JP2744270B2 - 光起電力素子 - Google Patents

光起電力素子

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JP2744270B2 JP1012510A JP1251089A JP2744270B2 JP 2744270 B2 JP2744270 B2 JP 2744270B2 JP 1012510 A JP1012510 A JP 1012510A JP 1251089 A JP1251089 A JP 1251089A JP 2744270 B2 JP2744270 B2 JP 2744270B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する分野〕 本発明は、民生機器用電源および太陽光発電による電
力供給システム用に好適な太陽電気として改善された光
起電力素子に関する。より詳細には、pinヘテロ接合を
用いた、特に短波長光に対して高効率の光電変換効率を
有する光起電力素子に関する。
〔従来技術の説明〕
従来、民生機器用の電源あるいは太陽光発電用太陽電
池の光起電力素子として、シリコン(Si)やヒ化ガリウ
ム(CaAs)等の単結晶基板中に不純物をイオン打ち込み
または熱拡散させて形成するか、あるいはそうした単結
晶基板に不純物をドープした層をエピタキシャル成長さ
せて形成したpn接合を利用した光起電力素子が提案され
ている。しかしながら、これらの光起電力素子について
は、基板として上述のような単結晶基板を用いているこ
とから、その製造コストはいきおい高くなり、その低減
は技術的にも困難であることから一般に広く普及するに
は至っていないのが実状である。
ところで、近年、非単結晶基板であるガラス,金属,
セラミツクス,合成樹脂等の安価な材質の基板上に、グ
ロー放電分解法によりアモルフアスシリコン(以下、
「A-Si」と称す。)半導体堆積膜を積層して形成される
pin接合を利用した光起電力素子が提案されていて、前
述の単結晶pn接合太陽電池ほどの光電変換効率は得られ
ていないものの、製法が比較的容易であり、低コストで
あることから、電卓,腕時計等のローコスト民生機器用
の電源として広く使用されてきている。
このpin接合型の光起電力素子においては光電特性の
すぐれたA-Si半導体がそのフエルミ準位がバンドギヤツ
プ中央からやや伝導帯よりに位置しているため、n−i
接合界面よりは、p−i接合界面において電界強度が強
く、光はp型半導体層側より入射させるのが光電変換効
率の向上に有利であると言われている。
一方、p型半導体層中で吸収される光はp型半導体層
中に再結合中心となる欠陥が存在する場合には殆ど光電
流の発生には寄与しないので、p型半導体層としては極
力光吸収が少なく、欠陥の少ない半導体膜にて構成され
ることが望ましい。しかるに、前記pin接合型A-Si光起
電力素子におけるp型半導体層に用いられる半導体材料
としてはバンドギヤツプの広いアモルフアスシリコンカ
ーバイド(以下、「A-SiC」と称す。)、または、バン
ドギヤツプは狭いが間接遷移型半導体材料であるため吸
収係数が小さく、しかも100〜200Åの厚さでは光の吸収
量が少ないとされる微結晶化シリコン(以下「μC-Si」
と称す。)が検討されている。しかしながら、A-SiCに
おいては、膜中の炭素原子の組成比率を増すことによっ
てバンドギヤツプを広げることが可能であるが、バンド
ギヤツプが2.1ev以上となると急激にその膜質が低下す
るので太陽電池の特性向上にはおのずと限界が生ずる。
また、μC-Siにおいても、バンドギヤツプが本質的に
は狭いので、光の吸収量は無視し得ない。ことに短波長
光成分の割合が多い入射光の場合には、光の吸収量は顕
著に増加する。
したがって、より高い光電変換効率の光起電力素子を
形成するには、前記p型半導体層側を光入射側とするな
らばバンドギヤツプがより広く、欠陥密度の少ない、従
来にない特性を有するp型半導体材料が早急に提供され
る必要がある。
また、n型半導体材料としてもバンドギヤツプが十分
に広く、欠陥密度の少ないものであれば、n型半導体層
の設けられている側を光入射側として光起電力素子を構
成し得る。さらに、pin接合型光起電力素子を積層して
形成される、所謂タンデム型光起電力素子,トリプル型
光起電力素子においては、上部の光起電力素子で吸収し
きれなかった波長成分の光を下部の光起電力素子へ透過
させて十分な光電変換効率の向上を図るにはp型半導体
層,n型半導体層のいずれもがバンドギヤツプが十分に広
く、欠陥密度の少ないものでなければならない。
さらにこのp型またはn型半導体材料は非単結晶基板
であるガラス,金属,セラミツクス,合成樹脂等の上に
直接堆積出来るばかりでなく、これらの非単結晶基板の
上に堆積されたi型半導体層に悪影響を与えることなく
堆積できる必要がある。
この様な要求を満たすバンドギヤツプの広い半導体材
料としてAlNが提案され評価されている。具体的には特
開昭56-116673号(以下、「資料1」という。)。
ところが、資料1ではpinヘテロ接合型非晶質薄膜太
陽電池において、n型の非晶質半導体として非晶質窒化
アルミニウム(A-AlN)をグロー放電法にて形成し、i
型半導体をフツ素系非晶質シリコンで形成してはいるも
のの、GaPは非晶質構造の限定されており、また、形成
された太陽電池に関する詳細な特性は開示されておら
ず、結晶質のAlNに関しての言及は全くない。また、i
型半導体として非晶質シリコンゲルマニウム(A-SiGe)
に関する言及は全くない。
さらに、i型A-Si層に関しても具体的開示がない。
また、タンデム型またはトリプル型光起電力素子に関
する言及は全くない。
このような背景にあって、所望の光電変換効率、特に
短波長光に対して高効率の光電変換効率が得られ、民生
機器用の電源はもとより太陽光発電による電力供給シス
テム用の太陽電池として実用に供し得る安価で且つ高い
信頼性を有する光起電力素子の早期提供が社会的要求と
してある。
〔発明の目的〕
本発明は、太陽電池等を構成する光起電力素子に係る
従来の問題点を解決し、上述の社会的要求等を満たす光
起電力素子を提供することを主たる目的とするものであ
る。
本発明の他の目的は、非単結晶基板であるガラス,金
属,セラミツクス,合成樹脂等の安価な材質の基板上に
堆積形成した場合であっても良好なpin接合を形成し、
入射光、特にその短波長光成分を有効に光電流に変換で
きる光起電力素子を提供することにある。
〔発明の概要,効果〕
本発明者らは、太陽電池等の光起電力素子の窓層とし
て用いるのに好適なワイドバンドギヤツプ半導体堆積膜
について従来の問題点を克服し、本発明の目的を達成す
べく鋭意研究を重ね、AlN膜について、結晶粒径が特定
の範囲であって、水素原子の特定量を含有せしめた半導
体堆積膜(以下、「AlN:H:F膜」と称する。)を形成し
たところ、該半導体堆積膜は、ガラス,金属,セラミツ
クス,合成樹脂等の基板であっても、その表面に所望の
状態で堆積することが出来、膜中の欠陥が極めて少な
く、必要量のp型またはn型のドーピング剤を所望状態
に導入することができてドーピング効率が高く、良好な
p型またはn型の伝導型を有する結晶質の膜であること
の知見を下述する実験結果から得た。
本発明は、該知見に基づいて本発明者らが更なる研究
を行い、前記の優れた特性を有する結晶質の膜をpin接
合を用いた光起電力素子のp型および/またはn型半導
体層に適用し、完成するに至ったものである。
しかるに本発明の骨子は、下記の光起電力素子、すな
わち、(1)p型半導体層とi型半導体層とn型半導体
層との接合により光起電力を発生する光起電力素子であ
って、前記半導体層のうち少なくとも前記p型半導体層
または前記n型半導体層のうちいずれか一方がアルミニ
ウム原子、窒素原子、および水素原子および/またはフ
ッ素原子、およびp型またはn型の価電子制御原子で構
成される粒径が50ないし900オングストロームである多
結晶半導体薄膜であり、前記水素原子においては0.5な
いし7atomic%が含有され、且つ前記i型半導体層がシ
リコン原子と少なくとも水素原子および/またはフッ素
原子からなる非単結晶シリコン半導体で構成されている
ことを特徴とする光起電力素子、(2)p型半導体層と
i型半導体層とn型半導体層との接合により光起電力を
発生する光起電力素子であって、前記半導体層のうち少
なくとも前記p型半導体層または前記n型半導体層のう
ちいずれか一方がアルミニウム原子、窒素原子、および
水素原子および/またはフッ素原子、およびp型または
n型の価電子制御原子で構成される粒径が50ないし900
オングストロームである多結晶半導体薄膜であり、前記
水素原子においては0.5ないし7atomic%の量が含有さ
れ、且つ前記i型半導体層がシリコン原子と少なくとも
ゲルマニウム原子と炭素原子のいずれかと水素原子およ
び/またはフッ素原子からなる非単結晶シリコン合金系
半導体で構成されていることを特徴とする光起電力素
子、にある。
本発明者らの行った実験結果につき、以下に記述す
る。
〔実験〕
A.水素原子および/またはフツ素原子の導入されたAlN:
H:F膜の形成法についての検討 (1)HRCVD法 本方法では、Al原子を含有する原料ガス,N原子を含有
する原料ガス、そして水素ガス(H2)および/またはフ
ツ素原子を含有する原料ガスを成膜空間とは異なる活性
化空間にて単独であるいは混合した状態で活性化し、生
成したAlを含有する前駆体、Nを含有する前駆体、そし
て水素ラジカルおよび/またはフツ素ラジカルを成膜空
間内へ導入し化学的相互反応せしめて、前記成膜空間内
に加熱保持された基板上にAlN:H:Fで構成された半導体
堆積膜を形成する。
具体的に、第2図に示す堆積膜形成装置の模式的概略
図を用いて説明する。
201は本発明の方法を実施する手段を有する成膜室で
あり、基板203は基板保持用カセツト202上に保持され、
基板搬送治具206上を移動することができる。204は熱電
対であり、基板203の温度をヒーター205で加熱保持する
時のモニター用に用いられる。212はロードロツク室で
あり、基板搬送治具206が内蔵されゲートバルブ207を介
して基板を真空搬送することができる。また、222は成
膜室201で形成されるのとは異なる材料で構成される半
導体層を積層形成する場合に有効に用いられる成膜室で
あり、成膜室201に設けられたのと同様のまたは他の異
なる成膜手段が設けられている(不図示)。208,209,21
0は成膜用原料ガスの活性化室であり、ガス供給パイプ2
14,215,216より導入された原料ガスは、励起エネルギー
発生装置211,212,213より供給される電気,熱,光エネ
ルギー等により活性化され、ここで生成した前駆体,水
素ラジカル等は輸送管217,218,219を通って成膜室201内
へ導入されて化学的相互反応を生じ、基板203上に所望
の特性を有する半導体膜が形成される。221は排気ポン
プであり、スロツトルバルブ220の開度を調整すること
によって圧力計223でモニターされる成膜室201内の圧力
が制御される。
まず、2インチ×2インチ,厚さ0.8mmのコーニング
社製#7059ガラス基板203を基板保持用カセツト202にセ
