JP2751939B2 - 移植用材料およびその製造方法 - Google Patents

移植用材料およびその製造方法

Info

Publication number
JP2751939B2
JP2751939B2 JP2282519A JP28251990A JP2751939B2 JP 2751939 B2 JP2751939 B2 JP 2751939B2 JP 2282519 A JP2282519 A JP 2282519A JP 28251990 A JP28251990 A JP 28251990A JP 2751939 B2 JP2751939 B2 JP 2751939B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
methacrylate
calcium phosphate
bone
composition
artificial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2282519A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04208164A (ja
Inventor
宣男 中林
一彦 石原
隆司 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc, Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Publication of JPH04208164A publication Critical patent/JPH04208164A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2751939B2 publication Critical patent/JP2751939B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、人工骨および人工歯根などの移植用材料な
らびに、この移植用材料を製造する方法に関する。
発明の技術的背景 従来から、悪性腫瘍、骨髄炎などの疾患により骨の一
部を切除した後、摘出した骨の代わりに金属などで形成
された人工骨を移植する方法が採られている。このよう
な人工骨は、例えば骨の一部を切除した後、残った骨に
人工骨を挿入するための空隙を設け、次いでこの空隙に
合着剤を充填した後、人工骨をこの合着剤中に挿入し、
次いでこの合着剤を硬化させることにより骨と人工骨と
の間隙をうめていた。そして、この合着剤には、従来か
ら触媒として過酸化物および過酸化物と第3級アミンを
組み合わせた重合開始剤を配合して、メチルメタクリレ
ート(以下「MMA」と記載する)を常温で重合硬化させ
る方法が採られている。
しかしながら、このMMAの硬化反応は発熱反応で、し
かも反応速度が大きい場合、MMAが硬化する際にMMA(あ
るいはこの硬化体)が高温になる。このため、この重合
熱によって骨の組織が変化をうける可能性が高い。また
このMMAの硬化体は、生体に対する親和性が低い上に、
人工骨と硬化体との間および硬化体と骨との間で実質的
に接着力が発現しないため、時間の経過と共にそれぞれ
の境界面でゆるみが生じてしまうという問題があった。
このような状況下に、人工骨自体と骨との親和性をも
たせ、時間の経過と共に成長した骨が人工骨表面と結合
することにより、人工骨と骨とを一体化させる方法が提
案されている。すなわち、骨に対して親和性の高いハイ
ドロキシアパタイト(以下「HAP」と記載する)などの
リン酸カルシウムで人工骨の表面を被覆することによ
り、人体側に時間の経過と共に成長してくる新生骨がリ
ン酸カルシウムを吸収し、一体化して人工骨を固定する
試みがなされている。
この人工骨は、リン酸カルシウム自体が人工骨との接
着力を有していないため、人工骨にいかに強固にリン酸
カルシウムを接着し、被覆するかが重要課題であり、こ
れまでは人工骨とリン酸カルシウムの間の接着力が不充
分であったため、それに伴う多くの問題があった。
すなわち、リン酸カルシウムで被覆した人工骨や人工
歯根が、期待した機能を発揮するには、これらの構造体
