JP2756941B2 - 2−クロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導体の血小板凝集抑制剤としての用途 - Google Patents

2−クロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導体の血小板凝集抑制剤としての用途

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JP2756941B2
JP2756941B2 JP1223396A JP1223396A JP2756941B2 JP 2756941 B2 JP2756941 B2 JP 2756941B2 JP 1223396 A JP1223396 A JP 1223396A JP 1223396 A JP1223396 A JP 1223396A JP 2756941 B2 JP2756941 B2 JP 2756941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は血小板凝集抑制作用
を有する1,4−ナフトキノン誘導体を含有する血液凝
固抑制用薬剤学的組成物に関するものである。更に詳し
くは、本発明は血小板凝集抑制作用を有するので、血液
凝固抑制剤及び血栓症治療剤として使用することのでき
る、次の一般式(I)の2−クロロ−3−アリールアミ
ノ−1,4−ナフトキノン誘導体を含有する血液凝固抑
制用薬剤学的組成物に関するものである。
【0002】
【化3】
【0003】〔式中、Xは炭素(C)原子を示し、Rは
シアノを示すか、あるいはXは窒素(N)原子を示し、
Rはメチルを示す。〕
【0004】本発明は、活性成分として上記一般式
(I)の化合物を含有する血液凝固抑制用薬剤学的組成
物に関するものである。
【0005】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】血小板は
血液構成細胞中で一番少ない部分を占めるが、微細な刺
激に対しても容易に反応を示し、血液凝固作用等の体内
恒常性維持に重要な機能を担当している。また、血小板
の機能変化によって誘発される血小板凝集能の異常は血
液流動学において主要な陰性的要因(negative factor
)の一つで、止血メカニズム異常を起こすか、あるい
は微小循環障害を起こすようになる。特に、現代社会で
急激に発病が増加している高血圧、動脈硬化等の成人病
と糖尿病等の代謝性疾患で頻繁に示される血行障害もそ
の主たる要因は血小板凝集能の異常的亢進によるものと
報告されており、血小板機能を正常化することによって
このような関連疾患を治療及び予防することができるも
のと予想されている。
【0006】1,4−ナフトキノン誘導体は一般的に抗
菌作用、抗真菌作用、抗癌作用、抗凝固作用等の多様な
薬理学的作用を持っており、抗癌剤、抗菌剤等のような
新医薬品の開発のための重要な物質として活用されてい
る。研究者等の研究結果によると、1,4−ナフトキノ
ン誘導体中の一つであるビタミンK3 (メナジオン)が
ヒト血小板の凝集作用を抑制する効果があると報告され
たが、その作用メカニズムは未だ明確でない(参照:Bl
ackwell, G. J., Radomski, M. and Moncada,S. Inhibi
tion of human platelet aggregation by vitamin K. T
hromb. Res. 37, 103-114, 1985)。一方、2−クロロ
−3−メチル−1,4−ナフトキノン(CMN)が兎の
血小板凝集反応を抑制するものとも明らかになったが、
これは多様な血小板活性化物質(platelet agonist)等
による燐脂質の代謝過程を2−クロロ−3−メチル−
1,4−ナフトキノンが抑制するため示されるものと報
告された(参照:Ko, F. N., Sheu, S. J., Liu, Y.
