JP2758953B2 - 血小板依存性動脈血栓症の予防方法 - Google Patents

血小板依存性動脈血栓症の予防方法

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Description

【発明の詳細な説明】 参照関連出願 本件は、その開示が参考文献として本文中に組み込ま
れている、1987年11月27日出願に係る第125,178号の一
部係属出願である。
技術分野 本発明は動脈血栓症の危険のある患者における血小板
凝集を予防するためのハロゲン−メチルケトン含有ペプ
チドの使用に関する。
発明の背景 血栓は血栓形成性刺激への反応として生きた心臓若し
くは血管中に血液構成要素から形成される成分の集合体
である。
血栓症、すなわち血栓形成過程は独特であるが通常相
互作用的なメカニズムを通じて発生しうる。第一段階、
すなわち血小板凝集は血小板が血管壁損傷等の血栓形成
性刺激により活性化された結果として起きる。第二段
階、すなわちフィブリン形成は凝血連鎖系の活性化の結
果であり、その最終段階が通常トロンビンによるフィブ
リノーゲンのフィブリンへの転化、すなわちフィブリン
形成と考えられている。フィブリン形成の目的は凝集血
小板を安定化させることにより止血プラグ(Plug)を安
定化させることであると思われる。
血小板凝集及びフィブリン形成の関与の強度若しくは
程度は、血行力学(血流)因子の結果として変化するこ
とが今では知られている。たとえば、静脈血栓症は低流
速条件下で発生し、血小板及び凝血連鎖系成分の合同か
つ等量の消費を伴なうことが示されている(ハーカー
ら、ニューイングランド ジャーナル オブ メディス
ン、287巻、第999−1005頁、1972年)。結果として、静
脈血栓は通常比較的少数の凝集血小板、多量の散在フィ
ブリン及び幾つかの赤血球細胞から成る非組織化塊であ
り、このため“赤色血栓”と呼ばれる。フライマン“止
血と血栓症":基本原理と臨床的実践”、コールマンら
編、第2版、フィラデルフィア、J.B.リッピンコット
社、第1123−35頁(19987年)を参照のこと。これらの
観察はフィブリン形成が静脈血栓の発生において主役を
演じることを示唆している。
対照的に、動脈血栓症は高流速条件下で発生し、少な
くともその初期の段階で、血小板の選択的消費を伴なう
ことが示されている(ハーカーら、ニューイングランド
ジャーナル オブ メディスン、287巻、第999−1005
頁、1972年)。例として、動物実験はプラスチック動静
脈カニューレの補綴表面は完全に血小板だけから成る血
栓を発生させ、その血栓形成過程は検出可能な凝血連鎖
系の関与なしに進行することを示している(エバンス
ら、ジャーナル オブ エクスペリメンタルメディス
ン、128巻、第877−894頁、1968年、及びハーカーら、
ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲイショ
ン、第64巻、第559−569頁、1979年)。おそらく、凝血
作用が十分に活性化される前にトロンビン等の凝血促進
物質が急速な動脈血流によって血栓形成焦点から洗い流
されてしまうために、動脈血栓症においてはフィブリン
形成は極少量である。結果として、動脈血栓は通常、完
全に血小板だけから成る(“白色血栓”)か、若しくは
血小板による基底あるいは一次塊及び、一次塊上を覆い
そこから下流方向へ伸張する血小板及びフィブリンによ
る二次塊から成る複合構造から成る。前述のフライマン
の引用文献を参照のこと。いずれの場合も、損傷部にお
ける血小板凝集は動脈血栓発現の主要なメカニズムであ
る。それゆえ、動脈血栓症は少なくともその初期の段階
では、血小板依存性と特徴付けることができる(ハーカ
ーら、“脈管系疾患:最新の研究と臨床応用”ストラン
デスら編、オーランド、グラン アンド ストラット
ン、第271−283頁、1987年)。
前述の視点から、血小板凝集若しくはフィブリン形成
のいずれかに作用する薬剤の治療上の有効性が処置され
る血栓症の型に依存することが知られているのは驚くべ
きことではない。
例えば、アスピリン若しくはジピリダモール等の血小
板機能を阻害する、すなわち血小板の凝集能を阻害する
薬剤は、動脈血栓症の予防において有効であるが、うっ
血型静脈血栓症の治療においては有効でない。逆に、ヘ
パリン及びヒルジン等のトロンビンのフィブリン形成能
を阻害する薬剤は、うっ血型静脈血栓症に対しては治療
上有効であるが、動脈血栓症に対しては有効でないこと
が示されている(ハーカーら、トロンバス アンド ダ
イアセティック ヘモリジ(Thorm.Diath.Haemorrh.)3
1巻、第188−203頁、1974年)。
このように、本技術分野は動脈血栓症の効果的な管理
においては、フィブリン形成ではなく血小板凝集の調節
に力点が置かれるべきであることを教えるものである。
すなわち、血小板依存性動脈血栓症を治療上有効に予防
するには、前述のフィブリン形成を阻害する薬剤(抗凝
血剤)ではなく、血小板の凝集能を阻害する薬剤(血小
板機能阻害剤)の投与が必要である。理想的には、臨床
上有用な血小板機能阻害薬は毒性がなく、持続性作用を
持ち、異常出血の過剰リスクなしに良好な抗血栓症能を
もつべきである。現在使用できる臨床薬剤のいずれも、
これらの要求のすべてを満足してはいない。アスピリ
ン、スルフィンピラゾン、ジピリダモール、スロクチジ
ル及びチクロピジンが現在までに臨床試験による評価を
受けている薬剤である。
血小板依存性動脈血栓症を予防する能力のある薬剤の
開発における困難のひとつは、アデノシン二リン酸(AD
P)、コラーゲン、トロンビン、トロンボキサンA2、エ
ピネフリン、セロトニン、バソプレシン、抗原−抗体複
合体、プラスミン、ウィルス、バクテリア、エンドトキ
シン及び癌細胞を含む多様な刺激によって血小板の凝集
が誘導されうることである。本技術分野によれば、イン
ビボin vivo)ではいかなる単独の刺激剤の局所濃度
もおそらく凝集を発生させるのに十分なほど高くはない
らしい。結果として、インビボでは、いくつかの刺激が
共同作用的効果を伴なって同時に血小板に作用するた
め、その刺激の個々については非常に低濃度で凝集の誘
導に対して有効であるらしい。パッカム、トロンボシス
アンド ヘモスタシス(Thromb.Haemostas.)50巻、
第610−619頁(1983年)を参照のこと。
このように、本技術分野では特定の血小板凝集誘導刺
激を押さえることが、血小板依存性動脈血栓症の予防に
対する有効なアプローチにならないと思われることを示
唆されている。いくつかの研究が、この視点を支持して
おり、そのうち最も関連のあるものはトロンビンの酵素
活性ではなく、トロンビンの体液活性、すなわちその血
小板活性化刺激能を調べた研究である。たとえば、既知
の抗凝血剤であるヘパリン及びヒルジンはインビトロ
in vitro)でトロンビンの血小板凝集刺激能を阻害す
ることを示されている(マークワードら、ヘモスタシ
ス、13巻、第227−233頁、1983年、及びホフマンら、ヘ
モスタシス、14巻、第164−169頁、1984年)。もっと
も、ヘパリン若しくはヒルジンのいずれもインビボでの
動脈血栓症の予防においては有効でなく、このことはト
ロンビン以外の1個以上の刺激がインビボの動脈内血小
板凝集の誘導の原因であることを示唆している。
本発明で特に重要性を持つものは、D−フェニルアラ
ニル−L−プロリル−L−アルギニル−クロロメチルケ
トン(D−Phe−Pro−Arg−Ch2Cl若しくはPPACK)であ
るトリペプチド誘導体である(ケトナーら、トロンボシ
ス リサーチ(Thromb.Res.)、14巻、第969−973頁、1
979年、及び米国特許第4,318,904号、1982年3月9日、
ショーら)。PPACKはトロンビンの酵素活性を、その活
性部位付近のヒスチジン残基をヘパリン−抗トロンビン
III複合体及びトロンビン間のそれと同等の総速度定数
(1.1×107L/モル/秒)でアルキル化することにより、
非可逆的に阻害する。
ヘパリン及びヒルジンと同様に、PPACKはインビボ
トロンビンの、血漿フィブリノーゲンをフィブリンに転
化し、それにより、赤色血栓の形成を誘導する能力を阻
害することが示されている。ケトナーら、トロンボシス
リサーチ、14巻、第969−973頁、1979年、参照のこ
と。しかしながら、引用した各実験に記されているよう
な注射によりもたらされる局所的に非常に高い濃度のト
ロンビンは、いかなる自然の血栓症過程においてもおそ
らく発生しないことは銘記しておくべきである。さら
に、それらの実験の方法論は、報告されている実験条件
下での血栓症の発生におけるトロンビンの酵素活性及び
体液活性の相対的寄与を描写させない。このように、そ
れらの実験は、PPACKの動脈血栓症に及ぼす影響につい
ての結論を引き出すのに適当なモデルを用いていなかっ
た。
PPACKのフィブリン形成を予防する能力は、ヒトの血
漿中及び実験動物の血液中で急速に減退することが示さ
れている。たとえば、コレンら、ジャーナル オブ ラ
ボラトリー アンド クリニカルメディスン、99巻、第
76−83頁、1982年、はウサギにおけるPPACKのフィブリ
ン形成阻害能の半減期は約2.9分であると報告した。ハ
ウプトマンら、トロンボシスリサーチ、20巻、第347−3
51頁、1980年、も同様に参照のこと。
ウサギの血漿におけるPPACKのフィブリン形成阻害能
の半減期が相対的に短かいため、前述のコレンらはPPAC
Kの抗凝血効果をより長い期間持続させるには連続的注
入が必要であろうと結論した。さらに、コレンらはPPAC
Kの短かい血漿半減期から、PPACKは散在性血管内凝血が
疑われるある種の緊急条件において特に有効と思われる