の骨格である金属にリン酸カルシムウが強固に接着して
いなければならない。しかしながら、リン酸カルシムウ
で被覆した人工骨、人工歯根などの移植用材料の多く
は、このような要求を満たしていない。さらにリン酸カ
ルシムウムに生体親和性を充分に発揮させるためには、
結晶構造が生体硬組織と同等であり、かつ純度の高いリ
ン酸カルシウムを用いて金属を被覆することが必要があ
るとされていた。
これらの要求を満たすためには、複雑な工程を経て移
植用材料を製造する必要があり、さらにこの製造の際に
はリン酸カルシウムを高温で処理する必要があるとされ
ていた。ところが、このようにして製造された移植用材
料においても、生体親和性などの点で満足できるものは
得られていない。
上に説明した人工骨が有する問題は、人工骨だけでな
く、人工歯根などの人工骨以外の移植用材料についても
同様にある。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決
しようとするものであって、骨との接着性に優れた移植
用材料を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る移植用材料は、炭素原子数1〜4のアル
キル基を有するメタクリレートから誘導されるポリアル
キルメタクリレートと、HAPなどのリン酸カルシウム
と、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキルメ
タクリレートと、4−(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)トリメリット酸無水物(以下、4−METAと記載す
る)および/またはこれを加水分解した4−(2−メタ
クリロイルオキシエチル)トリメリット酸(以下、4−
METと記載する)と、重合開始剤とからなる組成物の硬
化体で金属表面の少なくとも一部が被覆されていること
を特徴としている。
また、上記の移植用材料の製造方法は、炭素原子数1
〜4のアルキル基を有するメタクリレートから誘導され
るポリアルキルメタクリレートと、HAPなどのリン酸カ
ルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するア
ルキルメタクリレートと、4−METAおよび/または4−
METと、重合開始剤とからなる組成物で、金属表面の少
なくとも一部を被覆し、次いで該被覆された組成物を硬
化させることを特徴としている。
本発明の移植用材料は、表面にHAPなどのリン酸カル
シウムが配合された特定のポリアルキルメタクリレート
脂硬化体からなる層を有している。このリン酸カルシウ
ムは、骨の分と近時した構造を有しているため、成長し
た新生骨がこのリン酸カルシウムを吸収し一体化する。
しかも、特定のポリアルキルメタクリレートは、金属に
対して優れた接着性を示すため、本発明の移植用材料を
人工関節等の人工骨として長期間使用したとしても、移
植用材料と骨との間にゆるみが生ずることが極めて少な
い。さらに、この移植用材料は、複雑な製造工程を必要
とせず、例えば、常温付近の温度で容易に製造すること
ができる。
発明の具体的説明 次に本発明の移植用材料およびその製造方法について
具体的に説明する。
第1−a図に本発明に係る人工骨の断面の一例を示
す。
本発明に係る人工骨1は、金属2と、この金属2の表
面の少なくとも一部に形成されたリン酸カルシウムを含
むポリアルキルメタクリレートの硬化体からなる被覆層
3とからなる。
本発明に係る人工骨において、人工骨1を形成する金
属としては、生体内で長期間使用された場合にも生体に
対して悪影響を及ぼすことがなく、しかも長期間変化し
ない特性を有する金属が使用される。このような金属と
しては、例えばステンレスが使用される。
このような人工骨は、この人工骨が使用される部位に
あわせて種々の形態にすることができる。第1−a図に
示したのは、股関節として使用される人工骨であり、膝
関節、足関節などのような関節を構成する人工関節等と
して使用することができるほか、歯根のように他の骨状
組織と接着される部分に特に有効に使用することができ
る。
本発明に係る人工骨1の金属2の表面には、リン酸カ
ルシウムを含有する硬化体層3が設けられている。
