JP2737881B2 - 積層ポリエステルフイルム - Google Patents

積層ポリエステルフイルム

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JP2737881B2
JP2737881B2 JP1159940A JP15994089A JP2737881B2 JP 2737881 B2 JP2737881 B2 JP 2737881B2 JP 1159940 A JP1159940 A JP 1159940A JP 15994089 A JP15994089 A JP 15994089A JP 2737881 B2 JP2737881 B2 JP 2737881B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、積層ポリエステルフイルムに関するもので
ある。詳しくは、透明性、易滑性、平滑性に優れた積層
ポリエステルフイルムに関するものである。
[従来の技術] ポリエステル二軸延伸フイルムは、その機械的性質、
電気的性質、寸法安定性、透明性などに優れた特性を有
することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材
料、グラフイックアーツ材料、写真材料など多くの用途
の基材フイルムとして広く使用されている。しかし、最
近、これらの用途は共通して小型軽量化、高精度化の技
術志向にあり、これらに付随してベースフイルムに対す
る要求、品質も厳しくなっている。例えば、グラフイッ
クアーツの分野では、透明性、易滑性、平滑性に対する
要求レベルが高まり、しかも、各特性を同時に保持した
ベースフイルムが待望されている。
しかし、中でも透明性と易滑性については、元来、透
明性の高いポリエステルフイルムは、フイルム同士の滑
り性が非常に悪いため、ブロッキングやスリ傷等の表面
欠点を生じたり、巻き取り性や巻姿の悪化、更には加工
時の作業性の悪さ等を引き起こすことが知られている。
しかも、これらの欠点は、ベースフイルムの薄膜化にと
もない、より顕著となる傾向にある。このようにポリエ
ステルフイルムでは、透明性と易滑性は相反する関係に
あり、両特性を同時に満足させることは難しく、更には
平滑性をも同時に有しているフイルムを得ることは困難
であった。
このような諸特性に優れたフイルムを得るために従来
から種々の検討がなされている。このような積層ポリエ
ステルフイルムとしては,(1)透明なフイルム表面上
に無機粒子やシリカゾルを含む有機高分子バインダーを
塗設したポリエステルフイルム(特開昭61−2528号公
報、特開昭60−61259号公報)や、(2)透明なフイル
ム表面上に塗設した樹脂層の延伸破断によって、微細な
縦長突起を形成させたポリエステルフイルム(特開昭61
−204240号公報)などが知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、前述したポリエステルフイルムには次のよう
な問題点がある。
上記(1)のフイルムでは、無機粒子を用いた場合
は、有機高分子バインダーへの均一分散が難しいため、
フイルム特性にバラツキが生じたり、さらには塗膜に凝
集粒子による粗大突起が発生しやすいため、透明性や平
滑性の低下、更には、突起の脱落による弊害が増し易
い。また、シリカゾルを滑剤として用いた場合は、従来
公知のものは、微細なため、易滑性は多量添加によって
のみ発現するが、反面、透明性の低下を引き起こし易
い。更には、ベースフイルムが薄くなると十分な易滑効
果は得られない。
上記(2)のフイルムでは、突起形状が微細なためベ
ースフイルムが薄くなると滑り性が不十分となるのみな
らず、塗膜に発生した亀裂による透明性の低下も起き易
い。
本発明は、これらの従来技術の欠点を解消せしめ、透
明性、易滑性、平滑性とが共に優れ、しかも易滑層の耐
久性、耐摩耗性にも優れた積層ポリエステルフイルムを
提供せんとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明はポリエステルフイルムの少なくとも片面に、
平均粒径0.08〜2.0μmの架橋有機高分子粒子を0.1〜20
重量%含有する水溶性あるいは水分散性樹脂を主成分と
した0.01〜0.2μm厚の被覆層を設けた積層ポリエステ
ルフイルムであって、かつ該架橋有機高分子粒子の平均
粒径(D)と該被覆層の厚み(d)の比(D/d)が1.1〜
80の範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフイ
ルムに関するものである。
本発明においていうポリエステルとは、周知のもの、
例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、ビス−α,β(2−クロルフエノキシ)エタン
−4,4′−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の
2官能カルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、デカメチレングリコール等のグリコールの少なく
とも1種とを重縮合して得られるポリエステルを挙げる
ことができる。また、該ポリエステルには本発明の目的