ツトし第1表に示す成膜条件でAlN:H:F膜試料No.1〜10
を作製した。なお、Al(C2H5.)3は常温,常圧で液体であ
るためHeガスをキヤリアーガスとして、バブリング装置
(不図示)を用いて活性化室208へ導入した。その他の
原料ガスは不図示のボンベから、ガス供給パイプ215,21
6を介して活性化室209,210へ導入した。
得られた試料の一部を切り出し、SIMS(CAMEA社製ims
-3f)により堆積膜中の水素原子およびフツ素原子含有
量を、XMA(島津製作所製 X線マイクロアナライザーE
PM-810Q)にて堆積膜中のGa原子とP原子の分布状態お
よび元素組成分析を、そしてX線回折装置(理学電機製
RADΠB)にて結晶配向および結晶粒径を測定した。第
2表に測定結果をまとめて示す。
これらの結果より、本方法においては活性化室209へ
のH2ガス導入量を変化させることによって堆積膜中の水
素含有量および/またはフツ素含有量、さらには結晶粒
径も制御できることがわかった。H2ガス導入量が0sccm,
0.2sccmで作製した試料No.1,2においては反応系への水
素ラジカルの供給が無いか、微量であるため含有される
水素量が少なくて、フツ素量が多いばかりでなく、Gaと
Pとの分布も局在化していて配向性のない構造(ランダ
ム)であったが、試料No.3〜7においてはH2ガスの導入
量の増加とともにAlとNとの組成比が化学量論比を満足
し、結晶配向が生じ、結晶粒径も増大する傾向が見ら
れ、また、H2ガス導入量をさらに増加して作製した試料
No.8〜10においては反応系への水素ラジカルの供給量が
過剰となるため、堆積膜のエツチング等により結晶粒径
の減少および水素含有量の減少傾向が見られた。このよ
うに、水素ラジカルの反応系への供給量が堆積膜の形成
時に重要な役割りを果していることが明らかとなった。
本実験と並行して行った実験によれば、基板温度,圧
力,マイクロ波投入パワー,稀釈ガス(He)流量比,輸
送管のガス放出口と基板との距離、そして、原料ガス程
の組合せの変更等のパラメーター変化により若干の水素
含有量および/またはフツ素含有量、さらには結晶粒径
の制御が可能であったが、前述したH2ガス導入量の変化
による制御性に比較し劣っていた。
(2)反応性スパツタリング法 本方法では、成膜室内に基板を配置し、該基板と対向
し、該基板との間に所定の空間を残す位置にカソード電
極を設置し、該カソード電極表面にターゲツトたる多結
晶AlNを配置した成膜室に、ArガスおよびH2ガスおよび
/またはF2,HFガスを導入し、前記カソード電極に高周
波電圧を印加して前記空間に前記ガスプラズマ雰囲気を
形成し、前記AlNターゲツトをスパツタリングし、前記
ターゲツトから飛び出す原子状のAlおよびNと前記ガス
プラズマ中に存在する原子状の水素および/またはフツ
素を前記基板の表面近傍の空間で化学的相互反応せしめ
てAlN:H:Fで構成された半導体堆積膜を加熱保持された
基板上に形成する。
具体的に、第3図に示す堆積膜形成装置の模式的概略
図を用いて説明する。
301は本発明の方法を実施する手段を有する成膜室で
あり、基板303は基板保持用カセツト302上に保持され、
基板搬送治具306上を移動することができる。304は熱電
対であり、基板303の温度をヒーター305で加熱保持する
時のモニター用に用いられる。313はロードロツク室で
あり、基板搬送治具306が内蔵されゲートバルブ307を介
して基板を真空搬送することができる。
また、316は成膜室301で形成されるのとは異なる材料
で構成される半導体層を積層形成する場合に有効に用い
られる成膜室であり、成膜室301に設けられたのと同様
のまたは他の異なる成膜手段が設けられている(不図
示)。
312はカソード電極であり、たとえば多結晶AlN板がタ
ーゲツト316として貼合わされている。また、前記カソ
ード電極312にはマツチングボツクス311を介して高周波
電源310より高周波電力が供給され、ガス導入管308より
導入されたAr,H2,F2等のスパツタ用ガスがプラズマ化
される。このプラズマ中に発生したイオン種により、前
記ターゲツト316からAlおよびN原子がスパツタされ、
前記プラズマ中に存在する原子状の水素および/または
フツ素と化学的相互反応を起し、基板303上に所望の特
性を有する半導体膜であるAlN:H:F膜が形成される。315
は排気ポンプであり、スロツトルバルブ314の開度を調
整することによって圧力計309でモニターされる成膜室3
01内の圧力が制御される。
まず、2インチ×2インチ,厚さ0.8mmのコーニング
社製#7059ガラス基板303を基板保持用カセツト302にセ
ツトし、第3表に示す成膜条件でAlN:H:F膜試料No.11〜
20を作製した。
得られた試料の一部を切り出し、前述の(1)の方法
で行ったのと同様の評価・測定を行った結果を第4表に
示す。
これらの結果より、本方法においては、成膜室301へ
のH2ガスおよび/またはHFガス導入量を変化させること
によって堆積膜中の水素含有量および/またはフツ素含
有量、さらには結晶粒径も制御できることがわかった。
H2ガスの導入が0.5sccmで作製した試料No.11,12およびH
2ガスを5sccm,HFガスを5sccm導入して作製した試料No.1
3においては、プラズマ中に水素ラジカルおよび/また
はフツ素ラジカルが存在しないか、あるいは極く微量し
か存在しないため、AlとNとの組成比や分布状態も局在
化していて不均一であり、結晶配向もランダムであった
り、結晶粒径も小さいものであったが、試料No.14〜17
においてはH2ガスおよび/またはHFガスの導入量の増加
とともにAlとNとの組成比が化学量論比を満足し、分布
状態も改善され、結晶粒径も増大し、適当量の水素およ
びフツ素が含有される傾向が見られた。さらに、HFガス
またはH2ガス流量を増加させた試料No.18,20においては
プラズマ中に存在する水系ラジカルおよび/またはフツ
素ラジカルが過剰となるため、結晶粒径の減少や水量含
有量,フツ素含有量の増大傾向が見られた。
本実験と並行して行った実験によれば、基板温度,圧
力,高周波電力,スパツタガス(Ar)流量,ターゲツト
と基板との距離、そしてターゲツト材料等のパラメータ
ー変化により若干の水素含有量および/またはフツ素含
有量、さらには結晶粒径の制御が可能であったが、前述
したH2ガスおよび/またはF2ガス,HFガス導入量の変化
による制御性に比較して劣っていた。
以上より、反応系に存在する水素ラジカル,フツ素ラ
ジカルの量が堆積膜の形成時に重要な役割りを果たして
いることが明らかとなった。
(3)プラズマCVD法 本方法では、基板の配置された成膜室の反応空間で混
合がなされるように、Al原子を含有する原料ガス,N原子
を含有する原料ガス,H2ガスおよび/またはHFガス,F2
ガスを導入し、前記成膜室内に設置されたカソード電極
に高周波電力を印加して前記反応空間にグロー放電によ
るプラズマを形成せしめて、そこに導入された前記ガス
を分解,重合,ラジカル化,イオン化等させて化学的相
互反応せしめて、前記成膜室内に加熱保持された基板上
にAlN:H:Fで構成された半導体堆積膜を形成する。
具体的に、第4図に示す堆積膜形成装置の模式的概略
図を用いて説明する。
401は本発明の方法を実施する手段を有する成膜室で
あり、基板403は基板保持用カセツト402上に保持され、
基板搬送治具406上を移動することができる。404は熱電
対であり、基板403の温度をヒーター405で加熱保持する
時のモニター用に用いられる。413はロードロツク室で
あり、基板搬送治具406が内蔵されゲートバルブ407を介
して基板を真空搬送することができる。また、416は成
膜室401で形成されるのとは異なる材料で構成される半
導体層を積層形成する場合に有効に用いられる成膜室で
あり、成膜室401に設けられたのと同様のまたは他の異
なる成膜手段が設けられている(不図示)。
412はカソード電極であり、マツチングボツクス411を
介して高周波電源410より高周波電力が供給され、ガス
導入管408,409より導入された原料ガスはプラズマ化さ
れる。該プラズマ中で生成した前駆体,水素ラジカル,
フツ素ラジカル、および各種イオン等が化学的相互反応
を起こしながら基板403上に到達し所望の特性を有する
半導体膜であるAlN:H:F膜が形成される。415は排気ポン
プであり、スロツトルバルブ414の開度を調整すること
によって圧力計417でモニターされる成膜室401内の圧力
が制御される。
まず、2インチ×2インチ,厚さ0.8mmのコーニング
社製#7059ガラス基板403を基板保持用カセツト402にセ
ツトし第5表に示す成膜条件でAlN:H:F膜試料No.21〜30
を作製した。
なお、原料ガス(A)としてのAl(C2H5)3は常温,常
圧で液体であるためHeをキヤリアーガスとしてバブリン
グ装置(不図示)を用いてガス導入管408より成膜室401
内へ導入した。原料ガス(B),(C)は不図示のボン
ベから、ガス導入管408または409を介して成膜室401内
へ導入した。
得られた試料の一部を切り出し、前述の(1)の方法
で行ったのと同様の測定・評価を行った結果を第6表に
示す。
これらの結果より、本方法においては、成膜室401へ
の原料ガス(C)としてのH2ガスおよび/またはHFガス
導入量を変化させることによって堆積膜中の水素含有量
および/またはフツ素含有量、さらには結晶粒径も制御
できることがわかった。試料No.21〜23においてはH2
スまたはHFガスの導入が行われないか、もしくは少量で
あるため、形成される堆積膜は非晶質構造であるばかり
でなく、−C2H5(エチル基)の残存による影響でAlとN
の分布が不均一になっているのと同時に、−C2H5基に起
因する水素含有量が多くなっている。試料No.24〜27に
おいてはH2ガスおよび/またはHFガスの増加にともない
結晶配向が現われ、AlとNとの組成比が化学量論比を満
足し、分布状態も改善され、結晶粒径も増大し、適当量
の水素およびフツ素が含有される傾向が見られた。さら
に、H2ガス流量を増加させた試料No.28,29,30において
は水素ラジカルが過剰となるため、結晶粒径の減少傾向
が見られた。
本実験と並行して行った実験によれば、基板温度,圧
力,高周波電力,原料ガス(A),(B),(C)の流
量比および種類、電極間距離等のパラメーター変化によ
り若干の水素含有量および/またはフツ素含有量、さら
には結晶粒径の制御が可能であったが、前述したH2ガス
および/またはHFガス導入量の変化による制御性に比較
し劣っていた。
以上より、反応系に存在する水素ラジカル,フツ素ラ
ジカルの量が堆積膜の形成時に重要な役割を果たしてい
ることが明らかとなった。
B.堆積膜中の結晶粒径の大きさおよび水素原子含有量お
よび/またはフツ素原子含有量と堆積膜の諸特性との関
係についての検討 まず、堆積膜の光照射による特性劣化評価を行う為
に、前述の(1)の方法で作製した試料No.1〜30の一部
を切り出して、各々にCrのくし形電極を蒸着し、8時間
のAM-1光(100mW/cm2)照射前後の電気伝導率σの変化
率Δσ(Δσ=σ/σ、σ:初期値、σ:8時間
後の値)を測定し、Δσ≧0.95の試料については○、0.