この硬化体層3は、通常は人工骨1が骨と接合する面
全体に設けられているが、この層3が骨と接合面の一部
だけに設けられていてもよい。
この層3は、リン酸カルシウムを含有するポリアルキ
ルメタクリレートの硬化体からなり、この硬化体は、ベ
ースポリマー、リン酸カルシウム、単量体成分および重
合開始剤を含む樹脂組成物の硬化体から形成されてい
る。
この硬化体のベースとなるポリマーは、炭素原子数1
〜4のアルキル基を有するポリアルキルメタクリレート
である。
このようなベースポリマーの具体的な例としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、
ポリプロピルメタクリレートおよびポリブチルメタクリ
レートならびに上記のような重合体を構成する繰り返し
単位を有する共重合体を挙げることができる。このよう
なベースポリマーは、単独で使用することもできるし、
組み合わせて使用することもできる。
これらのベースポリマーの中でもポリメチルメタクリ
レートは、人体に対する為害性(人体に対して害を及ぼ
す蓋然性)が低いため、ベースポリマーとして特に好ま
しい。
このようなベースポリマーとしては、GPCにより求め
たポリスチレン換算の分子量が、通常は103〜108、好ま
しくは103〜106のポリアルキルメタクリレートを使用す
る。
このようなポリアルキルメタクリレートは、粉末の状
態で使用するのが好ましい。
この硬化体層3に含有されるリン酸カルシウムは、骨
と比較的近似した組成を有しているため、骨の成長にと
もなって最終的には新生骨と一体化して骨セメントと骨
との間に非常に高い接合力を発現させる。
本発明で用いられるリン酸カルシウムとしては、具体
的には、ハイドロキシアパタイト(HAP)、フッ素アパ
タイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウムなど
が挙げられ、これらたとえば酸化カルシウムとの混合物
であってもよい。
また、本発明で用いられるリン酸カルシウムは、熱処
理をしたものでも熱処理をしていないものでもよく、さ
らに多孔質であっても緻密質であってもよい。
本発明においては、種々の粒子径のリン酸カルシムを
使用することができるが、特に1〜20μmの平均粒子径
を有するリン酸カルシウムを使用することにより、骨と
人工骨との接着強度および圧縮強度が非常に高くなる。
特に、2〜15μmの平均粒子径を有するリン酸カルシウ
ム、さらに好ましくは上記のような平均粒子径を有する
球状のリン酸カルシウムを使用することにより、接着強
度および圧縮強度がさらに優れた硬化体層を形成し得る
組成物を得ることができる。
このリン酸カルシムウは、ポリアルキルメタクリレー
ト粉末と混合しておくことが好ましい。この場合、リン
酸カルシウムとポリアルキルメタクリレート[成分
(P)]は、重量比で、通常は、0.1:99.9〜90:10の範
囲内、好ましくは10:90〜80:20の範囲内の混合比率で混
合されて使用される。
本発明においては、少なくとも2種類の単量体成分が
使用される。
本発明において使用される第一の単量体成分は、炭素
原子数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレ
ートである。このようなアクリルメタクリレートの例と
しては、MMA、エチルメタクリレート、プロピルメタク
リレートおよびブチルメタクリレートを挙げることがで
きる。これらの内でも、MMAは、重合物の人体に対する
為害性が少ないので、本発明においては、単量体成分と
してMMAを使用することが好ましい。
本発明において使用される第二の単量体成分は、次式
で示す構造を有する4−METAおよび/または4−METで
ある。
上記のアルキルメタクリレートと4−METAおよび/ま
たは4−METとの混合物は、通常の使用状態で液体であ
り、前述のポリアルキルメタクリレートおよびリン酸カ
ルシウムとは別に、液状のメタクリレート中に4−META
および/または4−METを予め溶解させて使用すること
が好ましい。
この場合、この液体状の成分(L)は、アルキルメタ
クリレートと4−METAおよび/または4−METとを、通
常は99.9:0.1〜85:15の範囲内の重量比、好ましくは99.
