JP2000138133A - 固体電解コンデンサとその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサとその製造方法

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JP2000138133A
JP2000138133A JP10309817A JP30981798A JP2000138133A JP 2000138133 A JP2000138133 A JP 2000138133A JP 10309817 A JP10309817 A JP 10309817A JP 30981798 A JP30981798 A JP 30981798A JP 2000138133 A JP2000138133 A JP 2000138133A
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solid electrolytic
electrolytic capacitor
additive
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Kazunori Naradani
一徳 奈良谷
Kazuhiro Hatanaka
一裕 畑中
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Nippon Chemi Con Corp
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Nippon Chemi Con Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐電圧特性を向上させた固体電解コンデンサ
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 陽極箔を陰極箔及びセパレータと共に巻
回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を
リン酸二水素アンモニウム水溶液中に5〜120分浸漬
して修復化成を行う。次いで、ホウ酸又はその塩、マン
ニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種
又は二種以上の添加剤の水溶液に、コンデンサ素子を3
0秒〜5分間浸漬し、60〜120℃で1分〜5時間乾
燥する。続いて、このコンデンサ素子にEDT又はED
T溶液を含浸し、30〜50%のパラトルエンスルホン
酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、20〜180
℃、30分以上加熱する。その後、コンデンサ素子の表
面を樹脂で被覆し、エージングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サ及びその製造方法に係り、特に、耐電圧特性の向上を
図るべく改良を施した固体電解コンデンサ及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タンタルあるいはアルミニウム等のよう
な弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽
極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッ
チング箔等の形状にして誘電体を拡面化することによ
り、小型で大きな容量を得ることができることから、広
く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を
用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直
列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実
装に適している等の特質を備えていることから、電子機
器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものと
なっている。
【0003】この種の固体電解コンデンサにおいて、小
型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁
作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在さ
せて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ
素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製
ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納
し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料として
は、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタ
ン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属
が用いられる。
【0004】また、固体電解コンデンサに用いられる固
体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られて
いるが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸
化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオ
フェン(以下、PEDTと記す)に着目した技術(特開
平2−15611号公報)が存在している。
【0005】例えば、巻回型のコンデンサ素子にPED
Tからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コ
ンデンサは、図6に示すように、化成→コンデンサ素子
形成→修復化成→EDTと酸化剤の含浸→重合→外装ケ
ースへの挿入→樹脂封止→エージングという製造工程に
よって作製される。以下には、この製造工程について、
