JP2777468B2 - 転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材 - Google Patents

転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材

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JP2777468B2 JP22057690A JP22057690A JP2777468B2 JP 2777468 B2 JP2777468 B2 JP 2777468B2 JP 22057690 A JP22057690 A JP 22057690A JP 22057690 A JP22057690 A JP 22057690A JP 2777468 B2 JP2777468 B2 JP 2777468B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、各種機械および輸送機等の摩耗部に使用さ
れる転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材に関するも
のである。
(従来の技術) 各種金型、機械の摩耗部には、従来から機械構造用炭
素鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン
鋼などに、浸炭、焼入れ焼戻し処理あるいは窒化処理ま
たは軟窒化処理などを施した鋼材が汎用されており、良
好な耐摩耗性を発揮している。しかし、これらの鋼材は
比重が大きく軽量化の動きには、対応が困難である。
軽量化の動きに対応できる素材として、チタン及びチ
タン合金並びにアルミ及びアルミ合金が注目され始めて
いる。チタン及びチタン合金並びにアルミ及びアルミ合
金は、その優れた耐蝕性、高温比強度が大きいことか
ら、これまで、各種化学工業用および航空、宇宙用輸送
機の各種部材として広く使用されてきた。
近年、自動車初め、各種輸送機の高級化の要求が増大
するにつれて、快適走行、安全走行等機能アップを満足
させるために各種機能部品の装着を余儀なくされてい
る。それに伴い、車体重量の増加の問題が派生してき
た。
一方、燃費の低減に対する要求は依然として強く、こ
れらの問題を併せて解決するために、これまでの鉄鋼材
料に替わって、チタン及びチタン合金並びにアルミ及び
アルミ合金の採用が検討され始めている。
しかし、チタン及びチタン合金並びにアルミ及びアル
ミ合金は、そのままでは耐焼付性、耐摩耗性に極めて劣
ることが知られており、これまで、機械の摺動部材また
は軸材として、使用するために、電気メッキ、無電解メ
ッキ、気相メッキ、ガス窒化および溶射などの表面処理
が試みられている。
このうち、電気メッキ、無電解メッキ等のメッキ手法
が採用できれば、最も簡便にしかも低コストで部材を提
供することができる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、水溶液を用いる電気メッキ、無電解メ
ッキでは、チタン及びチタン合金並びにアルミ及びアル
ミ合金は表面に強固な酸化皮膜を形成するため、メッキ
層の良好な密着性が得られない。
また、気相メッキおよびガス窒化処理では、通常5μ
m程度の硬質皮膜しか得られず、高面圧下の摺動摩耗や
転動摩耗に耐えることが不可能である。
さらに、溶射皮膜は、転動摩耗では高面圧のため、こ
れに耐え得る十分な強度を有する皮膜が得られ難いなど
の理由で、何れの表面処理方法ともチタン及びチタン合
金並びにアルミ及びアルミ合金に十分に耐摩耗性を付与
することができない。
例えば、第4図に示すような軸材を例にとると、軸材
のボールベアリングとロールベアリングの接触部では、
総花的な耐摩耗性ではなく、摺動摩耗とともに転動摩耗
特性が要求される。すなわち、この軸材の点接触部に
は、特に耐転動摩耗性が要求され、数100kgf/mm2もの最
大接触応力=高面圧がかかるとともに、材料の表面から
数10〜数100μmで最大せん断応力が発生し、また、こ
の応力が繰り返しかかるために、材料に疲れ亀裂が発生
しフレーキングに至ることがこの種転動摩耗の最大の特
徴である。したがって、このような用途に対し、通常高
耐摩耗性の材料として周知汎用されるようなWC、TiN等
のセラミック硬質材料では耐摺動摩耗には優れるものの
靭性に乏しく、耐転動摩耗性では劣るものである。
そこで、本発明者らは軽量化の動きに対応すべく、チ
タン及びチタン合金並びにアルミ及びアルミ合金を母材
とした軽くて耐摩耗性に優れた複合材を提案するもので
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記に説明した表面処理を施したチタン及
びチタン合金並びにアルミ及びアルミ合金の耐摩耗性の
問題点に鑑み、本発明者らが鋭意研究を行い、検討を重
ねた結果完成されたもので、その第1発明は、表面をRa
0.5μm以上でPPI50が130以上に粗面化したチタンまた
はチタン合金及びアルミまたはアルミ合金の表面に、P
含有量4重量%以上で、メッキの結晶面方位〈111〉を
メインとする内層と、P含有量4重量%未満で、メッキ
硬さHV500以上の外層の少なくとも二層のNi−Pメッキ
層を被覆した転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材で
ある。
第2発明は、Ni−Pメッキ層のPの濃度が内層と外層
で連続的に変化する請求項(1)の転動疲労寿命に優れ
た機械構造用複合材である。
第3発明は、外層のNi−Pメッキの結晶面方位<111
>の積分強度が下記式を満足する請求項(1)の転動
疲労寿命に優れた機械構造用複合材である。
〔〈111〉/(〈111〉+〈200〉+〈220〉+〈311〉 +〈222〉)〕×100≦90 …… 第4発明は、チタンまたはチタン合金及びアルミまた
はアルミ合金の表面が、弗酸塩を含む溶液により表面粗
化処理を施されている請求項(1)の転動疲労寿命に優
れた機械構造用複合材である。
(作用) チタンまたはチタン合金及びアルミまたはアルミ合金
の表面に前記硬質メッキ層を強固に密着させるためには
強固なアンカー効果が必要であるが、エッチングまたは
ショットブラスト等によって、表面状態をRa 0.5μm以
上で、かつPPI50130以上に調整することによって、強固
なアンカー効果が得られる。ここで、PPI(Peaks Per I
nch)は接触式表面粗さ計の抽出曲線(測定値)の平均
線から正負両方向に一定の基準レベルHを設け、負の基
準レベルを越えた後、正の基準レベルを越えたとき、1
山と計算し、1インチ当たりの山数を表示するものであ
る。すなわち、PPI50130は基準レベル50μinnchで、1
インチ当たりの山数130を示す。これによって、チタン
またはチタン合金及びアルミまたはアルミ合金界面から
の硬質メッキ層の剥離等を抑制することが可能となる。
さらに、チタンまたはチタン合金及びアルミまたはア
ルミ合金へのメッキ密着性を向上させるには、被メッキ
材表面の結晶面方位とメッキの結晶面方位との整合性を
極力保つことによって、前記表面粗度調整効果との相乗
効果により、さらに、高度のメッキ密着性を得ることが
できる。
具体的に説明すると、チタンの最稠密面方位〈0001〉
に一致させるため、内層のNi−Pメッキの結晶面方位を
〈111〉配向とすることが極めて有効である。このため
には、Ni−Pメッキ層のP含有量を4重量%以上にし、
メッキ層厚を1.0μm以上にする必要がある。
内層の上面にメッキする中間層または外層は、硬さと
靭性の双方を満足させるため、Ni−Pメッキ層のP含有
量を4重量%未満にしなければならない。また、内層か
ら外層へ、順次P含有量を徐々に減少させることにより
靭性と硬さを兼ね備えた耐転動疲労寿命に優れたメッキ
層を得ることができる。すなわち、外層は内層とは異な
り、被メッキ材との密着性はそれほど重要ではなく、む
しろ、靭性と硬さが重要である。このため、外層のP含
有量を4重量%未満にし、Ni−Pメッキの結晶面方位
〈111〉の積分強度を90%以下に限定する。なお、積分