5:0.5〜90:10の範囲内の重量比で混合して使用すること
が好ましい。4−METAおよび/または4−METとアルキ
ルメタクリレートとを上記のような割合で使用すること
により、組成物の接着強度および硬化物の強度が特に高
くなる。
さらに、上記の固体状(粉末状)である成分(P)
と、液体状である成分(L)とを、成分(P)/成分
(L)の値が、通常は、0.01〜10の範囲内、好ましくは
0.1〜5の範囲内で含むように配合する。
本発明で使用される重合開始剤としては、アクリル系
重合体を常温付近で製造する際に一般に使用されている
ベンゾイルペルオキシドとアミンを組合わせたレドック
ス系の重合開始剤およびアルキルボロン等を使用するこ
とができるが、特にトリ−n−ブチルボラン(以下、TB
Bと記載する)またはその部分酸化物を使用することが
好ましい。このTBBあるいはその部分酸化物を使用する
ことにより、この化合物が大気中の酸素あるいは水と反
応してラジカルが発生し、このラジカルによって組成物
中に含まれるアルキルメタクリレートおよび4−METAお
よび/または4−METによる重合反応が進行し、上記の
ような組成物が硬化する。
上記のような重合開始剤は、重合反応を引き起こし、
硬化するに足りる量で使用すればよく、4−METAおよび
/または4−METとアルキルメタクリレートとの合計重
量1重量部に対して、0.1〜1重量部の割合で使用され
る。特にTBBを使用する場合には、0.3〜0.4重量部の割
合で使用することが好ましい。このようなTBBの使用量
は、歯科用接着剤組成物の重合開始剤として使用される
場合の使用量よりも多く、このような量で用い、4−ME
TAおよび/または4−METとリン酸カルシウムとを併用
することにより、良好な硬化状態を実現できるととも
に、リン酸カルシウムを含有する層3と金属2との接着
強度および圧縮強度などの特性が特に良好になる。
上記のような硬化体層3を形成する組成物は、それぞ
れの成分を個別に用意し、使用する際にこれらの成分を
混合して用いることもできるが、予め固体成分と液体成
分と硬化剤成分とを別々に調製し、これらを使用直前に
混合して用いるのが有利である。
この場合、固体成分は、ベースポリマーであるポリア
クリルメタクリレートおよびリン酸カルシウムを混合す
ることにより得られる。なお、この固体成分中には、硫
酸バリウムのようなX線像影剤、抗生物質あるいは他の
充填剤等を配合することもできる。さらに、上記のよう
な固体成分としては、滅菌処理したものを使用すること
が好ましい。なお、重合開始剤として、ベンゾイルペル
オキシドなどの過酸化物系の重合開始剤を使用する場合
には、固体成分中に重合開始剤を配合することもでき
る。
また、液体成分は、アルキムメタクリレートに4−ME
TAおよび/または4−METを溶解させることにより得ら
れる。なお、この液体成分中には、保存中における上記
単量体成分の重合反応を抑制するために、ハイドロキノ
ンなどの重合禁止剤を配合することもできるし、さらに
抗生物質、X線像影剤などを配合することもできる。ま
た、液体成分中にN,N−ジメチル−p−トルイジンなど
を配合することにより、硬化反応を促進させることがで
きる。
重合開始剤は、上記のように固体成分中に混合される
か、あるいは上記の液体成分とは別に保存される。殊に
TBBのように、大気中の酸素あるいは水分と反応してラ
ジカルが形成される重合開始剤を使用する場合には、例
えばアンプルなどに密封して保存するのが一般的であ
る。
例えば上記のようにして固体成分、液体成分および重
合開始剤にそれぞれパッケイジングされた組成物を使用
直前に混合することにより、硬化反応が進行しはじめ、
使用可能な状態になる。
上記のようなリン酸カルシウムを含有する組成物を人