95<Δσ<0.9の試料については△、Δσ≦0.9の試料に
ついては×という評価を行い第7表に示した。次に、堆
積膜中に含まれる不純物の評価を行う為に、試料No.1〜
30の一部を切り出して、クライオスタツト中にセツトし
7.7Kの温度でUVランプ光(1KW)を照射してフオトルミ
ネツセンスを測定した。評価法としては、試料No.11か
ら現われるスペクトルの強度Iに対する他の試料からの
スペクトル強度比ΔI(ΔI=IS/IR,IR:試料No.11で
のスペクトル強度,IS他の試料でのスペクトル強度)お
よび本数を基準とし、ΔI≦0.3の試料については○、
0.3≦ΔI≦0.7の試料については△、ΔI≧0.7の試料
については×という評価を行い、第7表に示した。次
に、堆積膜の表面性の評価を行うためにやはり試料No.1
〜30の一部を切り出して、FE-SEM(電界放射型走査電子
顕微鏡:日立製作所製S-900)にて表面凹凸の微細構造
の観察を行い、結晶粒径の分布の均一性が良く、荒れ,
ピンホール等の無い試料については○、結晶粒が観察さ
れなかったり、分布が不均一であったり、荒れ,ピンホ
ール等の観察された試料については△という評価を行い
第7表に示した。さらに、これらの結果を◎,○,△,
×の4段階に総合評価し第7表にまとめて示した。
以上より、○以上の評価を得た堆積膜試料が、少なく
とも太陽電池等のデバイスに好適に用い得る諸特性を有
すると判断され、これらの堆積膜の物性値としては、水
素含有量が0.2atomic%〜6.5atomic%、フツ素含有量が
0.2atomic%〜2.7atomic%、結晶粒径が50Å〜850Åの
範囲にあることが判った。したがって、本発明において
は測定誤差を含めて、水素含有量を0.5atomic%〜7atom
ic%、フツ素含有量を0atomic%〜3atomic%、結晶粒径
を50Å〜900Åの範囲に設定,制御することが所望の特
性を有する堆積膜を形成する上で必要な条件として定め
た。
C. AlN:H:F膜の価電子制御に関する検討 (1)n型ドーピング 前述のA−(1)での第1表に示した成膜条件におい
て、n型の価電子制御原子であるSiを含む原料ガスとし
てのSiH4をHeガスで希釈し、Al(C2H5)3:SiH4=1×1
04:1、3×10-4mol/min、He 20sccmの流量で原料ガス
(A)とともに活性化室208へ導入した以外は全く同様
の方法で試料No.31〜40を作製した。
また、前述のA−(2)の第3表に示した成膜条件に
おいて、He希釈の1000ppm SiH4を10sccmの流量でスパツ
タ用ガスとともに成膜室301へ導入した以外は全く同様
の方法で試料No.41〜50を作製した。
さらに、前述のA−(3)の第3表に示した成膜条件
において、He希釈の1000ppm SiH4を10sccmの流量で原料
ガス(A)とともに成膜室401へ導入した以外は全く同
様の方法で試料No.51〜60を作製した。
このようにして作製された試料No.31〜60についてA
およびBの項で実施したのと同様の測定,評価を行った
のと同時に、熱起電力測定法により伝導型を評価した。
その結果,Bの項で○以上の総合評価を得た試料No.5〜9,
No.14〜17,No.25〜29に対応する試料No.35〜39,No.44〜
47,No.55〜59では、いずれの評価項目においても、ほと
んど変化は認められず、特に水素含有量,フツ素含有
量,結晶粒径,導電率変化,フオトルミネツセンスにつ
いては良好な再現性を示し、伝導型はn型を示した。
したがって、本発明においては、水素含有量が0.5ato
mic%〜7atomic%、フツ素含有量が0atomic%〜3atomic
%、結晶粒径が50Å〜900Åの範囲に制御されているこ
とで良好なn型のドーピングが行われることが判った。
(2)p型ドーピング 前述のA−(1)での第1表に示した成膜条件におい
て、p型の価電子制御原子であるBeを含む原料ガスとし
てのBe(C2H5)2(以降DEBeと略す)を、バブリング装置
に詰め加熱して、Heをキヤリアーガスとしてバブリング
し2×10-8mol/minの流量で原料ガス(A)とともに活
性化室208へ導入した以外は全く同様の方法で試料No.61
〜70を作製した。
また、前述のA−(2)の第3表に示した成膜条件に
おいて、DEBeをHeガスをキヤリアーガスとしてバブリン
グし、7×10-6mol/minの流量でスパツタ用ガスととも
に成膜室301へ導入した以外は全く同様の方法で試料No.
71〜80を作製した。
さらに、前述のA−(3)の第3表に示した成膜条件
において、DEBeをHeガスをキヤリアーガスとしてバブリ
ングし、7×10-9mol/minの流量で原料ガス(A)とと
もに成膜室401へ導入した以外は全く同様の方法で試料N
o.81〜90を作製した。
このようにして作製された試料No.61〜90についてA
およびBの項で実施したのと同様の測定,評価を行った
のと同時に、熱起電力測定法により伝導型を評価した。
その結果,Bの項で○以上の総合評価を得た試料No.5〜9,
No.14〜17,No.25〜29に対応する試料No.65〜69,No.74〜
77,No.85〜89では、いずれの評価項目においても、ほと
んど変化は認められず、特に水素含有量,フツ素含有
量,結晶粒径,導電率変化,フオトルミネツセンスにつ
いては良好な再現性を示し、伝導型はp型を示した。
したがって、本発明においては、水素含有量が0.5ato
mic%〜7atomic%、フツ素含有量が0atomic%〜3atomic
%、結晶粒径が50Å〜900Åの範囲に制御されているこ
とで良好なp型のドーピングが行われることが判った。
D.実験結果のまとめ 以上の結果から、以下のことが理解された。すなわ
ち、堆積膜の形成過程において、適当量の水素ラジカル
および/またはフツ素ラジカルを存在させることによっ
て、堆積される膜の結晶配向性が向上し、結晶粒径も増
大する。さらに、AlとNとの膜中での分布状態も改善さ
れて均一となり、特定の原子がクラスター化することが
なくなっている。そして、前記水素ラジカルおよび/ま
たはフツ素ラジカルは膜形成に作用するばかりではな
く、堆積膜中にも然るべき量が含有され、膜の諸特性の
向上にも重要な役割りを果すこととなる。たとえば、光
強度の強い光を長時間照射行った場合には、水素原子お
よびフツ素原子が全く含まれないか、含まれても微量、
もしくは過剰量含まれている膜においては、不安定な結
合手の解離,加水分解等外的要因による副反応の促進に
よる膜構造,組成の変化、水素原子および/またはフツ
素原子の脱離による未結合手の増加等により、初期の膜
構造の変化、すなわち劣化が生じてしまう。一方、水素
原子が0.5atomic%〜7atomic%、フツ素原子が0atomic
%〜3atomic%程度の量、堆積膜中に含有される場合に
は、これらの原子は結晶粒中に存在するであろう未結合
手をターミネイトしたり、結晶粒界に多く存在すると言
われる未結合手をターミネイトすることで所謂結晶欠陥
準位を低減すると同時に構造的に発生する応力の緩和が
なされ、電気的,光学的,機械的にも優れた膜となる。
したがって、このようにノンドープで安定して良質の膜
が形成される故、p型およびn型ドーピングも容易に、
確実に達成されることとなる。
本発明において、AlN:H:F膜をn型に価電子制御する
のに用いられる元素は、周期律表第VI A族の元素、すな
わち、O,S,Se,Te、第IV A族元素のSi,Ge,Su,Pbが挙げら
れる。一方、p型に価電子制御するのに用いられる元素
は、周期律表第II B族の元素、すなわち、Zn,Cd,Hg、第
II A族Be,Mg,Ca,Sr,Beが挙げられる。
具体的には、II A族元素を含む化合物としてはBeH2,B
eCl2,Be(CH3)2,Be(C2H5)2等を挙げることができる。II
B族元素を含む化合物としては、Zn(CH3)2,Zn(C2H5)2,Zn
(OCH3)2,Zn(OC2H5)2,Cd(CH3)2,Cd(C2H5)2,Cd(C3H7)2,Cd
(C4H9)2,Hg(CH3)2,Hg(C2H5)2,Hg(C6H5)2,Hg[C≡(C6H
5)]2等を挙げることができ、VI A族元素を含む化合物
としては、NO,N2O,CO2,CO,H2S,SCl2,S2Cl2,SOCl2,SO2Cl
2,SeCl4,Se2Cl2,Se2Br2,SeOCl2,Se(CH3)2,Se(C2H5)2,Te
Cl2,Te(CH3)2,Te(C2H5)2等を挙げることができる。
勿論、これ等の原料物質は1種のみを用いてもよい
が、2種またはそれ以上を併用してもよい。そして、こ
れらの原料物質が常温,常圧で液体もしくは固体状態で
ある場合には、バブリング装置を用いてAr,He等の不活
性ガスをキヤリアーガスとしてバブリングし、ガス化し
て用いるか、加熱昇華炉を用いてAr,He等の不活性ガス
をキヤリアーガスとして昇華物を輸送して用いる。
さらに周期律表IV A族の元素、すなわち、Si,Ge,Sn,P
bを価電子制御用原子として用いることもできる。すな
わち、これらの原子がAl原子を置換した場合にはn型と
なり、N原子を置換した場合にはp型となる。また、両
者の原子を置換した場合には中性化することもあるが、
置換率の相違によってn型またはp型いずれかの伝導型
を示す。中でも、Si,Ge,Snが好適に用いられる。
具体的には、SiH4,S2H6,Si3H8,(SiH2)4,(SiH2)5,(SiH
2)6,SiF4,(SiF2)5,(SiF2)6,(SiF2)4,Si2F6,Si3F8,SiH
F3,SiH2F2,SiCl4,(SiCl2)5,SiBr4,(SiBr2)5,Si2Cl6,Si2
Br6,SiHCl3,SiH2Cl2,SiHBr3,SiHI3,Si2Cl3F3,Si2H3F3,S
i2H2F4,Si2H3Cl3,Si2H2Cl4,GeH4,Ge2H6,GeF4,(GeF2)5,
(GeF2)6,(GeF2)4,Ge2F6,Ge3F8,GeHF3,GeH2F2,GeCl4,(Ge
Cl2)5,GeBr4,(GeBr2)5,Ge2Cl6,Ge2Br6,GeHCl3,GeH2Cl2,
GeHBr3,GeHI3,Ge2Cl3F3,Ge2H3F3,Ge2H3Cl3,Ge2H2F4,Ge2
H2Cl4,SnH4,SnCl4,SnBr4,Sn(CH3)4,Sn(C2H5)4,Sn(C3H7)
4,Sn(C4H9)4,Sn(OCH3)4,Sn(OC2H5)4,Sn(i-OC3H7)4,Sn(t
-OC4H9)4,Pb(CH3)4,Pb(C2H5)4,Pb(C4H9)4等を挙げるこ
とができる。
勿論、これらの原料物質は1種のみならず2種以上混
合して使用することも出来る。
前記した原料物質が常温,常圧下で気体状態である場
合にはマスフローコントローラー等によって成膜空間ま
たは活性化空間への導入量を制御し、液体状態である場
合は、Ar,He等の希ガスまたは水素ガスをキヤリアーガ
スとして、必要に応じ温度制御が可能なバブラーを用い
てガス化し、また、固体状態である場合には、Ar,He等
の希ガスまたは水素ガスをキヤリアーガスとして加熱昇
華炉を用いてガス化して、主にキヤリアーガス流量と炉
温度により導入量を制御する。
前記本発明の(1)および(3)の方法において用い
られるAl原子を含有する原料物質としては、具体的に
は、Al(CH3)3,Al(C2H5)3,Al(i-C4H9)3,AlCl(C2H5),Al(O
C2H5)(C2H5)2,AlH(i-C4H9)2,AlCl3,AlBr3,AlI3等を挙げ
ることができる。また、N原子を含有する原料物質とし
ては、具体的には、N2,NH3,NF3,NF2NF2,N2H4,N2H5Cl,N2
H6Cl2,NH4F,NH4Br,NH4I等を挙げることができる。
勿論、これらの原料物質は1種のみならず2種以上混
合して使用することも出来る。
前記した原料物質が常温,常圧下で気体状態である場
合にはマスフローコントローラー等によって成膜空間ま
たは活性化空間への導入量を制御し、液体状態である場
合は、Ar,He等の希ガスまたは水素ガスをキヤリアーガ
スとして、必要に応じ温度制御が可能なバブラーを用い
てガス化し、また固体状態である場合には、Ar,He等の
希ガスまたは水素ガスをキヤリアーガスとして加熱昇華
炉を用いてガス化して、主にキヤリアーガス流量と炉温
度により導入量を制御する。
前記本発明(1)ないし(3)の方法によりAlN:H:F
膜を形成する際には、いずれの方法においても基板温度
は、好ましくは50℃〜600℃、より好しくは50℃〜450
℃、最適には100℃〜400℃に設定されることが望まし
い。また、前記本発明の(1)および(3)の方法にお
ける成膜時の内圧は、好ましくは1×10-4Torr〜50Tor
r、より好ましくは5×10-3Torr〜10Torr、最適には1
×10-3Torr〜5Torrに設定されるのが望ましい。一方、
(2)の方法においては、好ましくは1×10-5Torr〜1
×10-1Torr、より好ましくは1×10-4Torr〜1×10-2To
rrに設定されるのが望ましい。
本実施例の(1)ないし(3)の方法は、前述したよ
