JP2763220B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2763220B2
JP2763220B2 JP3327820A JP32782091A JP2763220B2 JP 2763220 B2 JP2763220 B2 JP 2763220B2 JP 3327820 A JP3327820 A JP 3327820A JP 32782091 A JP32782091 A JP 32782091A JP 2763220 B2 JP2763220 B2 JP 2763220B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子に関し、さ
らに詳しくはコントラストの高いマトリックス型の大容
量表示の強誘電性液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示素子は、時計、電卓はも
とより、ワープロ、パソコンなどのOA機器、ポケット
テレビなど幅広い分野において用いられているが、一般
に広く用いられているのはネマチック相を利用したもの
である。
【0003】しかしながらツイステッドネマティック型
液晶表示装置では、走査線数の増加に伴い急速に駆動マ
ージンが狭くなり、十分なコントラストが得られなくな
るという欠点が存在するために大容量表示素子、ことに
2000×2000ラインなどの高解像度の表示素子を
作る事が困難である。
【0004】その一方、より高解像度の表示装置に対す
る要求は、ますます高まっている。特にWYSIWYG
(What you see is what you
get)−即ち、プリントアウトされるもの同一のも
のとを表示装置に表示させること−の求められるDTP
(Desk Top Publishing)の分野や
GUI(Graphical User Interf
ace)に基づくWINDOWS環境−複数の独立した
作業各々の画面とその操作に必要な様々な情報を一つの
表示素子の画面の中に表示する環境−の要求されるEW
S(Engineering Work Statio
n),BWS(Business Work Stat
ion)などの分野では表示素子に対して大表示容量化
や高速な応答性が求められている。そこで、有望視され
ているのがクラーク(N.A.Clark)とラガバル
(Lagerwall)により提案されている強誘電性
液晶表示素子(Appl.Phys.Lett.,
,899(1980);特開昭56−107216号
公報;米国特許第4367924号)である。この液晶
表示素子は、液晶分子の誘電異方性を利用する電界効果
型の前記ネマチック液晶表示装置とは異なり、強誘電性
液晶の自発分極の極性と電界の極性とが整合するように
分子がスイッチングする液晶表示素子である。
【0005】この表示方法はカイラルスメクチックC
相、カイラルスメクチックI相,カイラルスメクチック
F相などの強誘電性液晶相を利用するものである。この
強誘電性液晶素子においては、強誘電性液晶をセルギャ
ップの薄いセルに注入すると、界面の影響を受けて強誘
電性液晶のカイラルスメクチック相の螺旋構造がほど
け、液晶分子がスメクチック層法線にたいして傾き角θ
だけ傾いて安定する領域と、逆方向に−θだけ傾いて安
定する領域とが混在する双安定性を示す。この状態にあ
る強誘電性液晶素子に電圧を印加すると、液晶分子は、
液晶分子自体の自発分極の向きを電界方向に揃えること
ができる。それ故に、印加する電圧の極性を切り替える
ことによって液晶分子の配向をある一定の状態からもう
一方の状態へと切り替えるスイッチングが可能となる。
このスイッチングに伴い、液晶分子の配向方向と共に偏
光軸が変化する。セル内の強誘電性液晶では、複屈折光
が変化するので2つの偏光子間に上記強誘電性液晶素子
を挟むことによって、透過光を制御することができる。
さらに、電圧の印加を停止しても液晶分子の配向は、界
面の配向規制力によって電圧印加停止前の状態に維持さ
れるので、メモリ効果も得ることができる。また、スイ
ッチング駆動に必要な時間は、液晶の自発分極と電界強
度が直接作用するためにツイステッドネマティック型液
晶表示装置の1/1000以下という高速応答性が可能
であり、高解像度の表示素子の実現化の点で大いに有望
視されている。
【0006】しかしながら、かかる強誘電性液晶表示装
置において、実際に高速応答性を実現するためには種々
の問題がある。例えば、1000×1000ライン以上
の走査線でフリッカのない高コントラスト表示を行なう
ためには、例えば8.4μsecという極めて高速の応
答性が要求される。このため、低粘性のノンカイラル液
晶組成物に大きな自発分極を有するカイラル化合物を添
加したり、ピリミジン系液晶のごとき低粘度のノンカイ
ラル液晶を用いる提案(例えば、第16回液晶討論会、
1K101,1K102,1K111,1K112,1
K114,1K115,1K116,1K117,1K
119,3K106,第16回液晶討論会予稿集(19
90);大西,他,National Technic
al Report,33,35(1987)がなされ
ている。
【0007】さらに上記した液晶材料の開発のみなら
ず、高速応答性を実現するための新しい液晶駆動方式の
開発もなされている。中でも、有効な手法として、部分
書き換えと呼ばれる手法(神辺,電子情報通信学会専門
講習会講演論文集「オプトエレクトロニクス」−液晶表