と示唆するに至った。彼らの推論は、PPACKの単回注射
はただちにトロンビンの酵素活性を阻害するらしいが、
そのフィブリン形成阻害能は急速に減退するらしいため
長期間の抗凝血効果はもたらされないであろう、という
ものであった。
マークワード、アニュアル ニューヨーク アカデミ
ック サイエンス、485巻、第204−214頁、1986年、はP
PACKの相対的に短かい半減期はそれがトロンビンだけで
なく、アミノ基若しくはチオール基を含有する他の血液
及び組織成分とも安定な共有結合を形成することができ
るためであると報告している。マークワードによれば、
その性質がPPACKを抗凝血剤としてのインビボでの使用
に不適当たらしめている。ハウプトマンら、トロンボシ
スリサーチ、20巻、第347−351頁、1980年、も参照のこ
と。
インビトロでのヘパリン様抗凝血剤としてのPPACKの
使用の記述については、モーラーら、トロンボシス ア
ンド ヘモスタシス(Thromb.Haemostas.)、56巻、第1
60−164頁、1986年;ボウドら、バックス サングイモ
ーター(Vox Sang.)、51巻、第192−196頁、1986年;
ディーフェンブルンら、サーキュレィション、73巻、第
1291−1299頁、(1986年;ク(Ku)、ジャーナル オブ
カルディアック ファーマコロジィ(J.Car.Phar
m.)、8巻、第29−36頁、1986年;オフォスら、アニュ
アル ニューヨーク アカデミック サイエンス、485
巻、第41−55頁、1986年;及びスカーファーら、ジャー
ナル オブ ラボラトリィ アンド クリニカル メデ
ィスン、107巻、第488−497頁、1986年、を参照のこ
と。
またヘパリン及びヒルジンと同様に、PPACKはインビ
トロでトロンビンの血小板活性化刺激能を阻害すること
が示されている。ハーモンら、ジャーナル オブ バイ
オロジカル ケミストリィ、261巻、第15928−33頁、19
86年;ハーモンら、アニュアル ニューヨーク アカデ
ミック サイエンス、485巻、第387−395頁、1986年;
及びマークワードら、ヘモスタシス、13巻、第228−233
頁、1983年、を参照のこと。もっとも、それらの各実験
はクエン酸処理した血小板を人工培地中で使用して行な
われた。パッカム、トロンボシス アンド ヘモスタシ
ス(Thromb.Haemostas.)、50巻、第610−619頁、1983
年、によればそのような培地中におけるヒト血小板の反
応は生理的濃度のイオン化カルシウムが存在する培地中
におけるそれとは異なる。このように、パッカムによれ
ば、血小板機能阻害剤についての多くの実験は実はイオ
ン化カルシウムが低濃度の培地中における間隔の詰まっ
た血小板の接触により起きる。アラキドン酸経路の人工
的刺激に対する阻害についての実験であった。PPACKの
インビトロでの血小板凝集阻害能についての実験から結
論を引き出すことは、それゆえ困難である。
現在までインビボでの血小板凝集に対するPPACKの作
用若しくはそれの動脈血栓症予防能についての研究はな
されていない。このことは、トロンビンの酵素活性だけ
でなく、それの血小板凝集刺激能も阻害するヘパリン等
の薬剤が動脈血栓症の予防においては有効でないという
上記考察の教訓の見地からすれば驚くに価しない。
発明の簡単な要約 本発明は患者における血小板依存性動脈血栓症を予防
する方法において、該患者に治療上有効な量の式(1)
のペプチドを投与すること含む方法に関する。
他の態様においては、本発明は患者における治療後動
脈再狭窄症を予防する方法で、該患者に治療上有効な量
の式(1)のペプチドを投与すること、該患者に狭窄し
た動脈中の血流管直径を増大させ処置動脈を作成するた
めの治療過程を施すこと、及び該患者の動脈血を該処置
動脈中に循環させることを含む方法に関する。
本発明はまた患者の補綴表面における血小板沈着を予
防する方法で、該患者に治療上有効な量の式(1)のペ
プチドを投与すること、及び該患者の動脈血を補綴表面
上に循環させることを含む方法に関する。
図面の簡単な説明 本開示の一部をなす図面において; 第1図は式(1)、すなわちハロゲン−メチルケトン
含有ペプチドを表わす式において、式中Xがハロゲン原
子、好ましくは塩素若しくは臭素を示し、Zが水素若し
くはC1−C6アシル基、好ましくは水素を示す式を具体的
に表わしている。記号(D−)は該フェニルアラニン残
基が右旋性であることを示しており、一方該プロリン及
びアルギニン残基は両方とも左旋性の配置を持つ。
第2図は式(2)、すなわち式(1)において式中X
が塩素を示しZが水素を示す、好ましいハロゲン−メチ
ルケトン含有ペプチドであるPPACKの式を具体的に表わ
している。
第3図は、ヒヒにおける動脈移殖片上への血小板沈着
を阻害する能力についてPPACKとヘパリンを比較して実
験を具体的に表わした2パネルを含んでいる。
これらの実験では自己由来の血小板を111In−オキシ
ドでラベルした。その後長さ5cmの内径4.0mmのニットの
ダクロン血管移殖片(V.S.カテーテル社からの寄贈品)
を長期体外転位の大腿部動脈シラスティックシャント
(吻合)中に伸張片として挿入した。該シャント内の血
流量をカフス(cuff)ドップラー変換器針を用いて測定
し、175±16ml/分の平均値を得た。血管移殖片上の111I
n−血小板沈着を映像分析システム(医療データシステ
ムA3、メドトロニック)と連結したガンマカメラ映像装
置(ダイナカメラ、ピッカー社)によって測定した。結
果は、沈着した血小板の放射能を1mlあたりの循環血液
の放射能で割り、1mlあたりの循環血小板数を掛けるこ
とにより得られる総沈着血小板で表わした。該測定回数
は括弧内に示してあり、垂直棒線は平均値±1標準偏差
(one standard deviation)を表示している。
パネルAは非薬剤処置の対照動物において、111In−
血小板が急速にダクロン血管移殖片に沈着し、50分後ま
でに約1010血小板のプラトー(安定期)値に達したこと
を具体的に示している。該移殖片は1.2±0.2時間で閉塞
した。水平方向の斜線棒で示される60分間の100nmol/kg
/分の速度でのPPACKの連続的静脈内注入は血小板沈着を
十分に阻害し、移殖片の閉塞を予防した。血小板依存性
動脈血栓形成の回復は、該横座標上の約90分の位置より
後の血小板沈着の増加によって明らかなように、PPACK
投与停止の30分後に発現する。
パネルBは、該ヒヒに体重1キログラム(kg)あたり
100ユニット(V)のヘパリン投与(総血液凝固時間を
3倍遅延させる用量)が、60分間の沈着実験時間にわた
って該移殖片上への血小板沈着を有意には減少させなか
ったことを具体的に表わしている。パネルBはまた該ヒ
ヒへの1000ユニット/kgの投与が該移殖片上の血小板沈
着を極一部しか阻害しなかったことを具体的に表わして
いる。
第4図は頸動脈内膜切除部位におけるPPACKの動脈再
狭窄(111in−血小板沈着)阻害能を具体的に表わして
いる。垂直棒線は平均値±1標準偏差を表示している。
非薬剤処置の対照実験(●)における、該処置動脈内の
動脈循環の開始後90分間の急性血小板沈着をパネルAに
示す。パネルAに示された値は移殖標準値を用いて組織
希釈について補正されるため、該結果は沈着血小板数で
表わされている。
PPAKC(○)を該処置動脈内の動脈血循環を開始する
直前から100nmol/kg/分の速度で静脈内投与した際に得
られた結果もパネルAに示す。
パネルBでは、該動脈内膜切除部位の111In−血小板
沈着を実施例1に記述した方法で得た動脈内膜切除/血
液比で表わしている。パネルBより、対照(●)及びPP
ACK処置(○)条件下の両方で111In−血小板の漸進的な
蓄積は極少なかったことがわかる。
第5図は、ヘパリン(●)と比較してPPACK(○)
の、血小板沈着の結果としての血液透析器内の容量損失
若しくは該透析器の補綴表面における容量損失を防ぐ能
力を具体的に表わしている。垂直棒線は平均値±1標準
偏差を表示している。
第6図は頸動脈内膜切除処置を具体的に表わしてい
る。該総頸動脈をクランプで締めた後、遠位を横に切開
する。該近位断片を曲ピンセットで逆に引っぱって裏返
す。固定縫合を付け、マイクロサージャリー法を用いて
1cmの区間に内膜切除術を施す。該血管をその通常の配
置に戻し、末端−末端吻合術を施す。正常内膜の断片が
該内膜切除部位と該吻合部位の間に介在する。
第7図はPPACKの頸動脈内膜切除部位での血小板沈着
阻害能を具体的に表わす2パネルを含む。非薬剤処置動
物では頸動脈内膜切除部位への血小板沈着は急速に増加
し、60−90分でプラトーに達する。100nmol/kgPPACKの6
0分間静脈内注入の処置をうけた動物では、血小板沈着
は著しく減少する。本作用は先の術後即時(左)及び、
血小板内膜切除対血液比から明らかなように3日間を通
じて(右)観察される。垂直棒線は平均値付近の分散を
±1標準偏差で表示している。該対照と処置群の間の比
較は量側スチューデントt−検定で行なった。
第8図は第5図と同様にヘパリンと比較した際の、該
透析器内の血栓形成に対する各使用後の別個の測定値に
より、線推束(血液透析器)中の容量損失及び111In−
血小板沈着を阻害するPPACKの能力を具体的に表わして
いる。ヘパリン処置動物は全試験時間において、有意か
つ漸進的なDFVの損失及び該線推束内の血小板蓄積の相
反的増加を示した。対照するに、該PPACK処置はDFVを保
ち、透析器中の血小板蓄積を著しく減少させた。
本発明の詳細な説明 A.定義 “血管形成術”は狭められた(狭窄した)動脈血管の
外科的再構築を言う。“経皮的管腔外血管形成術”は風
船カテーテルによる動脈血管の拡張であり、該風船カテ
ーテルは皮膚を通して選択された血管中に挿入され、そ
