JP2780547B2 - 自走体使用の床側搬送設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、床側の一定経路上で被
搬送物を搬送するのに利用される自走体使用の床側搬送
設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、非駆動式の台車を一定経路上で搬
送するものとして、たとえば特開平２−209309号公報に
見られる構成が提供されている。

【０００３】この従来構成は、可動体が走行自在な一定
経路の上手に可動体搬送装置を設けるとともに、下手に
ブレーキ装置を設け、さらにブレーキ装置の下手に次工
程への可動体搬送装置を設けている。そして可動体搬送
装置を、可動体の側面に当接自在な左右一対の送りロー
ラと、これら送りローラに連動する回転駆動装置とから
構成している。またブレーキ装置を、可動体の側面に当
接自在な左右一対のブレーキローラと、これらブレーキ
ローラに逆送り回転力を付与するトルクモータとから構
成し、さらに送り回転力を逆送り回転力よりも大に設定
している。

【０００４】このような従来の構成によると、可動体の
両側面に当接している両送りローラを回転駆動装置によ
り強制回転させることで、可動体に大きな推進力を与え
ることになり、以って可動体を一定経路上で搬送し得
る。その際に可動体は、先行し停止している可動体群を
後押しして搬送することになる。

【０００５】一定経路の下手においては、逆送り回転さ
れているブレーキローラが可動体の両側面に当接してい
ることから、この可動体に逆搬送方向の推進力が作用
し、ここで送り回転力が逆送り回転力よりも大であるこ
とから、その差に相応してブレーキローラが送り回転側
に回転され、これにより下手の可動体は、ブレーキ作用
を受けた状態で搬送されることになり、したがって可動
体群は前後端間に隙間を生じめることなく密な後押し状
態で搬送される。そしてブレーキ装置から押し出された
可動体は次の可動体搬送装置により次工程へと搬出され
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の構成に
よると、可動体は一定経路上で複数の可動体搬送装置に
より順次搬送されることから、その速度はほぼ一定とな
り、したがって作業経路部間の非作業経路部においては
能率の悪い搬送となる。さらに非作業経路部を含めて一
定経路のほぼ全長に亘って可動体を密状に配列して搬送
することから、高価な可動体が多数台必要になり、設備
費が高くなる。

【０００７】本発明の目的とするところは、特定経路部
以外では高速で走行し得る自走体使用の床側搬送設備を
提供する点にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明の自走体使用の床側搬送設備は、床側に配設したレ
ールと、このレールに車輪群を介して支持案内されて一
定経路上を走行自在な自走体とを有し、この自走体は、
少なくとも１個の車輪に連動する走行駆動装置と、この
走行駆動装置に接続した集電装置とを有するとともに、
上部に被搬送物の支持部を有し、前記自走体に外側方に
向く受圧部を形成し、前記一定経路中の特定経路部に、
自走体に走行力を伝達する送り装置を設け、この送り装
置は、前記受圧部に当接自在な送りローラと、この送り
ローラに連動した回転駆動装置とにより構成し、前記特
定経路部以外の経路部には、前記集電装置が摺接自在な
給電装置を配設している。

【０００９】

【作用】かかる本発明の構成によると、特定経路部の始
端部において自走体を送り装置に対向して位置させると
ともに非駆動とした状態で、回転駆動装置によって強制
回転させている送りローラを受圧体に当接させること
で、自走体に大きな推進力を与えることになり、以って
自走体を特定経路部上で搬送し得る。その際に自走体
は、特定経路部上で先行し停止している自走体群を後押
しして搬送することになる。そして後押しによって特定
経路部から押し出された自走体は、特定経路部とは別の
経路部の始端部に入り、その集電装置を給電装置に作用
させて走行駆動装置を作動させることで、この経路部を
自動走行される。

【００１０】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図に基づいて説明
する。左右一対のレール１Ａ，１Ｂは、床側に形成した
ピット２内に配設され、その上面を作業床板３と同レベ
ル状にしている。一方のレール１ＡはＩ型形状であり、
また他方のレール１Ｂは板形状となる。そして他方のレ
ール１Ｂは板形状のベース部材４の上方に位置し、中心
部寄りに位置した四角筒状のスペーサ部材５を介して一
体化されている。前記スペーサ部材５よりも外側におい
て、ベース部材４の上面にはガイド用の突条６が一体に
形成されている。