示と関連材料−,1990年1月,p18〜26)が知
られている。この手法は画面を書き換える必要のあると
ころだけアクセスする手法である。これにより、グラフ
ィックスを表示する上で高速性を要求されるマウスの移
動などに追随できる表示素子が可能となる。
【0008】そして、この部分書き換え法を用いてフリ
ッカのない表示を得ようとする場合の具体的な駆動法と
して、いわゆる1/3バイアス駆動法が提案されている
(特開昭64−59389号公報)。この駆動法の自発
分極の変化を図1に例示した。
【0009】しかしながら、かかる1/3バイアス駆動
法による部分書き換え法を適用した場合には、高速応答
がある程度実現できるが、書き換えを行なわない画素に
も書き換え電圧の1/3のバイアス電圧が印加されるた
め、液晶分子の揺らぎが生じてコントラストが低いとい
う問題があった(神辺,電子情報通信学会専門講習会講
演論文集「オプトエレクトロニクス」−液晶表示と関連
材料−,1990年1月,p18〜26)。
【0010】そして、このような表示の低コントラスト
化は、主として、用いられる強誘電性液晶の層構造に密
接に関連していると考えられている。
【0011】すなわち、このような強誘電性液晶素子に
おいては、強誘電性液晶層における層構造は、一般的に
は、理想的なブックシェルフ構造ではなく『く』の字に
おれまがったシェブロン構造をしていることが知られて
いる。そして、この層の折れ曲がる方向は図4に示すよ
うに、二通りの方向(17,18)に発生し、これに伴
って二つの異なった配向状態が生じる。そのとき層と層
の折れ曲がりの方向が異なった場所には、ジグザグ欠陥
と呼ばれる配向欠陥が生じてくる。図2に示すように、
ジグザグ欠陥には層の折れ曲がる方向で<<>>と>>
<<の2種類の欠陥が発生し、その形状から前者がライ
トニング欠陥、後者をヘアピン欠陥と名付けられてお
り、この形状を観察することで層の折れ曲がり方向が規
定できる。[Jpn.J.Appl.Phys.,
,p.50(1988)]。
【0012】このような2つの配向はラビング方向との
関係からC1配向(シェブロン1)、C2配向(シェブ
ロン2)と呼ばれている(神辺,電子情報通信学会専門
講習会講演論文集「オプトエレクトロニクス」−液晶表
示と関連材料−,1990年1月,p18〜26,及び
特開平1−158415)。
【0013】そして、C1配向及びC2配向のいずれに
おいても、シェブロンの一層における液晶分子の傾斜角
がねじれて明確な消光位を示さない配向と、傾斜角が均
一で明確な消光位を示す配向とに分類でき、前者がC1
T配向及びC2T配向(Tはツイストの意)、後者がC
1U配向及びC2U配向(Uはユニフォームの意)と呼
ばれている(福田,竹添,「強誘電性液晶の構造と物
性」,コロナ社,1990年,p−327)。
【0014】そして、上記した消光位を示すC1U及び
C2U配向が得られにくいこと、ジグザグ欠陥とライト
ニング欠陥並びにC1U及びC1TやC2U及びC2T
配向が混在していることが表示の低コントラスト化の原
因になっていると考えられる。
【0015】この点に関し、液晶基板に形成される配向
膜として、SiO2 斜蒸着膜を適用することにより、コ
ントラストの改善を図る提案がなされている(上村,
他,National Technical Repo
rt,33(1),51(1987).)。これは斜蒸
着膜によって比較的高いプレチルトを基板界面に付与す
ることで、液晶層の折れ曲がりを防ぎ、斜めに傾斜した
層構造を達成するというものである。また、折れ曲がり
構造をもつセルに高い電圧の交番電界を印加することに
より、層構造をブックシェルフ構造の変える方法も提案
されている(佐藤ら,第12回液晶討論会(名古屋),
1F16(1986).)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】強誘電性液晶素子は上
記のような長所を有しているが、1000×1000本
以上の走査線を有する大容量表示素子においてフリッカ
のない高コントラストの表示を行おうとすると次のよう
な問題点が生じてくる。すなわち、フリッカのない表示
を行うための一つの手法は16.7msec(60H
z)以内に1画面を書き換えることであるが、この場合
には強誘電性液晶材料に非常に速い応答速度が要求され
る。例えば、走査線が1000本の表示素子の場合、次
の式から分かるように8.4secという高速応答が要
求される。16.7(msec)÷1000÷2=8.4
sec(ここで、2で割っているのは、強誘電性液晶の
場合、書き込みに最低2パルス必要だからである。)
【0017】しかしながら、強誘電性液晶材料の改良に
よって、求められる応答速度を実現するのは現状では決
して容易ではない。しかも、より大容量の表示素子を作
成すると、液晶材料の高速化によって大容量化を図るの
はかなり困難であることが容易に想像できる。
【0018】このような問題点を解決するための有力な
手法として、部分書き換えと呼ばれる手法(神辺、電子
情報通信学会専門講習会講演論文集「オプトエレクトロ
ニクス」−液晶表示と関連材料−、1990年1月、p
18〜26)が提案されている。この手法は画面を書き
換える必要のあるところだけアクセルする手法である。
これにより、グラフィックスを表示する上で高速性を要
求されるマウスの移動などに追随できる表示素子が可能
となる。
【0019】しかしながら、この1/3バイアス駆動法
