JP2766693B2 - 異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2766693B2 JP2766693B2 JP1341287A JP34128789A JP2766693B2 JP 2766693 B2 JP2766693 B2 JP 2766693B2 JP 1341287 A JP1341287 A JP 1341287A JP 34128789 A JP34128789 A JP 34128789A JP 2766693 B2 JP2766693 B2 JP 2766693B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- steel sheet
- rolled steel
- anisotropy
- ductility
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造
方法に関するものである。
方法に関するものである。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 従来、高延性高強度冷延鋼板は、炭化物などを均一に
分散させて均質な材質とするために、熱延鋼板を低温巻
取りして製造されていた。しかし、異方性が大きく、圧
延方向に対し45゜方向の延性が低い欠点があった。この
ため、プレス成形時に厳しい伸びフランジ加工を受ける
と45゜方向で割れを発生するという問題があり、改善が
望まれている。
分散させて均質な材質とするために、熱延鋼板を低温巻
取りして製造されていた。しかし、異方性が大きく、圧
延方向に対し45゜方向の延性が低い欠点があった。この
ため、プレス成形時に厳しい伸びフランジ加工を受ける
と45゜方向で割れを発生するという問題があり、改善が
望まれている。
そこで、このような高強度冷延鋼板の異方性改善の方
策として、特公昭62−287018号が提案されている。これ
は、低C鋼にNb、Tiを添加し、固溶Cと固溶Nを熱延時
に固着し、また熱延はオーステナイトで再結晶しない温
度域で圧延し、直ちに低温で巻取り、冷延、再結晶焼鈍
することにより、r値の異方性を小さくする技術であ
る。
策として、特公昭62−287018号が提案されている。これ
は、低C鋼にNb、Tiを添加し、固溶Cと固溶Nを熱延時
に固着し、また熱延はオーステナイトで再結晶しない温
度域で圧延し、直ちに低温で巻取り、冷延、再結晶焼鈍
することにより、r値の異方性を小さくする技術であ
る。
また、特開昭62−161919号には、熱間圧延でスラブ加
熱温度を低温にし、巻取温度を高温にすることにより、
適当なAlNを析出させた異方性の小さな熱延鋼板を85〜9
3%の高冷延率で冷延し、再結晶焼鈍することによって
異方性を小さくする技術も報告されている。
熱温度を低温にし、巻取温度を高温にすることにより、
適当なAlNを析出させた異方性の小さな熱延鋼板を85〜9
3%の高冷延率で冷延し、再結晶焼鈍することによって
異方性を小さくする技術も報告されている。
しかしながら、上記技術はいずれも、軟鋼板での異方
性改善の考え方を高強度冷延鋼板に適用したものであ
り、C量が低いため、高強度化には多くの固溶強化元素
が必要となり、コストが高くなるという難点がある。
性改善の考え方を高強度冷延鋼板に適用したものであ
り、C量が低いため、高強度化には多くの固溶強化元素
が必要となり、コストが高くなるという難点がある。
また、これらの技術は、異方性改善のために高い冷延
率が必要となり、圧延の負荷も高くなる問題もある。
率が必要となり、圧延の負荷も高くなる問題もある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、異方性が
小さい高延性高強度冷延鋼板を安価に製造し得る方法を
提供することを目的とするものである。
小さい高延性高強度冷延鋼板を安価に製造し得る方法を
提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板
を製造するために、異方性に影響を及ぼすと考えられる
鋼中成分、熱延巻取温度、及び連続焼鈍条件につ
いて鋭意研究を重ねた結果、熱延の巻取温度を600℃以
上とし、その後50〜90%の冷間圧延を施し、2相域加熱
後、急冷して複合組織鋼板とすることにより、次式 △El=(El0+El90−2El45)/2 ここで、El0 :圧延方向に平行方向の伸び El45: 〃 45゜方向の伸び El90: 〃 90゜方向の伸び で示される伸びの異方性(△El)の小さい高延性高強度
冷延鋼板を得ることができることを見い出し、ここに本
発明をなしたものである。
を製造するために、異方性に影響を及ぼすと考えられる
鋼中成分、熱延巻取温度、及び連続焼鈍条件につ
いて鋭意研究を重ねた結果、熱延の巻取温度を600℃以
上とし、その後50〜90%の冷間圧延を施し、2相域加熱
後、急冷して複合組織鋼板とすることにより、次式 △El=(El0+El90−2El45)/2 ここで、El0 :圧延方向に平行方向の伸び El45: 〃 45゜方向の伸び El90: 〃 90゜方向の伸び で示される伸びの異方性(△El)の小さい高延性高強度
冷延鋼板を得ることができることを見い出し、ここに本