【００１１】自走体10は、本体11の下部両側にそれぞれ
前後一対の車輪12Ａ，12Ｂを有し、これら車輪12Ａ，12
Ｂを介して前記レール１Ａ，１Ｂ上に載置することで、
一定経路９上を走行自在となる。ここで他方の車輪12Ｂ
を支持する車輪支持枠13からブラケット14が下方へ連設
され、このブラケット14には、前記突条６の両側面に対
向する複数の横ずれ防止ローラ15と、前記レール１Ｂの
下面に対向する浮き上がり防止ローラ16と、前記スペー
サ部材５の外側面に対向する集電装置17とが設けられ
る。

【００１２】前部の他方の車輪12Ｂに連動する走行駆動
装置20が設けられ、この走行駆動装置20は車輪支持枠13
に固定される。前記本体11は長尺平枠状であつて、その
両側枠の外側面により受圧部21を形成するとともに、前
端面22と後端面23とは当接面に形成している。そして受
圧部21の前部と後部とは傾斜面に形成してある。前記本
体11の前部と後部には、それぞれ支持部24が上向きに配
設され、これら支持部24は被搬送物用のパレット28を支
持する。なお支持部24は被搬送物を直接に支持する形式
でもよい。25は操作ボックスを示す。

【００１３】前記一定経路９は特定経路部の一例である
作業経路部９ａと、特定経路部以外の経路部の一例であ
る非作業経路部９ｂなどによりループ状に形成される。
ここで作業経路部９ａは直線状であって、その始端部
に、自走体10に走行力を伝達する送り装置30を設け、そ
して終端部に制動装置50を設けるとともに、前記送り装
置30の少し上手に送り込み装置55を設けている。なお送
り装置30と制動装置50と送り込み装置55とは、それぞれ
左右一対が対称的に配設される。

【００１４】次に前記送り装置30の詳細を説明する。前
記レール１Ａ，１Ｂの側外方においてピット２内に配設
したベース体31から、取り付け部材32を介して縦軸33が
立設されている。そして縦軸33には軸受34を介して支持
部材35が縦軸心36の周りに揺動自在に取り付けられる。
前記支持部材35には、回転駆動装置の一例である減速機
付きのサーボモータ37が配設され、このサーボモータ37
から上方に取り出した出力軸38に、たとえばウレタン製
の送りローラ39が固定される。なおサーボモータ37は前
記送りローラ39に送り回転力Ａを付与する。前記支持部
材35は前方に伸びるブラケット40を一体に有し、このブ
ラケット40とベース体31との間に支持部材35を揺動させ
るシリンダ装置41を設けている。

【００１５】したがってシリンダ装置41を作動させるこ
とで支持部材35を縦軸心36の周りに揺動させ、送りロー
ラ39を受圧部21に対して当接離間動し得る。その際に、
最大接近位置を規制するために、前記支持部材35から被
ストッパ体42を連設するとともに、これら被ストッパ体
42が当接自在なストッパ体43を前記ベース体31に位置調
整自在に設けている。

【００１６】前記制動装置50は前記送り装置30と同様の
構造であって、前記本体11における受圧部21に対して側
方から当接離間自在で、かつたとえばウレタン製の制動
ローラ51と、これら制動ローラ51に連動し、かつ制動ロ
ーラ51に逆送り回転力Ｂを付与する逆回転駆動装置52な
どから構成される。なお逆回転駆動装置52はトルクモー
タなどからなり、その逆送り回転力Ｂは前記サーボモー
タ37の送り回転力Ａよりも小に設定してある。また前記
送り込み装置55は前記送り装置30と同じ構造のものが採
用される。

【００１７】前記非作業経路部９ｂにおいては、図１の
仮想線に示すように、前記スペーサ部材５の外側面に給
電装置７が配設され、この給電装置７に対して前記集電
装置17が摺接自在となる。なお非作業経路部９ｂには被
搬送物を載置したパレット28の積み込み部56と卸し部57
とが配設される。

