JP2781624B2 - フラップを有する吸収性物品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、体液を吸収するための吸収性物品に関する
ものである。特に使用者の股間部分に装着されて、使用
者の着用する下着の股部分に取りつけられて使用される
吸収性物品、特に生理用ナプキン（以下ナプキンと称す
る）などの吸収性物品に関するものである。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

従来の吸収性物品、例えば生理用ナプキンあるいは使
い捨てオムツは、基本的に、液体透過性の表面材、液体
保持性の吸収体、液体不透過性の防漏材からなる。

近年、急速な技術の進歩に伴い、吸収性ポリマー、疎
水性表面材などの新しい素材を導入することにより、吸
収性能の向上が図られてきた。しかし、これらの個々に
は優れた性能を持つ素材を組み合わせた吸収性物品も実
際の使用時においては、本来の性能を十分に発揮してい
るとは言えない。これは、このような吸収性物品に対す
る使用者の第１の不満点が、依然として股間部や臀部か
らの漏れであることからも明らかである。

この漏れの最も大きな原因は、使用者の運動などによ
り吸収性物品に不規則な応力が加わり、吸収性物品が所
定の位置から移動してしまったり（ズレと以下称す
る）、吸収性物品に不規則な変形（ヨレと以下称する）
が生じたりするためである。

ナプキンの漏れを抑制するには、モレおよびズレを効
果的に抑制する必要があり、これまで数多くの技術が提
案されている。

吸収性物品の下着への固定のために下着に対面する側
に粘着剤の工夫、例えば、実開昭56−71228号公報があ
るが、装着直後においては、吸収体が好ましい位置に存
在するものの、使用者の動作により固定された部分が離
別し再付着してしまい、再付着により正しい機能しにく
い位置に存在してしまうことが多く、効果的とは言い難
い。更に離別することを抑制するために接着力を強める
脱離性が損なわれ好ましくない。

また実開昭50−100399号公報においては、吸収体を下
着に固定するために吸収体の縦方向の端から伸びる下着
のまわりに折りたたまれて用いられる側方フラップを有
するナプキンが提案され、効果的にズレを抑制できる。
さらに、特開昭60−199446号公報では、この側方フラッ
プが可撓軸を包含し、使用時、下着との装着関係より、
可撓軸で規定される平面が、ナプキンの吸収体の接合線
で形成される平面よりも上にある構造をもつ、つまり、
側方フラップが防漏壁として作用できる提案がなされて
いる。この防漏壁を形成することにより確かにナプキン
の巾の狭い横からの漏れを抑制できるが、実際に使用し
た場合、使用する下着の種類により、この機能が異なっ
てくる。一般に使用者がその快適性より好んで用いられ
る下着においては、吸収体の形状が身体に対して凹型と
なり、側方フラップの形成される端部が使用者の動作に
より、経血の***される領域に達し易く、必ずしも効果
を発揮できない欠点がある。また特開昭63−3858号公報
ではこの側方フラップと吸収体との結合点がナプキンの
縦方向の端から内側に存在する改良が提案されている。
この場合ナプキンの側端部は使用当の動作により自由に
運動でき、好ましいヨレ抑制効果をあげるもでには至っ
ていない。

このヨレおよびズレの現象は使用者が用いる下着の状
態により著しく影響をうける。大きな装着圧をもつタイ
トな下着より小さな装着圧のルーズな下着の方が使用者
の動作によりヨレおよびズレの発生する頻度が大きく、
身体よりナプキンが離れ、漏れ易くなる。しかしなが
ら、大きな装着圧は必ずしも使用者にとって快適とは言
い難いものである。漏れなしで快適な生理期間を過ごせ
るナプキンの出現が望まれている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明者らは、いかなる下着着用においても、股間部
に吸収体を有効に存在させ、ヨレおよびズレを効果的に
抑制でき、漏れを防止できる吸収性物品を得るべく鋭意
検討を重ねた結果、本発明を完成した。

即ち、本発明は、液体透過性の表面材、液体保持性の
吸収体、液体不透過性の防漏材を有する実質的に縦長の
吸収性物品において、該吸収性物品の幅方向両側端に延
出する２枚のフラップが設けられ、前記フラップが下着
の股部分を取り巻くように下りたたまれて取り巻いた位
置で固定されたときに、取り巻いた折り曲げ部分が常に
吸収体より下部に位置し、かつ吸収体側端部において該
フラップが固定さていることを特徴とする吸収性物品を
提供するものである。

以下、本発明を図面に基づいて更に詳細に説明する。

第１図は本発明に係わる吸収性物品の一実施例を示す
正面図であり、第２図は第１図のＡ−Ａ′線における断
面図、第５図はその下着への固定方法を示す図である。
また第３図及び第４図は本発明の吸収性物品のそれぞれ
別の実施例を示す第２図に相当する断面図である。さら
に第６図は従来の吸収性物品の正面図、第７図はそのＣ
−Ｃ′線断面図である。

本発明の吸収性物品１は第１〜２図から明らかなよう
に、液体透過性の表面材４、液体保持性の吸収体６、液
体不透過性の防漏材３を有し、更に幅方向両側端に延出
する２枚のフラップ２が設けられている。このフラップ
２により下着の股部分を包囲し、第５図に示すように下
着の身体と接しない側に固定され、一定の装着状態を保
つ。このフラップ２が下着の股部分を取り巻くように折
りたたまれて取り巻いた位置で固定されたときに、取り
巻いた折り曲げ部分が常に吸収体より下部に位置してい
ることが本発明の必須要件となる。このようにフラップ
の折り曲げ部分が吸収体より下部に位置していることに
より吸収体を常に身体に対し凸型にすることができ、吸
収体とフラップを互いに独立に存在させることができ
て、吸収体にかかるヨレを抑制することができる。

第７図に示される従来の吸収性物品のように、表面材
４、吸収体６及び防漏材３が重ね合わされてフラップ２
を形成しているものでは、吸収性物品が股間に装着され
た場合、身体の形状に沿って三次元の形態となるがゆえ
に、吸収性物品の吸収体に使用者の動作により応力が伝
播され、ヨレに対して大きな効果を発現できず好ましく
ない。また、吸収体の形を効果的に維持するためには、
吸収体側端部においてフラップが固定されていることが
好ましい。吸収体より内側にてフラップが固定されてい
る場合、吸収性物品の側端部が自由に運動するばかり
か、右左のひねりのズレに対して抑制できず、好ましく
ない。

一般に使用者の用いる下着の股部分の巾は60mm〜90mm
程度であり、本発明の吸収体の横方向の巾としては、吸
収性物品として常に身体に対して凸型にさせるために
は、実装着状態において使用者の股間の巾をも考慮に入
れ、65mm〜80mmが好ましい。更に好ましくは、65mm〜75
mmである。65mmより狭い吸収体巾であると、吸収性物品
が股間を被覆する面積が小さくなるとともに使用者が用
いる下着によっては吸収性物品が身体に対し凹型になる
場合が発生し好ましくない。また80mm以上では凸型より
むしろＷ型の形態となり漏れを抑制出来なくなるととも
に、使用者に異物感を与える結果となり、本発明の意図
するところではない。

また本発明の吸収性物品は、フラップが吸収性物品の
縦方向前方に偏倚していることが好ましい。このように
偏倚させると、第６図に示されるようにフラップが中央
に配置されている従来の吸収性物品とは異なり、下着を
使用し装着した場合、液体が***される点に概ね一致す
るフラップ部分より後方の吸収体の長さが、前方に比べ
て大きくなり、女性の股間の長さ方向に適切に吸収性物
品を配置させることができる。即ち、第６図に示される
従来の吸収性物品では、吸収性物品１の縦方向の中心線
が、フラップ２の縦方向の中心線Ｃ−Ｃ′と実質的に一
致するのに対して、第１図に示される本発明に係る吸収
性物品では、吸収性物品１の縦方向の中心線Ｂ−Ｂ′と
フラップ２の縦方向の中心線Ａ−Ａ′とが実質的に一致
しない。従って、装着時に臀部を覆う面積が恥骨部に比
べて相対的に増大し、第６図に示される従来の吸収性物
品に比べて吸収体の長さが等しいか又はやや小さい場合
でも、臀部からの漏れは飛躍的に抑制される。本発明に
おいては、吸収性物品の縦方向の中心線Ｂ−Ｂ′とフラ
ップの縦方向の中心線Ａ−Ａ′とは少なくとも10mm以上
遊離していることが好ましい。

更に、本発明の吸収性物品の好ましい実施態様として
第３図に示されるような吸収性物品が挙げられる。即
ち、吸収体６の使用者の肌に対抗すべき面及び使用者の
衣類に対向すべき面が表面材4,5により被覆され、使用
者の肌に対応すべき面に位置する部分の表面材４は液体
透過性有するが、使用者の衣類に対向すべき面に位置す
る部分の表面材５は液体透過性を実質的に有しないもの
である。このような構成により、使用時にフラップ２及
び表面材の液不透過性部分５が、排出された液体を二重
に遮蔽し、防漏性が極めて良好となる。