発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、C:0.05〜0.15%、Si≦0.7%、M
n:0.45〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及びN≦0.01%を含有
し、必要に応じて更にNb及びTiの1種又は2種:0.01〜
0.1%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼
スラブを熱間圧延するに際して、仕上強度をAc3変態点
以上、巻取温度を600〜750℃の範囲で行って熱延鋼板と
なし、次いで酸洗し、50〜90%の冷間圧延を施し、Ac1
点以上の温度にて10秒〜15分焼鈍し、500〜800℃に強制
空冷した後、水焼入れを行い、200〜450℃で10秒〜15分
の過時効処理を施すことを特徴とする異方性の小さい高
延性高強度冷延鋼板の製造方法を要旨とするものであ
る。
n:0.45〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及びN≦0.01%を含有
し、必要に応じて更にNb及びTiの1種又は2種:0.01〜
0.1%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼
スラブを熱間圧延するに際して、仕上強度をAc3変態点
以上、巻取温度を600〜750℃の範囲で行って熱延鋼板と
なし、次いで酸洗し、50〜90%の冷間圧延を施し、Ac1
点以上の温度にて10秒〜15分焼鈍し、500〜800℃に強制
空冷した後、水焼入れを行い、200〜450℃で10秒〜15分
の過時効処理を施すことを特徴とする異方性の小さい高
延性高強度冷延鋼板の製造方法を要旨とするものであ
る。
また、他の本発明は、C:0.05〜0.15%、Si:0.1〜0.7
%、Mn:0.45〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及びN≦0.01%を
含有し、必要に応じて更にNb及びTiの1種又は2種:0.0
1〜0.1%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる
鋼スラブを熱間圧延するに際して、仕上温度をAc3変態
点以上、巻取温度を600〜750℃の範囲で行って熱延鋼板
となし、次いで酸洗し、50〜90%の冷間圧延を施し、Ac
1点以上の温度にて10秒〜15分焼鈍し、500〜800℃に強
制空冷した後、冷却速度60〜300℃/sで200〜450℃まで
冷却し、その温度にて10秒〜15分の過時効処理を施すこ
とを特徴とする異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の
製造方法を要旨とするものである。
%、Mn:0.45〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及びN≦0.01%を
含有し、必要に応じて更にNb及びTiの1種又は2種:0.0
1〜0.1%含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる
鋼スラブを熱間圧延するに際して、仕上温度をAc3変態
点以上、巻取温度を600〜750℃の範囲で行って熱延鋼板
となし、次いで酸洗し、50〜90%の冷間圧延を施し、Ac
1点以上の温度にて10秒〜15分焼鈍し、500〜800℃に強
制空冷した後、冷却速度60〜300℃/sで200〜450℃まで
冷却し、その温度にて10秒〜15分の過時効処理を施すこ
とを特徴とする異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の
製造方法を要旨とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
(作用) まず、本発明における鋼の化学成分の限定理由につい
て説明する。
て説明する。
C: Cは鋼板の強度を高める上で基本的且つ極めて有効な
元素であるが、含有量が過剰になると鋼板の延性及び伸
びフランジ性等が低下し、成形性やスポット溶接性が阻
害されるので、0.15%以下とする。しかし、Cの含有量
が少なすぎると強度が不十分となるので0.05%以上が必
要である。したがって、C量は0.05〜0.15%の範囲とす
る。
元素であるが、含有量が過剰になると鋼板の延性及び伸
びフランジ性等が低下し、成形性やスポット溶接性が阻
害されるので、0.15%以下とする。しかし、Cの含有量
が少なすぎると強度が不十分となるので0.05%以上が必
要である。したがって、C量は0.05〜0.15%の範囲とす
る。
Si: Siは延性を阻害せずに強度を高めるのに有効な元素で
あるが、過剰になると熱延鋼板で赤スケールが発生し易
くなり、酸洗除去が不十分となって、表面性状を劣化さ
せるので、Si量は0.7%以下とする。
あるが、過剰になると熱延鋼板で赤スケールが発生し易
くなり、酸洗除去が不十分となって、表面性状を劣化さ
せるので、Si量は0.7%以下とする。
Mn: Mnは焼入性を向上させ、強度を高める有効な元素であ
り、その効果を発揮させるには0.45%以上が必要であ
る。しかし、過剰になると鋳造時に偏析を起し、延性の