うに、第2図ないし第4図に示した構成の堆積膜形成装
置により実施されるが、これらの構成に何ら限定される
ものではない。
次に、本発明の光起電力素子構成について説明する。
pinヘテロ接合を用いた光起電力素子を構成するにあた
り、p型半導体層側より光入射を行う場合、p型半導体
層が極く薄い場合には該層での光の吸収量は極めて少な
く、入射光の殆どをi型半導体層に吸収させることがで
き、大きな光電流を取り出すことが期待される。
しかし、前記p型半導体層の層厚を薄くするにも、物
理的,前記的特性上限界があり、成膜技術的にも数十Å
〜数百Åの厚さは必要であって、用いるp型半導体層の
バンドギツプの大きさによってはここでの光吸収量が無
視できないものとなる。
したがって、比較的短波長側の光を吸収しフオトキヤ
リアを発生するA-SiやA-SiCをi型半導体層として用い
る場合には、特にこのp型半導体層での光吸収を抑える
ことにより、取り出される光電流の大幅な改善がなされ
る。それ故、p型半導体層としてはバンドギヤツプの広
い半導体材料で構成されることが必要である。
一方、pinヘテロ接合型光起電力素子において、p型
半導体層および/またはn型半導体層にバンドギヤツプ
の広い半導体材料を用いた場合には、高い開放電圧(Vo
c)を発生させることができ、前述の効果との相乗効果
により高い光電変換効率を達成することができる。
本発明に係わるp型またはn型の伝導型を有するAlN:
H:F膜は、その組成および構造等について、特に水素原
子および/またはフツ素原子の特定量が含有され、且つ
結晶粒径が所定値の範囲にあるものであれば、膜中に存
在する欠陥が極めて低減されたものであり、従来のAlN
膜に比較して大幅に特性改善がなされているので上記目
的を達成するのに好適な材料として用いることができ
る。
勿論、上述の考え方はn型半導体層側より光入射を行
う場合にも適用される。さらに、pinヘテロ接合型光起
電力素子を2層もしくは3層積層した所謂タンデム型ま
たはトリプル型光起電力素子においては、最も光入射側
に位置する光起電力素子に、本発明に係わるp型または
n型の伝導型を有するAlN:H:F膜をp型および/または
n型半導体層として用いることの効果は大きい。
また、比較的長波長側の光まで吸収できるため、本来
大きな光電流の取れるA-SiGeやμC-Siをi型半導体層と
して用いた場合でも、バンドギヤツプの大きな本発明の
AlN:H:F膜から成るp型半導体層とバンドギヤツプの狭
いi型半導体層との間の伝導帯のギヤツプに起因する、
いわゆるバツクサーフエスフイールド効果により、i型
半導体層で発生した電子がp−i接合界面での逆拡散が
防止され、やはり光電流の増大が期待できる。
本発明の光起電力素子は前述してきた通り大きな光電
流が取れ、その光電変換率は従来より大幅に向上する。
このことから蛍光灯のように比較的短波長成分の多い光
源に対しても、白熱電球のように長波長成分の多い光源
に対しても、優れた光電変換効率が得られるので本発明
の光起電力素子は、民生機器用の電源として好適に用い
ることができる。
また、前述したようにタンデム型またはトリプル型と
した場合には使用に伴う特性の劣化は、実用上支障の無
い程度に抑えられることからその優れた光電変換効率と
相まって、本発明の光起電力素子は太陽光発電による電
力供給システム用の太陽電池としても好適に用いること
ができる。
以下に本発明の光起電力素子の層構成の例を示すが、
本発明の光起電力素子はこれにより何ら限定されるもの
ではない。
第1図(A)および(B)は、本発明の光起電力素子
として本発明に係わる半導体堆積膜を用いた場合の層構
成の典型的な例を模式的に示す図である。
第1図(A)に示す例は、支持体101上に下部電極10
2,n型半導体層103,i型半導体層104,p型半導体層105,透
明電極106および集電電極107をこの順に堆積形成した光
起電力素子100である。なお、本光起電力素子では透明
電極106の側より光の入射が行われることを前提として
いる。
第1図(B)に示す例は、透光性の支持体101上に透
明電極106,p型半導体層105,i型半導体層104,n型半導体
層103および下部電極102をこの順に堆積形成した光起電
力素子100である。本光起電力素子では透光性の支持体1
01の側より光の入射が行われることを前提としている。
第1図(C)に示す例は、バンドギヤツプおよび/ま
たは層厚の異なる3種の半導体層をi層として用いたpi
n接合型光起電力素子111,112,113を3素子積層して構成
された、所謂トリプル型光起電力素子120である。101は
支持体であり、下部電極102,n型半導体層103,i型半導体
層104,p型半導体層105,n型半導体層114,i型半導体層11
5,p型半導体層116,n型半導体層117,i型半導体層118,p型
半導体層119,透明電極106および集電電極107がこの順に
積層形成され、本光起電力素子では透明電極106の側よ
り光の入射が行われることを前提としている。
なお、いずれの光起電力素子においてもn型半導体層
とp型半導体層とは目的に応じて各層の積層順を入れ変
えて使用することもできる。
以下、これらの光起電力素子の構成について説明す
る。
支持体 本発明において用いられる支持体101は、単結晶質も
しくは非単結晶質のものであってもよく、さらにそれら
は導電性のものであっても、また電気絶縁性のものであ
ってもよい。さらには、それらは透光性のものであって
も、また非透光性のものであってもよいが、支持台101
の側より光入射が行われる場合には、勿論透光性である
ことが必要である。それらの具体例として、Fe,Ni,Cr,A
l,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb等の金属またはこれらの合
金,例えば真ちゅう,ステンレス鋼等が挙げられる。
これらの他、ポリエステル,ポリエチレン,ポリカー
ボネート,セルロースアセテート,ポリプロピレン,ポ
リ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポ
リアミド,ポリイミド等の合成樹脂のフイルムまたはシ
ート,ガラス,セラミツクス等が挙げられる。
また単結晶性支持体としては、Si,Ge,C,NaCl,KCl,Li
F,GaSb,InAs,InSb,GaP,MgO,CaF2,BaF2,α−Al2O3等の
単結晶体よりスライスしてウエハー状等に加工したも
の、およびこれらの上に同物質もしくは格子定数の近い
物質をエピタキシヤル成長させたものが挙げられる。
支持体の形状は目的,用途により平滑表面あるいは凹
凸表面の板状,長尺ベルト状,円筒状等であることがで
き、その厚さは、所望通りの光起電力素子を形成しうる
ように適宜決定するが、光起電力素子として可撓性が要
求される場合、または支持体の側より光入射がなされる
場合には、支持体としての機能が充分発揮される範囲内
で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支
持体の製造上および取扱い上、機械的強度等の点から、
通常は10μm以上とされる。
電極 本発明の光起電力素子においては、当該素子の構成形
態により適宜の電極が選択使用される。それらの電極と
しては、下部電極,上部電極(透明電極),集電電極を
挙げることができる。(ただし、ここで言う上部電極と
は光の入射側に設けられたものを示し、下部電極とは半
導体層を挟んで上部電極に対向して設けられたものを示
すこととする。) これらの電極について以下に詳しく説明する。
(i)下部電極 本発明において用いられる下部電極102としては、上
述した支持体101の材料が透光性であるか否かによっ
て、光起電力発生用の光を照射する面が異なる故(たと
えば支持体101が金属等の非透光性の材料である場合に
は、第1図(A)で示したごとく透明電極106側から光
起電力発生用の光を照射する。)、その設置される場所
が異なる。
具体的には、第1図(A)および(C)の様な層構成
の場合には支持体101とn型半導体層103との間に設けら
れる。しかし、支持体101が導電性である場合には、該
支持体が下部電極を兼ねることができる。ただし、支持
体101が導電性であってもシート抵抗値が高い場合に
は、電流取り出し用の低抵抗の電極として、あるいは支
持体面での反射率を高め入射光の有効利用を図る目的で
電極102を設置してもよい。
第1図(B)の場合には透光性の支持体101が用いら
れており、支持体101の側から光が入射されるので、電
流取り出しおよび当該電極での光反射用の目的で、下部
電極102が支持体101と対向して半導体層を挟んで設けら
れている。
また、支持体101として電気絶縁性のものを用いる場
合には電流取り出し用の電極として、支持体101とn型
半導体層103との間に下部電極102が設けられる。
電極材料としては、Ag,Au,Pt,Ni,Cr,Cu,Al,Ti,Zn,Mo,
W等の金属またはこれらの合金が挙げられ、これ等の金
属の薄膜を真空蒸着,電子ビーム蒸着,スパツタリング
等で形成する。また、形成された金属薄膜は光起電力素
子の出力に対して抵抗成分とならぬように配慮されねば
ならず、シート抵抗値として好ましくは50Ω以下、より
好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
下部電極102とn型半導体層103との間に、図中には示
されていないが、導電性酸化亜鉛等の拡散防止層を設け
ても良い。該拡散防止層の効果としては電極102を構成
する金属元素がn型半導体層中へ拡散するのを防止する
のみならず、若干の抵抗値をもたせることで半導体層を
挟んで設けられた下部電極102と透明電極106との間にピ
ンホール等の欠陥で発生するシヨートを防止すること、
および薄膜による多重干渉を発生させ入射された光を光
起電力素子内に閉じ込める等の効果を挙げることができ
る。
(ii)上部電極(透明電極) 本発明において用いられる透明電極106としては太陽
や白色蛍光灯等からの光を半導体層内に効率良く吸収さ
せるために光の透過率が85%以上であることが望まし
く、さらに、電気的には光起電力素子の出力に対して抵
抗成分とならぬようにシート抵抗値は100Ω以下である
ことが望ましい。このような特性を備えた材料としてSn
O2,In2O3,ZnO,CdO,Cd2SnO4,ITO(In2O3+SnO2)などの
金属酸化物や、Au,Al,Cu等の金属を極めて薄く半透明状
に成膜した金属薄膜等が挙げられる。透明電極は第1図
(A)においてはp型半導体層105層の上に積層され、
第1図(B)においては基板101の上に積層されるもの
であるため、互いの密着性の良いものを選ぶことが必要
である。これらの作製方法としては、抵抗加熱蒸着法,
電子ビーム加熱蒸着法,スパツタリング法,スプレー法
等を用いることができ所望に応じて適宜選択される。
(iii)集電電極 本発明において用いられる集電電極107は、透明電極1
06の表面抵抗値を低減させる目的で透明電極106上に設
けられる。電極材料としてはAg,Cr,Ni,Al,Ag,Au,Ti,Pt,
Cu,Mo,W等の金属またはこれらの合金の薄膜が挙げられ
る。これらの薄膜は積層させて用いることができる。ま
た、半導体層への光入射光量が十分に確保されるよう、
その形状および面積が適宜設計される。
たとえば、その形状は光起電力素子の受光面に対して
一様に広がり、かつ受光面積に対してその面積は好まし
くは15%以下、より好ましくは10%以下であることが望
ましい。
また、シート抵抗値としては、好ましくは50Ω以下、
より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
i型半導体層 本発明において好適に用いられるi型半導体層を構成
する半導体材料としては、A-Si:H,A-Si:F,A-Si:H:F,A-S
iC:H,A-SiC:F,A-SiC:H:F,A-SiGe:H,A-SiGe:F,A-SiGe:H:
F,poly-Si:H,poiy-Si:F,poly-Si:H:Fが挙げられる。
本発明の光起電力素子は、これらのi型半導体層と前
述した本発明のAlN:H:Fで構成されるp型および/また
はn型半導体層との組み合わせによって所望の特性が得
られるものである。この点については以下に述べる比較
実験結果により、さらに明らかにされる。
〔比較実験例〕
本比較実験例においては、前述したi型半導体層の構
成材料の他に、水素およびフツ素を含まないA-Si,A-Si
C,A-SiGe,poly-Siもi型半導体層として用い、p型およ
び/またはn型半導体層としては本発明のAlN:H:F膜ま
たは従来法によるAlN膜を用いて、各種pinヘテロ接合型
光起電力素子(試料No.91〜109)を作製し、AM-1光(10
0mW/cm2)照射下での短絡電流(Isc)および開放電圧
(Voc)を測定,評価した。
光起電力素子としての層構成は第1図(B)に示した
構成とし、支持体101には石英ガラス、透明電極106には
スパツタリング法により形成したITO膜、下部電極102に
は電子ビーム加熱法により形成したAg薄膜を用い、支持
体101の側より光入射を行った。