を用いた場合の問題は、書換えを行わない画素にも1/
3バイアス電圧が印加され、このバイアス電圧のため書
換えを行わない画素の分子の揺らぎを生じ、メモリ状態
が損なわれたり、分子の揺らぎによるコントラストの低
下がおこったりする。
【0020】さらに、上記SiO2 斜蒸着膜による方法
においては、蒸着角度を均一に制御することが困難であ
って表示面積に制限を生じると共に、真空プロセスを有
するために製造装置をコストアップを招くなど、生産面
で大きな問題がある。 また後述の電界を印加する方法
は、均一に層構造を変化させるのが難しく、長期の時間
の経過とともに序々に元のシェブロン構造に変化するも
のも多く、未だ実用化には至っていない。
【0021】このような従来の手法では、広い温度範囲
で高コントラスト比の表示を行なうことが未だ実現され
ていない。
【0022】本発明は、かかる状況下なされたものであ
り、ことに、1/3バイアス駆動法において高コントラ
スト比の表示を安定にかつ広い温度範囲で実現できる強
誘電性液晶表示装置を提供しようとするものである。
【0023】実用的な強誘電性液晶組成物は、通常複数
の成分を混合して作製される。ときには、その成分とし
て、スメクチックC相を示さない化合物や、まったく液
晶相を示さない化合物が用いられることもある。強誘電
性液晶組成物に求められる性質としては、適切な素子構
造と組み合わせて高コントラストを実現できるだけでな
く、次のような性質をあげることができる。すなわち、
応答速度が速いことが求められ、この点から、低粘性が
求められる。応答速度を速くするためには、自発分極を
増大化することも有効ではあるが、強誘電性液晶素子の
良好な双安定性を得るために、強誘電性液晶組成物には
むしろ低い自発分極の値(例えば、10nC/cm)が
求められる場合が多い。強誘電性素子に適用した場合良
好な配向性を得るためには、強誘電性液晶組成物の相系
列が重要であり、一般にはINAC(Isotropi
c−Nmatic−Smectic A−Smecti
cC)相系列がもっとも好ましい。ネマチック相および
スメクチックC相におけるらせんピッチが長いことも良
好な配向性を得るために重要である。室温を中心に広い
温度範囲でスメクチックC相を示すことも必要であり、
化学的に安定であること、光に対して安定であること、
着色がないこと、粘度が高くないこと、スメクチックC
相において適切なチルト角を有していることなども求め
られる。
【0024】本発明はこのような状況においてなされた
ものであり、高コントラストの実用的な強誘電性液晶組
成物を作製する上で有用な液晶組成物、並びに液晶素子
を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、表面に電極を選択的に形成し、さらにその上に絶縁
膜、配向膜を形成した後、一軸配向処理を施した一対の
基板を、その一軸配向処理の方向を上下基板において略
平行になるよう互いに対向して配置するとともに、これ
らの基板間にカイラルスメクチックC相を有する液晶を
介在させ液晶パネルとし、前記電極に選択的に電圧を印
加することによって液晶の光軸を切り換える駆動手段
と、光軸の切り替えを光学的に識別する手段を有する強
誘電性液晶表示装置において、カイラルスメクチックC
相に於ける層構造が「く」の字に折れ曲がったシェブロ
ン構造であり、上記一軸配向処理方向と層構造の関係か
ら生じる配向領域が、一軸配向処理方向に発生するライ
トニング欠陥とその欠陥の後方に発生するヘアピン欠陥
に囲まれた領域の内側、もしくは、配向処理方向に発生
するヘアピン欠陥と後方に発生するライトニング欠陥に
囲まれた領域の外側であることを特徴とし、その配向状
態がユニフォームであり、かつ、液晶分子の基板近傍で
の反転を伴うスイッチング過程を有することと、スメク
ック層の基板にたいするプレティルト角が8°以上2
0°以下の有機配向膜で構成され、かつ上記強誘電性液
晶層が i)下式(IV)
【化6】 で表される化合物(IV)であるか、 ii)下式(III)
【化8】 で表される化合物(III)と化合物(IV)をそれぞれ一種
含有するシェブロン構造の強誘電性液晶組成物からなる
液晶表示装置を提供する。更に、下式(V):
【化10】 で表される化合物(V)を含むことが好適である。
【0026】本発明は、上記特定の配向膜と特定の液晶
組成物とを組合せて強誘電性液晶表示装置を構成した際
に、均一なC1U配向のシェブロン構造の液晶層が広い
温度範囲に亘って得られ、その結果、欠陥や配向の不均
一性を生じることなく高コントラスト比の安定な表示が
可能となるという事実の発見に基づくものである。
【0027】上記化合物(III)、(IV)、(V)の定義
中、直鎖または分枝鎖のアルキル基には、メチル、エチ
ル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、ペ
ンチル、1−又は2−メチルブチル、ヘキシル、1−又
は3−メチルペンチル、ヘプチル、1−又は4−メチル
ヘキシル、オクチル、1−又は5−メチルヘプチル、ノ
ニル、1−又は6−ヘチルオクチル、デシル、1−メチ
ルノニル、ウンデシル、1−メチルデシル、ドデシル、
1−メチルウンデシルなどが含まれる。
【0028】これらのアルキル基またはアルコキシ基中
で炭素鎖に不斉炭素が含まれてもよい。また、これらの
アルキル基またはアルコキシ基中の1つ以上の水素原子
がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ
基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、などで置換さ
れてもよい。
【0029】化合物(IV)、(V)に含まれるものの具
体的な化学構造は次のようなものが挙げられる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】 このうち好ましい化合物としては、11−2、11−7、11
−10、12−1、12−6、12−7、13−2、13−9、14−
1、14−2、18−4などが挙げられる。なお、上記化合
物の内、14−3〜17−7は、化合物(IV)と(V)
に含まれないが、これらは強誘電性液晶層に更に含まれ
ていてもよい化合物である。 さらに、化合物(III)に含
まれるものの具体的な化学構造はつぎのようなものが挙
げられる。
【化21】
【化22】
【化23】 このうち好ましい化合物としては、23−1、23−2、23
−3、23−4、21−6、21−7、22−7、22−8などが
挙げられる。
【0030】化合物(IV)で表されるものの製造方法の
一例はつぎのようなものが挙げられる。2−フルオロ−
4−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)安息香
酸((VI)を5塩化リンと反応させて酸クロリド(VII)
とした後、ピリジン存在下のトルエン溶媒中で4−ヒド
ロキシ安息香酸アルキル(VIII)と反応させることにより
得ることができる。
【化24】
【0031】本発明の強誘電性液晶組成物は、上記化合
物(III)、(IV)、(V)を、公知の強誘電性液晶や組
成物と混合して調整することができる。とくに相系列が
INACとなるように、調整するのが適している。通
常、化合物(IV)、(V)の含有量は、全体で4wt%
以上、上記化合物(IV)、(V)群に含まれる単品1成
分あたりでは、全体の25wt%以下とするのが好まし
い。化合物(IV)、(V)全体の含有量が4wt%未満
であると1/3バイアス駆動でコントラストの改善効果
が不充分であり、単品1成分あたりの含有量が20wt
%を越えると添加物の結晶化を起こしたり、スメクチッ
クC相の温度範囲がディスプレイとして使用する温度範
囲に適合しなくなるので適当でない。
【0032】
【0033】また、化合物(III)の化合物(IV)の合計
への混合割合は、50〜95wt%とするのが好まし
い。95wt%を越えると、メモリが不充分だったり、
1/3バイアス駆動でコントラストが充分に改善され
ず、20wt%未満だと、ディスプレイとしての適当な
スメクックC相の温度域を維持できないので適さな
い。
【0034】かかる本発明の強誘電性液晶組成物には、
本発明の意図する効果が阻害されない限り、種々の添加
剤が配合されていてもよい。例えば、配向性向上の点
で、末端にフルオロアルキル基を有する他の液晶性化合
物や液晶相溶性化合物が配合(通常、0.01〜1wt
%)されていてもよく、その例は、例えば特開平3−4
7,891号公報等に示される。
【0035】次にその好ましい一例として、一対の基板
の一軸配向処理の方向が平行であり、駆動される液晶相
がキラルスメクチックC相であり、該キラルスメクチッ
クC相においてスメクチック層構造が『く』の字に折れ
曲がったシェブロン構造をとっており、かつその配向状
態が均一なC1配向(C1U配向)であることを特徴と
する液晶素子について述べる。
【0036】一般に、キラルスメクチックC層における
層構造は、一般的には、図2(a)に示すような『く』
の字に折れたシェブロン構造を有していると言われてい
る。層の折れ曲がる方向には図に示すように、二通りの
方向がある。このとき層の折れ曲がりの方向が変化する
所には、ジグザグ欠陥と呼ばれる配向欠陥が生じる。図
2(b)はジグザグ欠陥を偏向顕微鏡で観察したときの
模式図であるが、ジグザグ欠陥はライトニング欠陥と呼
ばれる欠陥と、ヘアピン欠陥と呼ばれる欠陥とに分類す
ることができる。これまでの研究の結果、層構造が<<
>>となている部分がライトニング欠陥に対応してお
り、層構造が>><<となっている部分がヘアピン欠陥
に対応していることが明らかとなっている(N.Hij
i etal.,Jpn.J.Appl.Phys.,
27,L1(1988).)。ラビング方向とプレチル
ト角θP の関係は図2(a)に示すとおりであり、上記
の2つの配向はラビング方向との関係からC1配向、C
2配向と呼ばれている(神辺,電子情報通信学会専門講
習会講演論文集「オプトエレクトロニクス」−液晶表示
と関連材料−,1990年1月,p18〜26)。ラビ
ング軸と層の折れ曲がり方向が逆である場合をC1配向
(シェブロン1)、同じである場合をC2配向(シェブ
ロン2)と定義されている。
【0037】さて、プレチルト角θP を大きくすると、
C1配向とC2配向での液晶分子の配向状態の差が顕著
になってゆき、8°以上という大きな値(好ましくは
〜°)を示す配向膜を用いると、高温側のC1配向にお
いては、明確な消光位置を示す領域と消光する位置を示
さない領域とが観察され、低温側のC2配向では、明確
な消光位置を示す領域のみが観察される。ユニフォーム
配向とツイスト配向とを消光位の有無によって区別する
ことが一般に認められているので(福田,竹添,「強誘
電性液晶の構造と物性」,コロナ社,1990年,p−
327)、今ここで、C1配向で消光位を示すものをC