劣化及び材質不均一となるばかりでなく、コスト高にな
るので、上限は1.8%である。したがって、Mn量は0.45
〜1.8%の範囲とする。
り、その効果を発揮させるには0.45%以上が必要であ
る。しかし、過剰になると鋳造時に偏析を起し、延性の
劣化及び材質不均一となるばかりでなく、コスト高にな
るので、上限は1.8%である。したがって、Mn量は0.45
〜1.8%の範囲とする。
Al: Alは脱酸効果によってSi、Mnの添加歩留りを向上させ
るために0.01%以上が必要である。しかし、0.1%を超
えて多量に含有させるとアルミナの生成量が増大してス
リバー疵等の表面欠陥の原因となるので好ましくない。
したがって、Al量は0.01〜0.1%の範囲とする。
るために0.01%以上が必要である。しかし、0.1%を超
えて多量に含有させるとアルミナの生成量が増大してス
リバー疵等の表面欠陥の原因となるので好ましくない。
したがって、Al量は0.01〜0.1%の範囲とする。
N: NはAlNを析出させるために必要な元素であるが、多
量に含有すると硬質化し、延性を阻害するので、N量は
0.01%以下とする。
量に含有すると硬質化し、延性を阻害するので、N量は
0.01%以下とする。
Nb、Ti: Nb及びTiは鋼の強化に有効な元素であるので、必要に
応じてその1種又は2種を適量で添加することができ
る。添加する場合、強化元素としては0.01%以上でない
とその効果が得られない。しかし、0.1%を超えるとコ
ストが高くなるばかりでなく、伸びが劣化するので好ま
しくない。したがって、添加する場合は、Nb及びTiの1
種又は2種を0.01〜0.1%の範囲で添加する。
応じてその1種又は2種を適量で添加することができ
る。添加する場合、強化元素としては0.01%以上でない
とその効果が得られない。しかし、0.1%を超えるとコ
ストが高くなるばかりでなく、伸びが劣化するので好ま
しくない。したがって、添加する場合は、Nb及びTiの1
種又は2種を0.01〜0.1%の範囲で添加する。
次に本発明の製造条件の限定理由を説明する。
上記化学成分を有する鋼は、連続鋳造等の常法により
スラブとし、このスラブを熱間圧延するが、熱間圧延に
際しては、仕上温度をAr3変態点以上とし、600〜750℃
で巻取らねばならない。このような高温で巻取るのは、
それ以下の温度では伸びの異方性(△El)が大きくなる
ためである。
スラブとし、このスラブを熱間圧延するが、熱間圧延に
際しては、仕上温度をAr3変態点以上とし、600〜750℃
で巻取らねばならない。このような高温で巻取るのは、
それ以下の温度では伸びの異方性(△El)が大きくなる
ためである。
600℃よりも低い温度で巻取ると異方性が大きくなる
原因は、必ずしも明確ではないが、集合組織を調査した
結果、45゜の異方性を高める(110)の集積が高くなっ
ていたことから、熱延鋼板で固溶していたAl、Nが連続
焼鈍中に析出し、45゜の異方性改善効果のある(111)
の発達を抑止したためと推定される。しかし、巻取温度
が750℃よりも高温になるとスケールが多くなり、酸洗
性が悪くなるので、上限を750℃以下とする。
原因は、必ずしも明確ではないが、集合組織を調査した
結果、45゜の異方性を高める(110)の集積が高くなっ
ていたことから、熱延鋼板で固溶していたAl、Nが連続
焼鈍中に析出し、45゜の異方性改善効果のある(111)
の発達を抑止したためと推定される。しかし、巻取温度
が750℃よりも高温になるとスケールが多くなり、酸洗
性が悪くなるので、上限を750℃以下とする。
次に酸洗し、冷間圧延を施すが、冷延率は異方性を小
さくする集合組織を得るには50%以上が必要である。し
かし、冷延率が90%を超えると異方性が再び高くなると
共に圧延の負荷も高くなり、好ましくない。
さくする集合組織を得るには50%以上が必要である。し
かし、冷延率が90%を超えると異方性が再び高くなると
共に圧延の負荷も高くなり、好ましくない。
次に、連続焼鈍により、Ac1点以上の温度範囲に10秒
〜15分加熱する。強度を高める手段として低温変態生成
物を得るにはAc1点以上の温度が必要であり、異方性は
焼鈍温度が高いほど小さくなるため、好ましくはAc1+5
0℃以上で焼鈍した方がよい。また、フェライトを再結
晶させ、低温変態生成物を得て強度を確保するには、炭
化物中のCをオーステナイトに固溶させる必要がある。
このために、保持時間は10秒以上が必要である。しか
し、15分を超えるとコスト高になるばかりでなく、オー
ステナイトの粗大化が起り、材質の劣化につながるので
好ましくない。
〜15分加熱する。強度を高める手段として低温変態生成
物を得るにはAc1点以上の温度が必要であり、異方性は
焼鈍温度が高いほど小さくなるため、好ましくはAc1+5
0℃以上で焼鈍した方がよい。また、フェライトを再結
晶させ、低温変態生成物を得て強度を確保するには、炭
化物中のCをオーステナイトに固溶させる必要がある。
このために、保持時間は10秒以上が必要である。しか
し、15分を超えるとコスト高になるばかりでなく、オー
ステナイトの粗大化が起り、材質の劣化につながるので
好ましくない。
次に、目的の強度を得るために、本発明では、2通り
の手法を採用する。
の手法を採用する。
第1の手法としては、強制空冷により500〜800℃にし
た後、水焼入れを行う。ここで目的の強度にするための
適正な変態生成物を得るには500℃以上が必要である
が、800℃を超えるとマルテンサイト体積率が増え、延
性が劣化するので好ましくない。
た後、水焼入れを行う。ここで目的の強度にするための
適正な変態生成物を得るには500℃以上が必要である
が、800℃を超えるとマルテンサイト体積率が増え、延
性が劣化するので好ましくない。
水焼入れした後に、過時効処理を行うが、その温度が
200℃より低いと、フェライト中の固溶Cが十分に析出
せず、延性が阻害される。また、450℃を超えると、低
温変態生成物であるマルテンサイトが焼戻され、強度−
伸びバランスが低下するため、好ましくない。過時効時
間は、フェライト中の固溶Cを析出させるためには10秒
以上が必要であるが、15分を超えるとマルテンサイトが
過剰に焼戻され、強度が低下するばかりでなく、生産性
の低下、コスト高になるので好ましくない。
200℃より低いと、フェライト中の固溶Cが十分に析出
せず、延性が阻害される。また、450℃を超えると、低
温変態生成物であるマルテンサイトが焼戻され、強度−
伸びバランスが低下するため、好ましくない。過時効時
間は、フェライト中の固溶Cを析出させるためには10秒
以上が必要であるが、15分を超えるとマルテンサイトが
過剰に焼戻され、強度が低下するばかりでなく、生産性
の低下、コスト高になるので好ましくない。
第2の手法としては、500〜800℃に強制空冷した後、
冷却速度60〜300℃/sで200〜450℃まで冷却し、その温
度にて10秒〜15分の過時効処理を施すことによっても、
目的の強度を得ることができる。変態生成物を得るには
500℃以上からの空冷が必要であるが、800℃を超えると
マルテンサイト体積率が増え、延性が劣化するので好ま
しくない。また、過時効処理温度までの冷却速度は、適
正な低温変態生成物を得るには60℃/s以上が必要である
が、所定の強度を得るための低温変態生成物は300℃/s
の冷却速度があれば十分であり、それを超えると板幅方
向に材質むらが出やすくなるので好ましくない。過時効
処理温度は、フェライト中の固溶Cを充分に析出させ延
性を得るには200℃以上が必要である。しかし、450℃を
超えるとベイナイトの生成が多くなり、優れた強度−伸
びバランスが得られなくなるので好ましくない。なお、
充分に過時効するには10秒以上が必要であるが、15分を
超えるとマルテンサイトが過剰に焼戻され、強度が低下
するばかりでなく、生産性の低下、コスト高になるので
好ましくない。
冷却速度60〜300℃/sで200〜450℃まで冷却し、その温
度にて10秒〜15分の過時効処理を施すことによっても、
目的の強度を得ることができる。変態生成物を得るには
500℃以上からの空冷が必要であるが、800℃を超えると
マルテンサイト体積率が増え、延性が劣化するので好ま
しくない。また、過時効処理温度までの冷却速度は、適
正な低温変態生成物を得るには60℃/s以上が必要である
が、所定の強度を得るための低温変態生成物は300℃/s
の冷却速度があれば十分であり、それを超えると板幅方
向に材質むらが出やすくなるので好ましくない。過時効
処理温度は、フェライト中の固溶Cを充分に析出させ延
性を得るには200℃以上が必要である。しかし、450℃を
超えるとベイナイトの生成が多くなり、優れた強度−伸
びバランスが得られなくなるので好ましくない。なお、
充分に過時効するには10秒以上が必要であるが、15分を
超えるとマルテンサイトが過剰に焼戻され、強度が低下
するばかりでなく、生産性の低下、コスト高になるので
好ましくない。
次に本発明の実施例を示す。
(実施例) 第1表に示す化学成分を有する鋼を40kg真空炉で溶製
し、第2表に示す製造条件で、熱延、酸洗、冷延、強制
空冷、過時効処理を施した。連続焼鈍はソルトバスでシ
ミュレートした。
し、第2表に示す製造条件で、熱延、酸洗、冷延、強制
空冷、過時効処理を施した。連続焼鈍はソルトバスでシ
ミュレートした。
このようにして得られた鋼板について、JIS5号引張試
験片を圧延方向に対し、0゜、45゜、90゜方向で採取
し、機械的性質を調べた。その結果を第2表に示す。な
お、伸びの異方性△Elは、前述の次式により求めた。
験片を圧延方向に対し、0゜、45゜、90゜方向で採取
し、機械的性質を調べた。その結果を第2表に示す。な
お、伸びの異方性△Elは、前述の次式により求めた。
△El=(El0+El90−2El45)/2 第2表から明らかなように、本発明材はいずれも、△
Elが絶対値で2.0%以下であり、異方性が小さい。
Elが絶対値で2.0%以下であり、異方性が小さい。
更に、第1図は、第1表に示すA鋼について巻取温度
を変化させた以外は試験No.1(第2表)の条件で得られ
た冷延鋼板の機械的性質を示したものである。L方向の
強度及び延性の変化は小さいが、N方向の延性が巻取温
度の上昇と共に向上して、△Elが小さくなり、異方性が
小さくなることがわかる。例えば、巻取温度600℃の本
発明材は、45゜方向の伸びが低いV型の異方性が示す
が、△Elは1.6と小さい。しかし、同鋼種を用いて巻取
温度560℃の比較材(No.2)は、45゜方向の伸びが低
く、異方性は大きい。