の後血管の管腔を通って狭窄病変部位に達し、そこで該
風船を動脈壁に対する平らなプラグになるまで脹らま
し、それにより患者動脈内に流路を再設置する。
“抗凝血剤”は凝血を妨害し、それによりフィブリン
形成を阻害する薬剤を言う。
“動脈内損傷”は循環中に動脈血が触れる血栓形成表
面を言う。通常の動脈内損傷は動脈壁の内皮剥離領域、
非内皮処理補綴装置などである。
“動脈内補綴装置”は、動脈血を受けて輸送するよう
に脈管構造内に挿入される生物由来若しくは合成血管補
綴を言う。
“凝血”は血液の多数の凝血因子が相互作用し、その
結果フィブリンを形成する連続過程を言う。
“動脈内膜切除術”は動脈の厚化被アテローム内膜の
切除を言う。“ガス動脈内膜切除術”は、アテローム性
動脈硬化症の治療において心臓血管からプラグ状沈着物
を除去するために高圧二酸化炭素を利用して行なう動脈
内膜切除術を言う。“レーザー動脈内膜切除術”はアテ
ローム性動脈硬化血栓を除去するために、カテーテル指
向性レーザーを利用して行なう動脈内膜切除術を言う。
種々の文法上の形態における“式(1)のペプチド”
は第1図に示す式(1)により表わされるペプチド及び
そのハロゲン酸付加生成物を言う。
B.治療方法 本発明は第1図で示される式(1)(式中、Zは水素
若しくはC1−C6アシル基を示し、Xはハロゲン原子を示
す)で表わされるハロゲン−メチルケトン含有ペプチド
及びそのハロゲン酸付加生成物についての新規使用法に
関する。
好ましいハロゲン−メチルケトン含有ペプチドは図2
で示される式(2)(式中、Zは水素を示し、Xは塩素
を示す)で表わされ、ここではPPACKと呼ぶ。
ハロゲン原子には好ましくは塩素、臭素若しくはヨウ
素を含む。
式(1)で表わされるハロゲン−メチルケトン含有ペ
プチドの合成及びトロンビンの酵素活性を押さえるため
のその使用は米国特許第4,318,904号、1982年3月9
日、ショーら、に記述されており、その開示は参考文献
としてここに組み込まれている。
式(1)のペプチドにより表わされるペプチドについ
ての該新規使用法は、該ペプチドが動脈内損傷上へ血小
板沈着を有意に阻害し、それにより血小板依存性動脈血
栓症の危険性を減少させるという発見から生まれた。
このように、本発明は患者における血小板依存性動脈
血栓症を予防する方法で、該患者に治療状有効な量の式
(1)のペプチド、好ましくはPPACKを投与することを
含む方法に関する。
式(1)のペプチドに関して使用される“治療状有効
な量”という句は、該被験者のトロンビン時間を最低約
2倍、好ましくは最低約5倍、より好ましくは最低約10
倍延長させるに十分なペプチド量を言う。本発明の好ま
しい態様においては、式(1)のペプチドは血漿中のペ
プチド濃度が最低約0.2マイクログラム/ミリリッター
(μg/ml)、好ましくは最低約1μg/ml、より好ましく
は最低約10μg/mlに達するに十分な量を投与される。治
療状有効な量の式(1)のペプチドの通常投与は血漿中
のペプチド濃度が、約0.2μg/mlから約10μg/ml、好ま
しくは約0.5μg/mlから約5μg/ml、より好ましくは約
1μg/mlから約2μg/mlの範囲である。すなわち、上記
の血漿濃度の式(1)のペプチドを含有する循環血液が
血小板依存性動脈血栓症を予防する方法を提供する。
該血漿中の式(1)のペプチドの濃度測定法は本技術
分野において周知であり、好ましい方法が、コレンら、
ジャーナル オブ ラボラトリィ アンド クリニカル
メディスン、99巻、第76−83頁、1982年、に記述され
ており、その開示は参考文献としてここに組み込まれて
いる。
患者(ヒト被験者)における血小板依存性動脈血栓症
の存在を診断する方法は、本技術分野において周知であ
る。それらの方法には、コントラスト血管造影法、動脈
造影法、コンピューターX線体軸断層撮影(CAT)スキ
ャン、放射性核種ラベル化血小板を用いたインビボ映像
法、二次元ドップラー装置を用いたロケーション(loca
tion)法等が含まれる。血小板依存性動脈血栓症が役割
を演じる特殊な疾患も本技術分野では周知であり、脳卒
中若しくは一過性大脳虚血により明らかになる脳血管ア
テローム性動脈硬化症;心臓虚血、非安定性アンギナ若
しくは急性心筋梗塞により明らかになる心臓アテローム
性動脈硬化症;及び末端虚血により明らかになる末梢動
脈閉塞症等が含まれる。
血小板依存性動脈血栓症の治療を必要とする患者に
は、狭窄動脈内の血流を改善するために医療(治療)処
置を受ける者も含まれる。たとえば、動脈潰瘍、アテロ
ーム性動脈硬化症プラグ状動脈血栓等の閉塞性存在を除
去するために行なわれた治療処置の間に被膜化されなか
ったか若しくは作られた動脈内損傷によって誘導された
血小板依存性血栓症による治療後再狭窄症を多くの患者
が経験する。
このように、本発明は患者における治療後動脈再狭窄
症を予防する方法で、以下の(a)、(b)及び(c)
を含む方法に関する: (a)該患者に対する治療上有効な量の式(1)のペプ
チド、好ましくはPPACKの投与。
(b)該患者に対する狭窄動脈内の血流管直径を増大さ
せ、それにより処置動脈を作成するための医療処置の実
施。狭窄動脈の血流管直径を増大させるための医療処置
は本技術分野において周知であり、外科的処置(手技若
しくは、器具あるいは装置の介在によってなされる、手
による若しくは操作運転による治療方法)及び薬物療法
を含む。たとえば、狭窄動脈の血流能力を改善するため
に行なわれる外科的処置には、動脈内膜切除術、特に、
ガス若しくはレーザー動脈内膜切除術、血管形成術、動
脈血管補綴挿入等が含まれる。
狭窄動脈の血流能力を増大させるための医療処置に
は、患者への治療上有効な量の血栓崩壊剤の投与も含ま
れる。血栓崩壊剤及びそれらの使用は同様に本技術分野
において周知である。市販の血栓崩壊剤にはストレプト
キナーゼ、ウロキナーゼ及び組織プラスミノーゲン活性
化剤(tPA)が含まれる。
治療後再狭窄症の処置に対する好ましい方法におい
て、(a)による式(1)のペプチドの投与は(c)に
より該処置動脈を循環動脈血にさらすより前に行なわれ
る。好ましくは、(c)は(a)にひき続いて行なわれ
るが、(a)により投与した式(1)のペプチドの血漿
中濃度が最低約0.2μg/ml、好ましくは最低約1μg/m
l、より好ましくは最低約10μg/mlの間に行なわれる。
他の態様においては、(c)は(a)が行なわれた後約
90分以内、好ましくは約15分以内、より好ましくは約5
分以内に行なわれる。
しかしながら、本発明は(a)及び(c)が実質上同
時に(同一時間に)行なわれ、かつ(c)が(a)より
先に行なわれる方法にも関する。
動脈血栓症に対する治療を必要とする患者にはさら
に、その循環動脈血が血栓形成表面を通ることになる患
者が含まれる。血栓形成表面が動脈循環にさらされる状
態は動脈補綴装置を外科的に挿入してある患者において
通常発生する。このように、本発明は動脈補綴表面の血
小板沈着を予防する方法で、以下の(a)及び(b)を
含む方法に関する: (a)該患者に対する治療上有効な量の式(1)のペプ
チド、好ましくはPPACKの投与。
(b)該患者の動脈血を補綴表面上に循環させること。
患者の循環中に外科的に挿入されその表面が動脈血に
さらされる動脈内補綴装置は本技術分野において周知で
ある。“生物由来及び合成血管補綴、"J.スタンレイ
編、グルーネ及びストラットン、ニューヨーク、1982
年、を参照のこと。生物的動脈補綴の例としては、自家
動脈移植片、特に自家伏在静脈動脈移植片、ジアルデヒ
ドでんぷん−褐色化(tanned)ウシ異種移植片、ヒト臍
帯静脈移植片等が含まれる。合成動脈補綴も本技術分野
では周知であり、ダクトン移植片、米国特許第3,962,15
3号に記述されたもののような拡張ポリ四フッ化エチレ
ン移植片、米国特許第4,687,482号に記述されたものの
ような疎水性重合体連結移植片等が含まれる。
動脈補綴表面の例としては動脈ステン(stens)、A
−V吻合等がある。A−V吻合は通常非内皮処理化管断
片で、一般に重合物質で構成されており、動脈血を直接
静脈に輸送するか若しくは、最初に静脈を通してエクス
ビボ(生体外)の治療装置に輸送するために使用され
る。エクスビボの治療装置の例としては心肺補助装置等
が含まれる。エクスビボの治療装置の使用は本技術分野
においては周知である。
補綴表面上への血小板沈着を予防する好ましい方法に
おいて、(a)による式(1)のペプチドの投与は、
(b)により該患者の動脈血を補綴表面上に循環させる
より前に行なわれる。好ましくは、(b)は(a)にひ
き続いて行なわれるが、(a)により投与したペプチド
の血漿中濃度が最低約0.2μg/ml、好ましくは最低約1
μg/ml、より好ましくは最低約10μg/mlの間に行なわれ
る。他の態様においては、(b)は(a)が行なれた後
約90分以内、好ましくは約15分以内、より好ましくは約
5分以内に行なわれる。しかしながら、本発明は(a)
及び(b)が実質上同時に行なわれ、かつ(b)が
(a)より先に行なわれる方法にも関する。
式(1)のペプチド若しくはそのハロゲン酸付加生成
物は通常溶液若しくは懸濁液の形態の医薬用組成物とし
て投与されるが、もっとも、周知のようにペプチド類は
錠剤、丸剤、カプセル剤、徐崩剤若しくは粉末剤として
も治療投与用に処方することができる。いずれの場合
も、該投与組成物は約0.10%から約99%、好ましくは10
%−90%、より好ましくは25%−75%の式(1)のペプ
チドを含有する。
活性成分としてペプチド類を含有する治療用組成物類
の製造は本技術において周知である。通常、このような
組成物類は液体溶液若しくは液体懸濁液のいずれかの注
射可能薬物として製造されるが、もっとも注射前に液
体、若しくは懸濁液にするのに適当な固体形態類も製造