を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしたり、共
重合してもよいし、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外
線吸収剤等が含まれていてもよい。ポリエステルの固有
粘度(25℃オルトクロルフエノール中で測定)は、0.4
〜2.0であり、好ましくは0.5〜1.0の範囲のものが通常
用いられる。
本発明には、ポリエステルとしてポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを用いた
場合、特に優れた効果が得られる。
本発明でいう架橋有機高分子粒子とは特に限定されな
いが粒径を所定の大きさに調整する場合に、粉砕などの
方法ではなく、例えば乳化重合などの方法によって製造
されたものであり、このような架橋有機高分子粒子の例
としては、架橋球状ビニル系重合体、例えばスチレン−
ジビニルベンゼン共重合架橋体が挙げられるものであ
る。透明性、易滑性、平滑性を満足し、かつ摩耗による
粒子の脱落が少ない点でスチレン−ジビニルベンゼン共
重合(架橋)体が特に好ましい。非架橋有機高分子粒
子、いわゆる熱可塑性有機高分子粒子を用いた場合に
は、塗布後の熱処理によって粒子が平坦化し、易滑性が
不十分となる。更に該架橋有機高分子粒子が表面に活性
基を有する活性架橋有機高分子粒子である場合には該粒
子を分散させるマトリックス樹脂との密着性が良く粒子
の脱落が更に改良されるのでより好ましい。また、該粒
子含有被覆層上に、各種バインダー、金属蒸着層などを
設ける場合、それらとの密着性が良好となる効果を有す
る。活性基の種類は特に限定されず、使用するマトリッ
クス樹脂との親和性、反応性の優れたものを任意に選べ
ば良い。活性基の一例を挙げればOH基、COOH基、NH
2基、SH基、SO3H基などであり、これらの架橋有機高分
子粒子への導入は少なくとも1種のビニル基と前記活性
基を有するモノマーの共重合によって得ることができ
る。またこのような活性架橋有機高分子粒子含有塗布層
を、前記架橋有機高分子粒子を含有した基材フイルム上
に設けた場合には塗布層の耐摩耗性がより向上するため
好ましい。
また架橋有機高分子粒子は加熱減量曲線における10%
重量減量時温度(窒素中で熱重量分析装置島津TG−30M
を用いて測定。昇温速度20℃/分)が380℃以上になる
まで架橋度を上げた架橋有機高分子粒子とした場合には
被覆層の耐摩耗性がより一層良好となるので特に好まし
い。本発明における架橋有機高分子粒子の平均粒径は0.
08〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、更に好ましくは
0.1〜0.5μmである必要がある。平均粒径が上記範囲よ
り大きいと耐摩耗性が不良となるし、上記範囲より小さ
いと易滑性が不十分となる。また架橋有機高分子粒子の
真球度(長径/短径)は1.5以下、好ましくは1.2以下で
ある場合には耐摩耗性、易滑性が特に良好となるので好
ましく、更に粒子分散性のパラメーターである単一粒子
指数が0.5以上の場合にはより一層好ましい。上記のよ
うな架橋有機高分子粒子において該粒子の屈折率が1.2
〜1.8の範囲である場合には塗膜の透明性の低下がほと
んどなく、得られた積層ポリエステルフイルムは高度の
透明性を維持できるので特に好ましい。
本発明でいう水溶性あるいは水分散性樹脂とは基材と
の親和性の良い熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の中から選
ばれたものであって、具体例としては例えばニカワ、カ
ゼインなどの天然高分子、ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース及びその他のセルロース誘導体、尿素樹脂
やメラミン樹脂などの合成水溶性高分子、水溶性ポリエ
ステル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エ
ステル、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウ
レタン、ポリクロロプレン、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン
スルホン酸及びその塩など、および上記の共重合、混合
物を例示することができる。中でも基材ポリエステルフ
イルムとの密着性や透明性の点でポリエステル系共重合
体、アクリル系共重合体の水溶性および水分散性樹脂が
好ましく、特に水溶性および水分散性アクリル系樹脂が
好ましい。
ここで水分散性あるいは水溶性アクリル系樹脂(以下
アクリル系樹脂と略称する)としては、アルキルアクリ
レートあるいはアルキルメタクリレートを主要な成分と
するものが好ましく、これらと共重合可能でかつ官能基
を有するビニル単量体成分を含有する水溶性あるいは水
分散性アクリル樹脂が特に好ましい。
アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレー
トと共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体は、
樹脂に親水性を付与して樹脂の水分散性を良好にした
