JP2764673B2 - クランクシャフトの高周波焼入装置 - Google Patents

クランクシャフトの高周波焼入装置

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JP2764673B2
JP2764673B2 JP4354040A JP35404092A JP2764673B2 JP 2764673 B2 JP2764673 B2 JP 2764673B2 JP 4354040 A JP4354040 A JP 4354040A JP 35404092 A JP35404092 A JP 35404092A JP 2764673 B2 JP2764673 B2 JP 2764673B2
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日吉 渡邊
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクランクシャフトの高周
波焼入装置およびクランクシャフトの高周波焼入方法に
関し、特に、中品種のクランクシャフトを中量生産する
のに好適なクランクシャフトの高周波焼入装置およびク
ランクシャフトの高周波焼入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、中品種のクランクシャフトの中量
生産に好適なクランクシャフトの高周波焼入装置および
高周波焼入方法は適当なものがなかった。そして、大量
のクランクシャフトを焼入する場合には、一般的に以下
のようにしている。即ち、クランクシャフトが例えば4
気筒エンジン用である場合には、焼入装置は、ピン焼入
ステーションとジャーナル焼入ステーションとを備え、
ピン焼入ステーションには各ピンに対応する4個のピン
焼入コイルが、また、ジャーナル焼入ステーションには
各ジャーナルに対応する5個のジャーナル焼入コイルが
設けられる。
【0003】第1の種類のクランクシャフトを大量焼入
するには、クランクシャフトは1個ずつ、ピン焼入ステ
ーションに送られて全てのピンが同時に焼入されてか
ら、ジャーナル焼入ステーションに送られて全てのジャ
ーナルが同時に焼入されて後、次のステーションに送ら
れる。このようにして第1の種類のクランクシャフトの
ピンとジャーナルの全数を焼入する。
【0004】次いで、第2の種類のクランクシャフトを
大量焼入するには、ピン焼入ステーションのピン焼入コ
イルおよびジャーナル焼入ステーションのジャーナル焼
入コイルを、それぞれ、第2の種類のクランクシャフト
のピンおよびジャーナルに対応したものに交換後、第1
の種類のクランクシャフトと同様に焼入する。第3以後
の種類のクランクシャフトについても同様である。
【0005】また、小量のクランクシャフトを焼入する
ときには、各クランクシャフトに対してピンを順次焼入
後、ジャーナルを順次焼入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような大量のク
ランクシャフトを焼入する手段を中品種、中量生産のク
ランクシャフトの焼入に適用すると、(1)ピン焼入ス
テーションおよびジャーナル焼入ステーションの2つの
ステーションを備えるので、装置の寸法が大きくなり、
従って、装置のコストが大となる。(2)ピン焼入ステ
ーションでは、1つのクランクシャフトのピンの数だけ
のピン焼入コイルを設置し、また、ジャーナル焼入ステ
ーションでも1つのクランクシャフトのジャーナルの数
だけのジャーナル焼入コイルを設置しなければならない
ので、焼入コイル等のコストが大きくなる。(3)ピン
焼入ステーションでは全てのピンを同時に焼入し、ま
た、ジャーナル焼入ステーションでも全てのジャーナル
を同時に焼入するので、大きな焼入用電力を必要とし、
従って、焼入用電源設備のコストが大きくなる。(4)
クランクシャフトの種類が変わったときに、ピン焼入コ
イルおよびジャーナル焼入コイルを取り替えるのに時間
がかかる。
【0007】また、上記のような小量のクランクシャフ
トを焼入する方式を中品種、中量生産のクランクシャフ
トの焼入に適用すると、各クランクシャフトの焼入にお
いて、ピンの焼入後、焼入コイルをジャーナル用のもの
に交換する作業を必要とし、また、クランクシャフトの
種類が変わるたびに、その種類に対応した焼入コイルに
交換するための手間も必要とするので、クランクシャフ
トが中量であるといっても、全体の焼入工程が極めて長
くなる。
【0008】本発明は上記事情に鑑みて創案されたもの
であって、中品種中量のクランクシャフトの全てのピン
およびジャーナルを焼入するのに、設備コスト面でも、
また、焼入コイルの交換に要する時間も含めた焼入工程
の長さにおいても好適なクランクシャフトの高周波焼入
装置および高周波焼入方法を提供する事を目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のクランク
シャフトの高周波焼入装置は、被焼入部であるピンとジ
ャーナルとを備えた複数種類のクランクシャフトの高周
波焼入装置であって、クランクシャフトを水平に支持し
且つ回転させるクランクシャフト支持回転装置と、前記
支持回転装置を前記支持回転装置が支持しているクラン
クシャフトの軸方向に移動させるクランクシャフト水平
方向移動装置と、前記支持回転装置に支持されたクラン
クシャフトのほぼ上方でクランクシャフトのほぼ軸方向
に沿って、被焼入部の種類ごとに1個ずつ設けられ、焼
入液の噴射も行う焼入コイルと、各焼入コイルを降下さ
せて被焼入部に載置し、上昇させて被焼入部から離反さ
せる焼入コイル昇降装置とを備えており、前記焼入コイ
ルは、各種類のピンにそれぞれ対応し前記軸方向に順次
配設されたピン焼入コイルと、各種類のジャーナルにそ
れぞれ対応しピン焼入コイルの両側に分割され且つ前記
軸方向に順次配設されたジャーナル焼入コイルとを備え
ている。
【0010】
【実施例】 以下、図面を参照して本発明のクランクシャ
フトの高周波焼入装置の実施例を説明する。
【0011】図1〜図9は第1実施例を説明するための
図面であって、図1は概略正面説明図、図2は図1のX
−X線矢視断面説明図、図3は第1種類のクランクシャ
フトの焼入動作の全体説明図である。
【0012】図4(a)は焼入動作の段階1の説明図、
図4(b)は焼入動作の段階1の一部の詳細説明図、図
5は焼入動作の段階2、3の説明図、図6は焼入動作の
段階4、5の説明図である。
【0013】図7は第2種類のクランクシャフトの焼入
動作の全体説明図、図8および図9は第1実施例の変化
例の説明図である。
【0014】図10は第2実施例の概略正面説明図、図
11は第1および第2実施例においてワークとして採り
上げた2種類のクランクシャフトの正面図である。
【0015】本実施例は2種類のクランクシャフトの全
てのピンとジャーナルとを焼入することができる高周波
焼入装置であって、ワークの例としては、図11に示すよ
うに、4気筒エンジンに使用され、互いに形状、寸法が
異なっている第1および第2種類のクランクシャフトW
1 、W2 を採り上げた。クランクシャフトW1 の全長は
H1であり、クランクシャフトW2 の全長は、H1より少し
短いH2である。以下、クランクシャフトW1 とクランク
シャフトW2 を総称するときには、クランクシャフトW
という。
【0016】クランクシャフトW1 は、1種類の形状、
即ち、互いに同形で幅寸法がA であるピンP1〜P4と、3
種類の形状のジャーナルJ1〜J5を備えており、ジャーナ
ルJ2〜J4は互いに同形であり幅寸法はB3であるが、ジャ
ーナルJ1およびJ5の幅寸法はそれぞれB1およびB5であっ
て、ジャーナルJ1とJ5とは同形ではなく、また、ジャー
ナルJ1およびJ5のいずれもがジャーナルJ2〜J4と同形で
はない。ピンP1〜P4とジャーナルJ1〜J5は、クランクシ
ャフトW1 の一端(出力側)から順次ジャーナルJ1、ピ
ンP1、ジャーナルJ2、ピンP2、ジャーナルJ3、ピンP3、
ジャーナルJ4、ピンP4、およびジャーナルJ5の順で他端
に向かって配置されている。クランクシャフトW1 の他
端にはフランジFが形成されている。FAはフランジFが
図示しない機器と接合される面(以下フランジ面とい
う)である。
【0017】ジャーナルJ1、ピンP1のセンタ間の距離は
C1、ピンP1、ジャーナルJ2のセンタ間、ジャーナルJ2、
ピンP2のセンタ間、ピンP2、ジャーナルJ3のセンタ間、
ジャーナルJ3、ピンP3のセンタ間、ピンP3、ジャーナル
J4のセンタ間、ジャーナルJ4、ピンP4のセンタ間の各距
離はC2であり、ピンP4、ジャーナルJ5のセンタ間の距離
はC1である。また、ジャーナルJ1のセンタとクランクシ
ャフトW1 の一端間の距離はC0であり、ジャーナルJ5の
センタとフランジ面FA間の距離はC3である。
【0018】クランクシャフトW2 は、1種類の形状、
即ち、互いに同形で幅寸法がD であるピンP1〜P4と、3
種類の形状のジャーナルJ1〜J5を備えており、ジャーナ
ルJ2〜J4は互いに同形であり幅寸法はE3であるが、ジャ
ーナルJ1およびJ5の幅寸法はそれぞれE1およびE5であっ
て、ジャーナルJ1とJ5とは同形ではなく、また、ジャー
ナルJ1およびJ5のいずれもがジャーナルJ2〜J4と同形で
はない。ピンP1〜P4とジャーナルJ1〜J5の配置と、フラ
ンジ面FAを有するフランジFが形成されている点とは、
クランクシャフトW1 と同じである。
【0019】ジャーナルJ1、ピンP1のセンタ間の距離は
F1、ピンP1、ジャーナルJ2のセンタ間とジャーナルJ2、
ピンP2のセンタ間の距離はF2、ピンP2、ジャーナルJ3の
センタ間とジャーナルJ3、ピンP3のセンタ間の距離はF
3、ピンP3、ジャーナルJ4のセンタ間とジャーナルJ4、
ピンP4のセンタ間の距離はF2、ピンP4とジャーナルJ5の
センタ間の距離はF4である。また、ジャーナルJ1のセン
タとクランクシャフトW2 の一端間の距離はF0であり、
ジャーナルJ5のセンタとフランジ面FA間の距離はF5であ
る。
【0020】図1および図2に示すように、本実施例の
高周波焼入装置には、クランクシャフトWを1個ずつ水
平且つ回転自在に支持すると共にクランクシャフトWを
回転させるクランクシャフト支持回転装置30と、クラン
クシャフト支持回転装置30を、この支持回転装置30が支
持しているクランクシャフトWの軸方向(矢印Rの方向
および矢印Rと反対方向の矢印Sの方向)に移動させる
クランクシャフト水平移動装置40と、クランクシャフト
支持回転装置30に支持されたクランクシャフトWの上方
でクランクシャフトWの軸方向に沿って、クランクシャ
フトWのピンやジャーナルの種類ごとに1個ずつ設けら
れ、焼入液の噴射も行うピン焼入コイルC1P 、C2P 、ジ
ャーナル焼入コイルC1J1、C1J3、C1J5、C2J1、C2J3、お
よびC2J5と、各焼入コイルを降下させてそれぞれの被焼
入部に載置し、上昇させて被焼入部から離反させる焼入
コイル昇降装置10とを備えている。
【0021】以下、高周波焼入装置を詳細に説明する。
図1と図2に示すように、クランクシャフト支持回転装
置30は、クランクシャフトWの一端を回転自在に支持す
るセンタ31と、他端のフランジFを把持するチャック32
と、センタ31およびチャック32をそれぞれ保持している
テールストック33およびヘッドストック34と、チャック
32を回転してクランクシャフトWを回転させると共にチ
ャック32による把持の制御を行うチャック制御回転装置
35とを備えている。そして、テールストック33およびヘ
ッドストック34は、共通台板36の両端近辺上方に配設さ
れ、それぞれ、シリンダ37および38によってクランクシ
ャフトWの軸方向に進退される。
【0022】クランクシャフト水平移動装置40は、高周
波焼入装置の設置面49上に固定された平行な1対のレー
ル44と、レール44に摺動自在であるように共通台板36の
下面に取り付けられた1対のスライダ46と、共通台板36
の下面に設けた突起45と、この突起45に螺合し且つ両端
が1対の軸受42によって支持されているボールネジ41
と、ボールネジ41の回転用として一方の軸受42に取り付
けられたモータ43とを備えている。
【0023】ピン焼入コイルC1P 、ジャーナル焼入コイ
ルC1J1、C1J3、およびC1J5は、それぞれ、クランクシャ
フトW1 のピンP1〜P4、ジャーナルJ1、ジャーナルJ2〜
J4、およびジャーナルJ5を焼入するコイルであり、ま
た、ピン焼入コイルC2P 、ジャーナル焼入コイルC2J1、
C2J3、およびC2J5は、それぞれ、クランクシャフトW2
のピンP1〜P4、ジャーナルJ1、ジャーナルJ2〜J4、およ
びジャーナルJ5を焼入するコイルである。
【0024】これらの焼入コイルは、クランクシャフト
支持回転装置30に支持されたクランクシャフトWの一端
側からクランクシャフトWの軸方向に沿って、ジャーナ
ル焼入コイルC1J1、C2J1、C1J3、C2J3、ピン焼入コイル
C1P 、C2P 、ジャーナル焼入コイルC1J5およびC2J5の順
で配設されている。このような順で焼入コイルを配置す
るのは、各クランクシャフトWの移動時間を極力短くし
て焼入工程を短縮するためである。そして、これら焼入
コイルの上端には、それぞれ、各焼入コイルに高周波電
流を供給するトランスT1J1、T2J1、T1J3、T2J3、T1P 、
T2P 、T1J5、およびT2J5が取り付けられている。
【0025】後述するように、本実施例の高周波焼入装
置でクランクシャフトWのピンP1〜P4およびジャーナル
J1〜J5を焼入する際には、クランクシャフト支持回転装
置30によって支持されているクランクシャフトWを、そ
の軸方向に、焼入の所定の段階ごとに、焼入しようとす
るピン或いはジャーナルが、このピン或いはジャーナル
を焼入する焼入コイルの直下に来るように移動させる。
【0026】即ち、焼入コイルが、前記のように、クラ
ンクシャフトWの一端側からクランクシャフトWの軸方
向に沿って、ジャーナル焼入コイルC1J1、C2J1、C1J3、
C2J3、ピン焼入コイルC1P 、C2P 、ジャーナル焼入コイ
ルC1J5およびC2J5の順で配置されているのは、上記のよ
うな段階ごとの焼入に対処するためである。
【0027】また、焼入コイルを下部に取り付けている
トランスT1J1、T2J1、T1J3、T2J3、T1P 、T2P 、T1J5、
およびT2J5の具体的な位置、即ち、クランクシャフトW
の軸方向における焼入コイルの位置も、このような段階
ごとの焼入に対処できるように、クランクシャフトW1
、W2 のピンとジャーナルのセンタ間の前記距離C1〜C
3、F1〜F4を考慮して決定してある。即ち、全てのトラ
ンスを、前記の順で、しかも、焼入の各段階で焼入しよ
うとするピン或いはジャーナルの真上に焼入コイルが位
置するように配置できる幅の狭い、いわゆるディスクタ
イプトランスを採用している。
【0028】前記各トランスは、焼入コイルをトランス
と共に降下させて対応するピン或いはジャーナルに載置
し、また、上昇させてピン或いはジャーナルから離反さ
せる焼入コイル昇降装置10を介して電力整合盤50から支
持されている。この電力整合盤50は、支持脚51を介して
高周波焼入装置の設置面49に取り付けられており、高周
波電流を、図示しない高周波電源から受けて各トランス
に供給する。
【0029】以下、図2を参照し、ジャーナル焼入コイ
ルC1J1を例にとって、焼入コイルおよび焼入コイル昇降
装置10を説明する。ジャーナル焼入コイルC1J1は、半開
放鞍型の高周波誘導加熱コイル(以下高周波誘導加熱コ
イルを単に加熱コイルという)1 と、ジャーナル焼入コ
イルC1J1の入力端子3 と、加熱コイル1 と入力端子3と
を接続しているリード2 と、焼入液噴射用の1対のジャ
ケット4 と、これら加熱コイル1 、リード2 、入力端子
3 、およびジャケット4 を取り付けているコイル側板5
とを備えている。なお、ジャケット4には図示しない焼
入液供給管が接続されている。入力端子3 は、加熱コイ
ル1 に高周波電流を供給するトランスT1J1の出力端子6
に結合固定されている。なお、トランスT1J1は、天板22
からパンタグラフ23を介して吊り下げた底板21上に載置
固定されている。
【0030】焼入コイル昇降装置10は、一端が前記天板
22の上面に設けた突起18に、他端が電力整合盤50の前面
に設けた突起19に、それぞれ回転自在に取り付けられて
いる直線状の連結棒15と、電力整合盤50の頂面に固定し
たブラケット14に回転自在に取り付けた滑車11と、この
滑車11に巻回され、一端が前記突起18に固定され、他端
がバネ13を介して電力整合盤50の頂面に固定されたワイ
ヤ12と、電力整合盤50の前面に垂直に取り付けたシリン
ダ17と、シリンダ17の動作によって垂直方向に進退し、
先端が連結棒15の両端間の下部を支持しているロッド16
とを備えている。
【0031】次に、本実施例の高周波焼入装置によるク
ランクシャフトW1 、W2 の焼入方法を説明する。ま
ず、始めに、第1種類のクランクシャフトW1 が焼入さ
れるものとする。即ち、図示しない搬送手段によって搬
送されてきた第1種類の1本のクランクシャフトW1
は、図1上で手前から奥側の方向に送られて、予め高周
波焼入装置の受入位置Uに待機しているクランクシャフ
ト支持回転装置30のセンタ31とチャック32間に、軸方向
が水平であるように搬入される。
【0032】次いで、センタ31およびチャック32がそれ
ぞれシリンダ37および38によって進出してクランクシャ
フトW1 の一端を回転自在に支持し、他端のフランジF
を把持する。このようにセンタ31とチャック32とで保持
された状態のクランクシャフトW1 が図1、および図3
の段階1に示されている。なお、クランクシャフトW1
が受入位置Uに至るまでの途中で、図示しない公知のク
ランクシャフト種類検出器によってクランクシャフトの
種類が第1種類であること、即ち、クランクシャフトW
1 であることが検出されているので、シリンダ37と38は
クランクシャフトW1 に対応した所定の距離だけ進出
し、支持および把持を行う。このように保持されている
クランクシャフトW1 のフランジ面FAと一致する垂直面
を以下基準面Kという。
【0033】以下図3〜図6を参照してクランクシャフ
トW1 の焼入の各段階における動作を説明する。図4〜
図6において、幅の広い横線或いは斜線は動作を示し、
これらの線の傍に記載されている数値および矢線の途中
に示す数値は、動作時間の例を秒で示している。幅の狭
い横線は前の動作の終了状態が保たれていることを示
す。点線は1つの動作から他の動作へ移ることを示し、
幅の狭い縦線は参考線である。
【0034】図3に示すように、クランクシャフトW1
のフランジ面FAが基準面Kと一致している段階1では、
ピンP3、ジャーナルJ1、J2、およびJ5を、この順序で焼
入する。図4に示すように、クランクシャフトW1 は受
入位置Uに搬入され、クランクシャフト支持回転装置30
によって保持されて後、上方からピン焼入コイルC1Pが
降下してピンP3上に載置されるように、ピンP3を上死点
までチャック制御回転装置35によって移動させる(ピン
P3位置割り出し)。
【0035】次いで、ピン焼入コイルC1P とジャーナル
焼入コイルC1J1、C1J3、C1J5をそれぞれの焼入コイル昇
降装置10によって同時に降下させてピンP3、ジャーナル
J1、J2、J5に載置する。ピン焼入コイルC1P を例にとっ
て説明すると、ピン焼入コイルC1P 用の焼入コイル昇降
装置10のシリンダ17を動作させてロッド16を後退させる
と、トランスT1P と共にピン焼入コイルC1P が降下して
ピン焼入コイルC1P の加熱コイル1 がピンP3に載置され
る。そして、直ちにチャック制御回転装置35によるクラ
ンクシャフトW1 の回転が開始されると共に、図示しな
い高周波電源が発生した高周波電流がトランスT1P を介
してピン焼入コイルC1P の加熱コイル1に通電され始め
て、ピンP3の加熱が開始される。そして、所定時間ピン
P3が加熱された後、ピン焼入コイルC1P のジャケット4
から焼入液をピンP3に噴射して冷却し、ピンP3の焼入を
終了する。この後、ジャーナルJ5の焼入が終了するま
で、ピン焼入コイルC1P はピンP3上に載置された状態を
保つ。
【0036】ピンP3の加熱終了(ピンP3の冷却開始)後
1秒経過したときに、ジャーナルJ1の加熱が開始され、
加熱終了後引き続いて冷却が行われる。ジャーナルJ1の
加熱終了後1秒経過したときに、ジャーナルJ2の加熱が
開始され、加熱終了後引き続いて冷却が行われる。ジャ
ーナルJ2の加熱終了後1秒経過したときに、ジャーナル
J5の加熱が開始され、加熱終了後引き続いて冷却が行わ
れる。
【0037】図4(b)に示すように、ジャーナルJ5の
冷却期間の終期に、ピンP3の位置割り出しが行われる。
即ち、ジャーナルJ5の冷却開始後8秒経過したときに、
ピンP3の位置割り出しが開始され、ピンP3は上死点に至
ってクランクシャフトW1 の回転が停止されて位置割り
出しが終了する。クランクシャフトW1 の回転数を例え
ば30rpm とするとこの位置割り出しは最大2秒で終わ
る。なお、ピンP3の位置割り出しが終了するまで冷却液
の噴射は続行される。次いで、ピン焼入コイルC1P とジ
ャーナル焼入コイルC1J1、C1J3、C1J5をそれぞれの焼入
コイル上昇装置10によって一斉に上昇させる。ピン焼入
コイルC1P を例にとって説明すると、シリンダ17が動作
してロッド16が進出し、トランスT1P がピン焼入コイル
C1P と共に上昇される。
【0038】次に、図5に示す段階2に入る。まず、ク
ランクシャフト水平移動装置40のモータ43を起動してボ
ールネジ41を回転させることによって、クランクシャフ
ト支持回転装置30に支持されたクランクシャフトW1
を、図3に示す距離L1だけ矢印Rの方向に移動させて、
ジャーナル焼入コイルC1J3およびC1P の直下にそれぞれ
ジャーナルJ3およびピンP4を位置せしめる。次いで、段
階1のピンP3と同様にピンP4の位置割り出しを行う。
【0039】そして、ピン焼入コイルC1P とジャーナル
焼入コイルC1J3を同時に降下させてそれぞれピンP4とジ
ャーナルJ3に載置後、クランクシャフトW1 の回転を開
始してから、ピンP4の加熱と冷却とを行う。ジャーナル
焼入コイルC1J3は、ピンP4の加熱終了後1秒経過したと
きジャーナルJ3の加熱を開始し、加熱終了後冷却を行
う。この冷却期間の終期に、図4(b)で説明したのと
同様に、ピンP4の位置割り出しが行われてクランクシャ
フトW1 の回転が停止される。この後、ピン焼入コイル
C1P とジャーナル焼入コイルC1J3は上昇される。
【0040】次いで、段階3に入る。クランクシャフト
W1 を、クランクシャフト水平移動装置40によって更に
距離L2だけ矢印Rの方向に移動させて、ジャーナル焼入
コイルC1J3の直下にジャーナルJ4を位置せしめる。次い
で、ジャーナル焼入コイルC1J3を降下させてジャーナル
J4に載置後、直ちにクランクシャフトW1 の回転を開始
してから、ジャーナルJ4の加熱と冷却を行う。次いで、
ジャーナル焼入コイルC1J3を上昇させると共にクランク
シャフトW1 の回転を停止する。
【0041】この後、図6に示す段階4に入る。クラン
クシャフトW1 を距離L3だけ矢印Sの方向に移動させ
て、ピン焼入コイルC1P の直下にピンP2を位置せしめ
る。そして、ピンP2の位置割り出しを行ってから、ピン
焼入コイルC1P を降下させてピンP2に載置後、クランク
シャフトW1 の回転を開始してから、ピンP2の加熱と冷
却を行う。ピンP2の冷却期間の終期にピンP2の位置割り
出しが行われてクランクシャフトW1 の回転が停止され
る。次いでピン焼入コイルC1P を上昇させる。
【0042】次いで、段階5に入る。クランクシャフト
W1 を更に距離L4だけ矢印Sの方向に移動させてピンP1
をピン焼入コイルC1P の直下に位置せしめる。そして、
ピンP1の位置割り出しを行ってから、ピン焼入コイルC1
P を降下させてピンP1に載置後、クランクシャフトW1
の回転を開始してから、ピンP1の加熱と冷却を行う。ピ
ンP1の冷却期間の終期にピンP1の位置割り出しが行われ
てクランクシャフトW1 の回転が停止される。次いで、
ピン焼入コイルC1P を上昇させる。これで、クランクシ
ャフトW1 のピンP1〜P4およびジャーナルJ1〜J5の焼入
を終了した。
【0043】この後、クランクシャフトW1 を、焼入開
始前の位置、即ち、クランクシャフトW1 のフランジ面
FAが基準面Kと一致している位置まで、距離L5だけ矢印
Rの方向に移動してから、前記搬送手段によって支持
し、センタ31による一端の支持の解除と、チャック32に
よる他端の把持とを解除する。次いで、前記搬送手段に
よって、例えば電力整合盤50の下方を通過して次のステ
ーションに移動させる。
【0044】同時に、受入位置Uには、前記搬送手段に
よって次のクランクシャフトWがセンタ31とチャック32
の間に軸方向が水平であるように搬入される。そして、
次のクランクシャフトWが第2種類のクランクシャフト
W2 であると、センタ31およびチャック32を進出させて
センタ31で一端を支持し、チャック32で他端を把持しな
がら、クランクシャフトW2 のフランジ面FAが前記基準
面Kに一致するようにセンタ31およびチャック32を進退
させてクランクシャフトW2 の軸方向の位置決めを行
う。このように、クランクシャフトW2 が保持された状
態が、図7の段階1である。
【0045】次に、段階2に入る。クランクシャフトW
2 は矢印Sの方向に距離M1だけ移動されて、ピンP3、ジ
ャーナルJ1、J2およびJ5を、それぞれ、ピン焼入コイル
C2P、ジャーナル焼入コイルC2J1、C2J3、およびC2J5の
直下に位置せしめる。次いで、クランクシャフトW1 の
段階1と同様に、ピン焼入コイルC2P 、ジャーナル焼入
コイルC2J1、C2J3、およびC2J5および各焼入コイル用の
焼入コイル昇降装置10の動作によってピンP3、ジャーナ
ルJ1、J2、およびJ5が焼入される。段階3において、ク
ランクシャフトW2 は距離M2だけ矢印Rの方向に移動さ
れてから、クランクシャフトW1 の段階2と同様に、ピ
ン焼入コイルC2P 、ジャーナル焼入コイルC2J3の動作に
よってピンP4、ジャーナルJ3が焼入される。
【0046】次いで、段階4において、クランクシャフ
トW2 は距離M3だけ矢印Rの方向に移動されてから、ク
ランクシャフトW1 の段階3と同様に、ジャーナル焼入
コイルC2J3によってジャーナルJ4が焼入される。この
後、段階5において、クランクシャフトW2 は距離M4だ
け矢印Sの方向に移動されてから、クランクシャフトW
2 の段階4と同様に、ピン焼入コイルC2P によって、ピ
ンP2が焼入される。
【0047】次いで、段階6において、クランクシャフ
トW2 は距離M5だけ矢印Sの方向に移動されてから、ク
ランクシャフトW1 の段階5と同様に、ピン焼入コイル
C2PによってピンP1が焼入されて後、距離M6だけ矢印R
の方向に、フランジ面FAが基準面Kと一致する位置まで
移動される。この後、クランクシャフトW2 は前記搬送
手段によって支持されてから、センタ31による一端の支
持の解除と、チャック32による他端の把持の解除とが行
われる。そして、前記搬送手段によって次のステーショ
ンに搬出される。
【0048】上記のように、クランクシャフトWは、1
つのステーションで全てのピンとジャーナルの焼入が行
われるから、高周波焼入装置は小型化できる。また、例
えばクランクシャフトW1 の焼入の段階1の開始から段
階5の終了までの時間は、個々の動作時間が図4〜図6
に記した例の場合には、251.5 秒であって、従来のよう
に、クランクシャフトW1 の全てのピンP1〜P4の焼入終
了後、ピン焼入コイルをジャーナル焼入コイルに交換し
てから全てのジャーナルJ1〜J5を焼入する場合に比べる
と、焼入コイル交換に要する時間を必要としないので、
極めて短い。
【0049】次に、第1実施例の第1変化例として、図
8を参照し、1台のクランクシャフト支持回転装置30を
用いて3種類のクランクシャフトを焼入する高周波焼入
装置を説明する。図8(a)は、第1実施例の図1に示
す高周波焼入装置の平面説明図であって、理解の便のた
めに、クランクシャフト支持回転装置30のセンタ31、チ
ャック32、テールストック33、ヘッドストック34、共通
台板36、および、ピン焼入コイルC1P 、C2P 、ジャーナ
ル焼入コイルC1J1、C1J3、C1J5、C2J5のみを示してい
る。図8(b)と(c)も同様の要領で図示してある。
【0050】例えば、4種類のクランクシャフトの高周
波焼入装置は、図8(b)に示すように、第1実施例の
高周波焼入装置と、この高周波焼入装置に並列に、第1
および第2種類のクランクシャフトW1 、W2 のジャー
ナル焼入コイルC1J1、C2J1、C1J3、C2J3、ピン焼入コイ
ルC1P 、C2P 、ジャーナル焼入コイルC1J5およびC2J5に
それぞれ対応する第3および第4種類のクランクシャフ
トのジャーナル焼入コイルC3J1、C4J1、C3J3、C4J3、ピ
ン焼入コイルC3P 、C4P 、ジャーナル焼入コイルC3J5お
よびC4J5を配設する。
【0051】そして、クランクシャフト支持回転装置30
に支持されたクランクシャフトの種類が第1或いは第2
種類であれば、第1実施例と同様にクランクシャフトを
焼入する。クランクシャフトが第3或いは第4種類であ
ると、クランクシャフト支持回転装置30を矢印Y1の方向
に移動後、ジャーナル焼入コイルC3J1、C4J1、C3J3、C4
J3、ピン焼入コイルC3P 、C4P 、ジャーナル焼入コイル
C3J5およびC4J5によって焼入する。
【0052】第1実施例の第2変化例として、5種類の
クランクシャフトの高周波焼入装置を説明する。この焼
入装置は、図8(c)に示すように、図8(b)に示す
焼入装置に、第5種類のクランクシャフトのジャーナル
焼入コイルC5J1、C5J3、ピン焼入コイルC5P 、およびジ
ャーナル焼入コイルC5J5を追加したものであって、これ
ら焼入コイルは、第1および第2種類のクランクシャフ
ト用の焼入コイルの延長線上に、第1種類のクランクシ
ャフト用の焼入コイルと同間隔で配設されている。
【0053】クランクシャフト支持回転装置30に支持さ
れたクランクシャフトが第3或いは第4種類のときに
は、図8(b)に示す装置と同様に焼入すればよく、ま
た、第5種類のときには、クランクシャフト支持回転装
置30を矢印Y2の方向に移動させてから、ジャーナル焼入
コイルC5J1、C5J3、ピン焼入コイルC5P 、およびジャー
ナル焼入コイルC5J5によって焼入する。
【0054】第1実施例の第3変化例として、8種類の
クランクシャフトに対応するために、クランクシャフト
支持回転装置30を2台設けた高周波焼入装置を説明す
る。この装置は、図9に示すように、2台のクランクシ
ャフト支持回転装置30a および30b を平行に配設してあ
る。そして、クランクシャフト支持回転装置30a の上方
に第1および第2種類のクランクシャフトのジャーナル
焼入コイルC1J1、C2J1、C1J3、C2J3、ピン焼入コイルC1
P 、C2P 、ジャーナル焼入コイルC1J5およびC2J5を配設
し、これら焼入コイルの延長線上に第3および第4種類
のクランクシャフトのジャーナル焼入コイルC3J1、C4J
1、C3J3、C4J3、ピン焼入コイルC3P 、C4P、ジャーナル
焼入コイルC3J5およびC4J5を配設している。
【0055】また、クランクシャフト支持回転装置30b
の上方に第5および第6種類のクランクシャフトのジャ
ーナル焼入コイルC5J1、C6J1、C5J3、C6J3、ピン焼入コ
イルC5P 、C6P 、ジャーナル焼入コイルC5J5およびC6J5
を配設し、これら焼入コイルの延長線上に第7および第