工骨1を形成する金属2の表面に塗布し、またはテフロ
ン製の型等にいれて成形し、次いでこの組成物を硬化さ
せることにより本発明に係る人工骨を製造することがで
きる。
この組成物の塗布厚さは、人工骨の用途に合わせて適
宜設定することができるが、硬化体層3の厚さが、通常
は0.1μm以上になればよく、好ましくは1〜500μmに
なるように塗布、または被覆される。
このようにして塗布された組成物は、常温で硬化させ
ることもできるし、硬化のために加熱することもでき
る。
さらに、人工骨を埋入するために形成される空洞の形
状や大きさに対応させて被覆部の形状を容易に変形する
ことができる。
上記のようにして製造された人工骨は、上記の硬化体
層3の形成に使用した組成物と同等の組成物を有する接
着剤(骨セメント)を使用して骨と接着することもでき
るし、従来から使用されている人工骨と同様にそのまま
移植し、骨との接合を待つこともできる。
硬化体層3中に含まれるリン酸カルシウムが、骨の成
分と近似した構造を有しているため、新生骨がこのリン
酸カルシウムと最終的に一体となって人工骨が非常に強
い接着力で骨と接着され、しかも長期間の使用によって
も接着部分にゆるみ等が発生することがない。
本発明の人工骨および人工歯根は、上記のように金属
と、この金属を被覆している、特定の組成物の硬化体か
らなる態様の他に、第1−b図に示すような態様であっ
てもよい。
すなわち、本発明に係る人工骨は、第1−b図に示す
ように、金属22と、この金属22が骨と対面する面上に設
けられたリン酸カルシウム層24とからなっている。ここ
で金属22としては、前述の金属と同様のものを使用する
ことができる。
また、リン酸カルシウム層24は、例えば、リン酸カル
シウムを圧縮成形する方法などの公知の方法を利用する
ことにより製造することができる。すなわち、リン酸カ
ルシウムを金属22を挿入することができる空隙を形成す
るように金属22の周囲にリン酸カルシウムを付設し、こ
のリン酸カルシウムを加圧して賦形した後に焼結するこ
とにより製造することができる。
そして、本発明に係る人工骨21は、上記のような金属
22とリン酸カルシウム24とを、上述のようなリン酸カル
シウムを含有するポリアルキルメタクリレート系の組成
物を用いて接着する。
すなわち、ここで使用される組成物は、上述のよう
に、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメタクリレ
ートから誘導されるポリアルキルメタクリレートと、リ
ン酸カルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキル基を有
するアルキルメタクリレートと、4−METAおよび/また
は4−METと、重合開始剤とからなる組成物からなり、
この組成物の硬化体23によって金属22とリン酸カルシウ
ム層24とが接着されている。
この場合、硬化体23の厚さは、通常は1μm以上、好
ましくは1〜500μmの範囲内にある。また、リン酸カ
ルシムウ層24の厚さは、通常は、0.1〜10mm、好ましく
は0.1〜5mmの範囲内にある。
次に、本発明に係る人工骨等の使用方法の一例を示
す。
第2図に、本発明に係る人工骨を用いた人工股関節の
例を模式的に示す。
まず、大腿骨11に人工関節12を挿入するための空洞13
を形成した後、この空洞13の形状、大きさに合わせて被
覆部の形状、大きさを整えた本発明の人工骨をこの空洞
13内に挿入する。こうして挿入された人工関節12の表面
にあるリン酸カルシウムは、この新生骨と非常に近似し
た構造を有しているため、最終的にリン酸カルシウムと
成長した新生骨とが一体化する。このようにして大腿骨
と人工関節とは、新生骨とリン酸カルシウムとが一体化
することに伴う接合力によっても結合されるため、長期