を変化させた以外は試験No.1(第2表)の条件で得られ
た冷延鋼板の機械的性質を示したものである。L方向の
強度及び延性の変化は小さいが、N方向の延性が巻取温
度の上昇と共に向上して、△Elが小さくなり、異方性が
小さくなることがわかる。例えば、巻取温度600℃の本
発明材は、45゜方向の伸びが低いV型の異方性が示す
が、△Elは1.6と小さい。しかし、同鋼種を用いて巻取
温度560℃の比較材(No.2)は、45゜方向の伸びが低
く、異方性は大きい。
第2図は、第1表に示すA鋼について熱延仕上温度90
0℃、巻取温度600℃、連続焼鈍温度を変化させ、連続焼
鈍の焼入開始温度700℃、水焼入れ後、過時効処理温度4
00℃で得られた冷延鋼板の機械的性質を示したものであ
る。連続焼鈍温度が高くなると△Elが小さくなり、異方
性が小さくなることがわかる。
0℃、巻取温度600℃、連続焼鈍温度を変化させ、連続焼
鈍の焼入開始温度700℃、水焼入れ後、過時効処理温度4
00℃で得られた冷延鋼板の機械的性質を示したものであ
る。連続焼鈍温度が高くなると△Elが小さくなり、異方
性が小さくなることがわかる。
一方、比較材No.3は、連続焼鈍温度が本発明範囲より
低いため、45゜方向の伸びが低く、異方性は大きい。
低いため、45゜方向の伸びが低く、異方性は大きい。
本発明材No.6は45゜方向の伸びが高く、異方性は逆V
型を示すが、△Elは1.3%と小さい。しかし、同鋼種を
用いた比較材No.7は、冷延率が本発明範囲を外れてお
り、0゜方向の伸びが低く、異方性は逆V型で△Elは−
4.6%と大きい。
型を示すが、△Elは1.3%と小さい。しかし、同鋼種を
用いた比較材No.7は、冷延率が本発明範囲を外れてお
り、0゜方向の伸びが低く、異方性は逆V型で△Elは−
4.6%と大きい。
また、比較材No.8〜No.9は、製造条件が本発明範囲で
あっても、化学成分が本発明範囲を外れるため、異方性
が大きく、本発明材に劣る。
あっても、化学成分が本発明範囲を外れるため、異方性
が大きく、本発明材に劣る。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、異方性の小さ
い高延性高強度冷延鋼板を得ることができ、しかも多く
の固溶強化元素を用いないので安価に得ることができ
る。
い高延性高強度冷延鋼板を得ることができ、しかも多く
の固溶強化元素を用いないので安価に得ることができ
る。
第1図は機械的性質、特に伸びの異方性に及ぼす熱延巻
取温度の影響を示す図、 第2図は機械的性質、特に伸びの異方性に及ぼす連続焼
鈍温度の影響を示す図である。
取温度の影響を示す図、 第2図は機械的性質、特に伸びの異方性に及ぼす連続焼
鈍温度の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/14 C22C 38/14 (56)参考文献 特開 平1−184229(JP,A) 特開 昭51−6811(JP,A) 特開 昭52−47512(JP,A) 特開 昭57−26143(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21D 8/02 - 8/04 C21D 9/46 - 9/48
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で(以下、同じ)、C:0.05〜0.15
%、Si≦0.7%、Mn:0.45〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及び
N≦0.01%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物から
なる鋼スラブを熱間圧延するに際して、仕上温度をAc3
変態点以上、巻取温度を600〜750℃の範囲で行って熱延
鋼板となし、次いで酸洗し、50〜90%の冷間圧延を施
し、Ac1点以上の温度にて10秒〜15分焼鈍し、500〜800
℃に強制空冷した後、水焼入れを行い、200〜450℃で10
秒〜15分の過時効処理を施すことを特徴とする異方性の
小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】C:0.05〜0.15%、Si:0.1〜0.7%、Mn:0.45
〜1.8%、Al:0.01〜0.1%及びN≦0.01%を含有し、残
部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延
するに際して、仕上温度をAc3変態点以上、巻取温度を6
00〜750℃の範囲で行って熱延鋼板となし、次いでに酸
洗し、50〜90%の冷間圧延を施し、Ac1点以上の温度に
て10秒〜15分焼鈍し、500〜800℃に強制空冷した後、冷
却速度60〜300℃/sで200〜450℃まで冷却し、その温度
にて10秒〜15分の過時効処理を施すことを特徴とする異
方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】前記鋼が更に、Nb及びTiの1種又は2種:
0.01〜0.1%を含有する請求項1又は2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1341287A JP2766693B2 (ja) | 1989-12-29 | 1989-12-29 | 異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1341287A JP2766693B2 (ja) | 1989-12-29 | 1989-12-29 | 異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03202421A JPH03202421A (ja) | 1991-09-04 |
JP2766693B2 true JP2766693B2 (ja) | 1998-06-18 |
Family
ID=18344889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1341287A Expired - Fee Related JP2766693B2 (ja) | 1989-12-29 | 1989-12-29 | 異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2766693B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001083839A1 (fr) * | 2000-04-27 | 2001-11-08 | Kawasaki Steel Corporation | Tole d'acier laminee a froid a haute resistance presentant d'excellentes proprietes en matiere de ductilite et de vieillissement naturel sous contrainte |
US7507307B2 (en) | 2002-06-10 | 2009-03-24 | Jfe Steel Corporation | Method for producing cold rolled steel plate of super high strength |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11193418A (ja) * | 1997-12-29 | 1999-07-21 | Kobe Steel Ltd | 平坦性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 |
KR100400864B1 (ko) * | 1998-12-29 | 2003-12-24 | 주식회사 포스코 | 내충격성이우수한자동차용냉연강판및그제조방법 |
KR100400867B1 (ko) * | 1998-12-29 | 2003-12-31 | 주식회사 포스코 | 소성변형비이방성계수가작고가공성이우수한저탄소냉연강판및그제조방법 |
FR2795742B1 (fr) * | 1999-07-01 | 2001-08-03 | Lorraine Laminage | Tole d'acier a moyen carbone calme a l'aluminium pour emballage |
CN102337454B (zh) * | 2010-07-21 | 2013-05-08 | 攀钢集团钢铁钒钛股份有限公司 | 一种碳素结构钢板及其制备方法 |
CN109355583A (zh) * | 2018-11-09 | 2019-02-19 | 唐山钢铁集团有限责任公司 | 一种低各向异性低合金高强冷轧退火钢带及其生产方法 |
CN115074614A (zh) * | 2021-03-15 | 2022-09-20 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高强度冷轧微合金带钢及其制造方法 |
CN115058660B (zh) * | 2022-06-17 | 2023-05-12 | 武汉钢铁有限公司 | 一种大型水轮发电机组用低温磁轭钢及生产方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS516811A (en) * | 1974-07-09 | 1976-01-20 | Nippon Steel Corp | Ihoseinonai koenseikokyodokoto sonoseizohoho |
JPS5247512A (en) * | 1975-10-14 | 1977-04-15 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | Production process of high tensile cold rolled steel sheet having litt le surface anisotropy |
JPH0676618B2 (ja) * | 1988-01-18 | 1994-09-28 | 新日本製鐵株式会社 | 伸びフランジ成形性の優れたdi缶用鋼板の製造法 |
-
1989
