JP2778055B2 - バナジウム−リン系結晶性酸化物又はそれを含有する触媒の製造法 - Google Patents

バナジウム−リン系結晶性酸化物又はそれを含有する触媒の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はバナジウム−リン系結晶性酸化物又はそれを
含有する触媒の製造法に関する。詳しくは本発明は炭素
数4以上の炭化水素の気相酸化による無水マレイン酸生
成反応に対する触媒作用及び特異な固体酸性を示す活性
物質及びその前駆物質としてそれぞれ有用なバナジウム
−リン系結晶性酸化物の製造法、並びにこれらの結晶性
酸化物をそれぞれ含有する触媒の製造法に関する。
〔従来の技術〕
近年、バナジウム−リン系複合酸化物の研究が進み、
バナジウム及びリンの各原子の原子価の相違も含めて極
めて多種類の結晶性化合物が存在することが知られてい
る。特に、ブタン、ブテン等の炭素数4のパラフィン系
又はオレフィン系炭化水素の気相酸化により無水マレイ
ン酸を製造するための触媒、或いは特異な固体酸性を有
する触媒の活性成分として、下記表Bに示す主要X線回
折ピークを有するバナジウム−リン系結晶性酸化物(以
下、焼成体酸化物という)が知られている。
焼成体酸化物の構造はX線構造解折により(VO)2P2O
7、即ちピロリン酸ジバナジルであることが知られてい
る(E.Bordes and P.Coutine,J.Catal.,57,236−252(1
979))。
焼成体酸化物の製法は種々知られているが、下記表A
に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
結晶性酸化物(以下、前駆体酸化物という)を焼成して
製造する方法が有利である。
前駆体酸化物を焼成すると500℃以下の温度で結晶水
の放出と転移とを起こしてピロリン酸ジバナジル、即ち
焼成体酸化物に変換される(E.Bordes et al,Mater.Sc
i.Monograph,28B,887−892(1985))。〔このような関
係にあることが、前者を前駆体酸化物、後者を焼成体酸
化物と呼ぶ理由である。〕 前駆体酸化物についてもX線構造解析がなされてお
り、(VO)HPO4・1/2H2O(J.W.Johnson et al,J.Am.Che
m.Soc.,106,8123−8128(1984))、または(VO)2H4P2
O9(C.C.Torardi et al,Inorg.Chem.,23,1308−1310(1
984))と表わされることが報告されている。
焼成体酸化物を前駆体酸化物を出発原料として製造す
る場合には、前駆体酸化物の構造、従って前駆体酸化物
の製造条件が焼成体酸化物の物性や活性に大きな影響を
与える。
従来、前駆体酸化物を製造するための種々の方法が提
案されてきており、これらを大別すれば、低水分濃度の
有機媒体中で結晶生成反応を行なう有機媒体法と、水性
媒体中で結晶生成反応を行なう水性媒体法とになると考
えられる。具体的には次のような方法が提案されてい
る。
まず有機媒体法としては、 イソブタノールのような非腐食性有機液体中に五酸
化バナジウムを加え、還流加熱して還元後、リン酸を付
加し、生成した固体を分離、加熱乾燥する方法(米国特
許第4,132,670号)。
5価のバナジウムの化合物及びオルトリン酸を出発
物質とし、バナジウムの還元剤として亜リン酸とアルコ
ールとを使用してリン酸バナジルを製造する方法(特開
昭56−141840)。
5価のバナジウムの化合物をアルコールのような有
機媒体中で煮沸、還元後、無水リン酸を付加し、ベンゼ
ンで共沸脱水する方法(米国特許第4,283,288号)。
等が挙げられる。
また水性媒体法としては、 非酸化性酸性溶液中に5価のバナジウムの化合物を
溶解し、リン酸と反応させと後、生成した可溶性バナジ
ウム−リン複合体の塩を水を加えて沈殿させ、乾燥する
方法(特開昭51−95990)。
バナジウム化合物とリン酸とを反応させてバナジウ
ム−リン複合体を生成させ、リン酸よりも強い酸と接触
させて有効な前駆体のみを回収し、さらに水または他の
溶媒により相Eの可溶成分を抽出除去して純度を向上さ
せる方法(特開昭53−146992)。
5価なバナジウムの化合物を3価のリンの化合物と
接触させて少なくとも50原子%が4価の状態のバナジウ
ムを含有するリン−バナジウム系前駆体を形成させる方
法(特公昭53−2631)。
5価のバナジウムの化合物と鉱酸を含まない無機還
元剤との水性酸化物スラリーを形成し、5価のリンの化
合物を当該スリラーに混合し、スリラー中の水の実質的
蒸発を防ぐように少なくとも120℃で自己発生圧下に加
熱し、次いで水を除去、乾燥する方法(特開昭54−1348
3)。
5価のバナジウムの化合物とリン酸とを、ヒドラジ
ンまたはヒドロキシルアミンの塩酸塩の存在下、水性媒
体中で反応させる方法(特開昭56−45815)。
リン酸およびヒドラジン、ヒドロキシルアミンのよ
うな無機還元剤の存在下、水性媒体中に五酸化バナジウ
ムを溶解して、4価のバナジウムのイオンを含有する均
一溶液とした後、110〜250℃の温度範囲で水熱処理する
方法(特開昭58−151313)。
等が挙げられる。
工業的に前駆体酸化物を製造する場合には、非腐食性
の雰囲気を用い得ること、また可燃物処理・廃棄物処理
等の問題を回避し得ることが好ましい。この観点からは
一般に水性媒体法、特に上記のような方法が工業的に
有利な方法であると考えられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のように工業的実施の観点からは一般に水性媒体
法の方が優れていると考えられるが、得られる結晶性酸
化物の物性の観点からは必ずしもそうではない。即ち本
発明者らの知見によれば、水性媒体法で得られた前駆体
酸化物又はその焼成によって得られる焼成体酸化物は、
有機媒体法によって得られた前駆体酸化物又はその焼成
によって得られる焼成体酸化物と比較して、一般に比表
面積が小さく、また一次粒子径の過大成長等の望ましく
ない現象が起りやすいという問題点を有する。
本発明者らが種々の方法で製造される結晶性酸化物の
結晶性について詳細に検討したところ、水性媒体中で生
成する結晶いずれの場合も高度に発達した板状であり、
これがいくつか塊状に凝集した粒子となっているが、イ
ソブタノール等の有機媒体中で生成する結晶は、特に有
機媒体中の水分濃度が低位に維持される場合には微細薄
片状の結晶子の凝集体となることが判明した。そして本
発明者らの知見によれば、特に物性面で触媒活性と密接
な関係があると考えられる比表面積が有機媒体法では水
性媒体法よりも大きい傾向が常に認められ、触媒活性も
大きい傾向があるのである。
しかしながら他方において有機媒体法には、工業的に
高価な有機溶媒を大量に消費すること、或いは可燃物の
取扱い、腐蝕性の大きい還元生成物の副生、更には結晶
純度の低下等も含めて多くの問題点がある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記した従来法の問題点に鑑み、水性媒
体中での合成法の利点を維持しながらその欠点を改善す
る方法について鋭意検討を重ねた結果、前駆体酸化物の
製造に際して水性媒体中に特定の種結晶を存在させるの
が有効であることを見出して本願各発明に到達した。
即ち本願の第一の発明の要旨は、種結晶としての、水
性媒体中での反応によって合成されかつ微粉砕処理する
ことによって得られた前記表Aに示す主要X線回折ピー
クを有するバナジウム−リン系結晶性酸化物(即ち前駆
体酸化物)の微細結晶であって、平均粒子径が3μm以
下であるものの存在下に、水性媒体中で4価のバナジウ
ムの化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応させ
て前記表Aに示す主要X線回折ピークを有するバナジウ
ム−リン系結晶性酸化物(即ち前駆体酸化物)を生成さ
せることを特徴とするバナジウム−リン系結晶性酸化物
の製造法、に存する。
また本願の第二の発明の要旨は、上記第一の発明によ
って得られた前駆体酸化物を触媒の形状に成形すること
を特徴とするバナジウム−リン系結晶性酸化物含有触媒
の製造法、に存する。
さらに本願の第三の発明の要旨は、上記第一の発明に
よって得られた前駆体酸化物を焼成して前記表Bに示す
主要X線回折ピークを有するるバナジウム−リン系結晶
性酸化物(即ち焼成体酸化物)を生成させることを特徴
とするバナジウム−リン系結晶性酸化物の製造法、に存
する。
さらに本願の第四の発明の要旨は、上記第三の発明に
よって得られた焼成体酸化物を触媒の形状に成形するこ
とを特徴とするバナジウム−リン系結晶性酸化物含有触
媒の製造法、に存する。
以下、本願各発明について詳細に説明する。
本発明方法における前駆体酸化物、即ち前記表Aに示
す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系結晶
性酸化物、の生成は、水性媒体中で4価のバナジウムの
化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応させる水
性媒体法によって行なわれる。
バナジウム原料としては4価の化合物のほかに5価、
3価等の種々の化合物を使用することができる。具体的
には、二酸化バナジウム、五酸化バナジウム、三酸化バ
ナジウム等の酸化物;バナジン酸、メタバナジン酸等の
バナジウムの酸及びそれ等の塩またはエステル類;リン
酸バナジル等のリン酸バナジウム類;シュウ酸バナジ
ル、塩化バナジル等のバナジルイオンを含む有機酸塩又
は鉱酸塩;塩化バナジウム等のハロゲン化バナジウム類
等が挙げられる。実用的には五酸化バナジウム等の5価
のバナジウムの化合物が好適に使用される。この場合は
還元剤を併用して五価のバナジウムの化合物からその場
で4価のバナジウムの化合物を生成させる。還元剤とし
ては例えば三酸化バナジウム等の低原子価のバナジウム
の化合物;亜リン酸、メタ亜リン酸、三酸化リン等の低
原子価のリンの化合物等の低原子価の原料化合物自体の
ほか、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、金属粉等の無
機還元剤;シュウ酸、乳酸、アスコルビン酸、ヒドロキ
ノン等の有機還元剤等が挙げられる。これらのうちでは
ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の非ハロゲン系の無
機還元剤が好ましい。
リン原料としては通常、リン酸、ピロリン酸、トリポ
リリン酸、メタリン酸等のリンの酸類又はそのエステル
類、或いは五酸化リン等の5価のリンの化合物が使用さ
れる。また各種ホスホニウム化合物を併用することもで
きる。5価のバナジウム化合物を原料とする場合には3
価のリン化合物、例えば亜リン酸、三酸化リン等を使用
して酸化還元反応を行なわせ、結果的に4価のバナジウ
ム及び5価のリンが共存する状態に変換してもよい。
水性媒体としては一般に水が使用される。所望により
アルコール、カルボン酸、エーテル、ケトン等の親水性
有機溶媒を併用することもできるが、有機溶媒を多量に
併用することは、前記した水性媒体法の工業的利点を損
うことでもあり、また五酸化バナジウムのような5価の
バナジウムの化合物を還元剤と反応させてその場で4価
のバナジウムの化合物を生成させる場合にはバナジウム
の還元速度を低下させるので、有機溶媒の使用量は50重
量%以下、好ましくは10重量%以下とすべきである。
上記したバナジウム原料、リン原料、及び必要により
還元剤を水性媒体中で混合し、加熱下に反応させて前駆
体酸化物を生成させる。反応の方式は特に限定されない
が、密閉容器中で加熱を行なう水熱処理法が好適であ
る。
さて本発明方法においては、上記の水性媒体法による
前駆体酸化物の生成に際して水性媒体中に、種結晶とし
て、水性媒体中での反応によって合成され、かつ平均粒
子径3μm以下に微粉砕処理することによって得られた
前駆体酸化物の微細結晶を存在させて、前駆体酸化物の
結晶生成過程を調節する。このことによって前記の通り
従来有機媒体中でのみ得られていた微細薄片状に近い微
細結晶の前駆体酸化物を生成させることができる。
なお、水性媒体法において、前記の方法における水
熱処理に際して粉砕された種結晶を添加することも知ら
れているが、該種結晶の好適な形態やその添加効果につ
いては殆ど知られていない。
上記結晶生成過程における上記特定の種結晶の作用機
構は十分には明らかでない。従来、結晶析出を伴う過程
のうち溶解度変化に伴う晶析の過程に目的とする結晶と