り、あるいは樹脂とポリエステルフイルムとの接着性を
良好にする官能基を有するものが好ましく、好ましい官
能基とは、カルボキシル基またはその塩、酸無水物基、
スルホン酸基、またはその塩、アミド塩またはアルキロ
ール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含
む)またはアルキロール化されたアミノ基あるいはそれ
らの塩、水酸基、エポキシ基等である。特に好ましいも
のはカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、エポキ
基などである。これらの基は、樹脂中に二種以上含有さ
れていてもよい。これらの官能基を持つアクリル系樹脂
中に前記活性有機高分子粒子を分散させることにより樹
脂と粒子の密着性がより強固になり耐摩耗性が優れたも
のになるため特に好適である。アルキルアクリレートお
よびアルキルメタクリレートのアルキル基しては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチル
ヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシ
ル基などがあげられる。
アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレー
トと共重合する官能基を有するビニル系単量体は、反応
性官能基、自己架橋性官能基、親水性基などの官能基を
有する下記の化合物類が使用できる。
カルボキシル基またはその塩、あるいは酸無水物基を
有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これら
のカルボン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウ
ム塩、あるいは無水マレイン酸などがあげられる。
スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらのスル
ホン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩な
どがあげられる。
アミド基あるいはアルキロール化されたアミド基を有
する化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリ
ルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビ
ニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテ
ル、ウレイドエチルアクリレートなどがあげられる。
アミノ基またはアルキロール化されたアミノ基あるい
はそれらの塩を有する化合物としては、ジエチルアミノ
エチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエー
テル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニル
エーテル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、
ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどによ
り4級塩化したものなどがあげられる。
水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエ
ーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−
ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリ
コールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノ
メタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリ
レート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート
などがあられる。
エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレートなどがあげられ
る。
更に上記以外に次に示すような化合物を併用してもよ
い。すなわち、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モ
ノあるいはジアルキルエステル、フマル酸モノあるいは
ジアルキルエステル、イタコン酸モノあるいはジアルキ
ルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリ
ドン、ビニルトリメトキシシランなどがあげられるが、
これらに限定されるものではない。
アクリル系樹脂は、界面活性剤を含有していてもよい
が、アクリル系樹脂に含有される低分子量体の界面活性
剤が造膜過程で濃縮され、粒子と粒子の界面に蓄積され
たり、塗布層の界面に移行するなどして、塗布層の機械
的強度、耐水性、積層体との接着性に問題を生じる場合
がある。このような場合には、界面活性剤を含有しない
いわゆるソープフリー重合による重合物を利用できる。
しかし、その中でもメチルメタクリレートとエチルア