M., Huang, T. F. and Teng, C. M. Inhibition of rab
bit platelet aggregation by 1,4-naphthoquinones. T
hromb. Res. 57, 453-463, 1990 )。
【0007】故に本発明者は多様な1,4−ナフトキノ
ン誘導体を合成し、その血小板凝集抑制効果を試し、そ
の結果、特定の1,4−ナフトキノン誘導体が強力な血
小板凝集抑制効果を示すことを確認し、本発明を完成す
るに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上記一
般式(I)の化合物を活性成分として含有する血小板凝
集抑制用薬剤学的組成物を提供するものである。
【0009】以下、本発明を更に詳しく説明すると次の
通りである。本発明は次の一般式(I)で示される2
クロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘
導体を有効成分として含有する血液凝固抑制用薬剤学的
組成物に関するものである。
【0010】
【化4】
【0011】〔式中、Xは炭素(C)原子を示し、Rは
シアノを示すか、あるいはXは窒素(N)原子を示し、
Rはメチルを示す。〕
【0012】
【0013】
【0014】本発明の一般式(I)の化合物は、下記
合物である。 ・2−クロロ−3−〔(4−シアノフェニル)−アミ
ノ〕−1,4−ナフトキノン、又は ・2−クロロ−3−〔(5−メチルピリジン−2−イ
ル)−アミノ〕−1,4−ナフトキノン。
【0015】本発明によるとまた一般式(I)の2−ク
ロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導
体の製造方法も提供される。本発明によると、下記一般
式(I)の2−クロロ−3−アリールアミノ−1,4−
ナフトキノン誘導体は、下記反応図式に示されるよう
に、下記構造式(II)の2,3−ジクロロ−1,4−
ナフトキノンを下記一般式(III)のアリールアミン
と反応させることによって製造することができる。
【0016】
【化5】
【0017】上記反応図式中、X及びRは上記で定義し
た通りの意味を有する。
【0018】本発明の方法において出発物質として使用
される構造式(II)の2,3−ジクロロ−1,4−ナフ
トキノン(以下、DNQともいう)は当該技術分野で公
知の化合物であり、1,4−ナフトキノンを塩素(Cl
2 )ガスと反応させることによって製造することができ
る。
【0019】本発明の方法によると、構造式(II)のD
NQをアルコール溶媒中で一般式(III)のアリールアミ
ン誘導体と反応させることによって一般式(I)の化合
物を製造する。本反応に使用されるアルコール溶媒とし
てはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のような炭素数1乃至6の低級
アルカノール溶媒が好ましく、特に好ましくはエタノー
ルを使用する。
【0020】本反応は一般的に室温乃至100℃の温
度、好ましくは使用された溶媒の沸点で還流下で行うこ
とができる。反応時間は一般的に2乃至6時間、好まし
くは3乃至5時間である。
【0021】反応が完結された後に、得られた一般式
(I)の化合物は必要によって通常的な後処理方法、例
えば再結晶化、クロマトグラフィー等の方法によって分
離及び精製することができる。
【0022】本発明の一般式(I)の化合物は強力な血
小板凝集抑制作用を有するので、臨床的に有用な血液凝
固抑制剤及び血栓症治療剤として使用することができ
る。
【0023】血小板凝集能は血小板顆粒からの分泌能、
血小板内のアラキドン酸遊離及び代謝等の過程によって
大いに影響を受けるものと知られている。即ち、血小板
は他の細胞に比べて密集顆粒(dense granule )、アル
ファ顆粒(α-granule)、リソソーム(lysosome)及び
