JP2808252B2 - 地盤固結材 - Google Patents

地盤固結材

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JP2808252B2
JP2808252B2 JP33907494A JP33907494A JP2808252B2 JP 2808252 B2 JP2808252 B2 JP 2808252B2 JP 33907494 A JP33907494 A JP 33907494A JP 33907494 A JP33907494 A JP 33907494A JP 2808252 B2 JP2808252 B2 JP 2808252B2
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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)
  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地盤中に注入して該地盤
を固結する懸濁型の地盤固結材に係り、特に、固結強度
が高く、広範囲にわたるゲル化時間の調整、特に長いゲ
ル化時間の調整が容易であり、かつ懸濁型の地盤固結材
としては浸透性に優れ、さらに通常の懸濁型水ガラス系
グラウトのようなアルカリ溶脱が極めて少ない地盤固結
材に関する。
【0002】
【従来の技術】地盤中に注入して該地盤を固結する懸濁
型の地盤固結材として、以下のような各種グラウトが知
られている。例えば、モル比が小さく、アルカリ度の高
い水ガラスを用いたスラグ系水ガラスグラウトが知られ
ている。このグラウトは大きな固結強度を呈するもの
の、アルカリの溶脱が懸念される。
【0003】また、水ガラスと酸を混合して得られる酸
性シリカゾルと、セメントとを含有してなるグラウトも
知られている。このグラウトはゲル化時間が短く、かつ
フロック状の沈澱を生じやすいため、浸透性に劣るもの
である。
【0004】さらに、前記酸性シリカゾルと、普通スラ
グ(ブレーン比表面積3500〜4400cm2/g)とを含有して
なるグラウトも知られている。この場合、スラグは酸性
シリカゾルに対して中和剤として作用してゲル化時間を
促進するが、強度的にはほとんど寄与しない。
【0005】さらにまた、水ガラス中のアルカリの大部
分をイオン交換樹脂を用いて除去して得られたシリカゾ
ル(中性シリカゾル)と、上述の普通スラグとを含有し
てなるグラウトも考えられるが、この場合、スラグは中
性シリカゾルに対して反応性をほとんど示さず、強度発
現も起こさない。
【0006】さらに、中性シリカゾルとポルトランドセ
メントとからなるグラウトも知られている。このグラウ
トは1.5ショットで上記中性シリカゾルとポルトランド
セメントを合流して地盤中に注入される。しかし、この
グラウトはゲル化時間がせいぜい1分以内と短く、浸透
性も悪い。
【0007】また、中性シリカゾルに多価金属塩、また
はアルカリ金属塩を添加してなるグラウトも知られてい
るが、これは強度が低いという欠点を有している。
【0008】さらにまた、中性シリカゾルにセメントス
ラリーおよび高炉スラグ粉末を併用し、固結強度を向上
せしめたグラウト、あるいは高炉スラグ粉末とポルトラ
ンドセメントクリンカー粉末とを混合してなるブレーン
比表面積が7000〜8500cm2/gの混合高炉スラグ粉末スラ
リーを中性シリカゾルに添加し、固結強度を向上せしめ
たグラウトも知られている。
【0009】しかし、これらグラウトは固結強度は向上
されるものの、ゲル化時間の調整、特に長いゲル化時間
の調整がむずかしく、このため、細粒土への浸透は期待
できない。
【0010】
【発明が解決しようとする問題点】そこで、本発明の目
的はゲル化時間を長く調整し得、浸透性に優れ、しかも
高い固結強度を有し、かつアルカリの溶脱が少なく、上
述の公知技術に存する欠点を改良した懸濁型の地盤固結
材を提供することにある。
【0011】
【問題点を解決するための手段】上述の目的を達成する
ため、本発明によれば、水ガラス中のアルカリの大部分