間の使用に際してもゆるみが発生しにくいのである。
以上、人工骨を例に本発明を説明したが、もちろん本
発明の技術は人工歯根にも適用できる。
第3−a図は、本発明に係る人工歯根の一例を模式的
に示した断面図である。
本発明に係る人工歯根31は、金属32、この金属の少な
くとも一部の表面を覆うポリアルキルメタクリレート組
成物(本発明の骨セメント組成物)の硬化体層33とから
なる。
第3−b図は、本発明に係る人工歯根の他の一例を模
式的に示した断面図である。
第3−b図に示すように、本発明に係る人工歯根41
は、金属42と、本発明の骨セメント組成物の硬化物層43
と、この上に顎骨に対面するように設けられたリン酸カ
ルシウム層44とからなる。
上記金属32、42としては、前述の金属と同様のものを
使用することができる。またそれぞれの硬化体層33、43
およびリン酸カルシムウ層44も前述と同様にして形成す
ることができる。
本発明に係る人工歯根を用いた人工歯は下記のように
して移植され得る。
その上に歯のない歯ぐきから顎骨を露出させた後、顎
骨に人工歯根を挿入するための空洞を形成し、次いでこ
の空洞に骨セメント組成物を充填する。しかる後、この
骨セメント組成物で充填された空洞に人工歯根を挿入
し、この骨セメント組成物を硬化することにより人工歯
根を空洞に固定する。
第3−a図および第3−b図に示すように、人工歯根
の頂部略中央には軸方向に溝が形成されている。
この溝に歯台の底部に形成された突起をねじ込んだ
り、あるいは接着剤で接着し、次いでこの歯台を歯冠で
覆うことによって人工歯が形成される。
表1に本発明で使用される組成物の圧縮強度の一例を
示す。
上記のような組成物の圧縮強度は、例えば、ポリメチ
ルメタクリレート(アクリベース、ME−3F、藤倉化成
(株)製)93gと硫酸バリウム7gとを混合してポリアル
キルメタクリレート成分を調製し、この粉末0.8gと、平
均粒子径5μmおよび15μmの多孔質球状のHAP(Ca/P
=1.67)0.2gを混合して、HAPの含有率が20から80重量
%の範囲内で変化する固体成分(P)を調製する。
別に、MMA19.0gと4−METAおよび/または4−MET1.0
gとを混合して液体成分を調製し、この液体成分0.4g
に、TBBを3滴(約0.15〜0.20g)加えてよく混合し、次
いで、上記固体成分(P)1gを配合して混和して、組成
物を調製し、この組成物を用いて4.0mm×4.0mm×3.0mm
および直径6mm、長さ8mmの硬化体試料を調製し、前者は
そのまま、後者は2カ月間水中に浸漬した後、オートグ
ラフ(株)島津製作所製、DSS500)を使用して圧縮強度
を測定することにより求めることができる。なお、ここ
で圧縮強度は、試料が破壊されるときの強度である。
上記と同様にして調製した固体成分(P)中のHAPの
含有率を40%、60%、80%とした組成物の硬化体試料の
圧縮強度を表1に併せて記載する。
対照としてHAPを配合しない組成物から得られた硬化
体試料の圧縮強度を測定も併記する。
表1から明らかなように、HAPを添加すると、圧縮強
度が高くなり、今回の配合率の範囲では、HAPの配合率
の増加とともに硬化体の強度が高くなる傾向にある。こ
のことは、HAPには、硬化体の圧縮強度を向上させる役
割があることを示唆している。さらに、HAPの配合量を
多くすることにより、骨セメント硬化体と骨との親和性
が向上することから、上記所定の範囲内で、HAPを配合
させると、骨と骨セメント硬化体との接着強度を長期間
維持することができる。
また、人の大腿骨と、アクリル棒あるいはステンレス
(sus−304)とを、上記の組成物で接着した際の接着強
度の一例を表2に示す。
例えば、マスキングテープを貼着することにより、0.