することができる。該製造物も乳化することができる。
該活性治療用成分は、医薬上許容しうるかつ該活性成分
(ペプチド)と適合する無機及び/又は有機賦形剤とし
ばしば混合される。適当な賦形剤としては、たとえば、
水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタ
ノール等、及びそれらの混合物がある。さらに、必要な
らば、該組成物は該活性成分の有効性を高める少量の湿
潤あるいは乳化剤、pH緩衝剤等の補助剤を含有すること
ができる。
本発明の実施において有用な治療用組成物は、中性の
医薬上許容しうる塩の形態で該治療用組成物中に処方さ
れた式(1)のペプチドを含有することができる。医薬
上許容しうる塩類には該酸付加塩類(該ポリペプチド若
しくは抗体分子の遊離アミノ基と形成される)及び、た
とえば塩酸あるいはリン酸等の無機酸、若しくは酢酸、
蓚酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸と形成されるもの
が含まれる。該遊離カルボキシル基と形成される塩類は
また、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、若しくは水酸化
鉄(III)等の無機塩基類、及びイソプロピルアミン、
トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒス
チジン、プロカイン等の有機塩基類より誘導することも
できる。
該治療用ペプチド含有性組成物は通常静脈内に、たと
えば単位投与量を注射することにより、投与される。本
発明で用いられる治療用組成物に関して使用される。
“単位投与量”という用語は、ヒトに対する単位投与と
して適当な物理的に不連続の単位を言い、各単位は必要
な賦形剤とともに求められる治療効果をもたらすように
計算されたあらかじめ決められた量の活性物質を含有す
る。
該組成物は該投与処方に適合した形式で、かつ治療上
有効な量を投与される。投与されるべき量は治療をうけ
る患者、すなわち該患者の止血系の該活性成分を利用す
る能力、及び求められる血小板凝集阻害の程度に依存す
る。活性成分の投与を必要とされる正確な量は該医師の
判断に依存し、各個人に特有である。もっとも、適当な
投与量範囲は1ないし数百ナノモル/キログラム体重/
分のオーダーの式(1)のペプチドであり、投与経路に
依存する。
他の態様においては、本発明は両端の開いた実質的に
非弾力性の中空本体部分を持つ延長管断片を含む血栓抵
抗性血管補綴に関する。該中空本体部分は制限された流
管であることの定義となる管腔(循環血接触性)表面を
持つ。式(1)のペプチドは該管腔表面に除去可能に付
着している。
“除去可能な付着”は、式(1)のペプチドが制限さ
れた該血流管を通って循環する血液と接触する間に該血
漿中に溶解できるように該補綴の管腔表面に付着してい
ることを意味する。除去可能な付着は、固体若しくは液
体の形態の式(1)のペプチドの該管腔表面上への吸着
による沈着を含む周知の方法により完成される。実質的
に純粋な形態(最低約99%の純度)のペプチドを該表面
に結合させた場合、それは該循環血と接触する間に非常
に迅速に溶解して、該管腔表面上に該ペプチドの血漿中
溶解度にほぼ等しい局所ペプチド濃度を提供するであろ
う。
好ましい態様においては、該補綴装置の該管腔表面に
除去可能に付着した式(1)のペプチドは徐放性処方の
一部として存在する。通常の徐放性処方は医薬上許容し
うる生物分解可能な賦形剤と混合された式(1)のペプ
チドを含む。徐放性処方中の使用に適した医薬上許容し
うる生物分解可能な賦形剤類は周知であり、重合体類
(たとえば、ポリエチレングリコール)、ポリアミノ酸
類(たとえば、ポリグリコール酸)等を含む。式(1)
のペプチドを含む徐放性処方が該管腔表面に除去可能に
付着された場合、該血液中のペプチドの局所濃度(すな
わち、該血液−管腔表面界面における該ペプチド濃度)
は該賦形剤の溶解速度に比例すると思われる。ペプチド
対賦形剤の割合は、本技術分野において周知なように、
賦形剤の選択及び該補綴血流管内の血流条件に依存する
ため、治療上有効な量の式(1)のペプチドは徐放性処
方が用いられる場合、数時間から数日の間、該管腔表面
に接触する血液に供給されうる。
本発明の血管補綴は、その好ましい態様においては、
実質的に非弾力性である。ここで使用する場合、“非弾
力性”という表現は、正常な動脈圧(250mmHg以下)下
の収縮期及び拡張期の間に内径の伸張が10パーセント以
下を示すことを意味する。該血管補綴の外部表面は、現
在市販されている補綴について一般的である様に、ヒト
若しくは他の哺乳動物における移植時に組織固定しても
よい。
該血管補綴の該管状分節は必要な強度、耐久性及び縫
合性を示す物質で構成されてもよい。我々が該補綴若し
くは移植片を製作するのに適当な市販の物質には、ダク
ロン(C.R.バード社、ビレリカ、マサチューセッツ州)
等のポリエステル及びテフロン(ゴアテックス)(W.L.
ゴア、フラグスタッフ、アリゾナ州)等のポリフッ化炭
素が含まれる。
好ましい態様においては、該管腔表面は比較的なめら
かで、非極性の疎水性表面を形成する重合体類を含む。
このような物質類及び管腔表面の一部を形成する際のお
のおのの使用はハンソンの米国特許第4,687,482号に記
述されており、その開示は参考文献としてここに組み込
まれている。
本発明の血栓抵抗性血管補綴は、式(1)のペプチド
を該補綴の該管腔表面上に除去可能に付着させることを
含む方法により製造される。このように、血管補綴装置
の管腔表面への式(1)のペプチドの除去可能な付着
は、該装置の血栓抵抗性を改善する方法である。
実施例 以下の実施例は本発明を具体的に表わすことを意図し
ているが、制限することを意図しない。
1.合成動脈補綴装置上の血小板沈着のインビボ阻害 制御されない変数のない形式でのインビボの急性動脈
血栓形成の速度を定性するために、血管移植片血栓症の
一次モデルを使用した。ヒヒはヒトと同様の血栓症経過
を持つらしいので、これらの実験に対してヒヒを選択し
た。急性血栓形成の程度は、ハンソンら、アルテリオ、
5巻、第595−603頁、1985年、に記述されているよう
に、自己由来の111インジウムラベル化血小板の小内径
ダクロン血管移植片の断片上への吸着をシンチレーショ
ンカメラで映像化することにより、実時間に測定した。
要約すれば、長期動静脈シャントは正常な10−12キロ
グラムのオスとヒヒ(パピオアヌビス)の大腿部動静脈
間に外科的に移植された(A−Vシャント)。該永久的
シャント系は13−及び15−ゲージのテフロン管先端(ラ
イフメド、ベニトロン社、コンプトン、カリフォルニア
州)に接続した内径(i.d.)3ミリメートル(mm)、長
さ25センチメートル(cm)のシラスティック管(ダウコ
ーニング社、ミドランド、ミシガン州)2本から成る。
さらに、2本の該シラスティック管を皮膚出口部位でダ
クロン縫合カフス(デュポン、E.I.ドヌモア社、ウィル
ミングトン、デラウェア州)で固定した。2個の該シラ
スティック吻合断片を長さ1cmの鈍角末端のテフロン管
(内径2.8mm)で連結することにより、血流を確立し
た。全実験において、その後ダクロン血管移植片を該永
久シラスティックA−V吻合断片間に挿入することによ
り、該動物の外科的に連結した。
モデルの合成血管補綴は以下の方法で、長さ10cmの非
クリンピングニットダクロン移植片材料(サビッジエク
スターナルベロア、120mmHgにおける平均有孔性:2000な
いし2200ml/H2O/分、内径4.0mm)を血液漏出不浸透性
にすることにより、該A−V吻合系での使用にむけて製
造された。
最初に、4.0mm径のテフロンロッド(あらかじめ、穏
やかな石けん液、それに次いでエタノールを使用し、最
後に滅菌蒸留水ですすぐことにより完全に洗浄してある
もの)を該移植片中に挿入した。その後、該移植片を外
側から5×10cmのパラフィルムシートで包み、長さ10c
m、内径6.3mmの“熱収縮性”テフロン管(スモールパー
ツ社、マイアミ、フロリダ州)内に入れた。
該移植片断片を含むテフロン管を低ブンセン炎上で約
5.3mmまで収縮が起きるまで穏やかに加熱し、その結果
初めて該移植片表面を変化させずに該外部織地間隙上に
該パラフィルムを圧縮させた。シリコンゴム管、長さ10
cm×内径4.0mm、を該テフロンロッド上に移動し、シラ
スティック医療用接着剤、シリコンタイプAを用いて該
移植片断片の両端に接続した。該重合体を24時間硬化さ
せた後、該テフロンロッドを該管腔内から注意深くひき
出した。本処置により、直線形状に厳密に圧迫され4.0m
mの内径を持つ不透過性移植片が製造された。でき上が
った等直径の血流管は、連結処置による欠陥もなしに該
シラスティックから移植片表面への境目がなめらかであ
った。該移植片は鈍端テフロン接続子を用いて該ヒヒの
吻合系内に接続された。
自己由来のヒヒ血小板を以下の処置により111In−オ
キシンでラベルした。全血(100ml)を20mlの酸−クエ
ン酸−デキストロース抗凝血剤(NIH処方A)を含むプ
ラスチックバック中に直接採取した。該血液を該バック
中で300xgで10分間遠心した。上清の濃−血小板血漿(P
RP)を第2のバッグにその後移し、0.15Mのクエン酸
(0.1ml/10mlPRP)を加えてpH6.5に調整した。赤血球分
画は供血動物に返却した。該PRPを1300xgで15分間遠心
して血小板をペレット状にした。上清の血小板不足血漿
(PPP)は完全に別の容器に移し、廃棄した。
残りの血漿蛋白類を除去するために、該血小板ペレッ
トを含むバッグを30mlのリンガーのクエン酸デキストロ
ース(RCD、pH6.5)を上層した後他に移し廃棄すること
により、注意深く一回洗浄した。該ペレットをその後ゆ
っくりと5.0mlRCDに再懸濁し、500−700マイクロCi111I
n−オキシン(アマシャム社、アーリントン、ハイツ、
イリノイ州)とともに30分間インキュベートした。混入
している赤血球は最後に200xgで5分間低速遠心して除
去した。
200マイクロリッターのラベル化血小板濃縮液を5.0ml
のRCDで希釈し、0.5mlの該希釈血小板懸濁液の放射能
を、3000xg、30分間の遠心後得られる無細胞上清0.5ml
の活性と比較することによりラベル効率を測定した。約
13パーセントの非血小板結合性アイソトープを含むラベ
ル化血小板懸濁液の測定した量を、100マイクロリッタ
ー標準液を調製した後に直接受血哺乳動物に注射した。
非血小板結合性アイソトープを除去するためにさらに洗
浄する処置は、インビトロの細胞損傷をもたらすと思わ
れたため望まくないと考えた。
循環血小板111In−放射能は移植片配置前及び後に採
取し、2mg/mlの(エチレンジニトリロ)−四酢酸(EDT
A)中に加えた4mlの血液サンプルから測定した。各サン
プルのうち1mlの血小板数測定に使用し、1.0mlは全血
111In−放射能を測定した。残りの2mlを3000xg、30分間
遠心し、上清(PPP)のうち1mlについて血漿111In−放
射能を測定した。血液及び血漿の全サンプルはガンマス
ペクトロメーター(ヌクレアシカゴ、シカゴ、イリノイ
州)を用いて測定した。血小板数測定は電子血小板カウ
ンター(クレイアダムスUF−100、パーシパニイ、ニュ
ージャージー州)を用いて全血について行なった。
111Inの両ガンマ光子ピーク(172keV及び247keV)の
シンチレーションカメラ映像化には、一般に高エネルギ
ーコリメーションが、感度及び空間的分解能の両方を低
下させるにもかかわらず、映像の不鮮明化を防ぐために
必要とされてきた。血小板放射能活性が本実験では制限
因子ではなかったため、高感度99Tcコリメーターを111I
nの低い方のエネルギーピークのみを映像化することに
より(172keVピーク及び5%エネルギーウィンドウにお
いて)良好な分解能で使用することができた。近位及び
遠位シラスティック断片を含む該ダクロン移植片の映像
はピッカーDC4/11ダイナシンチレーションカメラ(ピッ
カー社、ノースフォード、コネティカット州)で取り、
該カメラに連結した医療用データシステムSIMULコンピ
ューター(メドトロニック、アンアーバー、ミシガン
州)により保存及び分析した。本システムは64×64語モ
ードでデータの同時取得及び分析ができ、図3に示した
データを作るために使用した。該移植片をエクスビボで
映像化する直前に、2分間の映像を、血小板濃縮液の20
0マイクロリッターサンプル(注射液標準)及び自己由
来血液で満たされた該移植片と同管腔容量を持つ内径4m
mのシラスティック管(血液標準)について取った。
全ての標準液及び管は直線形状を維持するように、該
コリメーターの表面から約1cmの所にあるプレクシグラ
ス中に正確に規格化された溝の中に置いた。該標準液及
び10cmの移植片の放射能を重要な同じく3.1cm×12.5cm
領域(10cm×40画素)についてカウントし、画像分析ソ
フトウェアルーチンにより定義した。移植片設置時間か
ら、映像をデータを保存しながら2分間隔で連続的に取
った。沈着した111In−血小板の放射能は該血液標準放
射能を全動的実験映像から減じることにより計算した。
111In−血小板の調製品を1回注射の後数日間移植片
を逐次設置し、映像化した。循環する111In−血小板放
射能は、正常な生理的機構を通じて連続的に、また一連
の移植片設置により急性に失なわれたため、血小板蓄積
の測定値は、沈着した移植片放射能を各評価の開始時に
測定した該移植片内の全血(循環)血小板放射能で割っ
た比率を定義した、移植片/血液比として表現した。本
測定値は該哺乳動物のサイズ、注射したアイソトープの
量、若しくは該アイソトープが減衰したと考えられる範
囲に依存しないため選択された(リッチーら、アメリカ
ンジャーナルオブカルディオロジィ、47巻、第882頁、1
981年;カロウら、アニュアルサージェリィ、191巻、第
362頁、1980年)。該移植片/血液比は、しかしなが
ら、該循環中の加齢若しくはトロンボゲン表面上の反復
通過の結果として起こる血小板機能の変性における観察
のタイミング若しくは順序に依存する。
該移植片/血液比を測定するために、該移植片管腔
(1.26ml)内血液の放射能を2個の別々の方法で測定し
た。最初に、該血液標準(1.57ml血液量)を映像化した
後、それを直接計算した。第2の方法では、各実験開始
時に存在した血液1mlあたりの放射能を、該注射液標準
を各実験前に映像化し、この値に該実験時点に採取した
全血1mlあたりのCPM(ある経過時点t1において、ガンマ
カウンターを用いて測定)を掛け、注射液標準の放射能
(同様に、t1においてガンマーカウンターで測定)で割
ることにより計算した。全ての血液サンプル及び標準を
各評価シリーズの終わりに同時にカウントした。全ての
計算において、放射能値は血小板放射能のみに関するも
のであり、全ての血液及び標準についての値は非血小板
性アイソトープ分画について補正した。
総血小板沈着(ラベル化プラス非ラベル化細胞)は移
植片/血液比に因子:移植片血液容積(1.26ml)×全血
1lあたりの血小板濃度、を掛けて評価した。本計算に
は、該ラベル化及び非ラベル化血小板母集団が移植片沈
着に関しては全時点において同等であったという仮定が
含まれた。上記の方法により測定した該血管移植片上へ
の総血小板沈着に対する値は第3図に示す。
無処置の対照動物において、該血管移植片上への血小
板沈着は、60分で8.5×109血小板のプラトー値に達し
(第3図)、該移植片は1.2±0.2時間で閉塞した。さら
に、表1に示すように、これらの対照実験における血栓
形成期間中に、血小板特異性アルファ顆粒蛋白である血
小板因子4(PF4)及びベータトロンボグロブリン(βT
G)、及びトロンビンによるフィブリノーゲン開裂産物
であるフィブリノペプチドA(FPA)の血漿レベルの上
昇が観察された。
1.全血中で電子的(J.T.ベイカー、810型分析器、アレ
ントン、ペンシルバニア州)にカウントした血小板数
は、血管移植片血栓形成期間中の血小板形成により該循
環中において減少した。
2.血漿PF4及びB−TGはハンソンら、アーテリオスクレ
ロシス、5巻、第595−603頁、1985年、に記述されてい
るように採取及び処置した血液サンプルに対するラジオ
イムノアッセイにより測定した。血漿中のこれらの血小
板特異性蛋白の増加は、血栓形成に利用された血小板か
らの放出を反映した。
3.前記のハンセンらの方法によるラジオイムノアッセイ
により測定したFPA値も同様に増加しており、移植片血
栓における血栓形成期間中のトロンビンによるフィブリ
ノーゲン開裂産物を表わしている。
ヘパリンの通常用量(該移植片を動脈血にさらす前に
塊として100単位/kg投与)は移植片血小板沈着に効果を
持たなかった(第3図B:p>0.5)が、ヘパリン用量を10
倍増加すると部分的に有効であった(第3図B)。アス
ピリン(移植片設置の2時間前に経口で32.5mg/kg/日投
与)及びアスピリンとヘパリン(100単位/kg)の併用の
いずれも、同様に行なわれた以前の実験における血管移
植片111In−血小板沈着に影響を及ぼさなかった。ハー
カーら、“血管疾患:最新の研究と臨床応用”、ストラ
ンドネスら編、オーランド、グルーネアンドストラット
ン、第271−283頁、1987年、参照のこと。このように対
照動物においては、該血管移植片は血栓形成性が高く、
フィブリン形成の阻害(ヘパリン処置)、血小板機能の
阻害(アスピリン処置)若しくはそれらの両方(アスピ
リン及びヘパリン処置)を目的とした通常の抗血栓症治
療に抵抗性を持った。
対照的に、PPACKの血漿中濃度を約1−2μg/mlにす
る100nmol/kg/分の速度での静脈内注入は111In−血小板
沈着を完全に押さえ、移植片閉塞を予防した(第3図
A)。表2に示すように、PPACKはまた止血性血小板プ
ラグ形成も押さえ(出血時間を30分以上に延長し、対照
値に比較してP<10-5)、トロンビン誘導性血液凝固も
押さえた(トロンビン時間>10分、対照値に比較してP
<10-5)。
1.血小板止血作用を、血小板数、血小板プラグ形成能
(テンプレート出血時間)、及び血小板凝集に関して評
価した。血小板凝集はクエン酸添加の濃血小板血漿の攪
拌懸濁液を通る光透過度を記録することにより測定し
た。該結果は1/2最大凝集をもたらすのに必要な作用物
質(ADP、コラーゲン及びトロンビン)の濃度で表わし
てある。結果は平均値±1標準偏差で表わしてある。
加えて、PPACK投与期間中に血小板若しくはFPAから血
漿中へのPF4若しくはβTGの放出は検出されなかった
(表1)。
表3に示したインビボの用量−作用実験の結果は、ト
ロンビン誘導性血液凝固及び出血時間の遅延化と、約15
分間の100nmol/kg/分の速度での注入でもたらされた約
1−2μg/mlのPPACK血漿濃度において観察された最大
効果における予想外の一致を明らかにしている。
1. 5匹の別々の動物において、表示した用量漸増形成
に従ってPPACKを静脈内注入した。15分間の所定用量の
連続注入の後、該テンプレート出血時間測定を開始し、
トロンビン時間測定に血液を採取した。次の用量への漸
増は出血時間測定が完了した後即ちに行なった。該結果
は平均値±1標準偏差で表わしてある。
PPACKをヒヒ血漿にインビトロで加えた場合、トロン
ビン時間は6μM/l以上の濃度においてはっきりと長く
なったが、これは該注入データ(表3)と一致する。治
療期間中、心拍数及び血圧に対して何ら効果ももたらさ