をイオン交換樹脂で除去して得られたシリカゾルと、二
酸化けい素(SiO2 )、酸化カルシウム(CaO)、
酸化マグネシウム(MgO)および酸化アルミニウム
(Al2 3)の各成分を含有し、次の要件(A)〜
(C)を満足する自硬性硬化材と、必要に応じてさらに
ゲル化調整剤とを含んでなることを特徴とする。
【0012】(A)SiO2 、CaO、MgOおよびA
2 3 の各成分の配合量が前記自硬性硬化材の全配合
中、SiO2 :24〜31重量%、CaO:46〜64
重量%、MgO:1.5〜4.5重量%、Al2 3 :6〜
12重量%。 (B)塩基度〔(CaO+MgO+Al2 3 )/Si
2 〕が1.8〜3.3、好ましくは2.0〜3.0。 (C)ブレーン比表面積が10,000cm2/g以上。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明を添付図面を用いて
具体的に詳述する。
【0014】本発明で用いられるシリカゾル(中性シリ
カゾル)は、水ガラスをイオン交換樹脂で処理して水ガ
ラス中のNa+ イオン等のアルカリをほとんど分離除去
し、中性〜弱アルカリ性、好ましくはpHが8.0〜10.5
の弱アルカリ性に調整されたものであって、比重が1.16
〜1.24、SiO2 が約10〜60重量%、Na2 Oが0.01〜
4重量%の範囲にあるものである。したがって、通常の
強アルカリの水ガラスを使用した固結材に比べるとアル
カリの溶脱が非常に少なくなることが期待できる。
【0015】また、本発明に用いられる自硬性硬化材
は、水と混合すると水硬性によって硬化するそれ自体硬
化性を有するものであって、二酸化けい素(Si
2 )、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム
(MgO)および酸化アルミニウム(Al2 3 )の各
成分を含有し、次の要件(A)〜(C)を満足するもの
である。
【0016】(A)SiO2 、CaO、MgOおよびA
2 3 の各成分の配合量が自硬性硬化材の全配合中、
SiO2 :24〜31重量%、CaO:46〜64重量
%、MgO:1.5〜4.5重量%、Al2 3 :6〜12
重量%である。
【0017】(B)塩基度〔(CaO+MgO+Al2
3 )/SiO2 〕が1.8〜3.3、好ましくは2.0〜
3.0である。
【0018】(C)ブレーン比表面積が約10,000cm2/g
以上、好ましくは10,000〜20,000cm2/gの微粒子状であ
る。このような微粒子状の場合、得られる地盤固結材は
ゲル化時間が長くなり、浸透性に優れ、かつ大きな固結
強度を呈するという利点を発揮する。特に、後述のゲル
化調整剤を併用した場合には、これが極めて効果的に作
用して上述の利点を一層容易に発揮し得る。
【0019】前記シリカゾルの配合量は地盤固結材の全
配合中、SiO2 として1.9〜6.0重量%であって、比
較的低濃度の範囲である。これが1.9重量%以下では、
得られる地盤固結材は均質性に劣り、かつ固結強度も劣
化し、また、6.0重量%以上では、ゲル化時間が短縮さ
れ、かつ固結強度、特に長期強度の増大が期待できな
い。
【0020】前記自硬性硬化材の配合量は前記シリカゾ
ル中のSiO2 量に対する自硬性硬化材中のSiO2
の比率として、重量比で0.5〜3.0の範囲である。これ
が0.5以下では、得られる地盤固結材は低粘性となって
長いゲル化時間を維持でき、浸透性に優れるものの、固
結強度の劣化をまねき、また、3.0以上では、粘性が上
昇し、ゲル化時間も短くなり、浸透性にも劣るものとな
る。
【0021】上述の本発明にかかる地盤固結材は必要に
応じて、ゲル化調整剤を含有せしめることができる。こ
のゲル化調整剤としては、アルカリ金属の炭酸水素塩、
炭酸塩、セスキ炭酸塩等が挙げられる。これらのゲル化
調整剤はゲル化時間を遅延せしめて長時間でのゲル化時
間の調整に役立つ。
【0022】 前記ゲル化調整剤の配合量は前記地盤固
結材の全配合中、0.2〜2.2重量%である。これが
0.2重量%以下では、ゲル化が急速に行われてゲル化
時間の遅延にそれほど影響をおよぼすことなく、また、