8種類のクランクシャフトのジャーナル焼入コイルC7J
1、C8J1、C7J3、C8J3、ピン焼入コイルC7P 、C8P 、ジ
ャーナル焼入コイルC7J5およびC8J5を配設している。
【0056】軸方向が水平且つ矢印Y1と直角方向に保持
され、矢印Y1の方向に移動されてきたクランクシャフト
が第1或いは第2種類であるときには、クランクシャフ
ト支持回転装置30a でクランクシャフトを支持して第1
実施例と同様に焼入する。また、クランクシャフトが第
5或いは第6種類であるときには、クランクシャフト支
持回転装置30b で支持して第1実施例と同じ要領でジャ
ーナル焼入コイルC5J1、C6J1、C5J3、C6J3、ピン焼入コ
イルC5P 、C6P 、ジャーナル焼入コイルC5J5およびC6J5
によって焼入する。
【0057】クランクシャフトが第3或いは第4種類で
あるときには、クランクシャフト支持回転装置30a でク
ランクシャフトを支持していから、クランクシャフト支
持回転装置30を図9では図示しないクランクシャフト水
平移動装置によってクランクシャフトの軸方向に移動
し、ジャーナル焼入コイルC3J1、C4J1、C3J3、C4J3、ピ
ン焼入コイルC3P 、C4P 、ジャーナル焼入コイルC3J5お
よびC4J5によって焼入する。
【0058】また、クランクシャフトが第7或いは第8
種類であるときには、クランクシャフト支持回転装置30
b でクランクシャフトを支持してからクランクシャフト
水平移動装置によってクランクシャフト支持回転装置30
b をクランクシャフトの軸方向に移動し、ジャーナル焼
入コイルC7J1、C8J1、C7J3、C8J3、ピン焼入コイルC7P
、C8P 、ジャーナル焼入コイルC7J5およびC8J5で焼入
する。
【0059】以下、第2実施例のクランクシャフトの高
周波焼入装置を説明する。第2実施例の装置では、焼入
コイルの配置を、従って、トランスの配置も、クランク
シャフトの種類ごとにまとめて配置している点のみが、
図1に示す第1実施例の高周波焼入装置と異なってい
る。その他は第1実施例と同じであるので説明を省略す
る。
【0060】即ち、図10に示すように、第2実施例の高
周波焼入装置の焼入コイルの配列は、センタ31から、ク
ランクシャフトWの軸方向に沿って、クランクシャフト
W1用のピン焼入コイルC1P 、ジャーナル焼入コイルC1J
1、C1J3、C1J5、およびクランクシャフトW2 用のピン
焼入コイルC2P 、ジャーナル焼入コイルC2J1、C2J3、C2
J5の順としてある。そして、例えば、クランクシャフト
W2 のピンP1がクランクシャフトW1 のピンP1と同形で
あってクランクシャフトW2 のピンP1の焼入にはクラン
クシャフトW1 用のピン焼入コイルC1P を使用できる場
合であっても、クランクシャフトW2 用のピン焼入コイ
ルC2P を設置する。
【0061】本実施例の装置によるクランクシャフトW
の焼入は、例えば次のように行われる。受入位置Uにお
いてクランクシャフト支持回転装置30によって支持され
たクランクシャフトW1 は、ピンP1の位置割り出しが行
われながら、矢印Rの方向に移動されてピン焼入コイル
C1P の真下にピンP1がくると停止する。そして、ピン焼
入コイルC1P が降下しピンP1に載置されるとクランクシ
ャフトW1 の回転が開始され、ピン焼入コイルC1P によ
るピンP1の焼入後、クランクシャフトW1 の回転が停止
されると共にピン焼入コイルが上昇し、且つピンP2がピ
ン焼入コイルC1P の真下にくるようにクランクシャフト
W1 が矢印Rの方向に移動しつつ、ピンP2の位置割り出
しが行われてからピン焼入コイルC1P が降下してピンP2
の焼入が行われる。以後、同様にピンP3、P4が焼入され
る。この後、ジャーナル焼入コイルC1J5、C1J3、および
C1J1によって、それぞれ、ジャーナルJ5、ジャーナルJ4
〜J2、およびジャーナルJ1の焼入が順次行われてクラン
クシャフトW1 の焼入を終了する。
【0062】本実施例では、第1実施例よりも設置する
焼入コイルの個数が増加する場合があるが、焼入方法よ
りして第1実施例のようなトランスの位置、間隔および
幅の制約はない。勿論、クランクシャフトWの水平移動
距離を短くして焼入時間を極力短縮するために、トラン
スの幅はなるべく狭く、また、トランスの配置が許す限
り、焼入コイルは接近させて配置することが好ましい。
本実施例のように、クランクシャフトの種類ごとに、被
焼入部の種類に対して1個ずつ設けた焼入コイルを1群
として備える方式の高周波焼入装置は、例えば、1気筒
エンジン用のクランクシャフトの焼入に採用される。こ
のようなクランクシャフトは、ピンとジャーナルとの間
隔が短いので、第1実施例のように、全ての種類のクラ
ンクシャフトを通じてピンやジャーナルの種類ごとに1
個ずつ設けた焼入コイルを、それぞれのトランスと共
に、クランクシャフトのピンやジャーナルの上方に、ク
ランクシャフトの水平移動が少なくなるように配置する
のは極めて困難である。従って、このような場合には、
第2実施例の方法を採用するのが好ましい。また、クラ
ンクシャフトWの種類が3種類以上あるときには、第1
実施例の図8および図9で説明した高周波焼入装置と同
様な要領の装置の構成で対処できる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るクラ