クリレートの35/65〜75/25(モル比)の共重合体を幹ポ
リマーとし、カルボキシル基の含有モノマー(例えばア
クリル酸)、メチロール基含有モノマー(例えばN−メ
チロールアクリルアミド)をそれぞれ1〜10重量%導入
した水分散性アクリル樹脂が基材フイルムとの密着性、
透明性の点で特に好適である。
被覆層中における架橋有機高分子粒子の濃度は0.1〜2
0重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%、更
に好ましくは1〜7重量%の範囲である。架橋有機高分
子粒子の濃度が0.1重量%未満では、所望の易滑性を有
する積層フイルムが得られないし、20重量%を越えるも
のでは、積層フイルムの透明性、耐摩耗性が悪化した
り、被覆層のベースフイルムへの密着性が低下するの
で、好ましくない。本発明でいう主成分とは被覆層中に
占める前記架橋有機高分子粒子と水溶性あるいは水分散
性樹脂のトータル重量比が70%以上、好ましくは80%以
上、更に好ましくは90%以上であることをいう。上記構
成成分が70%に満たないには目的とする特性が不十分と
なる。
また、被覆層には、被覆層の密着性、耐水性、耐溶剤
性、機械的強度の改良のため、架橋剤としてメチロール
化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、ア
クリルアミド系、ポリアミド系などの樹脂、エポキシ化
合物、アジリジン化合物、プロックポリイソシアネー
ト、ビニル化合物などの反応性化合物を含有せしめても
よい。更に必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘
剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔
料などを含有せしめてもよい。
本発明フイルムを構成するポリエステルフイルムは、
常法により、少なくとも二軸配向させたものであり、厚
みは2〜300μmが好ましく、5〜150μmの範囲がより
好ましく基材ベースとしての実用面での取り扱い性に優
れている。
本発明のフイルムは、被覆層の厚みが0.01〜0.2μm
の範囲において、被覆層の架橋有機高分子粒子の平均粒
径(D)と被覆層厚み(d)との比(D/d)が1.1〜80で
なければならない。好ましくは2.0〜40、より好ましく
は3.0〜15の範囲である。粒子径と膜厚の比が1.0未満で
は、積層フイルムの易滑性が悪化し、表面欠点などの弊
害が増すので好ましくない。粒子径と膜厚の比が80以上
では平滑性が悪化するのみならず、被覆層の耐摩耗性が
悪化して白粉が発生しやすくなったり、逆に滑り性が悪
化するので好ましくない。本発明の積層ポリエステルフ
ィルムを構成する被覆層の厚みは積層フイルムの透明性
や被覆層を設けた後、延伸後の粒子突起による易滑性を
効率よく良好にするために0.01〜0.2μmの範囲とす
る。
次に本発明の代表的製造方法について、ポリエチレン
テレフタレート(以下PETと略称する)フイルムを基材
ポリエステルフイルムとして用いた場合を説明するが、
これらに限定されるものではない。
先ず、常法によって重合されたPETチップを260〜310
℃でスリット状のダイから溶融押出し、静電荷を印加し
ながら20〜80℃に冷却せしめて未延伸フイルムを作る。
この際、未延伸フイルムの固有粘度は、フイルム特性か
ら0.5以上であることが望ましい。次に、該未延伸フイ
ルムをフイルム進行方向に70〜120℃で2.0〜5.0倍延
伸、更にフイルム表面を、空気中でコロナ放電処理を施
し、その処理面に予め有機高分子粒子と水溶性あるいは
水分散性樹脂混合組成物の所定量に調整した水溶液を塗
布し、塗膜を乾燥、あるいは乾燥しつつ、70〜150℃
で、フイルム進行方法とは直角の方向に2.0〜5.0倍延伸
し二軸配向させる。更に二軸配向したフイルムを100〜1
80℃で少なくとも一方向に1.1〜3.5倍延伸してもよい。
次に二軸配向フイルムは必要に応じて150〜240℃で0〜
10%弛緩を与えつつ、1〜60秒間処理し配向結晶化を完
了させる。
塗布方法は、特に限定されず、メルトコーテイング法
を用いてもよいが、高速で薄膜コートすることが可能で
あるという理由から水溶化、あるいは水分散化させた塗
材をグラビヤコート法、リバースコート法、スプレイコ
ート法、キッスコート法、ダイコート法、メタリングバ
ーコート法など公知の方法を適用するのが好適である。
[評価法] 本発明の特性値は、次の測定方法、評価基準による。
(1) 平均粒径D(μm) 積層フイルムの被覆層の断面を透過型電子顕微鏡(TE
M)で写真観察し、粒子を検知する。観察倍率を100000
倍にすれば、それ以上分離できない1個の粒子が観察で
きる。この粒子の長径と短径を測定し、その平均値を平
均粒径とした。測定は1視野2μm2を場所を変えて500
視野測定し、その平均値とした。なおTEMの測定条件は
以下のとおりである。
・装置:日本電子製JEM−1200EX ・観察倍率:100000倍 ・加速電圧:100KV (2) 真球度 上記(1)の測定において、粒子の長径(平均値)/
短径(平均値)の比を真球度とした。
(3) 単一粒子指数 上記(1)の測定において粒子の占める全面積をA、
その内2個以上の粒子が凝集している凝集体の占める面