同一の結晶構造の種結晶を存在させ、その結晶の周囲に
同じ構造の結晶を成長させる方法が一般的に採用されて
いる。しかしながら本発明が対象としているバナジウム
−リン系結晶性酸化物の生成過程は脱水縮合を伴う複雑
な化学反応の進行する系であり、単なる晶析の過程とは
異なっている。本発明に従って特定の種結晶を存在させ
ることにより、本来極めて複雑なバナジウム−リン系結
晶性酸化物群の中の特定の結晶を生成させて化学的純度
を向上させると共に、得られる結晶の粒子径が極めて小
さく維持され、最終的に得られる結晶性酸化物の形状、
物性、更には触媒活性が向上するという予期せぬ効果が
発現するのである。
本発明方法において前駆体酸化物の生成時に水性媒体
中に存在させる前駆体酸化物の微細結晶は、水性媒体法
で合成された前駆体酸化物を微粉砕処理することによっ
て製造される。該水性媒体法としては前記したような種
々の方法を採用することができるが、それらの中では前
記の方法が好適である。合成された前駆体酸化物の微
粉砕処理の方法も特に限定されず、乾式法、湿式法のい
ずれを採用することもできるが、好適には湿式法を用い
る。粉砕装置としては例えばハンマーミル、ジェットミ
ル、コロイドミル、サンドグラインダー等の適当な機械
的粉砕装置を使用することができる。
微粉砕処理は、従来知られている有機媒体法で製造さ
れる結晶性酸化物を同等の物性を確保するために種結晶
の平均粒子径を3μm以下とするように、好ましくは2
μm以下、更に好ましくは1μm以下、特に好ましくは
0.5μm以下とするように行なう。これを用いて結晶生
成反応を行なう場合には触媒活性が極めて優れた結晶性
酸化物を生成させることができる。
前駆体酸化物を生成させるための、4価のバナジウム
の化合物及び5価のリンの化合物を含有する水性媒体溶
液中に上記前駆体酸化物の微細結晶を存在させる方法も
特に限定されず、水性媒体法で合成された前駆体酸化物
を予め上記のようにして微粉砕処理して微細結晶として
から、例えば水性スラリーの形で、上記水性媒体溶液に
添加してもよいし、また水性媒体法で合成された比較的
粒子径の大きい前駆体酸化物を上記水性媒体溶液に添加
して得られる水性スラリーを上記のようにして微粉砕処
理してその場で該前駆体酸化物の微細結晶を生成させて
もよい。
種結晶としての前駆体酸化物の微細結晶の使用量は生
成させるようとする前駆体酸化物の理論量に対して通常
1〜25wt%程度、好ましくは3〜20wt%程度、更に好ま
しくは5〜10wt%程度である。なお生成させようとする
前駆体酸化物の理論量は仕込んだバナジウム原料の量か
ら100%収率を仮定して計算される。
前記の通り、本発明方法による前駆体酸化物の生成は
好ましくは水熱処理法によって実施される。この4場合
についてより具体的に説明すると次の通りである。即ち
バナジウム原料、リン原料、還元剤等の原料化合物を水
性媒体中で混合し反応させて4価のバナジウムの化合物
及び5価のリンの化合物を含有する水性媒体溶液を製造
する。この水性媒体溶液中のP/V原子比は通常0.90〜1.2
5程度、好適には1.00〜1.20の範囲となるように調整す
る。この水性媒体溶液中に前記のような適当な方法で適
当量の種結晶を存在させて水性スラリーを形成させ、こ
れを加熱して水熱処理を行なう。水熱処理は、好適には
密閉容器中で、通常110〜250℃、好適には140〜200℃の
温度で、通常0.2〜12時間、好適には1〜8時間加熱す
ることにより行なわれる。
上記のようにして水性媒体中で4価のバナジウムの化
合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応させると目
的とする前駆体酸化物の灰青色結晶を含有する水性スラ
リーが得られる。前駆体酸化物は該水性スラリーの蒸発
乾固、加熱面上への滴下乾燥又は噴霧乾燥、或いは該水
性スラリーの過又は遠心分離等によって、固体として
取得することができる。
本発明方法によって得られる前駆体酸化物は、それ自
体を触媒として、或いは触媒の活性成分として、或いは
それらの前駆体として、ブタン、ブテン、1,3−ブタジ
エン等の炭素数4以上の炭化水素の気相酸化による無水