なかった。PPACK注入停止後、111In−血小板の移植片沈
着は第3図Aに示すように30分間で常態化し、出血時間
及びトロンビン時間は表2に示すように15分以内に十分
正常化した。
トロンビン誘導性血小板凝集はPPACKが3.2±0.1mh
(=g/L)以上の濃度で存在した間押さえられた(表
2)が、一方コラーゲン若しくはADPにより誘導される
血小板凝集はPPACKによって阻害されなかった(表
2)。このように、血小板の固有の反応性は影響を受け
なかった。
2. 血小板沈着及び動脈再狭窄のインビボにおける阻害 A.PPACKの動脈再狭窄阻害能をインビボの動脈移植片
挿入及び動脈内膜切除のヒヒモデルにおいて試験した。
移植片挿入として、長さ3cmのゴアテックス移植片(内
径4mm)の形態の小血管補綴を、オスのヒヒの頸動脈中
に外科的に挿入した。該移植片を通して(該補綴表面上
を通って)動脈血液を循環させる直前、及びその後1時
間の期間中、約100nmol/kg/分の速度で該ヒヒにPPACKを
静脈内投与した。対照動物はPPACK処置を受けなかっ
た。111In−血小板沈着は実施例1に記述したように動
脈血流を再構成したものについてモニターした。
動脈内膜切除術として、ヒヒの頸動脈に標準的外科処
置により動脈内膜切除を行なった。該内膜切除(処置)
動脈を通しての血液循環の直前、及びその後約1時間の
期間中該ヒヒに約100nmol/kg/分の速度でPPACKを静脈内
投与した。対照動物はPPACK投与を受けなかった。
両実験の結果は同等であった。該動脈内膜切除実験の
データは第4図に示されており、血小板沈着(再狭窄)
がPPACK投与を受けた動物においては対照動物と比較す
ると90−95%阻害されたことを示している。
B.頸動脈内膜切除の別の実験においては、体重が8な
いし11kgの14匹のヒヒ(オス10匹及びメス4匹)に、こ
こに記述した標準的外科処置により動脈内膜切除を行な
った。
動物達に前麻酔薬としてアトロピン(0.04mg/kg筋
注)を投与し、その後導入用にケラミン(10mg/kg筋
注)及び維持用に気管内チューブによるハロタン(酸素
中1%)を用いて麻酔した。頸部中線切開を通じて、総
頸動脈を近位は鎖骨から遠位は頸動脈分岐点までの周辺
組織から離すように切開した。該総頸動脈を、硫酸ヘパ
リン(100単位/キログラム、(U)/(kg)、静注)
の塊状注射の3分後に該露出血管の各末端に設置した非
外傷性血管クランプを用いて横に締め、該遠位横断クラ
ンプの1cm近位を分割した(第6図)。該近位動脈断片
をその後曲ピンセット上に裏返した。該ピンセットを該
血管の切断末端から挿入し、その後管腔内側から該動脈
壁の全厚みの引っ掛かりを得て、近位方向の該血管分割
末端を逆に引っぱって裏返した。最大露出が得られた
後、該管腔露出断片上に一対のポリプロピレン固定縫合
(7−0)を近位の両側に、また第2の対を遠位に取り
付けた。その後動脈内膜切除術を、裏返した該血管断片
の分割末端から1cmの所から始めて施し、1cmの区間連続
して行なった。本処置にはピンセット及び手術用顕微鏡
(倍率×32、ザイス手術用顕微鏡、西ドイツ)を用いて
該正常内膜、及び中膜の厚みの一部を機械的に除去する
ことが含まれた。動脈内膜切除術の後、該血管をその正
常な配置に戻し、2 1/2の倍率下で7−0ポリプロピレ
ン糸で末端−末端吻合術を施した。該処置動物におい
て、静脈内PPACK注入は該被手術頸動脈中の血流回復の
5分前に開始した。5−MHzペンシル型ドップラー探針
(パークス電子研究所、ビーバートン、オレゴン州)を
用いて該動脈内膜切除部位の近位と遠位、及び該吻合部
位について開存を評価した。111In−源を内部標準とし
て移植した(以下参照)。傷を断続的縫合で閉じ、シン
チレーションカメラによる映像化を即ちに行なった。該
動物達は該処置に十分耐えた。血液損失量の評価は約25
mlであった。
自己由来のヒヒ血小板を、先に実施例1で述べたよう
に800−1000μCi(1Ci=37GBg)の111In−オキシドでラ
ベルし、該手術処置の前に注射した。
中型エネルギーコリメーターを111インジウムの低及
び高エネルギーピークの両方を映像化することにより良
好な分解能で使用した。該頸動脈の映像をピッカーDC4/
11ダイナシンチレーションカメラ(ピッカー社、ノース
フォード、コネティカット州)で取り、該カメラに接続
した医療用データシステムA3コンピューター(メドトロ
ニック、アンアーバー、ミシガン州)により分類及び分
析した。全血5mlサンプルについても同様に映像を取っ
た(血液標準)。
較正のために、小111In−ラジオアイソトープ源(約
5μCi)を0.6mm内径のポリエチレン管(PE−50、クレ
イアダムス社、ニューヨーク、ニューヨーク州)の末端
に密封し、手術時に該動脈内膜切除部位と同じ組織面内
の該総頸動脈に隣接して設置した。初期5分の映像を取
った後(以下参照)、該111In−源を回収し再カウント
した。傷の中に移植された時点と除去後の該内部標準の
111In放射能の比率は、該動脈内膜切除部位に沈着した
111In放射能に対する介在組織の減衰作用を直接測定す
るものとなる(ハンソンら、アルテリオスクレロシス、
6巻、第511−518頁、1986年)。5ml全血標準、傷から
の除去前後の内部較正標準、動脈内膜切除部位及び対照
対側性動脈の放射能を、画像分析ソフトウェアルーチン
により定義しながら、重要な領域についてカウントし
た。沈着した111In−血小板の放射能は、該対側対照動
脈領域の放射能を実験映像から減じ、組織減衰について
補正し、該全血標準を用いて該結果を沈着した血小板で
表わすことにより計算される。
実施例1の場合と同様に、循環する111In−血小板放
射能は正常な生理的機構を通じて連続的に失なわれ、ま
た該急性映像の後の血小板蓄積の測定値は総数の形では
表わすことができない。データはより遅い時点で取り、
動脈内膜切除領域放射能から対側性非処置対照動脈管腔
内の循環血小板放射能を減じ、該血液標準放射能で割っ
た比率を定義した該動脈内膜切除/血液比として表現す
る。本測定値は該動物のサイズ、注射したアイソトープ
の量若しくは該アイソトープが減衰したと考えられる範
囲に依存しない。全ての計算において、放射能値は血小
板放射能のみに関するもので、全血及び標準値は非血小
板性111In−放射能小分画について補正した(ハンソン
ら、ジャーナルオブクリニカルインベスティメーショ
ン、81巻、第149−158頁、1985年)。
各動物に同側頸動脈内膜切除術に続き、血流を回復さ
せた60及び90分後、及び24,48,72時間後に5分間シンチ
レーションカメラ映像を取った。術後第1日目に24時間
時の映像を取る前に、各ヒヒを塩酸ケタミン(10mg/k
g)で麻酔し、該傷を開き、該ペンシル探針ドップラー
を用いて動脈開存性を評価した。該傷を閉じ、映像化を
行なった。
血小板カウント及びヘマトクリット測定をベーカー81
0型全血分析器を用いて、Na2EDTA(2mg/ml)中に採取し
た全血について手術前及び2日間毎日行なった。平均血
小板カウントは対照群が318±70×103/μlで、処置群
は296±53×103μlであった。
出血時間測定は、先にヒヒでの実験について述べられ
た標準テンプレート法(ハーカーら,ブラッド,58巻,
第824−834頁,1980年)を用いて、前腕の毛をそった手
の平の表面において二回ずつ行なった。
PPACKの抗トロンビン活性レベルを点滴前、点滴開始
後30分及び60分、及び治療終了後30分に、酸−クエン酸
デキストロース(ACD)に採取した血液から調製した血
漿について測定した。血漿抗トロンビン活性レベルは、
該動物自身の対照処置前血漿中に調製したPPACKについ
ての標準曲線を用いて、即ちにアセッイするか、若しく
は後でアッセイするように−70℃で瞬間凍結した。
該PPACK溶液は0.15M NaClに溶解し、濾過滅菌した。
該PPACK溶液をシリンジポンプ(ハーバート機器社,ケ
ンブリッジ,マサチューセッツ州)を用いて100nmol/kg
/分の速度で約1時間連続的に注入した。
血小板は、対照動物においては即座に頸動脈内膜切除
部位に沈着し、血流再開後60分以内にプラトーに達した
(第7図)。その後動脈内膜切除対血液比(EBR)は、
該対照動物においては上昇し続け、最初の3日間に3.03
±0.51から3.25±0.48に極くわずか増加した(p=0.75
9;第7図)。対照的に、手術後90分の該動脈内膜切除部
位への急性血小板沈着はPPACK処置を受けた動物では該
対照動物に比較して著しく減少した(それぞれ、1.59±
0.36×108対11.67±1.61×108血小板数/cm;p<0.00
2)。また、その後3日間の血小板沈着も該動脈内膜切
除領域の正味の放射能対該対照の血液放射能のそれぞれ
の比率(EBR)で評価すると減少し続けた。手術当日の9
0分後において、該比率はそれぞれPPACK処置動物につい
ては0.82±0.25、また対照動物については3.03±0.51で
あった。3日後のEBR比率は該対照動物では3.25±0.48
であったのに対して、PPACK動物では0.85±0.23であっ
た。ドップラースキャニングによる管理中24時間につい
て両群とも該血管は全て開存していた。
該手術後90分に得られたシンチレーションカメラ映像
は、対照動物の該動脈内膜切除部位における血小板の焦
点蓄積を明らかにした。PPACK処置は該動脈内膜切除部
位における111In−血小板放射能の著しい減少を結果と
してもたらした。動脈内膜切除術の3日後の、非処置動
脈内膜切除血管表面のスキャニング電子顕微鏡検査は、
急性の血小板血栓形成を明らかにした。PPACK処置を受
けた動物の動脈内膜切除部位における目に見える血小板
沈着は著しく減少した。