1U(C1ユニフォーム)配向、C1配向で消光位を示
さないものをC1T(C1ツイスト)配向と呼ぶことに
する。C2配向については一種類の配向しか得られなか
ったので、C2配向とのみ標記することにする。図3に
示すような電圧波形を印加したとき、C1U配向では良
好なコントラストが得られるのに対し、C2配向では電
圧無印加時に消光位置を示していたにもかかわらず、コ
ントラストは著しく低下し、C1T配向にいたってはさ
らに低いコントラストしか得られない。コントラストに
は次のような傾向があることを本発明の研究者らは見い
だしており、C1U配向はコントラストの点で特に好ま
しいものである。 C1U>C2>>C1T
【0038】かかる本発明の強誘電性液晶表示装置の具
体例を図4に示す。ガラス基板1a上に透明電極2a,
絶縁膜3a,配向膜4aの順に各層が形成されたもの
が、基板9である。ここで、透明電極2aは複数本の透
明電極が互いに平行となるようにストライプ状に配列し
て形成され、配向膜4aにはラビングによる一軸配向処
理がほどこされた構造になっている。
【0039】一方、もう片側のガラス基板1b上にも同
様の条件で透明電極2b,絶縁膜3b,配向膜4bの順
に各層が形成されたものが、基板10である。透明電極
2b,配向膜4bは基板9と同様、透明電極2bは複数
本の透明電極が互いに平行となるようにストライプ状に
配列して形成され、配向膜4bにはラビングによる一軸
配向処理がほどこされた構造になっている。
【0040】ついで、この基板9と基板10は、互いに
配向膜4a,4bが対向しあい、かつ、互いの透明電極
2a,2bが直交し、かつ、基板9と10でラビング方
向がほぼ一致するようにし、1.5〜3μm程度、好ま
しくは1.2〜1.8μmの間隔を隔ててシール部材6
で貼り合わせる。
【0041】これらの基板9,10間には強誘電性液晶
組成物7を介在させて液晶セル11が作成される。
【0042】更に、このセルの上下に偏光軸をほぼ直交
させた偏光板12a,12bを配置させ、偏光板の一方
の偏光軸をセルの液晶のどちらか一方の光軸にほぼ一致
させて液晶表示装置とする。
【0043】もちろん、化合物(IV)を少なくとも一種
含む液晶組成物を用いることのできる液晶素子は上記の
強誘電性液晶素子に限られるものではなく、他の構成の
強誘電性液晶素子、あるいはネマチック相を利用した液
晶素子(TN,STN,DSTN,など)、スメクチッ
クA相を利用した液晶素子(熱書き込み、エレクトロク
リニック、など)、反強誘電性液晶素子などに適用でき
ることは言うまでもない。
【0044】
【実施例】
合成例1 2−フルオロ−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘ
キシル)安息香酸ヘプチルの合成(No.101) 2−フルオロ−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘ
キシル)安息香酸0.7g(0.0024モル)に五塩
化リン0.6g(0.0029モル)を加え、約80℃
に過熱して反応させた。生成したPOCl3 および過剰
の五塩化リンを減圧留去し、2−フルオロ−4−(トラ
ンス−4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸クロリド
を得た。これをトルエン10mlに溶解し、4−ヒドロ
キシ安息香酸ヘプチル0.7g(0.0030モル)と
ピリジン(脱塩化水素剤)1mlを加えた。室温で10
時間放置した後、70℃に3時間保った後、室温まで冷
却した。その後、氷と塩酸を加え、エーテルで抽出し
た。エーテル層をNaHCO 3 水溶液、次いで水で洗
い、Na2SO4で乾燥した。エーテルを留去し、残留物
を高速液体クロマトグラフィー(ウォータース製デルタ
プレップ3000液体クロマトグラフィー;C−18シ
リカゲルカラム;溶媒メタノール+クロロホルム(8:
2)で精製し、エタノールより再結晶して、目的とする
2−フルオロ−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘ
キシル)安息香酸ヘプチルを得た。この化合物の赤外吸
収スペクトルを図5に示す。また、この化合物の転移温
度は以下のとおりであった。 更に本発明の実施例に利用した化合物(IX)を次に示
す。
【化25】
【化26】
【化27】
【0045】参考例1 化合物(IX)の化合物を用いて、表1に示す組成の液晶
組成物No.201を作製した。この液晶組成物の転移
温度は以下の通りであった。
【表1】 この液晶組成物は室温でスメクチックC相を示したが、
スメクチックA相は示さなかった。
【0046】実施例 参考例 1で作製した液晶組成物No.201に化合物
(IX)の化合物No.101を10重量%添加して、液
晶組成物No.202を作製した。この液晶組成物も室
温でスメクチックC相を示した。この液晶組成物の組成
を表1に示す。化合物No.101を添加することによ
って、スメクチックA相が出現し、強誘電性液晶素子の
配向性にとって好ましいINAC相系列が実現できた。
【0047】実施例 実施例で作製した液晶組成物No.202に、化合物
(IX)に示す光学活性化合物No.124を2重量%添
加して、強誘電性液晶組成物No.203を作製した。
この液晶組成物の転移温度は以下の通りであった。 この液晶組成物も室温でスメクチックC相を示した。こ
の液晶組成物の組成を表に示す。この強誘電性液晶組
成物は拾い温度範囲でキラルスメクチックC相を示し、
かつ強誘電性液晶素子の配向性にとって好ましいINA
C相系列を示した。
【0048】実施例 2枚のガラス基板上のそれぞれに1000Åの厚さのI
TO膜を形成し、その上に500ÅのSiO2 絶縁膜を
形成し、これに表2の配向膜をスピンコーターにて40
0Åの厚みに形成し、この後レーヨン系の布を用いてラ
ビングによる一軸配向処理を行った、これらの基板を、
ラビング方向が反平行となるように厚さ20μmで貼り
合わせて液晶セルを作製した。これにメルク社製ネマチ
ック液晶E−8を注入し、磁場容量法を用いて液晶分子
の基板からのプレチルト角度を測定した。結果を表2に
示す。
【0049】実施例 図4に示す構成の強誘電性液晶素子を作製した。ガラス
基板1a上に1000Åの厚さの複数本のITO透明電
極2aを互いに平行となるようにストライプ状に配列し
て形成し、その上に絶縁膜3aとして500ÅのSiO
を形成し、次に、配向膜4aとしてPSI−A−200
1(チッソ石油化学株式会社製ポリイミド)をスピンコ
ーターにて400Åの厚みに形成し、この後レーヨン系
の布を用いてラビングによる一軸配向処理を行い基板9
を形成した。一方、もう片側のガラス基板1b上にも同
様の条件で処理を行い、基板10を形成した。
【0050】ついで、この基板9ともう一方の基板10
とを、互いに配向膜4a,4bが対向し合い、互いの透
明電極2a,2bが直交し、ラビング方向がほぼ一致す
るように、1.5μmの間隔を隔ててシリカスペーサー
を介してエポキシ樹脂製のシール部材6で貼り合わせ
た。これらの基板9,10間には、真空注入法で注入口
から実施例3で作製した強誘電性液晶組成物No.20
3を注入したのちアクリル系のUV硬化型の樹脂で注入
口を硬化して液晶セル11を作成した。更に、このセル
の上下に偏光軸をほぼ直交させた偏光板12a,12b
を配置し、偏光板の一方の偏光軸をセルの液晶のどちら
か一方の光軸にほぼ一致させて液晶表示装置とした。
【0051】この強誘電性液晶素子の配向の様子を調べ
たところ、スメクチックC−スメクチックA転移点から
室温までの温度領域において、微小なジグザグ欠陥に囲
まれた面積的には小さなC2配向の領域を除けば、全面
C1U配向であった。
【0052】これらの強誘電性液晶素子のキラルスメク
チックC相におけるチルト角を測定した。チルト角は液
晶セルに±10Vの矩形波を印加し、このとき得られる
2つの消光位間の角度の1/2で定義した。チルト角を
温度に対してプロットした(図6)。
【0053】図3(a)に示す波形の電圧(V=±10
V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。結果を図7
に示す。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせるこ
とのできる最小のパルス幅とした。パルス幅をメモリパ
ルス幅に設定して、図3(a)の波形を印加したところ
50以上のコントラストが得られた。
【0054】図3(b)に示す1/3バイアス波形の電
圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定し
た。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせることの
できる最小のパルス幅とした。結果を図7に示す。ま
た、パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b)
の波形を印加したところ、10という高いコントラスト
が得られた。この場合、バイアス印加時においても良好
な黒状態が維持できており、バイアス電圧による分子の
揺らぎが抑制されていることが結論できる。
【0055】比較例1 実施例で作成した液晶組成物No.203に含まれる
成分のうち、化合物No.101を比較のため取り除
いた強誘電性液晶組成物No.212を作製した。この
液晶組成物も室温でスメクチックC相を示した。この液
晶組成物No.212の組成を表1に示す。
【0056】実施例における強誘電性液晶組成物N
o.203を比較のための強誘電性液晶組成物No.2
12に置き換えるほかは実施例と同様にして、強誘電
性液晶素子を作製した。配向を観察したところ、C2配
向であり、良好な消光状態が観察されなかった。
【0057】比較例2 化合物(IX)に示す化合物を用いて、表2に示す組成
の強誘電性液晶組成物No.206〜211を作製し
た。
【0058】実施例における強誘電性液晶組成物N
o.203を比較のための強誘電性液晶組成物No.2
06〜211のいずれかに置き換えるほかは実施例
同様にして、強誘電性液晶素子を作製した。
【0059】また、実施例における強誘電性液晶組成
物No.203を比較のための強誘電性液晶組成物N
o.206〜211のいずれかに置き換える、かつ実施
におけるPSI−A−2001をPSI−S−01
4またはPVAに置き換えるほかは実施例と同様にし
て、強誘電性液晶素子を作製した。
【0060】これらの強誘電性液晶素子について調べた
結果を表3に示す。いずれの強誘電性液晶素子も、実施
で得られたような良好な結果は得られなかった。
【表3】
【0061】参考例2 実施例で作製した液晶組成物No.203に含まれる
成分のうち、化合物No.101の代わりに化合物N
o.127を15%含有する強誘電性液晶組成物No.
213を作製した。この液晶組成物の転移温度は以下の
通りであった。 この液晶組成物も室温でスメクチックC相を示した。こ
の液晶組成物No.213に置き換えるほかは実施例5
と同様にして、強誘電性液晶素子を作製した。配向を観
察したところ、スメクチックC−スメクチックA転移点
から室温までの温度領域において、微小なジグザグ欠陥
に囲まれた面積的には小さなC2配向の領域を除けば、
全面C1U配向であった。
【0062】これらの強誘電性液晶素子のキラルスメク
チックC相におけるチルト角を測定した。チルト角は液
晶セルに±10Vの矩形波を印加し、このとき得られる
2つの消光位間の角度の1/2で定義した。チルト角を
温度に対してプロットした(図8)。
【0063】図3(a)に示す波形の電圧(V=±10
V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。結果を図9
に示す。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせるこ
とのできる最小のパルス幅とした。パルス幅をメモリパ
ルス幅に設定して、図3(a)の波形を印加したところ
50以上のコントラストが得られた。
【0064】図3(b)に示す1/3バイアス波形の電
圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定し
た。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせることの
できる最小のパルス幅とした。結果を図9に示す。ま
た、パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b)
の波形を印加したところ、10という高いコントラスト
が得られた。この場合、バイアス印加時においても良好
な黒状態が維持できており、バイアス電圧による分子の
揺らぎが抑制されていることが結論できる。
【0065】参考例3 化合物(IX)に示す化合物を用いて、表1に示す組成の
強誘電性液晶組成物No.214を作製した。この液晶
組成物の転移温度は以下の通りであった。 この液晶組成物も室温でスメクチックC相を示した。実
施例5における強誘電性液晶組成物No.203を強誘
電性液晶組成物No.214に置き換えるほかは実施例
と同様にして、強誘電性液晶素子を作製した。配向を
観察したところ、スメクチックC−スメクチックA転移
点から室温までの温度領域において、微小なジグザグ欠
陥に囲まれた面積的には小さなC2配向の領域を除け
ば、全面C1U配向であった。
【0066】これらの強誘電性液晶素子のキラルスメク
チックC相におけるチルト角を測定した。チルト角は液
晶セルに±10Vの矩形波を印加し、このとき得られる
2つの消光位間の角度の1/2で定義した。チルト角を
温度に対してプロットした(図10)。
【0067】図3(a)に示す波形の電圧(V=±10
V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。結果を図9
に示す。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせるこ
とのできる最小のパルス幅とした。パルス幅をメモリパ
ルス幅に設定して、図3(a)の波形を印加したところ
50以上のコントラストが得られた。
【0068】図3(b)に示す1/3バイアス波形の電
圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定し
た。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせることの
できる最小のパルス幅とした。結果を図11に示す。ま
た、パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b)
の波形を印加したところ、高いコントラスト比10が得
られた。この場合、バイアス印加時においても良好な黒
状態が維持できており、バイアス電圧による分子の揺ら
ぎが抑制されていることが結論できる。
【0069】参考例4 化合物(IX)に示す化合物を用いて、表1に示す組成の
強誘電性液晶組成物No.215を作製した。この液晶
組成物の転移温度は以下の通りであった。 この液晶組成物も室温でスメクチックC相を示した。実
施例における強誘電性液晶組成物No.203を強誘
電性液晶組成物No.215に置き換えるほかは実施例
と同様にして、強誘電性液晶素子を作製した。配向を
観察したところ、スメクチックC−スメクチックA転移
点から室温までの温度領域において、微小なジグザグ欠
陥に囲まれた面積的には小さなC2配向の領域を除け
ば、全面C1U配向であった。
【0070】これらの強誘電性液晶素子のキラルスメク
チックC相におけるチルト角を測定した。チルト角は液
晶セルに±10Vの矩形波を印加し、このとき得られる
2つの消光位間の角度の1/2で定義した。チルト角を
温度に対してプロットした(図12)。
【0071】図3(a)に示す波形の電圧(V=±10
V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。結果を図1
3に示す。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせる
ことのできる最小のパルス幅とした。パルス幅をメモリ
パルス幅に設定して、図3(a)の波形を印加したとこ
ろ50以上のコントラストが得られた。
【0072】図3(b)に示す1/3バイアス波形の電
圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定し
た。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせることの
できる最小のパルス幅とした。結果を図13に示す。ま
た、パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b)
の波形を印加したところ、高いコントラスト比20が得
られた。この場合、バイアス印加時においても良好な黒
状態が維持できており、バイアス電圧による分子の揺ら
ぎが抑制されていることが結論できる。
【0073】参考例5 化合物(IX)に示す化合物を用いて、表1に示す組成の
強誘電性液晶組成物No.204,205,216,2
17,218,219を作製した。この液晶組成物も室
温でスメクチックC相を示した。
【0074】実施例における強誘電性液晶組成物N
o.203を表に示したNo.204,205,21
6,217,218,219の強誘電性液晶組成物のい
ずれか一つに置き換えるほかは実施例と同様にして、
強誘電性液晶素子を作製した。スメクチックC−スメク