図7及び図8を参照して簡単に説明する。
【0006】まず、図8に示すように、アルミニウム等
の弁作用金属からなる陽極箔1の表面を塩化物水溶液中
での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多
数のエッチングピット8を形成した後、ホウ酸アンモニ
ウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮
膜層4を形成する(化成)。陽極箔1と同様に、図7に
示すような陰極箔2も、アルミニウム等の弁作用金属か
らなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみであ
る。また、図7に示すように、陽極箔1及び陰極箔2に
は、それぞれの電極を外部に接続するためのリード線
6、7を、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により
接続する。
【0007】次に、以上のようにして表面に酸化皮膜層
4が形成された陽極箔1とエッチングピット8のみが形
成された陰極箔2とを、図7に示すようにセパレータ3
を介して巻回して、コンデンサ素子10を形成し、その
後、修復化成を行う。この修復化成は、前記巻回工程に
おいて電極箔に機械的ストレスがかかり、これが原因と
なって酸化皮膜に亀裂が発生する等の損傷を受けた場合
に、再度化成液中で化成することによって、この亀裂の
発生した部分に酸化皮膜を形成して、損傷を修復するも
のである。
【0008】続いて、修復化成を施したコンデンサ素子
10を3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、E
DTと記す)と酸化剤の混合溶液(重合液)に浸漬する
ことにより、この重合液をコンデンサ素子10に含浸す
る。あるいはまた、コンデンサ素子10をEDTと酸化
剤溶液に交互に浸漬して含浸する。いずれの場合でも、
コンデンサ素子10にEDTと酸化剤を含浸した後、重
合反応させ、図8に示すようなPEDTからなる固体電
解質層5を生成する。
【0009】この後、コンデンサ素子10を図示してい
ない外装ケースに挿入する。続いて、外装ケース内にエ
ポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させるこ
とによって、コンデンサ素子10の外周に外装樹脂を被
覆し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。な
お、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層4が損傷
して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コン
デンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージン
グを行うことにより酸化皮膜層4を修復し、特性の向上
を計っている。
【0010】なお、上記の製造方法においては、コンデ
ンサ素子にEDTと酸化剤を含浸する方法として浸漬法
を用いたが、EDTと酸化剤を常温で、シリンジ等によ
り定量注入する方法(注入法)を用いることもできる。
【0011】このようにして得られたPEDTを用いた
固体電解コンデンサは、陽極箔の化成電圧に対してコン
デンサの耐電圧を高く設定することができるという特徴
を有しているため、小型・大容量の固体電解コンデンサ
を実現することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法によって作製されたPEDTを用いた固体電
解コンデンサにおいても、耐電圧特性が未だ十分ではな
く、漏れ電流特性の規格外のものが発生するという問題
点があった。また、漏れ電流の高いコンデンサは、出荷
検査時にデバッグを行う必要があり、製造効率が非常に
悪くなっていた。
【0013】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、耐電圧特性を向上させた固体電解コンデンサ及びそ
の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、耐電圧特性を向上させることができる固
体電解コンデンサ及びその製造方法について鋭意検討を
重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。す
なわち、本発明者等は、種々の添加剤を、固体電解コン
デンサの製造工程の種々の時期に添加して、耐電圧特性
が改善されるか否かについて鋭意検討した結果、ホウ酸
又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの
3種で良好な結果が得られたものである。
【0015】このように、ホウ酸又はその塩、マンニッ
ト、リン酸二水素アンモニウムの添加剤を添加すること
によって良好な効果が得られたのは、以下の理由による
ものと考えられる。すなわち、最終製造工程のエージン
グ(再化成)において、製造中に受けた酸化皮膜の損傷
の修復を行うが、この際に、コンデンサ素子内に存在さ
せたホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アン
モニウム等の添加剤が、エージング工程における修復作
用を高めるため、耐電圧特性が向上するものと考えられ
る。
【0016】(固体電解コンデンサの製造方法)続い
て、本発明に係る巻回型の固体電解コンデンサの製造方
法の一例について説明する。すなわち、陽極箔を陰極箔
及びセパレータと共に巻回してコンデンサ素子を形成
し、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水
溶液中に5〜120分浸漬して、修復化成を行う。次い
で、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アン
モニウムから選択された一種又は二種以上の添加剤の水
溶液に、コンデンサ素子を30秒〜5分間浸漬し、その
後、60〜120℃で1分〜5時間乾燥する。続いて、
このコンデンサ素子にEDT又はEDT溶液を含浸し、