2.2重量%以上配合してもそれほどゲル化時間の遅延
効果を示さず、固結強度は徐々に低下の傾向を示すよう
になる
【0023】上述の配合からなる本発明の懸濁型地盤固
結材はシリカゾルと自硬性硬化材が反応して、懸濁液中
で再凝集を起こすことなく、比較的低粘性が維持され、
かつ固結強度も増大する。
【0024】また、ゲル化調整剤を併用した本発明地盤
固結材では、粘性にほとんど影響を及ぼさずにゲル化時
間が遅延され、このため浸透性が一層向上され、かつ固
結強度も増強される。
【0025】
【作用】本発明にかかる地盤固結材は上述のとおりの特
定の自硬性硬化材を用いるから、ゲル化時間を長く調整
し得るとともに、浸透性に優れ、かつ硬化反応が活性化
して固結物の強度発現に優れ、高強度を呈する。
【0026】また、ゲル化調整剤の配合された本発明に
かかる地盤固結材では、ゲル化時間の遅延効果が著しく
発現され、かつ均質な固化と強度増加が達成される。
【0027】さらに本発明にかかる地盤固結材は上述の
とおり、水ガラスからNa+ イオン等のアルカリの大部
分を除去し、加熱重合して得られた中性〜弱アルカリ性
のコロイダル状シリカゾルを使用するから、通常の水ガ
ラスのようにアルカリが強くなく、アルカリ分の溶脱が
極めて少なく、このため、シリカ分の再溶解が起こら
ず、また、酸性シリカゾルのようにフロック状の沈澱を
生成することがなく、したがって、浸透性が向上される
のみならず、均質にして耐久性の優れた硬化物を得る。
【0028】
【発明の実施例】以下、本発明を実施例によって具体的
に説明するが、これらの実施例は本発明の一例にすぎ
ず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0029】1.使用材料 (1)シリカゾル 水ガラスを陽イオン交換樹脂で処理することにより該水
ガラスからアルカリの大部分を除去して得られた、表1
に示す組成の中性シリカゾルを使用した。
【0030】
【表1】
【0031】(2)自硬性硬化材、セメントおよびスラ
グ 表2に示す2種類の自硬性硬化材と、比較例として、ポ
ルトランドセメントおよび高炉スラグを使用した。
【0032】
【表2】
【0033】(3)ゲル化調整剤 試薬一級の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を使用し
た。
【0034】2.中性シリカゾル−自硬性硬化材系およ
び中性シリカゾル−ポルトランドセメントまたは高炉ス
ラグ系 表1の中性シリカゾル水溶液をA液とし、表2の自硬性
硬化材懸濁液、ポルトランドセメント懸濁液および高炉
スラグ懸濁液をそれぞれB液とし、これらA液およびB
液を合流し、合流液のゲル化時間および豊浦標準砂によ
るサンドゲルの一軸圧縮強度を測定し、結果を表3に示
した。
【0035】ゲル化時間はカップ倒立法、一軸圧縮強度
は土質工学会基準「土の一軸圧縮試験方法」によりそれ
ぞれ測定した。
【0036】
【表3】
【0037】表3から次のことがわかる。比較例4(高
炉スラグ)ではゲル化時間は極めて長く固結強度も弱
い。比較例4以外では、いずれも1分以内の速いゲル化
時間を示している。比較例1は実施例1に対応し、比較
例2は実施例2に対応していずれも自硬性硬化材のブレ
ーン比表面積が10,000cm2/g以下である。これらはいず
れもゲル化時間は短いが、固結強度は低下している。比
較例3(ポルトランドセメント)はゲル化時間は非常に
速いが、固結強度は強化されていない。以上から、本発
明の実施例1、2は比較例に比べてゲル化時間が多少長
く、かつ高い固結強度を示していることがわかる。
【0038】B液として炭酸水素ナトリウムを加えたこ
とを除いて、前記第2項と同様にして実験を行い、結果
を表4に示した。ゲル化時間および一軸圧縮強度の測定
も上述と同様である。
【0039】
【表4】
【0040】表4から次のことがわかる。比較例8(高
炉スラグ)はゲル化時間が幾分長びき、かつ強度が強化
されるが、他の系に比べると依然として低い。比較例8
以外はいずれもゲル化時間はかなり遅延し、かつ強度は
強化されている。この中で特に、本発明にかかる実施例