- 1989-12-29 JP JP1341287A patent/JP2766693B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001083839A1 (fr) * | 2000-04-27 | 2001-11-08 | Kawasaki Steel Corporation | Tole d'acier laminee a froid a haute resistance presentant d'excellentes proprietes en matiere de ductilite et de vieillissement naturel sous contrainte |
US7507307B2 (en) | 2002-06-10 | 2009-03-24 | Jfe Steel Corporation | Method for producing cold rolled steel plate of super high strength |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03202421A (ja) | 1991-09-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2415894B1 (en) | Steel sheet excellent in workability and method for producing the same | |
EP1498507B1 (en) | Cold-rolled steel sheet and galvanized steel sheet having excellent strain age hardenability and method of producing the same | |
JPH07138704A (ja) | 高強度高延性複相組織ステンレス鋼およびその製造方法 | |
JP3292671B2 (ja) | 深絞り性と耐時効性の良好な冷延鋼板用の熱延鋼帯 | |
WO2001023625A1 (fr) | Tole d'acier et son procede de fabrication | |
US10301700B2 (en) | Method for producing a steel component | |
JP4457681B2 (ja) | 高加工性超高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP2766693B2 (ja) | 異方性の小さい高延性高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP2876968B2 (ja) | 高延性を有する高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP3901039B2 (ja) | 成形性に優れる超高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP3514158B2 (ja) | 伸びフランジ加工性と材質安定性に優れた高張力熱延鋼板の製造方法 | |
JP4265153B2 (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JPH0759726B2 (ja) | 局部延性にすぐれる高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP4265152B2 (ja) | 伸びおよび伸びフランジ性に優れた高張力冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP3263143B2 (ja) | 加工性に優れた焼付硬化型高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 | |
JP2652539B2 (ja) | 張出し成形性及び疲労特性にすぐれる複合組織高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JP2862186B2 (ja) | 伸びの優れた溶融亜鉛めっき高強度薄鋼板の製造方法 | |
JP2001303175A (ja) | 形状凍結性に優れたフェライト系薄鋼板及びその製造方法 | |
JP3334646B2 (ja) | 合金化溶融亜鉛めっき熱延鋼板の製造方法 | |
JP3332060B2 (ja) | 表面性状の良好な冷延鋼板の製造方法 | |
JP4273646B2 (ja) | 加工性に優れた高強度薄鋼板及びその製造方法 | |
JP3616472B2 (ja) | 加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 | |
JP2612452B2 (ja) | 高延性高強度冷延鋼板の製造方法 | |
JPH0557332B2 (ja) | ||
JP3489295B2 (ja) | 連続焼鈍による深絞り用冷延鋼帯の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080403 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090403 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |