JP2767515B2 - 洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、給水を利用してサイフ
オン方式により漂白剤および柔軟仕上剤等の液体仕上剤
を洗濯槽へ注入する洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の全自動洗濯機において、被洗濯物
の入つた洗濯槽内に所定水位まで給水する方法は、図７
の如く、まず、給水を開始して洗濯槽内の水位が規定水
位に達すると給水を停止する。

【０００３】そして、パルセータを駆動させて水と被洗
濯物とを撹拌し、被洗濯物に含水させる。そうすると、
洗濯槽内の水位は被洗濯物の含水により、わずかに低下
するので、このときの水位が設定水位以下か否か判断
し、設定水位に達していたならば、本洗いを開始する。
設定水位に達していない場合は、設定水位になるまで給
水し、その後、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程が行な
われる。このような技術は、特公平２−４３５１８号公
報にも開示されている。

【０００４】これらの技術により、被洗濯物は、布傷み
もなく、適量の水量で洗濯工程を自動的に実行できる。

【０００５】ところで、最近は、洗濯槽の上面に洗剤や
漂白剤および柔軟仕上剤を収容したケースを設置し、自
動的に洗剤等を投入する全自動洗濯機が出現している。
この洗濯機を使用すれば、被洗濯物の仕上り時刻等が予
約できる自動洗濯が可能となる。

【０００６】この洗剤自動投入方式の洗濯機では、給水
経路中に収納ケースを配置して、洗剤等を水に混入した
状態で水槽内に投入するようにしている。このとき、水
に対する溶解性および被洗濯物に対する含浸性が良好な
液体仕上剤等も出現していることから、いわゆる、サイ
フオン現象を利用した洗剤等の投入方式が採用されるに
至った。

【０００７】これは、図５に示すように、液体洗剤等の
収納ケースに給水された水をその底部に形成された排水
筒１７ａ，１８ａから排水するもので、排水筒１７ａ，
１８ａは筒状キャップ１７ｂ，１８ｂに覆われており、
最終的には、サイフオン現象により、収納ケース内に溜
った液体洗剤等を水と共に水槽内に排出するよう構成さ
れている。このサイフオン方式を利用すれば、液体仕上
剤も全自動洗濯機に使用できることになる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記サ
イフオン式自動洗剤投入方式を利用した洗濯機におい
て、図７に示すような給水補給を行なう場合、被洗濯物
の撹拌後に減水量の多少にかかわらず自動的に補充給水
を行うと、補充給水量がサイフオン現象を起こす所定量
（サイフオン現象発生必要量）に満たないとき、サイフ
オン現象を起こす前に給水が停止されて、収納ケース内
へ水が溜まり、使用者に不快感を与える。

【０００９】また、次回の洗濯時に収納ケースに水が残
つていると必要量の液体仕上剤を貯留できなくなるとい
つた問題が生じる。

【００１０】本発明は、上記に鑑み、給水を利用して収
納ケース内の液体仕上剤をサイフオン方式により洗濯槽
内に注入する洗濯機において、収納ケース内に水が貯留
することを防止する洗濯機に関する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、図１の如く、洗濯用液体を収納する収納ケース内
に水を流入し、サイフオン方式により水槽２内に注入す
る洗濯機において、前記水槽２内に規定水位まで給水す
る初期の給水手段２７と、該給水手段２７により給水さ
れた水を被洗濯物とともに撹拌体５により撹拌し被洗濯
物に含水させる予備撹拌手段２８と、該予備撹拌手段２
８による撹拌の結果、水槽２内の水位が設定水位以下と
なつたときの減水量と収納ケース１４内でサイフオン現
象を発生させるのに必要な給水量とを比較する比較手段
２９と、該比較手段２９による比較の結果、減水量がサ
イフオン現象発生給水量より大のとき再び水槽２内に所
定水位まで給水する補充給水手段３０と、減水量がサイ
フオン現象発生給水量より小のとき給水の補充を停止す
る補充停止手段３１とが設けられたものである。

【００１２】

【作用】上記課題解決手段において、給水手段２７によ
り水槽２内に規定水位まで給水し、予備撹拌手段２８で
水槽２内の水を被洗濯物とともに撹拌体５により撹拌し
て被洗濯物に含水させる。そうすると、水槽２内の水位
が下がるので、そのときの減水量と収納ケース１４内で
サイフオン現象を発生するのに必要な給水量と比較し、
減水量がサイフオン現象発生給水量より大のときは、補
充給水手段３０により再び水槽２内に設定水位まで給水
する。

【００１３】また、減水量がサイフオン現象発生給水量
より小のときは、補充停止手段３１により給水の補充を
停止する。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す洗濯機の給水
行程のフローチヤート、図２は本実施例の洗濯機の全体
構成図、図３は洗濯機本体から収納ケースを引き出した
洗濯機上面の斜視図、図４は洗剤投入部を示す断面図、
図５は漂白剤投入部あるいは柔軟剤投入部を示す断面
図、図６は制御部のブロツク図である。

【００１５】まず、本実施例の全自動洗濯機の概略構造
を図２に基づいて説明する。図２において、１は外槽、
２は水槽、３は水槽２を吊り下げる四本の支持機構、４
は洗濯兼脱水槽、５は被洗濯物を撹拌するパルセータ、
６はパルセータ５を駆動させかつ洗濯兼脱水槽４を取り
付けた機構部、７は機構部６にベルト８を介して回転を
伝達するモータ、９は排水弁、１０は洗濯機上部の外観
を形成しパネル操作部等を有する上面板部、１１は二連
給水弁、１３は水位を無段階で検知する水位センサ、１
４は粉末洗剤および液体漂白剤、液体柔軟仕上剤を収納
する収納ケースである。

【００１６】前記上面板部１０は、図３の如く、水槽２
の上方に配され、水槽２側の側面に収納ケース１４を出
入自在に挿入するための開口１０ａが形成されている。
また、上面板部１０の内部には、初期の給水時等に使用
する第一給水弁１１ａと、すすぎ行程時等に使用する第
二給水弁１１ｂとからなる二連給水弁１１が配されてい
る。

【００１７】前記収納ケース１４は、図３の如く、箱型
で、側壁に把手１５が取り付けられ、粉末洗剤Ｓを投入
する洗剤投入部１６と、液体漂白剤Ｈを投入する漂白剤
投入部１７と、液体柔軟仕上剤Ｚを投入する柔軟剤投入
部１８とを備え、漂白剤投入部１７と柔軟剤投入部１８
との間に洗剤投入部１６が形成されている。

【００１８】前記洗剤投入部１６は、図４の如く、上方
および収納ケース１４の挿入方向の奥側が開放され、前
記漂白剤投入部１７および柔軟剤投入部１８は、図５の
如く、四方が側壁に囲まれて上方が開放し、底部から内
部方向に中空円筒状の排水筒１７ａ，１８ａが突設形成
され、該排水筒１７ａ，１８ａの周りには、筒状のキヤ
ツプ１７ｂ，１８ｂが排水筒１７ａ，１８ａおよびその
底部とわずかに隙間を空けて配されている。これによ
り、漂白剤投入部１７および柔軟剤投入部１８内の液体
の漂白剤Ｈおよび柔軟仕上剤Ｚは、投入部１７，１８内
に一定量以上給水されるとサイフオン現象によって排出
される。

【００１９】また、収納ケース１４の上面板部１０への
挿入状態において、収納ケース１４の奥側から上方にか
けて、図４，５の如く、第一給水弁１１ａからの水をホ
ース１９ａを介して漂白剤投入部１７および洗剤投入部
１６に同時に給水するための第一給水部２０と、第二給
水弁１１ｂからの水をホース１９ｂを介して柔軟剤投入
部１８に給水するための第二給水部２１とが上面板部１
０内に一体形成されている。

【００２０】前記第一給水部２０および第二給水部２１
は、その外観が略Ｌ字型で中空とされ、上流側には、各
ホース１９ａ，１９ｂと連結する連結部２０ａ，２１ａ
が配され、下流側には、各投入部に連通する給水口２０
ｂ，２１ｂが形成されている。また、第一給水部２０か
らの給水は、漂白剤投入部１７が１に対して洗剤投入部
１６が９の割合で供給される。

【００２１】そして、収納ケース１４の挿入状態におい
て、漂白剤投入部１７および柔軟剤投入部１８の奥側の
側壁１７ｃ，１８ｃと第一給水部２０および第二給水部
２１との間にわずかに隙間が生じるよう側壁１７ｃ，１
８ｃの高さが設定されている。これは、側壁１７ｃ，１
８ｃの高さ以上給水されるとオーバーフローさせるため
のものである。さらに、洗剤投入部１６の底部と第一給
水部２０との間にも隙間が生じるよう底部の長さが設定
されている。これは、洗剤投入部１６に流入した水を排
出させる排出口１６ａである。

【００２２】この収納ケース１４から排出した洗剤入り
の水を水槽２に案内するための案内板２２が、第一給水
部２０および第二給水部２１の下部から水槽２の方向に
傾斜して突設されている。

【００２３】このように、収納ケース１４の挿入時に
は、第一給水弁１１ａからの水が第一給水部２０を経
て、漂白剤投入部１７および洗剤投入部１６を通り、水
槽２に流入する第一給水経路２３と、第二給水弁１１ｂ
からの水が柔軟剤投入部１８を通り、水槽２に流入する
第二給水路２４とが形成される。

【００２４】また、上面板部１０には、水槽２への給水
を制御するマイクロコンピユータからなる制御部２５が
設けられている。該制御部２５は、前記水槽２内に規定
水位まで給水する初期の給水手段２７と、該給水手段２
７により給水された水を被洗濯物とともにパルセータ５
により撹拌し被洗濯物に含水させる予備撹拌手段２８
と、該予備撹拌手段２８による撹拌の結果、水槽２内の
水位が設定水位以下となつたときの減水量と収納ケース
１４内でサイフオン現象を発生させるのに必要な給水量
とを比較する比較手段２９と、該比較手段２９による比
較の結果、減水量がサイフオン現象発生給水量より大の
とき再び水槽２内に所定水位まで給水する補充給水手段
３０と、減水量がサイフオン現象発生給水量より小のと
き給水の補充を停止する補充停止手段３１とが設けられ
たものである。

【００２５】上記構成において、洗濯槽４へ衣類を投入
して洗濯を開始すると、二連給水弁１１の第一給水弁１
１ａが開放され、水が給水ホース１９ａから第一給水部
２０を通って、収納ケース１４の洗剤投入部１６および
漂白剤投入部１７へ流入される。

【００２６】洗剤投入部１６に流入した水は、洗剤と混
合し、奥側へ流れ排水口１６ａから案内板２２に案内さ
れて水槽２へ導かれる。漂白剤投入部１７に流入した水
は、漂白剤投入部１７内に溜り、一定量以上になるとサ
イフオン現象により排水筒１７ａから排出され、さらに
貯溜されると奥側の側壁１７ｃを越えオーバーフローさ
れ、ともに案内板２２に案内されて水槽２へ導かれる。

【００２７】以上のような給水経路で水槽２に貯留した
水の水位を水位センサー１３により検知し、規定水位に
なると給水が停止される。給水終了後パルセータ５が回
転し、水に衣類をなじませる。このなじませにより、衣
類が含水し、水槽２内の水位が減水する。

【００２８】このときの水槽２内の水位を水位センサー
１３にて検知し、水位が設定水位以下か否か判断し、設
定水位に達していたならば、本洗いを開始する。設定水
位に達していない場合は、設定水位に対する減水水位を
もとめ、減水量を測る。

【００２９】例えば、水槽２の減水水位を２０ｍｍとす
ると、水槽の直径から容積がわかり、そして減水量がわ
かる。このとき、仮に水槽２の容積を２ｌ／ｃｍとした
場合、減水量が４ｌとなり、したがって４ｌの補充給水
が必要となる。

【００３０】ここで、収納ケース１４の漂白剤投入部１
７のサイフオン現象発生水量を仮に０．２ｌとした場
合、４ｌの水を補充すると、第一給水部２０より補充水
が約９：１に分岐されるため、洗剤投入部１６へ３．６
ｌ、漂白剤投入部１７へ０．４ｌ補充されることにな
る。漂白剤投入部１７への補充水量（０．４ｌ）は、サ
イフオン現象発生水量（０．２ｌ）より大であるため、
漂白剤投入部１７内でサイフオン現象が発生し、補充給
水は、漂白剤投入部１７からほぼ残ることなく排出され
ることになる。したがって、このような場合は、補充給
水を実行する。

【００３１】また、逆に減水水位を２．５ｍｍとする
と、必要補充給水は０．５ｌとなり洗剤投入部１６へ
０．４５ｌ、漂白剤投入部１７へ０．０５ｌ補充される
ことになる。したがつて、漂白剤投入部１７内でサイフ
オン現象が発生せず漂白剤投入部１７へは０．０５ｌの
水が残ることになる。したがって、このような場合は、
補充給水の実行を行わない。その後、洗い行程、すすぎ
行程、脱水行程を行う。

【００３２】この動作は、初期の給水時に限らず、すす
ぎ行程においても前記第二給水経路２４の柔軟剤投入部
１８においても同様に処理される。なお、この場合は、
補充給水はすべて柔軟剤投入部１８内に流入されるた
め、減水量とサイフオン発生必要量とをタイムリーに比
較する必要がある。

【００３３】このように、漂白剤投入部１７および柔軟
剤投入部１８内に流入される補充給水量がサイフオン現
象を発生することができる量以上であるときだけ補充給
水を行うため、漂白剤投入部１７および柔軟剤投入部１
８へ補充給水が残るというようなユーザーへの不快感を
取除く。

【００３４】また、次回洗濯時に漂白剤投入部１７およ
び柔軟剤投入部１８に水が残つていて、必要量の漂白剤
および柔軟剤を貯留できないということを防止する。

【００３５】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。

【００３６】例えば、粉末洗剤を液体洗剤として洗剤投
入部１６をサイフオン方式の可能とする構造としてもよ
い。

【００３７】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、収納ケース内に流入される補充給水量がサイフ
オン現象を発生することができる量以上であるときだけ
補充給水を行うため、収納ケースへ補充給水が残るとい
うようなユーザーへの不快感を取除く。

【００３８】また、次回洗濯時に収納ケースに水が残つ
ていて、必要量の漂白剤および柔軟剤を貯留できないと
いうことを防止できるといった優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す洗濯機の給水行程のフ
ローチヤート

【図２】本実施例の洗濯機の全体構成図

【図３】洗濯機本体から収納ケースを引き出した洗濯機
上面の斜視図

【図４】洗剤投入部を示す断面図

【図５】漂白剤投入部あるいは柔軟剤投入部を示す断面
図

【図６】制御部のブロツク図

【図７】従来の洗濯機の給水行程のフローチヤート

【符号の説明】

２ 水槽 ５ 撹拌体 １４ 収納ケース ２７ 給水手段 ２８ 予備撹拌手段 ２９ 比較手段 ３０ 補充給水手段 ３１ 補充停止手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯用液体を収納する収納ケース内に水
   を流入し、サイフオン方式により水槽内に注入する洗濯
   機において、前記水槽内に規定水位まで給水する初期の
   給水手段と、該給水手段により給水された水を被洗濯物
   とともに撹拌体により撹拌し被洗濯物に含水させる予備
   撹拌手段と、該予備撹拌手段による撹拌の結果、水槽内
   の水位が設定水位以下となつたときの減水量と収納ケー
   ス内でサイフオン現象を発生させるのに必要な給水量と
   を比較する比較手段と、該比較手段による比較の結果か
   らの出力信号により減水量がサイフオン現象発生給水量
   より大のとき再び水槽内に所定の水位まで給水する補充
   給水手段と、減水量がサイフオン現象発生給水量より小
   のとき給水の補充を停止する補充停止手段とが設けられ
   たことを特徴とする洗濯機。