JP2787007B2 - イオン伝導性高分子電解質および電解コンデンサ - Google Patents

イオン伝導性高分子電解質および電解コンデンサ

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JP2787007B2
JP2787007B2 JP11468495A JP11468495A JP2787007B2 JP 2787007 B2 JP2787007 B2 JP 2787007B2 JP 11468495 A JP11468495 A JP 11468495A JP 11468495 A JP11468495 A JP 11468495A JP 2787007 B2 JP2787007 B2 JP 2787007B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン伝導性高分子電
解質及びこれを駆動用電解質として構成したアルミ電解
コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミ電解コンデンサ駆動用電解
質には、エチレングリコール等の有機溶媒にアンモニウ
ム塩を主溶質として溶解したものが用いられてきた。し
かしながら、このような液体状の電解質を使用したコン
デンサは、漏液や電解液の蒸発散逸のため長期信頼性を
得ることは困難であった。このような課題を解決するた
め、従来の溶液状の電解質に代わり、シロキサン−アル
キレンオキサイド・コポリマーとポリエチレンオキサイ
ドの混合物よりなるポリマーを母材として、これにアル
カリ金属塩を溶解したイオン伝導性高分子電解質を用い
ることで素子を固体化し、漏液や電解液の蒸発散逸のな
い電解コンデンサとする提案がされている。
【0003】前記のようなアルカリ金属を可動イオンと
するイオン伝導性高分子電解質を電解質として用いた電
解コンデンサは、アルカリ金属イオンが電解コンデンサ
の構成材料である誘電体中に拡散し、これにより誘電体
の誘電率が低下し、最終的には電気的に短絡するという
課題を有していた。このような課題を解決するため、電
解コンデンサを構成する電解質の可動イオンとして、ア
ンモニウムイオンを用いることが考えられる。しかしな
がら、一般的に、アンモニウム塩を溶解したイオン伝導
性高分子電解質は、イオン伝導度が極めて低いことが従
来より知られていた。電解コンデンサを構成する電解質
のイオン伝導度は、コンデンサとしてのインピーダンス
として作用し、電解質のイオン伝導度があまり小さいと
実用上使用することは困難である。このようなイオン伝
導性高分子電解質を電解コンデンサの駆動用として用い
る時、ポリマー母材とアンモニウム塩の組み合わせによ
り、いかにイオン伝導度の高いものを実現するかが極め
て重要である。
【0004】また昨今、アルミ電解コンデンサは、使用
される用途が大きく拡大され、これにともない高温保存
時の長期信頼性が重要視されつつあり、例えば105℃
での連続10000時間にも及ぶ保存性に対する品質保
証が要求される状況にある。高分子電解質をこのような
高温雰囲気に置くとひび割れ、収縮、溶解などの物理的
または化学的変質を起こし、素子特性を大きく損なう原
因となるが、このような過酷な環境試験に対しても性能
劣化を引き起こさない固体電解質の提案は未だなされて
いない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高分子電解
質を構成するポリマー母材を改良することにより、イオ
ン伝導度の高い高分子電解質を提供することを目的とす
る。また、本発明は、高温雰囲気に長期保存してもイオ
ン伝導性の低下を起こさず、かつひび割れ、収縮、溶解
などの物理的または化学的変化を起こさない保存性の優
れた高分子電解質を提供することを目的とする。さら
に、本発明は、低インピーダンスで高温保存時の信頼性
に優れたアルミ電解コンデンサを提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のイオン伝導性高
分子電解質は、ソルビトールにポリエチレンオキサイド
を付加してなる式(1)で示される化合物、アンモニウ
ム塩またはモルホリニウム塩、および有機溶媒を少なく
とも含有するものである。
【0007】
【化3】
【0008】ここで、前記化合物におけるn1、n2、n
3、n4、n5、およびn6の各々が6以上15以下である
ことが好ましい。また、本発明のイオン伝導性高分子電
解質は、テトラメチロールメタンにポリエチレンオキサ
