JP2775945B2 - 回転電機付ターボチャージャの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はターボチャージャの回転軸に電動−発電機と
なる回転電機を取付け、車両発進に先立って該回転電機
により過給作動を付勢する、いわゆるフライングブース
トアップを行なう回転電機付ターボチャージャの制御装
置に関する。

（従来の技術） 通常、車両のエンジンを制御するアクセルコントロー
ルは、アクセルペダルからワイヤなどを介して伝達され
たアクセルペダルの踏込量を検知して行なわれている。

一方、ターボチャージャを備えた車両の発進に際して
は、アクセルペダルの踏込み直後では、エンジンの回転
数が未だ上昇しないため、排気ガスの排出量が少なく過
給圧が低いので、エンジンの回転数の急上昇は望めな
い。

このため、ターボチャージャの制御装置として、車両
の発進準備完了を検知する手段からの信号により吸気圧
力を上昇させる吸気圧上昇手段を有するように構成した
提案が本出願人によって昭和63年特許願第275301号にて
出願されている。

（発明が解決しようとする課題） 前述のアクセルペダルからのワイヤなどの機械的な部
材を介して踏込量が検知される機構においては、アクセ
ルペダルを踏込んだ直後から検知信号が出力されるまで
に、不感知領域となる部分、いわゆるあそびを介してか
ら、踏込量に対応する出力信号が伝達されるため、踏込
量に対する応答性の遅れや精度の悪さが問題となってい
る。

また、後者のターボチャージャの制御装置の提案にお
いては、回転電機を電動機作動させるか否かの判断を行
なうための項目に、運転者の操作による項目が少ないた
め、不必要な場合においても電動機作動し、よって、バ
ッテリ上がり等の問題がある。

本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、ターボチャージャに設けられた回
転電機を、車両発進前に電動機作動させる、いわゆるフ
ライングブーストアップを適正時に行なうターボチャー
ジャの制御装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、ターボチャージャの回転軸に配置し
た回転電機と、フットブレーキの作動位置を検出する第
１の検出手段と、サイドブレーキの作動位置を検出する
第２の検出手段と、車両発進準備完了時にてサイドブレ
ーキ解除時におけるフットブレーキ解除途中とサイドブ
レーキが解除途中との内の一方の場合に回転電機を電動
駆動する制御手段とを有することを特徴とする回転電機
付ターボチャージャの制御装置が提供される。

（作用） 本発明による回転電機付ターボチャージャの制御装置
では、車両停止時であり、クラッチが断状態にあり、か
つエンジンがアイドル状態で、更に変速装置が１速噛合
状態の場合に、サイドブレーキが解除されている状態で
フットブレーキが解除途中である場合と、サイドブレー
キが解除途中である場合との内の一方の場合に、ターボ
チャージャの回転軸に連結されている回転電機を電動機
作動させ、過給作動を付勢する。

（実施例） つぎに、本発明の実施例について図面を用いて詳細に
説明する。

第１図は、本発明の一実施例を示す構成ブロック図で
ある。

同図において、１はエンジンで、その排気管11と吸気
管12とには、ターボチャージャ２が連結されている。

該ターボチャージャ２は、エンジン１の排気ガスエネ
ルギーにより駆動されるタービン21と、該タービン21の
回転トルクにより駆動されるコンプレッサ22とを備え、
コンプレッサ22の作動による圧気は吸気管12を介して、
過給気としてエンジン１に供給されるように構成されて
いる。

３は電動−発電機となる回転電機であり、該回転電機
３の回転子は、タービン21の回転軸に直結されている。
そして、エンジン１からの排気ガスエネルギーが大であ
る場合には、タービン21の回転トルクによりコンプレッ
サ22を駆動してブースト圧力を高めるとともに、回転子
も駆動して回転電機３を発電機として作動させ、排気エ
ネルギーを電気エネルギーとして回収させるものであ
る。

また、エンジン１の急加速時や、エンジン１が低速高
負荷時には、回転電機３に電力を供給することにより電
動機として作動させ、その回転トルクによりコンプレッ
サ22を駆動して、圧気をエンジン１に供給する。

尚、13はブースト圧センサで、エンジン１への過給気
の圧力を検出して後述するコントローラに送信するもの
である。

14はエンジン１のトルクを継／断するクラッチ、15は
該クラッチを介して伝達されたトルクを変速する変速機
であり、エンジン１にはその回転数を検出する回転セン
サ16、変速機15には車速を検出する車速センサ17が配置
され、これらのセンサからの検出信号はコントローラ４
の入力回路に接続されている。

51は、フットブレーキの作動量を検出する第１の検出
手段となるフットブレーキセンサであり、該フットブラ
ケツトセンサ51からの信号はコントローラ４に入力され
るように結線されている。

また、52は、サイドブレーキの作動量を検出する第２
の検出手段となるサイドブレーキセンサであり、該サイ
ドブレーキセンサ52からの信号もコントローラ４に入力
されるように結線されている。

６はバッテリであり、発電作動時の回転電機３からの
発電電力を電力変換器61を介して蓄電したり、また、エ
ンジン１の急加速時や低速高負荷にはバッテリ６からの
電力により回転電機３を電動駆動してコンプレッサ22に
よる圧気をエンジン１に過給するものである。

該バッテリ６には、蓄電量を検出する蓄電量センサ62
が取付けられている。

尚、電力変換器61にはインバータとコンバータとを有
する交直両方向変換器からなり、発電作動時の回転電機
３の交流出力を入力してバッテリ６を充電する直流電力
に変換したり、バッテリ６の電力を回転電機３に供給す
るときは、その直流電力をコントローラ４からのPS信号
による所定の交流電力に変換するように構成されてい
る。

コントローラ４は、マイクロコンピュータからなり、
演算処理を行う中央制御装置、演算処理手順や制御手段
などを格納する各種メモリ、入／出力回路などを備えて
おり、入力回路には前記の各種センサやスイッチなどの
信号ラインが接続され、出力回路には電力変換器61への
指令ラインが結線されている。

第２図は本実施例の作動の一例を示す処理フロー図で
あり、第２図を用いて本実施例の作動を説明する。

ステップ１にて、車速センサ17により検出される車速
Ｖが０であるか否か、すなわち車両が停止状態にあるか
否かの判断を行ない、停止していると判断するとステッ
プ２へ、走行中であると判断するとステップ９へと進
む。

ステップ２では、回転センサ16により検出されるエン
ジン回転数Ｎが、所定のアイドル回転数N₁以下であるか
否かの判断を行ない、以下の場合にはステップ３へ、以
上の場合にはステップ９へと進む。

ステップ３では、クラッチ14がオフ、すなわち断状態
であるか否かの判断を行ない、断状態であればステップ
４へ、接状態であればステップ９へと進む。

ステップ４では、変速機15のギヤ噛合状態が１速状態
であるか、あるいはニュートラルを含む他の変速位置に
あるかの判断を行ない、１速状態であればステップ５
へ、１速以外の状態であればステップ９へと進む。

ステップ５では、フットブレーキセンサ51により検出
されるフットブレーキの作動状態が解除方向に変化して
いる、すなわち解除途中であるか否かの判断を行ない、
解除途中であればステップ６へ、解除途中でなければス
テップ７へと進む。

ステップ６では、サイドブレーキセンサ52により検出
されるサイドブレーキの作動状態が解除完了状態である
か否かの判断を行ない、解除完了状態であればステップ
８へ、解除完了状態でなければステップ９へと進む。

ステップ８とは、回転電機３に電力を供給し電動機作
動させ、過給動作を付勢するブーストアップを行なうス
テップである。

上記ステップ５からステップ７へと進んだフローは、
ステップ７にて、サイドブレーキセンサ52により検出さ
れるサイドブレーキの作動状態が解除方向に変化してい
る、すなわち解除途中であるか否かの判断を行ない、解
除途中であれば上記ステップ６と同様にステップ８へと
進み、解除途中でなければステップ９へと進む。

ステップ９では、所定時間待機した後、再びステップ
１へと進み、上記制御フローを再度行なう。

ところで、従来はステップ１〜ステップ４の条件を成
立するとステップ８、すなわちブーストアップを開始し
ていたが、本発明は、車両発進直前時には運転者により
制動装置が解除されることに注目し、ステップ５、ステ
ップ６及びステップ７にて、車両発進直前状態を判断
し、ブーストアップを行なうので、効率良くブーストア
ップを行なうことができる。

以上、本発明を上述の実施例によって詳細に説明した
が、本発明の主旨の範囲内で、種々の変形が可能であ
り、これらの変形を本発明の範囲から排除するものでは
ない。

（発明の効果） 本発明によれば、車両停止時であり、クラッチが断状
態にあり、かつエンジンがアイドル状態で、更に変速装
置が１速噛合状態の場合に、サイドブレーキが解除され
ている状態でフットブレーキが解除途中である場合と、
サイドブレーキが解除途中である場合との内の一方の場
合に、ターボチャージャの回転軸に連結されている回転
電機を電動機作動させ、過給作動を付勢するので、不必
要な場合においてはブーストアップせず、効率良くブー
ストアップを行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す構成ブロック図、第２
図は本実施例の作動の一例を示す処理フロー図である。 １…エンジン、２…ターボチャージャ、３…回転電機、
４…コントローラ、６…バッテリ、51…フットブレーキ
センサ、52…サイドブレーキセンサ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ターボチャージャの回転軸に配置した回転
   電機と、フットブレーキの作動位置を検出する第１の検
   出手段と、サイドブレーキの作動位置を検出する第２の
   検出手段と、車両発進準備完了時にてサイドブレーキ解
   除時におけるフットブレーキ解除途中とサイドブレーキ
   が解除途中との内の一方の場合に回転電機を電動駆動す
   る制御手段とを有することを特徴とする回転電機付ター
   ボチャージャの制御装置。
2. 【請求項２】前記の電動駆動する制御手段はエンジン回
   転の上昇前に過給気圧を高めることを特徴とする請求項
   （１）記載の回転電機付ターボチャージャの制御装置。