22cm2の面積で露出させた大腿骨に、直径5mmのアクリル
棒を上記の組成物を用いて接着させる(放置時間:30分
間)。
次いで、このアクリル棒あるいはステンレス(sus−3
04)が接着している大腿骨を1日間水中に浸漬した後、
オートグラフを用いて、クロスヘッドスピード2mm/分で
大腿骨とアクリル棒との接着強度を測定する。
上記のような組成物において、4−META濃度を液体成
分に対して3重量%、10重量%、0重量%に変えて接着
強度を調べると、次に示す表3のような結果が得られ
る。
4−METAは、人大腿骨およびステンレスの接着に極め
て有効であり、今回の濃度範囲では、4−META濃度が3
〜5重量%の範囲で特に有効性が高い。
また、上記のような硬化体中からのMMAおよび4−MET
Aの溶解度を測定すると例えば次のようになる。
すなわち、例えば、上記のような組成物を円柱状(直
径6mm,長さ8mm)にして硬化させ、次いでこの円柱状の
硬化体をメタノール中に1週間浸漬した後、メタノール
中に溶出した単量体(MMA,4−META)の量を測定し、溶
出量を液体クロマトグラフ(MATERS Micro Bordapac18;
MeOH:H2O=7:3,1ml/分)で測定すると表4に示すような
傾向を示す。
また、上記骨セメント組成物中のHAPを下記の多孔質
リン酸カルシウムに変えても、硬化体の圧縮強度、たと
えば人の大腿骨などの骨およびステンレス(SUS−304)
などの金属に対する接着強度などにおいて同様の効果を
示す。
a)950℃で4時間熱処理したCa/P=1.5のリン酸三カル
シウム、 b)950℃で4時間熱処理したCa/P=1.60のHAPとリン酸
三カルシウムとの混合物、 c)950℃で4時間熱処理したCa/P=1.75のHAPと酸化カ
ルシウムの混合物。
発明の効果 本発明の移植用材料は、表面にHAPなどのリン酸カル
シウムが配合された特定のポリアルキルメタクリレート
硬化体からなる層を有しているう。このリン酸カルシウ
ムは、骨の成分と近似した構造を有しているため、成長
した新生骨がこのリン酸カルシウムを吸収し一体化す
る。しかも、特定のポリアルキルメタクリレートは、金
属に対して優れた接着性を示すため、本発明の移植用材
料を人工関節等の人工骨として長期間使用したとして
も、移植用材料と骨との間にゆるみが生ずることが極め
て少ない。さらに、この移植用材料は、複雑な製造工程
を必要とせず、例えば、常温付近の温度で容易に製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1−a図は、本発明に係る人工骨の一例を模式的に示
す断面図である。、 第1−b図は、本発明に係る人工骨の他の一例を模式的
に示す断面図である。 1,21……人工骨 2,22……金属 3,23……組成物硬化体 24……リン酸カルシウム層 第2図は、本発明に係る人工骨を大腿骨中に埋めて形成
された股関節を模式的にしめす図である。 11……大腿骨 12……金属 13……空洞 14……組成物硬化体 第3−a図は、本発明に係る人工歯根の一例を模式的に
示す断面図である。 第3−b図は、本発明に係る人工歯根の他の一例を模式
的に示す断面図である。 31,41……人工歯根 32,42……金属 33,43……組成物硬化体 44……リン酸カルシウム層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 隆司 山口県玖珂郡和木町和木6丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメ
    タクリレートから誘導されるポリアルキルメタクリレー
    トと、リン酸カルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキ
    ル基を有するアルキルメタクリレートと、4−(2−メ
    タクリロイルオキシエチル)トリメリット酸および/ま
    たはその無水物と、重合開始剤とからなる組成物の硬化
    体で金属表面の少なくとも一部が被覆されいることを特
    徴とする移植用材料。
  2. 【請求項2】上記組成物が、 リン酸カルシウムとポリアルキルメタクリレートとを0.
