH中7日間→25℃
×55%RH中3日間後のピーリング強度と難燃剤の含
有量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、難燃剤含有接着性樹脂層の厚さと温度
時間面積の関係を示すグラフである。
【図8】図8は、アルミニウム箔の厚さと温度時間面積
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 紙または不織布 2 第1の接着性樹脂層 3 アルミニウム箔 4 第2の接着性樹脂層 5 紙または不織布 6 接着剤層 7 銘木単板 8 防燃性銘木化粧シート 9 木質系基材 10 積層体 11 積層体 12 単板裏打ちシート

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙または不織布;厚さ20ないし50μ
    mの第1の接着性樹脂層;厚さ10ないし30μmのア
    ルミニウム箔;厚さ20ないし50μmの第2の接着性
    樹脂層;紙または不織布;接着剤層;銘木単板が最下層
    より順に積層され、一体に圧着成形されてなる化粧単板
    シートであって、前記第1の接着性樹脂層および第2の
    接着性樹脂層は、エチレン−アクリル酸共重合体および
    アイオノマーからなる群より各々独立に選択された樹脂
    層より成り、かつ、難燃剤が該第1の接着性樹脂層およ
    び第2の接着性樹脂層の各層にそれぞれ、重量比で15
    %以下の量含有されていることを特徴とする防燃性銘木
    化粧シート。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の防燃性銘木化粧シート
    が、木質系、無機質系または金属系基材の上に貼着され
    ていることを特徴とする防燃性銘木化粧板。
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