本発明のp型半導体層としてのAlN:H:F膜は前述の試
料No.76で、本発明のn型半導体層としてのAlN:H:F膜は
前述の試料No.46で形成したのと同様の成膜条件で作製
した。
従来法によるp型半導体層としてのAlN膜は前述の試
料No.71で形成したのと同様の成膜条件で作製した。ま
た従来法によるn型半導体層としてのA-Si:H膜は公知の
プラズマCVD法にて形成した。
i型半導体層の形成方法としては、前述の「水素原子
および/またはフツ素原子の導入されたAlN:H:F膜の形
成法についての検討」の項で示した(1)ないし(3)
の成膜方法において、Ga原子を含有する原料ガスおよび
P原子を含有する原料ガスのかわりにSi原子を含有する
原料ガス,C原子を含有する原料ガスまたはGe原子を含有
する原料ガスを用いるか、GaP等からなるターゲツトの
かわりにSi,SiC,SiGe等からなるターゲツトを用いれば
良い。そこで、i型半導体層中へ含有させる水素原子お
よび/またはフツ素原子の量はH2ガス流量,HFガス流量
等の各種パラメーターの変化によって適宜調整,制御さ
れる。したがって、i型半導体層の形成装置としては、
基本的に第2図ないし第4図に示したのと同様の構成の
堆積膜形成装置を用いることができる。詳細なi型半導
体層形成法については後述の実施例にて説明する。ま
た、材料構成または伝導型等の異なる半導体層を同一の
堆積膜形成装置を用いて、導入するガス種等を変えて形
成することは出来るが、好ましくは形成する半導体層の
種類ごとに独立した堆積膜形成装置を用意することが望
ましい。
第8表に各種光起電力素子の構成と評価結果を示し
た。
この結果より、i型半導体層およびn型半導体層に共
通の半導体膜を用いた場合にはIsc,Vocともにp型半導
体層に本発明のp型AlN:H:F膜を用いた場合の方が、従
来法によるp型AlN膜を用いた場合(試料No.91〜93,97
〜99と試料No.104〜109)に比較していずれも良好な特
性向上が認められた。さらに、n型半導体層に本発明の
n型AlN:H:F膜を用いた場合にVoc,Iscの向上が認められ
た。一方、本発明のp型AlN:H:F膜を用いた場合でも、
i型半導体層としてスパツタリング法にて作製した水素
もフツ素も含まないA-Si,A-SiC,A-SiGe,poly-Siを用い
た場合(試料No.100〜103)には使用に耐える特性は得
られなかった。
なお以下、厳密な区別のため本発明において用いる水
素とフツ素の両方または一方を含む非晶質シリコン,多
結晶シリコン,非晶質のシリコンと炭素の合金,非晶質
のシリコンとゲルマニウムの合金をそれぞれA-Si:H:F,p
oly-Si:H:F,A-SiC:H:F,A-SiGe:H:Fと記し、水素もフツ
素も含まない場合を単にA-Si,poly-Si,A-SiC,A-SiGeと
記す。
以上の比較実験結果により、本発明によって提供され
るp型および/またはn型AlN:H:F膜を用いてpinヘテロ
接合型光起電力素子を形成するにあたり、i型半導体層
として好適に用いられる半導体材料はA-Si:H,A-Si:F,A-
Si:H:F,A-SiC:H,A-SiC:F,A-SiC:H:F,A-SiGe:H,A-SiGe:
F,A-SiGe:H:F,poly-Si:H,poly-Si:F,poly-Si:H:Fである
ことが判明した。
本発明において良好なpinヘテロ接合を形成させる手
段としてはn型半導体層の形成とi型半導体層の形成と
p型半導体層の形成は真空中にて連続して行われるのが
望ましい。具体的には、同一の堆積膜形成装置において
連続して形成するか、もしくは、それぞれの半導体層を
異なる装置を用いて形成する場合には、各堆積膜形成装
置をゲートバルブ等を介して連結し、たとえば第1の堆
積膜形成装置にてn型半導体層を形成後、第2の堆積膜
形成装置へ該n型半導体層の形成された基板を真空条件
にて搬送し、第2の堆積膜形成装置にてi型半導体層を
形成し、さらに第3の堆積膜形成装置へ該i型半導体層
まで形成された基板を真空条件下にて搬送し、第3の堆
積膜形成装置にてp型半導体層を形成するようにすれば
よい。
[実施例] 以下に実施例を挙げて本発明の光起電力素子について
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
りなんら限定されるものではない。
実施例1 第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光起電力素子を
第2図に示す構成の堆積膜形成装置を用いて、前述の本
発明の(1)の成膜方法により以下の手順で作製した。
50mm×50mmの大きさのステンレス製基板101を不図示
のスパツタリング装置内に入れ10-5Torr以下に真空排気
した後、Arをスパツタ用ガスとして用い、前記基板101
上に下部電極102となる約1000ÅのAg薄膜を堆積した。
この基板101を取り出し、ロードロツク室212内にある基
板搬送治具206上の基板保持用カセツト202上に下部電極
102の堆積された面を図中下側に向けて固定し、ロード
ロツク室212内を不図示の排気ポンプで10-5Torr以下の
圧力に真空排気した。この間、成膜室201は排気ポンプ2
21により10-5Torr以下の圧力に排気されている。両室の
圧力がほぼ等しくなった時点でゲートバルブ207を開
け、基板搬送治具206を用いて基板保持用カセツト202を
成膜室201内に移動し再びゲートバルブ207は閉じた。
次に、ヒーター205にて基板203の表面温度が220℃と
なるように加熱を行った。基板温度が安定した時点で、
不図示のボンベに貯蔵されたSi2F6ガス25sccmとPH3(Si
F4にて4000ppm希釈)ガス20sccmとを混合しつつ、ガス
供給パイプ214より電気炉211にて700℃に加熱保持され
ている活性化室208内へ導入した。同時に、不図示のボ
ンベに貯蔵されたHeガスおよびH2ガスを各々100sccmと5
0sccmの流量で混合しガス供給パイプ215より活性化室20
9内へ導入した。次いで、排気バルブ220の開度を調節
し、成膜室201の内圧を0.3Torrに保ちつつ、2.45GHzの
マイクロ波発生装置212より300Wのマイクロ波電力を活
性化室209内へ投入した。輸送管217および218から成膜
室201内へ導入された、前駆体水素ラジカル等は直ちに
反応しn型半導体層としてのA-Si:H:F層103が形成され
る。400Åのn型A-Si:H:F膜を形成後ガスの導入および
マイクロ波電力の投入を止めて排気ポンプ221により成
膜室201内を10-5Torr以下に真空排気した。次いで、成
膜室201と全く同じ構成で10-5Torrに真空排気されてい
る成膜室222へ、n型半導体層103まで形成された基板20
3を基板搬送治具206を用いて移動させた。以下、成膜室
222内の構成は、成膜室201と同じ故第2図に示したのと
同じ図面番号にて説明する。
次に、ドーピング用原料ガスとしてのPH3ガスの導入
をやめSi2F6ガスを30sccm導入し、マイクロ波電力を400
Wとした以外は上記と同じ条件にて3500Åのi型半導体
層としてのA-Si:H:F膜104を形成した。
成膜終了後、ガスの導入およびマイクロ波電力の投入
を止めて成膜室222内を10-5Torrまで真空排気した。
次いで、i型半導体層104まで形成された基板203を前
述と同様の操作で成膜室201と同じ構成の成膜室(不図
示)へ搬送した。そこで、Heガス20sccmをキヤリアーガ
スとして用い、バブリング装置(不図示)内に充填され
たAl(C2H5)3/Be(C2H5)2=2×104:1.5を3.0×10-4mol/
minの流量でバブリングし、ガス供給パイプ214を介して
活性化室208内へ導入した。活性化室208内へはマイクロ
波発生装置211より100Wのマイクロ波電力を直ちに投入
した。同時に、NH3ガス21sccm、HFガス60sccmをガス供
給パイプ216を介して活性化室210へ導入し、H2ガス100s
ccmおよびHeガス40sccmの混合ガスをガス供給パイプ215
を介して活性化室209へ導入し、マイクロ波発生装置21
2,213よりそれぞれ300W,250Wのマイクロ波電力を活性化
室209,210内へ投入した。この時成膜室201内の圧力は50
mTorrに制御した。輸送管217,218,219を介して、活性化
室208,209,210にて生成した前駆体,水素ラジカル等が
成膜室201内へ導入され直ちに化学反応を起し、輸送管2
18のガス放出口から8cmの位置に設けられた基板203上に
p型半導体層としてのAlN:H:F膜が形成される。
300Åのp型AlN:H:F膜をi型半導体層104上に積層形
成後、基板搬送治具206にて基板保持用カセツト202をゲ
ートバルブ207を介して取り出し用ロードロツク室(不
図示)に移動させ、冷却後n型,i型およびp型半導体層
の堆積された基板203を不活性ガス雰囲気中で取り出し
た。該基板203をInとSnの含有量の比が50%〜50%の合
金が充填された蒸着用ボートがセツトされた真空蒸着装
置に大気に露出させることなく装置し、10-5Torr以下に
真空排気した後、抵抗加熱法により1×10-3Torr程度の
酸素雰囲気中で透明電極106としてのITO薄膜を約700Å
蒸着した。この時の基板加熱温度は170℃とした。冷却
後、該基板203を取り出し、透明電極106の上面に集電電
極パターン形成用のパーマロイ製マスクを密着させ、真
空蒸着装置に入れ、1×10-5Torr以下に真空排気した後
抵抗加熱法により膜厚1000ÅのCrと9000ÅのAg(Cr/A
g)を膜厚にして計1.0μm蒸着し、くしの歯状の集電電
極107とし、このようにして形成された光起電力素子を
素子No.1とした。
この素子No.1の特性を以下のようにして評価した。
素子No.1の透明電極106側よりAM-1光(100mw/cm2)を
照射したときの開放電圧Vocおよび短絡電流Isc,また、A
M-1光を400nmの干渉フイルターを通して照射したときの
出力の相対値(後述する比較例1で作製した素子の同一
条件下での測定値に対する相対値。)を測定した。第9
表中に測定結果を示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、上述した方法と
同様の方法および手順を用いてp型半導体層としてのAl
N:H:F膜を単独で形成した。得られた堆積膜について、
前述の[実験]の項で実施したのと同様の方法にて膜中
の水素原子およびフツ素原子含有量および結晶粒径の測
定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例2 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてp型半導体層としてのAlN:H:F膜を第3図に
示した堆積膜形成装置を用いて形成した。
したがって、第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において基板101,下部電極102,n型半導体層1
03,i型半導体層104の形成までは実施例1と全く同様の
操作にて行った。
基板保持用カセツト302に固定され、i型半導体層ま
で堆積された基板303を基板搬送用治具306にて成膜室30
1に搬送し、10-5Torr以下に保ちつつ基板303をヒーター
305で220℃に加熱し、基板温度が安定した所で第10表に
示した条件でスパツタリングを開始しi型半導体層104
上に200Åのp型半導体層としてのAlN:H:F膜105を堆積
した。
成膜終了後、成膜室301から取り出し用ロードロツク
室(不図示)へ基板303を移動し、冷却後取り出し、実
施例1で実施したのと同様の操作および方法で、透明電
極106としてのITO膜を700Å、その上に集電電極107とし
てのくし歯状のCr/Ag薄膜を1.0μm堆積して素子No.2と
し、実施例1と同様の太陽電池特性の評価を行った。評
価結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、第10表に示した
のと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:H:F
膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と同様
にして、膜中の水素原子およびフツ素原子含有量および
結晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例3 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてp型半導体層としてのAlN:H:F膜を第4図に
示した堆積膜形成装置を用いて形成した。
したがって、第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において基板101,下部電極102,n型半導体層1
03,i型半導体層104の形成までは実施例1と全く同様の
操作にて行った。
基板保持用カセツト402に固定されi型半導体層104ま