3、4ではゲル化時間の遅延および強度増加がともに顕
著である。すなわち、ゲル化調整剤は本発明における自
硬性硬化材のブレーン比表面積10,000cm2/g以上にする
ことにより著しい効果を発揮する。
【0041】また、粘性的にも炭酸水素ナトリウムの添
加により粘性が増加することはなくむしろ低下する傾向
が認められた。したがって、実施例3、4では、自硬性
硬化材のブレーン比表面積が10,000cm2/g以上という超
微粒子と相まって、優れた浸透性も期待できる。
【0042】3.中性シリカゾルの濃度試験 中性シリカゾル−自硬性硬化材−炭酸水素ナトリウム系
において、中性シリカゾルの濃度変化による影響を試験
した。すなわち、濃度を変化させた中性シリカゾルの水
溶液をA液とし、自硬性硬化材および炭酸水素ナトリウ
ムからなる懸濁液をそれぞれB液とし、これらA液とB
液を合流し、合流液のゲル化時間および一軸圧縮強度を
測定し、結果を表5に示した。ゲル化時間、一軸圧縮強
度は上述と同様にして測定した。
【0043】
【表5】
【0044】表5から次のことがわかる。比較例9は中
性シリカゾルの濃度がSiO2 として1.9%以下であっ
て、ゲル化時間は極端に長びき、かつ均等にゲル化せ
ず、粒子が沈降して固化し、固結強度は劣化している。
また、比較例10、11、12は中性シリカゾルの濃度がSi
2 として6%以上であって、比較例10、11、12と順次
に濃厚になるにつれて固結強度は低下気味となり、かつ
30日強度の上昇が少ないか、低下傾向を示し、粘性の増
加もみられ、ゲル化時間は短縮されて浸透性の面からは
好ましくない。結局、表5から実施例5〜8に示される
本発明の比較的低濃度の中性シリカゾルが適当であるこ
とがわかる。
【0045】4.自硬性硬化材の濃度試験 中性シリカゾル−自硬性硬化材−炭酸水素ナトリウム系
において、自硬性硬化材の濃度変化による影響を試験し
た。すなわち、表6に示されるように、B液における自
硬性硬化材の濃度を変えて上述と同様の試験を行い、そ
の結果を表6に示した。表6におけるゲル化時間、一軸
圧縮強度は前述と同様に測定した。
【0046】
【表6】
【0047】表6から次のことがわかる。比較例13では
(SiO2)C /(SiO2)S の値が0.5より低く、比較
例14では、これが3以上の高い値を示し、比較例13で
は、ゲル化時間は長いが、固結強度は非常に弱い。比較
例14では、固結強度は強いものの、ゲル化時間が短く、
それにともなって粘性の上昇も速いので、浸透性を期待
することはできない。実施例9〜11はいずれも自硬性硬
化材の配合量が本発明の範囲内にあり、ゲル化時間は長
く固結強度も優れている。
【0048】5.ゲル化調整剤の試験 表3はゲル化調整剤無添加の例で、これにゲル化調整剤
として炭酸水素ナトリウムの一定量を添加した例が表4
に示されている。この結果から、炭酸水素ナトリウムの
添加効果は明らかであるが、さらに、その効果を量的に
確かめるべく、本発明のブレーン比表面積が10,000cm2/
g以上である表2の自硬性硬化材(1)と、比較例とし
てブレーン比表面積が10,000cm2/g以下の表2の自硬性
硬化材(1′)について炭酸水素ナトリウムの添加量を
変化せしめて試験した。
【0049】本発明のブレーン比表面積が10,000cm2/g
以上の自硬性硬化材(表2の(1))の結果を表7に、
ブレーン比表面積が10,000cm2/g以下の自硬性硬化材
(表2の(1′))の結果を表8に示した。表7、8に
おけるゲル化時間、一軸圧縮強度は前述と同様に測定し
た。
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】表7から次のことがわかる。比較例15は炭
酸水素ナトリウム無添加の場合で、ゲル化時間は非常に
短く、その割に固結強度は強くない。比較例16は炭酸水
素ナトリウムの添加量が少なすぎる例であり、無添加の
比較例15はゲル化時間は若干長びく程度で、強度もほと
んど変わりない。比較例17は炭酸水素ナトリウムの添加
量が多すぎる例で、ゲル化時間は長びくが、僅かであ
り、粘性の上昇がかなり見られ、固結強度は低下気味で
ある。
【0053】これに対して、本発明の範囲内にある実施
例12〜17では炭酸水素ナトリウムの添加量の増加と共に
固結強度は何れも高強度を維持し、順調にゲル化時間を
遅延せしめ、広範囲、特に比較的長いゲル化時間の調整
が容易である。また、その間の粘性の増加も余り、みら
れず、浸透性の向上には極めて適当である。
【0054】表8から次のことがわかる。比較例18〜26
はブレーン比表面積が10,000cm2/g以下である表2の自
硬性硬化材(1′)の場合で、表7に比べると、全般に
ゲル化時間が短く、その割には強度は低く、炭酸水素ナ
トリウムの添加によるゲル化時間の遅延効果はみられる
が、表7に比べると、非常に劣っている。
【0055】以上から、表8の結果に比べ、表7の本発
明に係るブレーン比表面積が10,000cm2/g以上の場合
は、炭酸水素ナトリウムの添加効果が顕著であることが
明白でとなった。
【0056】6.長期養生試験 上述の一軸圧縮強度試験は水中養生7日後と30日後のも
のである。長期にわたる強度を確かめるために代表的な
試料について2年間水中養生したときの一軸圧縮強度を
測定した。その結果を表9に示した。
【0057】
【表9】
【0058】表9から次のことがわかる。本発明に係る
実施例18では、経日と共に強度は順調に増強されて、2
年後には30kgf/cm2 程度にまで達している。これに対し
て中性シリカゾル、自硬性硬化材量の多過ぎる比較例2
8、29では、7日、30日の強度は高いが、その後の延び
が少なく、2年経過後で、せいぜい20数kgf/cm2 にとど
まっている。また、炭酸水素ナトリウムの多い比較例3
0、および通常のポルトランドセメントの比較例27で
も、せいぜい20kgf/cm2 の強度にとどまっている。
【0059】実施例18は本発明の一例をとりあげたもの
で、他の実施例の資料についても同じように、2年後の
強度の増強は著しかった。このように、本発明は長期強
度に優れ、強いては耐久性にも優れていることが表9か
らわかる。
【0060】本発明の固結材による硬化物について、こ
の硬化物からのシリカ(SiO2 )の溶脱試験を行っ
た。試験は長期連続透水試験(透水圧0.5kgf/cm2)にお
けるSiO2 の溶出量をモリブデンブルーによる吸光光
度法によって測定し、次式で累積溶脱率(%)を求める
ことにより行った。
【0061】
【数1】
【0062】供試試料として、次の5種類の硬化物を採
用した。 :実施例3の硬化物 :比較例7の硬化物 :比較例10の硬化物 :比較例14の硬化物 :比較例17の硬化物 測定結果を図1に示す。
【0063】図1は上述の各供試試料についての透水経
日変化(透水圧0.5kgf/cm2)に対するシリカ(Si
2 )の累積溶脱率を表したグラフである。
【0064】累積溶脱率は通常の水ガラス−無機硬化剤
系では一般に90%以上、水ガラス−有機硬化剤系では、
おおよそ20〜30%である。これに対して、図1に示され
るように、中性シリカゾル系ではすべて20%以下である
ことがわかる。この中でも、本発明に係る実施例3の硬
化物は5%以下という極めて低い値を示している。この
結果から、本発明にかかる硬化物は耐久性に優れている
ことがわかる。
【0065】7.浸透試験 本発明にかかる地盤固結材について以下のように浸透試
験を行った。
【0066】まず、5Φ×100cmのアクリルパイプに90
cmの豊浦標準砂の層(上下に5cmずつ細砂の層)をつく
り、これに表11に示される上記の代表的な実施例および
比較例の配合液を注入圧0.5kgf/cm2 で注入し、浸透の
程度を測定した。豊浦標準砂の充填は所定量を数回に分
けて行い、その都度パイプの側面をハンマーで叩いた。
【0067】配合液の調製はミキサー中に各種のB液成
分を入れて30秒間攪拌後、これに中性シリカゾルの水溶
液を入れ、10秒間攪拌することにより行った。
【0068】浸透性の評価は、固結材注入1日後に脱型
し、固結の長さを測定し、表10に示す基準で評価した。
【0069】
【表10】
【0070】測定結果を表11に示した。
【0071】
【表11】
【0072】表11より次のことがわかる。比較例は実施
例と比較すると、何れも、浸透性に劣っていることがわ
かる。このことから、本発明の地盤固結材は懸濁型とし
ては極めて優れた浸透性を示すことが確認された。
【0073】
【発明の効果】上述の構成からなる本発明にかかる地盤
固結材は次の効果を奏する。
【0074】1. 比較的長いゲル化時間の調整が可能
で、しかも低粘性を維持するため、懸濁型としては極め
て優れた浸透性を示す。
【0075】2. ゲル化調整剤の添加によるゲル化時間
の遅延効果が極めて顕著で、かつ粘性を高めることな
く、強度の増強にも効果がある。
【0076】3. 高い固結強度が得られ、シリカの溶脱
が少なく、耐久性に優れる。
【0077】4. 中性シリカゾルは比較的低濃度で使用
でき、かつ通常の水ガラスのような高アルカリ性を示さ
ないため、アルカリの溶脱が少い。
【0078】5. 自硬性硬化材はそれ自体自硬性である
ため、未固結状態となることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】各供試試料についての透水経日変化(透水圧
0.5kgf/cm2)に対するシリカの累積溶脱率を表わしたグ
ラフである。
【符号の説明】
1 実施例3の硬化物 2 比較例7の硬化物 3 比較例10の硬化物 4 比較例14の硬化物 5 比較例17の硬化物
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI E02D 3/12 101 E02D 3/12 101 // C09K 103:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 17/12 C04B 28/26 C09K 17/06 C09K 17/08 E02D 3/12 101 C09K 17/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水ガラス中のアルカリの大部分をイオン
    交換樹脂で除去して得られたシリカゾルと、二酸化けい
    素(SiO2 )、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグ
    ネシウム(MgO)および酸化アルミニウム(Al2
    3)の各成分を含有し、次の要件(A)〜(C)を満足
    する自硬性硬化材とを含んでなる地盤固結材。 (A)SiO2 、CaO、MgOおよびAl2 3の各
    成分の配合量が前記自硬性硬化材の全配合中、Si
    2 :24〜31重量パーセント、CaO:46〜64
    重量パーセント、MgO:1.5〜4.5重量パーセント、
    Al2 3:6〜12重量パーセント。 (B)塩基度〔(CaO+MgO+Al2 3)/Si
    2 〕が1.8〜3.3。 (C)ブレーン比表面積が10,000cm2/g以上。
  2. 【請求項2】 請求項1の地盤固結材において、前記塩
    基度〔(CaO+MgO+Al2 3)/SiO2 〕が
    2.0〜3.0である請求項1の地盤固結材。
  3. 【請求項3】 請求項1のシリカゾルの配合量が前記地
    盤固結材の全配合中、SiO2 として1.9〜6.0重量パ
    ーセントである請求項1の地盤固結材。
  4. 【請求項4】 請求項1の自硬性硬化材の配合量が、シ
    リカゾル中のSiO2 量に対する自硬性硬化材中のSi
    2 量の比率として重量比で0.5〜3.0である請求項1
    の地盤固結材。
  5. 【請求項5】 請求項1の地盤固結材において、さらに
    ゲル化調整剤を含んでなる請求項1の地盤固結材。
  6. 【請求項6】 請求項3のゲル化調整剤がアルカリ金属
    の炭酸水素塩、炭酸塩またはセスキ炭酸塩である請求項
    3の地盤固結材。
  7. 【請求項7】 請求項3のゲル化調整剤の配合量が前記
    地盤固結材の全配合中、0.2〜2.2重量パーセントであ
    る請求項3の地盤固結材。
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