【００１８】次に上記の実施例においてパレット（被搬
送物）28の搬送作業を説明する。一定経路９中の非作業
経路部９ａでは、給電装置７に対する集電装置17の摺接
により走行駆動装置20を作動させることで、自走体10は
所望の高速度で走行される。このとき車輪12Ａ，12Ｂは
レール１Ａ，１Ｂに支持案内され、そして横ずれ防止ロ
ーラ15が突条６に案内されるとともに、浮き上がり防止
ローラ16がレール１Ｂの下面に案内されることで、自走
体10は浮き上がったり横ずれすることなく安定して走行
する。

【００１９】このようにして走行してきた自走体10は、
非作業経路部９ａの終端部に達することで走行駆動装置
25が停止され、その走行を一旦停止させる。そして作業
経路部９ａの始端部が空であるなどの信号により、自走
体10は再び走行し、作業経路部９ａの始端部に達して前
端が送り込み装置55に入ることで停止される。次いで送
り装置30側が受入れ態勢になった状態で、この送り込み
装置55を、後述する送り装置30と同様に作動させて自走
体10を搬送する。その際に作業経路部９ａに密な列車状
で位置している自走体10群の最後尾の自走体10における
後端面23に、この送り込まれた自走体10の前端面22が当
接し、以て送り込み装置55の送り込み力で自走体10群を
搬送させる。

【００２０】この送り込み装置55による送り込みは、該
当する自走体10の前端が送り装置30に入ることで停止さ
れる。このとき送り装置30におけるシリンダ装置41は伸
展され、支持部材35を縦軸心36の周りで外方に揺動さ
せ、以って送りローラ39は図３の仮想線で示すように受
圧部21から離間している。したがって自走体10の搬入
（走行）は何んら支障なく行われる。

【００２１】そして搬入後、上述とは逆作用によって送
りローラ39を接近動させて図３の実線で示すように受圧
部21に圧接させるのであるが、このとき両送りローラ39
はサーボモータ37によって回転駆動されている。したが
って強制回転されている送りローラ39を受圧部21に圧接
させることで、その送りの回転力Ａにより自走体10に走
行力を与えることになり、以って自走体10は作業経路部
９ａ上において所望の低速度で搬送Ｃされ、作業経路部
９ａに密な列車状で位置している自走体10群を後押し搬
送することになる。

【００２２】この送り装置30による自走体10の送り量は
エンコーダなどにより検出され、所定の或る送り量を検
出したときに送りローラ39が離間して搬送作業が停止さ
れる。作業経路部９ａの終端側に達した自走体10に対し
て制動装置50によって制動がかけられている。すなわち
送り装置30による自走体10の搬送作業が停止していると
き、制動装置50におけるシリンダ装置は収縮され、以っ
て制動ローラ51は互いに離間している。そして送り装置
30の搬入動に連動して、上述とは逆作用によって両制動
ローラ51を互いに接近動させ、受圧部21に圧接させるの
であるが、このとき制動ローラ51は、送りローラ39とは
反対側に回転駆動されている。

【００２３】すなわちトルクモータの駆動により両制動
ローラ51を互いに逆方向に強制回転させている。したが
って強制回転されている制動ローラ51を受圧部21に圧接
させたとき、その逆送り回転力Ｂによって自走体10に逆
搬送方向Ｄの推進力が作用するが、ここで送り回転力Ａ
が逆送り回転力Ｂよりも大であることから、その差に相
応して制動ローラ51が送り回転側に回転され、そのとき
の負荷はトルクモータにより吸収される。

【００２４】これにより下手の制動装置50に対応した自
走体10は、制動作用を受けた状態で搬送されることにな
り、したがって送り装置30から制動装置50の間では、複
数台の自走体10が、その前後端間に隙間を生じめること
なく密に後押し状態で整列されることになる。このよう
な制動装置50による制動作用は、送り装置30による搬送
停止に相前後して停止される。

【００２５】このように作業経路部９ａにおいて自走体
10が間欠搬送している間に、また停止している間に、作
業床板３上の作業者や本体11上に乗り移った作業者は、
パレット28上の被搬送物に対して各種の作業を遂行す
る。その際に作業床板３と本体11とが同じレベル状にあ
ることから、作業者の乗り移りを含めた歩行は常に安全
に行える。

【００２６】前述したような後押しによって制動装置50
から押し出された自走体10は、非作業経路部９ｂの始端
部に入り、その集電装置17を給電装置７に作用させるこ
とで、この非作業経路部９ｂを自動走行される。そし
て、非作業経路部９ｂにおいて自走体10は、卸し部57に
対向して停止することでパレット28が卸され、次いで積
み込み部56に停止することで新たなパレット28が積み込
まれる。なお一箇所でパレット28の卸し作業と積み込み
作業とを行ってもよい。

【００２７】なお各送り装置30や送り込み装置55におい
て、対応するサーボモータ37間、ならびに制動装置50に
おいて、対応する逆回転駆動装置52間は電気的に同期さ
れる。

【００２８】上記実施例では、送り装置30や送り込み装
置55や制動装置50において、送りローラ39や制動ローラ
51の全てを強制駆動形式としたが、これは、たとえば一
側の送りローラ39や制動ローラ51を強制駆動形式とし、
そして他側の送りローラ39や制動ローラ51を遊転形式と
してもよい。

【００２９】上記実施例では一定経路９を平面視でルー
プ状に形成したが、これは作業経路部９ａの始終端に対
向してそれぞれリフト装置を設け、これらリフト装置に
対向した上階または下階に被作業経路部９ｂを形成した
側面視でループ状の形式であつてもよい。

【００３０】なお特定経路部は非作業経路部９ｂ側に設
定してもよく、そして作業経路部９ａ側で自走体10を駆
動走行させてもよい。また送りローラ39は片側にのみ設
け、他側にバックアップローラを配設した構成でもよ
い。

【００３１】

【発明の効果】上記構成の本発明によると、特定経路部
の始端部において送り装置に対向して位置し、かつ非駆
動とした自走体の受圧体に対して、回転駆動装置により
強制回転させている送りローラを当接させることで、自
走体に大きな推進力を与えることができ、以って自走体
を特定経路部上で搬送できる。その際に自走体は、特定
経路部上で先行し停止している自走体群を、前後端間に
隙間を生じめることなく密な後押し状態で効率よく、か
つ所望の低速度で搬送することができる。

【００３２】そして後押しによって特定経路部から特定
経路部以外の経路部の始端部に押し出された自走体は、
その集電装置を給電装置に作用させて走行駆動装置を作
動させることで、この特定経路部以外の経路部を任意な
高速度で自動走行させることができ、したがって設備全
体としては、高価な自走体の台数を減少できて設備費を
低下できるとともに、これら自走体を効率よく使用でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、作業経路部の正面図
である。

【図２】同作業経路部の要部の一部切欠側面図である。

【図３】同作業経路部の要部の平面図である。

【図４】同作業経路部の概略平面図である。

【図５】同全体の概略平面図である。

【符号の説明】

1Ａ,1Ｂ レール ２ ピット ３ 床面 ７ 給電装置 ９ 一定経路 9a 作業経路部（特定経路部） 9b 非作業経路部（特定経路部以外の経路部） 10 自走体 11 本体 17 集電装置 20 走行駆動装置 21 受圧部 22 前端面 23 後端面 24 支持部 28 パレット 30 送り装置 37 サーボモータ 39 送りローラ 41 シリンダ装置 50 制動装置 55 送り込み装置 Ａ 逆送り回転力 Ｂ 送り回転力

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床側に配設したレールと、このレールに
   車輪群を介して支持案内されて一定経路上を走行自在な
   自走体とを有し、この自走体は、少なくとも１個の車輪
   に連動する走行駆動装置と、この走行駆動装置に接続し
   た集電装置とを有するとともに、上部に被搬送物の支持
   部を有し、前記自走体に外側方に向く受圧部を形成し、
   前記一定経路中の特定経路部に、自走体に走行力を伝達
   する送り装置を設け、この送り装置は、前記受圧部に当
   接自在な送りローラと、この送りローラに連動した回転
   駆動装置とにより構成し、前記特定経路部以外の経路部
   には、前記集電装置が摺接自在な給電装置を配設したこ
   とを特徴とする自走体使用の床側搬送設備。