JP2746993B2 - 多板クラッチの潤滑構造 - Google Patents

多板クラッチの潤滑構造

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、同一軸線上に配置した二つの軸部材間に介
設される多板クラッチに対する軸部材からの潤滑油路の
構造に関するものである。
[従来の技術] 同一軸線上に配置した二つの軸部材間に、回転動力を
径方向外方において伝達・遮断とする多板クラッチを介
設することは公知である。
[発明が解決しようとする課題] このような多板クラッチの焼付防止のために、例えば
両軸部材の軸心方向に形成した潤滑油路を利用して潤滑
油を供給しようとする場合、二つの軸部材には相対回転
があることから、油路の連結の仕方が問題となる。
そこで本発明の目的は、以上のような多板クラッチに
対し、両軸部材の軸心方向に形成した潤滑油路を連結し
て潤滑油の供給が行えるようにした潤滑構造を提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段] 以上の課題を達成すべく本発明は、軸方向油路とこの
油路へ径外方から油を供給する径方向油路とを備えたセ
ンター軸の一端に、軸方向油路と径方向油路とを備えた
第1軸を同軸に配置し、センター軸の軸方向油路と第1
軸の軸方向油路とのいずれか一方に第1パイプの一端を
嵌合し、他方に第1パイプの他端を摺動可能に挿入し、
且つ、センター軸の一端と第1軸との間に第1多板クラ
ッチを設け、この第1多板クラッチを第1軸の径方向油
路から径外方へ吐出した油で潤滑するようにし、また、
センター軸の他端に、軸方向油路と径方向油路とを備え
た第2軸を同軸に配置し、センター軸の軸方向油路と第
2軸の軸方向油路とのいずれか一方に第2パイプの一端
を嵌合し、他方に第2パイプの他端を摺動可能に挿入
し、且つ、センター軸の他端と第2軸との間に第2多板
クラッチを設け、この第2多板クラッチを第2軸の径方
向油路から径外方へ吐出した油で潤滑するようにした多
板クラッチの潤滑構造であって、センター軸の径方向油
路をセンター軸の一端に寄せて設け、且つ第1パイプの
内径を第2パイプの内径より絞った。
[作用] センター軸の軸方向油路と第1軸の軸方向油路の一方
に第1パイプの一端を嵌合し、他方に第1パイプの他端
を摺動可能に挿入し、また、センター軸の軸方向油路と
第2軸の軸方向油路の一方に第2パイプの一端を嵌合
し、他方に第2パイプの他端を摺動可能に挿入したこと
で、センター軸と第1・第2軸間の相対回転を許容しな
がらも第1・第2パイプによる軸方向油路の連結を行う
ことができ、第1多板クラッチ及び第2多板クラッチへ
潤滑油を供給することができる。
また、第1パイプの内径を第2パイプの内径よりも小
さくして、第1・第2多板クラッチへ潤滑油を均等に配
分するようにしたことで、第1・第2多板クラッチの摩
擦熱の発生や摩耗をほぼ均等に抑え、第1・第2多板ク
ラッチの耐久性を同等に延ばすことができる。
[実施例] 以下に添付図面を基に実施例を説明する。
第1図及び第2図は本発明を適用した多板クラッチを
有するデフ装置の内部構造を示しており、第5図にこの
デフ装置を備える四輪駆動車の駆動系を示している。
第5図において、1はエンジン、2はトランスミッシ
ョン、4はフロントデフ装置、5L,5Rは左右の前輪、7
は推進軸、9L,9Rは左右の後輪、10はリヤデフ装置であ
る。図示のようにエンジン1からトランスミッション
2、歯車列3及びフロントデフ装置4を介して左右の前
輪5L,5Rに回転駆動力が伝達される。またフロントデフ
装置4から歯車列6及び推進軸7を経てリヤデフ装置10
に回転駆動力が伝達され、更にリヤデフ装置10から後輪
駆動軸8L,8Rを介して左右の後輪9L,9Rに回転駆動力が伝
達される。
次にリヤデフ装置10を示す第1図において、11はデフ
ハウジング本体、12L,12Rは左右の各クラッチハウジン
グ、13は入力軸、15はデフケース、17はそのサイドカバ