で堆積された基板403を基板搬送用治具406にて成膜室40
1に搬送し、10-5Torr以下に保ちつつ基板403をヒーター
405で210℃に加熱し、基板温度が安定した所で第11表に
示した条件で原料ガス(A),原料ガス(B),原料ガ
ス(C)をそれぞれガス導入管408および409より成膜室
401に導入し、排気バルブ414の開度を調節して成膜室40
1の内圧を圧力計417でモニターしつつ0.4Torrに保っ
た。高周波電源410はマツチング回路411を介してカソー
ド電極412に接続されており、前記高周波電源410より1
3.56MHzの高周波電力100Wをただちに投入し成膜を開始
した。このようにして、i型半導体層としてのA-Si:H:F
膜104上にp型半導体層としてのAlN:H:F膜105を200Å堆
積した。
成膜終了後、成膜室401から取り出し用ロードロツク
室(不図示)へ基板403を移動し、冷却後取り出し、実
施例1で実施したのと同様の操作および方法で透明電極
106としてのITO膜を700Å、その上に集電電極107として
のくし歯状のAg薄膜を0.8μm堆積し素子No.3とし、実
施例1と同様の太陽電池特性の評価を行った。その評価
結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、第11表に示した
のと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:H:F
膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と同様
にして、膜中の水素原子およびフツ素原子含有量および
結晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例4 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわりに
A-SiC:H:F膜を用いた。従って、第1図(A)に示すpin
ヘテロ接合型光起電力素子において基板101,下部電極10
2,n型半導体層103の形成までは実施例1と全く同様の操
作にて行った。
次いで、成膜室201と全く同じ構成で10-5Torrに真空
排気されている成膜室(構成は成膜室201と同じ故、共
通の図面番号にて説明する。)へn型半導体層まで形成
された基板203をゲートバルブ207を開け、基板搬送用治
具206を用いて搬送し、ゲートバルブ207を閉め、成膜室
201内の圧力を10-5Torrに保ちつつ、基板203をヒーター
205で220℃に加熱し、基板温度が安定したところで第12
表に示した条件で原料ガス(A),原料ガス(B)およ
び原料ガス(C)をそれぞれ、ガス供給パイプ214,215,
216より活性化室208,209,210内へ導入して励起種化し、
該励起種を輸送管217,218,219を介して成膜室201内へ導
入し成膜を開始した。使用した励起エネルギー発生装置
および励起条件等は第12表に示した。
このようにして、n型半導体層としてのA-Si:H:F膜10
3上にi型半導体層としてのA-SiC:H:F膜104を3500Å堆
積した。
次いで、実施例1で実施したのと同様の操作および方
法にてp型半導体層105としてのAlN:H:F膜を200Å、透
明電極106としてのITO膜を700Å、集電電極107としての
くし歯状のCr/Ag薄膜を1.0μm堆積して素子No.4とし、
実施例1と同様の太陽電池特性の評価を行った。その評
価結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、実施例1で実施
したのと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:
H:F膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と
同様にして、膜中の水素原子およびフツ素原子および結
晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例5 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわりに
A-SiC:H:F膜を用いた。従って、第1図(A)に示すpin
ヘテロ接合型光起電力素子において基板101,下部電極10
2,n型半導体層103の形成までは実施例1と全く同様の操
作にて行った。
次いで、成膜室201と全く同じ構成で10-5Torrに真空
排気されている成膜室(構成は成膜室201と同じ故、共
通の図面番号にて説明する。)へn型半導体層まで形成
された基板203をゲートバルブ207を開け、基板搬送用治
具206を用いて搬送し、ゲートバルブ207を閉め、成膜室
201内の圧力を10-5Torrに保ちつつ、基板203をヒーター
205で220℃に加熱し、基板温度が安定したところで第12
表に示した条件で原料ガス(A),原料ガス(B)およ
び原料ガス(C)をそれぞれ、ガス供給パイプ214,215,
216より活性化室208,209,210内へ導入して励起種化し、
該励起種を輸送管217,218,219を介して成膜室201内へ導
入し成膜を開始した。使用した励起エネルギー発生装置
および励起条件等は第13表に示した。
このようにして、n型半導体層としてのA-Si:H:F膜10
3上にi型半導体層としてのA-SiGe:H:F膜104を3500Å堆
積した。
次いで、実施例1で実施したのと同様の操作および方
法にてp型半導体層105としてのAlN:H:F膜を200Å、透
明電極106としてのITO膜を700Å、集電電極107としての
くし歯状のCr/Ag薄膜を1.0μm堆積して素子No.5とし、
実施例1と同様の太陽電池特性の評価を行った。その評
価結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、実施例1で実施
したのと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:
H:F膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と
同様にして、膜中の水素原子およびフツ素原子および結
晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例6 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわりに
poly-Si:H:F膜を用いた。従って、第1図(A)に示すp
inヘテロ接合型光起電力素子において基板101,下部電極
102,n型半導体層103の形成までは実施例1と全く同様の
操作にて行った。
次いで、成膜室201と全く同じ構成で10-5Torrに真空
排気されている成膜室(構成は成膜室201と同じ故、共
通の図面番号にて説明する。)へn型半導体層まで形成
された基板203をゲートバルブ207を開け、基板搬送用治
具206を用いて搬送し、ゲートバルブ207を閉め、成膜室
201内の圧力を10-5Torrに保ちつつ、基板203をヒーター
205で220℃に加熱し、基板温度が安定したところで第14
表に示した条件で原料ガス(A)および原料ガス(B)
をそれぞれ、ガス供給パイプ214,215より活性化室208,2
09内へ導入して励起種化し、該励起種を輸送管217,218
を介して成膜室201内へ導入し成膜を開始した。使用し
た励起エネルギー発生装置および励起条件等は第14表に
示した。
このようにして、n型半導体層としてのA-Si:H:F膜10
3上にi型半導体層としてのpoly-Si:H:F膜104を9000Å
堆積した。
次いで、実施例1で実施したのと同様の操作および方
法にてp型半導体層105としてのAlN:H:F膜を200Å、透
明電極106としてのITO膜を700Å、集電電極107としての
くし歯状のCr/Ag薄膜を0.8μm堆積して素子No.6とし、
実施例1と同様の太陽電池特性の評価を行った。その評
価結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、実施例1で実施
したのと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:
H:F膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と
同様にして、膜中の水素原子およびフツ素原子および結
晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例7 本実施例では、ステンレス基板のかわりに、ガラス基
板を用いて第1図(B)に示した構造のpinヘテロ接合
型光起電力素子を作製し、実施例1と同様の特性評価を
行った。以下に作製方法について述べる。
コーニング社製#7059ガラス基板101上に透明電極106
としてのITO膜を実施例1と同様の抵抗加熱法で500Å形
成し、該ITO膜上に実施例1で行ったと同様の操作およ
び方法でp型半導体層としてのAlN:H:F膜を200Å堆積し
た。引き続き実施例1と同様の操作および方法でi型半
導体層としてのA-Si:H:F層を3500Å堆積した。さらに実
施例1と同様の操作および方法でn型半導体層としての
A-Si:H:F膜を400Å堆積した。
次いで、実施例1で実施したのと同様の操作および方
法にて下部電極102としてのCr/Ag薄膜を1.0μm堆積し
て素子No.7とし、実施例1と同様の太陽電池特性の評価
を行った。その評価結果を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、実施例1で実施
したのと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:
H:F膜を堆積した。得られた堆積膜について実施例1と
同様にして、膜中の水素原子およびフツ素原子および結
晶粒径の測定を行った。測定結果を第9表中に示す。
実施例8 本実施例は実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電
力素子にてn型半導体層にもA-Si:H:F膜のかわりに本発
明のAlN:H:F膜を用いた。従って、第1図(A)に示すp
inヘテロ接合型光起電力素子において基板101,下部電極
102の形成までは実施例1と全く同様の操作にて行っ
た。
次いで、成膜室201と全く同じ構成で10-5Torrに真空
排気されている成膜室(構成は成膜室201と同じ故、共
通の図面番号にて説明する。)へ下部電極102まで形成
された基板203をゲートバルブ207を開け、基板搬送用治
具206を用いて搬送し、ゲートバルブ207を閉め、成膜室
201内の圧力を10-5Torrに保ちつつ、基板203をヒーター
205で220℃に加熱し、基板温度が安定したところで第12
表に示した条件で原料ガス(A),原料ガス(B)およ
び原料ガス(C)をそれぞれ、ガス供給パイプ214,215,
216より活性化室208,209,210内へ導入して励起種化し、
該励起種を輸送管217,218,219を介して成膜室201内へ導
入し成膜を開始した。使用した励起エネルギー発生装置
および励起条件等は第15表に示した。
このようにして、下部電極102上にn型半導体層103と
してのAlN:H:F膜を200Å堆積した。
次いで、実施例1で実施したのと同様の操作および方
法にてi型半導体層104としてのA-Si:H:F膜を3500Å、
p型半導体層105としてのAlN:H:F膜を200Å、透明電極1
06としてのITO膜を700Å、集電電極107としてのくし歯
状のCr/Ag薄膜を1.0μm堆積して素子No.8とし、実施例
1と同様の太陽電池特性の評価を行った。その評価結果
を第9表中に示す。
また、別に、石英ガラス基板を用い、実施例1で実施
したのと同様の成膜条件にてp型半導体層としてのAlN:
H:F膜および第15表に示した成膜条件にてn型半導体層
としてのAlN:H:F膜を各々堆積した。得られた堆積膜に
ついて実施例1と同様にして、膜中の水素原子およびフ
ツ素原子および結晶粒径の測定を行った。測定結果を第
9表中に示す。
実施例9 本実施例は、実施例1におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてn型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
に従来法のスパツタリング法にて形成されたGaP膜を用
いている。従って、第1図(A)に示すpinヘテロ接合
型光起電力素子において基板101,下部電極102の形成お
よびi型半導体層104,p型半導体層105,透明電極106およ
び集電電極107の形成は実施例1と全く同様の操作にて
行った。
n型半導体層103としてのGaP膜の形成は第3図に示し
た堆積膜形成装置を用いて、第16表に示した条件にて行
った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.9とし、
太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第17表