イドを付加してなる式(2)で示される化合物、アンモ
ニウム塩またはモルホリニウム塩、および有機溶媒を少
なくとも含有するものである。
【0009】
【化4】
【0010】ここで、前記化合物におけるn1、n2、n
3、n4の各々が6以上15以下であることが好ましい。
また、以上の電解質は、前記化合物における末端基Xの
部分で架橋体を形成することにより、固体化される。本
発明の電解コンデンサは、酸化アルミニウムの誘電体層
を有するアルミニウムからなる陽極、アルミニウムから
なる陰極、および前記誘電体層と陰極との間に介在する
前記のイオン伝導性高分子電解質層を具備する。
【0011】
【作用】前述したように、イオン伝導性高分子電解質を
特にアルミ電解コンデンサ駆動用として用いるとき、充
分なイオン伝導度を有し、かつ長期高温保存に際しても
伝導度の低下を起こさず、さらにはひび割れ、収縮、溶
解などの物理的または化学的変化を起こさないことが要
求される。本発明者らは、上記の式(1)または式
(2)で示される構造を有するポリオールをポリマー母
材とし、アンモニウム塩またはモルホリニウム塩を溶解
することにより構成したイオン伝導性高分子電解質が、
アルミ電解コンデンサの駆動用電解質として特に優れた
特性を有することを見いだした。
【0012】本発明のイオン伝導性高分子電解質は、プ
レポリマーである前記ポリオール中の末端基Xの部分で
架橋体を形成することにより、物理的強度を高めること
ができる。この効果により、これまで電解液を用いた時
必ず必要とされたセパレータを使用することなく電解質
単独で素子を構成することが可能となり、コンデンサの
等価直列抵抗を大きく低減することができる。上記の式
(1)または式(2)で示される化合物の末端基Xが重
合可能な二重結合を有する官能基であるアクリロイル基
またはメタクリロイル基であるときは、紫外線または電
子線等の活性光線の照射または加熱により架橋体を形成
することができる。また、末端基Xがイソシアネート基
であるときは、ヒドロキシル基を有する化合物、水また
は空気中の水分によってウレア結合による架橋体を形成
することができる。イソシアネート基にウレア結合を形
成させるには、マレイン酸テトラメチルアンモニウムな
どのマレイン酸塩を用いると好都合である。また、末端
基Xがエポキシ基であるときは、相互に結合させて架橋
体を形成する。
【0013】式(2)で示される化合物は、式(1)で
示される化合物に比べて、体積当たりの架橋点の数を多
くすることができるので、より高い耐熱性の高分子電解
質を与える。後の実施例に示される表1および表5にお
いて、ユニット数の大きい試料の高温保存時の変化の違
いからも前記のことは明らかである。上記の式(1)ま
たは式(2)で示される化合物は、通常液体であり、こ
れにアンモニウム塩またはモルホリニウム塩を溶解する
ことにより、電解質を構成することができるが、さらに
前記化合物と相溶性を有する有機溶媒を加えるのが好ま
しい。
【0014】ここに用いる好ましい有機溶媒として、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコールがある。これ
らの溶媒は、末端基に−OHを有するため、シュウ酸ア
ンモニウム、アジピン酸アンモニウム、アゼライン酸ア
ンモニウム、安息香酸アンモニウム、蟻酸アンモニウ
ム、クエン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、サ
リチル酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、セバシン
酸アンモニウム、2ーブチルオクタン二酸アンモニウ
ム、pーニトロ安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモ
ニウム、ボロジサリチル酸アンモニウム、マレイン酸ア
ンモニウム、γーレゾルシル酸アンモニウム、乳酸アン
モニウム、グリコール酸アンモニウム、ジフェニル酢酸
アンモニウムなどを多量に溶解しイオン対に解離する作
用を有する。このため、これらの溶媒をプレポリマーに
添加すると、伝導度を飛躍的に向上することができる。
なお、前記に挙げたアンモニウム塩のうち二塩基酸の塩
については、一水素一アンモニウム塩および二アンモニ
ウム塩をいうものとする。また、好ましい有機溶媒とし
てトリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラ
エチレングリコールモノメチルエーテルがある。これら
の溶媒は、ボロジサリチル酸アンモニウム、γーレゾル
シル酸アンモニウムなどを多量に溶解しイオン対に解離
する作用を有する。このため、これらの溶媒をプレポリ
マーに添加すると、伝導度を飛躍的に向上することがで
き、かつ、これらの溶媒は沸点が高く蒸気圧が低いた
め、高温長期保存に対し、格段の信頼性を与える。
【0015】さらに、好ましい他の有機溶媒としてγー
ブチロラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、スル
ホラン、N,Nージメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、アセトニトリルがある。これらの溶媒は、高
い誘電率を有し、安息香酸、蟻酸、サリチル酸、pーニ
トロ安息香酸、ボロジサリチル酸、γーレゾルシル酸、
乳酸などの4級アンモニウム塩、シュウ酸、アジピン
酸、アゼライン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、セバ
シン酸、2ーブチルオクタン二酸、フタル酸、マレイン
酸などの二塩基酸の4級アンモニウム塩(一水素塩を含
む)を多量に溶解しイオン対に解離する作用を有する。
このため、これらの溶媒をプレポリマーに添加すると、
伝導度を飛躍的に向上することができる。なお、前記の
4級アンモニウム塩は、炭素数1〜4の4級アルキルア
ンモニウム塩をいう。また、γーブチロラクトンはマレ
イン酸ーN,Nージメチルモルホリニウムをよく溶解す
る。
【0016】本発明によれば、十分なイオン伝導度を有
するとともに、長期高温保存に際しても伝導度が低下せ
ず、ひび割れ、収縮、溶解などの物理的または化学的変
化を起こさない高分子電解質を得ることができる。ま
た、インピーダンスが低く、耐熱保存特性の優れたアル
ミ電解コンデンサを得ることができる。以下、本発明を
実施例により詳しく説明する。
【0017】[実施例1]ソルビトールにポリエチレン
オキサイドを付加してなる式(1)で示される化合物を
プレポリマーとするイオン伝導性高分子電解質のイオン
伝導度および高温保存信頼性について説明する。まず、
エチレングリコール80gに2ーブチルオクタン二酸ア
ンモニウム20gを溶解した溶液を作成する。次に、式
(1)で示される化合物の末端基Xをアクリロイル基と
し、かつ前記化合物の1側鎖あたりのエチレンオキサイ
ドのユニット数nを表1に記載したように調整したプレ
ポリマー20g、および架橋反応の開始剤としてのベン
ジルジメチルケタール20mgを前記の溶液に加え、充
分攪拌溶解する。これをステンレス鋼製のバットに0.
5mmの厚さに流延し、窒素雰囲気中で、高圧水銀ラン
プを用い100mJの光照射を行いイオン伝導性高分子
電解質シートを得た。以上の方法により作成した電解質
の30℃でのイオン伝導度を、公知の複素インピーダン
ス法により測定した。その結果を表1に示した。
【0018】また、上記の電解質をガラス管に封止し、
高温保存時の形態変化を測定することにより、耐熱性に
関し実用に適するプレポリマー中のエチレンオキサイド
のユニット数を調べた。その結果を表1に示した。評価
実験は、厚さ1.0mm、直径5mmの円板状に整形し
た高分子電解質シートを、直径6mm、長さ5cmのガ
ラス管の底に入れて管の開口を封止し、125℃の温度
で保存した時の外観観察により行った。プレポリマー中
のエチレンオキサイドのユニット数が少ないと、塩およ
び/または溶媒との相溶性がなく、紫外線照射を行って
も、相分離したプレポリマーのみが硬化し、塩/溶媒成
分がそのまま液状で残存し、結果としては均一な膜がで
きないことが判明した。また、エチレンオキサイドのユ
ニット数が多くなるほどイオン伝導度は増大するが、長
期高温保存により溶解することが判明した。以上のよう
にして、エチレングリコールおよび2ーブチルオクタン
二酸アンモニウムを溶媒および塩として高分子電解質を
構成したとき、ソルビトールにポリエチレンオキサイド
を付加してなる化合物は、エチレンオキサイドのユニッ
ト数が1側鎖あたり6以上15以下の範囲にあるもの
が、高い伝導度と耐熱性を兼ね備えるものであることが
判明した。本実施例では、プレポリマーの末端基Xをア
クリロイル基としたものを用いたが、メタクリロイル基
で置換したものを使用しても同様の効果を得た。
【0019】
【表1】
【0020】[実施例2]実施例1では、高分子電解質
を構成する塩および溶媒として、それぞれ2ーブチルオ
クタン二酸アンモニウムおよびエチレングリコールを用
いたが、本実施例では他の材料により構成した例を示
す。プレポリマーは、実施例1で示した試料No.1ー
6を50g用い、これと表2および表3に示した塩およ
び溶媒により高分子電解質を作成した。作成方法は、実
施例1と同一手法によるものとした。以上の方法により
作成した電解質の30℃でのイオン伝導度を、公知の複
素インピーダンス法により測定した。その結果を表2お
よび表3に示した。また、この電解質シートを実施例1
と同様にしてガラス管中に封止し、110℃の温度で5
00時間保存した後の伝導度を同時に表中に記載した。
この結果より、以上のプレポリマー、塩および溶媒によ
り構成した高分子電解質が、実用上充分な伝導度を有し
かつ耐熱性にも優れたものであった。
【0021】表2および表3において、略記号は以下の
化合物を示す。また、以降の実施例においても本記号は
同一のものを示す。 Eg :エチレングリコール、 2−Eg:ジエチレングリコール 3−Eg:トリエチレングリコール、 4−Eg:テトラエチレングリコール GBL :ガンマブチロラクトン、 PC :プロピレンカーボネート EC :エチレンカーボネート、 SL :スルホラン AN :アセトニトリル、 DIMSO:ジメチルスルホキシド DIMFA:N,N−ジメチルホルムアミド
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】[実施例3]実施例1では、式(1)で示
される化合物の末端基Xをアクリロイル基としたプレポ
リマーを用いて高分子電解質を構成したが、本実施例で
は末端基Xをイソシアネート基としたプレポリマーを用
いた例を示す。まず、ガンマブチロラクトン80gにマ
レイン酸水素テトラメチルアンモニウム20gを溶解し
た溶液を作成する。次にこの溶液に、式(1)で示され
る化合物の末端基Xをイソシアネート基とし、かつ前記
化合物の1側鎖あたりのエチレンオキサイドのユニット
数nを表4に記載したように調整したプレポリマーを2
0g加え、充分攪拌溶解する。これをガラス製のフラッ
トシャーレに0.5mmの厚さに流延し、50℃の温度
で1時間保存して硬化することにより、イオン伝導性高
分子電解質シートを得た。以上の方法により作成した電
解質の30℃でのイオン伝導度を、公知の複素インピー
ダンス法により測定した。その結果を表4に示した。
【0025】また、上記の電解質を実施例1と同様にし
てガラス管に封止し、125℃で保存した時の形態変化
を調べた。その結果を表4に示した。プレポリマー中の
エチレンオキサイドのユニット数が少ないと、塩および
/または溶媒との相溶性がなく、均一に硬化できないこ
とが判明した。また、エチレンオキサイドのユニット数
が多くなるほどイオン伝導度は増大するが、長期高温保
存により溶解することが判明した。以上のようにして、
ガンマブチロラクトンおよびマレイン酸テトラメチルア
ンモニウムを溶媒および塩として高分子電解質を構成し
たとき、ソルビトールにポリエチレンオキサイドを付加
してなる化合物は、エチレンオキサイドのユニット数が
1側鎖あたり6以上15以下の範囲にあるものが、高い
伝導度と耐熱性を兼ね備えるものであることが判明し
た。本実施例では、プレポリマーの末端基Xをイソシア
ネート基としたものを用いたが、エポキシ基で置換した
ものを使用しても同様の効果を得た。
【0026】
【表4】
【0027】[実施例4]テトラメチロールメタンにポ
リエチレンオキサイドを付加してなる式(2)で示され
る化合物をプレポリマーとするイオン伝導性高分子電解
質のイオン伝導度および高温保存信頼性について説明す
る。まず、エチレングリコール80gに2ーブチルオク
タン二酸アンモニウム20gを溶解した溶液を作成す
る。次にこの溶液に、式(2)で示される化合物の末端
基Xをアクリロイル基とし、かつ前記化合物の1側鎖あ
たりのエチレンオキサイドのユニット数nを表5に記載
したように調整したプレポリマー20g、および架橋反
応の開始剤としてのベンジルジメチルケタール20mg
を前記の溶液に加え、充分攪拌溶解する。これをステン
レス鋼製のバットに0.5mmの厚さに流延し、窒素雰
囲気中で、高圧水銀ランプを用い100mJの光照射を
行いイオン伝導性高分子電解質シートを得た。以上の方
法により作成した電解質の30℃でのイオン伝導度を、
公知の複素インピーダンス法により測定した。その結果
を表5に示した。
【0028】また、上記の電解質を実施例1と同様にし
てガラス管に封止し、125℃の温度で保存した時の外
観変化を調べた。その結果を表5に示した。プレポリマ
ー中のエチレンオキサイドのユニット数が少ないと、塩
および/または溶媒との相溶性がなく、紫外線照射を行
っても、相分離したプレポリマーのみが硬化し、塩/溶
媒成分がそのまま液状で残存し、結果としては均一な膜
ができないことが判明した。また、エチレンオキサイド
のユニット数が多くなるほどイオン伝導度は増大する
が、長期高温保存により溶解することが判明した。以上
のようにして、エチレングリコールおよび2ーブチルオ
クタン二酸アンモニウムを溶媒および塩として高分子電
解質を構成したとき、ここに用いるテトラメチロールメ
タンにポリエチレンオキサイドを付加してなる化合物
は、1側鎖あたりのエチレンオキサイドのユニット数n
が6以上15以下の範囲にあるものが、高い伝導度と耐
熱性を兼ね備えるものであることが判明した。本実施例
では、プレポリマーの末端基Xをアクリロイル基とした
ものを用いたが、メタクリロイル基で置換したものを使
用しても同様の効果を得た。
【0029】
【表5】
【0030】[実施例5]実施例4では、高分子電解質
を構成する塩および溶媒として、それぞれ2ーブチルオ
クタン二酸アンモニウムおよびエチレングリコールを用
いたが、本実施例では他の材料により構成した例を示
す。プレポリマーは、実施例4で示した試料No.4ー
6を50g用い、これと表6に示した塩および溶媒によ
り高分子電解質を構成した。構成方法は、実施例4と同
一手法によるものとした。以上の方法により作成した電
解質の30℃でのイオン伝導度を、公知の複素インピー
ダンス法により測定した。その結果を表6に示した。ま
た、この電解質シートを実施例1と同様にしてガラス管
に封止し、125℃の温度で500時間保存した後の伝
導度を同時に表中に記載した。この結果より、上記のプ
レポリマー、塩および溶媒により構成した高分子電解質
が、実用上充分な伝導度を有しかつ耐熱性にも優れたも
のであった。
【0031】
【表6】
【0032】[実施例6]実施例4では、式(2)で示
される化合物の末端基Xをアクリロイル基としたプレポ
リマーを用いて高分子電解質を構成したが、本実施例で
は末端基Xをイソシアネート基としたプレポリマーを用
いた例を示す。まず、ガンマブチロラクトン80gにマ
レイン酸水素テトラメチルアンモニウム20gを溶解し
た溶液を作成する。次にこの溶液に、式(2)で示され
る化合物の末端基Xをイソシアネート基とし、かつ前記
化合物の1側鎖あたりのエチレンオキサイドのユニット
数nを表7に記載したように調整したプレポリマーを2
0g加え、充分攪拌溶解する。これをガラス製フラット
シャーレに0.5mmの厚さに流延し、空気中において
50℃の温度で1時間保存して硬化することによりイオ
ン伝導性高分子電解質シートを得た。以上の方法により
作成した電解質の30℃でのイオン伝導度を、公知の複
素インピーダンス法により測定した。その結果を表7に
示した。
【0033】また、上記の電解質を実施例1と同様にし
てガラス管に封止し、125℃で保存した時の外観変化
を観察した。その結果を表7に示した。プレポリマー中
のエチレンオキサイドのユニット数が少ないと、塩およ
び/または溶媒との相溶性がなく、均一に硬化できない
ことが判明した。また、エチレンオキサイドのユニット
数が多くなるほどイオン伝導度は増大するが、長期高温
保存により溶解することが判明した。以上のようにし
て、ガンマブチロラクトンとマレイン酸テトラメチルア
ンモニウムを溶媒および塩として高分子電解質を構成し
たとき、ここに用いるテトラメチロールメタンにポリエ
チレンオキサイドを付加してなる化合物は、1側鎖あた
りのエチレンオキサイドのユニット数nが6以上15以
下の範囲にあるものが、高い伝導度と耐熱性を兼ね備え
るものであることが判明した。本実施例では、プレポリ
マーの末端基Xをイソシアネート基としたものを用いた
が、エポキシ基で置換したものを使用しても同様の効果
を得た。
【0034】
【表7】
【0035】[実施例7]本実施例では、前述したイオ
ン伝導性電解質を駆動用電解質として使用したアルミ電
解コンデンサの具体例について説明する。図1は、アル
ミ電解コンデンサの構成を示す。厚さ0.05mm、エ
ッチング孔の直径約1から5ミクロン、大きさ3cm×
100cmのアルミニウム箔で作られた電極に陽極用コ
ネクタ1をスポット溶接する。つぎに、これを90℃の
温度に保たれたホウ酸/ホウ砂水溶液(ホウ酸80g+
ホウ砂8g/水1000ml)に浸し、30Aの電流を
15分間通電した後、600Vの電圧を5時間印加する
ことにより化成し、陽極箔2とした。さらに、厚さ0.
05mm、エッチング孔の直径約1から5ミクロン、大
きさ3cm×100cmのアルミニウム箔で作られた電
極3に陰極用コネクタ4をスポット溶接することによ
り、陰極とした。
【0036】次に、高分子電解質の原液を作成する。す
なわち、2ーブチルオクタン二酸アンモニウム20gを
エチレングリコール80gに溶かした溶液に、プレポリ
マーとして実施例1の試料No.1ー6で使用したもの
50g、およびベンジルジメチルケタール500mgを
加え、充分均一になるまで攪拌する。ひき続き、高分子
電解質原液を陽極箔2上に0.1mmの厚みに塗布した
後、窒素雰囲気中で高圧水銀ランプを用い100mJの
光照射を行い高分子電解質原液を硬化することにより、
イオン伝導性高分子電解質層5を形成した。次に、陰極
用アルミ電極3を前記電解質5の他方の面に圧着した。
最後に、これら積層された陽極箔2、電解質層5および
陰極3をロール状に巻き取ることにより、イオン伝導性
高分子電解質を用いたアルミ電解コンデンサAを作成し
た。
【0037】次に、比較例として、2ーブチルオクタン
二酸アンモニウム20gをエチレングリコール80gに
溶かした公知の電解質を用い、コンデンサAと同じく無
封止のアルミ電解コンデンサBを作成した。作成方法
は、アルミ電解コンデンサAで使用したものと同一の陽
極箔および陰極箔を用い、マニラ麻よりなる空孔率50
%、厚さ0.1mm、大きさ3cm×4cmのセパレー
タとともにロール状に巻いた後、室温において5Tor
rの圧力で1分間、電解液を減圧含侵することにより行
った。エージング工程は、素子Aは、80℃で450V
を2時間、素子Bは室温で450Vを24時間それぞれ
印加することにより行った。
【0038】以上の方法で作成した実施例のアルミ電解
コンデンサAおよび比較例のコンデンサBについて、高
温保存の電解質の安定性を評価する加速試験として、無
封止状態の105℃保存における静電容量およびtan
δの経時変化の測定を行い、その結果をそれぞれ図2お
よび図3に示した。測定は、30℃、120Hzで行っ
た。これらの結果から明らかなように、従来より使用さ
れているエチレングリコールを溶媒に使用した電解質を
用いた比較例のコンデンサBは、高温保存により早期に
特性が劣化するのに較べ、本発明の電解質により構成し
たコンデンサAは、充分な信頼性を有することがわか
る。本実施例では、ソルビトールを基本骨格としたプレ
ポリマーを用いたが、実施例4、5および6で示したテ
トラメチロールメタンを基本骨格としたものを用いても
同様の効果を得ることができた。
【0039】[実施例8]実施例7では、塩および溶媒
として、それぞれ2ーブチルオクタン二酸アンモニウム
およびエチレングリコールを用いたが、本実施例では他
の例の有効性を示す。素子の製造方法は実施例7と同一
とし、イオン伝導性高分子電解質の組成を表8に示し
た。なお、エージング電圧は、溶媒にエチレングリコー
ルを用いたものは400V、それ以外は50Vとした。
これらの素子の初期および無封止状態110℃で24時
間保存した後のtanδを表8および表9に記載した。
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】[実施例9]本実施例では、実施例6で用
いたプレポリマーを用いたアルミ電解コンデンサを示
す。図4は、本実施例のアルミ電解コンデンサの構成を
示す。厚さ0.05mm、エッチング孔の直径約1から
5ミクロン、大きさ3cm×100cmのアルミニウム
箔で作られた電極に陽極用コネクタ6をスポット溶接す
る。つぎに、これを90℃の温度に保たれたホウ酸/ホ
ウ砂水溶液(ホウ酸80g+ホウ砂8g/水1000m
l)に浸し、30Aの電流を15分間通電した後、60
0Vの電圧を5時間印加することにより化成し、陽極箔
7とした。さらに、厚さ0.05mm、エッチング孔の
直径約1から5ミクロン、大きさ3cm×100cmの
アルミニウム箔で作られた電極8に陰極用コネクタ9を
スポット溶接することにより、陰極とした。前記陽極箔
7と陰極8を、厚さ40μm、密度0.20g/mlの
マニラ麻よりなるセパレータを介して巻き取りコンデン
サ電極とした。
【0043】つぎに、ジフェニル酢酸アンモニウム20
gをジエチレングリコール20gとテトラエチレングリ
コールモノメチルエーテル60gとの混合溶媒に溶かし
たものに、プレポリマーとして実施例6の試料No.6
ー5で使用したものを50g加え、充分均一になるまで
攪拌することにより、高分子電解質の原液を作成した。
引き続き、前記コンデンサ電極をアルミニウム製の円筒
缶11に入れ、これに前記高分子電解質原液を注入し、
20秒間10mmHgの減圧処理を行い、空気中におい
て50℃の温度で24時間保存することにより前記高分
子電解質原液を硬化し、最後に80℃の温度で450V
の電圧印加により2時間エージングを行い、アルミ電解
コンデンサCを作成した。
【0044】以上の方法で作成したアルミ電解コンデン
サCについて、高温保存時の電解質の安定性を評価する
加速試験として、無封止状態の125℃保存における静
電容量およびtanδの経時変化の測定を行い、その結
果をそれぞれ図5および図6に示した。測定は、30
℃、120Hzで行った。図5および図6から、実施例
のコンデンサCは、充分な信頼性を有することがわか
る。本実施例では、プレポリマーの末端基Xをイソシア
ネート基としたものを用いたが、エポキシ基で置換した
ものを使用しても同様の効果を得た。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、十分なイオン伝導度を
有するとともに、長期高温保存に際しても伝導度が低下
せず、ひび割れ、収縮、溶解などの物理的または化学的
変化を起こさない高分子電解質を得ることができる。ま
た、インピーダンスが低く、耐熱保存特性の優れたアル
ミ電解コンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるアルミ電解コンデン
サ素子の一部を断面にした正面図である。
【図2】実施例および比較例のコンデンサ素子の保存に
ともなう静電容量の変化を示す図である。
【図3】実施例および比較例のコンデンサ素子の保存に
ともなうtanδの変化を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例におけるアルミ電解コンデ
ンサの一部を断面にした正面図である。
【図5】実施例のコンデンサの保存にともなう静電容量
の変化を示す図である。
【図6】実施例のコンデンサの保存にともなうtanδ
の変化を示す図である。
【符号の説明】
1、6 陽極用コネクタ 2、7 陽極箔 3、8 陰極 4、9 陰極用コネクタ 5 電解質層 10 セパレータ 11 アルミ缶
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01G 9/028 C08K 5/19 C08L 71/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソルビトールにポリエチレンオキサイド
    を付加してなる化1で示される化合物、アンモニウム塩
    またはモルホリニウム塩、および有機溶媒を少なくとも
    含有するイオン伝導性高分子電解質。 【化1】
  2. 【請求項2】 前記化合物におけるn1、n2、n3
    4、n5、およびn6の各々が6以上15以下である請
    求項1記載のイオン伝導性高分子電解質。
  3. 【請求項3】 テトラメチロールメタンにポリエチレン
    オキサイドを付加してなる化2で示される化合物、アン
    モニウム塩またはモルホリニウム塩、および有機溶媒を
    少なくとも含有するイオン伝導性高分子電解質。 【化2】
  4. 【請求項4】 前記化合物におけるn1、n2、n3、お
    よびn4の各々が6以上15以下である請求項1記載の
    イオン伝導性高分子電解質。
  5. 【請求項5】 前記化合物が、その末端基Xの部分で架
    橋体を形成している請求項1または3記載のイオン伝導
    性高分子電解質。
  6. 【請求項6】 酸化アルミニウムの誘電体層を有するア
    ルミニウムからなる陽極、アルミニウムからなる陰極、
    および前記誘電体層と陰極との間に介在する請求項1〜
    5のいずれかに記載のイオン伝導性高分子電解質層を具
    備する電解コンデンサ。
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