さらに30〜50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄の
ブタノール溶液を含浸して、20〜180℃、30分以
上加熱する。その後、コンデンサ素子の表面を樹脂で被
覆し、エージングを行う。なお、ここでは、EDT及び
酸化剤をコンデンサ素子に含浸する方法として、常温
で、シリンジ等により定量注入する注入法を用いている
が、浸漬法を用いることができることは言うまでもな
い。
【0017】このように、酸化皮膜の修復化成とPED
Tを形成する工程との間で、コンデンサ素子を添加剤の
水溶液に浸漬して乾燥することにより、酸化皮膜の近傍
にこれらの添加剤を存在させることができるので、これ
らの添加剤が酸化皮膜と結合して安定な錯体等を形成
し、酸化皮膜を安定化することができると考えられる。
【0018】(修復化成の化成液)修復化成の化成液と
しては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アン
モニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等
のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジ
ピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、
リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。ま
た、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
【0019】(添加剤)ホウ酸又はその塩におけるホウ
酸の塩としては、アンモニウム塩、アミン塩、四級アン
モニウム塩及び環状アミジン化合物の四級アンモニウム
塩が挙げられる。また、ホウ酸又はその塩、マンニッ
ト、リン酸二水素アンモニウムの添加量は、それぞれ水
に対して0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8w
t%である。添加量が0.1wt%以下では効果が少な
く、10wt%を超えると静電容量が低下する傾向があ
るためである。なお、添加量が10wt%を超えると静
電容量が低下するのは、酸化皮膜の表面に存在する添加
剤が多すぎて、酸化皮膜とPEDTの間の密着を阻害す
るためであると考えられる。さらに、ホウ酸又はその
塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウムの水溶液の
温度は、10〜60℃、含浸時間は30秒〜5分、乾燥
温度は60〜120℃、乾燥時間は1分〜5時間が望ま
しい。
【0020】なお、上記ホウ酸又はその塩、マンニッ
ト、リン酸二水素アンモニウムは水溶液として用いるこ
とができるだけでなく、種々の溶媒に溶解して用いるこ
ともできる。この溶媒としては、プロトン性極性溶媒、
非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶
媒としては、一価アルコール(メタノール、エタノール
等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類
(エチレングリコール、メチルセロソルプ、1,3−ブ
タンジオール等)などが挙げられる。また、非プロトン
性極性溶媒としては、アミド系(N,N−ジメチルホル
ムアミド、N−エチルホルムアミド等)、ラクトン類
(γ−ブチロラクトン等)、環状アミド類(N−メチル
−2−ピロリドン等)、カーボネート類(プロピレンカ
ーボネート等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、オ
キシド類(ジメチルスルホキシド等)などが挙げられ
る。
【0021】(EDT、酸化剤)また、コンデンサ素子
に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いるこ
とができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:1〜1:3
の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもでき
る。前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素
類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等
のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等の
アルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用い
ることができるが、なかでも、メタノール、エタノー
ル、アセトン等が好ましい。また、酸化剤としては、ブ
タノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄を用
いる。この場合、ブタノールとパラトルエンスルホン酸
第二鉄の比率は任意で良いが、本発明においては30〜
50%溶液を用いている。なお、EDTと酸化剤の配合
比は1:3〜1:6の範囲が好適である。
【0022】(添加剤をコンデンサ素子内に存在させる
時期)本発明者等は、上記添加剤をコンデンサ素子内に
存在させる時期について種々検討したところ、修復化成
工程から樹脂封止工程の前の段階であれば、どの段階で
も良いことが判明した。なお、修復化成工程の前である
と、コンデンサ素子に存在させた添加剤が、修復化成中
に化成液に溶解してしまうので、良好な結果が得られな
い。
【0023】すなわち、その時期は、上述したように、
修復化成後であっても良いし、PEDTポリマー層を形
成する工程以降でも良く、例えば、以下の(1)〜
(5)の方法が考えられる。なお、(1)の方法は上述
した製造方法に相当する。また、下記の(1)〜(5)
の方法の中で、添加剤を酸化皮膜上に良好な状態で存在
させることができる(1)の方法が最も好適である。
【0024】(1)修復化成後…図1参照 化成→コンデンサ素子形成→修復化成→添加剤の溶液に
浸漬→EDTと酸化剤の含浸→重合→外装ケースへの挿