PPACKの血漿レベルは点滴期間中一定に維持され、点
滴停止後即ちに低下した(表4)。PPACKはテンプレー
ト出血時間を処置前の5.6±0.8分から、点滴期間中は全
動物において30分以上に延長した。該出血時間はPPACK
点滴停止後30分では正常であった(6.2±1.3分)。
血小板数は該処置動物において実験期間を通じて変化
しなかった(第3日において、296±53×103/μl,p=
0.725)。
本実験の結果は約1時間のPPACKの静脈内投与は、ヒ
ヒの該頸動脈中に外科的動脈内膜切除術によって作られ
た重症の損傷部位における血小板沈着を永続的に阻害す
ることを示している。
これらの知見はまた、パートAにおける知見と同様
に、1時間のPPACK点滴は最低3日間血小板沈着を有意
に阻害することを示している。
本技術分野で示唆されるようなPPACKの連続的投与
は、それゆえ手術後遅くまで有意の治療的効果をもたら
すために必要ではない。
本発明はこのように、哺乳動物における血管形成術、
動脈内膜切除術、血管内ステント設置及び小径血管移植
片移植等の血管処置の介在に伴なう血小板依存性動脈血
栓症を予防する手段を提供するものである。
3.動脈補綴表面への血小板沈着の阻害 A.長期動静脈大腿部吻合内に設置したエクスビボの治療
装置の例として中空線維(キャピラリー)血液透析器を
用いてのPPACKの作用を、補綴表面における抗血栓症作
用を証明するために選んだ。
0.8m2キュプロファンキャピラリー血流透析器(12.11
型;トラベノール,ディアフィールド,イリノイ州)を
実施例1で述べたように7匹の別々のオスのヒヒのA−
V吻合系内に挿入した。PPACKを該ヒヒに100nmol/kg/分
の速度で、該ヒヒの動脈血が該透析器の補綴表面上を
(該透析器のキャピラリーを通して)循環する以前及び
循環中にわたり約1時間静脈内投与した。比較する目的
で、対照実験としてPPACKの代わりにヘパリンを投与し
た。ヘパリン投与は150単位(U)/kg体重の初回塊投
与、及びそれに続く該ヒヒの動脈血が該透析器を通って
循環する以前及び循環中の1時間にわたる150U/kg/時間
の継続的点滴から成った。該補綴(キャピラリー)表面
における血小板沈着の阻害は、該透析器を通って動脈血
を循環させた前後の該透析器により保持される生理食塩
水の容量を測定することにより判定した。
第5図に示すように、PPACKの投与はヘパリンよりも
有意に良好に透析器の容量損失を阻害した。
B.体重が9ないし13kgの幼年オスヒヒでの別の実験にお
いて、各動物は長期大腿部“スクリブナー型”動静脈シ
ラスティック吻合を受けた。本永続性吻合システムは検
出可能な血小板若しくは凝血の活性化はもたらさない
(ハーカーら、ジャーナル オブ クリニカル インベ
スティゲイション,64巻,第559−69頁,1979年;及びハ
ンソンら、トロンボシスアンドヘモスタシス,58(3)
巻,第801−05頁,1987年)。ヘマトクリット(33±1.6
%)、白血球数(14±2×103/μL)及びフィブリノ
ーゲン濃度(403±23mg/dL)は、使用した動物において
全て正常であった。低ヘマトクリット、WBC増加、吻合
血流不全若しくは局所的炎症を伴なう動物は該実験から
除外した。
各動物は4回実験に使用された。同じ動物について2
回の2時間のPPACK灌流(exposure)を2回の2時間の
ヘパリン抗凝血作用の灌流と比較した。各灌流の間、該
吻合からの連続的血流をドップラー超音波流量計(エル
アンドエムエレクトロニクス 1012型,ディリィシテ
イ,カリフォルニア州)により測定した。血流速度は18
0ないし250ml/分の範囲であった。
キュプロファン中空線維型の中空線維透析器(トラベ
ノールCF1211、ディアフィールド、イリノイ州、米国)
を使用した。各透析器は同じ動物で同じ抗凝血剤につい
て別々に2回ずつ使用した。該血液透析器の各使用前及
びオーバーナイトの存在中、各透析器ユニット(セル)
は滅菌標準生理食塩水で満たした。再使用に際して該透
析器は4℃で約12ないし約18時間オーバーナイトで保存
した。血液灌流中、透析物チャンバーは滅菌等張性生理
食塩水で満たされており、排水口には栓をした。医療用
シリコンゴム管、内径3.0mm、(ダウコーニング社,ミ
ッドランド,ミシガン州)、及び薄壁テフロン管、長さ
2cm、をその後該透析器を該吻合に接続するために使用
した。
透析器線維容積を、線維血栓性閉塞の尺度として各使
用の前後に測定した(ゴッチら,トランザクションズ
オブ アメリカンソサィエティ フォー アーティフィ
シャル インターナル オーガンズ,1969年,第87−96
頁)。従って、各使用前に、該セルを等張性生理食塩水
で満たし、目に見える気泡は全て該線維束から流い出し
た。バルブ付圧力計を該動脈圧力調整槽(ヘッダー)に
取り付け、45トルで1分間空気を流すことにより、該セ
ルの水容積はその後該静脈圧力調整槽から容積測定容器
中に量的に回復した。各時間について2回測定を行な
い、平均値を取った。
PPACK若しくは標準ヘパリン(豚腸粘膜由来、インベ
ネクス研究所,チャグリン フォールズ,オハイオ州)
を、該透析器にごく近接した該血管吻合の該動脈肢中に
注入した。該ヘパリン投与は透析器導入の5分前に100U
/kgの初回投与を行ない、その後ハーバードミクロ点滴
ポンプ(901型、ハーバード機器株式会社)を用いて15U
/kg/時で2時間連続的に点滴した。PPACKは該透析器の
該補綴表面上を血液が循環する以前の約15分間、及びそ
の後循環中の2時間100nmol/kg/分の速度で連続的に点
滴したが、安定常態レベルに達するまで約15分間の前点
滴を要した。
中空線維容積の損失の測定に加えて、該透析器線維束
中の血小板血栓蓄積の程度をシンチレーションカメラ
(ピッカー社、ノースフォード,コネクティカット州)
により、各使用直後に排水した該透析器中に残存する自
己由来111In−ラベル化血小球を映像化して測定した。
自己由来ヒヒ血小板は111In−オキシド(アマシャム
社,アーリントン ハイツ,イリノイ州)でラベルし、
該透析器を挿入する前に注射した(コッツェら,トロン
ボシス アンド ヘモスタシス,53巻,第404−07頁,198
5年)。カウント/分(cpm)を与える“初回使用”の該
透析器の映像を、該システムから血液を排出し、線維束
容積の測定を完了した直後に取った。該残存111In−血
小板放射能を測定するために第2回使用の前に“再使
用”透析器を映像化した。総血小板沈着をその後、該透
析器cpmを該循環血液cpm/mlで割り、この比率に血液1ml
中の血小板数を掛けて算出した。
血球数測定(血小板、白血球、及び赤血球)はJ.T.ベ
イカー全血分析器810型(アレンタウン,ペンシルバニ
ア州)を用いてEDTA2ナトリウム抗凝血化全血について
行なった(ハンソンら,ジャーナル オブ クリニカル
インベスティゲイション,75巻,第1591−99頁,1985
年;及びハンソンら,アーテリオスクレロシス,5巻,第
595−603頁,1985年)。標準テンプレート出血時間は、
ハーカーら,ニューイングランド ジャーナル オブ
メディスン,287巻,第155−59頁,1972年,及びマルパス
ら,ブラッド,57巻,第736−40頁,1981年,に記述され
ている方式で前腕の毛をそった手の平の表面において測
定した。出血時間は二回ずつ測定し、平均値を出した。
市販のラジオイムノアッセイを血小板第4因子(PF4)
(アボット研究所,ノースシカゴ,イリノイ州)、β−
トロンボグロブリン(βTG)、(アマシャム社,アーリ
ントンハイツ,イリノイ州)、フィブリノペプチドA
(FPA)(マイクロUSA社,ニューヨーク,ニューヨーク
州)及び活性化補体C3抗原(C3a)(アマシャム社)の
血漿レベルを測定するために行なった。これらの血漿ア
ッセイ用の血液サンプルは、実施例1の処理及びマルパ
スら、上記、及びハンソンら,アーテロスクレロシス,5
巻,第595−603頁,1985年、に記述されているように採
取、処置及び測定した。活性化トロンボプラスチン時間
(APTT)は標準法(活性化PTT剤、オルト ダイイグナ
スティクス,ラリテイン,ニュージャージー州)を用い
て行なった。線維計測計(フィブロシステム,デイビシ
ョン オブ ベクトン アンド ディキンソン多元社,
コッケイスビレ,マサチューセッツ州)を、R.ビッグ
ス,人血の凝固、ヘモスタシス アンド トロンボシ
ス,オックスフォード,ブラックウェル科学,第657−7
50頁,1976年に記述されているように凝血終点の検出に
使用した。フィブリノーゲンは、K.ジェイコブソン
ら、,スカンジナビアン ジャーナル オブ クリニカ
ル アンド ラボラトリー インベスティゲイション,7
巻(増刊14号),第9−54頁,1955年、に述べられてい
る総凝血蛋白法により測定した。
ヘパリン及びPPACKの血漿活性レベルはそれぞれ3.8%
クエン酸ナトリウム及びACD中に採取した血液サンプル
において測定した。サンプルは採取後即ちに遠心し(20
00xg,5分)、回収血漿はアッセイまで凍結しておいた。
ヘパリン及びPPACKの活性レベルは連続点滴の30分及び6
0分後に測定した。いくつかの実験においてはPPACKレベ
ルを3部位、すなわち、i)全身性、ii)該透析器の隣
接近位かつPPACK点滴部位の遠位、及びiii)該透析器の
隣接遠位、について測定した。ヘパリン活性レベルは合
成発色基質(スタクロムヘパリン、スタゴ、フランス)
を用いてヘパリンの血漿抗Xa活性増強作用を測定するこ
とにより決定した(ティーエンら,トロンボリサーチ,1
0巻,第399−410頁,1977年)。PPACKレベルは標準トロ
ンビン試薬(ウシトロンビン,パーケ−ディビス,モリ
ス プレインズ,ニュージャージー州)を用いて抗トロ
