JP2781853B2 - カーボンコート光ファイバ - Google Patents

カーボンコート光ファイバ

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、長期に亙って強度劣化が少なく、また水
素分子による吸収損失増加のない光ファイバに関する。
「従来の技術」 石英系光ファイバを水中や高湿度中に放置すると、そ
の破断高度が低下することが知られている。これは、水
分が石英ファイバ表面に浸透する結果と考えられてい
る。また、石英系光ファイバを水素環境に放置すると、
石英中に水素が浸透し、水素分子等の振動による吸収損
失が増加するため、伝送損失が増加することが知られて
いる。
このような破断強度の低下や、水素の浸透を防止する
目的として、近年、石英系光ファイバの表面にアモルフ
ァスカーボンや窒化物等の無機物からなる薄膜をCVD法
等によって被覆した構造の、いわゆるハーメチックコー
ト光ファイバが提案されている。そして、このハーメチ
ックコート光ファイバの製造方法については、特公昭38
−10363等に記述されている。
「発明が解決しようとする課題」 しかしながら上記のハーメチックコート光ファイバに
あっては、基本となる膜質や膜厚と水素透過率の関係が
未だ不明確であり、また膜を被覆することによって新た
に生じる欠点についての検討も不十分である。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、
十分な効果を発揮するためのカーボン膜の膜質および膜
厚を明らかにし、実用上優れたカーボンコート光ファイ
バを提供することを目的とするものである。
「発明の背景」 いわゆるアモルファスカーボン(もしくはパイロチッ
クカーボンとも呼ばれている)は水素透過率が低く、こ
の膜を外径125μmの石英系光ファイバ表面にCVD法によ
って被覆した光ファイバ(以下、カーボンコート光ファ
イバと呼称する。)は優れた耐水素性を有するといわれ
ており、通信用ファイバの信頼性を向上できるものとし
て期待されている。発明者は、このアモルファスカーボ
ンを施したカーボンコート光ファイバの耐水素性につい
て実験的に確認した結果、全てのカーボンコート光ファ
イバが耐水素性を有するわけでないことを見いだし、本
発明に至った。
以下に実験の概略について説明する。
外径125μmの光ファイバにいわゆるアモルファスカ
ーボン膜を被覆して2種類のカーボンコート光ファイバ
試料a,bを作製した。得られた試料a,bのカーボン膜のラ
マン分光を測定し、その結果を第1図および第2図に示
す。
第1図及び第2図より、試料a,bのいずれも1600カイ
ザー(cm-1)および1360カイザー(cm-1)周辺にラマン
ピークを有していることが分かる。ところで、カーボン
からなる構造としてはグラファイトやダイヤモンドをは
じめいろいろな構造が知られているが、ラマン分光法を
用い、構造によってラマンピークの位置や大きさが異な
ることを利用することにより、これらの構造を同定する
ことができる。そして、第1図および第2図のラマンピ
ークでは、試料aおよびbがいわゆるアモルファスカー
ボンに属する膜であることが示されている。
次に、これら試料a,bを水素雰囲気中炉の中に入れ、
水素分圧1気圧、温度75℃の条件下で損失波長特性の時
間変化を測定し、その結果を第3図および第4図に示
す。なお、用いた光ファイバはいずれもコアにゲルマニ
ウムを添加した通常の光通信用石英系ファイバであり、
最外層の被覆材として紫外線硬化型ウレタン樹脂を用い
たものである。
第3図は水素試験における試料aの損失波長特性を、
また第4図は水素試験における試料bの損失波長特性を
それぞれ示すもので、これらの図において横軸は光損失
を示すものである。
第3図より、時間の経過に連れて波長1.24μmにおけ
る損失が増加することから、ファイバ中に水素が浸透し
て吸収損失が増加したことが分かる。したがって、試料
aはカーボンコートを施したにもかかわらず、カーボン
コートを施していないファイバと同様に、時間経過とと
もに光損失が増加することから、耐水素性に劣っている
ことが判明した。一方、第4図より試料bは時間が経過
しても損失が変化しておらず、耐水素性に優れているこ
とが判明した。
これら試料aおよびbについて電気抵抗を測定したと
ころ、それぞれ13.5kΩ/cmおよび14.4kΩ/cmであった。
そして、これら試料においてはともに光ファイバの外径
が125μmと等しいことから、アモルファスカーボンの
導電率を一定と考えると、試料aとbとの表面に被覆さ
れたカーボンの膜厚はほぼ同一であると推察される。
したがってこの実験結果から、膜厚の等しいカーボン
コート光ファイバであっても、耐水素性は著しく異なる
ものがあることがわかる。よってアモルファスカーボン
膜は必ずしも全てが水素を透過しにくいわけではなく、
耐水素性を得るには新たな条件が必要であることが明ら
かになった。
「課題を解決するための手段」 そこでこの発明のカーボンコート光ファイバでは、ア
モルファスカーボン膜の緻密さを表す表面粗さを単位厚
さあたりの水素透過率と破断強度から50Å以下に定め、
アモルファスカーボン膜の膜厚を水素透過率と破断強度
と耐疲労強度から300Å以上1000Å以下に定めて上記課
題を解決した。
以下、この発明をカーボンコート光ファイバの所要膜
厚およびっ膜質についての実験結果に基づいて詳しく説
明する。
(所要膜厚の下限値について) カーボンコート光ファイバは、膜厚を厚くするほどそ
の耐水素性が向上することが知られている。しかし、従
来の技術ではカーボンコート光ファイバにおける膜質の
規定が不十分であることから、所要膜厚についての十分
な規定ができなかったのである。
以下、所要膜厚の規定とその算出法について説明す
る。なお、ここでいう膜厚とは、電気抵抗で代表される
平均的な膜厚を意味するものである。
カーボンコート膜のSTM(トンネル型電子顕微鏡)に
よる表面観察の結果の一例を第5図に示す。第5図よ
り、カーボンコート膜の表面は平滑ではなく、大きさの
異なる多数のクラスターによって構成されていることが
分かる。そして、この図よりカーボンコート膜には、直
径40から60ナノメータ程度のクラスターが直径200ナノ
メータ程度のクラスターの上に重畳しているのが観察さ
れる。またこの図では、数10ナノメータの凹凸も観察さ
れる。
ところで、このような凹凸のある膜の粗さは統計的に
求めることができる。すなわち、第6図に示すようにカ
ーボンコート膜の全表面について第5図に示したz方向
の凹凸を測定し、統計処理によって平均値を求める。そ
して、この平均値と第6図中の最小値との差が表面粗さ
となる。以下、この値を表面粗さと定義する。
この表面粗さの異なるカーボンコート光ファイバにつ
いて水素損失増加量を測定したところ、水素による光フ
ァイバの吸収損失量は、以下に述べるように時間の経過
とともにファイバ中に透過した水素の濃度に応じて大き
くなることが判明した。
カーボンコート光ファイバを水素分圧1気圧、温度75
℃の環境におき、波長1.24μmにおける伝送損失の時間
変化を調べてその一例を第7図に示す。第7図に示した
ように、損失はτ時間経過した後増加しはじめ、一定
時間経過すると飽和する。このときの損失をαとする
と、時間tにおける損失変化分α(t)は次式で与えられ
る。
α(t)=α[1−exp{−k0(t−τ}] (1) ここで、k0は水素の透過率を示すパラメータであり、
膜質や膜厚、温度に依存するものである。そして、この
k0が小さいほどカーボン膜は水素を透過しにくいものと
なる。
飽和損失αは温度および水素分圧に依存するが、石
英系ファイバでは一定の値となる。
膜厚をδとするとk0は次式で表せる。
k0=k・exp(−Q/RT)/δ (2) ここで、kは透過率を示すパラメータ、Qは活性化エ
ネルギー、Rはガス定数、Tは絶対温度である。(2)
式より、k0とδとの積は膜厚で規格化した水素透過率を
示すもので、小さいほど水素が透過しにくいことを示す
ものとなる。
上式における膜厚は、具体的にはカーボンコート光フ
ァイバの電気抵抗を測定し、第8図の関係から求められ
るものである。
また、表面粗さ2ナノメータ以下の平滑なカーボンコ
ート層を石英ガラス板上に成膜し、その膜厚を触針法に
よって測定するとともに、この膜をイオンで石英ガラス
表面までスパッタリングするのに要する時間を求め、こ
の膜のエッチングレートを求めた。そして、表面粗さ2
ナノメータ以下の平滑なカーボンコート光ファイバにつ
いて、上記のエッチングレートに基づいてカーボン膜厚
を求め、電気抵抗との関係を求めてその結果を第8図に
示した。なお、エッチングレートを求めるのに石英板を
用いた理由は、触針法による膜厚測定が外径125μmの
断面円形の光ファイバでは困難なためである。
また、カーボン膜の表面粗さが異なる数種類のカーボ
ンコート光ファイバを用意し、これらについて75℃、水
素分圧1気圧の条件下で水素透過率を求めた。第9図に
表面粗さとk0δ(水素透過率)との関係を示す。第9図
より、表面粗さと水素透過率との間には密接な関係があ
り、表面粗さが大きくなると膜の水素透過率も高くなる
ことが明らかになった。例えば、表面粗さが4ナノメー
タの膜と56ナノメータの膜とでは、kθδの値が1000倍
近く異なっていることが第9図より分かった。またこの
図により、表面粗さが5ナノメータ以下の膜では水素を
透過しにくく、カーボンコート光ファイバの膜質として
好ましいことが分かった。なお、一般的に表面粗さが小
さい膜では、クラスターサイズも小さく、緻密であるこ
とが分かった。参考として、第10図に表面粗さとクラス
ターサイズとの関係を示す。第10図より、クラスターサ
イズが30ナノメータ程度以下の膜が、カーボンコート光
ファイバの膜質として好ましいということもできる。
これらの実験結果から、従来不明であったアモルファ
スカーボン膜の水素透過率の大小が、膜の表面粗さおよ
びクラスターサイズに依存することが定量的に明らかに
なった。
なお、表面粗さを5ナノメータ以下にすれば、k0δの
値が10-1(Å/hour)になることが第9図から分かる。
したがって、膜厚δを定めることによりk0の所要値を求
めることができ、またk0の所要値は、ファイバの使用環
境の水素濃度やファイバの耐水素性所要値によって様々
であり、これらの条件を考慮して設定すればよい。
また、第9図を求めるにあたっては、カーボン膜の電
気抵抗から膜厚δを求めた。そして、この関係を基に、
表面粗さの粗いカーボンコート光ファイバについても、
その電気抵抗値から膜厚を推定した。
以上の結果より、カーボン膜の表面粗さとしては5ナ
ノメータ以下がよいことが判明した。この表面粗さを有
するカーボン膜を、その膜厚を変えて同一の石英ファイ
バプリフォームから線引きした光ファイバにそれぞれ被
覆した。
これらの光ファイバを引っ張り試験機により歪速度毎
分1%の速度で引っ張り、破断張力を求めた。この場
合、各試料の長さをそれぞれ300mmとし、また同じ試料
について20本測定してその平均値を求めた。このように
して得られた膜厚と破断張力との関係を第11図に示す。
第11図より、カーボン膜を施したファイバは、カーボン
膜を施していないファイバに比べてその破断強度が低下
しているものの、膜厚を300Å以上にすれば、裸ファイ
バに比べて強度低下が最小限に抑えられたものとなる。
したがって、膜厚としては最低300Åが必要であること
が分かった。
なお、従来では膜を数100Å以上被覆すると、初期強
度が2から3kgf程度にまで低下する傾向があったが、こ
れは膜の表面粗さが粗かったためと推察される。ここ
で、第11図に示したようにカーボン膜を施すことによっ
て破断強度が低下する理由は、カーボン膜の被覆工程に
おいて光ファイバ表面が傷付けられ、微少なクラッチが
発明するためと推察される。また、膜厚が厚くなるほど
破断強度が増した理由は、膜厚が厚くなることによって
大気中の水分の透過が防止され、これによりクラッチの
成長が防止されたこと、およびカーボン膜の表面に生じ
たクラックが、ガラス表面にまで伝達しにくくなったこ
となどによるためと推察される。
また、原料ガスの組成および成膜条件を変えることに
よって表面粗さの異なったカーボンコート光ファイバを
製造し、この破断強度を引っ張り速度毎分20%の条件で
求めることにより、表面粗さと初期強度との関係を調べ
た。その結果を第12図に示す。
第12図より、表面粗さが粗くなるほど初期の破断強度
(初期強度)が低くなることが分かる。これは、表面が
粗いほどカーボン被覆時に石英ガラス表面が傷付けられ
易いこと、および張力が作用したとき表面凹凸部に生じ
る応力集中が大きくなることによるものと推察される。
なお、裸ファイバの初期強度は約6.3kgfであった。第12
図より、表面粗さを5ナノメータ以下にすれば、裸ファ
イバとほぼ同等な初期強度を有するカーボンコート光フ
ァイバが得られることがわかった。
第11図を求めるのに使用した試料と同じ試料を用い、
その破断強度を歪速度毎分1%から100%の範囲で測定
してn値を求めた。第13図にn値と膜厚との関係を示
す。第13図より、膜厚を厚くするっことによってn値が
飛躍的に向上することが分かった。
このようにして得られたn値と海底光ファイバの所要
プルーフ値との関係を調べ、その結果を第14図に示す。
n値が100以上では所要プルーフ値がほぼ一定値に飽和
するので、これ以上n値が高くても高信頼化への寄与は
わずかである。したがって第13図より、膜厚を100Å以
上にすれば、n値が100以上になって十分な耐疲労性が
維持されることが分かった。
以上の結果を整理すると、表面粗さ5ナノメータ、つ
まり50Å以下のカーボン膜を膜厚300Å以上被覆すれ
ば、初期強度が高く、かつ疲労による強度低下も少ない
光ファイバを得られることが判明した。
(膜厚の上限値について) 以上の結果に基づき、さらにカーボン膜の膜厚の実用
上の上限値について以下に考察する。
すなわち、カーボン膜の厚さを必要以上厚くするの
は、製造速度の低下や炭素系原料ガス所要量の増加をも
たらし、製造コストの増大を招くばかりでなく、初期強
度が低下したり平均製造長が短くなるといった特性上の
不都合をも招く要因となる。
以下、心線対象の観点から膜厚の上限値を設定する。
一般に、活き回線を収容したケーブルを張り替える場
合には、ケーブル両端末の間で光ファイバの線番対照を
行う必要がある。このような線番対照を行うには、通常
曲げ法による心線対照方法が採用される。
第15図はこの心線対照方法の概略を説明するための図
であり、第15図中符号1は光ケーブルである。この光ケ
ーブル1における各光ファイバ心線2…の心線対照を行
うには、まず光ケーブル1における光ファイバ2aの一方
の側(光ケーブル1のA端側)に曲率半径7mm程度の曲
がりを与え、次にこの曲がり部分にレーザーダイオード
3より光信号を入射する。すると光信号は、曲がり部分
から光ファイバ2内部へと透過し、ファイバの長さ方向
に伝搬する。この光信号を心線対照用信号と呼ぶ。
また、光ファイバ2aの他方の側(光ケーブル1のB端
側)にも同様に曲率半径7mm程度の曲がりを与える。す
ると、この曲がり部分から光信号が光ファイバ2aの被覆
層を透過して漏洩光となる。そして、この漏洩光を受光
素子4によって受光することにより、ファイバの線番が
対照される。
このとき、通常では心線対照用信号の強度を−45dBm
以下に制限して、活き回線に電送されている通信信号等
の電送信号へ悪影響が及ぶのを防止している。そして、
4心テープ型の光ファイバ心線では、B端側における漏
洩光が光ファイバの被覆層を透過して受光されるまでに
約20dB低下する。一方、3元系受光器の最小受光感度は
−80dBmが限界である。したがってこのような装置を用
いて心線対照を行うと、心線対照信号には、−45−20−
(−80)=15dBの損失が許容される。
さて、カーボンコート光ファイバを用いたテープ型心
線の心線対照を行う場合を想定する。心線対照を行った
場合、漏洩光はカーボン膜を透過する際に減衰する。こ
の場合、カーボン膜の膜厚が厚くなるほど減衰量が大き
くなる。そして、減衰量が15dB以上になると曲げ法によ
る心線対照が不可能になる。ところで、活き回線の心線
対照方法は現在のところ上述した曲げ法以外には有効な
方法がない。したがって曲げ法を用いることができない
と、実用上著しい障害となる。
膜厚とカーボンコート層の光減衰量との関係を以下の
実験により調べ、得られた結果を第16図に示す。
実験は、まず肉厚0.8mmの石英ガラス板表面にCVD法に
よってカーボン膜を形成し、次にこのカーボン膜の波長
1.3μmおよび1.55μmにおける光透過減衰量を、FTIR
により測定して行った。第16図に示したロス制限1が示
すとおり、光透過減衰量を15dB以下にするためには、膜
厚を約1000Å以下にする必要があることが判明した。
次に、上述の論議では、心線対照用信号として光源で
あるレーザダイオードから−45dBmの強度の信号入射が
可能となるよう膜厚の上限を求めた。しかし、現状では
心線対照用信号を入射するレーザダイオード光源の出力
は、−2dBm程度が上限であるため、心線の被覆層透過時
の減衰が大きいと−45dBmの光パワーの入射が困難にな
る。そして、通常の4心テープ型の光ファイバ心線で
は、レーザダイオードから出る心線対照用信号は光ファ
イバの被覆層を透過後、ファイバに入射されるまでに約
40dB低下する。したがって心線対照信号には、 −2−40−20−(−80)=18dBの損失が許容される。
カーボンコート光ファイバを用いる場合、信号光はフ
ァイバ中への入射時とファイバからの出射時との2回カ
ーボン膜を透過するので、カーボン膜の許容光透過減衰
量は9dBとなる。したがって第16図のロス制限2が示す
ように、レーザーダイオードの出力を−2dBmとした場合
のカーボン膜厚上限値は約500Åとなる。
「作用」 この発明のカーボンコート光ファイバによれば、カー
ボン膜の表面粗さを規定し、かつ膜厚の範囲を定めたの
で、必要十分な耐水素性と耐疲労強度を有し、初期強度
も高くかつ心線対照も可能で実用的なものとなる。
「実施例」 第17図に示した装置を用いて光ファイバにカーボン膜
を施し、光ファイバ心線を作製した。第17図中符号5は
石英ファイバ裸線、6はカーボンを被覆する熱CVD装
置、7はファイバ冷却装置、8は紫外線硬化樹脂の被覆
装置である。
熱CVD装置6は、石英カラス製の反応管9の外周部に
冷却管10を外挿し、さらにその外方に赤外線イメージ炉
からなる熱源11を配置したものである。反応管9は内径
が10mm、長さが600mmのもので、その上下にはそれぞれ
2本ずつの枝管12,13,14,15が配設されている。これら
枝管12,13,14,15のうち、外側に位置する枝管12,15には
それぞれ不活性ガスからなるシールガス(N2、アルゴン
等)が流れている。また、原料ガスは内側に位置する枝
管13に流入し、枝管14から排出されるようになってい
る。冷却管10にはその反応管9との間に冷却ガスが導入
されており、これによって反応管9表面の過度の温度上
昇が防止されるようになっている。
また、石英ファイバ裸線5へのカーボン膜の被覆は以
下の条件にて行った。
反応ガスとして濃度15%のアセチレンを用い、反応管
9内の酸素濃度を1%以下、光ファイバ温度を約950℃
にすることによってススの発生を抑えつつ、効率よく緻
密なカーボン膜を成膜した。なお、冷却ガスを導入する
ことによって反応管9の表面温度700℃以下とすること
により、反応管9内部へのカーボンの付着よる赤外光透
過率の低下を防止した。
得られたカーボン膜のSTMによる測定結果を第18図に
示す。第18図により、得られたカーボン膜は、クラスタ
ーサイズが10から20ナノメータ、表面粗さが1ナノメー
タ以下であることが確認された。また、この得られた光
ファイバ心線のカーボン膜の膜厚を測定したところ、49
0Å(電気抵抗10kΩ/cm)であった。この場合に膜厚
は、第8図の関係に基づいて電気抵抗から求めたもので
あり、電気抵抗を膜厚の基準としたものである。
この光ファイバ心線を、水素分圧1気圧、75℃の水素
雰囲気中に150時間放置し、その損失波長特性を波長0.8
μmから1.7μmの範囲で調べたところ、水素雰囲気中
に放置する以前と全く変化がなかった。したがって、得
られた光ファイバ心線は優れた耐水素性を有しているこ
とが確認された。
また、この光ファイバ心線の破断強度を、試料長さ30
0mm、歪速度20%/分の条件で測定したところ、平均5.2
kgであり、高強度を有していることが確認された。
さらに、疲労特性を示すパラメータであるn値として
1500を得た。また、心線対照も通常の心線対照機を用い
て問題なく行うことができた。
「発明の効果」 以上説明したようにこの発明のカーボンコート光ファ
イバは、アモルファスカーボン膜の緻密さを表す表面粗
さを単位厚さあたりの水素透過率と破断強度から50Å以
下に定め、アモルファスカーボン膜の膜厚を水素透過率
と破断強度と耐疲労強度から300Å以上1000Å以下に定
めたものであるから、耐水素性に優れた膜を必要最小限
度の厚さで形成したものとなり、長期に亙って水素によ
る損失増加がなく、初期強度も高く、疲労変化も少な
く、かつ経済性に優れたものとなる。また、心線対照も
可能であることから、極めて実用的なカーボンコート光
ファイバとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第18図はこの発明のカーボンコート光ファ
イバに係る図であって、 第1図および第2図はアモルファスカーボン膜のラマン
分光結果を示すグラフ、 第3図および第4図はカーボンコート光ファイバの水素
試験結果を示すグラフ、 第5図はカーボン膜のSTMによる測定結果を示す図、 第6図は膜の表面粗さの算出法を説明するためのグラ
フ、 第7図は水素試験における時間と損失との関係を示すグ
ラフ、 第8図はカーボン膜の膜厚と電気抵抗との関係を示すグ
ラフ、 第9図はカーボン膜の表面粗さと水素透過率との関係を
示すグラフ、 第10図は表面粗さとクラスターサイズとの関係を示すグ
ラフ、 第11図は膜厚と初期強度との関係を示すグラフ、 第12図は表面粗さと初期強度の関係を示すグラフ、 第13図は膜厚さとn値の関係を示すグラフ、 第14図はn値と所要プルーフ値の関係を示すグラフ、 第15図は心線対照の方法を説明するための図、 第16図は膜厚と光透過率との関係を示すグラフ、 第17図は本発明の膜質のカーボンコート光ファイバの製
造装置の一例を示す概略構成図、 第18図は本発明のカーボン膜のSTMによる測定結果を示
す図である。 5……石英ファイバ裸線、 6……熱CVD装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石英系光ファイバの表面にアモルファスカ
    ーボン膜を密着被覆したカーボンコート光ファイバであ
    って、 上記アモルファスカーボン膜の緻密さを表す表面粗さを
    単位厚さあたりの水素透過率と破断強度から50Å以下に
    定め、アモルファスカーボン膜の膜厚を水素透過率と破
    断強度と耐疲労強度から300Å以上1000Å以下に定めた
    ことを特徴とするカーボンコート光ファイバ。
JP1175116A 1989-07-06 1989-07-06 カーボンコート光ファイバ Expired - Lifetime JP2781853B2 (ja)

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