積をBとした時、(A−B/A)をもって単一粒子指数と
した。
(4) 有機高分子粒子の屈折率 液浸法を用い、ベッケ線から屈折率を決定する。
(5) 耐ブロッキング性 積層フイルム面のブロッキング性は、JIS−Z−0219
に準じて50℃、80〜90RH%中で荷重500g/12cm2をかけて
24時間後のブロッキング性を評価した。判定基準は、
○:良好、△:やや劣る、×:不良とした。
(6) 塗膜の密着性 被覆層/ベースフイルムの接着力は、被覆層にJIS−
C−2338で規定された幅18mmの粘着テープを貼った後、
ハンドローラを用いて約5kgの荷重をかけ、長さ方向
(約10cm)に2回往復して圧着させ、粘着テープを手で
引き剥がし、被覆層の剥離度合を観察し、評価した。判
定基準は、○:良好(剥離面積5%未満)、△:やや劣
る(剥離面積5%以上20%未満)、×:不良(剥離面積
20%以上)とした。
(7) 易滑性(μs) ASTM−D−1894−63により、積層面と未積層面の静摩
擦係数μsを測定した。
(8) 易滑性の耐久性 テープ状にしたフイルムの被覆層表面を金属(SUS)
固定ガイド(5mmφ)に100回繰り返し接触走行させた
後、上記(7)のμsを測定した。走行される前のμs
よりも0.2以内の差であれば、耐久性は良く(○)、差
が0.2を越えれば耐久性は悪い(×)と評価する。
(9) 耐摩耗性 テープ状にしたフイルムの被覆層表面を金属(SUS)
固定ガイド(5mmφ)に100回繰り返し接触走行させた
後、フイルム上に付着したスクラッチ量を観察し、その
数の多少で次の如く判断した。
◎:スクラッチが非常に少ない(耐久性が極めて良好) ○:スクラッチが少ない(耐久性良好) ×:スクラッチが多い(耐久性不良) (10) 透明性 SEP−H−2型濁度計(日本精密光学(株)製)を用
いJIS−K−6714−58に基づいてヘイズ(濁度)を測定
した。判定基準は、ベースフイルムに対するヘイズの上
昇が1.0%未満を良好(○)、1.0%以上を不良(×)と
した。
(11) 被覆層の厚みd(μm) 日立製作所製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層
フイルムの超薄断面切片から被覆層を観察し、その撮影
写真から被覆層の厚みを以下の方法で求めた。被覆層中
の粒子と樹脂よりなる部分の最大厚みと、粒子/粒子間
の樹脂成分からなる部分の最小厚みを求め、その平均値
を被覆層厚みとした。なお測定はランダムに抽出した10
0点の測定点の平均値とした。
(12) 平均粒径(D)と積層厚み(d)の比(D/d) 平均粒径(D)と上記(11)で測定した積層厚み
(d)より、比(D/d)を求めた。
(13) 平滑性 JIS−B−0601に従い、株式会社小坂研究所製の触針
型表面粗さ計SD−3型を用い、カットオフ0.25mm、測定
長さ1mmで平均粗さRa(μ)を測定した。Raが0.020μm
未満を平滑性良好、0.020μm以上を平滑性不良と判定
した。
[実施例] 次に実施例に基ずいて実施態様を説明するが、これに
限定されるものではない。
実施例1 常法によって製造されたポリエチレンテレフタレート
のホモポリマーペレット(固有粘度:0.62、融点:259
℃)を180℃で2時間真空乾燥した後、押出機に供給し
て280℃で溶融し、10μmカットの金属焼結フイルター
で瀘過した後、T字型口金からシート状に押出し、静電
印加法を用いて表面温度20℃の冷却ドラムに巻き付けて
冷却固化せしめた。得られた未延伸シートを90℃でロー
ル延伸によって長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フイ
ルムとした。このフイルムの一方の面に空気中でコロナ
放電処理を施し、その処理面にロッドコート方式で下記
の水系塗剤を塗布した。
架橋有機高分子粒子として平均粒径0.25μm、屈折率
1.60のスチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体を用
い、該粒子を水分散性アクリル樹脂(メチルメタクリレ
ート/エチルアクリレート:65/35モル%、分子量30万)
中に重量比で粒子/樹脂:4/96とし、水で希釈して濃度
1.0%の塗剤を作成した。
該塗剤を塗布後、乾燥しつつ100℃で巾方向(フイル
ム進行方向と直角方向)に3.5倍延伸し、更に巾方向に
2%弛緩しつつ220℃で5秒間熱処理して結晶配向を完
了させ被覆層0.03μmが積層された厚さ12μmの積層PE
Tフイルムを得た。かくして得られた被覆層は(D/d)が
8.6であった。この積層フイルムの特性は表1に示すと
おり透明性、易滑性が良好であり、被覆層の耐摩耗性、
耐ブロッキング性、基材との密着性に優れたものであっ
た。
実施例2〜7、比較例1〜7 架橋有機高分子粒子の平均粒径と水分散性アクリル樹
脂との混合重量比率および塗布量を変えた以外は実施例
1と同様にして(D/d)の異なる積層PETフイルムを作製
した。表1に示すように各パラメーターが本発明の範囲
内にある場合には良好な特性を示すが、それ以外の場合
には易滑性が不十分であったり、透明性、耐摩耗性、易
滑耐久性、平滑性が不足したものであった。
実施例8 架橋有機高分子粒子として表面にOH基を有する活性ス
チレン−ジビニルベンゼン架橋共重合粒子(平均粒径0.