入→樹脂封止→エージング (2)PEDTポリマー層を形成した後…図2参照 化成→コンデンサ素子形成→修復化成→EDTと酸化剤
の含浸→重合→添加剤の溶液に浸漬→外装ケースへの挿
入→樹脂封止→エージング なお、この方法における添加剤溶液の濃度、温度、含浸
時間、乾燥温度、乾燥時間は、上記(添加剤)の項に記
載した条件と同様である。
【0025】(3)修復化成の化成液中に含有…図3参
照 化成→コンデンサ素子形成→修復化成(化成液中に添加
剤を含有)→EDTと酸化剤の含浸→重合→外装ケース
への挿入→樹脂封止→エージング なお、この方法における修復化成の化成液としては、上
記(修復化成)の項に記載した化成液を用いることがで
き、浸漬時間も上述したと同様に5〜120分が望まし
い。また、化成液中に含有させる添加剤の量は、修復化
成の化成液に対して0.1〜10wt%、より好ましく
は1〜8wt%である。
【0026】(4)EDT又はEDT溶液中に含有…図
4参照 化成→コンデンサ素子形成→修復化成→EDTと酸化剤
の含浸(EDT又はEDT溶液中に添加剤を含有)→重
合→外装ケースへの挿入→樹脂封止→エージング なお、この方法において、EDT又はEDT溶液に含有
させる添加剤の量は、EDT又はEDT溶液に対して
0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8wt%であ
る。
【0027】(5)酸化剤溶液中に添加剤を含有…図5
参照 化成→コンデンサ素子形成→修復化成→EDTと酸化剤
の含浸(酸化剤溶液中に添加剤を含有)→重合→外装ケ
ースへの挿入→樹脂封止→エージング なお、この方法において、酸化剤溶液に含有させる添加
剤の量は、酸化剤溶液に対して0.1〜10wt%、よ
り好ましくは1〜8wt%である。
【0028】以上のように、添加剤は、水、修復化成
液、EDT又はEDT溶液、もしくは酸化剤溶液に含有
させ、この溶液にコンデンサ素子を含浸した後、乾燥す
ることによって、コンデンサ素子内に導入することがで
きるが、この添加剤のこれらの溶液における濃度は、い
ずれも、0.1〜10wt%、より好ましくは1〜8w
t%である。
【0029】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細
に説明する。なお、本発明に係る固体電解コンデンサ
は、以下の実施例1〜実施例9のように作成した。ま
た、従来例として、従来の方法により作製した固体電解
コンデンサを用いた。
【0030】(実施例1〜9)表面に酸化皮膜層が形成
された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回し
て、素子形状が4φ×7Lのコンデンサ素子を形成し
た。そして、このコンデンサ素子をリン酸二水素アンモ
ニウム水溶液に40分間浸漬して、修復化成を行った。
次いで、表1に示すような組成の添加剤の水溶液に、こ
のコンデンサ素子を2分間浸漬し、その後、80℃で2
時間乾燥した。続いて、このコンデンサ素子に、注入法
によりEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液とし
て40%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール
溶液を含浸して、100℃、1時間加熱して、PEDT
からなる固体電解質層を形成した。その後、固体電解コ
ンデンサの表面を樹脂で被覆し、エージングを行って、
固体電解コンデンサを形成した。なお、この固体電解コ
ンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は6.8μF
である。
【0031】(従来例)上述した従来技術に従って固体
電解コンデンサを形成した。すなわち、添加剤を添加す
ることなく、固体電解コンデンサを形成した。
【0032】[比較結果]上記の方法により得られた実
施例1乃至実施例9と、従来例の固体電解コンデンサの
電気的特性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかなように、従来例の漏れ電
流は、最大値が5×103 と規格値を超えており、この
コンデンサについてはデバッグが必要であった。これに
対して、ホウ酸のみを添加した実施例1〜4において
は、漏れ電流の最大値は3×10〜3×102 となり、
従来例の0.6〜6%に低下した。特に、実施例2〜4
においては、漏れ電流の最大値は3×10〜7×10
と、従来例の0.6〜1.4%に大幅に低下した。ま
た、漏れ電流の平均値についても、実施例1においては
3×10となり、従来例の30%に低減したに過ぎなか
ったが、実施例2〜4においては、漏れ電流の平均値は
5〜7となり、従来例の5〜7%に大幅に低下した。
【0035】このことから、コンデンサ素子を修復化成
した後に、添加剤であるホウ酸の水溶液にコンデンサ素
子を浸漬することにより、漏れ電流が大幅に低下するこ
とが判明した。特に、ホウ酸の添加量を1%以上とした
場合に、その効果は顕著であった。
【0036】また、リン酸二水素アンモニウムのみを添
加した実施例7〜9においては、漏れ電流の最大値は5
×10〜9×10となり、従来例の1.0〜1.8%に
低下した。特に、実施例8においては、漏れ電流の最大
値は5×10と、従来例の1.0%に大幅に低下した。
また、漏れ電流の平均値は5〜8となり、従来例の5〜
8%に大幅に低下した。このことから、コンデンサ素子
を修復化成した後に、添加剤であるリン酸二水素アンモ
ニウムの水溶液にコンデンサ素子を浸漬することによ
り、漏れ電流が大幅に低下することが判明した。特に、
リン酸二水素アンモニウムの添加量を1.25%とした
場合に、その効果は顕著であった。
【0037】次に、ホウ酸とマンニットを添加した実施
例5及び6においては、漏れ電流の最大値は10〜5×
10となり、従来例の0.2〜1%に低下した。特に、
実施例6においては、漏れ電流の最大値は10と、従来
例の0.2%に大幅に低下した。また、漏れ電流の平均
値は1〜5となり、従来例の1〜5%に大幅に低下し
た。このことから、コンデンサ素子を修復化成した後
に、添加剤であるホウ酸とマンニットの混合溶液にコン
デンサ素子を浸漬することにより、漏れ電流が大幅に低
下することが判明した。特に、ホウ酸の添加量を1.2
5%、マンニットの添加量を2.5%とした場合に、そ
の効果は顕著であった。
【0038】また、ホウ酸のみを添加した実施例1と、
同量のホウ酸にマンニットを添加した実施例5とを比較
すると、漏れ電流の最大値は3×102 から5×10に
低下した。また、ホウ酸のみを添加した実施例2と、同
量のホウ酸にマンニットを添加した実施例6とを比較す
ると、漏れ電流の最大値は7×10から10に低下し
た。このことから、ホウ酸のみを添加した場合より、ホ
ウ酸とマンニットを添加した場合のほうが、より効果的
であることが判明した。また、この結果より、マンニッ
トのみを添加した場合でも、ホウ酸あるいはリン酸二水
素アンモニウムのみを添加した場合と同様の効果が得ら
れることが示唆された。
【0039】さらに、等価直列抵抗(ESR)について
検討したところ、実施例1のESRは0.070であ
り、ほぼ従来例と同様であるが、実施例2〜4のESR
は0.065〜0.067であり、従来例に比べて低減
した。このことから、ホウ酸の添加量を1%以上とした
場合に、ESRの低減が可能であることが判明した。
【0040】このように、ホウ酸、マンニット、リン酸
二水素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の
添加剤をコンデンサ素子内に存在させた固体電解コンデ
ンサにおいては、耐電圧が大幅に向上することが明らか
となった。なお、表1には示していないが、上述したホ
ウ酸の塩についても検討したところ、ほぼ同様の結果が
得られた。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ホ
ウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水素アンモニウ
ムから選択された一種又は二種以上の添加剤を、コンデ
ンサの製造工程の修復化成工程以降、樹脂封止工程前の
任意の時期に、コンデンサ素子内に存在させることによ
り、固体電解コンデンサの耐電圧を大幅に向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程の
一例を示すフローチャートである。
【図6】従来技術による固体電解コンデンサの製造工程
の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明が対象とするコンデンサ素子の一例を示
す分解斜視図である。
【図8】図7のコンデンサ素子の陽極箔を示す拡大断面
図である。
【符号の説明】
1…陽極箔 2…陰極箔 3…セパレータ 4…酸化皮膜層 5…固体電解質層 6,7…リード線 8…エッチングピット 10…コンデンサ素子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極引き出し手段が接続された両極電極
    箔をセパレータを介して巻回すると共に、両極電極箔間
    にポリエチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質
    層を形成したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデン
    サにおいて、 前記コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マンニッ
    ト、リン酸二水素アンモニウムから選択された一種又は
    二種以上の添加剤を存在させることを特徴とする固体電
    解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記添加剤が、溶液としてコンデンサ素
    子内に導入されることを特徴とする請求項1に記載の固
    体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記添加剤の添加量が、その溶媒に対し
    て0.1〜10wt%であることを特徴とする請求項2
    に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記添加剤の溶媒が水であることを特徴
    とする請求項2又は請求項3に記載の固体電解コンデン
    サ。
  5. 【請求項5】 陽極箔を陰極箔及びセパレータと共に巻
    回してコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデン
    サ素子に修復化成を行う工程と、前記コンデンサ素子に
    エチレンジオキシチオフェンと酸化剤を含浸させてポリ
    エチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層を形
    成する工程と、前記コンデンサ素子を樹脂で封止する工
    程を有する固体電解コンデンサの製造方法において、 前記修復化成を行う工程から樹脂で封止する工程までの
    間に、前記コンデンサ素子内に、ホウ酸又はその塩、マ
    ンニット、リン酸二水素アンモニウムから選択された一
    種又は二種以上の添加剤を導入する工程を備えたことを
    特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記添加剤を導入する工程が、コンデン
    サ素子に、ホウ酸又はその塩、マンニット、リン酸二水
    素アンモニウムから選択された一種又は二種以上の添加
    剤を含む溶液を含浸するものであることを特徴とする請
    求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記添加剤を含む溶液の添加剤濃度が、
    0.1〜10wt%であることを特徴とする請求項6に
    記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記添加剤の溶媒が水であることを特徴
    とする請求項6又は請求項7に記載の固体電解コンデン
    サの製造方法。
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