チックA転移点から室温までの温度領域において配向を
観察したところ、微小なジグザグ欠陥に囲まれた面積的
には小さなC2配向の領域を除けば、全面C1U配向で
あった。
【0075】良好なC1U配向を示している温度領域で
図3(a)に示す波形の電圧(V=±10V)を印加
し、メモリパルス幅を測定した。メモリパルス幅は双安
定スイッチングさせることのできる最小のパルス幅とし
た。パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(a)
の波形を印加したところ表4に示すコントラストが得ら
れた。
【0076】図3(b)に示す1/3バイアス波形の電
圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定し
た。メモリパルス幅は双安定スイッチングさせることの
できる最小のパルス幅とした。パルス幅をメモリパルス
幅に設定して、図3(b)の波形を印加したところ、表
4に示すコントラストが得られた。
【表4】
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、 AC転移温度から室温近傍の幅広い温度域に於てC1
U配向が得られる。 1/3バイアス駆動時にC1Uスイッチングできる温
度範囲が広い。 という特徴を持つ強誘電性液晶表示素子が得られる。従
って、本発明により、高コントラスト比の表示を安定に
かつ広い温度範囲で実現できる強誘電性液晶表示装置が
得られる。そして、もちろん、1/3バイアス駆動法以
外の駆動法適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強誘電性液晶のスイッチングについて説明する
ための図である。
【図2】カイラルスメクテイックC相のシェブロン層構
造およびC1配向、C2配向について説明するための図
である。
【図3】(a)は0バイアスの、(b)は1/3バイア
スの印加電圧波形の一例を示す図である。
【図4】本発明の強誘電性液晶素子について説明するた
めの素子の断面模式図である。
【図5】本発明の化合物No.101の赤外線吸収スペ
クトルをしめす図である。
【図6】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
チルト角の温度変化を示す図である。
【図7】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
メモリパルス幅の温度変化を示す図である。
【図8】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
チルト角の温度変化を示す図である。
【図9】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
メモリパルス幅の温度変化を示す図である。
【図10】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
チルト角の温度変化を示す図である。
【図11】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
メモリパルス幅の温度変化を示す図である。
【図12】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
チルト角の温度変化を示す図である。
【図13】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物の
メモリパルス幅の温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b ガラス基板 2a,2b 透明電極 3a,3b 絶縁膜 4a,4b 配向膜 6 シール部材 7 強誘電性液晶組成物 9,10 基板 11 液晶セル 12a,12b 偏光板 15 ライトニング欠陥 16 ヘアピン欠陥
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉立 知明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 谷口 維子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−252624(JP,A) 特開 平3−31392(JP,A) 特開 平2−110189(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 19/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電極を選択的に形成し、さらにそ
    の上に絶縁膜、配向膜を形成した後、一軸配向処理を施
    した一対の基板を、その一軸配向処理の方向を上下基板
    において略平行になるよう互いに対向して配置するとと
    もに、これらの基板間にカイラルスメクチックC相を有
    する液晶を介在させ液晶パネルとし、前記電極に選択的
    に電圧を印加することによって液晶の光軸を切り換える
    駆動手段と、光軸の切り替えを光学的に識別する手段を
    有する強誘電性液晶表示装置において、 カイラルスメクチックC相に於ける層構造が「く」の字
    に折れ曲がったシェブロン構造であり、上記一軸配向処
    理方向と層構造の関係から生じる配向領域が、一軸配向
    処理方向に発生するライトニング欠陥とその欠陥の後方
    に発生するヘアピン欠陥に囲まれた領域の内側、もしく
    は、配向処理方向に発生するヘアピン欠陥と後方に発生
    するライトニング欠陥に囲まれた領域の外側であること
    を特徴とし、その配向状態がユニフォームであり、か
    つ、液晶分子の基板近傍での反転を伴うスイッチング過
    程を有することと、スメクック層の基板にたいするプ
    レティルト角が8°以上20°以下の有機配向膜で構成
    され、かつ上記強誘電性液晶層が i)下式(IV): 【化1】 で表される化合物(IV)であるか、 ii)下式(III): 【化3】 で表される化合物(III)と化合物(IV)をそれぞれ一種
    含有するシェブロン構造の強誘電性液晶組成物からなる
    液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 更に、下式(V): 【化5】 で表される化合物(V)を含む請求項1項の装置。
  3. 【請求項3】上記液晶組成物のチルト角が、4°以上2
    5℃以下の駆動温度領域において、プレチルト角より5
    °以上大きくないことを特徴とする請求項1〜2項のい
    ずれかに記載の装置。
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