30μm、屈折率1.58)を用いバインダーとしてメチロー
ル基含有水分散性アクリル樹脂を用いた以外は実施例1
と同様にして積層PETフイルムを作製した。このフイル
ムは易滑性、透明性は勿論のこと、耐久性、耐摩耗性が
特に優れたものであった。
比較例8 架橋有機高分子粒子に変えて無機系粒子(炭酸カルシ
ウム、平均粒径1.5μm)を用いた以外は実施例1と同
様にして積層ポリエステルフイルムを作製した。この積
層フイルムは透明性が不十分であり、かつ耐摩耗性、易
滑耐久性が著しく劣るものであった。
比較例9 架橋有機高分子粒子に変えて熱可塑性アクリル樹脂粒
子(ガラス転移点68℃、平均粒径0.25μm)を用いた以
外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフイルムを
作成した。この積層ポリエステルフイルムは熱によって
粒子が変形平坦化し(真球度5.2)、易滑性が不十分な
ものであった。
[発明の効果] 本発明は特定の有機高分子粒子を用い、水溶性あるい
は水分散性樹脂中への添加量、および平均粒径(D)と
被覆層の厚み(d)との関係(D/d)を特定範囲とした
ので透明性、易滑性、平滑性、耐摩耗性、易滑耐久性が
同時に優れた積層ポリエステルフイルムとすることがで
きたものである。また有機高分子粒子の真球度、単一粒
子指数を特定の範囲としたスチレン−ジビニルベンゼン
共重合体とした場合や表面活性基を有する有機高分子粒
子とした場合には上記特性、特に耐摩耗性や易滑耐久性
を更に優れたものとすることができる。
本発明の積層ポリエステルフイルムは上記の優れた特
性を有するため、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデ
ンサー用、包装用、各種写真用、光学用、グラフィック
用などのベースフイルムとして好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−12030(JP,A) 特開 昭62−284741(JP,A) 特開 昭59−84927(JP,A) 特開 昭58−112735(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に、平均粒径0.08〜2.0μmの架橋有機高分子粒子を0.1
    〜20重量%含有する水溶性あるいは水分散性樹脂を主成
    分とした0.01〜0.2μm厚の被覆層を設けた積層ポリエ
    ステルフイルムであって、かつ該架橋有機高分子粒子の
    平均粒径(D)と該被覆層の厚み(d)の比(D/d)が
    1.1〜80の範囲であることを特徴とする積層ポリエステ
    ルフイルム。
  2. 【請求項2】架橋有機高分子粒子の真球度(長径/短
    径)が1.5以下であることを特徴とする請求項1の積層
    ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】架橋有機高分子粒子の単一粒子指数が0.5
    以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層
    ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】架橋有機高分子粒子が架橋球状ビニル系重
    合体粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の積層ポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】架橋有機高分子粒子が表面活性基を有する
    活性有機高分子粒子であることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の積層ポリエステルフイルム。
  6. 【請求項6】架橋有機高分子粒子の屈折率が1.2〜1.8の
    範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の積層ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】被覆層が少なくとも1方向に延伸されてい
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積
    層ポリエステルフイルム。
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