ペルオキシソーム(peroxisome)等のような多くの顆粒
を含有しており、それぞれの顆粒には生理学的に非常に
有用な物質等が貯蔵されている。或る刺激によって血小
板が活性化されると、顆粒に貯蔵された物質等は細胞外
排出現象(エキソサイトーシス,exocytosis)を通じて
細胞外に分泌される。特に、密集顆粒にはADP(aden
osine diphosphate )、ATP(adenosine triphospha
te)等のアデニンヌクレオチド、カルシウム及びセロト
ニン等が貯蔵されているので、血小板が凝集される時に
遊離され、非可逆的な2次凝集作用を誘発するようにな
る。即ち、ADP、トロンビン等で凝集を誘導した場合
の非可逆的な2次凝集反応が、かかる顆粒分泌による結
果だと言える。以下の実験例によって立証されるよう
に、本発明の化合物は上記言及した生理活性物質の血小
板凝集能及び顆粒放出を抑制することによって血小板凝
集抑制効果を示す。
【0024】一方、活性化された血小板で活性が増加す
るPLA2 (ホスホリパーゼA2 ,phospholipase A2
は血小板膜のホスファチジルコリン、ホスファチジルエ
タノールアミン、ホスファチジルイノシトール等の燐脂
質からアラキドン酸を遊離させるようになる。遊離され
たアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼによって極めて
短い時間のみ存在するプロスタグランジン エンドペル
オキシド中間体としてプロスタグランジンG2 とプロス
タグランジンH2 を生成する。このエンドペルオキシド
等は強力な血小板凝集作用があるが、極めて不安定な物
質であるのでトロンボキサン合成酵素の作用を受けて一
番強力な血小板凝集能のあるトロンボキサンA2 (TX
2 )を生成する。トロンボキサンA2 は極めて低い濃
度(0.1μM以下)でも血小板付着能増加、血小板の
形態変化誘発、アデニレートシクラーゼ抑制を介したサ
イクリックアデノシンモノホスファート(cAMP)生
成の減少、血小板内カルシウム濃度の増加、フィブリノ
ーゲン受容体の露出拡大等を通じて血小板を活性化して
非可逆的な大規模凝集を誘発させる。以下の実験例によ
って立証されるように、本発明の化合物はこのように活
性化された血小板で示されるトロンボキサンA2 の合成
能を抑制するメカニズムを通じて血小板凝集抑制に寄与
するものと確認された。
【0025】上記の言及通り、本発明の一般式(I)の
目的化合物は強力な血小板凝集抑制作用を示し、従って
臨床的に有用な血液凝固抑制剤及び血栓症治療剤として
使用することができる。本発明の一般式(I)の化合物
を臨床的に利用しようとする場合、この活性化合物は薬
剤学的に許容される担体を利用して通常的な方法に従っ
て、薬剤学的分野で通常的な製剤、例えば錠剤、カプセ
ル剤、トローチ剤(troche)、液剤、懸濁剤等の経口投
与用製剤、注射用溶液または懸濁液、または注射時に注
射用蒸留水で再調剤して使用することのできるようにな
っている即時使用型の注射用乾燥粉末等の形態である注
射剤、軟膏剤、クリーム剤、液剤等の局所適用型製剤等
の多様な製剤に剤型化して使用することができる。
【0026】かかる目的のため使用される担体は薬剤学
的分野で通常的なものであり、例えば経口投与用製剤の
場合には結合剤、滑沢剤、崩解剤、賦形剤、可溶化剤、
分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料等があり、注
射剤の場合には保存剤、無痛化剤、可溶化剤、安定化剤
等があり、局所投与用製剤の場合には基剤、賦形剤、潤
滑剤、保存剤等がある。このように製造された薬剤学的
製剤は経口的に投与するか、あるいは非経口的に、例え
ば静脈内、皮下、腹腔内投与または局所適用することが
できる。また、経口投与時に薬剤が胃酸によって分解さ
れるのを防止するため制酸剤を併用するか、あるいは錠
剤等の経口投与用製剤を腸溶コーティングで被覆された
製剤に剤型化するのが好ましい場合もある。
【0027】本発明の一般式(I)の目的とする2−ク
ロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導
体の人体に対する投与量は、体内での活性成分の吸収
度、不活性化率及び***速度、患者の年齢、性別及び状
態、治療されるべきの疾病の状態及び重症度によって適
切に選択されるが、一般的には1日に5mg乃至35m
g、好ましくは10mg乃至25mgの量が投与される
ようにする。勿論、患者個々人の状態や疾病の状態及び
合併症等を考慮して専門家の判断と個人の要求に従って
専門化された投薬法を使用し、投与量を適切に増減させ
ることができる。活性成分の1日有効量は1日1回投与
するか、一定時間間隔で数回、好ましくは3乃至6回に
わたって分割投与することもできる。
【0028】
【実施例・実験例】本発明は以下の実施例及び実験例に
よって更に具体的に説明されるが、本発明がこれらの実
施例によって何ら制限されるものではない。
【0029】実施例1:2−クロロ−3−〔(4−シア
ノフェニル)−アミノ〕−1,4−ナフトキノンの製造
【0030】
【化6】
【0031】(1)1,4−ナフトキノン20gを酢酸
200mlに溶解させ、生成された溶液に塩素(C
2 )ガス約10gを導入させた後に室温で4時間振蕩
させた。その後、反応混合物を氷500gに注いで生成
された沈殿物を濾過して空気中で乾燥させた。沈殿物を
エタノールに懸濁させた後に30分水浴上で加熱し、室
温で放置して目的とする2,3−ジクロロ−1,4−ナ
フトキノン28.6g(収率90%)を得た。
【0032】(2)200ml丸底フラスコ中で上記
(1)で得た2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン
1gを95%エタノール水溶液50mlに溶解させ、こ
こに4−シアノアニリン0.70gを加えた。この反応
混合物を3時間加熱下で還流させ反応させた。薄層クロ
マトグラフィーによって反応の終結を確認した後に反応
液を冷却させ、析出した結晶を濾過し、エタノールから
再結晶化させ精製して赤黄色プレート状物質として目的
とする表題化合物0.84g(収率62%)を得た。 融点:188−189℃
【0033】IR(KBr,cm-1):3230(s,
NH),3050,2955,2250(s,CN),
1680(s,C=O),1640,1515,88
0,7101 H−NMR(CDCl3 ):δ ppm=1.59
(1H,NH),2.3(2H,q,CH2 ,J=7.
3Hz),7.4−8.5(8H,m,芳香族)
【0034】実施例2:2−クロロ−3−〔(5−メチ
ルピリジン−2−イル)−アミノ〕−1,4−ナフトキ
ノンの製造
【0035】
【化7】
【0036】4−シアノ−アニリンの代わりに2−アミ
ノ−5−メチルピリジン0.5gを使用して5時間反応
する以外は、実施例1−(2)と同様の方法で反応を行
って赤黄色プレート状物質として目的とする表題化合物
0.99g(収率76%)を得た。 融点:260−261℃
【0037】IR(KBr,cm-1):3220(s,
NH),3025,1680(s,C=O),164
0,1515,880,8101 H−NMR(CDCl3 /DMSO−d6 ):δ p
pm=1.59(1H,NH),1.9(3H,s,C
3 ),7.3−7.8(4H,m,芳香族),8.1
−8.4(3H,m,ピリジン環)
【0038】本発明の一般式(I)の2−クロロ−3−
アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導体の血小板
凝集抑制効果は、以下の実験例によって明らかに立証さ
れた。以下の実験例において本発明の化合物としては実
施例1で製造された2−クロロ−3−〔(4−シアノフ
ェニル)−アミノ〕−1,4−ナフトキノン(以下では
“NQ−Y15”と略称する)を使用した。
【0039】実験例1:血小板活性化物質の血小板凝集
能に対する抑制効果の測定 (1)血小板を多量含有する血漿と洗浄血小板の調製:
ナトリウムシトレート(最終濃度0.38%)を予め入
れておいた注射器を利用してラットの腹大動脈から採血
して得た血液を常温で160xgで15分間遠心分離さ
せ、上清液として血小板を多量含有する血漿を得た。血
小板を多量含有する血漿を1500xgで15分間更に
遠心分離させ得た沈殿を2mMエチレンジアミンテトラ
酢酸を含有する洗浄用緩衝液(129mM塩化ナトリウ
ム,0.8mM第二燐酸カリウム,8.9mM炭酸ナト
リウム,2.8mM塩化カリウム,0.8mM塩化マグ
ネシウム,5.6mMグルコース,10mM N−〔2
−ヒドロキシエチル〕−ピペラジン−N’−〔2−エタ
ンスルホン酸〕,緩衝液の酸性度pH7.4)で3回洗
浄して血漿内の蛋白質、カルシウム等を除去した後、牛
血清アルブミン(bovine serum albumin)を含有する変
形されたタイロード緩衝液(129mM塩化ナトリウ
ム,0.8mM第二燐酸カリウム,8.9mM炭酸ナト
リウム,2.8mM塩化カリウム,0.8mM塩化マグ
ネシウム,5.6mMグルコース,10mM N−〔2
−ヒドロキシエチル〕ピペラジン−N’−〔2−エタン
スルホン酸〕,緩衝液の酸性度pH7.4)に再懸濁さ
せ洗浄血小板を調製した。
【0040】(2)血小板凝集能の測定: 本実験で血小板凝集能はボーン(Born)等の方法
(参照:Born,G.V.R.,Nature,19
4,927,1962)に従って血小板凝集能測定器
(Chronolog社:ペンシルベニア ハバータウ
ン所在)を利用して濁度の変化による光の通過程度(l
ight transmission)の変化を測定す
ることによって判定した。血小板が殆どない血漿の場合
に示される光の通過程度を対照とし、上記(1)で調製
された血小板を多量含有する血漿495μlを、表面が
シリコンで処理された凝集検出計(aggregome
ter)用キュベットに入れて、このキュベットを37
℃で温度が維持されているキュベット用チャンネルに刺
して30秒間維持させることによって前処理した後、ジ
メチルスルホキシドに溶解させた本発明の化合物NQ−
Y15 2.5μl(最終濃度10−4M)を加え、更
に37℃で8分間反応させた後に、トロンビン2.5μ
l(最終濃度0.5U/ml)を添加して示される光の
通過程度の変化を10分間測定した。また、タイロード
緩衝液の場合に示される光の通過程度を対照として、上
記(1)で調製された洗浄血小板495μlを37℃で
30秒間上記と同様の方法で前処理した後、ジメチルス
ルホキシドに溶解させた本発明の化合物であるNQ−Y
15 2.5μlを加え、更に37℃で8分間反応させ
た後に、2.5μlの血小板活性化物質(トロンビン
0.1U/ml,コラーゲン10μg/ml,または下
記構造式で示されるカルシウムイオノホアーA2318
7 2μMを加えて血小板の凝集を誘発させ、10分
間で示される光の通過程度の変化を測定した。
【0041】
【化8】
【0042】実験結果は血小板活性化物質のみを処理し
た場合に示される光の通過程度を凝集が100%示され
たものとし、各場合の光の通過程度を相対的な比率で計
算することによって判断した。
【0043】上記実験の結果は図1乃至図3に示した。
図1乃至図3に図示された結果よりわかるように、血小
板活性化物質であるトロンビン、コラーゲン、A231
87による洗浄血小板の凝集能に対する本発明の化合物
NQ−Y15の効果は、それぞれの場合に濃度依存的に
示された。即ちそれぞれの血小板活性化物質による血小
板の凝集能を50%減少させるNQ−Y15の濃度はト
ロンビン(0.1U/ml)の場合に約38μM(図
1)、コラーゲン(10μg/ml)の場合に約7μM
(図2)、A23187(2μM)の場合に約100μ
M(図3)であるものと示された。従って、本発明の化
合物は多様な血小板活性化物質等による血小板の凝集能
を濃度依存的に抑制させるものと確認された。
【0044】実験例2:5−〔14C〕−セロトニン分泌
抑制効果の測定 血小板は他の細胞等に比べて密集顆粒、アルファ顆粒、
リソソーム等のような多くの顆粒を含有しており、それ
ぞれの顆粒には生理学的に非常に有用な物質等が貯蔵さ
れている。或る刺激によって血小板が活性化されると、
顆粒に貯蔵された物質等は細胞外流出現象(エキソサイ
トーシス)により細胞外に分泌される。特に密集顆粒に
はアデノシンジホスファート(ADP),アデノシント
リホスファート(ATP)等のアデニンヌクレオチド、
カルシウム及びセロトニン等が貯蔵されており、血小板
が凝集される時遊離され、非可逆的な2次凝集作用を誘
発するようになる。即ち、ADP、トロンビン等で凝集
を誘導した場合の非可逆的な2次凝集反応が、かかる顆
粒分泌による結果だと言える。従って、顆粒からこのよ
うな生理活性物質中の一つであるセロトニンの分泌に及
ぼす本発明の化合物の影響を測定することによって、本
発明の化合物の血小板凝集抑制効果を確認するため、次
のような実験を行った。
【0045】フザー(Huzoor)等の方法(参照:Huzoor
-Akbar, Patel, S., Kokrady, S.,Witiak, D.T., Newma
n, H.A.I. and Feller, D.R., Biochem. Pharmacol. 3
0, 2013-2020, 1981) によって〔14C〕−セロトニンが
負荷された血小板を利用して本発明の化合物のセロトニ
ン分泌抑制効果を測定した。即ち、洗浄血小板に5−〔
14C〕−セロトニンを加えて37℃で30分間培養した
後に洗浄用緩衝液(129mM塩化ナトリウム,0.8
mM第二燐酸カリウム,8.9mM炭酸ナトリウム,
2.8mM塩化カリウム,0.8mM塩化マグネシウ
ム,5.6mMグルコース,10mM N−〔2−ヒド
ロキシエチル〕−ピペラジン−N’−〔2−エタンスル
ホン酸〕,緩衝液の酸性度pH7.4)を用いて洗浄
し、0.35%牛血清アルブミンを含有する変更された
タイロード緩衝液(129mM塩化ナトリウム,0.8
mM第二燐酸カリウム,8.9mM炭酸ナトリウム,
2.8mM塩化カリウム,0.8mM塩化マグネシウ
ム,5.6mMグルコース,10mMN−〔2−ヒドロ
キシエチル〕ピペラジン−N’−〔2−エタンスルホン
酸〕,酸性度pH7.4)に再懸濁させ細胞数を調整し
た。2μMイミプラミンを加えて分泌されたセロトニン
の再吸収を遮断させ、本発明の化合物であるNQ−Y1
5を加えた後に37℃で8分間反応させ、血小板活性化
物質(トロンビンまたはコラーゲン)を加えた。4mM
エチレンジアミンテトラ酢酸、10mMホルムアルデヒ
ドを加えて反応を停止させた後に常温で12,000x
gで2分間遠心分離し、上清液を取って分泌された5−
14C〕−セロトニンの放射線量を測定した。測定され
た結果は図4及び図5に示した。
【0046】図4及び図5に図示された結果よりわかる
ように、図1及び図2で確認されたもので、血小板活性
化物質等によって誘導される血小板凝集能を抑制する濃
度範囲で、本発明の化合物であるNQ−Y15はトロン
ビン(図4)及びコラーゲン(図5)によって増加され
るセロトニン分泌を抑制した。従って、本発明の化合物
は、活性化された血小板で凝集能を増幅させる効果のあ
る物質等が密集顆粒から遊離されるのを抑制させるメカ
ニズムを通じて血小板の凝集能を低下させるのに寄与す
るものと判断される。
【0047】実験例3:トロンボキサンA2 生成能に対
する抑制効果の測定 文献〔Ko, F.N., Sheu, S.J., Liu, Y.M., Huang, T.
F., and Teng, C.M., Inhibition of rabbit platelet
aggregation by 1,4-naphthoquinones, Thromb.Res.57,
453-463, 1990〕に記述された方法によって、次の通り
トロンボキサンA2 の生成能を測定した。0.5mlの洗
浄血小板(3×108 血小板/ml)が入れられたプラス
チックキュベットで37℃を維持させながら実験を行っ
た。まず、洗浄血小板を本発明の化合物であるNQ−Y
15で8分間前処理した後にコラーゲンを加えた。5分
間培養した後に2mMエチレンジアミンテトラ酢酸と5
0μMインドメタシンを加えて反応を停止させた。常温
で12,000xgで2分間遠心分離させた後に上清液
を取って−20℃で保管した。トロンボキサンA2は不
安定な構造を持っているので、直ちに安定した形態であ
るトロンボキサンB 2 に変わるので、トロンボキサンB
2 の生成をトロンボキサンA2 生成の指標とし、放射免
疫検定法で測定した。測定した結果は次の表1に示し
た。
【0048】
【表1】
【0049】上記表1に記載された結果よりわかるよう
に、コラーゲン処理によって顕著に増加されるトロンボ
キサンA2 生成に対して本発明のNQ−Y15を50μ
M,30μM濃度で前処理した場合にそれぞれ86.3
5%,15.54%の有意な抑制効果を示した。従っ
て、本発明の化合物は活性化された血小板で分泌され血
小板の活性化を増幅させる効果のあるトロンボキサンA
2 の合成能を抑制させるメカニズムを経由して血小板の
凝集抑制に寄与するものと判断される。
【0050】実験例4:乳酸脱水素酵素流出実験 乳酸脱水素酵素(lactic acid dehydrogenase : LDH)は
血小板の細胞質内に存在する酵素で、血小板膜が損傷さ
れるか、あるいは細胞溶解現象等の細胞毒性が誘発され
ると細胞外液で流出されるようになる。従って、本発明
の化合物で前処理した後に流出された乳酸脱水素酵素を
定量化することによって、本発明の化合物が細胞毒性を
誘発するか否かを確認しようとした。
【0051】洗浄された血小板に本発明の化合物である
NQ−Y15を溶解させる溶媒であるジメチルスルホキ
シド(DMSO)(対照群)、NQ−Y15、または細
胞膜を崩解させる作用をするトリトン(Triton)X−1
00(0.1%)を加えた後、常温で12,000xg
で2分間遠心分離させた後に上清液を分離した。分離さ
れた上清液に乳酸脱水素酵素測定試薬であるLD−L1
R (Sigma 社)を加え、自動で乳酸脱水素酵素を定量
化することのできる自動化臨床化学分析器(automated
clinical chemistry analyzer)SBA300(Gilford
社)を利用して流出された乳酸脱水素酵素を定量化し
た。測定された結果は次の表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】上記表2に示された通り、本発明の化合物
であるNQ−Y15は血小板の凝集能を完全に抑制させ
る濃度である0.1mM濃度で前処理して120分間処
理した場合にも、LDHの濃度において対照群と有意な
差異を示さなかった。従って、NQ−Y15は高濃度で
も細胞毒性をおこさないものと確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】トロンビンで活性化された血小板の凝集能に対
する本発明の化合物(NQ−Y15)の抑制効果を示す
グラフである。
【図2】コラーゲンで活性化された血小板の凝集能に対
する本発明の化合物(NQ−Y15)の抑制効果を示す
グラフである。
【図3】A23187で活性化された血小板の凝集能に
対する本発明の化合物(NQ−Y15)の抑制効果を示
すグラフである。
【図4】トロンビンで誘導される顆粒内セロトニン分泌
に対する本発明の化合物(NQ−Y15)の抑制効果を
示すグラフである。
【図5】コラーゲンで誘導される顆粒内セロトニン分泌
に対する本発明の化合物(NQ−Y15)の抑制効果を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 ARCHIVES OF PHARM ACAL RESEARCH,1993,16 (2),161−163 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/275 ACB A61K 31/44 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効成分として2−クロロ−3−〔(4
    −シアノフェニル)−アミノ〕−1,4−ナフトキノン
    又は2−クロロ−3−〔(5−メチルピリジン−2−イ
    ル)−アミノ〕−1,4−ナフトキノンを、薬剤学的に
    許容される担体と共に含有することを特徴とする血液凝
    固抑制用薬剤学的組成物。
JP1223396A 1996-01-26 1996-01-26 2−クロロ−3−アリールアミノ−1,4−ナフトキノン誘導体の血小板凝集抑制剤としての用途 Expired - Lifetime JP2756941B2 (ja)

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