ーである。前記推進軸7に連結される入力軸13から傘歯
車14,16を介してデフケース15に回転が伝達され、この
デフケース15内には二組の遊星歯車機構21L,21Rが設け
られている。
即ち第2図に拡大して示すように、この二組の遊星歯
車機構21L,21Rは、デフケース15内周のリングギヤ22L,2
2Rと、複数のプラネタリギヤ23L…,23R…と、サンギア2
4L,24Rから成る。そして左右の両プラネタリギヤ23L,23
Rを夫々のローラーベアリング25L,25R…を介装して軸承
する共通のピニオン軸26は一体ケース状のキャリア31に
支持されている。
キャリア31はドラム部32の左右に前記プラネタリギヤ
23L…,23R…を夫々臨ませる窓部33L…,33R…を有すると
ともに、ドラム部32左右の内方壁部34L,34Rに前記ピニ
オン軸26用の軸孔35L…,35R…を有しており、更にドラ
ム部32の中央には内方フランジ36を一体に備えている。
この内方フランジ36の内径は前記壁部34L,34Rの内径よ
り小となっており、その内周面にスプライン37が形成さ
れるとともに、内方フランジ36には前記ピニオン軸26用
の軸孔38が形成されている。
またデフケース15内方に配置されるセンター軸として
の主軸41は中央に外方フランジ42を一体に備えており、
この外方フランジ42の外周面にスプライン43が形成され
ている。このスプライン43は前記内方フランジ36のスプ
ライン37と合致するものである。
前記二組の遊星歯車機構21L,21Rの組み付けに際して
は、キャリア31の各窓部33L…,33R…内にプラネタリギ
ヤ23L…,23R…を夫々臨ませ、且つ各プラネタリギヤ23L
…,23R…の端面にスラストプレート27L…,27R…を夫々
当てる、そしてピニオン軸26を軸孔35L,38,35Rに嵌合す
るとともに、プラネタリギヤ23L,23R内にローラーベア
リング25L,25R…を介装して嵌合し、中央のノックピン3
9にてキャリア31にピニオン軸26を固定する。またピニ
オン軸26の両端面にスラストプレート28L,28Rを夫々当
てる。
一方、主軸41の左右には各サンギヤ24L,24Rと一体の
筒部材29L,29Rをローラーベアリング44L…,44R…を介装
して嵌合するとともに、各サンギヤ24L,24Rと外方フラ
ンジ42との間にスラストベアリング45L,45Rを介装し、
サンギヤ24L,24Rの外側面にスラストベアリング46L,46R
を当てる。
そしてキャリア31の内方フランジ36と主軸41の外方フ
ランジ42とを両スプライン37,43により嵌合して結合
し、デフケース15内に組み込んで二組の遊星歯車機構21
L,21Rの各ギヤを相噛合させ、各筒部材29L,29Rをローラ
ーベアリング47L,47Rにて支持するデフケース15とサイ
ドカバー17を傘歯車16(第1図参照)とともにボルト48
Lにて結合する。
以上において、第1図に示すように、前記左右の遊星
歯車機構21L,21Rのギヤ比を異ならせることにより、左
側の遊星歯車機構21Lは増速用(Hi)、右側の遊星歯車
機構21Rは直結用(Low)となっている。
そして左右の筒部材29L,29Rの外端部上にはフランジ
部材49L,49Rがセレーション嵌合され、両フランジ部材4
9L,49Rに略図的に示すワンウェイクラッチ51L,51Rが設
けられている、更にワンウェイクラッチ51L、フランジ
部材49L及び筒部材29Lを介して左側のサンギヤ24Lを固
定可能とする回転固定用クラッチ52Lが設けられてお
り、またフランジ部材49R及び筒部材29Rを介して右側の
サンギヤ24Rを固定可能とする回転固定用クラッチ52R
設けられている。
左側の回転固定用クラッチ52Lはワンウェイクラッチ5
1L外周側に設けた筒部材53Lとデフハウジング本体11及
びクラッチハウジング12L間に介装固定したクラッチケ
ース18との間に構成され、また右側の回転固定用クラッ
チ52Rはフランジ部材49Rとデフハウジング本体11との間
に構成される。
即ち筒部材53Lにセレーション嵌合したインナープレ
ート54L…とクラッチケース18のクラッチアウター部55L
にセレーション嵌合したアウタープレート56L…とから
成る摩擦板を有し、クラッチケース18のシリンダー57L
にピストン58Lを設けて左側の回転固定用クラッチ52L
構成されている。またフランジ部材49Rにセレーション
嵌合したインナープレート54Rとデフハウジング本体11
のクラッチアウター部55Rにセレーション嵌合したアウ
タープレート56R…とから成る摩擦板を有し、デフハウ
ジング本体11のシリンダー57Rにピストン58Rを設けて右
側の回転固定用クラッチ52Rが構成されている。
尚、クラッチケース18にデフケース15のサイドカバー
17がボールベアリング19Lを介装して支持される。そし
て右側のワンウェイクラッチ51R外周側の筒部材53Rがデ
フハウジング本体11にセレーション嵌合されており、筒
部材53Rにデフケース15がボールベアリング19Rを介装し
て支持される。
更に前記主軸41の左右端部上にフランジ部材59L,59R
がセレーション嵌合されており、両フランジ部材59L,59
Rと前記各クラッチハウジング12L,12R内に設けた第2・
第1軸としての出力軸71L,71Rとの間には第2・第1多
板クラッチとしてのトルク伝達容量可変型クラッチ61L,
61Rが設けられている。両トルク伝達容量可変型クラッ
チ61L,61Rは同様の構造である。
つまり第3図及び第4図に夫々拡大して示す如く各フ
ランジ部材59L,59Rのクラッチアウター部62L,62Rにセレ
ーション嵌合したアウタープレート63L…,63R…と両出
力軸71L,71Rにセレーション嵌合される各フランジ部材6
4L,64Rのクラッチインナー部65L,65Rにセレーション嵌
合したインナープレート66L…,66R…とから成る摩擦板
を有し、且つ両クラッチハウジング12L,12R(第1図参
照)の各シリンダー67L,67Rにピストン68L,68Rを設けて
左右のトルク伝達容量可変型クラッチ61L,61Rが構成さ
れている。また各ピストン68L,68Rと摩擦板間に押圧部
材69L,69Rが介設されている。
尚、両出力軸71L,71Rは左右の各クラッチハウジング1
2L,12R(第1図参照)にボールベアリング72L,72Rを介
装して夫々支持され、各出力軸71L,71Rは前記左右の後
輪駆動軸8L,8Rに夫々連結される。
次に各部への潤滑構造について説明する。
第1図のように前記入力軸13は前記デフハウジング本
体11の前方ボス部111にテーパーローラーベアリング112
f,112rを介装して支持され、前方ボス部111前面にポン
プガイドプレート113を介設してポンプハウジング114が
ボルト115…で結合されている。そしてポンプハウジン
グ114内にオイルポンプ116が内蔵され、そのインナーハ
ブ117が入力軸13にセレーション嵌合されている。
このオイルポンプ116からの潤滑油は前方ボス部111の
油路73を通って、デフハウジング本体11の後部右側の油
路74、前記筒部材53Rの油路75,76より前記ワンウェイク
ラッチ51R及び前記各フランジ部材49R,59Rの油路77,78
に流れ、そして前記主軸41右側の径方向油路79から軸方
向油路81に流入する。更に軸方向油路81からは多数の径
方向油路82…より各ベアリング部分に潤滑油が供給され
るとともに、主軸41中央の前記外方フランジ42の各径方
向油路83…から前記スプライン37,43(第2図参照)に
よる結合部を介し前記キャリア31中央の前記内方フラン
ジ36の各径方向油路84…に潤滑油が流れる。また各径方
向油路84…からは前記各ピニオン軸26…中央の径方向油
路85…を経て軸方向油路86…に潤滑油が夫々流入し、両
端のスラストプレート28L,28Rとともに他の径方向油路8
7…より各ベアリング部分に潤滑油が供給される。
そして第3図と第4図に夫々拡大して示すように、特
に主軸41の軸方向油路81の両端は夫々の第2・第1パイ
プとしてのスリーブ状パイプ91L,91Rを介して前記各出
力軸71L,71Rの軸方向油路92L,92Rに夫々接続されてい
る。更に径方向油路93L,93Rから前記各フランジ部材6
4L,64Rの径方向油路94L,94Rより各ベアリング部分とと
もに夫々径方向外方に位置する各トルク伝達容量可変型
クラッチ61L,61Rに潤滑油が供給される。
ここで、実施例では左右の各スリーブ状パイプ91L,91
Rは、主軸41の軸方向油路81の両開口端に夫々圧入して
固定される一方、左右の両出力軸71L,71Rの各軸方向油
路92L,92Rの両開口端には夫々遊嵌されており、この遊
嵌構造により主軸41と各出力軸71L,71Rとの相対回転が
許容されるようになっている。また右側のパイプ91R
内径の方が左側のパイプ91Lの内径より小さく設定され
ており、即ち主軸41の軸方向油路81に潤滑油を流し込む
径方向油路79に近い右側パイプ91R内径の絞り作用によ
って、左右の両出力軸71L,71Rの各軸方向油路92L,92R
の潤滑油の供給が均等分配されるようになっている。
尚、実施例とは逆にパイプ91L,91Rを、出力軸71L,71R
の軸方向油路92L,92Rに圧入して、主軸41の軸方向油路8
1に遊嵌するものでも勿論良い。
そして湿式多板クラッチである左右の両トルク伝達容
量可変型クラッチ61L,61Rに関しては、各クラッチイン
ナー部65L,65Rに潤滑油を導く径方向油路95L,95Rが形成
されており、更に各クラッチアウター部62L,62Rは潤滑
油を排出する径方向油路96L…,96R…が形成されてい
る。
更に図中、97L,97Rはピストン68L,68Rを締結力開放側
へ夫々付勢するリターン用のコイルバネ、98L,98Rはピ
ストン68L,68Rと押圧部材69L,69Rとの間のスラストベア
リング、99L,99Rはピストン68L,68Rの回り止めピンであ
る。また回転固定用クラッチ52L,52Rについては、101L,
101Rはピストン58L,58Rを締結力開放側へ夫々付勢する
リターン用の皿バネ、102L,102Rはその回転防止用のセ
ットプレートであり、103Lは左側の筒部材53Lとフラン
ジ部材59L間のローラーベアリングである。
以上のリヤデフ装置10を装備した第5図に示す四輪駆
動車によれば、直進走行時においては、右側の回転固定
用クラッチ52RはOFF(フリー)にする。且つ左側の回転
固定用クラッチ52LもOFF(フリー)にする。
よって直進走行時は、ワンウェイクラッチ51R(第3
図参照)により前輪側の回転数>後輪側の回転数のと
き、直結用(Low)の遊星歯車機構21Rのサンギヤ24
R(第2図参照)を固定状態に保持し、後輪側へ駆動力
の伝達を行う。
また、前輪側の回転数<後輪側の回転数のときは、ワ
ンウェイクラッチ51R(第3図参照)によりサンギヤ24R
(第2図参照)をフリー状態に保持し、後輪側への駆動
力の伝達をカットする。
具体的には、制動時に前輪側へ過渡制動力が働いた場
合、その過渡制動力が後輪側へ伝わり後輪側がロックす
るのを防止するものである。以上によりエンジンブレー
キ、バック時に後輪はフリーとなる。
そしてエンジンブレーキにより後輪に制動力をかけた
い場合やバック時に後輪に駆動力を伝えたい場合は、右
側の回転固定用クラッチ52RをON(固定)にして、即ち
第3図において、シリンダー57R内に油を供給してピス
トン58Rを前進させ、摩擦板54R,56Rを締結してフランジ
部材49R及び筒部材29Rを介し、ワンウェイクラッチ51R
に関係なく第2図に示した直結用(Low)遊星歯車機構2
1Rのサンギヤ24Rを固定状態に保持し、制動力及び駆動
力を後輪側へ伝える。
この時、第1図において、左右の両トルク伝達容量可
変型クラッチ61L,61Rの各シリンダー67L,67R内には等し
い油圧をかけて夫々のピストン68L,68Rの前進による各
摩擦板63L,66L、63R,66Rの締結力を均等に保持し、左右
の駆動力を等配分しておく。
従って、第5図において、前記推進軸7から入力軸13
及び傘歯車14,16を介してデフケース15に入力された回
転は、第2図に示したリングギヤ22Rよりサンギヤ24R
固定とした右側の直結用(Low)遊星歯車機構21Rのプラ
ネタリギヤ23R…の公転としてキャリア31と一体の主軸4
1に伝達される。この主軸41の左右から第3図及び第4
図に示した夫々のフランジ部材59L,59R、トルク伝達容
量可変型クラッチ61L,61R及びフランジ部材64L,64Rを介
して両出力軸71L,71Rに駆動力が等分配され、第5図に
示した後輪駆動軸8L,8Rを介して左右の後輪9L,9Rが等速
回転を行う。これにより直進走行の安定、特に高速安定
性が高められる。
また旋回走行時においては、左側の回転固定用クラッ
チ52LをON(固定)にして、即ち第4図に示したシリン
ダー57L内に油を供給してピストン58Lを前進させ、摩擦
板54L,56Lを締結してワンウェイクラッチ51L、フランジ
部材49L及び筒部材29Lを介し、第2図に示した増速用
(Hi)遊星歯車機構21Lのサンギヤ24Lを固定状態に保持
し、且つ第3図に示した右側の回転固定用クラッチ52R
をOFF(フリー)にする。この時、例えば左旋回状態の
場合なら、内輪側となる左側トルク伝達容量可変型クラ
ッチ61L(第4図参照)よりも外輪側となる右側トルク
伝達容量可変型クラッチ61Rの方に高い油圧をかけて、
駆動力を右後輪9R(第5図参照)の方に大きく配分して
おく。
従って、第2図に示したデフケース15からの回転は、
リングギヤ22Lよりサンギヤ24Lが固定の左側の増速用
(Hi)遊星歯車機構21Lのプラネタリギヤ23L…の公転と
してキャリア31より主軸41に伝達される。そして主軸41
からは第3図及び第4図に示した左右の前記トルク伝達
容量可変型クラッチ61L,61Rによる異なる駆動力配分に
よって右側の出力軸71Rの方に増速回転が伝達され、左
側の出力軸71Lにはこれより少ない回転が伝達されるの
で、第5図に示した右後輪9Rの方が左後輪9Lよりも増速
回転を行う。これにより旋回性能が高められる。
また高速旋回時には内輪側を増速するとともに駆動力
配分を大きくして安定性を向上させる制御も可能であ
る。
以上のようにして車両の運動性能の向上に寄与でき
る。
以上のリヤデフ装置10においては、特にデフケース15
内に二組の遊星歯車機構21L,21Rがコンパクトに構成さ
れており、軽量なものとなっている。
そして主軸41(第1図参照)内から左右の各出力軸71
L,71R内を経て湿式多板クラッチである各トルク伝達容
量可変型クラッチ61L,61Rへの潤滑構造に関しては、第
3図と第4図に夫々矢印で示す通りである。つまり車両
走行中において、主軸41の軸方向油路81の両開口端から
パイプ91L,91R、出力軸71L,71Rの軸方向油路92L,92R
び径方向油路93L,93R、フランジ部材64L,64Rの径方向油
路94L,94Rより潤滑油が径方向外方の各トルク伝達容量
可変型クラッチ61L,61Rに向けて供給される。更に各ク
ラッチインナー部65L,65Rの径方向油路95L,95Rから潤滑
油が内部の摩擦板63L,66L、63R,66Rに導かれた後、各ク
ラッチアウター部62L,62Rの径方向油路96L…,96R…より
外部に排出される、 このようにして主軸41内から各出力軸71L,71R内を経
て湿式多板クラッチ61L,61Rへ潤滑油を供給することが
でき、且つ主軸41と出力軸71L,71R間のパイプ91L,91R
一方に固定して他方に遊嵌した構造のため、主軸41と出
力軸71L,71Rとの相対回転を許容しつつ潤滑油の受け渡
しを確実に行うことができる。
尚、実施例のデフ装置は、リヤデフの他にフロントデ
フやセンターデフとして用いることも可能である。また
実施例の前輪駆動ベースの四輪駆動車の他に後輪駆動ベ
ースの四輪駆動車やセンターデフを介して前後輪に夫々
駆動力を伝達するようにした四輪駆動車にも用いられ
る。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、軸方向油路とこの油路
へ径外方から油を供給する径方向油路とを備えたセンタ
ー軸の一端に、軸方向油路と径方向油路とを備えた第1
軸を同軸に配置し、センター軸の軸方向油路と第1軸の
軸方向油路とのいずれか一方に第1パイプの一端を嵌合
し、他方に第1パイプの他端を摺動可能に挿入し、且
つ、センター軸の一端と第1軸との間に第1多板クラッ
チを設け、この第1多板クラッチを第1軸の径方向油路
から径外方へ吐出した油で潤滑するようにし、また、セ
ンター軸の他端に、軸方向油路と径方向油路とを備えた
第2軸を同軸に配置し、センター軸の軸方向油路と第2
軸の軸方向油路とのいずれか一方に第2パイプの一端を
嵌合し、他方に第2パイプの他端を摺動可能に挿入し、
且つ、センター軸の他端と第2軸との間に第2多板クラ
ッチを設け、この第2多板クラッチを第2軸の径方向油
路から径外方へ吐出した油で潤滑するようにした多板ク
ラッチの潤滑構造であって、センター軸の径方向油路を
センター軸の一端に寄せて設け、且つ第1パイプの内径
を第2パイプの内径より絞ったので、センター軸の軸方
向油路と第1軸の軸方向油路との一方に第1パイプの一
端を嵌合し、他方に第1パイプの他端を摺動可能に挿入
し、また、センター軸の軸方向油路と第2軸の軸方向油
路との一方に第2パイプの一端を嵌合し、他方に第2パ
イプの他端を摺動可能に挿入したことにより、センター
軸と第1・第2軸間の相対回転を許容しながらも第1・
第2パイプによる軸方向油路の連結を行うことができ、
第1多板クラッチ及び第2多板クラッチへ潤滑油を供給
することができる。
また、第1パイプの内径を第2パイプの内径よりも小
さくして、第1・第2多板クラッチへ潤滑油を均等に配
分するようにしたにより、第1・第2多板クラッチの摩
擦熱の発生や摩耗をほぼ均等に抑え、第1・第2多板ク
ラッチの耐久性を同等に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用したリヤデフ装置の内部構造を示
す横断平面図、第2図は遊星歯車装置部分の拡大図、第
3図と第4図は本発明構造を有する二つの多板クラッチ
部分の各拡大図、第5図はリヤデフ装置を備える一例と
しての四輪駆動車の駆動系の構成図である。 尚、図面中、41はセンター軸(主軸)、61R,61Lは第1
・第2多板クラッチ(トルク伝達容量可変型クラッ
チ)、71R,71Lは第1・第2軸(出力軸)、79,93L,93R
は径方向油路、81,92L,92Rは軸方向油路、91R,91Lは第
1・第2パイプ(スリーブ状パイプ)である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸方向油路とこの油路へ径外方から油を供
    給する径方向油路とを備えたセンター軸の一端に、軸方
    向油路と径方向油路とを備えた第1軸を同軸に配置し、
    センター軸の軸方向油路と第1軸の軸方向油路とのいず
    れか一方に第1パイプの一端を嵌合し、他方に第1パイ
    プの他端を摺動可能に挿入し、且つ、センター軸の一端
    と第1軸との間に第1多板クラッチを設け、この第1多
    板クラッチを第1軸の径方向油路から径外方へ吐出した
    油で潤滑するようにし、また、前記センター軸の他端
    に、軸方向油路と径方向油路とを備えた第2軸を同軸に
    配置し、センター軸の軸方向油路と第2軸の軸方向油路
    とのいずれか一方に第2パイプの一端を嵌合し、他方に
    第2パイプの他端を摺動可能に挿入し、且つ、センター
    軸の他端と第2軸との間に第2多板クラッチを設け、こ
    の第2多板クラッチを第2軸の径方向油路から径外方へ
    吐出した油で潤滑するようにした多板クラッチの潤滑構
    造であって、センター軸の径方向油路をセンター軸の一
    端に寄せて設け、且つ前記第1パイプの内径を第2パイ
    プの内径より絞ったことを特徴とする多板クラッチの潤
    滑構造。
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