に示す。
実施例10 本実施例は、実施例1におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてn型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にプラズマCVD法にて形成されたA-SiGe:H:F膜を用いて
いる。従って、第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において基板101,下部電極102の形成および
i型半導体層104,p型半導体層105,透明電極106および集
電電極107の形成は実施例1と全く同様の操作にて行っ
た。
n型半導体層103としてのA-SiGe:H:F膜の形成は第4
図に示した堆積膜形成装置を用いて、第18表に示した条
件にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.10と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例11 本実施例は、実施例1におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてn型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にプラズマCVD法にて形成されたA-SiC:H:F膜を用いてい
る。従って、第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光起
電力素子において基板101,下部電極102の形成およびi
型半導体層104,p型半導体層105,透明電極106および集電
電極107の形成は実施例1と全く同様の操作にて行っ
た。
n型半導体層103としてのA-SiC:H:F膜の形成は第4図
に示した堆積膜形成装置を用いて、第19表に示した条件
にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.11と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例12 本実施例は、実施例1におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてn型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にスパツタリング法にて形成されたGaAs膜を用いてい
る。従って、第1図(A)に示すpinヘテロ接合型光起
電力素子において基板101,下部電極102の形成およびi
型半導体層104,p型半導体層105,透明電極106および集電
電極107の形成は実施例1と全く同様の操作にて行っ
た。
n型半導体層103としてのGaAs膜の形成は第3図に示
した堆積膜形成装置を用いて、第20表に示した条件にて
行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.12と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例13 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にA-Si:H膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型半導体層104としてのA-Si:H膜の形成は第4図に
示した堆積膜形成装置を用いて第21表に示した条件にて
行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.13と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例14 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にA-SiGe:H膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型の半導体層104としてのA-SiGe:H膜の形成は第4
図に示した堆積膜形成装置を用いて第22表に示した条件
にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.14と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例15 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にA-SiC:H膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型半導体層104としてのA-SiC:H膜の形成は第4図に
示した堆積膜形成装置を用いて第23表に示した条件にて
行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.15と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例16 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にA-Si:F膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型A-Si:F膜の形成は第3図に示した堆積膜形成装置
を用いて第24表に示した条件にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.16と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例17 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にA-SiGeC:H膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型A-SiGeC:H膜の形成は第4図に示した堆積膜形成
装置を用いて第25表に示した条件にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.17と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例18 本実施例は、実施例8におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてi型半導体層としてのA-Si:H:F膜のかわり
にpoly-Si:H膜を用いている。
従って、i型の半導体層104の形成以外は全て実施例
8と同様の操作および方法にて太陽電池を形成した。
i型poly-Si:H膜の形成は第3図に示した堆積膜形成
装置を用いて第26表に示した条件にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.18と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
17表に示す。
実施例19 本実施例は、第1図(B)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において、105をn型半導体層,103をp型半
導体層とし、p型半導体層103およびi型半導体層104を
A-Si:H:F膜で、n型半導体層105を本発明のAlN:H:F膜で
構成しガラス基板101の側から光入射をする様にした素
子である。
i型半導体層104は実施例1にて、n型半導体層105は
実施例8にて形成したのとまったく同様の操作および方
法にて形成し、p型半導体層103は実施例1におけるn
型のA-Si:H:F膜の形成条件にてPH3のかわりにBF3(H2
2000ppm稀釈)を55sccm導入した以外全く同様の操作お
よび方法にて形成した。
また、基板101、下部電極102、透明電極106の形成は
実施例7と全く同様の操作および方法にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.19と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
27表に示す。
実施例20 本実施例は、第1図(B)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において、105をn型半導体層,103をp型半
導体層とし、p型半導体層103をA-SiC:H:F膜で、i型半
導体層104をA-Si:H:F膜で、n型半導体層105を本発明の
AlN:H:F膜で構成しガラス基板101の側から光入射をする
様にした素子である。
i型半導体層104は実施例1にて、n型半導体層105は
実施例8にて形成したのとまったく同様の操作および方
法にて形成し、p型半導体層103は実施例11におけるn
型のA-SiC:H:F膜の形成条件にてPH3のかわりにBF3(H2
で2000ppm稀釈)を60sccm導入した以外全く同様の操作
および方法にて形成した。
又、基板101、下部電極102、透明電極106の形成は実
施例7と全く同様の操作及び方法にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.20と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
27表に示す。
実施例21 本実施例は、第1図(B)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において、105をn型半導体層,103をp型半
導体層とし、p型半導体層103をZnTe膜で、i型半導体
層104をA-Si:H:F膜で、n型半導体層105を本発明のAlN:
H:F膜で構成しガラス基板101の側から光入射をする様に
した素子である。
i型半導体層104は実施例1にて、n型半導体層105は
実施例8にて形成したのとまったく同様の操作および方
法にて形成した。
p型ZnTe膜の形成は第3図に示した堆積膜形成装置を
用いて第28表に示した条件にて行った。
基板101、下部電極102、透明電極106の形成は実施例
7と全く同様の操作及び方法にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.21と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
27表に示す。
実施例22 本実施例は、第1図(B)に示すpinヘテロ接合型光
起電力素子において、105をn型半導体層,103をp型半
導体層とし、p型半導体層103を従来法によるGaP膜で、
i型半導体層104をA-Si:H:F膜で、n型半導体層105を本
発明のAlN:H:F膜で構成しガラス基板101の側から光入射
をする様にした素子である。
i型半導体層104は実施例1にて、n型半導体層105は
実施例8にて形成したのとまったく同様の操作および方
法にて形成した。
p型GaP膜の形成は第3図に示した堆積膜形成装置を
用いて第29表に示した条件にて行った。
基板101、下部電極102、透明電極106の形成は実施例
7と全く同様の操作及び方法にて行った。
このようにして形成された太陽電池を素子No.22と
し、太陽電池特性等の評価を行った。その評価結果を第
27表に示す。
実施例23 本実施例では、第1図(C)に示すバンドギヤツプの
異なる3種の半導体膜をi層として用いたpinヘテロ接
合型光起電力素子を3素子積層して構成された所謂トリ
プル型光起電力素子120を作製した。
基板101からp型半導体層105までは実施例5と全く同
様の操作および方法で、i型半導体層がA-SiGe:H:F膜で
構成される第1層の光起電力素子111を作製した。
次いで、実施例1と全く同様の操作および方法でn型
半導体層114、i型半導体層115、p型半導体層116を堆
積しi型半導体層がA-Si:H:F膜で構成される第2層の光
起電力素子112を作製した。ただしこの時i型半導体層
の膜厚は3000Åとした。ひき続き実施例4と全く同様の
操作および方法でn型半導体層117、i型半導体層118、
p型半導体層119を堆積し、i型半導体層がA-SiC:H:F膜
で構成される第3層の光起電力素子113を作製した。た
だしこの時i型半導体層の膜厚を2500Åとした。更に、
実施例1と同様の操作および方法にて透明電極106とし
てのITO膜を700Åと集電電極107としてのくし歯状のAg
薄膜を0.8μm堆積し素子No.23とし、太陽電池特性等の
評価を行った。測定結果を第30表に示す。
比較例1 本比較例では実施例1におけるpinヘテロ接合型光起
電力素子にてp型半導体層105としてのAlN:H:F膜のかわ
りに200Åの膜厚のA-Si:H:F膜を用いる以外は全く同様
の操作および方法で比較用の光起電力素子を作製した。
ここで、p型半導体層105は第2図に示したのと同様の
構成の堆積膜形成装置を用い、基板温度を220℃とし、S
i2F6ガス30sccmとBF3(SiF4にて4000ppm希釈)ガス8scc
mとを混合しつつ、ガス供給パイプ214より、電気炉211
にて700℃に加熱保持されている活性化室208内へ導入し
た。同時に不図示のボンベに貯蔵されたHeガスおよびH2
ガスを各々120sccmと60sccmの流量で混合し、ガス供給
パイプ215より活性化室209内へ導入した。直ちに、マイ
クロ波発生装置212より320Wのマイクロ波電力を活性化
室209内へ投入し、成膜を開始した。この時成膜室201の
内圧は0.35Torrとした。この様にして、比較用の素子N
o.24を作製し、太陽電池特性等の評価を行った。測定結
果を第31表に示す。
比較例2 実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電力素子にて
p型半導体層105を堆積する際に、H2ガスを導入しなか
った以外は、全く同様の操作および方法にて比較用の素
子No.25を作製した。また実施例1においてp型半導体
層105を堆積する際にH2ガスの流量を0.5sccmとした以外
は全く同様の操作および方法にて比較用の素子No.26を
作製した。これらの素子について太陽電池特性の評価を
実施例1と同様に行った。測定結果を第31表に示す。
比較例3 実施例1においてp型半導体層を堆積する際に、Al(C
2H5)3/Be(C2H5)2=2×104:1.5の流量を4.0×10-4mol/
min、PF5ガスの流量を15sccmとした以外は同様の操作お
よび方法にて比較用の素子No.27を作製し、太陽電池特
性等の評価を行った。測定結果を第31表に示す。
比較例4 実施例1におけるpinヘテロ接合型光起電力素子にて
i型半導体層104としてのA-Si:H:F膜のかわりに、第3
図に示した装置を用い、第32表に示した成膜条件にて作
製したA-Si膜,A-SiC膜,A-SiGe膜を用いた以外は、全く
同様の操作および方法にて比較用の光起電力素子を作製
し、素子No.28,29,30とした。太陽電池特性等の測定結
果を第31表に示す。
比較例5 実施例23のトリプル型光起電力素子120における、第
3層の光起電力素子113のp型半導体層119のみを本発明
のAlN:H:F膜のかわりに、比較例1で作製したのと同
じ、p型A-Si:H:F膜に変えた以外は全く同様の構成の比
較用の光起電力素子を作製し、素子No.31とした。太陽
電池特性等の測定結果を第30表に示す。
〈各試料の特性評価結果〉 実施例1乃至23および比較例1乃至5において作製さ
れた各素子の太陽電池特性等の測定結果が第9,17,27,3
0,31表に示されている。
光起電力素子としての特性評価項目は、AM-1光(100m
w/cm2)照射下での開放電圧(Voc),短絡電流(Isc),
400nmの干渉フイルターを透過させたAM-1照射下での各
素子の出力の相対値(比較例1で作製した素子の同一条
件下での出力に対する相対値)があり、これらの評価結
果が示されている。
また、各光起電力素子を構成するのに使われたp型お
よび/またはn型のAlN:H:F膜が本発明において特定さ
れた水素原子およびフツ素原子の含有量および結晶粒径
に制御されているか、また、Al原子とN原子との組成比
は化学量論比を満足しているかの確認のために作製した
各p型および/またはn型のAlN:H:F膜中の水素原子お
よびフツ素原子の含有量および結晶粒径およびAl原子と
N原子との組成比の測定値も示されている。
以上の結果をまとめると、実施例1ないし3のpinヘ
テロ接合型光起電力素子では、n型半導体層,i型半導体
層としてA-Si:H:F膜を用い、p型半導体層として、本発
明の膜中の水素原子およびフツ素原子の含有量および結
晶粒径が特定の範囲に制御されたAlN:H:F膜を用い、且
つ、該AlN:H:F膜の形成方法を種々変えた例が示されて
いるが、比較例1に示したp型半導体層にA-Si:H:Fを用
いた光起電力素子よりも、開放電圧Vocが高く、短絡光
電流Iscが大きく、400nmの干渉フイルターを透過させた
AM-1光照射下での相対出力が高い優れた光起電力素子で
あることが判明した。
また、実施例4においてはi型半導体層104として、A
-SiC:H:F膜を、実施例5においてはi型半導体層104と
してA-SiGe:H:F膜を、実施例6においてはi型半導体層
104としてpoly-Si:H:F膜を用い、その他の構成は実施例
1と同様にして光起電力素子を作製した。いずれもi型
半導体層のバンドギヤツプの大小に応じて変化はあるも
のの、総じてVocが高く、またはIscの大きい優れた光起
電力素子であることが判明した。
実施例7においては、ガラス基板を用いた第1図
(B)の構成の光起電力素子とし、ガラス基板側から光
入射を行ったが、実施例1ないし3と同様に優れた太陽
電池特性が得られた。
実施例8においては、p型半導体層105と同時にn型
半導体層103にも本発明のAlN:H:F膜を用いたが、実施例
1ないし3と同様に優れた太陽電池特性が得られた。
これらに対し比較例2で作製した光起電力素子は、p
型半導体層が水素原子およびフツ素原子の含有量および
結晶粒径が本発明で特定した範囲外のものであったとこ
ろ、Vocが低く、Iscが小さく、相対出力が小さく、実施
例1ないし3で作製した光起電力素子に比較してはるか
に太陽電池特性が劣っていた。
また、比較例3ではp型半導体層としてのAlN:H:F膜
にてAl原子とN原子の組成比が化学量論比を満足しない
ものであったところ、やはり実施例1ないし3で作製し
た光起電力素子に比較して太陽電池特性が劣っていた。
また比較例4では、i型半導体層104として水素原子
およびフツ素原子を含まないA-Si膜、A-SiC膜、A-SiGe
膜を用い、一方、p型半導体層としては本発明において
特定されたGaP:H:F膜を用いたにもかかわらず、実施例
3ないし5に比較してはるかに太陽電池特性が劣ってい
た。
実施例9ないし12においてはn型半導体層として、Ga
P膜、A-SiGe:H:F膜、A-SiC:H:F膜、GaAs膜を用い、その
他の構成は実施例1と同様とした光起電力素子について
検討した。いずれもn型半導体層のバンドギヤツプの大
小の影響は若干あるものの、総じてVocが高く、またはI
scの大きい優れた太陽電池特性が得られた。
実施例13ないし18においては、実施例8で実施した構
成の光起電力素子にてi型半導体層の組成を変えた検討
を行った。具体的にはA-Si:H膜,A-SiGe:H膜,A-SiC:H膜,
A-Si:F膜,A-SiGeC:H膜,poly-Si:H膜を用い光起電力素子
を作製した。いずれもi型半導体層のバンドギヤツプの
大小に応じた変化はあるものの、総じてVocが高く、ま
たはIscの大きい優れた太陽電池特性が得られた。
実施例19ないし22においては、第1図(B)の構成の
光起電力素子であるが、p型半導体層とn型半導体層の
積層位置を入れ替え、n型半導体層の側から光入射を行
った。ここでn型半導体層には本発明のAlN:H:F膜を、
i型半導体層にはA-Si:H:F膜を用い、p型半導体層には
組成の異なるものを種々用いた。具体的にはA-Si:H:F
膜,A-SiC:H:F膜,ZnTe膜,GaP膜について検討を行った
が、p型半導体層のバンドギヤツプの大小の影響は若干
あるものの、総じてVocが高く、またはIscの大きい優れ
た太陽電池特性が得られた。
実施例23および比較例5における光起電力素子として
の特性評価項目は、AM-1光(100mW/cm2)照射下でのVo
c,IscおよびAM-1光の10時間連続照射前後の光電変換効
率の変化量(Δη/ηo:Δηは光電変換効率の変化量、
ηoは初期の光電変換効率を示す。)とし、これらの評
価結果が第30表に示されている。
以上の結果より、p型半導体層に本発明のAlN:H:F膜
を用いた実施例23のトリプル構造の光起電力素子は、p
型半導体層にA-Si:H:F膜を用いた比較例5のトリプル構
造の光起電力素子に比べ、Voc,Iscとも優れていること
が判明した。光電変換効率の変化量については実施例23
における光起電力素子の方が比較例5のそれに比較して
小さい。一般に光電変換効率の劣化現象は、光の連続照
射開始後10時間以内において顕著に起こり、その後の変
化は極めて緩慢であることから、連続10時間の光照射に
て変化率の小さい実施例23における光起電力素子が初期
特性が優れているばかりでなく、長期間に亘って使用可
能な、太陽電池として実用性の高い光起電力素子である
ことが判った。
〈発明の効果の概要〉 以上説明したように、本発明の光起電力素子は短波長
光の光電変換効率が高く、高い開放電圧(Voc)で、大
きな短絡電流(Isc)を取り出すことができ、さらに安
価な基板を用いることが出来、また、積層型とすること
により、使用に伴う特性劣化を極めて小さくできること
から、電力供給システム用の太陽電池として、実用性の
高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)および(B)は、本発明の光起電力素子の
層構成の典型的な例の模式的断面図である。第1図
(C)は本発明の積層型光起電力素子の層構成の模式的
断面図である。 第2図は、本発明のHRCVD法を実施するための堆積膜形
成装置例の模式的概略図である。 第3図は、本発明の反応性スパツタリング法を実施する
為の堆積膜形成装置例の模式的概略図である。 第4図は、本発明のプラズマCVD法を実施する為の堆積
膜形成装置例の模式的概略図である。 第1図について、 100,111,112,113……光起電力素子 101……支持体 102……下部電極 103,114……n型半導体層 104,115,118……i型半導体層 105,116,119……p型半導体層 106……透明電極、 107……集電電極 第2図、第3図、第4図について、 201,301,401……成膜室 202,302,402……基板保持用カセツト 203,303,403……基板 204,304,404……熱電対 205,305,405……ヒーター 206,306,406……基板搬送治具 207,307,407……ゲートバルブ 308,408,409……ガス導入管 208,209,210……活性化室 211,212,213……励起エネルギー発生装置 214,215,216……ガス供給パイプ 212,313,413……ロードロツク室 217,218,219……輸送管 220,314,414……バルブ 221,315,415……排気ポンプ 222,316,416……他の成膜室 223,309,417……圧力計 310,410……高周波電源 311,411……マツチング回路 312,412……カソード電極 316……ターゲツト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 総一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−116673(JP,A) 特開 昭55−151374(JP,A) 特開 昭55−124272(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型半導体層とi型半導体層とn型半導体
    層との接合により光起電力を発生する光起電力素子であ
    って、前記半導体層のうち少なくとも前記p型半導体層
    または前記n型半導体層のうちいずれか一方がアルミニ
    ウム原子、窒素原子、および水素原子および/またはフ
    ッ素原子、およびp型またはn型の価電子制御原子で構
    成される粒径が50ないし900オングストロームである多
    結晶半導体薄膜であり、前記水素原子においては0.5な
    いし7atomic%が含有され、且つ前記i型半導体層がシ
    リコン原子と少なくとも水素原子および/またはフッ素
    原子からなる非単結晶シリコン半導体で構成されている
    ことを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】p型半導体層とi型半導体層とn型半導体
    層との接合により光起電力を発生する光起電力素子であ
    って、前記半導体層のうち少なくとも前記p型半導体層
    または前記n型半導体層のうちいずれか一方がアルミニ
    ウム原子、窒素原子、および水素原子および/またはフ
    ッ素原子、およびp型またはn型の価電子制御原子で構
    成される粒径が50ないし900オングストロームである多
    結晶半導体薄膜であり、前記水素原子においては0.5な
    いし7atomic%の量が含有され、且つ前記i型半導体層
    がシリコン原子と少なくともゲルマニウム原子と炭素原
    子のいずれかと水素原子および/またはフッ素原子から
    なる非単結晶シリコン合金系半導体で構成されているこ
    とを特徴とする光起電力素子。
  3. 【請求項3】前記p型半導体層または前記n型半導体層
    のうち少なくともいずれか一方が4atomic%以下のフッ
    素原子を含有する請求項1または請求項2に記載の光起
    電力素子。
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