ンビン活性を測定することにより決定した。該結果は自
己由来のヒヒACD血漿について得られたPPACK換算曲線か
らμg/mlで表わされた。
血小板凝集はクエン酸添加の濃血小板血漿(PRP)に
ついてクロノログ血小板凝集計(ハーバータウン,ペン
シルバニア州)を用いて37℃におけるPRPの撹拌懸濁液
中の光透過度の増加を記録することにより行なった。ク
エン酸濃度は0.12Mに一定に保たれ、PRPの血小板数は25
0,000血小板/μlに調整した。該結果はマルパスら,
ブラッド,57巻,第736−40頁,1981年に報告されたよう
にコラーゲン(ホルモン−ケミイ,ミュンヘン)及びAD
P(シグマ ケミカル社,セントルイス,モンタナ州)
によって誘導されるEC50(50%最大凝集反応をもたらす
作用物質濃度)により表わした。
ヘパリン及びPPACKの凝血に対する効果を比較するに
あたり、該APTTを同等に延長させるような用量を選択し
た(表5)。ヘパリンにおいては、100U/kgの初回塊投
与及びその後の15U/kg/時の速度の連続点滴(これは1.0
6±0.08U/mlの血漿レベルに相当する)による該透析器
への血液循環期間中を通じて、全身血でのAPTTは199±1
8秒に延長された。PPACKにおいては、該透析器の近位に
100nmol/kg/分の速度で点滴(これは1.52±0.06μg/ml
の全身血漿レベルに相当する)した場合、静脈血でのAP
TTは139±23秒に延長された。PPACKは血漿中のFPA、フ
ィブリノーゲンのトロンビン開裂産物、のレベルの上昇
を妨げたが、ヘパリンは妨げなかった(表5)。
PPACKは該透析器内に直接注入され、該循環からの除
去が迅速であったため、本薬剤の該装置内レベルは全身
濃度よりも実質的に高かった(表6)。
血小板反応性を全血血小板数、出血時間、血小板凝
集、及び血小板特異性α顆粒蛋白βTG及びPF4を比較す
ることにより評価した(表7)。血小板数はヘパリン若
しくはPPACKの投与期間中の透析器通過中有意に変化し
なかったが、血小板止血作用に関しては有意の差が明ら
かになった。PPACKは出血時間を著しく延長し、PF4及び
βTGの血小板から血漿中への放出を減少させた;ヘパリ
ンはこれらの測定値のいずれにも影響を及ぼさなかった
(表7)。100nmol/kg/分のPPACKを投与された5匹の別
々の動物について行なわれたADP若しくはコラーゲンに
よる血小板凝集は本質的に正常であった(表7)。
透析器線維束容積(DFV)及び該線維束内の111In−血
小板沈着を各使用後の該透析器中の血栓形成の独立の測
定項目として使用した(第8図)。ヘパリン処置動物は
全試験時間についてDFVの有意かつ漸進的低下及び該線
維束内の血小板蓄積の相反する増加を示した。対照的
に、PPACK処置により該透析器内の血小板蓄積が著しく
減少するとともにDFVが保たれた。
透析器使用中の補体活性化(C3a)若しくは白血球数
減少に関してヘパリン及びPPACK治療の間に明白な差は
見られなかった。C3aレベルは769±202ng/mlの対照値か
ら、ヘパリン及びPPACKのそれぞれについて2005±728ng
/ml及び1989±360ng/mlのピークレベルまで上昇した。
逆に、白血球数には対照値からの早期の低下が観察され
た(14,100±1,000細胞/μlからヘパリンが6,200±86
0細胞/μl、PPACKが5,900±810細胞/ml)。
本実験結果及びパートAの結果はヘパリンによる抗凝
血対照実験の知見とは対照的に血液透析中の合成抗トロ
ンビン剤PPACKの点滴が血小板依存性血栓形成及びその
結果生じる該血液透析器中の中空線維束容積の損失を、
著しく減少させることを明らかにしている。さらに、イ
ンビボの血栓形成の他の間接的血液指標、すなわち血漿
PF4、βTG及びFPAは、ヘパリン療法中に観察されたレベ
ルの上昇とは対照的にPPACK注入後も基準レベルを維持
した。PPACKはまた、エクスビボのコラーゲン若しくはA
DPによって誘導される血小板凝集の測定値を変化させず
に、出血時間の延長によって示される血小板の止血プラ
グ形成を阻害したが、ヘパリンは阻害しなかった。これ
らの結果は、透析器中空線維の漸進的損失が血小板依存
性で、トロンビンが介在する閉塞性血栓症過程であるこ
との証拠を提供するものである。
中空線維透析器による血液透析は米国では長期継続透
析を受ける***患者に用いられている。透析器再利用
における機能の保存は、経済的理由からのみならず、装
置の再利用に伴ない死亡率及び罹病率が低下することを
示している最近の疫学的研究の視点からも重要とみなさ
れるようになっている(ボクら,プロシーディングス
オブ カウンセル ダイアリティック トランス プラ
ント,10巻,第92−9頁,1980年)。しかしながら、ヘパ
リンによる凝血防止にもかかわらず、該透析器の人工表
面への血液の接着は補体、血小板及び凝血を活性化さ
せ、その結果一過性の好中球減少、血栓形成及び、DFV
及びそれに続く透析器輸送機能の漸進的損失をもたらす
(ケノウィズら,アーティフィシャル オーガンズ,11
巻,第155−62頁,1987年;E.ザルツマン,フェデラル
プロシーディングス,30巻,第1503−09頁,1971年;及び
ブローマンら,フェデラルプロシーディングス,30巻,
第1494−502頁,1971年)。さらに、血液−表面相互作用
の結果として生じる活性化及び/又は開裂産物は血圧降
下及び呼吸障害等の不都合な全身作用をもたらしかねな
い(ヘンダーソンら,ブラッド ピュリフィケィショ
ン,1巻,第3−8頁,1985年;及びダンジラダスら,キ
ドニーインターナショナル(Kidney In.),1巻,第190
−96頁,1972年)。ヘパリン使用に伴なう他の副作用に
は骨修復時の異常出血(特に胃腸部及び頭蓋内部)〔リ
ンドセイら、ランセット,2巻,第1287−90頁,1972年;
ダンジラダスら,キドニーインターナショナル(Kidney
Int.),1巻,第190−96頁,1972年〕、とヘパリン誘導
性血小板減少症〔サイネスら,ニューイングランド ジ
ャーナル オブメディスン,303巻,第788−95頁,1980
年〕、及びともすれば重症の脱石灰質性骨疾患が含まれ
る(スクワィアズら,JAMA,241巻,第2417−18頁,1979
年;及びJ.グロワキ,ライフサイエンス,33巻,第1019
−24頁,1983年)。さらに、透析の終了時にヘパリン抗
凝血作用を取り消すために投与されるプロタミンもま
た、血圧降下及び補体放出等の問題をもたらす(アンダ
ーソンら,サージェリィ,46巻,第1050頁,1959年、及び
P.G.ルーブサー,テキサス ハート ジャーナル,14
巻,第369−73頁,1987年)。時折、市販のヘパリンに
は、おそらく何らかの混入血小板活性化分画(類)の作
用による動脈血栓症が伴なうことがあった(ザルツマン
ら,ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲイ
ション,65巻,第64−73頁,1980年)。
PPACKはその分子サイズの小ささゆえに循環から(T50
除去速度:3分以内、コレンら,ジャーナル オブ ラボ
ラトリイ アンド クリニカル メディスン,99巻,第7
6−83頁,1982年)及びおそらく透析膜を通しての両方に
より迅速に除去されるため、全身性の抗止血作用はほと
んどあるいは全くなしに、透析器内に局所的に抗血栓症
レベルを維持することが可能である。たとえば、本実験
では100nmol/kg/分を投与した際の、該透析器中の血漿
抗凝血剤活性の測定値は、全身レベルと比較すると著し
く上昇した(表7)。実際の透析条件下では、PPACKも
透析液体に除去されるため、この差はさらに顕著になる
と思われる。このように、結果として生じる止血の困難
はヘパリンと比較するとごく小さい。ヘパリンは完全に
安全若しくは有効というわけではないが、適当な代替品
が得られなかったため、透析患者に使用され続けてい
る。本発明は従って、血液透析を実施する際の改善され
た方法を提供するものである。
前記の内容は本発明の実例を示すことを意図している
が、限定するものではない。
本発明の真の意図及び範囲からはずれることなく多数
の変化及び改良を行なってもよい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−189298(JP,A) 米国特許4318904(US,A) Haemostasis,Vol.13 (1983)P.227−233 株式会社東京化学同人発行「生化学辞 典」(第一版)今堀和友外1監修(1984 年4月10日発行)P.412の「血栓」の 項 Annals New York A cademy of Sciences vol.485(1986)P.387−395 J.Biol.Chem.Vol. 261(1986)P.15928−33 Thrombosis Resear ch Vol.20(1980)P.347−351 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 38/06 A61K 38/46 - 38/54 CA(STN) MEDLINE(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(1)で表わされるペプチド又はその
    中性の医薬上許容される塩を含むことを特徴とする血小
    板依存性動脈血栓症を予防する医薬組成物。 (式中、Zは水素若しくはC1−C6アシル基を示し、Xは
    ハロゲン原子を示す)。
  2. 【請求項2】Xが塩素であり、Zが水素である請求の範
    囲第1項記載の組成物。
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