ンクシャフトの高周波焼入壮置は、被焼入部であるピン
とジャーナルとを備えた複数種類のクランクシャフトの
高周波焼入装置であって、クランクシャフトを水平に支
持し且つ回転させるクランクシャフト支持回転装置と、
前記支持回転装置を前記支持回転装置が支持しているク
ランクシャフトの軸方向に移動させるクランクシャフト
水平方向移動装置と、前記支持回転装置に支持されたク
ランクシャフトのほぼ上方でクランクシャフトのほぼ軸
方向に沿って、被焼入部の種類ごとに1個ずつ設けら
れ、焼入液の噴射も行う焼入コイルと、各焼入コイルを
降下させて被焼入部に載置し、上昇させて被焼入部から
離反させる焼入コイル昇降装置とを備えており、前記焼
入コイルは、各種類のピンにそれぞれ対応し前記軸方向
に順次配設されたピン焼入コイルと、各種類のジャーナ
ルにそれぞれ対応しピン焼入コイルの両側に分割され且
つ前記軸方向に順次配設されたジャーナル焼入コイルと
を備えている。
【0064】従って、このクランクシャフトの高周波焼
入装置によれば、ピン焼入ステーションとジャーナル焼
入ステーションの2つのステーションではなく、1つの
焼入ステーションしか必要としないので、高周波焼入装
置の寸法が小さくなってコストの低減に寄与する。
【0065】また、被焼入部であるピンとジャーナルと
の種類ごとに1個ずつの、或いはクランクシャフトの種
類ごとに各種類の被焼入部に対して1固ずつの、焼入コ
イルを設ければよいので、焼入コイルのコストが低減さ
れる。
【0066】被焼入部は1つずつ順次加熱されるので、
加熱のための電力が小さくてすむから、焼入用電源設備
のコストが小さくてよい。また、クランクシャフトの種
類が変わるたびに焼入コイルを交換する必要がないの
で、複数種類のクランクシャフトの焼入工程を短くする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクランクシャフトの高周波焼入装置の
第1実施例の概略正面説明図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面説明図である。
【図3】第1種類のクランクシャフトの焼入動作の全体
説明図である。
【図4】(a)は第1種類のクランクシャフトの焼入動
作の段階1における説明図、(b)は焼入動作の段階1
の一部の詳細説明図である。
【図5】第1種類のクランクシャフトの焼入動作の段階
2および3における説明図である。
【図6】第1種類のクランクシャフトの焼入動作の段階
4および5における説明図である。
【図7】第2種類のクランクシャフトの焼入動作の全体
説明図である。
【図8】(a)は本発明のクランクシャフトの高周波焼
入装置の第1実施例の平面説明図、(b)および(c)
はそれぞれ第1実施例の第1および第2変化例の平面説
明図である。
【図9】本発明のクランクシャフトの高周波焼入装置の
第1実施例の第3変化例の平面説明図である。
【図10】本発明のクランクシャフトの高周波焼入装置
の第2実施例の概略正面説明図である。
【図11】本発明のクランクシャフトの高周波焼入装置
の第1および第2実施例でワークとして採り上げた2種
類のクランクシャフトの正面図である。
【符号の説明】
10 焼入コイル昇降装置 30 クランクシャフト支持回転装置 40 クランクシャフト水平移動装置 C1P 、C2P 、C3P 、C4P 、C5P 、C6P 、C7P 、C8P ピ
ン焼入コイル C1J1、C1J3、C1J5、C2J1、C2J3、C2J5 ジャーナル焼入
コイル C3J1、C3J3、C3J5、C4J1、C4J3、C4J5 ジャーナル焼入
コイル C5J1、C5J3、C5J5、C6J1、C6J3、C6J5 ジャーナル焼入
コイル C7J1、C7J3、C7J5、C8J1、C8J3、C8J5 ジャーナル焼入
コイル J1〜J5 ジャーナル P1〜P4 ピン W1 、W2 クランクシャフト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被焼入部であるピンとジャーナルとを備
    えた複数種類のクランクシャフトの高周波焼入装置にお
    いて、クランクシャフトを水平に支持し且つ回転させる
    クランクシャフト支持回転装置と、前記支持回転装置を
    前記支持回転装置が支持しているクランクシャフトの軸
    方向に移動させるクランクシャフト水平方向移動装置
    と、前記支持回転装置に支持されたクランクシャフトの
    ほぼ上方でクランクシャフトのほぼ軸方向に沿って、被
    焼入部の種類ごとに1個ずつ設けられ、焼入液の噴射も
    行う焼入コイルと、各焼入コイルを降下させて被焼入部
    に載置し、上昇させて被焼入部から離反させる焼入コイ
    ル昇降装置とを具備しており、前記焼入コイルは、各種
    類のピンにそれぞれ対応し前記軸方向に順次配設された
    ピン焼入コイルと、各種類のジャーナルにそれぞれ対応
    しピン焼入コイルの両側に分割され且つ前記軸方向に順
    次配設されたジャーナル焼入コイルとを備えていること
    を特徴とするクランクシャフトの高周波焼入装置。
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