JP2800016B2 - 自動２輪車用バッテリ収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は自動２輪車用バッテリ収納装置に関する。

（従来の技術） 一般に、自動２輪車のレイアウト上、バッテリを車体
中央部に配置することが多く、その際タンクおよびシー
トの取付ブラケットの下方に位置することがある。その
場合、バッテリはシートレールやシートピラーに固定さ
れたバッテリ収納装置に収納される。

第６図は従来のバッテリ収納装置を示すもので、車体
前後方向に延びる左右一対のメインフレーム１から左右
一対のシートレール２およびシートピラー３が車体斜め
後方へ延びている。シートレール２およびシートピラー
３には、それぞれ取付部4,5を介してバッテリホルダ６
が取外し可能に固定される。取付部４はシートレール２
に一体的に設けられたブラケット７にボルト８が螺合さ
れて構成され、取付部５も同様にシートピラー３に一体
的に設けられたブラケット９にボルト10が螺合されて構
成される。このような取付部4,5は、図示しない車体右
側にも同様に設けられる。バッテリホルダ６にはバッテ
リ11が取外し可能に収納され、このバッテリ11から図示
しないエンジンやヘッドランプ等に電力が供給される。

バッテリ11の上方にはシートレール２にボルト13を介
してタンク取付ブラケット14が固定される。このタンク
取付ブラケット14は左右のシートレール２を跨いで設け
られ、その上面に燃料タンク15およびシートフロントフ
ック16がボルト17により共締めにより固定される。

（発明が解決しようとする課題） 従来のバッテリ収納装置において、バッテリ11のメイ
ンテナンスを行うためにバッテリホルダ６から取り外す
場合には、バッテリ11の上方に位置するタンク取付ブラ
ケット14が取外しの邪魔になるため、ボルト13を緩めて
タンク取付ブラケット14を取り外す必要があった。

したがって、取外しおよび取付作業が煩雑であり、ま
たタンク取付ブラケット14の取外しを可能とするために
シートレール２にボルト13により固定する必要があっ
た。このため、ボルト13等の部品点数が増加して生産コ
スト増加の一因となっていた。

本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、バッ
テリの取外しおよび取付けが容易であるとともに、部品
点数の減少によりコスト低減を図ることができる自動２
輪車用バッテリ収納装置を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 本発明に係る自動２輪車用バッテリ収納装置は、上述
した課題を解決するために、請求項１に記載したよう
に、左右一対のメインフレームから車体後方へ左右一対
のシートレールおよびシートピラーを延設し、これらシ
ートレールおよびシートピラーにそれぞれ取付部を介し
て取外し可能に取り付けた自動２輪車用バッテリ収納装
置において、前記左右一対のシートレールを跨ぐタンク
取付ブラケットの左右の脚部にシートレール側取付部を
設け、この取付部にバッテリホルダを回動可能に支持す
る一方、上記バッテリホルダの下部をシートピラー側取
付部により取外し可能に設け、上記シートレール側取付
部廻りに回転可能に支持されたバッテリホルダにバッテ
リを出し入れ可能に収納したものである。

（作用） 取付部のうち少なくとも一方を回動可能な構造とした
から、取付部の一方を取り外すだけでバッテリ収納装置
を回動させることができる。したがって、タンク取付ブ
ラケット等を緩衝することなく極めて容易にバッテリの
取外しおよび取付けを行うことができる。したがって、
タンク取付ブラケットをシートレールに溶接等により固
定することが可能となり、固定用のボルト等が不要とな
る。その結果、部品点数が減少し、生産コストの低減を
図ることができる。

（実施例） 本発明に係る自動２輪車用バッテリ収納装置の一実施
例について添付図面を参照して説明する。

第２図において車体フレーム20の前端部にヘッドパイ
プ21が設けられ、このヘッドパイプ21にブラケットを介
してフロントフォーク22が取り付けられ、このフロント
フォーク22に前輪23が回転可能に軸支される。ヘッドパ
イプ21からは車体後方へ左右一対のメインフレーム24が
延び、このメインフレーム24の後部にピボット部25が設
けられる。ピボット部25には車体後方に延びるスイング
アーム26が上下揺動自在に軸支され、このスイングアー
ム26の後端部に後輪27が回転自在に軸支され、車体中央
部に搭載されたエンジン28により回転駆動される。

また、メインフレーム24の後部からは車体斜め後方へ
シートレール29およびシートピラー30が延び、シートレ
ール29の上部に座席シート31が設けられる。座席シート
31の前方には燃料タンク32が設けられ、燃料タンク32の
下部にエアクリーナ33が備えられる。エアクリーナ33は
キャブレタ34に接続され、このキャブレタ34からエンジ
ン28に吸気が供給される。

第３図は第２図のＡ部拡大図であり、エアクリーナ33
の近傍のシートレール29にはブレーキリザーバタンク35
が取り付けられる。シートレール29には、第１図および
第４図に示すように、タンク取付ブラケット37が溶接に
より固定される。タンク取付ブラケット37は左右とシー
トレール19に跨がって固定され、その上部に燃料タンク
32の後縁部32aおよび座席シート31の前端部を係合させ
るためのシートフロントフック38がボルト39により共締
めにより固定される。

シートレール29およびシートピラー30にはそれぞれ取
付部40,41を介してバッテリホルダ42が取り付けられ
る。第１図および第４図では車体左側の取付部40,41の
みを示すが、車体右側にも同様に取付部が設けられ、こ
れら４箇所の取付部40,41によりバッテリホルダ42がシ
ートレール29およびシートピラー30に取外し可能に付け
られる。

取付部40は、タンク取付ブラケット37にボルト43が貫
通して設けられ、このボルト43にスペーサ44を介してワ
ッシャ45がナット46により固定される。バッテリホルダ
42はスペーサ44の周囲に設けられたクッション47を介し
てボルト43廻りに回動可能に取り付けられる。すなわ
ち、このボルト43と図示しない右側のボルトとは同軸上
に設けられ、この軸廻りにバッテリホルダ42が回動でき
るようになっている。

取付部41も同様に、シートピラー30に溶着されたブラ
ケット49にボルト50が貫通され、このボルト50に図示し
ないスペーサを介してワッシャ51がナット52により固定
される。スペーサの周囲にはクッション53が設けられ、
このクッション53を介してバッテリホルダ42の下端部が
ボルト50廻りに回動可能に取り付けられる。これらの取
付部40,41は、ナット46,52を緩めることにより取外し可
能となっている。バッテリホルダ42には上方からバッテ
リ54が挿入され、収納される。

バッテリホルダ42の周囲は、第１図に示すように、例
えば取付部41を外して取付部40廻りに、矢印Ｂに示すよ
うに回動させたときに他の機器（ブレーキリザーバタン
ク35）や強度部材と緩衝しないように空間が確保され
る。また、バッテリホルダ42の形状あるいはバッテリホ
ルダ42と取付部40,41との位置関係は、取付部40あるい
は41廻りにバッテリホルダ42を回動させたときに、タン
ク取付ブラケット37やその他の機器類と緩衝することな
くバッテリ54を取り外すことができる形状あるいは位置
関係とされる。

この実施例において、バッテリ54を取り外す場合に
は、シートピラー30との左右の取付部41を緩めてナット
52およびボルト50を取り外す。ボルト50が取り外される
と、バッテリホルダ42はシートレール29との左右の取付
部40廻りに回動可能となるため、第１図における矢印Ｂ
廻りに回動させ、バッテリ54を矢印Ｃ方向へ抜き出して
取り外す。したがって、タンク取付ブラケット37を取り
外すことなくバッテリ54を取り外すことができる。その
結果、タンク取付ブラケット37をシートレール29に溶着
することが可能となり、固定用のボルト等は不要とな
る。

また、バッテリ54をバッテリホルダ42に収納する場合
には、バッテリホルダ42を取付部40廻りに回動させた状
態で、矢印Ｃと逆方向にバッテリ54をバッテリホルダ42
に挿入して収納する。収納後、バッテリホルダ42を正規
の位置に回動させ、取付部41でボルト50、ナット52等に
より固定する。この場合、シートレール29およびシート
ピラー30に左右の４箇所の取付部40,41で取り付けられ
るため、バッテリホルダ42はシートレール29およびシー
トピラー30に確実に固定され、またクッション47,53を
介して取り付けられているため走行時における振動も吸
収される。

このように上記実施例によれば、取付部41を取り外し
て取付部40廻りにバッテリホルダ42を回動させるだけで
極めて容易にバッテリ54の取外しおよび取付けを行うこ
とができる。また、バッテリホルダ42を回動させること
によりバッテリ54の取外しおよび取付けを行うことがで
きるため、タンク取付ブラケット37の取外しおよび取付
けを行う必要がなく、タンク取付ブラケット37をシート
レール29に溶着することが可能となり、その結果固定用
ボルト等の部品点数が減少し、生産コストを低減させる
ことができる。

なお、上記実施例においては、取付部40廻りに回動さ
せることとしたが、取付部41廻りに回動させてもよい。
また、上記実施例では取付部40,41の双方とも回動可能
な構造としたが、一方のみを回動可能としてもよい。

〔発明の効果〕

本発明に係る自動２輪車用バッテリ収納装置は、左右
一対のシートレールを跨ぐタンク取付ブラケットの左右
の脚部にシートレール側取付部を設け、この取付部にバ
ッテリホルダを回動可能に支持する一方、上記バッテリ
ホルダの下部をシートピラー側取付部により取外し可能
に設け、上記シートレール側取付部廻りに回動可能に支
持されたバッテリホルダにバッテリを出し入れ可能に収
納したので、燃料タンクを支持するタンク取付ブラケッ
トを、バッテリホルダの支持に利用することができ、こ
のバッテリホルダは下部のシートピラー側取付部を取り
外すことにより、上部のシートレール側取付部に支持さ
れてこの取付部廻りに回動させることができるので、バ
ッテリホルダの回動操作性を損うことなく、円滑かつス
ムーズに、極めて容易にバッテリの取外しおよび取付け
を行うことができるとともに、タンク取付ブラケット等
の取外しが不要となるためタンク取付ブラケットをシー
トレールに溶着することが可能となり、部品点数の削減
により生産コストを低減させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る自動２輪車用バッテリ収納装置の
一実施例を示す構成図、第２図は上記実施例を備えた自
動２輪車を示す側面図、第３図は第２図におけるＡ部拡
大図、第４図は第１図におけるIV−IV線で切断して示す
断面図、第５図は第４図におけるＶ−Ｖ線で切断して示
す断面図、第６図は従来のバッテリ収納装置を示す構成
図である。 24……メインフレーム、29……シートレール、30……シ
ートピラー、32……燃料タンク、33……エアクリーナ、
35……ブレーキリザーバタンク、37……タンク取付ブラ
ケット、38……シートフロントフック、40,41……取付
部、42……バッテリホルダ、43,50……ボルト、49……
ブラケット、54……バッテリ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対のメインフレームから車体後方へ
   左右一対のシートレールおよびシートピラーを延設し、
   これらシートレールおよびシートピラーにそれぞれ取付
   部を介して取外し可能に取り付けた自動２輪車用バッテ
   リ収納装置において、前記左右一対のシートレールを跨
   ぐタンク取付ブラケットの左右の脚部にシートレール側
   取付部を設け、この取付部にバッテリホルダを回動可能
   に支持する一方、上記バッテリホルダの下部をシートピ
   ラー側取付部により取外し可能に設け、上記シートレー
   ル側取付部廻りに回動可能に支持されたバッテリホルダ
   にバッテリを出し入れ可能に収納したことを特徴とする
   自動２輪車用バッテリ収納装置。