    1:99.9〜90:10の範囲内の重量比で含む成分(P) および アルキルメタクリレートと4−(2−メタクリロイルオ
    キシエチル)トリメリット酸無水物とを99.9:0.1〜85:1
    5の範囲内で含む成分(L)を、 成分(P)/成分(L)の値が0.01〜10の範囲内になる
    量で含有しており、かつ該組成物中における重合開始剤
    の量が、前記成分(L)1重量部に対して0.1〜1重量
    部の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の
    移植用材料。
  3. 【請求項3】ポリアルキルメタクリレートが、メチルメ
    タクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタク
    リレートおよびブチルメタクリレートよりなる群から選
    ばれるメタクリレートの単独重合体またはこれらの共重
    合体であり、アルキルメタクリレートが、メチルメタク
    リレートであることを特徴とする請求項第1項記載の移
    植用材料。
  4. 【請求項4】リン酸カルシウムがハイドロキシアパタイ
    トである請求項第1項記載の移植用材料。
  5. 【請求項5】リン酸カルシウムが焼結されたリン酸カル
    シウムである請求項第1項記載の移植用材料。
  6. 【請求項6】リン酸カルシウムの平均粒子径が1〜20μ
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の
    移植用材料。
  7. 【請求項7】重合開始剤が、トリ−n−ブチルボランで
    あることを特徴とする請求項第1項記載の移植用材料。
  8. 【請求項8】金属と、該金属が骨と対面する面上に設け
    られたリン酸カルシウム層とからなり、かつ該金属とリ
    ン酸カルシウム層とが、炭素原子数1〜4のアルキル基
    を有するメタクリレートから誘導されるポリアルキルメ
    タクリレートと、リン酸カルシウムと、炭素原子数1〜
    4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートと、4
    −(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリット酸
    および/またはその無水物と、重合開始剤とからなる組
    成物の硬化体で接着されていることを特徴とする移植用
    材料。
  9. 【請求項9】炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメ
    タクリレートから誘導されるポリアルキルメタクリレー
    トと、リン酸カルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキ
    ル基を有するアルキルメタクリレートと、4−(2−メ
    タクリロイルオキシエチル)トリメリット酸および/ま
    たはその無水物と、重合開始剤とからなる組成物で、金
    属表面の少なくとも一部を被覆し、次いで該被覆された
    組成物を硬化させることを特徴とする移植用材料の製造
    方法。
JP2282519A 1989-10-19 1990-10-19 移植用材料およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2751939B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1-272645 1989-10-19
JP27264589 1989-10-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04208164A JPH04208164A (ja) 1992-07-29
JP2751939B2 true JP2751939B2 (ja) 1998-05-18

Family

ID=17516810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2282519A Expired - Fee Related JP2751939B2 (ja) 1989-10-19 1990-10-19 移植用材料およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2751939B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3155389B2 (ja) * 1993-03-05 2001-04-09 株式会社モルテン 歯科用光重合樹脂材料
US6458162B1 (en) * 1999-08-13 2002-10-01 Vita Special Purpose Corporation Composite shaped bodies and methods for their production and use
US9220595B2 (en) 2004-06-23 2015-12-29 Orthovita, Inc. Shapeable bone graft substitute and instruments for delivery thereof
US20190125632A1 (en) * 2016-03-01 2019-05-02 Celumix Inc. Dental material

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04208164A (ja) 1992-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5264215A (en) Bone cement composition, cured product thereof, implant material and process for the preparation of the same
US4141864A (en) Osseous cement composition
Morita et al. Performance of adhesive bone cement containing hydroxyapatite particles
JPH078294B2 (ja) 水酸化カルシウム処理した重合体よりなる移植材料
JP2001503290A (ja) 活性化合物を含有する骨用セメントの製造方法
DE19853832A1 (de) Polyalkensäuren enthaltende Calcium-Phosphatzemente
JPH0243721B2 (ja)
JP2751939B2 (ja) 移植用材料およびその製造方法
JP2751938B2 (ja) 骨セメント組成物および硬化体
JPH03157310A (ja) 生体活性セメント
JP2000245821A (ja) 生体活性セメント組成物
JP2934781B2 (ja) 生体硬組織用充填組成物
JPH0585914A (ja) 硬化型糊材
JPH11130491A (ja) リン酸カルシウムセメント及びリン酸カルシウムセメント組成物
JP2934780B2 (ja) 生体硬組織用充填組成物
JPS6130507A (ja) 根管充填用硬化型糊材
JP3871298B2 (ja) 医療用インプラント材
JPH08155024A (ja) 生体活性セメント
JPH01170463A (ja) 医療用硬化組成物
WO1990008530A1 (en) Root canal filling material comprising hardenable paste
JPH02188510A (ja) 根管充填用硬化型糊材
JPH0237786B2 (ja)
JPH04114655A (ja) 医療用硬化組成物
JP2000254220A (ja) 生体活性セメント組成物
WO2024133597A1 (en) Bioadhesive composition

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees