JP2777543B2 - 硬質炭素被膜基板及びその形成方法 - Google Patents

硬質炭素被膜基板及びその形成方法

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JP2777543B2
JP2777543B2 JP6119222A JP11922294A JP2777543B2 JP 2777543 B2 JP2777543 B2 JP 2777543B2 JP 6119222 A JP6119222 A JP 6119222A JP 11922294 A JP11922294 A JP 11922294A JP 2777543 B2 JP2777543 B2 JP 2777543B2
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洋一 堂本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気かみそり等の刃物
などに用いることができる、硬質炭素被膜を有した基板
及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
セラミック基板やシリコン基板などの基板とダイヤモン
ド状被膜との密着性を向上させるため、基板とダイヤモ
ンド状被膜との間に中間層を形成させることが提案され
ている。特開平1−317197号公報では、プラズマ
CVD法により基板上にシリコンを主成分とする中間層
を形成し、この中間層の上にダイヤモンド状被膜を形成
する技術が開示されている。このような中間層を設ける
ことにより、基板上に直接ダイヤモンド状被膜を形成し
た場合に比べ、基板に対するダイヤモンド状被膜の密着
性を向上させることができる。
【0003】しかしながら、電気かみそり等の刃物とし
て用いられるニッケル(Ni)、アルミニウム(A
l)、及びステンレス鋼などの基板上にダイヤモンド状
被膜を形成する場合については中間層の形成が検討され
ていない。
【0004】本発明の目的は、NiまたはAlを主成分
とする金属もしくは合金、またはステンレス鋼からなる
基板の上に硬質炭素被膜を形成した硬質炭素被膜基板で
あって、基板と硬質炭素被膜との密着性に優れた硬質炭
素被膜基板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明における硬質炭素
被膜の概念は、結晶質のダイヤモンド及び非晶質のダイ
ヤモンド状被膜を含むものである。
【0006】本発明に従う硬質炭素被膜基板は、Niま
たはAlを主成分とする金属もしくは合金、またはステ
ンレス鋼からなる基板と、基板上に形成されるSiまた
はGeを主成分とする中間層と、中間層上に形成される
硬質炭素被膜とを備えている。
【0007】本発明に従えば、基板とダイヤモンド状被
膜の間にSiまたはGeを主成分とする中間層が設けら
れる。このような中間層により、基板とダイヤモンド状
被膜の密着性が高められる。
【0008】本発明において、中間層は、組成比率が膜
厚方向に傾斜した構造を有する、SiまたはGeと、炭
素、窒素、または酸素の混合層であり、このような混合
層において、基板に近い部分ではSiまたはGeの含有
量が多く、硬質炭素被膜に近い部分では炭素、窒素、ま
たは酸素の含有量が多くなっている。
【0009】また、本発明の硬質炭素被膜基板を電気シ
ェーバーの内刃として用いる場合には、中間層の膜厚が
50〜8000Åの範囲内であることが好ましい。ま
た、本発明の硬質炭素被膜基板を電気シェーバーの外刃
として用いる場合には、中間層の膜厚が50〜4000
Åの範囲内であることが好ましい。中間層の膜厚が薄す
ぎると密着性向上の効果が少なく、上記範囲より厚くし
てもそれ以上の効果は認められない。
【0010】本発明に従う硬質炭素被膜基板の形成方法
は、不活性ガスのイオン照射により、中間層を構成する
材料原子をスパッタリングすることにより、真空チャン
バ内に配置された基板上に中間層を形成する工程と、炭
素を含む反応ガスを真空チャンバ内に供給してプラズマ
化し、該プラズマを前記中間層に向けて放射することに
よって、該中間層上に硬質炭素被膜を形成する工程とを
備えている。
【0011】本発明に従う形成方法の1つの実施態様に
おいては、供給量が漸次増加するように炭素、窒素、ま
たは酸素を含む反応ガスを真空チャンバ内に供給してプ
ラズマ化し、該プラズマを真空チャンバ内に配置された
基板に向けて放射するとともに、不活性ガスのイオン照
射量を漸次低減させながらイオン照射し中間層を構成す
る材料原子をスパッタリングすることにより基板上に前
記材料原子と炭素、窒素、または酸素の混合層からなる
中間層を形成する工程と、炭素を含む反応ガスを真空チ
ャンバ内に供給してプラズマ化し、該プラズマを前記中
間層に向けて放射することによって、該中間層上に硬質
炭素被膜を形成する工程とを備えている。上記方法によ
れば、傾斜構造を有する中間層を形成することができ
る。
【0012】本発明に従う硬質炭素被膜基板の他の形成
方法は、中間層を構成する材料原子を含むガスを真空チ
ャンバ内に供給してプラズマ化し、該プラズマを基板上
に向けて放射することによって、基板上に中間層を形成
する工程と、炭素を含む反応ガスを真空チャンバ内に供
給してプラズマ化し、該プラズマを中間層に向けて放射
することによって、該中間層上に硬質炭素被膜を形成す
る工程とを備えている。
【0013】
【作用】本発明に従い、基板に近い部分ではSiの含有
量が多く、硬質炭素被膜に近い部分では炭素、窒素及び
酸素のうちの少なくとも1種の元素の含有量が多くなる
傾斜構造を有する中間層、または基板に近い部分ではG
eの含有量が多く、硬質炭素被膜に近い部分では炭素、
窒素及び酸素のうちの少なくとも1種の元素の含有量が
多くなる傾斜構造を有する中間層を、基板と硬質炭素被
膜の間に形成することにより、硬質炭素被膜中の応力を
緩和することができ、基板と硬質炭素被膜の密着性を高
めることができる。中間層の存在により、基板と硬質炭
素被膜との熱膨張係数の差により生じていた熱応力を緩
和させることができるため、硬質炭素被膜中の応力を緩
和させることができる。
【0014】
【実施例】図1は、本発明における硬質炭素被膜形成の
ための装置の一例を示す概略断面図である。図1を参照
して、真空チャンバ8には、プラズマ発生室4が設けら
れている。プラズマ発生室4には、導波管2の一端が取
り付けられており、導波管2の他端には、マイクロ波供
給手段1が設けられている。マイクロ波供給手段1で発
生したマイクロ波は、導波管2及びマイクロ波導入窓3
を通って、プラズマ発生室4に導かれる。プラズマ発生
室4には、プラズマ発生室4内にアルゴン(Ar)ガス
などの放電ガスを導入させるための放電ガス導入管5が
設けられている。またプラズマ発生室4の周囲には、プ
ラズマ磁界発生装置6が設けられている。マイクロ波に
よる高周波磁界と、プラズマ磁界発生装置6からの磁界
を作用させることにより、プラズマ発生室4内に高密度
のプラズマが形成される。
【0015】真空チャンバ8内には筒状の基板ホルダ1
2が設けられいる。この筒状の基板ホルダ12は、真
空チャンバ8の壁面に対し垂直に設けられた軸(図示せ
ず)のまわりに回転自在に設けられている。基板ホルダ
12の周面には、複数の基板13が等しい間隔で装着さ
れている。なお、本実施例では、基板13として、ニッ
ケル(Ni)基板を用いており、基板ホルダ12の周面
に24個装着している。基板ホルダ12には、高周波電
源10が接続されている。
【0016】基板ホルダ12の周囲には、金属製の筒状
のシールドカバー14が所定の距離隔てて設けられてい
る。このシールドカバー14は、接地電極に接続されて
いる。このシールドカバー14は、被膜を形成するとき
に、基板ホルダ12に印加されるRF電圧によって被膜
形成箇所以外の基板ホルダ12と真空チャンバ8との間
で放電が発生するのを防止するために設けられている。
基板ホルダ12とシールドカバー14との間の間隙は、
気体分子の平均自由行程以下の距離となるように配置さ
れている。気体分子の平均自由行程は、何らかの原因で
発生したイオン及び電子が電界により加速され、衝突せ
ずに移動できる平均距離と同じあるいはそれ以下の距離
である。従って、基板ホルダ12とシールドカバー14
との間隙を気体分子の平均自由行程以下にすることによ
り、イオン及び電子が気体分子と衝突する確率を小さく
し、連鎖的に電離が進行するのを防止している。
【0017】基板ホルダ12とシールドカバー14との
間隙は、特に気体分子の平均自由行程の1/10以下の
距離にすることが好ましい。本実施例では、基板ホルダ
12とシールドカバー14との間隙を気体分子の平均自
由行程の1/10以下である約5mmとしている。
【0018】シールドカバー14には、開口部15が形
成されている。この開口部15を通って、プラズマ発生
室4から引き出されたプラズマが基板ホルダ12に装着
された基板13に放射されるようになっている。真空チ
ャンバ8内には、反応ガス導入管16が設けられてい
る。この反応ガス導入管16の先端は、開口部15の上
方に位置する。図2は、この反応ガス導入管16の先端
部分近傍を示す平面図である。図2を参照して、反応ガ
ス導入管16は、外部から真空チャンバ内にCH 4 ガス
を導入するガス導入部16aと、このガス導入部16a
と垂直方向に接続されたガス放出部16bとから構成さ
れている。ガス放出部16bは、基板ホルダ12の回転
方向Aに対して垂直方向に配置され、かつ開口部15の
上方の回転方向の上流側に位置するように設けられてい
る。ガス放出部16bには、下方に向けて約45度の方
向に複数の孔21が形成されている。本実施例では、8
個の孔21が形成されている。孔21の間隔は、中央か
ら両側に向かうに従い徐々に狭くなるように形成されて
いる。このような間隔で孔21を形成することにより、
ガス導入部16aから導入されたCH4 ガスがそれぞれ
の孔21からほぼ均等に放出される。
【0019】第1開口部15の反対側には、第2開口部
43が形成されている。第2開口部43の下方には、中
間層を構成する材料原子からなるターゲット46が設け
られている。またターゲット46の近傍には、ターゲッ
ト46をスパッタするため、不活性ガスのイオンをター
ゲット46に放射するイオンガン47が設けられてい
る。本実施例では、不活性ガスとしてArガスを用いて
いる。本実施例においては、ターゲット46及びイオン
ガン47により、中間層形成手段が構成されている。タ
ーゲット46及びイオンガン47により第2開口部43
を介して、基板13上に中間層を構成する材料原子が放
射される。
【0020】以下、中間層として単一の元素から中間層
を形成し、その中間層の上にダイヤモンド状被膜を形成
する実施例について説明する。
【0021】まず、真空チャンバ8内を10-5〜10-7
Torrに排気して、基板ホルダ12を約10rpmの
速度で回転させる。次に、イオンガン47にArガスを
供給して、Arイオンを取り出し、これをSiからなる
ターゲット46の表面に放射する。このときのArイオ
ンの加速電圧は900eV、イオン電流密度は0.4m
A/cm2 に設定した。以上の工程を約10分間行い、
基板13の表面に膜厚300ÅのSiからなる中間層を
形成した。
【0022】次に、イオンガン47からのArイオンの
放射を止めた後、ECRプラズマ発生装置の放電ガス導
入管5からArガスを5.7×10-4Torrで供給す
るとともに、マイクロ波供給手段1から2.45GH
z、100Wのマイクロ波を供給して、プラズマ発生室
4内に形成されたArプラズマを基板13の表面に放射
する。これと同時に、基板13に発生する自己バイアス
が−50Vとなるように、高周波電源10から13.5
6MHzのRF電圧を基板ホルダ12に印加し、反応ガ
ス導入管16からCH4 ガスを1.3×10-3Torr
で供給する。
【0023】以上の工程を約15分間行い、基板13上
に形成した中間層の上に膜厚1200Åのダイヤモンド
状被膜を形成した。
【0024】以上の2つの工程の結果、基板13の表面
にSiからなる中間層を形成し、この中間層上にダイヤ
モンド状被膜を形成した積層薄膜が得られた。このよう
な中間層の形成により、ダイヤモンド状被膜中の応力を
緩和させることができ、基板とダイヤモンド被膜の密着
性を高めることができる。中間層の存在により、基板と
ダイヤモンド状被膜との熱膨張係数の差により生じてい
た熱応力を緩和させることができるため、ダイヤモンド
状被膜中の応力を緩和させることができるものと考えら
れる。また、中間層形成の際、Arイオンがターゲット
のみならず基板13にも照射されるため、より密着性の
高い中間層が形成される。
【0025】以下、中間層として、材料原子と炭素の混
合層を形成し、この中間層上にダイヤモンド状被膜を形
成する実施例について説明する。この実施例でも、図1
に示す装置と同様の装置を用いる。
【0026】まず、基板ホルダ12の周面に24個の基
板13を等しい間隔で装着する。真空チャンバ8内を1
-5〜10-7Torrに排気して、基板ホルダ12を約
10rpmの速度で回転させる。
【0027】次に、ECRプラズマ発生装置の放電ガス
導入管5からArガスを5.7×10-4Torrで供給
するとともに、マイクロ波供給手段1から2.45GH
z、100Wのマイクロ波を供給して、プラズマ発生室
4内に形成されたArプラズマを基板13の表面に放射
する。これと同時に、基板13に発生する自己バイアス
が−50Vとなるように、高周波電源10から13.5
6MHzのRF電圧を基板ホルダ12に印加し、反応ガ
ス導入管16からCH4 ガスを供給する。このときのC
4 ガスの供給量を、図3に示すように、時間経過とと
もに漸次増加させ、10分経過時に100sccm、す
なわち1.3×10-3Torrとなるように設定する。
【0028】上記ECRプラズマ発生装置よる被膜形成
処理と同時に、ターゲット46の表面にイオンガン47
からArイオンを放射する。このときのArイオンの加
速電圧を900eV、イオン電流密度を0.4mA/c
2 に設定する。またイオン電流密度を、図4に示すよ
うに、時間経過につれて漸次減少させ、10分経過後に
0mA/cm2 になるように設定する。
【0029】以上のように、第1開口部15におけるプ
ラズマCVD法による炭素被膜形成と、第2開口部43
におけるSiのスパッタリングを同時に行うことによ
り、中間層としてSiとCが混合した中間層が形成され
る。本実施例では、以上の工程を約10分間行うことに
より、基板13の表面に合計膜厚300ÅのSiとCの
混合層を形成した。図3及び図4に示すように、時間経
過とともに、Siの量を少なくし、炭素被膜形成量を多
くしている。従って、この中間層では、基板13の表面
から離れるに従いSiの含有量が漸次減少し、Cの含有
量が漸次増加する傾斜構造となっている。
【0030】次に、このように形成した中間層の上に、
ダイヤモンド状被膜を形成した。反応ガス導入管16か
ら供給するCH4 ガスの供給分圧を1.3×10-3To
rrと一定にし、上記工程におけるECRプラズマ発生
装置による被膜形成処理を引き続き行う。この工程を約
15分間行い、基板13の中間層の上に膜厚1200Å
のダイヤモンド状被膜を形成した。
【0031】以上の結果、基板上に、傾斜構造を有する
SiとCからなる中間層とダイヤモンド状被膜が積層さ
れた積層被膜が形成された。このような傾斜構造を有す
る中間層とすることにより、上記単一の元素の中間層よ
りも、基板とダイヤモンド状被膜の密着性を高めること
ができる。
【0032】次に、Siを主成分とする中間層の膜厚を
変化させてNi基板上に形成しダイヤモンド状被膜を形
成する実施例について説明する。真空チャンバ内を10
-5〜10-7Torrに排気し、基板ホルダを約10rp
mの速度で回転させる。基板ホルダには24個のNi基
板を等しい間隔で装着した。イオンガンにArガスを供
給して、Arイオンをターゲットの表面に放射する。こ
のときのArイオンの加速電圧は900eVとし、イオ
ン電流密度は0.4A/cm2 に設定した。このときの
スパッタリングされたSiの基板上への蒸着速度は30
Å/分であった。
【0033】Siスパッタリングの工程の時間を変化さ
せて、Siの中間層の膜厚を、30Å、50Å、100
Å、及び500Åと変化させた(実施例1)。以上のよ
うにして得られた膜厚の異なる中間層の上に、上記実施
例と同様にして、膜厚1200Åのダイヤモンド状被膜
を形成した。
【0034】以上のようにして得られたダイヤモンド状
被膜について、密着性の評価試験を行った。密着性の評
価は、ビッカース圧子を用いた一定荷重(荷重=1k
g)の押し込み試験により行った。サンプル数を50個
とし、Ni基板上のダイヤモンド状被膜に剥離が発生し
た個数を数えて評価した。
【0035】また比較として、中間層を形成せずNi基
板上に直接ダイヤモンド状被膜を形成した(比較例)。
この比較例についても同様に密着性を評価した。表1
は、これらの結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、中間層の膜厚が
50Åより薄い場合には剥離が発生するのに対し、膜厚
が50Å以上になると剥離が認められなかった。
【0038】本発明の硬質炭素被膜基板を電気シェーバ
ーの外刃として用いる場合には、中間層の膜厚は500
0Å程度までで充分であると考えられる。それ以上の膜
厚にしても密着性の向上は変化しない。従って、本発明
において中間層としてSiを主成分とする中間層を用い
る場合には、4000Å程度で充分であると考えられ
る。またダイヤモンド状薄膜の膜厚も、5000Å程度
で充分であると考えられる。ダイヤモンド状薄膜の膜厚
が5000Å以上になると、内部応力が発生し易くなり
基板が変形するおそれがある。
【0039】次に、中間層としてSiと炭素との混合層
を形成する実施例について説明する。Siと炭素との混
合層は、上述のSiとCの混合層を中間層として形成す
る実施例と同様にして形成した。中間層の膜厚は、30
Å、50Å、100Å、500Åに変化させた(実施例
2)。またダイヤモンド状被膜は膜厚1200Åとなる
ように形成した。以上のようにして得られたサンプルに
ついて、ダイヤモンド状被膜の密着性を評価した。密着
性の評価は、上記と同様にして行った。
【0040】表2はこの結果を示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、中間層としてS
iC層を形成した場合、膜厚が50Åより薄い場合は、
剥離が発生しているのに対し、膜厚が50Å以上になる
と剥離が認められなくなった。従って、中間層としてS
iC層を形成する場合にも、中間層の膜厚は50Å以上
であることが好ましい。
【0043】次に、図1に示すガス導入管16から、窒
素を含む反応ガスとして窒素ガスを真空チャンバ8内に
導入することにより、中間層としてSiと窒素との混合
層を形成させた。窒素ガスの供給分圧は1.8×10-4
Torrとした。その他の条件は、上記実施例2と同様
にして、この中間層の上にダイヤモンド状被膜を形成し
た。この結果、表2に示すのと同様の結果が得られた。
【0044】また、中間層として、Siと酸素の混合層
を形成し、この中間層の上にダイヤモンド状被膜を形成
した。酸素を含む反応ガスとしては、酸素ガスを用い、
ガス供給分圧は1.8×10-4Torrとした。その他
の条件は上記実施例2と同様にして行った。この結果、
表2に示すのと同様の結果が得られた。
【0045】次に、Siに代えてGeを用い、上記実施
例1及び2と同様にして評価した結果、表1及び表2と
ほぼ同様の結果が得られた。上記実施例では、中間層を
スパッタリングにより形成しているが、本発明では中間
層をプラズマCVD法により形成してもよい。このよう
な場合、反応ガス導入管16から中間層を構成する材料
原子を含むガスを真空チャンバ8内に供給して、プラズ
マ化し、このプラズマを基板13上に向けて放射するこ
とによって基板上に中間層を形成する。
【0046】上記実施例では、プラズマ発生手段として
ECRプラズマ発生装置を例にして説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、例えば高周波プラズ
マCVD装置、DCプラズマCVD装置などその他のプ
ラズマCVD装置を用いることができる。
【0047】
【発明の効果】本発明に従い、基板に近い部分ではSi
の含有量が多く、硬質炭素被膜に近い部分では炭素、窒
素及び酸素のうちの少なくとも1種の元素の含有量が多
くなる傾斜構造を有する中間層、または基板に近い部分
ではGeの元素の含有量が多く、硬質炭素被膜に近い部
分では炭素、窒素及び酸素のうちの少なくとも1種の含
有量が多くなる傾斜構造を有する中間層を形成すること
により、基板と硬質炭素被膜の密着性を向上させること
ができる。従って、硬質炭素被膜の剥離発生を低減させ
た硬質炭素被膜基板を得ることができる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例における硬質炭素被膜形
成装置を示す概略断面図。
【図2】図1に示す装置における反応ガス導入管の先端
部分近傍を示す平面図。
【図3】本発明に従う実施例における傾斜構造を有する
中間層を形成する際の成膜時間とCH4 流量との関係を
示す図。
【図4】本発明に従う実施例における傾斜構造を有する
中間層を形成する場合の成膜時間とイオン電流密度との
関係を示す図。
【符号の説明】
1…マイクロ波供給手段 2…導波管 3…マイクロ波導入窓 4…プラズマ発生室 5…放電ガス導入管 6…磁界発生手段 8…真空チャンバ 10…高周波電源 12…基板ホルダ 13…基板 14…シールドカバー 15…第1開口部 16…反応ガス導入管 43…第2開口部 46…ターゲット 47…イオンガン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C30B 29/04 C30B 29/04 X (72)発明者 木山 精一 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−132779(JP,A) 特開 昭64−62457(JP,A) 特開 昭57−119362(JP,A) 特開 平4−333577(JP,A) 特開 昭63−286576(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C23C 14/34 C30B 29/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NiまたはAlを主成分とする金属もし
    くは合金、またはステンレス鋼からなる基板と、 前記基板上に形成されるSiを主成分とする中間層と、 前記中間層上に形成される硬質炭素被膜とを備え 前記中間層が、組成比率が膜厚方向に傾斜した構造を有
    するSiと炭素、窒素及び酸素のうちの少なくとも1種
    の元素との混合層であり、該混合層において、基板に近
    い部分ではSiの含有量が多く、硬質炭素被膜に近い部
    分では、炭素、窒素及び酸素のうちの少なくとも1種の
    元素の含有量が多くなっている 硬質炭素被膜基板。
  2. 【請求項2】 NiまたはAlを主成分とする金属もし
    くは合金、またはステンレス鋼からなる基板と、 前記基板上に形成されるGeを主成分とする中間層と、 前記中間層上に形成される硬質炭素被膜とを備え 前記中間層が、組成比率が膜厚方向に傾斜した構造を有
    するGeと炭素、窒素及び酸素のうちの少なくとも1種
    の元素との混合層であり、該混合層において、基板に近
    い部分ではGeの含有量が多く、硬質炭素被膜に近い部
    分では、炭素、窒素及び酸素のうちの少なくとも1種の
    元素の含有量が多くなっている 硬質炭素被膜基板。
  3. 【請求項3】 前記中間層の膜厚が50〜8000Åで
    ある請求項1またはに記載の硬質炭素被膜基板。
  4. 【請求項4】 前記中間層の膜厚が50〜4000Åで
    ある請求項1またはに記載の硬質炭素被膜基板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬
    質炭素被膜基板を形成する方法であって、 不活性ガスのイオン照射により、中間層を構成する材料
    原子をスパッタリングすることにより、真空チャンバ内
    に配置された基板上に中間層を形成する工程と、 炭素を含む反応ガスを真空チャンバ内に供給してプラズ
    マ化し、該プラズマを前記中間層に向けて放射すること
    によって、該中間層上に硬質炭素被膜を形成する工程と
    を備える硬質炭素被膜基板の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬
    質炭素被膜基板を形成する方法であって、 供給量が漸次増加するように炭素、窒素、または酸素を
    含む反応ガスを真空チャンバ内に供給してプラズマ化
    し、該プラズマを真空チャンバ内に配置された基板に向
    けて放射するとともに、不活性ガスのイオン照射量を漸
    次低減させながらイオン照射し中間層を構成する材料原
    子をスパッタリングすることにより基板上に前記材料原
    子と炭素、窒素、または酸素の混合層からなる中間層を
    形成する工程と、 炭素を含む反応ガスを真空チャンバ内に供給してプラズ
    マ化し、該プラズマを前記中間層に向けて放射すること
    によって、該中間層上に硬質炭素被膜を形成する工程と
    を備える硬質炭素被膜基板の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬
    質炭素被膜基板を形成する方法であって、 中間層を構成する材料原子を含むガスを真空チャンバ内
    に供給してプラズマ化し、該プラズマを基板上に向けて
    放射することによって、基板上に中間層を形成する工程
    と、 炭素を含むガスを真空チャンバ内に供給してプラズマ化
    し、該プラズマを前記中間層に向けて放射することによ
    って、該中間層上に硬質炭素被膜を形成する工程とを備
    える硬質炭素被膜基板の形成方法。
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