本発明の吸収性物品の更に好ましい実施態様として第
４図に示されるような吸収性物品が挙げられる。即ち、
使用者の肌に対向すべき面、つまり表面層におして、中
央部には液体透過性の表面材４を、両側端部には液体透
過性を実質的に有しない表面材５を配置することが更に
防漏性を高める上で好ましい。このようなは配置は、側
方のフラップにより吸収体が常に身体に対し凸型を形成
することが可能になることにより、著しく防漏性を向上
させることができる。吸収体が凹型を形成したり、Ｗ型
となった場合では、上記のような配置は逆に液体が***
される位置に液不透過性部分を存在させることとなり漏
れにつながったしまう。液体透過性の表面材としては親
水性の開孔を有するシート、液体透過性を実質的に有し
ない表面材としては疎水性の開孔を有するシートや、未
開孔のシートなどの公知のシートを用いることができ
る。この配置としては、吸収体の巾により異なるが、65
mm〜80mmの吸収体巾において、液体透過性を実質的に有
しない表面材５が使用者の肌に対向すべき面に側端部よ
り２〜10mmの巾で存在していることが好ましく、更には
２〜5mmの巾で存在していることが好ましい。

本発明においてフラップ２としては、第５図に示しす
ように下着７に固定する際に、容易に折れ曲がるほど可
撓性であれば、任意のもの用いることができるが、防漏
性を考慮すると、液体不透過性であることが好ましい。
第２〜４図に示すように、防漏材３を吸収性物品の幅方
向両側端から延出させることによりフラップ２を形成す
るのが構成が簡略とのなるので好ましい。

本発明に係わるフラップ２の好ましい大きさは、吸収
性物品の大きさにより変化するので一概に規定されるも
のではない。ただし、吸収体の長さと幅が各々250mm、7
0mm程度の夜用大型ナプキンにおいては、一般にフラッ
プの長さと幅は各々30〜70mm、25〜50mmであることが、
下着への固定の安定性及び固定操作の容易性の点で好ま
しい。また、フラップの位置は、吸収性物品の縦方向中
央から20〜40mm程度縦端に偏倚させることが好ましい。

本発明において表面材としては、紙、不織布、フィル
ム、ネット、それらの積層体など任意のものを用いるこ
おができるが、表面のべたつき感を考慮するとフィルム
やネット又はそれらと不織布との積層体が好ましい。フ
ィルムやネットを用いる場合、第２図のように使用者の
肌に対向すべき面及び使用者の衣類の対向すべき面の両
方に開孔を存在させて液体透過性にすることも可能であ
るが、第３図、第４図のように衣類に対向する面には開
孔を存在させないで、液体透過性を実質的に有しないよ
うにすると、防漏性が向上し非常に好ましい。

本発明において、吸収対としては、パルプ、レーヨ
ン、合成繊維などの集合体や、高分子吸収剤、発泡体な
どの公知のものを用いることができるが、使用者の肌に
対向すべき面には、レーヨンなどの親水性繊維とポリエ
ステルなどの合成繊維の混合体を載置すると、べとつき
感が低減するので好ましい。

本発明において防漏材としては、液体不透過性であれ
ば何を用いてもよく、フィルム、不織布、撥水紙、それ
らの積層体などが挙げられる。風合いを考慮すると、フ
ィルムと不織布の積層体が好ましく、フィルムと不織布
の積層体を、人体に対向する面に不織布が位置する様に
構成することがより好ましい。

尚、衣類への固定をより強固にするため、フラップ乃
至は吸収性物品本体に、粘着剤や防漏剤を設けることが
好ましい。

〔発明の効果〕

本発明の吸収性物品は従来の吸収性物品に比べて、ズ
レやヨレを効果的に抑制することができ、防漏性を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わる吸収性物品の一実施例の正面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ′線における断面図、第３
図及び第４図はそれぞれ本発明の吸収性物品の別の実施
例を示す第２図に相当する断面図、第５図は本発明の吸
収性物品の下着への固定法を示す図、第６図は従来の吸
収性物品の正面図、第７図は第６図のＣ−Ｃ′線におけ
る断面図である。 1:吸収性物品 2:フラップ 3:防漏材 4:液体透過性を有する表面材 5:液体透過性を実質的に有しない表面材 6:吸収体 7:下着

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61F 13/18

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】液体透過性の表面材、液体保持性の吸収
   体、液体不透過性の防漏材を有する実質的に縦長の吸収
   性物品において、該吸収性物品の幅方向両側端に延出す
   る２枚のフラップが設けられ、前記フラップが下着の股
   部分を取り巻くように折りたたまれて取り巻いた位置で
   固定されたときに、取り巻いた折り曲げ部分が常に吸収
   体より下部に位置し、かつ吸収体側端部において該フラ
   ップが固定されていることを特徴とする吸収性物品。
2. 【請求項２】前記フラップが吸収性物品の縦方向前方に
   偏倚している請求項１記載の吸収性物品。