強度は〔〈111〉/(〈111〉+〈200〉+〈220〉+〈31
1〉+〈222〉)〕×100%である。
また、硬質メッキの種類としては、無電解Ni−Pメッ
キ、硬質Crメッキ、電解Ni−Pメッキ等が考えられる
が、メッキ速度、コストの点から電解Ni−Pメッキが最
も有利と考えられる。
転動摩耗の特徴は前記した通り高面圧で、接触応力は
数100kgf/mm2あり、最大剪断応力は、接触面から数10〜
数100μmの深さの位置に発生する。さらに、軸および
軸受は、繰り返し転動応力を受けることにより、軌道に
剥離を生じて転動不可能となる。この現象はフレーキン
グと呼ばれ、軸および軸受材料の一種の疲労破壊であ
り、これにより軸および軸受の寿命が決められてしま
う。
そこで、発明者らは、被覆材の選定のために、転動摩
耗試験を行った。その結果を以下に説明する。
第1図は、転動摩耗試験方法の概略図で、図中1は試
験片、2は評価面、3はボールベアリング、4はベアリ
ングレース、5は回転軸をそれぞれ示す。試験片1の先
端には評価面2があり、評価面2はボールベアリング3
と接触するようにテーパが付けてある。ボールベアリン
グ3はベアリングレース4内に必要個数配置してある。
ベアリングレース4は回転軸5に装着され、回転軸5と
ともに回転する。回転軸5は回転装置(図示せず)に連
結されている。試験は荷重Pを試験片1に加え、回転軸
5を回転させて行う。
供試材は、Ti−6Al−4Vを母材として、母材にWCを溶
射したもの、母材に電解Ni−Pメッキを施したものおよ
び母材ままの三種類である。これらを試験片1の形状に
仕上げ転動摩耗試験に供した。試験結果を第2図および
第3図に示す。
第2図は供試材の転動疲労寿命を整理したもので、第
3図は電解Ni−Pメッキ厚さと転動疲労寿命との関係を
整理したものである。
各供試材の寿命は、第2図に示すように、WCを溶射し
たものは5時間程度の寿命である。この原因は、WC皮膜
は摺動摩耗では良好な耐摩耗性を示すが、転動摩耗では
高面圧のためWC皮膜が破壊し脱落したためと考えられ
る。勿論、母材ままのTi−6Al−4Vは5時間以下の寿命
である。
転動摩耗試験における電解Ni−Pメッキ厚さと転動疲
労寿命との関係を第3図に示す。電解Ni−Pメッキの転
動疲労寿命は、メッキ厚さの増加に伴い急激に長寿命化
することが明らかである。
この結果から電解Ni−Pメッキの耐転動疲労寿命を向
上させるための被覆材の厚さは、最大剪断応力発生部位
を被覆材の内部に止めさせるためと、被覆材の耐転動疲
労性を可能かつ有効にさせるために、100μm以上が好
ましく、耐摩耗性付与の観点からは100μmまでで十分
である。また、被覆材の厚さを厚くすることは本発明の
目的とする軽量化からも好ましいものではない。
被覆材の硬さは、メッキ条件によって必要な硬さに調
整するが、耐転動疲労寿命の点から考えると、硬さのみ
でなく靭性をも考慮し、それらのバランスのとれている
ことが肝要である。したがって、被覆材の硬さは靭性も
考慮したうえでHV500以上に限定する。
本発明の機械構造用複合材の製造工程は、大略次の如
くである。すなわち、 母材(チタンまたはチタン合金及びアルミまたはアル
ミ合金)の機械加工 アルカリ脱脂(オルソ珪酸ソーダ5%溶液、70℃) 水洗 エッチング(弗酸塩) 水洗 活性化処理 水洗 電気メッキまたは無電解メッキ である。
従来法でもメッキの前処理として当然エッチングは行
われている。しかし、このエッチングに用いられる酸
は、硝酸、弗酸またはこれらを混合した硝弗酸が主であ
って、これら従来使用されている鉱酸類では、本発明で
規定する粗面な表面はできず、単に表面が均一にエッチ
ングあるいは逆に平滑化されるだけである。
発明者等の知見によれば、化学的エッチングにより本
発明で規定する粗面を得るには、NH4F・HF、NaF・HF等
の弗酸塩が必要であり、他のエッチング剤として汎用さ
れる硝酸や弗酸は光沢剤としては有効ではあるものの、
本発明で規定する粗面化のためには好ましい薬剤ではな
い。
また、本発明では必要により粗面化のためのエッチン
グのあとで、硬質メッキのまえに、表面のスマット除去
のための燐酸電解処理や金属面を出すためのクロム酸、
弗酸などの酸による活性化処理を行うことが可能であ
る。すなわち、一旦素材表面に粗面を形成したあとのメ
ッキまでの工程は通常と同じ方法が用いられる。このこ
とは、粗面化エッチングの前処理についても同様であ
る。
さらに、メッキ後の熱処理などの必要性についてであ
るが、従来技術ではメッキのチタンまたはアルミ界面と
の密着性を向上させようとして、熱処理によりチタンと
メッキ金属とを相互に拡散させる手法が取り入れられて
いるが、本発明では逆に熱処理した方がメッキ層が脆く
なるような傾向も知見しており、熱処理がなくても本件
のメッキ密着性が悪くなるものではない。
このようにして得られた、母材(芯材)に軽くて高強
度のチタンまたはチタン合金及びアルミまたはアルミ合
金を使用し、表面にHV500以上で100〜1000μmの厚い電
解Ni−Pメッキ層を形成しているため、優れた耐摩耗性
を発揮でき得る。なお、本複合材の軸材と接触しない部
分には、耐摩耗性付与のための硬質層を要しないことは
言うまでもない。軽量化をさらに向上させるためには、
必要最小限の部分のみに被覆材を施すことが有利であ
る。
(実施例) 以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明
はこれら実施例によって、何ら限定されるものではな
い。
実施例1 まず、供試材の複合材の製造方法について説明する。
電解Ni−Pメッキの母材(芯材)にはチタン合金、Ti−
6Al−4Vを用いて、前記のように、脱脂→水洗→エッチ
ング→水洗→表面活性化処理を行ったのち、電解Ni−P
メッキを施した。
メッキ浴組成は、 NiSO4・6H2O:200g/l NiCl2・6H2O:50g/l H3PO3:4〜40g/l H3PO4:50g/lとし、 電流密度は、Pを4重量%以上含有し、結晶配向性が
〈111〉を有するメッキ層を得るために、5〜40A/dm2
範囲内で適宜選定した。
第5図および第6図には、5A/dm2および30A/dm2の各
電流密度における電解Ni−PメッキのX線回折図形(Cu
Kα)を示す。第5図に示す電流密度5A/dm2における回
折図形には、電解Ni−Pメッキの結晶構造面心立方格子
の面指数111を示す回折線のみが出現している。すなわ
ち、第5図は、第6図に示すような面指数200、220に対
応する回折線の出現はなく、電解Ni−Pメッキ層が選択
的な配向性をもつ結晶から成立していることが示されて
おり、電解Ni−Pメッキ層が結晶配向性を有しているこ
とが判る。
この電解Ni−Pメッキ層のP含有量は4重量%以上で
あることを分析によって確認した。
これらの特徴を有する電解Ni−Pメッキを施した供試
材を転動摩耗試験に供した。その結果を第1表に示す。
なお、転動摩耗試験には先に述べた転動摩耗試験機(第
1図)を用いた。
第1表から明らかなように、本実施例の電解Ni−Pメ
ッキ層は、Pを4重量%以上含有し、結晶配向性を有し
ているため、母材との密着性がよく、メッキ層の厚みが
増加するとともに疲労摩耗における寿命は向上し、メッ
キ層の厚みが100μm以上になると安定した耐摩耗性を
示している。勿論、メッキ層を有しない母材ままのチタ
ン合金は耐摩耗性に劣っている。
一方、比較例は結晶配向性がないため、メッキ層の厚
みが厚くとも耐摩耗性は劣っている。
以上の結果から、Pを4重量%以上含有し、結晶配向
性を有するメッキ層を内層として、この上に外層とし
て、厚めの電解Ni−Pメッキを施すことによって、母材
との密着性のよい転動疲労寿命の優れた電解Ni−Pメッ
キ層を形成することが可能である。
実施例2 実施例2は内層と外層の2層メッキの例で、電解Ni−
Pメッキの母材(芯材)にはチタン合金、Ti−6Al−4V
を用い、実施例1とおなじく、脱脂→水洗→エッチング
→水洗→表面活性化処理を行ったのち、電解Ni−Pメッ
キを施した。
メッキ浴組成は、 NiSO4・6H2O:200g/l NiCl2・6H2O:50g/l H3PO3:4〜40g/l H3PO4:50g/lとし、 電流密度は5〜40A/dm2とし、内層メッキ時はP含有
量が4重量%以上に、外層メッキ時はP含有量が4重量
%未満になるように、メッキ浴組成および電流密度を適
宜選定した。
これらの供試材を転動摩耗試験に供した。その結果を
第2表に示す。なお、転動摩耗試験機は実施例1と同じ
である。
第2表から明らかなように、本発明例は内層のP含有
量が4重量%以上のため、メッキ層に結晶配向性があ
り、母材との密着性が改善されているため、良好な耐摩
耗性を示している。したがって、本発明に係わる複合材
は優れた転動疲労寿命を有することが判る。
実施例3 実施例3は内層、中間層および外層の3層メッキの例
で、電解Ni−Pメッキの母材(芯材)にはチタン合金、
Ti−6Al−4Vを用い、実施例1とおなじく、脱脂→水洗
→エッチング→水洗→表面活性化処理を行ったのち、電
解Ni−Pメッキを施した。
メッキ浴組成は、 NiSO4・6H2O:200g/l NiCl2・6H2O:50g/l H3PO3:4〜40g/l H3PO4:50g/lとし、 電流密度は5〜40A/dm2とし、内層から外層の各メッ
キ層の所望P含有量と厚さに応じて、メッキ浴組成およ
び電流密度を適宜選定した。
これらの供試材を転動摩耗試験に供した。その結果を
第3表に示す。なお、転動摩耗試験機は実施例1と同じ
である。
第3表から明らかなように、本発明例は内層に実施例
1で説明した母材との密着性がよいメッキを施し、中間
層、外層に内層よりもP含有量を減少させ、メッキ厚さ
を増したメッキを施しているため、メッキ層の靭性が改
善され良好な転動疲労寿命を示している。
一方、比較例の一部については、内層のP含有量は4
重量%以上あるものの外層のP含有量が多いため、外層
が脆くなり転動疲労寿命が劣っている。また、一部につ
いては、内層のP含有量が少なく、外層のP含有量が多
いため、転動疲労寿命が劣っている。
勿論、メッキを施してないチタン合金が耐転動疲労性
に劣っているのは当然であるが、HV1000以上のWC溶射も
上記本発明例に劣ることが明らかである。
実施例4 実施例4は外層の電解Ni−Pメッキの結晶面方位〈11
1〉の積分強度を90%以下にした例で、電解Ni−Pメッ
キの母材(芯材)にはチタン合金、Ti−6Al−4V、Ti−6
Al−2Sn−4Zr−2Mo、Ti−6Al−6V−2Snを用い、実施例
1とおなじく、脱脂→水洗→エッチング→水洗→表面活
性化処理を行ったのち、電解Ni−Pメッキを施した。
メッキ浴組成は、 NiSO4・6H2O:200g/l NiCl2・6H2O:50g/l H3PO3:4〜40g/l H3PO4:50g/lとし、 電流密度は5〜40A/dm2とし、所望メッキ層に応じ
て、メッキ浴組成および電流密度を適宜選定した。
これらの供試材について、結晶配向性、メッキ密着性
および耐摩耗性を調査した。結晶配向性調査のためのX
線回折は、一次X線源はCuKα線、40kV、300mA、走査ス
ピード4゜/min、入射角2゜で行い、結晶配向性は
〔〈111〉/(〈111〉+〈200〉+〈220〉+〈311〉+
〈222〉)〕×100で表示した。
メッキ密着性はメッキ面に、1mmクロスカットを100個
切った後、直径5mm、180゜曲げを行いテープ剥離テスト
で評価した。
耐摩耗性は実施例1と同じ転動摩耗試験機を用いて調
査した。
その結果を第4−1表および第4−2表に、メッキ層
のP含有量および厚さとともに併記する。
第4−1表および第4−2表から明らかなように、本
発明例のチタン合金に電解Ni−Pメッキを施した複合材
は、P含有量を4重量%未満にし、結晶面方位〈111〉
の積分強度を90%以下にしているため、メッキ層の靭性
が優れ、良好な耐摩耗性を示している。また、密着性は
良好で、硬さもHV500以上である。勿論、メッキを施し
ていない母材ままのチタン合金は耐摩耗性に劣ってい
る。
一方、比較例は、P含有量が4重量%以上で、結晶面
方位〈111〉の積分強度が90%以上のため、メッキ層が
脆くなり、耐摩耗性が劣っている。
本発明の複合材で狙いとする転動疲労寿命特性を付与
するためには、メッキ層の母材との密着性、メッキ層の
靭性、メッキ層の硬さが重要である。したがって、実施
例で説明したように、内層にはP含有量を4重量%以上
にし、結晶面方位〈111〉をメインとするメッキを、外
層にはP含有量を4重量%未満にし、結晶面方位〈11
1〉の積分強度が90%以下のメッキを施すことが肝要で
ある。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明はチタンまたはチタン合
金及びアルミまたはアルミ合金の表面粗度を調整した
後、被メッキ材表面の結晶面方位とメッキの結晶面方位
との整合性を保つために、P含有量を4重量%以上にし
た内層と、さらに、メッキ層の靭性を改善し耐摩耗性を
確保するために、P含有量を4重量%未満、硬さHV500
以上の外層の少なくとも二層の電解Ni−Pメッキ層をチ
タンまたはチタン合金及びアルミまたはアルミ合金に施
すものである。
したがって、本発明は、軽くて高強度のチタン及びチ
タン合金並びにアルミ及びアルミ合金を母材とし、これ
らに電解Ni−Pメッキを施すことにより、チタン及びチ
タン合金並びにアルミ及びアルミ合金に耐摩耗性を付与
することができるという優れた効果を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は転動摩耗試験方法の概略図を、第2図はWC皮
膜、電解Ni−Pメッキおよび母材の転動疲労寿命を、第
3図は電解Ni−Pメッキ厚さと転動疲労寿命との関係
を、第4図は転動摩耗のモデルと接触圧、せん断力の概
念を、第5図および第6図はX線回折図形を示す図であ
る。 1……試験片 2……評価面 3……ボールベアリング 4……ベアリングレース 5……回転軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 好則 兵庫県高砂市荒井町小松原5丁目10―17 (56)参考文献 特開 昭61−170596(JP,A) 特開 昭59−185794(JP,A) 特開 昭58−146763(JP,A) 特開 平1−106909(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 5/00 - 7/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面をRa0.5μm以上でPPI50が130以上に
    粗面化したチタンまたはチタン合金及びアルミまたはア
    ルミ合金の表面に、P含有量4重量%以上で、メッキの
    結晶面方位〈111〉をメインとする内層と、P含有量4
    重量%未満で、メッキ硬さHV500以上の外層の少なくと
    も二層のNi−Pメッキ層を被覆したことを特徴とする転
    動疲労寿命に優れた機械構造用複合材。
  2. 【請求項2】Ni−Pメッキ層のPの濃度が内層と外層で
    連続的に変化することを特徴とする請求項(1)の転動
    疲労寿命に優れた機械構造用複合材。
  3. 【請求項3】外層のNi−Pメッキの結晶面方位〈111〉
    の積分強度が下記式を満足することを特徴とする請求
    項(1)の転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材。 〔〈111〉/(〈111〉+〈200〉+〈220〉+〈311〉 +〈222〉)〕×100≦90 ……
  4. 【請求項4】チタンまたはチタン合金及びアルミまたは
    アルミ合金の表面が、弗酸塩を含む溶液により表面粗化
    処理を施されていることを特徴とする請求項(1)の転
    動疲労寿命に優れた機械構造用複合材
JP22057690A 1990-08-21 1990-08-21 転動疲労寿命に優れた機械構造用複合材 Expired - Fee Related JP2777468B2 (ja)

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