マイレン酸の製造に好適に利用される。
例えば前駆体酸化物自体を、必要により成形助剤を併
用して、ペレットその他の触媒の形状に成形することに
より、固定床触媒として使用することができる。また活
性成分としての前駆体酸化物を担体その他の補助成分と
共に、必要により成形助剤を併用して、ペレットその他
の触媒の形状に成形することにより、固定床触媒として
使用することもできる。このように前駆体酸化物の形の
ままで触媒化した場合、得られた触媒は通常、キルン
型、マッフル炉型等の焼成器又は反応器内で400〜600℃
程度の温度で焼成され、前記表Bに示す主要X線回折ピ
ークを有するバナジウム−リン系結晶性酸化物、即ち焼
成体酸化物の形に変換されることにより活性化されて、
反応に使用される。焼成の雰囲気としては窒素、アルゴ
ン等の不活性ガス;空気;不活性ガスで希釈された空
気;ブタン、ブテン等を含有する空気等が好適に使用さ
れる。なお上記焼成による活性化を反応器外で適当な焼
成炉を用いて行なうこともできる。
上記の前駆体酸化物を焼成すると、前記の通り、焼成
体酸化物が得られる。焼成温度は通常、350〜800℃、好
ましくは400〜600℃である。焼成の雰囲気については前
駆体酸化物含有触媒の焼成について上記したところと同
様である。
得られた焼成体酸化物はそれ自体を触媒として、或い
は触媒の活性成分として、ブタン、ブテン、1,3−ブタ
ジエン等の炭素数4以上の炭化水素の気相酸化による無
水マイレン酸の製造、或いはオレフィンの異性化反応、
オレフィンの水和反応、アルコールの脱水反応、エーテ
ル合成反応、クラッキング反応、パラフィンの骨格異性
化反応、プリンス反応等の固体酸性を利用する反応に好
適に利用される。
例えば焼成体酸化物自体を、必要により成形助剤を併
用して、ペレットその他の触媒の形状に成形することに
より、固定床触媒として使用することができる。また焼
成体酸化物を活性成分として、担体その他の補助成分と
共に、必要により成形助剤を併用して、ペレットその他
の触媒の形状に成形することにより固定床触媒として使
用することもできる。なおこのように焼成体酸化物を含
有する触媒の場合でも上記前駆体酸化物含有触媒の場合
と同様の焼成による活性化を行なってもよい。
本発明方法によって得られる触媒を使用して炭化水素
を気相酸化することにより無水マレイン酸を製造するこ
とができる。原料は炭素数4以上の炭化水素であり、好
ましくは炭素数4の直鎖状脂肪族炭化水素である。具体
的には例えばn−ブタン、1−ブテン、2−ブテン、1,
3−ブタジエン又はそれ等の混合物が挙げられる。炭素
数4の分岐鎖状脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、イ
ソブチレンからもより低収率ではあるが、無水マイレン
酸が生成する。最も経済的に有利な原料はn−ブタン及
びブテン類であり、通常、天然ガスからの分離或いはナ
フサクラッキング又はFCC反応によって得られるC4留分
として、また希望すればこれからブタジエンやイソブチ
レンを抽出した残りの混合物として使用される。これら
の場合には通常、炭素数3又は5の炭化水素類も不純物
として混入するが、特に問題はない、これらの原料炭化
水素は、上記触媒の存在下に、気相で接触酸化されて無
水マイレン酸を生成する。酸化剤としては分子状酸素含
有ガス、通常は空気が使用される。原料炭化水素は、空
気中の濃度として通常0.1〜8%(vol)、より好適には
1.0〜4.5%程度の範囲となるような割合で、触媒層に空
気と一緒にまたは別々に導入されて酸化される。反応温
度は通常300〜550℃、より好適には350〜500℃の範囲で
あり、反応圧力は通常、常圧以上、より好適には0.1〜1
0kg/cm2Gの範囲である。
〔実施例〕
次に実施例により本発明の具体的態様をより詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例によって限定されるものではない。
実施例−1 (1) 種結晶用の前駆体酸化物の合成 容積500mlのビーカーに水100mlを入れ、その中に85%
H3PO424.22gと98%抱水ヒドラジン2.58gとを添加し、撹
拌しながら60〜80℃に加温した。99%V2O518.20gを上記
溶液の中へ発泡に注意しながら小量ずつ加え、全量を完
全に溶解した。この溶液を全量が98gになるように濃縮
した後、フッ素樹脂製ビーカーに移し、そのまま密閉加
圧容器中で150℃で8時間加熱して前駆体酸化物のスラ
リーを生成させた。冷却後、スラリーを約150℃に加熱
したホットプレート上に滴下して乾燥し、前駆体酸化物
の乾燥粉末を得た。
得られた前駆体酸化物は前記表Aに示す主要X線回折
ピークを有し、その粒子径は約3μmであった。
(2) 種結晶存在下での前駆体酸化物の製造 容積500mlのビーカーに水100mlを入れ、その中に85%
H3PO424.22gと98%抱水ヒドラジン2.58gとを添加し、撹
拌しながら60〜80℃に加温した。99%V2O518.20gを上記
溶液の中へ発泡に注意しながら小量ずつ加え、全量を完
全に溶解した。この溶液を全量が98gになるように濃縮
した。
これに種結晶として上記(1)で合成した前駆体酸化
物3.4g(生成させようとする前駆体酸化物の理論量の10
%分)を加え、混合し水性スラリーを形成させた。この
スラリーを湿式粉砕機に仕込み常温で3時間の微粉砕処
理を行なった。微粉砕処理後にスラリー中の種結晶の粒
度を測定したところ平均粒子径が約0.2μmであった。
微粉砕処理後のスラリーを容積100mlのフッ素樹脂製
ビーカーに移し、この容器ごとステンレス製加圧容器に
入れて密閉し、150℃に加熱して8時間保持し、前駆体
酸化物を生成させた。冷却後、スラリーを取り出し約15
0℃に加熱したホットプレート上に滴下して乾燥し前駆
体酸化物の粉末を得た。得られた前駆体酸化物は前記表
Aに示す主要X線回折ピークを有し、その形状は、平均
粒子径1μm以下の微細な薄片状結晶であった。
(3) 焼成体酸化物の製造 上記(2)で得られた前駆体酸化物を石英製の焼成管
に入れ、O28%/N292%の混合ガス中で480℃において6
分間焼成し、焼成体酸化物に変換した。得られた焼成体
酸化物は前記表Bに示す主要X線回折ピークを有し、そ
の比表面積は16.1m2/gであった。
(4) 触媒の製造 上記(3)で得られた焼成体酸化物を打錠成型(7mm
φ×2mm)し、次いで破砕して14〜24メッシュの粒径の
ものを取り出して触媒(触媒−1)とした。
比較例−1 種結晶を使用しなかったこと以外は実施例−1と同様
に操作して前駆体酸化物及び焼成体酸化物を得た。前駆
体酸化物の粒径は2〜3μmであり、焼成体酸化物の比
表面積は5.3m2/gであった。焼成体酸化物から実施例−
1と同様にして触媒(比較触媒−1)を製造した。
比較例−2 種結晶を加えた後のスラリーに対して湿式粉砕機によ
る微粉砕処理を行なわなかったこと以外は実施例−1と
同様に操作して前駆体酸化物及び焼成体酸化物を得た。
前駆体酸化物の粒径は約3μmであり、焼成体酸化物の
粒径も同程度であった。焼成体酸化物の比表面積は5.6m
2/gであった。焼成体酸化物から実施例−1と同様にし
て触媒(比較触媒−2)を製造した。
反応例−1 外径6mmφのガラス管製固定床反応器に触媒1mlを充填
した。反応管を反応温度に保持し、これに反応ガスを供
給して反応を行なった。生成物は水に吸収し、吸光度に
より生成物であるマイレン酸を定量し、また、廃ガスを
ガスクロマトグラフにより分析した。反応ガスとしては
4%ブタン/空気混合ガスを用い、GHSV=1,000hr-1
反応させた。触媒−1及び比較触媒−1及び2を用いて
反応させた結果は次の表の通りであった。なお最適反応
温度とは無水マイレン酸収率が最大となる反応温度であ
る。
〔発明の効果〕 本発明方法によって製造されるバナジウム−リン系結
晶性酸化物又はそれを含有する触媒は、触媒の前駆体又
は活性成分として、或いは触媒として、炭素数4以上の
炭化水素の気相酸化による無水マイレン酸の製造に用い
ることができ、活性及び選択性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮坂 基之 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化 成株式会社水島工場内 (56)参考文献 特開 昭58−194726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 25/37

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】種結晶としての、水性媒体中での反応によ
    って合成されかつ微粉砕処理することによって得られた
    下記表A: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物の微細結晶であって、平均粒子径が3μm
    以下であるものの存在下に、水性媒体中で4価のバナジ
    ウムの化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応さ
    せて上記表Aに示す主要X線回折ピークを有するバナジ
    ウム−リン系結晶性酸化物を生成させることを特徴とす
    るバナジウム−リン系結晶性酸化物の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のバナジウム−リン系結晶
    性酸化物の製造法において、該4価のバナジウムの化合
    物が5価のバナジウムの化合物と還元剤との反応により
    その場で生成させられたものであることを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】種結晶としての、水性媒体中での反応によ
    って合成されかつ微粉砕処理することによって得られた
    下記表A: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物の微細結晶であって、平均粒子径が3μm
    以下であるものの存在下に、水性媒体中で4価のバナジ
    ウムの化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応さ
    せて上記表Aに示す主要X線回折ピークを有するバナジ
    ウム−リン系結晶性酸化物を生成させること、並びに該
    結晶性酸化物を触媒の形状に成形することを特徴するバ
    ナジウム−リン系結晶性酸化物含有触媒の製造法。
  4. 【請求項4】種結晶としての、水性媒体中での反応によ
    って合成されかつ微粉砕処理することによって得られた
    下記表A: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物の微細結晶であって、平均粒子径が3μm
    以下であるものの存在下に、水性媒体中で4価のバナジ
    ウムの化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応さ
    せて上記表Aに示す主要X線回折ピークを有するバナジ
    ウム−リン系結晶性酸化物を生成させること、並びに該
    結晶性酸化物を焼成して下記表B: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物を生成させることを特徴とするバナジウム
    −リン系結晶性酸化物の製造法。
  5. 【請求項5】種結晶としての、水性媒体中での反応によ
    って合成されかつ微粉砕処理することによって得られた
    下記表A: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物の微細結晶であって、平均粒子径が3μm
    以下であるものの存在下に、水性媒体中で4価のバナジ
    ウムの化合物及び5価のリンの化合物を加熱下に反応さ
    せて上記表Aに示す主要X線回折ピークを有するバナジ
    ウム−リン系結晶性酸化物を生成させること、該結晶性
    酸化物を焼成して下記表B: に示す主要X線回折ピークを有するバナジウム−リン系
    結晶性酸化物を生成させること、並びに該結晶性酸化物
    を触媒の形状に成形することを特徴とするバナジウム−
    リン系結晶性酸化物含有触媒の製造法。
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